JPH05141197A - トンネル用土木シートおよびその展設方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トンネル用土木シートのトンネル内面への張
設工事を容易にする。 【構成】 防水シート５の背面に緩衝材層６を一体に設
け、防水等のためにトンネル面に張設されるトンネル用
土木シート３において、該シート３をトンネル面に固定
する取付部材７を緩衝材層の背面に、その一方の側縁部
から他方の側縁部へかけて巾方向に断続的もしくは連続
的に、かつ緩衝材層の長さ全体にわたって所定間隔で配
設する。この土木シート３をその巾方向を軸線方向とし
て巻き込んだロールから、該シート３を逐次巻き出し、
取付部材７をトンネル面に固定しながら、シート３をト
ンネルの一方の側面から該トンネルの周面に沿わせて他
方の側面まで展張固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、防水等のためにトンネ
ルの地山側のコンクリート壁面に取付けられるトンネル
用土木シートおよびその展設方法に関する。

【０００２】

【従来技術】通常、トンネル施工に当っては、先ずトン
ネル掘進機等による掘削を行い、これによって形成され
た掘削孔１（図６参照）の壁面に第１のコンクリート層
２を吹付け等により形成する（第１覆工）。そしてこの
第１コンクリート層２の表面に土木シート３を展設し、
さらにその上に第２コンクリート層４を打設する（第２
覆工）。

【０００３】図７は従来のトンネル用土木シートの一例
を示す。このトンネル用土木シート01は止水性の高い防
水シート02の背面に透水係数の大きな緩衝材03を貼着し
て形成されており、前記第１コンクリート層２からの漏
水は防水シート02に沿って緩衝材03内を流れ、トンネル
の側溝に導かれて排水される。緩衝材03はまた第１コン
クリート層２と第２コンクリート層４との間の緩衝材と
してクラックの発生を防止する。なお、図７は土木シー
ト01の巾方向の横断面図であり、該シート01はこの巾方
向をトンネルの前後方向に向けて周方向に展設される。
緩衝材03の巾方向中央部の背面にはフィン状の取付部材
04が固設されている。

【０００４】この土木シート01は図８の(a) ないし(d)
に示す手順で前記第１コンクリート層２の表面に展設さ
れていた。すなわち、先ずシート01をその両端からそれ
ぞれ中央部へ向ってロール状に巻き込んでおき、これを
第１コンクリート層２の天井部中央に当てがって、緩衝
材03のトンネル掘進方向後方の側縁部をコンクリートピ
ン05で第１コンクリート層２に固定する（図８(a) ）。
該側縁部においては防水シート02は緩衝材03に貼着され
ていないので、防水シート02を緩衝材03から引き離して
両者の間からピン05を緩衝材03に打込むことにより、打
込み後ピン05の頭は防水シート02によって覆われる。

【０００５】次いで両側の巻き込み部を巻き戻しなが
ら、緩衝材03の該側縁部を、コンクリートピン05によ
り、トンネル中央の天井部から両側へ向って周方向に固
定して行く。

【０００６】このようにして後方側縁部の固定が周方向
全部にわたって完了した時、土木シート01は図８(a) に
鎖線01′で示すように前方部分が垂下した状態となるの
で、次にこの垂下部分の後半部を第１コンクリート層２
の面に沿うように支持し、巾方向中央部に列設されてい
る取付部材04を同様にコンクリートピン06でトンネル周
方向にわたって第１コンクリート層２に固定する（図８
(b) ）。さらに同じ要領で緩衝材03の前方の側縁部をコ
ンクリートピン07で第１コンクリート層２に周方向にわ
たって固定することにより、土木シート01全体が第１コ
ンクリート層２の周面に張設される（図８(c) ）。な
お、隣接する土木シート01の防水シート02どうしは、図
８(d) に示すように、互いに溶着08等により接合され
て、連続した止水層が形成される。

【０００７】

【解決しようとする課題】このように、従来のトンネル
用土木シートは、トンネル中央の天井から両側に向って
固定作業が進められ、かつこのような固定作業が後方側
縁部、中央部および前方側縁部についてそれぞれ行わ
れ、この間土木シートをトンネル面に沿わせるよう作業
者が支持していなければならないので、作業が苛酷にな
り、かつ多くの人手を要した。

