JP2019199688A - 防水シート敷設装置及び防水シートの敷設方法 - Google Patents
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Abstract
Description
シート防水工には例えば特許文献1及び2に開示されるような留め片を備えた防水シートを使用する。
まず、ホイストクレーン等を用いて防水シートを複数段のステージを設けたシート台車上に展開する。続いて、防水シートの周方向の中心部をトンネルアーチ部の中央に合わせ、作業員が防水シートを一次覆工面に押し付けながら留め片越しにコンクリート釘を打ち込んで固定する。
前スパンの防水シートと後スパンの防水シートは、端部同士を拝み合わせた状態で熱溶着して接続する。
<1>防水シートを一次覆工面に点状に固定してゆくため、展張した防水シートに適切な弛みを確保するのが難しい。防水シートの弛み量が不十分であると、覆工コンクリートの打設時に防水シートが下方に引き込まれることで、アーチ頂部において防水シートの背面に空洞が生じる。これはトンネル構造上の弱点となると共に、凍上によるひび割れや漏水を誘発するおそれがある。
<2>大面積の防水シートを一次覆工面に押さえながら釘打ちして固定するため、作業が困難で作業効率が悪い。
<3>施工難度が高いため、防水シートを一度に2m幅程度しか敷設できない。このため防水シート同士の溶着箇所が多く、施工効率が悪い。
<4>施工スパンが短く、防水シートの溶着箇所が多いため、溶着箇所からの漏水リスクが高い。
<5>昨今の山岳トンネル工事では急速施工が求められており、これに応じて掘削や二次覆工などの各工程において施工の迅速化が進んでいるにもかかわらず、シート防水工がボトルネックとなって工事全体の迅速化を妨げている。
この構成によれば、防水シートを一次覆工面に対応した半弧状に押し付けながら展開することで、防水シートに適切な弛み量を確保しつつ容易に敷設することができる。
この構成によれば、防水シートの固定箇所へ作業員の手が届き易くなるので、作業効率が向上する。
この構成によれば、防水シートをレール部上へ配置する際にレール部から滑落するのを防ぐことができる。
この構成によれば、防水シートに適切な弛み量を確保しつつ効率的に敷設することができる。
この構成によれば、防水シートを展開しながら固定できるので作業効率が高い。
<1>半弧状に配置したバルーンを膨張させ、防水シートを一次覆工面に押し付けた状態で固定することで、一次覆工面に対応した適切な弛み量をもって防水シートを敷設できる。このため、アーチ頂部への背面空洞の発生を防止できる。
<2>防水シートをバルーンで一次覆工面に押し付けた状態を保持しつつ釘打ち固定できるため、作業が容易で作業員の作業負担が極めて小さい。
<3>作業が容易なため、10m超の長スパンの防水シートを一度に敷設することができる。このため、防水シート同士の溶着頻度を従来の1/5程度に減らせるため、施工効率が非常に高い。
<4>防水シートを長スパン化して溶着箇所を減らすことで、溶着部からの漏水リスクを低減できる。
<5>全体工程のボトルネックとなっていたシート防水工の施工効率を高めることで、全体工期を短縮して急速施工を実現できる。
<1>全体の構成(図1)。
本発明の防水シート敷設装置1は、トンネルの一次覆工面に防水シートSを敷設する装置である。
防水シート敷設装置1は、半弧状の長尺シート受台10と、長尺シート受台10の上部に沿って配置した膨張体20と、膨張体20を膨張させるための送気手段30と、を備える。
本例では、更に防水シートSを牽引して長尺シート受台10上に配置するための牽引手段40を備える。
防水シート敷設装置1は、シート台車などの移動可能な台車A上に搭載して使用する。
長尺シート受台10は、防水シートSの展開機能と支持機能を併有する構造要素である。
長尺シート受台10は、全体としてトンネル内壁の形状に対応した半弧状を呈する。
より詳細には、長尺シート受台10は、半弧状に延在する平滑面からなるレール部11と、レール部11の両下端部においてレール部11を支持する支持部12と、レール部11の幅方向の一側から上方に立ち上がる壁部13と、壁部13の上方がレール部11側に延出することで上方に膨張体20を配置可能な台部14と、を備える。即ち、コの字状(図2では逆コの字状)の断面を半弧状に延長して両下端を台状に構成した形状を呈する。
本例では長尺シート受台10を鋼材から構成するが、上記の構成要素と所定の強度を備えれば素材は限定されない。
本例では支持部12として、台車Aの足場板に安定して設置可能な面材を採用する。
