JP7335267B2 - パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法 - Google Patents

パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法に関する。
パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)は、ガス分離膜用樹脂、光ファイバー用透明樹脂等として有望なポリ[(パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)]の合成原料として用いられる化合物である。
パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法としては、パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)を、炭酸ナトリウム固体触媒上をガス状で流通させ得る方法(特許文献1)、2-メトキシカルボニル-2-トリフルオロメチル-4-メチル-1,3-ジオキソランをフッ素ガスによりフッ素化、水酸化カリウム水溶液でエステルを加水分解しカリウム塩とし、固体として乾燥した後、熱分解により得る方法(特許文献2)、およびパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウムとフッ化カリウムの混合物を固体として単離、乾燥させた後、ビス(2-エトキシエチル)エーテル溶媒と混合し、加熱分解することにより得る方法(非特許文献1)が知られている。
特許文献1:米国特許3308107号公報
特許文献2:特許4776536号公報
非特許文献1:F.Mikes,et.al., Macromolecules 2005,38, 4237-4245
特許文献1に記載の方法は、295℃の高温での反応を要し、なおかつ副生物として毒性の高いフルオロホスゲンが生成してしまうため、工業的規模での実施は困難である。
また、特許文献2に記載の方法は、250℃~280℃の高温での反応を要し、しかも脱炭酸反応を固相系にて行うため、工業的規模での実施が困難である。
一方、非特許文献1に記載の方法は、脱炭酸反応は液相系であり、反応温度が130℃と比較的低いものの、目的物のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が副生物の2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の混合物として得られ、目的物と副生物との蒸留分離が極めて困難であるという課題がある。
以上に鑑み、本発明の一態様は、工業的な実施が容易で、高収率かつ分離困難な副生物が生成しにくいパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法を提供する。
本発明者らは、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法について鋭意検討した結果、原料であるパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)およびその加水分解生成物の少なくともいずれか一方を、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液と反応させた後、生じたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を、分液操作により分取後、水の留去および水の吸着からなる群から選択される水分含有率低減処理の1種以上を行い、その後に液相系での脱炭酸反応に用いることにより、分離困難な2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の生成を抑制しながら高収率でパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が得られることを新たに見出した。また、液相系での脱炭酸反応は、工業的規模での実施が容易である。
即ち、本発明の一態様(以下、「態様A」と記載する。)は、以下の通りである。
[1]少なくとも以下に示す工程(1)~(3)を含むパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
(1)パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)およびその加水分解生成物の少なくともいずれか一方を、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液と反応させた後、生じたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を分液操作により分取する。
(2)得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体に対して、水の留去および水の吸着からなる群から選択される水分含有率低減処理の1種以上を行うことにより、溶液状または固体状のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を得る。
(3)得られた溶液状または固体状のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を用い液相系にて脱炭酸反応を行いパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を生成させる。
[2]工程(1)において、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を分液操作により分取した後、更に以下の工程(4)を行うことを含む、[1]に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
(4)工程(1)で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を、更に水または無機塩を溶解させた水と接触させ、次いで分液操作を行いパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を再度分取する操作を1回以上行う。
[3]工程(1)において、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液と反応させる前、反応させた後および分液操作後の少なくともいずれかにおいて、1種以上の非プロトン性溶媒Cを添加することを更に含む、[1]または[2]に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[4]非プロトン性溶媒Cが、エーテル系溶媒である、[3]に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[5]非プロトン性溶媒Cが、グリコールジエーテル系溶媒である、[3]または[4]に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[6]非プロトン性溶媒Cが、ジエチレングリコールジメチルエーテルである、[3]~[5]のいずれかに記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[7]工程(2)における水分含有率低減処理は、水と共沸組成物を形成する1種以上の共沸溶媒を存在させる水の留去を含む、[1]~[6]のいずれかに記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[8]工程(2)における水分含有率低減処理は、水と共沸組成物を形成し且つ工程(1)で添加する非プロトン性溶媒Cよりも低い沸点を有する1種以上の共沸溶媒を存在させる水の留去を含む、[3]~[5]のいずれかに記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[9]共沸溶媒がイソプロピルアルコールおよびトルエンからなる群から選択される1種以上の溶媒である、[7]または[8]に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[10]工程(3)において液相系で脱炭酸反応を行う際に液相系に含まれる溶媒が、グリコールジエーテル系溶媒を含む、[1]~[9]のいずれかに記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
本発明の他の一態様(以下、「態様B」と記載する。)は、以下の通りである。
[11]パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む原料液を反応蒸留器に連続的に供給し、反応蒸留を行いパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を生成させる反応蒸留工程を有するパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソランの製造方法。
[12]反応蒸留工程は、非プロトン性溶媒Aに溶解させたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩の原料液を、減圧下、反応蒸留器内で加熱された非プロトン性溶媒B中に連続供給し、且つ、生成したパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を系外へ蒸留留出させながら反応させることを含み、非プロトン性溶媒Bは、非プロトン性溶媒Aと同一または非同一であって、且つ、非プロトン性溶媒Aと同じかそれ以上の沸点を有する溶媒である、[11]に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[13]非プロトン性溶媒Aが、少なくとも1種のエーテル系溶媒を含む、[12]に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[14]非プロトン性溶媒Aが、少なくとも1種のグリコールジエーテル系溶媒を含む、[12]または[13]に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[15]非プロトン性溶媒Aが、ジエチレングリコールジメチルエーテルを含む、[12]~[14]のいずれかに記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[16]非プロトン性溶媒Bが、少なくとも1種のアルカン系溶媒を含む、[12]~[15]のいずれかに記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[17]非プロトン性溶媒Bが、流動パラフィンを含む、[16]に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[18]非プロトン性溶媒Bが、少なくとも1種のグリコールジエーテル系溶媒を含む、[12]~[15]のいずれかに記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[19]非プロトン性溶媒Bが、テトラエチレングリコールジメチルエーテルを含む、[18]に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[20]原料液が、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸ナトリウム塩を含む、[11]~[19]のいずれかに記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
[21]下記工程(1)および(2)を更に含む、[11]~[20]のいずれかに記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
(1)パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)およびその加水分解生成物の少なくともいずれか一方を、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液と反応させた後、生じたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を分液操作により分取する。
