JP7337897B2 - 美容方法 - Google Patents
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Description
物理的・化学的刺激としては、花粉や、ばい煙、粉塵などの大気有害物質などが付着することによって引き起こされる刺激が挙げられる。また、最近は、感染症予防のためにマスクを長時間着用することによる皮膚の擦れを原因とする皮膚トラブルが発生している。
従って、本発明は、皮膚外部からの刺激及び/又は内部からの刺激から皮膚を適切に保護する美容方法を提供するものである。
物理的・化学的刺激としては、花粉や、大気有害物質などの微細な物質による皮膚刺激、またマスク着用による皮膚刺激などが挙げられる。
花粉としては、スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバなどの樹木の花粉、カモガヤ、ハルガヤ、ブタクサなどの草の花粉などが挙げられる。
大気有害物質としては、硫黄酸化物、ばいじん、窒素酸化物などのばい煙、粉じん、自動車排出ガス、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの有害大気汚染物質、揮発性有機化合物(VOC)等を含む粒子、黄砂などの大気中に浮遊する有害物質(PM2.5を含む)などが挙げられる。
より具体的には、花粉自動測定器により計測された、1時間平均の花粉数(個/m3)が、20以上、より好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上、よりさらに好ましくは300以上、よりさらに好ましくは500以上、よりさらに好ましくは1000以上の時に使用するのが好ましい。
また、空気質指数(Air Quality Index)が、51以上、より好ましくは101以上、さらに好ましくは151以上、よりさらに好ましくは201以上、よりさらに好ましくは301以上の時に使用するのが好ましい。
また、高温多湿な環境下において使用するのが好ましい。さらに、気温が、25℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは35℃以上であり、且つ湿度が40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上の時に使用するのが好ましい。
ここで、マスクとしては、口及び鼻部分を覆う衛生用マスクであり、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、ウレタン等の素材で形成されたマスクが挙げられる。
具体的には、皮膚外部からの刺激のうち、物理的・化学的刺激、例えば、花粉、大気有害物質などの微細な物質による皮膚刺激に対しては、本発明により、平均繊維径0.01~7μmの繊維を含む堆積物からなる被膜を皮膚上に適用し、1~12時間保持すれば、外部からの刺激物質の被膜への付着が皮膚への付着に比べて抑制されるとともに、外部からの刺激物質を当該被膜が吸着して皮膚への到達を防ぎ、当該被膜は皮膚から容易に除去できる。
また、皮膚外部からの刺激のうち、マスク着用による皮膚刺激に対しては、平均繊維径0.01~7μmの繊維を含む堆積物からなる被膜を皮膚上に適用し、1~12時間保持すれば、皮膚の擦れによる皮膚トラブルを防止できる。
皮脂などの皮膚内部からの刺激に対しては、平均繊維径0.01~7μmの繊維を含む堆積物からなる被膜を皮膚上に適用し、1~12時間保持すれば、不飽和脂肪酸などの皮膚のトラブルの原因となる物質を選択的に吸着除去できる。
より具体的には、Tゾーン(額と鼻のまわりの部分)などの皮脂の分泌量が多い場所に使用するのが好ましい。また、肌タイプが脂性肌の人に使用するのが好ましい。
また直接物理的・化学的刺激を引き起こすものではないが、本発明方法により、細菌、真菌、ウイルス(インフルエンザウイルス、SARSコロナウイルス、MERSコロナウイルス、SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルス))などの皮膚への付着も抑制できると考えられる。
本明細書において、皮膚保護効果というときは、上記の効果を意味する。
被膜に含まれる繊維は、平均繊維径0.01μm以上7μm以下であるのが好ましく、さらに平均繊維径0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましく、また、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。工程Iで形成される被膜をこのような細い繊維の堆積物とすることにより、前記皮膚保護効果が得られる。
ここで、平均繊維径は、繊維の平均太さであり、円相当直径である。この繊維の太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、繊維を10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(繊維の塊、繊維の交差部分、液滴)を除き、繊維を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き、繊維径を直接読み取ることで測定することができる。