壁部13はリブ構造や梯子状の構造であってもよい。
また、必須の構成要素ではないが、本例ではレール部11の幅方向における壁部13の反対側から上方に突起した落下防止リブ15を備える。
長尺シート受台10は、設置及び運搬の便宜から分割式又は折り畳み式であってもよい。
台部14は、膨張体20を上部に配置するための構造要素である。
台部14は、壁部13からレール部11側に延出し、膨張体20を配置可能な幅を備える。
台部14がレール部11側に延出していることで、膨張体20が展開前の防水シートSの直上に位置することになり、これによって後述する固定工程における釘打ち作業が容易になる。
但し、台部14の構造はこれに限らず、壁部13の上部からレール部11の反対側に延出してもよいし、両側へ延出して断面T字状に構成してもよい。
膨張体20は、防水シートSを一次覆工面に押し付けるための構造要素である。
本例では膨張体20として、気体で膨張するチューブ状のバルーン体を採用する。
本例では膨張体20の長さを長尺シート受台10の長さに対応させる。ただしこれに限らず、後述する防水シートSの展開作業及び固定作業の便宜に応じて適宜の位置や長さとしてもよい。
膨張体20は長尺シート受台10の台部14の上に固定するとともに、後述する送気手段30とホース等で接続し、送気手段30からの気体圧送によって主に外周方向に膨張する。
送気手段30は、膨張体20内に気体を圧送して膨張させるための構造である。
本例では、送気手段30として、コンプレッサを採用する。なお、送気手段30はコンプレッサに限らず、ファンやブロワであってもよい。
牽引手段40は、防水シートSを牽引して、長尺シート受台10上に展開する装置である。
本例では、牽引手段40として電動ウインチとワイヤの組み合わせを採用する。なお、牽引手段40は電動ウインチに限らず、他の公知の手段であってもよい。
<1>全体の構成(図3A、3B)。
本発明の防水シート敷設方法は、装置配置工程と、シート配置工程と、引出し工程と、接続工程と、膨張工程と、展開工程と、固定工程と、を少なくとも備える。
本発明の防水シートの敷設方法で敷設する防水シートSについて説明する。
本例では、防水シートSとして、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)製シートの一面に長繊維不織布を張り合わせたシート材を採用する。
長繊維不織布側の面には所定の間隔で釘留め用の留め片S1を設ける。
本例では留め片S1として、長繊維不織布の幅方向に付設した帯状の裏留めテープを採用する。
本例では防水シートSの長さを10.5mと従来技術の5倍程度とし、幅は一次覆工面の一端から端までの周長に対応させる。
なお、防水シートSの構成はこれに限らず、所定の遮水性能と強度を備えれば、他の公知の各種シート材を採用してもよい。
防水シートSは、予め幅方向Wと長手方向Lの二方向に折り畳んでおく。より詳細には、防水シートSをまず長手方向Lに内外相互に折り返して複数層に折り畳み、続いてこれを幅方向Wに内外相互に折り返して複数層に折り畳む。
長手方向Lの折幅は、長尺シート受台10のレール部11の幅以下とする。
この他、防水シートSを長手方向Lに内外相互に折り返したものをロール状に巻いてもよい。
折り畳んだ防水シートSを、幅方向Wを防水シート敷設装置1の幅方向に合わせて、台車A上における長尺シート受台10のレール部11下に設置する。
装置配置工程は、防水シート敷設装置1を配置する工程である。
防水シート敷設装置1を乗せた台車Aを、長尺シート受台10の壁部13側が坑口に向く方向に向け、防水シート敷設装置1が、前防水シート区間における防水シートS’の最終端よりわずかに切羽側に位置するように配置する。
シート配置工程は、防水シートSを配置する工程である。
折り畳んだ状態の防水シートSの一端を挟持部材に固定し、挟持部材に接続したワイヤをレール部11を経由して反対側へ掛け渡し、牽引手段40に接続する。挟持部材には適宜の金具等を使用する。
牽引手段40のウインチでワイヤを巻き取ると、防水シートSが幅方向Wに展開しながら長尺シート受台10のレール部11上を周方向に牽引され、レール部11上に掛け渡される。
掛け渡し後、防水シートSから挟持部材を取り外す。
引出し工程は、防水シートSを引き出す工程である。
レール部11上に展開された防水シートSの長手方向の端辺を引き上げて、萎んだ膨張体20越しに坑口側に引き出す。
接続工程は、防水シートSの端部を前防水シート区間の防水シートS’と接続する工程である。
坑口側へ引き出した防水シートSの一辺を、前防水シート区間の防水シートS’の最終端に接続する。
