JP6330099B1 - 防水シート敷設装置及び防水シートの敷設方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、シート防水工において、移動台車の外周面に防水シートを展張し、防水シートと一次覆工面の間に凝固剤を注入して、防水シートをトンネル内壁に固着させる技術が開示されている。
また、特許文献2及び3には、シート防水工において防水シートを移動台車の外周面に展張する具体的な技術が開示されている。
特許文献2には、ロール状に巻いた防水シートを送りローラ付きの受台に載置し、これを移動台車側方の地盤に配置し、防水シートを送りローラで繰り出しながら反対側へウインチで牽引することで移動台車の外周面に沿って展張する、周方向展開型の技術が開示されている。
特許文献3には、長手方向に内外に折り畳んだのち幅方向に内外に折り畳んだ防水シートを移動台車側方の前端部に配置し、これを反対側へウインチで牽引して移動台車の外周に掛け渡し、続いて移動台車の前端部から後方へ展開して展張する、長手方向展開型の技術が開示されている。
トンネルの坑内は湿度が高く、移動台車の外周面は水濡れしやすいため、防水シートを展開する過程で防水シートが濡れた移動台車の外周面に張り付いてしまう。これを強引にウインチで牽引すると、防水シートが破けてしまう。よって、周方向展開型の工法の場合、牽引できる防水シートの面積に事実上の限界があり、一度に長スパンの防水シートを敷設することができない。
長手方向展開型の工法でも、防水シートを移動台車の前端部から後方へ展開する作業において同様の問題が存在し、作業員の手作業によってシートを展開するなどの作業が必要であるため、施工性が非常に悪い。
昨今の山岳トンネル工事では急速施工が求められており、これに応じて掘削や二次覆工などの各工程において施工の迅速化が進んでいるにもかかわらず、シート防水工がボトルネックとなって工事全体の迅速化を妨げている。
本構成によれば、防水シートと枠体の間を気体で縁切りすることによって防水シートの展張を容易にすることができる。
本構成によれば、枠体の外周面から防水シート内に送気することができる。
本構成によれば、風圧によって防水シートの送り出しがスムーズになり、防水シートの展開がさらに容易になる。
本構成によれば、牽引装置によって防水シートを展開することができる。
本構成によれば、枠体の側方から防水シート内に送気することができる。
本構成によれば、防水シートと枠体の間を気体で縁切りすることによって、周方向への展張を容易にすることができる。
本構成によれば、防水シートと枠体の間を気体で縁切りすることによって、長手方向への展張を容易にすることができる。
<1>防水シートの展開時、防水シートと枠体の間に気体を送気して両者を縁切りすることによって、防水シートが枠体の外周面に張り付くのを防ぐことができる。
<2>防水シートと枠体が縁切りされるため、防水シートの展開作業が容易になる。
<3>防水シートと枠体が円切りされるため、従来困難であった長スパンの防水シートを一度に敷設することができる。このため、施工効率が非常によい。
<4>全体工程のボトルネックとなっていたシート防水工の施工効率が高まることで、全体工期が短縮され急速施工が実現される。
<1>全体の構成(図1)。
本発明の防水シート敷設装置1は、一次覆工後のトンネル内壁に防水シートSを敷設する装置である。ここで、防水シートの敷設とは、枠体20の外周面に展張した防水シートSを、充填材を介してトンネルの一次覆工面に固着することを意味する。
防水シート敷設装置1は、トンネル内を長手方向に移動可能な基台10と、基台10の上部を覆う略半筒形の枠体20と、送気手段30と、を少なくとも備える。
本例では、基台10と枠体20に、移動式型枠(スライドセントル)を採用し、これに送気手段30と牽引装置40を付設して防水シート敷設装置1を構成する。
本発明の防水シート敷設装置1にて敷設する防水シートSについて説明する。
本例では、防水シートSとして、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)製シートの一面に長繊維不織布を張り合わせたシート材を採用する。
防水シートSの幅は枠体20の外周長に対応し、長さは枠体20の長さ、つまり枠体20の前端から後端までの長さに対応する。
なお、防水シートSの構成はこれに限られず、所定の遮水性能と強度を備えれば、他の公知の各種シート材を採用してもよい。
基台10は、防水シート敷設装置1の基部である。
基台10は、概ね門形の複数の支持枠11を長手方向に連結してなる枠状体である。
支持枠11の上方には枠体20を昇降自在に支持する複数の支柱12を有する。
支持枠11の側方には枠体20を拡幅自在に支持する複数の支持腕13を有する。
支持枠11の下方にはそれぞれ車輪14を有する。車輪14によって地盤に敷いたレール上をトンネルの長手方向に沿って走行可能である。
基台10のその他の構成は、いわゆるスライドセントルの基台として公知なのでここでは詳述しない。
枠体20は、防水シート敷設装置1の外殻である。