【０００８】

【課題を解決するための手段および作用】本発明はこの
ような事情に鑑みてなされたものであり、本発明におい
ては、トンネル面を防水するトンネル用土木シートにお
いて、該トンネル用土木シートをトンネル面に固定する
取付部材を、背面に、その一方の側側部から他方の側縁
部へかけて巾方向に断続的もしくは連続的に、かつ該ト
ンネル用土木シートの長さ全体にわたって所定間隔で配
設する。

【０００９】しかしてこのトンネル用土木シートは、こ
れをその巾方向を軸線方向として巻き込んだロールから
逐次巻き出し、前記取付け部材をトンネル面に固定しな
がら、該土木シートをトンネルの一方の側面から該トン
ネルの周面に沿わせて他方の側面まで展張固定すること
により展設される。

【００１０】従って本発明によれば、前記ロールから巻
き出された土木シートが、逐次その巾方向全体にわたっ
てトンネル面に完全に固定されて支持されながら、トン
ネルの一方の側面の下部から天井部を経て他方の側部の
下部まで展張されて行くので、作業者によるシート支持
作業が軽減されるとともに、工数も大巾に削減される。

【００１１】

【実 施 例】図１は本発明の一実施例に係るトンネル
用土木シート３の巾方向横断面図、図２は同シート３の
一部を示す平面図、図３は図２のIII-III 線に沿う断面
図である。

【００１２】５は例えばエチレン酢酸ビニル共重合体
（ＥＶＡ）から成る止水性の高い防水シートで、その背
面に緩衝材層６が一体に貼着されている。緩衝材層６は
300g／m²または500g/m² 程度のポリプロピレンまたはポ
リエステルの長繊維不織布で作られている。防水シート
５の巾は緩衝材層６の巾よりも広く、かつ両側縁部にお
いては防水シート５と緩衝材層６は互いに分離してい
る。防水シート５の緩衝材層６から分離して外側へ延出
した部分５ａは、前述したように、隣接する土木シート
の防水シートの同様な延出部分に融着される。

【００１３】この土木シート３は図６に示すように、掘
削孔１の壁面に吹付けられて形成された第１コンクリー
ト層２の面に、緩衝材層６を第１コンクリート層２側に
して張設される。土木シート３を第１コンクリート層２
に固定するために、緩衝材層６の背面すなわち防水シー
ト５と反対側の面上に多数の取付部材７が設けられてい
る。

【００１４】各取付部材７は、例えばポリプロピレンま
たはポリエステル等から成る厚さ３〜５mm程度、一辺の
長さが250mm 程度の方形の板状体で、一つの側辺部に沿
い約50mmの巾で緩衝材層６の表面に融着されている。本
実施例においてはこのような取付部材７が、緩衝材層６
の巾方向（矢印ｗ方向）に３個すなわち両側部と中央部
とに一列をなして設けられ、このような取付部材７の列
が緩衝材層６の長手方向（矢印Ｌ方向）に例えば300 〜
500mm 程度の所定の間隔Ｐで緩衝材層６の長さ全体にわ
たって設けられている。

【００１５】図４はトンネル施工時に上記土木シート３
を第１コンクリート層２の壁面に展設する方法を説明す
るための略図である。土木シート３は予め巾方向を軸線
方向として巻き込まれてロール８をなしており、このロ
ール８が展張装置９上にセットされている。展設に際し
てはロール８から土木シート３を繰り出し、先ずその先
端を第１コンクリート層２の一方の側面２ａの下端部に
沿わせ、次いで後続部分を逐次側面２ａ上に下から上へ
沿わして行く。この時、ローラ10が側面２ａに沿って下
から上へ移動し、ロール８から繰り出された土木シート
３を該ローラ10と側面２ａとの間に挟み込んで行く。

【００１６】土木シート３は緩衝材層６を第１コンクリ
ート層２側にして側面２ａに沿わされて行くので、緩衝
材層６の背面に巾方向に配列された取付部材７が次次に
側面２ａに接触する。そして取付部材７が土木シート３
とともに側面２ａとローラ10との間に挟み込まれる直前
に、この取付部材７をコンクリートピン11で側面２ａに
固定する。この際取付部材７を図３に破線で示すように
緩衝材層６の面から若干引き起こしてやれば、引き起さ
れた取付部材７と緩衝材層６との間からコンクリートピ
ン11を取付部材７を通して側面２ａに容易に打込むこと
ができる。コンクリートピン11の打込みは人手によって
行ってもよいが、機械によって行うこともできる。引き
起された取付部材７は次いでローラ10により押されても
とに戻るので緩衝材層６は側面２ａに密接する。