(2)得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体に対して、水の留去および水の吸着からなる群から選択される水分含有率低減処理の1種以上を行うことにより、溶液状または固体状のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を得る。
本発明の一態様によれば、工業的な実施が容易で、高収率かつ分離困難な副生物を生成しにくいパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法を提供できる。
以下、態様Aおよび態様Bについて更に詳細に説明する。特記しない限り、態様Aに関する以下の記載は態様Bについても適用することができ、態様Bに関する以下の記載は態様Aについても適用することができる。
[態様A]
態様Aは、少なくとも上記工程(1)~(3)を含むパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法に関する。
以下、上記製造方法について、更に詳細に説明する。
<工程(1)>
工程(1)において原料として使用するパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)は、以下の式1で表される。
Figure 0007335267000001
パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)は、文献既知の方法によって得ることができる。例えば、米国特許3308107号公報またはMacromolecules 2005, 38, 4237-4245に記載されているように、トリフルオロピルビン酸フルオリドモノマーまたはそのダイマーとヘキサフルオロプロピレンオキシドを、フッ化セシウム存在下で反応させることにより、パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)を得ることができる。また、パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)の加水分解生成物は、パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)と水の反応により生じた生成物であり、通常、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸(以下の式2)とフッ化水素との混合物として得られる。
Figure 0007335267000002
即ち、工程(1)では、パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)およびパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸の少なくともいずれか一方(即ち一方または両方)を、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上(即ち1種のみまたは2種以上)のカチオンを含む塩基性水溶液と反応させることができる。
工程(1)では、パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)およびその加水分解生成物の少なくともいずれか一方を、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液と反応させた後、生じたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を分液操作により分取する。分液操作は、層分離操作ともいうことができる。
ここで、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩は、以下の式3で表すことができる。式3中、Mはアルカリ金属元素を表す。ОとMとの結合は、共有結合またはイオン結合を表す。イオン結合を表す場合、Mは、アルカリ金属イオンを表すということもできる。なお、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩として、Mで表されるアルカリ金属元素の種類が同じ1種のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩が生成されてもよく、Mで表されるアルカリ金属元素の種類が異なる2種以上のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩が生成されてもよい。
Figure 0007335267000003
パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩は、以下の式4または式5で表すことができる。式4および式5中、MIIは、それぞれ独立に、アルカリ土類金属元素を表す。ОとMIIとの結合は、共有結合またはイオン結合を表す。イオン結合を表す場合、MIIは、アルカリ土類金属イオンを表すということもできる。式5中、MIIとRとの結合は、イオン結合を表す。Rは、水酸化物イオン(OH)、炭酸水素イオン(HCO )、硫酸水素イオン(HSO )、亜硫酸水素イオン(HSO )、過塩素酸イオン(HClO )またはハロゲンイオンを表す。なお、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩として、Rで表されるイオンの種類が同じ1種のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩が生成されてもよく、Rで表されるイオンの種類が異なる2種以上のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩が生成されてもよい。また、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩として、MIIで表されるアルカリ土類金属元素の種類が同じ1種のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩が生成されてもよく、MIIで表されるアルカリ土類金属元素の種類が異なる2種以上のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩が生成されてもよい。
Figure 0007335267000004
Figure 0007335267000005
アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオンおよびセシウムイオンが挙げられる。またアルカリ土類金属イオンとしては、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等が挙げられる。アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液は、これらカチオンの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩(「炭酸水素塩」ともいう)、亜硫酸塩等の1種以上の塩を水に溶解させることにより調製される水溶液であることができる。かかる水溶液における上記カチオンの濃度は、塩の濃度として、例えば5~50重量%である。また、アルカリ金属イオンの使用量は、パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)に対して、例えばモル比で0.5~3の範囲であり、アルカリ土類金属イオンの使用量は、パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)に対して、例えばモル比で0.25~1.5の範囲である。
Rは、水酸化物イオン(OH)、炭酸水素イオン(HCO )、硫酸水素イオン(HSO )、亜硫酸水素イオン(HSO )、過塩素酸イオン(HClO )またはハロゲンイオンを表す。ハロゲンイオンとしては、フッ化物イオン(F)、塩化物イオン(F)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)等が挙げられる。
中でも、Rは、原料の入手性や反応性等の観点から、水酸化物イオン(OH)または炭酸水素イオン(HCO )であることが好ましい。
パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)およびその加水分解生成物の少なくともいずれか一方を、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液と反応させる際の反応温度は、反応液の温度として、例えば-10~+50℃の範囲である。通常、パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)およびその加水分解生成物の少なくともいずれか一方を逐次添加し温度を制御しながら反応を行うか、またはアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液を逐次添加し温度を制御しながら反応を行う。反応時間については、例えば、全量の原料を混合した後、10分~1時間反応を継続させ、次いで10分~1時間静置後、分液操作を行うことができる。
上記の反応により生じたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩は、塩でありながら、フッ素原子の影響により、水に溶解しにくい傾向がある。したがって、反応後の反応液は、通常、層分離する。工程(1)の目的物であるパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む層(有機層)が、通常、下層となる。なお、後述するように非プロトン性溶媒Cを添加した場合、分液操作時に目的物であるパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む層(有機層)が上層となる場合がある。上記目的物を含む有機層から層分離した水層側には、副生したアルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物が溶解し易い。これらフッ化物の一部または全量を、分液操作によって分離することができる。
また、パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)およびその加水分解生成物の少なくともいずれか一方を上記カチオンを含む塩基性水溶液と反応させる前、反応させる際、反応させた後、および後述の分液操作の後の少なくともいずれかにおいて、1種以上の非プロトン性溶媒(「非プロトン性溶媒C」と記載する。)を添加することもできる。非プロトン性溶媒Cを添加することにより、副生するアルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物の分離除去効率を向上させたり、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩の水層側への損失を低減させることができる。
非プロトン性溶媒Cとしては、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を溶解可能な非プロトン性溶媒が好ましく具体的には、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒(エーテル類)、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒(ケトン類)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒(アミド類)、アセトニトリル、プロピオノニトリル等のニトリル系溶媒(ニトリル類)、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒(芳香族炭化水素類)、ヘプタン、オクタン等のアルカン系溶媒(アルカン類)およびこれら2種以上の混合溶媒が挙げられる。これらのうち、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩の溶解性等の点で、エーテル系溶媒が好ましく、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールジエーテル系溶媒(グリコールジエーテル類)がより好ましい。パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩に対する非プロトン性溶媒Cの使用量は、通常、重量比で0.5~5倍の範囲とすることができる。