枠体20は、概ね略半筒状の形状を呈し、トンネルの一次覆工面に対応した外周面を有する。
枠体20は、両肩部及び両下端部付近でヒンジ結合した複数の分割枠体からなり、基台10の支持腕13を伸長することによって、枠体20を拡幅することができる。
枠体20のその他の構成は、いわゆるスライドセントルの枠体として公知なのでここでは詳述しない。
送気手段30は、枠体20の外周面上に防水シートSを展開する工程において、枠体20の外周面と防水シートSの間に気体を送気するための機構である。
本例では、送気手段30として、枠体20の外周面に形成した複数の通気孔31と、通気孔31を介して枠体20の内部から外部へ気体を噴出可能な送気装置32の組み合わせを採用する。
通気孔31は、気体を噴出用の孔である。
通気孔31は、枠体20の外周面に一定の間隔で設ける。
通気孔31は、枠体20の内側から外側へ連通し、送気装置32から送られる気体を枠体20の外部へ噴出する。
なお、通気孔31を枠体20に連通させず、通気孔31を枠体20内の管路と接続して管路を介して送気装置32と連結してもよい。
また、円孔でなくスリット状の通気溝を採用してもよい。
送気装置32は、気体を通気孔31に送気する装置である。
本例では、送気装置32として、基台10に搭載したコンプレッサを採用する。
送気装置32は、エアホース(不図示)で各通気孔31と接続し、坑内の空気を圧縮してエアホースと通気孔31を介して枠体20の外に送気する。
なお、送気装置32はコンプレッサに限らず、ブロワや送風機を採用してもよい。また、送気装置32は、基台10ではなく枠体20に搭載してもよい。
牽引装置40は、防水シートSを牽引して、枠体20上に展開する装置である。
本例では、牽引装置40として基台10に搭載した電動ウインチとワイヤの組み合わせを採用する。
なお、牽引装置40は、基台10ではなく枠体20に搭載してもよい。
<1>全体の構成。
本発明の防水シート敷設方法は、防水シートSを展開する展開工程と、枠体20上の防水シートSを一次覆工面に近接させる近接工程と、防水シートSの背面に充填材を注入する充填工程と、を少なくとも備える。
本発明の防水シート敷設方法の特徴は、展開工程において、送気手段30によって枠体20の外周面と防水シートSの間に気体を送気する点にある。
なお、本例では防水シートSを枠体20の周方向に展開する周方向展開型の方法を説明し、長手方向展開型の方法については実施例2として後述する。
防水シート敷設装置1は、一次覆工後のシート防水工の施工区間において、基台10の支柱12及び支持腕13を短縮した状態で地盤に配置されている。
防水シート敷設装置1の側方の地盤上には、長尺のロール状に巻いた防水シートSの中に芯材を通したものを、支持台上に回転自在に配置する。防水シートSの長さは枠体20の長さに対応させる。
ロール状の防水シートSの始端縁を、複数の位置で挟持部材に挟んで固定する。挟持部材に接続したワイヤを枠体20の外周面を経由して反対側へ掛け渡し、牽引装置40に接続する。
なお、挟持部材を介さず、防水シートSに穴をあけて直接ワイヤと連結してもよい。
牽引装置40のウインチでワイヤを巻き取ると、防水シートSが枠体20の外周面状を周方向に牽引されて展開してゆく。
防水シートSの展開と同時に、送気装置32を稼働させて枠体20表面の通気孔31へと空気を圧送する。
牽引された防水シートSが通気孔31上に至ると、通気孔31から噴出した空気が防水シートSの内面に吹き付け、防水シートSと枠体20の外周面の間に空気の層を形成する。
これによって、防水シートSが枠体20に張り付くことが防止されるため、防水シートSの展開が非常に容易になる。
なお、防水シートSの展開は牽引装置40によらず人力で行ってもよい。
防水シートSを枠体20の前面に展開したら、基台10の支柱12を上昇させるとともに支持腕13を伸長することで枠体20を拡径し、枠体20上の防水シートSをトンネルの一次覆工面に近接させる。
枠体20の妻部と側方の両下端部をエアチューブなどで塞いで、枠体20の外周面と一次覆工面の間に充填材が漏れ出でない程度の気密の充填空間を形成する。
充填空間内の防水シートSと一次覆工面の間に充填材を注入する。本例では、充填材としてシールドトンネルで用いられる公知の裏込め材を採用する。
充填剤材は、枠体20妻部のエアチューブと一次覆工面の間に注入管を差し込んで注入する。このほか、枠体20の検査窓から、防水シートSを突き抜いて注入管を充填空間内に差し入れて注入してもよい。
充填材が固化することによって、充填材を介して防水シートSが一次覆工面に固着され、防水シートの敷設作業が完了する。
防水シートを枠体の長手方向に展開する実施例について説明する。
本例では、予め防水シートSを、幅方向Wと長手方向Lの二方向に折りたたんでおく。より詳細には、防水シートSをまず長手方向Lに内外相互に折り返して複数層に折り畳み、続いてこれを幅方向Wに内外相互に折り返して複数層に折り畳む(図3)。
折り畳んだ防水シートSを、幅方向Wと長手方向Lを防水シート敷設装置1の幅方向と長手方向に合わせて、枠体20側方の前端部付近の地盤に設置する。