詳細には、一次覆工面から垂れ下がった前防水シート区間の防水シートS’の最終端を、引き出した防水シートSの前端部と拝み合わせ、両者を溶着機で挟み込んで溶着する。
なお、溶着作業は防水シートSを複数スパン敷設した後にまとめて行ってもよい。
膨張工程は、膨張体20を膨張させる工程である。
送気手段30を稼働して膨張体20の内部に気体を圧送する。
すると、膨張体20が一次覆工面方向に膨張して防水シートSを内側から押し上げることで、防水シートSを一次覆工面に押し付ける。
なお、防水シートSは必ずしも一次覆工面に完全に押し付ける必要はなく、一次覆工面に近接させるだけでもよい。
展開工程は、防水シートSを展開する工程である。
台車Aを防水シート敷設装置1ごとトンネルの切羽側へ移動させる。
これによって、一次覆工面に固定された部分に引っ張られて、レール部11上の防水シートSが順次展開されてゆく。
防水シートSの留め片S1が膨張体20の手前まで引き出されたら移動を止める。
固定工程は、防水シートSを一次覆工面に固定する工程である。
防水シートSの留め片S1を一次覆工面に当て、コンクリート釘で打ち込んで固定する。同様に所定の間隔で留め片S1の複数個所にコンクリート釘を打ち込む。
留め片S1が一次覆工面の間近まで引き出され、しかも膨張体20によって支持されているため、固定作業が非常に楽である。
また、台部14がレール部11の上方に張り出しているので、作業員の手が防水シートSの固定箇所に届き易くなるため、施工が更に容易になる。
固定後、次の留め片S1が膨張体20付近に引き出されるまで台車Aを切羽側へ移動させ、同様にコンクリート釘による固定作業を繰り返す。
1スパン分の防水シートSを敷設し終えたら、防水シート敷設装置1を切羽側に前進させるとともに膨張体20の空気を抜いていったん萎ませる。
引き続き<1>〜<8>の作業を繰り返す。
例えば、長手方向Lに内外相互に折り返した防水シートSを眼鏡巻きにして、これを長尺シート受台10の頂部から両側に垂らして展開してもよい。
10 長尺シート受台
11 レール部
12 支持部
13 壁部
14 台部
15 落下防止リブ
20 膨張体
30 送気手段
40 牽引手段
A 台車
S 防水シート
S1 留め片
Claims (5)
- トンネルの一次覆工面に防水シートを敷設するための防水シート敷設装置であって、
半弧状の長尺シート受台と、
前記長尺シート受台に沿ってその上部に配置したチューブ状の膨張体と、を備え、
前記長尺シート受台は、前記長尺シート受台に沿って延在する平滑なレール部と、前記レール部の幅方向の一側から立ち上がる壁部と、前記壁部の上部において前記膨張体を配置可能な台部と、を有し、
前記膨張体の膨張によって、前記膨張体をトンネルの一次覆工面に近接可能に構成したことを特徴とする、
防水シート敷設装置。 - 前記台部が前記壁部の上部から前記レール部側へ延出し、前記膨張体の少なくとも一部が前記レール部の上方に配置することを特徴とする、請求項1に記載の防水シート敷設装置。
- 前記レール部の幅方向の他側から上方に突起した落下防止リブを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の防水シート敷設装置。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の防水シート敷設装置を用いる防水シートの敷設方法であって、
前記壁部側を坑口側に向けて、前記防水シート敷設装置をトンネル坑内における前防水シート区間の最終端に配置する、装置配置工程と、
長手方向に内外交互に折り畳んだ防水シートを、前記レール部に沿って前記レール部上に帯状に配置する、シート配置工程と、
前記レール部上の防水シートの一辺を、前記膨張体越しに坑口側に引き出す、引出し工程と、
引き出した防水シートの一辺を、前防水シート区間の防水シートの最終端に接続する、接続工程と、
前記膨張体を膨張させることで、前記防水シートを一次覆工面に近接又は接触させる、膨張工程と、
前記防水シート敷設装置を切羽側へ移動させることによって、前記レール部上の防水シートを順次展開する、展開工程と、
防水シートを一次覆工面に固定する、固定工程と、を備えることを特徴とする、
防水シートの敷設方法。 - 前記固定工程において、防水シートの一次覆工面側の面に設けた留め片を一次覆工面に釘留めして固定することを特徴とする、請求項4に記載の防水シートの敷設方法。
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