また、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を分液操作により分取した後、以下の工程(4)を行うこともできる。
(4)工程(1)で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を、水または無機塩を溶解させた水と接触させ、次いで分液操作を行いパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を分取する操作を1回または複数回行う。工程(1)において非プロトン性溶媒Cの添加が行われた場合、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を、非プロトン性溶媒Cの存在下、水または無機塩を溶解させた水と接触させることができる。他方、工程(1)において非プロトン性溶媒Cを添加しなかった場合、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を、非プロトン性溶媒Cの非存在下、水または無機塩を溶解させた水と接触させることができる。
工程(4)を行うことにより、有機層中のアルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物の含有量を更に低減することが可能となる。ここでの無機塩としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、亜硫酸塩の塩基性塩の他、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等の中性塩を用いることができる。工程(4)は再分取工程とも称する。工程(4)を実施する場合、工程(1)、工程(4)(再分取工程)、工程(2)、をこの順で行うことができる。
<工程(2)>
工程(2)では、工程(1)または工程(4)の後に得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体に対して、水の留去および水の吸着からなる群から選択される水分含有率低減処理の1種以上が行われる。これにより、水分含有率低減処理の前と比べて水分含有率の低下した溶液状または固体状のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を得ることができる。工程(1)によって、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体として、フッ化物の含有量が少ない液体を得ることができる。即ち、フッ化物と結合または相互作用した水の含有量が少ない液体を得ることができる。したがって、水の留去や吸着除去といった工業的に容易に実施可能な操作を行うことにより、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩に含まれる水分含有率を低減することができる。
水の留去は、好ましくは蒸留による留去である。蒸留の際の液温は、例えば0~100℃、好ましくは20~70℃であり、通常、0.1kPa~50kPaの減圧下で蒸留を実施することが効率的である。この際、水と共沸組成物を形成する1種以上の共沸溶媒を存在させることで、水の沸点よりも低い温度で水を含む共沸組成物を留去できるため、高真空を必要とせず、装置への負荷を軽減させることができる。共沸溶媒としては、水と共沸組成を形成する溶媒であれば特に制限されるものではない。n-プロピルアルコール、イソプロプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、酢酸エチル、エチルメチルケトン、アセトニトリル、1,2-ジクロロエタン、トルエン、o-キシレン、シクロヘキサン等は、共沸混合物中の水の含有率が高く好適に用いることができ、中でもイソプロピルアルコールおよびトルエンの少なくともいずれか一方であることが好ましい。また、工程(1)で非プロトン性溶媒Cを添加する場合、工程(2)で存在させる共沸溶媒は、非プロトン性溶媒Cと同一であってもよく、異なっていてもよい。この場合、工程(2)で存在させる共沸溶媒の沸点が、工程(1)で添加する非プロトン性溶媒Cの沸点よりも低い場合は、水の共沸による留去後に得られるパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩は、非プロトン性溶媒Cを含む溶液状で得られ易く、そのまま工程(3)に使用できるため好適である。
また、吸着除去により水分含有率を低減する際の吸着材としては、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、無水塩化カルシウム等の水和塩を形成可能な無機塩類、天然ゼオライト、合成ゼオライト等の物理吸着材等を用いることができ、これらを段階的に併用することもできる。吸着材の使用量は、通常、工程(1)で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体中に含まれる水分量に対し、吸着材が有する固有の吸着可能量として0.1~5倍量となる量とすることができる。吸着除去を行う際の温度は、通常、雰囲気温度0~50℃の常圧の作業環境下にて行うことができ、吸着材と接触させる時間は、通常、10分~24時間の範囲とすることができる。
<工程(3)>
工程(3)では、工程(2)で得られた溶液状または固体状のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を用い液相系にて脱炭酸反応を行い目的化合物であるパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を生成させる。
ここで、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)は以下の式6で表すことができる。
Figure 0007335267000006
工程(2)で液体状のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩が得られる場合は、この液体をそのまま脱炭酸反応に用いることもできるし、必要に応じて、溶媒を添加して反応させることもできる。また、工程(2)で固体状のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩が得られる場合は、溶媒を用いてパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を溶解または分散させて脱炭酸反応を行うことができる。ここで使用する溶媒としては、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒(エーテル類)、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル系溶媒(エステル類)、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒(ケトン類)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒(アミド類)、アセトニトリル、プロピオノニトリル等のニトリル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒(芳香族炭化水素類)、ヘプタン、オクタン等のアルカン系溶媒(アルカン類)およびこれら2種以上の混合溶媒が挙げられ、工程(1)で添加する非プロトン性溶媒Cまたは工程(2)で存在させる共沸溶媒と同一であっても異なっていてもよい。パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩の溶解性、およびパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の収率の点からは、グリコールジエーテル系溶媒(グリコールジエーテル類)を好ましく用いることができる。
脱炭酸反応を行う際の反応温度は、例えば100℃~200℃の範囲とすることができ、1kPa~90kPaの減圧下にて反応を実施し、生成したパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を留出させながら反応させることが好ましい。また、同温度範囲内に加熱した溶媒中に、溶液状のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属を連続的に滴下し、生成したパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を連続的に留出させながら反応させることもできる。反応時間は、通常、0.5時間~24時間とすることができる。反応時に留出したパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)は、例えば-20℃~-80℃に冷却したトラップで捕集することができる。または、減圧を、イヤフラム式ポンプを用いて行う場合は、常圧以上まで昇圧されたポンプ出口ガスを、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の沸点以下に冷却することにより、目的物のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を捕集することも可能である。
態様Aによれば、副生物である2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソランの含有量が少ないパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を得ることが可能である。したがって、得られたパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)は、そのままポリ[パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)]の合成原料として使用してもよい。または、必要に応じて精密蒸留により精製してもよい。
[態様B]
態様Bにかかるパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法は、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む原料液を反応蒸留器に連続的に供給し、反応蒸留を行いパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を生成させる反応蒸留工程を有する。
以下、上記製造方法について、更に詳細に説明する。
本発明および本明細書において、「反応蒸留」とは、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソランを生成すると同時に反応系外に抜き出す反応形式をいうものとする。上記製造方法は、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩の脱炭酸反応によるパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の生成を液相系で行うため、工業的な実施が容易である。反応蒸留は、減圧下で行うことが好ましい。減圧下で反応蒸留を行うことにより、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の蒸留留出を促進することができ、その結果、より収率よくパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を得ることがきる。
本発明および本明細書において、「連続的に供給」および「連続供給」とは、供給されるべき成分の全量が一度に供給されることを除く意味で用いられる。例えば、「連続的に供給」および「連続供給」には、供給されるべき成分が所定時間に亘って滴下される形態による供給等が包含される。
