JP5407963B2 - 防水シートの張設方法及び防水シートの張設用台車 - Google Patents
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Description
一般に、この防水シートは、透水性層と不透水性層からなり、透水性層を一次覆工コンクリート側に、不透水性層側を二次覆工コンクリート側になるよう介装することにより、地山からの湧水を透水性層によってトンネル外に導出すると共に、不透水性層によって二次覆工コンクリート側への漏水を防止している。
従って、当該施工にあたっては、防水シートによる二次覆工コンクリートに対する一次覆工コンクリートの液密な張設が必要であり、例えば、特開2000−291392号公報(特許文献1)及び特開2001−280096号公報(特許文献2)には、枚葉の防水シートを張設し、次いでその端部に新たな防水シート端部を接合していく張設方法が提案されている。
しかし、特許文献1の張設方法は、2〜4m程度の幅を有する防水シートを数ロール分、防水シートの張設用台車の載置台に載せて、1)1ロール目の防水シートをトンネル内壁に張設し、2)次いでその端部に新たな1ロールの防水シートを接合することを繰り返して数ロール分の防水シートの張設を進行させ、3)然る後その進行に合わせて防水シートの張設用台車を移動させる方法であるため、この一連の1)〜3)の工程のうち、どうしても最初の防水シート張設が律速工程となり、かつこの工程が済まない限り、次の防水シートの接合工程、及び防水シートの張設用台車の移動工程に進めないという作業性上の問題があった。つまり、このような場合、作業のスピードを上げるため、接合工程及び移動工程に人員配置をしていても全く役に立たないことが多く、防水シートの張設作業全体の作業性が極めて悪かった。
更に、特許文献2の張設方法は、上記課題に加えて4〜10m程度の広い幅を有する防水シートを使用しているため、1ロール毎の張設工程で施工距離を稼ぐことができるものの、その分防水シートの張設用台車が大型化してしまうという問題も包含していた。
請求項1:
トンネル内壁に複数の防水シートを連続的に張設していく防水シートの張設方法であって、防水シートの張設用台車の載置台に防水シートを逐次載置しこれを一旦蛇腹に形成せしめると共に、隣接する蛇腹に形成された防水シート同士をその幅方向の端部同士で接合し、然る後に前記蛇腹を展開しながらトンネル内壁に複数の防水シートを連続的に張設していくことを特徴とする防水シートの張設方法。
請求項2:
前記トンネル内壁に予め面ファスナーが固定され、前記防水シートが不透水性層をなす不透水性シートの一面に透水性層をなす織布及び/又は不織布からなる透水性シートを積層したものであって、前記面ファスナーに前記防水シートの透水性シートを対向させて押圧することにより、前記面ファスナーに前記防水シートの透水性シートを係止させてトンネル内壁に防水シートを張設していくことを特徴とする請求項1記載の防水シートの張設方法。
請求項3:
前記面ファスナーが帯状であって、トンネル内壁の周長方向に連続的又は断続的に固定されている請求項2記載の防水シートの張設方法。
請求項4:
トンネル内壁に複数の防水シートを連続的に張設していく防水シートの張設用台車であって、前記防水シートの張設用台車の載置台がトンネル内壁に相応するアーチ形状をなし、防水シート張設方向に対して作業用空間部を介して前方部と後方部の2つに分割されていて、前記載置台の前方部に防水シートを載置しこれを一旦蛇腹に形成せしめると共に、前記作業用空間部で隣接する蛇腹に形成された防水シート同士をその幅方向の端部同士で接合し、然る後に前記載置台の後方部で前記蛇腹を展開しながらトンネル内壁に複数の防水シートを連続的に張設できるようにしたことを特徴とする防水シートの張設用台車。
その構成を図1〜10を参照してより詳細に説明する。
例えば、不透水性シート3としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等によって形成され、厚さは0.4〜2.5mm程度、幅は1600〜4500mm程度のものが好適である。また、透水性シート2としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等の合成樹脂製織布及び/又は不織布等によって形成され、目付量は50〜500g/m2、好ましくは200〜450g/m2、厚さは3〜5mm程度、幅は1600〜4500mm程度のものが好適である。そして、防水シート1の製造方法としては、例えば、上記不透水性シート3の一面に上記透水性シート2を接着剤等で全面的に接着若しくは接合、又は部分的に接着若しくは接合して得ることができる。
先ず、載置台前方部9bに一の防水シート1を透水性シート2側を上に向けて載置しこれを一旦蛇腹に形成する。防水シート1を蛇腹に形成する機構は特に限定されないが、例えば、図5に示すように、載置台前方部9bの幅方向の一端に設けられた着脱自在なストッパー11に一の防水シート1aの幅方向の一端を引っ掛け、かつ載置台前方部9bの幅方向に沿ってその表面に設けられたスリット12に摺動自在に埋設されたカギ棒13のカギ状先端部を防水シート1aの幅方向の他端に引っ掛けて図中、左から右に手繰ることによって形成することができる。尚、防水シート1に蛇腹14を形成した後は、図7に示すように、上記カギ棒13のカギ状先端部を載置台前方部9bの一端部の内側に向けて引っ掛けることによって、蛇腹14が形成された防水シート1を載置台後方部9aへスムーズに移動させることができる。また、上記ストッパー11は、載置台前方部9bに防水シート1を載置する際、該ストッパー11が邪魔になるときは必要に応じて取り外しても良い。