(I-1)次の成分(a)及び(b)を含有する組成物Xを皮膚上に静電スプレーする手段。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)繊維の堆積物を含有する被膜の形成能を有するポリマー
(I-2)エレクトロスピニング又はメルトブローにより得られた平均繊維径0.01~7μmの繊維の堆積物からなる被膜を貼付する手段。
(I-3)次の成分(c)及び(d)を含有する組成物Zを塗布する手段。
(c)油剤及び20℃で液状のポリオールから選ばれる1種又は2種以上
(d)平均繊維径0.01~7μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)10~1000の繊維
手段(I-1)における被膜の形成方法は、静電スプレー法を採用している。静電スプレー法は、組成物に正又は負の高電圧を印加して該組成物を帯電させ、帯電した該組成物を対象物に向けて噴霧する方法である。噴霧された組成物はクーロン反発力によって微細化を繰り返しながら空間に広がり、その過程で、又は対象物に付着した後に、揮発性物質である溶媒が乾燥することで、対象物の表面に繊維の堆積物を含有する被膜を形成する。
この手段(1)は、例えばWO2018/194143、WO2018/194140、WO2019/103974などに記載の方法、装置を用いて行うことができる。
また、エタノールは成分(a)の揮発性物質の全量に対して、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが一層好ましい。また100質量%以下であることが好ましい。エタノールは成分(a)の揮発性物質の全量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、65質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、80質量%以上100質量%以下であることが一層好ましい。
また、組成物X中のエタノールと成分(b)の含有量の比率(エタノール/(b))は、静電スプレー法を行うときにエタノールを十分に揮発させることができる観点から、0.5以上40以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、1.3以上25以下がさらに好ましい。
さらに、水は、繊維形成性と導電性の観点から、(a)の揮発性物質の全量に対して50質量%未満であることが好ましく、45質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが一層好ましく、5質量%以下であることがより一層好ましく、0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましい。
手段(I-2)は、エレクトロスピニング又はメルトブローにより得られた平均繊維径0.01~7μmの繊維の堆積物からなる被膜を貼付する工程である。
この手段(I-2)に用いられる平均繊維径0.01~7μmの繊維の堆積物からなる被膜としては、前記成分(a)及び(b)を含有する組成物Xを用いて、基板上にエレクトロスピニング又はメルトブローすることにより得られるものが好ましい。エレクトロスピニング手段も、前記静電スプレー手段と同様に行うことができる。ただし、エレクトロスピニング時の電圧等は、皮膚上にエレクトロスピニングするものでないため、高電圧であってもよい。基板としては、金属、樹脂などが用いられる。また、メルトブロー手段は、樹脂を融点以上の温度で溶融し、溶融樹脂の吐出口周囲に熱風も吐出させながら吐出させて、前述の平均繊維径の繊維の堆積物からなる皮膜を形成することができる。
同様に、被膜の耐擦過性、伸張性の観点から、エステル油及びシリコーン油の30℃における粘度は、好ましくは1mPa・s以上であり、より好ましくは3mPa・s以上である。
ここでの粘度は、30℃においてBM型粘度計(トキメック社製、測定条件:ローターNo.1、60rpm、1分間)により測定される。なお、同様の観点から、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル、ジカプリルエーテル、ジラウリルエーテル、ジイソステアリルエーテル等のエーテル油の液剤中の合計の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。