目的物であるパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)、ならびに原料液に含まれるパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩およびパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩(以下、「原料金属塩」とも記載する。)について、態様Aに関する先の記載を参照できる。
また、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩およびセシウム塩が挙げられる。
パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩としては、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
工業的入手性および反応性の面からは、原料金属塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩およびカリウム塩がより好ましい。
原料金属塩は、例えば、文献既知の方法によって得ることができる。例えば、米国特許3308107号公報またはMacromolecules 2005, 38, 4237-4245に記載されているように、トリフルオロピルビン酸フルオリドモノマーまたはそのダイマーとヘキサフルオロプロピレンオキシドを、フッ化セシウム存在下で反応させて得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)を加水分解し、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物またはアルカリ土類金属炭酸塩等で中和し、減圧加熱等の脱水処理を行う方法等により、原料金属塩を得ることができる。ここで、原料金属塩は、加水分解、中和時の副生物であるアルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物を等モル量以下含有していてもよい。
または、態様Bの一形態では、原料金属塩を、態様Aに含まれる工程(1)および工程(2)を経て得ることを含むことができる。工程(1)および工程(2)の詳細は、態様Aについて先に記載した通りである。
上記製造方法では、非プロトン性溶媒Aに溶解させた原料金属塩を、減圧下、加熱した非プロトン性溶媒B中に添加しながら反応させることが好ましい。
非プロトン性溶媒Aは、原料金属塩を溶解可能な非プロトン性溶媒であることが好ましく、具体的には、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒(エーテル類)、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル系溶媒(エステル類)、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒(ケトン類)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒(アミド類)、アセトニトリル、プロピオノニトリル等のニトリル系溶媒(ニトリル類)、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒(芳香族炭化水素類)、ヘプタン、オクタン等のアルカン系溶媒(アルカン類)およびこれら2種以上の混合溶媒が挙げられる。これらのうち、原料金属塩の溶解性やパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の収率の点で、非プロトン性溶媒Aは、少なくとも1種のエーテル系溶媒を含むことが好ましく、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールジエーテル系溶媒(グリコールジエーテル類)を含むことがより好ましい。原料金属塩に対する非プロトン性溶媒Aの使用量は、重量比で0.5~5倍であることが好ましい。また、原料金属塩は、固体として単離し非プロトン性溶媒Aに溶解させてもよいし、パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)の加水分解および/または中和時に非プロトン性溶媒Aを添加しておき、この溶液の共沸蒸留脱水等を行い溶液を取得して用いることもできる。
非プロトン性溶媒Bは、非プロトン性溶媒Aと同一または非同一であり、且つ非プロトン性溶媒Aと同じかそれより高い沸点を有する溶媒である。目的物のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)は、原料金属塩の脱炭酸反応を行うことによって得ることができる。原料金属塩の脱炭酸反応を十分な速度で反応させるためには、非プロトン性溶媒Bは、130℃以上の沸点を有することが望ましい。この点から好ましい非プロトン性溶媒Bとしては、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒(エーテル類)、オクタン酸エチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル等のエステル系溶媒(エステル類)、アセト酢酸エチル等のケトエステル系溶媒(ケトエステル類)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒(ケトン類)、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒(アミド類)、プロピオノニトリル等のニトリル系溶媒(ニトリル類)、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒(芳香族炭化水素類)、ドデカン、デカリン、流動パラフィン等のアルカン系溶媒(アルカン類)およびこれらの2種以上の混合溶媒を挙げることができる。これらのうち、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の収率の点で、非プロトン性溶媒Bは、アルカン系溶媒およびグリコールジエーテル系溶媒からなる群から選択される1種以上の溶媒を含むことが好ましい。原料金属塩に対する非プロトン性溶媒Bの使用量は、例えば、重量比で0.2~5.0倍量とすることができる。
反応蒸留は、原料金属塩を含む原料液を反応蒸留器に連続的に供給して行うことができる。反応蒸留器としては、原料液の供給、生成物の蒸留留出(詳しくは冷却による凝縮)および必要に応じて蒸留器内が減圧可能な設備であれば特に限定されない。かかる反応蒸留器としては、例えば蒸留器(冷却器および受器)を備えた三口丸底フラスコ、化学プラントにおける蒸留設備付帯の反応釜等を例示することができる。
反応蒸留は、例えば常圧下または減圧下で行うことができ、1kPa~90kPaの範囲の減圧下で行うことが好ましい。好ましくは、減圧下、反応容器内で加熱された非プロトン性溶媒B中に、原料液を連続供給することができる。ここで反応容器内の非プロトン性溶媒Bの温度は、100~200℃の温度範囲であることが好ましい。反応蒸留器内への原料液の供給速度は、特に制限されるものではなく、上記温度範囲が維持できる速度であることが好ましい。通常、反応器容量1Lあたりの原料金属塩の重量/時間換算で、1g/hr以上100g/hr以下とすることができ、好ましくは10g/hr以上60g/hr以下とすることができる。また、必要に応じて、原料液の供給終了後に、更に同条件で0.5時間~4時間保持し、目的物のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の留出を完結させることができる。反応蒸留により留出する目的物のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)は、例えば、-20℃~-80℃に冷却したトラップで捕集することができる。または、減圧をダイヤフラム式ポンプを用いて行う場合は、常圧以上まで昇圧されたポンプ出口ガスを、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の沸点以下に冷却することにより、目的物のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を捕集することも可能である。
態様Bによれば、反応蒸留により留出する目的物のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)として、副生物の2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の混入量が少ないパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を得ることができる。したがって、上記製造方法により得られた生成物は、そのままポリ[パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)]の合成原料として使用することもでき、または、必要に応じて精密蒸留による精製を実施した後にポリ[パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)]の合成原料として使用することもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
分析に当たっては下記機器を使用した。
19F-NMR:ブルカー社(BRUKER)製AVANCE II 400。
<参考例1>
パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)の調製
耐圧が8MPaの撹拌機を備えたSUS316製10Lオートクレーブに、以下のトリフルオロピルビン酸フルオリドダイマー(2222.4g、純分1980.3g、6.88mol)、フッ化セシウム(315.6g、2.08mol)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(1338.8g、9.98mol)を仕込み、氷浴上で0℃に冷却した。次いでこれにヘキサフルオロプロピレンオキシド(2284.4g、13.76mol)を2時間かけて添加した後、120℃に加熱し、24時間反応を行った。
Figure 0007335267000007
反応終了後、室温まで冷却、分液し、粗パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)を得た(黄色液体、3047.4g)。ベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いた19F-NMRでの定量において、目的物である、以下のパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)は2901.0g(9.36mol)生成していた(収率68%/トリフルオロピルビン酸フルオリドダイマー基準)。なお、得られた目的物は、2種類のジアステレオマーの混合物で、その比は6/4(モル比)であった。
19F-NMR(neat,376MHz)(異性体1)δ23.63,-77.76(d,J=131.6Hz),-80.13,-81.57,-83.56(d,J=135.4Hz),-124.91。(異性体2)δ23.16,-78.45(d,J=131.6Hz),-80.37,-81.56,-84.05(d,J=139.1Hz),-123.72。
Figure 0007335267000008
<参考例2>
パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩水溶液の調製
撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製10Lの三口丸底フラスコに、炭酸カリウム(659.8g、4.77mol)および水(1400mL)を仕込み、撹拌しながら溶解させた後、氷浴上で0℃に冷却した。次いで、これに参考例1で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)(1510.2g、純分1450.5g、4.68mol)を、0~10℃の温度範囲で発熱を制御しながら2時間かけて滴下した後、更に同温度範囲で1時間撹拌し、1時間静置した後、分液操作により下層を分取し、目的物のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩の水溶液2703gを得た(純分1602.2g、4.63mol、収率99%)。