折り畳んだ状態の防水シートSの上端縁を挟持部材で挟み、挟持部材に接続したワイヤを枠体20の外周面を経由して反対側へ掛け渡し、牽引装置40に接続する。
牽引装置40のウインチでワイヤを巻き取ると、防水シートSが幅方向Wに展開しながら枠体20の外周面状を周方向に牽引され、外周面上に掛け渡される(図4)。掛け渡し後、防水シートSから挟持部材を取り外す。
枠体20に掛け渡した防水シートSの一端縁を枠体20の妻部に固定し、防水シートSを枠体20の前端部から後方へと展開してゆく(図5)。防水シートSの展開には、ウインチとワイヤなどを用いる。
あるいは、枠体20に掛け渡した防水シートSの一端縁を既設の防水シートSと溶着させ、防水シート敷設装置1をトンネル長手方向に移動させることで、枠体20上の防水シートSを自動的に展開してもよい。
その後の工程は実施例1と同様なので記載を省略する。
本例では、枠体20に設けた複数の通気孔31の内、少なくとも一部の噴出方向を一方向に傾斜させる(図6)。
通気孔31の傾斜方向は、展開工程における防水シートSの展開方向、すなわち枠体20の長手方向又は周方向における一方向である。
防水シートSの展開時、通気孔31から防水シートSの展開方向へ向けて気体を噴出することで、風圧によって防水シートSの送り出しがスムーズになり、作業効率がさらに高くなる。
本例では、送気手段30として枠体20に設けた圧送装置33を採用する。圧送装置33として長尺状のブロアを採用する。
圧送装置33は、枠体20の一方の下端部に沿って上向きに付設する。
展開工程において防水シートSを周方向に展開する際、圧送装置33を稼働して防水シートS内に気体を圧送することで、防水シートSの展開が容易になる。
圧送装置33の数や長さは限定しないが、少なくとも枠体20の長手方向の中央付近に設けると、防水シートSの下から気体が逃げにくいので作業効率がよい。
送気手段30は、基台10又は枠体20に搭載する形態に限られず、基台10や枠体20から独立した送風機などを枠体20の下部などに配置し、これを用いて枠体20の外周面と防水シートSの間に送気してもよい。
10 基台
11 支持枠
12 支柱
13 支持腕
14 車輪
20 枠体
30 送気手段
31 通気孔
32 送気装置
33 圧送装置
40 牽引装置
S 防水シート
Claims (5)
- 一次覆工後のトンネル内壁に防水シートを敷設する、防水シート敷設装置であって、
トンネルの一次覆工面に対応した略半筒状の外周面を有する枠体と、
前記枠体の内部に配置し、前記枠体をトンネルの一次覆工面に近接可能な基台と、
前記枠体の外周面に形成した複数の通気孔と、前記複数の通気孔を介して外気と連通し防水シートの内面に気体を直接吹き付け可能な送気装置を有する送気手段と、を備え、
前記枠体の外周面上に防水シートを展開する工程において、前記送気装置で前記枠体の外周面と防水シートの間に気体を送気することによって両者間に該気体による空気層を形成し、防水シートの前記枠体の外周面への張り付きを防止可能に構成したことを特徴とする、
防水シート敷設装置。 - 前記複数の通気孔の内少なくとも一部の噴出方向が、前記枠体の長手方向における一方向又は前記枠体の周方向における一方向に傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載の防水シート敷設装置。
- 前記枠体の下部又は前記基台の下部に、前記防水シートを牽引して前記枠体の外周面状に展開するための牽引装置を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の防水シート敷設装置。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の防水シート敷設装置を用いた、防水シートの敷設方法であって、
防水シートを前記枠体の周方向に沿って前記枠体の外周面上に展開する、展開工程と、
前記防水シートをトンネルの一次覆工面に近接させる、近接工程と、
前記防水シートとトンネルの一次覆工面の間に充填材を注入する、充填工程と、を備え、
前記展開工程において、前記送気手段によって、前記枠体の外周面と前記防水シートの間に気体を送気することを特徴とする、
防水シートの敷設方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の防水シート敷設装置を用いた、防水シートの敷設方法であって、
奥行方向に内外交互に折り返して複数層に折りたたんだ防水シートを、前記枠体の前端部において周方向に沿って前記枠体の外周面上に掛け渡す、設置工程と、
前記防水シートを前記枠体の前端部から後方へ展開する、展開工程と、
前記防水シートをトンネルの一次覆工面に近接させる、近接工程と、
前記防水シートとトンネルの一次覆工面の間に充填材を注入する、充填工程と、を備え、
前記展開工程において、前記送気手段によって、前記枠体の外周面と前記防水シートの間に気体を送気することを特徴とする、
防水シートの敷設方法。
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