これらの中では、被膜を皮膚に密着させる観点及び皮膚に塗布した際の感覚に優れる点から、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソセチル、セテアリルイソノナノエート、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリンから選ばれる1種が好ましく、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリンから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリンから選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
手段(I-3)は、次の成分(c)及び(d)を含有する組成物Zを塗布する手段である。
(c)油剤及び20℃で液状のポリオールから選ばれる1種又は2種以上
(d)平均繊維径0.01~7μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)10~1000の繊維
すなわち、この組成物Zに含まれる油剤としては、液状油(20℃において液体の油)から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
この液状油は、20℃において液体の油であり、流動性のある半固形のものも含む。液状油としては、炭化水素油、エステル油、高級アルコール、シリコ-ン油、脂肪酸等が挙げられる。これらのうち、塗布時の滑らかさ、被膜の耐擦過性及び伸張性の点から、炭化水素油、エステル油、シリコーン油が好ましい。また、これらの液状油から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。炭化水素油、エステル油、高級アルコール、シリコーン油、脂肪酸などの具体例も、前記組成物Yの例として挙げたものを例示することができる。
組成物Zに用いられる揮発性成分としては、水、アルコール、揮発性シリコーン、揮発性炭化水素などから選ばれる1種以上が好ましい
揮発性シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーンが挙げられる。
当該成分(d)は、形成された被膜中で繊維の堆積物を形成し、被膜に均一性及び密着性を付与する。なお、被膜中で繊維が堆積物を形成しているか否かは走査型電子顕微鏡等により確認できる。また、堆積物とは、被膜中に分散した繊維同士が互いに交点を持つことによって、間隙を持つようにした状態であり、該間隙に組成物に含有される成分を保持し得る状態である。
この値は、繊維の堆積物の均一性の観点から、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.05以上であり、また、被膜中で十分に繊維の堆積物を形成する観点から、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下であり、よりさらに好ましくは3以下である。この値、即ち(平均繊維径2)/平均繊維含有量(μm2/質量%)は、組成物Zに含まれる繊維の累積長さの指標であり、この数値が大きくなるほど累積長さが短くなることを意味する。
被膜の保持時間は、皮膚外部からの刺激及び皮膚内部からの刺激の種類によって相違するが、1時間以上が前記皮膚保護効果を得る観点から好ましく、2時間以上がより好ましく、3時間以上がさらに好ましく、4時間以上がよりさらに好ましい。また、刺激成分の十分な被膜への吸着作用、被膜の持続性の点から、保持時間は、12時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましく、8時間以下がさらに好ましい。具体的には、1時間以上12時間以下が好ましく、2時間以上10時間以下がより好ましく、3時間以上8時間以下がさらに好ましく、4時間以上8時間以下がよりさらに好ましい。
上記の時間被膜を皮膚上に保持することにより、皮膚外部からの刺激、例えば花粉や、大気有害物質の付着が抑制されると共に、被膜に花粉や、大気有害物質が吸着される。また、マスク着用による皮膚への擦れによる皮膚トラブルが防止される。また、皮膚内部からの皮脂や汗は、被膜に吸着され、特に皮脂中の不飽和脂肪酸が選択的に被膜に吸着される。
<3>さらに、工程I及び/又は工程IIの前又は後に、水、ポリオール及び20℃で液体の油剤から選ばれる1種又は2種以上を含有する液剤を前記皮膚に適用する工程(工程III)を有する<1>又は<2>記載の美容方法。
<4>工程Iが、次の工程I-1、工程I-2及び工程I-3から選ばれる工程である<1>~<3>のいずれかに記載の美容方法。
(I-1)次の成分(a)及び(b)を含有する組成物Xを皮膚上に静電スプレーする工程。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質
(b)繊維の堆積物を含有する被膜の形成能を有するポリマー
(I-2)エレクトロスピニング又はメルトブローにより得られた平均繊維径0.01~7μmの繊維の堆積物からなる被膜を貼付する工程。
(I-3)次の成分(c)及び(d)を含有する組成物Zを塗布する工程。
(c)油剤及び20℃で液状のポリオールから選ばれる1種又は2種以上