<参考例3>
パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩(固体)の調製
参考例2で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩水溶液(2304g、純分1365.7g、3.95mol)を3Lフラスコに仕込み、60℃の水浴上で13kPaの圧力でエバポレータにて減圧濃縮し、その後同温度で5時間真空乾燥し、白色の固体1464.5g(純分1357.8g、3.92mol、水分0.45%)を得た。
19F-NMR(DO,376MHz)(異性体1)δ-78.65(dd,J=233.1Hz,11.3Hz),-81.26(d,J=11.3Hz),-81.95,-84.44(dd,J=135.4Hz,11.3Hz),-124.42(m)。(異性体2)δ-79.17(dd,J=135.4Hz,7.5Hz),-81.49(d,J=15.0Hz),-81.82,-84.57(dd,J=142.9Hz,7.5Hz),-124.78(m)。
<参考例4>
含水パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸ナトリウム塩の調製
撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、炭酸ナトリウム(51.10g、0.482mol)および水(150mL)を仕込み、撹拌し懸濁状態とした後、氷浴上で0℃に冷却した。
次いで、これに参考例1で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)152.36g(純分145.00g、0.468mol)を、0~10℃の温度範囲で発熱を制御しながら1時間かけて滴下した後、更に同温度範囲で1時間撹拌し、1時間静置した後、分液析操作により下層を分取し、目的物のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸ナトリウム塩水溶液259.72g(純分146.74g、0.445mol、収率95%)を得た。
<参考例5>
パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸マグネシウム塩の調製
撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、炭酸マグネシウム(40.64g、0.482mol)および水(200mL)を仕込み、撹拌しながら懸濁液とした後、氷浴上で0℃に冷却した。
次いで、これに参考例1で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)(152.36g、純分145.00g、0.468mol)を、0~10℃の温度範囲で発熱を制御しながら1時間かけて滴下した後、更に同温度で1時間撹拌し、1時間静置した後、分液操作により下層を分取し、目的物の含水ビス[パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸]マグネシウム塩水溶液241.32g(純分137.43g、0.215mol、収率92%)。
[態様Aに関する実施例および比較例]
<実施例1>
工程(1):パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩水溶液の調製
撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、炭酸カリウム(65.65g、0.475mol)および水(140mL)を仕込み、撹拌しながら溶解させた後、氷浴上で0℃に冷却した。次いで、これに参考例1で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)(150.8g、純分143.6g、0.463mol)を、0~10℃の温度範囲で発熱を制御しながら1時間かけて滴下した後、更に同温度範囲で1時間撹拌し、1時間静置した。分液操作により下層を分取し、目的物のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩の水溶液268.3gを得た。この水溶液についてベンゾトリフルオリドを内部標準物質として19F-NMRでの定量分析を行い、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩が158.5g(0.458mol、収率99%)含有され、フッ化カリウムは 11.96g(0.206mol)含有されていることが判った。
工程(2):パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩(固体状)の調製
上記工程(1)で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩水溶液(268.3g、純分158.5g、0.458mol)を500mLフラスコに仕込み、60℃の水浴上でエバポレータにて13kPaの圧力で減圧濃縮し、その後同温度で5時間真空乾燥し、白色の固体170.2g(純分157.2g、30.454mol、水分0.43重量%)を得た。
19F-NMR(DO,376MHz)(異性体1)δ-78.65(dd,J=233.1Hz,11.3Hz),-81.26(d,J=11.3Hz),-81.95,-84.44(dd,J=135.4Hz,11.3Hz),-124.42(m)。(異性体2)δ-79.17(dd,J=135.4Hz,7.5Hz),-81.49(d,J=15.0Hz),-81.82,-84.57(dd,J=142.9Hz,7.5Hz),-124.78(m)。
工程(3): パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の合成
撹拌機およびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、上記工程(2)で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩(170.2g、純分157.2g、0.454mol)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(255.3g)を仕込んだ。30kPaに減圧下、撹拌しながら徐々に130℃まで加熱し、4時間反応を行った。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物を、ベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにより分析し、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が49.84g(0.204mol、収率45%)、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)14.38g(収率12%)が生成していることが確認された。
<比較例1>
実施例1において工程(1)で分液操作を行わず、反応液の全量を用いた以外は同様の操作にて工程(2)および工程(3)を実施した。
即ち、撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、炭酸カリウム(65.65g、0.475mol)および水(140mL)を仕込み、撹拌しながら溶解させた後、氷浴上で0℃に冷却した。次いで、これに参考例1で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)(150.8g、純分143.6g、0.463mol)を、0~10℃の温度範囲で発熱を制御しながら1時間かけて滴下した後、反応液を1Lフラスコに移し、60℃の水浴上でエバポレータにて13kPaの圧力で減圧濃縮し、その後同温度範囲で5時間真空乾燥し、白色の固体187.5g(純分158.5g、0.458mol、水分1.36重量%)を得た。次に、撹拌機およびコールドトラップ(-20℃および78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、上記(2)で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩(187.5g、純分158.5g、0.458mol)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(255.3g)を仕込んだ。30kPaに減圧下、撹拌しながら徐々に130℃まで加熱し、4時間反応を行った。
反応終了後、コールドトラップに回収された生成物を、ベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにより分析し、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が36.88g(0.151mol、収率33%)、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)38.69g(収率32%)が生成していることが確認された。
<実施例2>
(工程(1)において、非プロトン性溶媒C(ジエチレングリコールジメチルエーテル)を添加する方法)
工程(1):
撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、炭酸カリウム(65.64g、0.475mol)および水(153.3g)を仕込み、撹拌しながら溶解させた後、ジエチレングリコールジメチルエーテル(321.4g)を加え、氷浴上で0℃に冷却した。次いで、これに参考例1で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)(150.8g、純分143.6g、0.463mol)を、0~10℃の温度範囲で発熱を制御しながら1時間かけて滴下した後、更に同温度範囲で1時間撹拌し、1時間静置した。分液操作により上層を分取し、目的物のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩の溶液582.8gを得た。この溶液についてベンゾトリフルオリドを内部標準物質として19F-NMRでの定量分析を行い、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩が159.4(0.461mol、収率100%)含有され、フッ化カリウムは1.72g(0.030mol)含有されていることが判った。
工程(2):
工程(1)で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(582.8g、純分159.4g、0.461mol)を撹拌機および蒸留装置を備えた1Lフラスコに仕込み、60℃の油浴上で13kPaから1kPaの圧力に徐々に減圧しながら水およびジエチレングリコールジメチルエーテルを留出させパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(386.9g、純分154.7g、0.447mol、水分0.058重量%)を得た。
工程(3):
撹拌機およびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、工程(2)で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(386.9g、純分154.7g、0.447mol)を仕込んだ。30kPaに減圧下、撹拌しながら徐々に130℃まで加熱し、4時間反応を行った。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物を、ベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにより分析し、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が57.81g(0.237mol、収率53%)、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)9.44g(収率8%)が生成していることが確認された。