【００１７】このようにして、土木シート３の展張範囲
は第１コンクリート層２の側面２ａから天井面２ｂに及
び、さらに図４には図示されていない他方の側面に及ん
で該側面に沿って下降してその下端部に達する。この間
ローラ10は第１コンクリート層２の壁面に沿って周方向
に移動するが、展張装置９自体もその内側を該壁面に沿
って移動できるように構成するのが望ましく、この場合
にはローラ10を展張装置９に支持すればよい。

【００１８】上記方法によれば、土木シート３はロール
８から繰り出され、逐次コンクリートピン11により巾方
向全体にわたって固定されつつ、第１コンクリート層２
の内周面に展設されて行くので、作業者によるシート支
持作業が著しく軽減され、従って工数も大巾に削減され
る。

【００１９】上記実施例においては、巾方向に３個の取
付部材７が一直線に配列されていたが、土木シート３す
なわち緩衝材層６の巾が狭い場合には図５(a) に示すよ
うに巾方向中央部だけに取付部材７を設けてもよい。ま
た、図５(b) に示すように緩衝材層６の一側縁から他側
縁まで連続して延びる取付部材７を設けてもよく、さら
に、図５(c) に示すように取付部材７を千鳥状に配設す
ることも可能である。

【００２０】取付部材７は必ずしも方形のものとする必
要はなく、例えば緩衝材層６に対する融着部を底辺とす
る三角形状のものとして軽量化を図ることもできる。

【００２１】以上本発明を防水シートの背面に緩衝材層
を一体に設けた実施例について説明したが、緩衝材層を
有せず防水シートのみから成るトンネル用土木シートに
本発明を適用することも可能であり、その他本発明の範
囲内において多くの変形が可能なことは言うまでもな
い。

【００２２】

【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、トンネル
用土木シートをトンネル内面に張設するに際し、作業者
による該シートの支持作業が著しく軽減し、工数も大巾
に削減される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るトンネル用土木シート
の横断面図である。

【図２】同土木シートの部分的平面図である。

【図３】図２のIII-III 線に沿う断面図である。

【図４】展設方法を説明するための略図である。

【図５】土木シートの変形例を示す部分的平面図であ
る。

【図６】土木シートを適用したトンネルの概略横断面図
である。

【図７】従来のトンネル用土木シートの一例を示す横断
面図である。

【図８】従来のトンネル用土木シートの展設手順を示す
略図である。

【符号の説明】

１…掘削孔、２…第１コンクリート層、３…土木シー
ト、４…第２コンクリート層、５…防水シート、６…緩
衝材層、７…取付部材、８…ロール、９…展張装置、10
…ローラ、11…コンクリートピン。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トンネル面を防水するトンネル用土木シ
   ートにおいて、該トンネル用土木シートをトンネル面に
   固定する取付部材を、背面に、その一方の側縁部から他
   方の側縁部へかけて巾方向に断続的もしくは連続的に、
   かつ該トンネル用土木シートの長さ全体にわたって所定
   間隔で配設したことを特徴とするトンネル用土木シー
   ト。
2. 【請求項２】 防水シートの背面に緩衝材層を一体に設
   けたトンネル用土木シートにおいて、該トンネル用土木
   シートをトンネル面に固定する取付部材を、前記緩衝材
   層の背面に、その一方の側縁部から他方の側縁部へかけ
   て巾方向に断続的もしくは連続的に、かつ該緩衝材層の
   長さ全体にわたって所定間隔で配設したことを特徴とす
   るトンネル用土木シート。
3. 【請求項３】 請求項１または請求項２のトンネル用土
   木シートをその巾方向を軸線方向として巻き込んだロー
   ルから、該土木シートを逐次巻き出し、前記取付部材を
   トンネル面に固定しながら、該土木シートをトンネルの
   一方の側面から該トンネルの周面に沿わせて他方の側面
   まで展張固定することを特徴とするトンネル用土木シー
   トの展設方法。