(d)平均繊維径0.01~7μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)10~1000の繊維
<5>皮膚の保護が、皮膚外部からの刺激を受ける皮膚の保護及び/又は皮膚内部からの刺激に対する保護である<1>~<4>のいずれかに記載の美容方法。
<6>皮膚外部からの刺激が、花粉、大気有害物質から選ばれる成分の付着によって引き起こされる皮膚刺激である<5>記載の美容方法。
<7>皮膚外部からの刺激が、マスクの着用によって引き起こされる皮膚刺激である<5>記載の美容方法。
<8>皮膚内部からの刺激が、皮脂及び汗から選ばれる皮膚分泌成分によって引き起こされる皮膚刺激である<5>記載の美容方法。
<9>さらに、マスクを装着する工程(工程IV)を有する<1>~<8>のいずれかに記載の美容方法。
<10>花粉自動測定器により計測された、1時間平均の花粉数(個/m3)が、20以上、より好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上、よりさらに好ましくは300以上、よりさらに好ましくは500以上、よりさらに好ましくは1000以上の時に使用される<1>~<9>のいずれかに記載の美容方法。
<11>空気質指数(Air Quality Index)が、51以上、より好ましくは101以上、さらに好ましくは151以上、よりさらに好ましくは201以上、よりさらに好ましくは301以上の時に使用される<1>~<10>のいずれかに記載の美容方法。
<12>高温多湿な環境下において使用される<1>~<11>のいずれかに記載の美容方法。
<13>気温が、25℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは35℃以上であり、且つ湿度が40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上の時に使用される<1>~<12>のいずれかに記載の美容方法。
<14>Tゾーン(額と鼻のまわりの部分)などの皮脂の分泌量が多い場所に使用される<1>~<13>のいずれかに記載の美容方法。
<15>肌タイプが脂性肌の人に使用される<1>~<14>のいずれかに記載の美容方法。
<16>工程(I-1)に用いられる組成物Xが、成分(a)を30質量%以上98質量%以下、成分(b)を2質量%以上50質量%以下含有する組成物である<4>~<15>のいずれかに記載の美容方法。
<17>工程(I-2)で得られる被膜が、成分(a)及び成分(b)を含有する組成物Xを、基板上にエレクトロスピニング又はメルトブローすることにより得られる平均繊維径0.01~7μmの繊維の堆積物からなる被膜である<4>~<15>のいずれかに記載の美容方法。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質
(b)繊維の堆積物を含有する被膜の形成能を有するポリマー
硫酸ジエチル19.0g(0.12モル)と2-エチル-2-オキサゾリン81.0g(0.82モル)を脱水した酢酸エチル203.0gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、1100であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量2000)300gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン-ジメチルシロキサン共重合体を、淡黄色ゴム状固体(390g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は質量75%であり、重量平均分子量は40000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約20モル%のアミノ基が残存していることがわかった。この接着性ポリマーは、JISK6850を参照して測定された最大引張せん断荷重8.6Nであった。
人工皮革(5cmx4cm)表面に、表1の組成の乳液塗布(2mg/cm2)、乳液塗布+繊維を含む堆積物からなる被膜形成、又は乳液塗布+繊維を含む堆積物からなる被膜形成+表2の組成の液剤塗布(2mg/cm2)を行い、12~16時間乾燥した。なお、繊維を含む堆積物からなる被膜形成及び液剤塗布は、乳液が乾燥した後に行った。次いで、人工皮革の前記処理を行った表面の初期L1、a1、b1値を測色計で測定した。
前記処理を行った人工皮革に粉塵(黒鉛粉末、5.4μm)50mgを1分間で落下して曝露した。粉塵曝露後に、再度人工皮革表面のL1、a1、b1値を測色計で測定し、曝露前後の色差変化ΔEsampleを測定した。
*1:シリコーン KSG-16(信越化学工業株式会社製)
電圧 14.5KV
流量 0.08mL/min
ノズルから人工皮革までの距離14cm
スプレー時間 10秒
室温20℃、湿度45%RH
図3より、乳液塗布の場合に比べて、繊維を含む堆積物からなる被膜形成することにより皮膚への粉塵付着が顕著に抑制されることが判明した。