<実施例3>
(工程(1)において、有機層を無機塩水溶液(30重量%炭酸カリウム水溶液)と接触させた後、再度分液する方法)
工程(1):
撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、炭酸カリウム(65.66g、0.475mol)および水(153.1g)を仕込み、撹拌しながら溶解させた後、氷浴上で0℃に冷却した。次いで、これに参考例1で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)(150.8g、純分143.6g、0.463mol)を、0~10℃の温度範囲で発熱を制御しながら1時間かけて滴下した後、更に同温度範囲で1時間撹拌し、1時間静置した後、分液操作により下層を分取した。
工程(4):再分取工程
分取した下層を再度1Lフラスコに仕込み、ジエチレングリコールジメチルエーテル150.4gおよび30重量%炭酸カリウム水溶液(145.9g)を加え、1時間撹拌後、1時間静置した。分液操作により上層を分取し、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液422.1gを得た。この溶液についてベンゾトリフルオリドを内部標準物質として19F-NMRでの定量分析を行い、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩が158.5(0.458mol、収率99%)含有され、フッ化カリウムは0.95g(0.016mol)含有されていることが判った。
工程(2):
工程(1)で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(422.1g、純分158.5g、0.458mol)を撹拌機および蒸留装置を備えた1Lフラスコに仕込み、60℃の油浴上で13kPaから1kPaの圧力に徐々に減圧しながら水およびジエチレングリコールジメチルエーテルを留出させた後、再度ジエチレングリコール150.3gを加えて1kPaの減圧下で留去させ、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(390.4g、純分152.3g、0.440mol、水分 0.046重量%)を得た。
工程(3):
撹拌機およびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、工程(2)で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(390.4g、純分152.3g、0.440mol)を仕込んだ。30kPaに減圧下、撹拌しながら徐々に130℃まで加熱し、4時間反応を行った。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物を、ベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにより分析し、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が59.05g(0.242mol、収率55%)、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)8.13g(収率7%)が生成していることが確認された。
<実施例4>
(工程(1)において、非プロトン性溶媒C(ジエチレングリコールジメチルエーテル)を添加、工程(2)において、共沸溶媒としてトルエンを使用する方法)
工程(1):
撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、炭酸カリウム(65.64g、0.475mol)および水(153.3g)を仕込み、撹拌しながら溶解させた後、ジエチレングリコールジメチルエーテル(150.1g)を加え、氷浴上で0℃に冷却した。次いで、これに参考例1で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)(150.8g、純分143.6g、0.463mol)を、0~10℃の温度範囲で発熱を制御しながら1時間かけて滴下した後、更に同温度範囲で1時間撹拌し、1時間静置した。分液操作により上層を分取し、目的物のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩の溶液418.4gを得た。この溶液についてベンゾトリフルオリドを内部標準物質として19F-NMRでの定量分析を行い、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩が159.9(0.462mol、収率100%)含有され、フッ化カリウムは1.87g(0.032mol)含有されていることが判った。
工程(2):
工程(1)で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(418.4g、純分159.9g、0.462mol)を撹拌機および蒸留装置を備えた1Lフラスコに仕込み、50℃の油浴上で徐々に6kPaまで減圧し水を留出させた。その後、トルエン(150.2g)を加え、再度50℃の水浴上で6kPaに減圧しながら、水とトルエン共沸混合物を留出させ、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(351.8g、純分158.3g、0.457mol、水分0.058重量%)を得た。
工程(3):
撹拌機およびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、工程(2)で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(351.8g、純分158.3g、0.457mol)を仕込んだ。30kPaに減圧下、撹拌しながら徐々に130℃まで加熱し、4時間反応を行った。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物を、ベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにより分析し、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が57.98g(0.238mol、収率52%)、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)10.86g(収率9%)が生成していることが確認された。
<実施例5>
(工程(3)において、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液を連続的に滴下する方法)
工程(1):
撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、炭酸カリウム(65.64g、0.475mol)および水(153.3g)を仕込み、撹拌しながら溶解させた後、ジエチレングリコールジメチルエーテル(320.5g)を加え、氷浴上で0℃に冷却した。次いで、これに参考例1で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)(150.8g、純分143.6g、0.463mol)を、0~10℃の温度範囲で発熱を制御しながら1時間かけて滴下した後、更に同温度範囲で1時間撹拌し、1時間静置した後、分液操作により上層を分取し、目的物のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩の溶液580.5gを得た。この溶液についてベンゾトリフルオリドを内部標準物質として19F-NMRでの定量分析を行い、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩が159.2(0.460mol、収率100%)含有され、フッ化カリウムは1.68g(0.029mol)含有されていることが判った。
工程(2):
工程(1)で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(580.5g、純分159.2g、0.460mol)を撹拌機および蒸留装置を備えた1Lフラスコに仕込み、60℃の油浴上で13kPa~1kPaの圧力に徐々に減圧しながら水およびジエチレングリコールジメチルエーテルを留出させパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(387.6g、純分154.7g、0.447mol、水分0.052重量%)を得た。
工程(3):
撹拌機およびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬製、初留点300℃、158g)を仕込み、30kPaに減圧下、撹拌しながら130℃に加熱した後、工程(2)で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩溶液(386.9g、純分154.7g、0.447mol)を3時間反応かけて滴下し、更に同減圧下および同温度で1時間保持した。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物を、ベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにより分析し、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が85.07g(0.349mol、収率78%)、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)4.72g(収率4%)が生成していることが確認された。
<実施例6>
(パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩として、ナトリウム塩を用いる方法)
工程(1):
撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、炭酸ナトリウム(51.10g、0.482mol)および水(150mL)を仕込み、撹拌し懸濁状態とした後、氷浴上で0℃に冷却した。
次いで、これに参考例1で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)152.36g(純分145.00g、0.468mol)を、0~10℃の温度範囲で発熱を制御しながら1時間かけて滴下した後、更に同温度範囲で1時間撹拌し、1時間静置した後、分液操作により下層を分取し、目的物のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸ナトリウム塩溶液259.72g(純分146.74g、0.445mol、収率95%)を得た。フッ化ナトリウム含有量は4.56g(0.109mol)であった。
工程(2):
撹拌機および蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、工程(1)で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸ナトリウム塩水溶液259.72g(146.74g、0.445mol)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(300g)を仕込み、油浴上で60℃に加熱し、13kPa~1kPaの圧力で徐々に減圧度を上げながら含有水分をジエチレングリコールジメチルエーテルと共沸留去し、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸ナトリウム塩のジエチレングリコールジメチルエーテル溶液320.60gを得た(目的物含量145.88g、0.442mol、水分0.09重量%)。
工程(3):