即ち、本発明は、特に請求項1又は4のように、トンネル内壁に複数の防水シートを連続的に張設するに際し、防水シートを蛇腹形成することにより、防水シートの張設作業全体の作業性を向上させること等を可能にするものであるから、これに組み合せる構成は、必ずしも請求項2又は3のようなトンネル内壁に予め固定された面ファスナーに不透水性シートと透水性シートとを積層一体化した防水シートを係止させる構成のみに限定されない。
例えば、請求項1又は4に組み合せる構成としては、図11(特開平10−184287号公報参照)のように、予め不織布からなる透水性シート24をトンネル内壁23に丸座盤状の合成樹脂製取付部材25を介して釘26を打ち付けることによって取り付け、然る後に該取付部材25に不透水性シート27を重ねて該取付部材25と不透水性シート27を赤外線等によって熱溶着させる構成としても良いし、或いは図12(特開平9−268897号公報参照)のように、予め不織布からなる透水性シート29をトンネル内壁28(一次覆工コンクリート)にベースプレート30とその上に設けられた貼着層31からなる取付部材32を介して釘33を打ち付けることによって取り付け、然る後に該取付部材32の貼着層31に不透水性シート34を重ねて該取付部材32と不透水性シート34を貼着させる構成としても構わない。また、特に図示しないが、予め不織布からなる透水性シートをトンネル内壁に適当な座盤を介して釘を打ち付けることによって取り付け、然る後に該透水性シートに不透水性シート上に接合一体化した面ファスナーを係止させて該透水性シートと不透水性シートとを接合させる構成としても構わない。要するに、トンネル内壁への防水シートの張設は、防水シートをトンネル内壁に固定可能で、自重および二次覆工コンクリート打設の引張りによる脱落が無い構成であれば特に限定されない。
但し、このような接合構成について言及すれば、上記熱溶着の場合は、取付部材と不透水性シートとの熱溶着を一般的には透けて見えない不透水性シート側から取付部材を探り当ててピンポイントでこれらを接合する必要があり、上記貼着の場合は、このようなピンポイントの接合に加えて一度貼り付けてしまうと貼り直しが難しいという課題を有する。一方、面ファスナーの場合は、帯状のものを採用することによって、一旦位置決めを行なえば、たとえ透けて見えない不透水性シートを用いても該不透水性シート側から面ファスナーの帯にそって手繰っていけば容易に接合でき、しかも面での接合となり、また剥がすことによって貼り直すこともできることから、作業性や接合強度の点で非常に有効であり、特に防水シートの蛇腹形成と組み合せることにより、防水シートの張設作業全体の作業性等を飛躍的に向上させることができる。尚、透けて見える不透水性シートを採用すれば更なる作業性向上が望めることはいうまでもない。
2 透水性シート
3 不透水性シート
4 トンネル内壁(一次覆工コンクリート)
5 二次覆工コンクリート
6 コンクリート釘
7 面ファスナー
8 防水シートの張設用台車
9 載置部
10 作業空間部
11 ストッパー
12 スリット
13 カギ棒
14 蛇腹
15 接合部
16 車輪
17 台車部
18 作業床
19 階段
20 作業足場部
21 シート載置部
22 昇降シリンダー
Claims (4)
- トンネル内壁に複数の防水シートを連続的に張設していく防水シートの張設方法であって、防水シートの張設用台車の載置台に防水シートを逐次載置しこれを一旦蛇腹に形成せしめると共に、隣接する蛇腹に形成された防水シート同士をその幅方向の端部同士で接合し、然る後に前記蛇腹を展開しながらトンネル内壁に複数の防水シートを連続的に張設していくことを特徴とする防水シートの張設方法。
- 前記トンネル内壁に予め面ファスナーが固定され、前記防水シートが不透水性層をなす不透水性シートの一面に透水性層をなす織布及び/又は不織布からなる透水性シートを積層したものであって、前記面ファスナーに前記防水シートの透水性シートを対向させて押圧することにより、前記面ファスナーに前記防水シートの透水性シートを係止させてトンネル内壁に防水シートを張設していくことを特徴とする請求項1記載の防水シートの張設方法。
- 前記面ファスナーが帯状であって、トンネル内壁の周長方向に連続的又は断続的に固定されている請求項2記載の防水シートの張設方法。
- トンネル内壁に複数の防水シートを連続的に張設していく防水シートの張設用台車であって、前記防水シートの張設用台車の載置台がトンネル内壁に相応するアーチ形状をなし、防水シート張設方向に対して作業用空間部を介して前方部と後方部の2つに分割されていて、前記載置台の前方部に防水シートを載置しこれを一旦蛇腹に形成せしめると共に、前記作業用空間部で隣接する蛇腹に形成された防水シート同士をその幅方向の端部同士で接合し、然る後に前記載置台の後方部で前記蛇腹を展開しながらトンネル内壁に複数の防水シートを連続的に張設できるようにしたことを特徴とする防水シートの張設用台車。
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