その結果、皮膚上に繊維を含む堆積物からなる被膜を形成することにより、大気中の粉塵の皮膚表面への付着を99%以上抑制できることが判明した。
乳液を塗布して乾燥した人工皮革に粉塵を付着させた表面を擦った場合には、粉塵が乳液で形成された塗膜に埋もれてしまうことがわかった。一方、乳液を塗布して乾燥後、繊維を含む堆積物からなる被膜を形成させた人工皮革表面は、擦ることにより粉塵が当該被膜表面に広がることはなく、点々と分布していることがわかった。すなわち、繊維を含む堆積物からなる被膜形成により、粉塵は当該被膜表面に存在するのではなく、当該被膜中にトラップされていることがわかった。
男女5名の顔右側半分に、前記表1記載の乳液塗布、又は乳液塗布+前記表3の組成物による繊維を含む堆積物からなる被膜形成を行った。その後、市販のポリウレタン製立体マスクを、4時間着用した。マスク着用前、マスク着用直後、及び4時間マスク着用後の皮膚の上に残留した乳液(残留量を定量するためにUV吸収剤を配合)の吸光度を測定し、マスク着用による擦れに対する保護効果を測定した。
その結果を図5に示す。図5より、乳液だけを塗布した皮膚は、4時間のマスク着用により吸光度が36%低下してしまった。一方、繊維を含む堆積物からなる被膜形成を行った皮膚は、4時間のマスク着用後もほとんど吸光度が低下せず、マスク着用による擦れに対して強い抵抗性を示した。
また、乳液塗布後に繊維を含む堆積物からなる被膜形成を行った皮膚は、乳液だけを塗布した皮膚に比べて、皮膚全体の吸光度が均一になることも分かった。これは、この被膜形成の前に塗布した乳液が被膜中に均一に分布する結果と考えられる。
女性10名の顔右側半分に、前記表1記載の乳液塗布、又は乳液塗布+前記表3の組成物による繊維を含む堆積物からなる被膜形成を、夜に行った。そして、日中は、市販のポリウレタン製立体マスクを着用して2週間通常の生活をした。
被験者に対し、マスク内側の肌の水分量変化、pH変化、表面形状の変化、毛穴の状態の変化を測定した。
その結果、繊維を含む堆積物からなる被膜形成を行った被験者は、乳液だけ使用した被験者に比べて、口元の水分量は同等であったが、目元側の頬の水分量は有意に増加した。pHについては、両者間に差はなかった。
繊維を含む堆積物からなる被膜形成を行った被験者は、乳液だけ使用した被験者に比べて、1週目で落屑が改善され、2週目で肌のキメや毛穴、赤みの改善が確認できた。
また、繊維を含む堆積物からなる被膜形成を行った被験者は、乳液だけ使用した被験者に比べて、毛穴の大きさ、個数が有意に改善した。
また、この試験を行った被験者にアンケートを行った結果、8割の被験者が繊維を含む堆積物からなる被膜形成により、肌の状態が改善したと答えた。また、マスク着用による摩擦を改善した、マスク着用による過剰な皮脂の発生が少なくなると答えた被験者が多かった。
男性20名が、洗顔料を用いて顔を洗顔後、前記表1の乳液を塗布した。その後、顔の右側に実施例1と同様にして、繊維を含む堆積物からなる被膜形成を行った。4時間静置後、顔の左側(コントロール)については、ケミカルピーリング(CP)によるふき取りにより、皮脂を回収した。一方、顔の右側(繊維を含む堆積物からなる被膜形成側)については、被膜を剥離して回収し、剥離後の肌からシガレットペーパーによるふき取りで皮脂を回収した。回収した皮脂について、総皮脂量(Total Sebum)、不飽和脂肪酸割合などを測定した。
結果を、図6及び図7に示す。図6及び図7より、皮脂の70%以上が繊維を含む堆積物からなる被膜に吸着しており、かつ不飽和脂肪酸が選択的に繊維を含む堆積物からなる被膜形成に吸着していることがわかった。
(1)モデル皮脂として、オレイン酸:オリーブ油:スクアレン=2:2:3の混合物を用いた。IR-ATR上にモデル皮脂0.2μLを滴下し、スペクトルを測定した。IR-ATRはPerkin Elmer社製のSpectrum Twoを用い、反射回数1回、測定波数4000-650cm-1、分解能4cm-1、積算回数4回で測定した。
(2)繊維を含む堆積物からなる被膜の作成方法
繊維を含む堆積物からなる被膜は、ポリビニルブチラール(積水化学製 S-LEC B BM-1 12%のエタノール溶液)を30kVの電圧で、1時間、3mL/hr若しくは1mL/hrの速度で、15cm×60cmの範囲に吹き付けて作成したものを2cm×2cmの範囲に切りとって使用した。1分間ATR上に貼り付け、ATR上のモデル皮脂と接触させたのちに、繊維を含む堆積物からなる被膜を剥離し、残った皮脂のIRスペクトルを測定した。(試験4)
(3)繊維を含む堆積物からなる被膜の吹き付け方法
電圧14.5kVの小型デバイスを用いて、ATRのΦ2cmの範囲に10秒間、直接吹き付けた。その後、1分静置した後に、繊維を含む堆積物からなる被膜を剥離し、残った皮脂のIRスペクトルを測定した。(試験1~3)