撹拌機、滴下ロートおよびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬製、初留点300℃、146g)を仕込み、30kPaに減圧下、撹拌しながら135℃に加熱した後、これに工程(2)で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸ナトリウム塩のジエチレングリコールジメチルエーテル溶液(320.6g)を3時間かけて滴下し、更に同減圧下および同温度で1時間保持した。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物(78.02g)をベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにて分析し、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が73.34g(0.301mol、収率68%)生成していることが確認された。なお、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の生成量は4.55g(収率3.9%)であった。
<実施例7>
(パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩として、マグネシウム塩を用いる方法)
工程(1):
撹拌機および滴下ロートを備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、炭酸マグネシウム(40.64g、0.482mol)および水(200mL)を仕込み、撹拌しながら懸濁液とした後、氷浴上で0℃に冷却した。
次いで、これに参考例1で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)(152.36g、純分145.00g、0.468mol)を、0~10℃の温度範囲で発熱を制御しながら1時間かけて滴下した後、さらに同温度範囲で1時間撹拌し、1時間静置した後、分液操作により下層を分取し、目的物の含水ビス[パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸]マグネシウム塩溶液241.32gを得た(純分137.43g、0.215mol、収率92%)。フッ化マグネシウム含有量は1.32g(0.021mol)であった。
工程(2):
撹拌機および蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、工程(1)得られたビス[パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸]マグネシウム塩溶液241.32g(137.43g、0.215mol、収率92%)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(300g)を仕込み、油浴上で60℃に加熱し、13kPa~1kPaの圧力で徐々に減圧度を上げながら含有水分をジエチレングリコールジメチルエーテルと共沸留去し、ビス[パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸]マグネシウム塩のジエチレングリコールジメチルエーテル溶液382.41g(目的物含量136.20g、0.213mol、水分0.07重量%)を得た。
工程(3):
撹拌機、滴下ロートおよびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬製、初留点300℃、136g)を仕込み、30kPaに減圧下、撹拌しながら140℃に加熱した後、これに前記ビス[パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸]マグネシウム塩のジエチレングリコールジメチルエーテル溶液(382.4g)を3時間かけて滴下し、更に同減圧下および同温度で1時間保持した。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物(74.24g)をベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにて分析し、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が67.56g(0.277mol、収率65%)生成していることが確認された。なお、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の生成量は4.50g(収率4.0%)であった。
実施例1~7では、工業的な規模での実施が容易な液相系での脱炭酸反応によってパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を得ることができた。実施例1~7と比較例1との対比から、実施例1~7では、比較例1と比べて、より高い収率でパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が得られたこと、および副生物である2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の生成を抑制できたことが確認できる。
[態様Bに関する実施例および比較例]
<実施例8>
パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の合成
1L三口丸底フラスコに、参考例2で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩水溶液(270g、純分160.2g、0.463mol)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(320g)および30重量%炭酸カリウム水溶液(120g)を仕込み、0.5時間撹拌し、0.5時間静置した後、二層に分離した反応生成物から分液操作により上層を分取した。
次に撹拌機および蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、分取した上層を仕込み、油浴上で60℃で加熱し、13kPa~1kPaの圧力で徐々に減圧度を上げながら含有水分をジエチレングリコールジメチルエーテルと共沸留去し、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩のジエチレングリコールジメチルエーテル溶液411.5gを得た(目的物含量158.8g、0.459mol、水分0.06重量%)。
次に、撹拌機、滴下ロートおよびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬製、初留点300℃、159g)を仕込み、30kPaに減圧下、撹拌しながら130℃に加熱した後、これに上記のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩のジエチレングリコールジメチルエーテル溶液(411.5g)を3時間かけて滴下し、更に同減圧下および同温度で1時間保持した。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物(99.66g)をベンゾトリフルオリドを内部標準物質として19F-NMRにて分析することにより、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が92.96g(0.381mol、収率83%)生成していることが確認された。なお、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の生成量は3.64g(収率3.0%)であった。
コールドトラップから回収された生成物を、桐山パック10段の精留塔からなる蒸留装置および撹拌子を備えた200mLの丸底フラスコに仕込み、常圧下、分配比10/1で精密蒸留を行い、精製パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)(沸点43~44℃、76.2g、純度98.2%)を得た。
19F-NMR(CDCl,376MHz)δ-82.08(m),-83.90(dq,J=136.3Hz,7.5Hz),-90.30(dq,J=136.3Hz,5.0Hz),-126.78(d,J=124.1Hz),-128.13(dquin,J=124.1Hz,1.0Hz),-130.48(m)。
<実施例9>
パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の合成
撹拌機、滴下ロートおよびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬製、初留点300℃、159g)を仕込み、30kPaに減圧下、撹拌しながら130℃に加熱した。参考例3で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩(171.3g、純分158.8g、0.459mol)をジエチレングリコールジメチルエーテル(238.2g)に溶解させ、これを滴下ロートから3時間かけて滴下し、更に同減圧下および同温度で1時間保持した。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物を、ベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにて分析することにより、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が87.35g(0.358mol、収率78%)生成していることが確認された。なお、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の生成量は4.12g(収率3.4%)であった。
<比較例2>
パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の合成
撹拌機およびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、参考例3で調製したパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩(171.3g、純分158.8g、0.459mol)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(238.2g)を仕込んだ。30kPaに減圧下、撹拌しながら徐々に130℃まで加熱し、4時間反応を行った。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物を、ベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにより分析することにより、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が49.28g(0.202mol、収率44%)、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)15.75g(収率13%)が生成していることが確認された。
<実施例10~15>
パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソソラン)の合成
非プロトン性溶媒A、非プロトン性溶媒B、および反応条件をそれぞれ表1に示す溶媒、条件とした以外は、実施例9と同様の方法にて反応を実施した。コールドトラップに回収された生成物をベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いた19F-NMR分析から分析し、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)および2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の収率をそれぞれ算出した。
Figure 0007335267000009
<実施例16>
パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の合成