(4)あぶらとりがみとしては、Softymo超速吸収あぶらとり紙Naを使用した。1分間皮脂と接触させたのちに、繊維を含む堆積物からなる被膜を剥離し、残った油のIRスペクトルを測定した。得られたIRスペクトルのC=O結合部分を2つのガウス関数でフィッティングし、得られたピーク強度から、吸油後の皮脂成分の残存率を算出した。(比較1)
結果を、表4に示す。
洗顔し、右頬のみに繊維を含む堆積物からなる被膜を直接形成し、左頬には何もしなかった。4時間、頬を触らないように過ごしたのち、左頬の素肌及び、右頬の繊維を含む堆積物からなる被膜を剥離したのちの素肌から、皮脂を採取した。また、右頬から剥離した繊維を含む堆積物からなる被膜中に移行した皮脂の分析も行った。繊維を含む堆積物からなる被膜の形成は、ポリビニルブチラール(BM-1)12質量%、エタノール88%の処方を用いた。デバイスの電圧は10kVで30秒間紡糸した。
皮脂の採取には、1.7cm×1.7cmのシガレットペーパー(商品名:Rizla/Blue)を用い、頬の2か所から採取を行い、2枚に含まれる皮脂成分の分析を行った。なお、シガレットペーパーは使用前にガラス瓶に入れ、クロロホルム/メタノール=1/1(体積比)溶液を適当量加えて超音波処理(約10分)後、溶媒を除去した。この操作を2~3回繰り返し、最終的に窒素気流下でシガレットペーパーを乾燥させてから用いた。また、皮脂の採取の際には、前述の処理を施したシガレットペーパーを5mLスクリュー管(商品名:マルエム/No.2)の底面で10秒間押し付け、皮脂を採取した。
装置:LC/1200シリーズ、質量分析計/6460トリプル四重極(全てAgilent製)
移動相:15mmol/L酢酸アンモニウム含有クロロホルム/メタノール=1/1(体積比)
移動相流速:0.2mL/min
注入量:1μL
検出:イオン化法=ESI、乾燥ガス温度=300℃、乾燥ガス流量=5L/min、ネブライザー圧力=45psi、シースガス温度=250℃、シースガス流量=11L/min、ネブライザー電圧=0V、キャピラリー電圧=3500V
トリグリセリド(TAG):中性分子として脱離した脂肪酸から分子を検出する
FFA:Scan(Negative ion mode)
FFAについては、C12~C30の不飽和度0~2のものの総量を脂肪酸量とした。
11 低電圧電源
12 高電圧電源
13 補助的電気回路
14 マイクロギヤポンプ
15 容器
16 ノズル
17 管路
18 フレキシブル管路
19 電流制限抵抗
20 筐体
Claims (11)
- 平均繊維径0.01~7μmの繊維を含む堆積物からなる被膜を皮膚上に適用し、1~12時間保持する工程(工程I)、及び皮膚上に適用した被膜を除去する工程(工程II)を有し、さらに工程I及び/又は工程IIの前又は後に、水、ポリオール及び20℃で液体の油剤から選ばれる1種又は2種以上を含有する液剤を前記皮膚に適用する工程(工程III)とマスクを装着する工程(工程IV)とを有する、皮膚外部からの刺激及び/又は皮膚内部からの刺激に対して皮膚を保護することによる美容方法(医療行為を除く)。
- 工程Iが、次の工程I-1、工程I-2及び工程I-3から選ばれる工程である請求項1記載の美容方法。
(I-1)次の成分(a)及び(b)を含有する組成物Xを皮膚上に静電スプレーする工程。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質(b)繊維の堆積物を含有する被膜の形成能を有するポリマー
(I-2)エレクトロスピニング又はメルトブローにより得られた平均繊維径0.01~7μmの繊維の堆積物からなる被膜を貼付する工程。
(I-3)次の成分(c)及び(d)を含有する組成物Zを塗布する工程。
(c)油剤及び20℃で液状のポリオールから選ばれる1種又は2種以上
(d)平均繊維径0.01~7μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)10~1000の繊維 - 皮膚外部からの刺激が、花粉、大気有害物質から選ばれる成分の付着によって引き起こされる皮膚刺激である請求項1又は2記載の美容方法。
- 皮膚外部からの刺激が、マスクの着用によって引き起こされる皮膚刺激である請求項1又は2記載の美容方法。
- 皮膚内部からの刺激が、皮脂及び汗から選ばれる分泌成分によって引き起こされる皮膚刺激である請求項1又は2記載の美容方法。
- 花粉自動測定器により計測された、1時間平均の花粉数(個/m3)が、20以上の時に使用される請求項1~5のいずれか1項記載の美容方法。
- 空気質指数(Air Quality Index)が、51以上の時に使用される請求項1~6のいずれか1項記載の美容方法。
- 高温多湿な環境下において使用される請求項1~7のいずれか1項記載の美容方法。
- 気温が、25℃以上であり、且つ湿度が40%以上の時に使用される請求項1~8のいずれか1項記載の美容方法。
- 皮脂の分泌量が多い場所に使用される請求項1~9のいずれか1項記載の美容方法。
- 肌タイプが脂性肌の人に使用される請求項1~10のいずれか1項記載の美容方法。
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