撹拌機および蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、参考例4で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸ナトリウム塩水溶液259.72g(146.74g、0.445mol)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(300g)を仕込み、油浴上で60℃で加熱し、13kPa~1kPaの圧力で徐々に減圧度を上げながら含有水分をジエチレングリコールジメチルエーテルと共沸留去し、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸ナトリウム塩のジエチレングリコールジメチルエーテル溶液320.60gを得た(目的物含量145.88g、0.442mol)。次に、撹拌機、滴下ロートおよびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬製、初留点300℃、146g)を仕込み、30kPaに減圧下、撹拌しながら135℃に加熱した後、これに上記のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸ナトリウム塩のジエチレングリコールジメチルエーテル溶液(320.6g)を3時間かけて滴下し、更に同減圧下および同温度で1時間保持した。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物(78.02g)をベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにて分析することにより、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が73.34g(0.301mol、収率68%)生成していることが確認された。なお、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の生成量は4.55g(収率3.9%)であった。
<実施例17>
パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の合成
撹拌機および蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、参考例5で得られたビス[パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸]マグネシウム塩水溶液241.32g(137.43g、0.215mol)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(300g)を仕込み、油浴上で60℃に加熱し、13kPa~1kPaの圧力で徐々に減圧度を上げながら含有水分をジエチレングリコールジメチルエーテルと共沸留去し、ビス[パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸]マグネシウム塩のジエチレングリコールジメチルエーテル溶液382.41g(目的物含量136.20g、0.213mol)を得た。
次に、撹拌機、滴下ロートおよびコールドトラップ(-20℃および-78℃の2段)付き蒸留装置を備えたガラス製1Lの三口丸底フラスコに、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬製、初留点300℃、136g)を仕込み、30kPaに減圧下、撹拌しながら140℃に加熱した後、これに上記のビス[パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸]マグネシウム塩のジエチレングリコールジメチルエーテル溶液(382.4g)を3時間かけて滴下し、更に同減圧下および同温度で1時間保持した。反応終了後、コールドトラップに回収された生成物(74.24g)をベンゾトリフルオリドを内部標準物質として用いて19F-NMRにて分析することにより、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が67.56g(0.277mol、収率65%)生成していることが確認された。なお、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の生成量は4.50g(収率4.0%)であった。
実施例8~17では、工業的な規模での実施が容易な液相系での脱炭酸反応によってパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を得ることができた。実施例8~17と比較例2との対比から、実施例8~17では、固相系での脱炭酸反応が行われた比較例2と同等以上の収率でパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が得られたこと、および比較例2と同等以下まで副生物である2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の生成を抑制できたことが確認できる。
以上説明した各種態様により、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の工業的な規模での実施が可能となる。こうして得られるパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)は、ガス分離膜用樹脂、光ファイバー用透明樹脂として有望なポリ[(パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)]の合成原料として用いることができる。
本出願は、2018年11月6日出願の日本特願2018-208937号および2018年11月6日出願の日本特願2018-208938号の優先権を主張し、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される。

Claims (21)

  1. 少なくとも以下に示す工程(1)~(3)を含むパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
    (1)パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)およびその加水分解生成物の少なくともいずれか一方を、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液と反応させた後、生じたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を分液操作により分取する。
    (2)得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体に対して、水の留去および水の吸着からなる群から選択される水分含有率低減処理の1種以上を行うことにより、溶液状または固体状のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を得る。
    (3)得られた溶液状または固体状のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を用い液相系にて脱炭酸反応を行いパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を生成させる。
  2. 工程(1)において、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を分液操作により分取した後、更に以下の工程(4)を行うことを含む、請求項1に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
    (4)工程(1)で得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を、更に水または無機塩を溶解させた水と接触させ、次いで分液操作を行いパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を再度分取する操作を1回以上行う。
  3. 工程(1)において、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液と反応させる前、反応させた後および分液操作後の少なくともいずれかにおいて、1種以上の非プロトン性溶媒Cを添加することを更に含む、請求項1または2に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  4. 非プロトン性溶媒Cが、エーテル系溶媒である、請求項3に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  5. 非プロトン性溶媒Cが、グリコールジエーテル系溶媒である、請求項3または4に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  6. 非プロトン性溶媒Cが、ジエチレングリコールジメチルエーテルである、請求項3~5のいずれか一項に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  7. 工程(2)における水分含有率低減処理は、水と共沸組成物を形成する1種以上の共沸溶媒を存在させる水の留去を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  8. 工程(2)における水分含有率低減処理は、水と共沸組成物を形成し且つ工程(1)で添加する非プロトン性溶媒Cよりも低い沸点を有する1種以上の共沸溶媒を存在させる水の留去を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  9. 共沸溶媒がイソプロピルアルコールおよびトルエンからなる群から選択される1種以上の溶媒である、請求項7または8に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  10. 工程(3)において液相系で脱炭酸反応を行う際に液相系に含まれる溶媒が、グリコールジエーテル系溶媒を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  11. パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む原料液を反応蒸留器に連続的に供給し、反応蒸留を行いパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を生成させる反応蒸留工程を有するパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソランの製造方法。
  12. 反応蒸留工程は、非プロトン性溶媒Aに溶解させたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩の原料液を、減圧下、反応蒸留器内で加熱された非プロトン性溶媒B中に連続供給し、且つ、生成したパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)を系外へ蒸留留出させながら反応させることを含み、非プロトン性溶媒Bは、非プロトン性溶媒Aと同一または非同一であって、且つ、非プロトン性溶媒Aと同じかそれ以上の沸点を有する溶媒である、請求項11に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  13. 非プロトン性溶媒Aが、少なくとも1種のエーテル系溶媒を含む、請求項12に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  14. 非プロトン性溶媒Aが、少なくとも1種のグリコールジエーテル系溶媒を含む、請求項12または13に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  15. 非プロトン性溶媒Aが、ジエチレングリコールジメチルエーテルを含む、請求項12~14のいずれか一項に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  16. 非プロトン性溶媒Bが、少なくとも1種のアルカン系溶媒を含む、請求項12~15のいずれか一項に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  17. 非プロトン性溶媒Bが、流動パラフィンを含む、請求項16に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  18. 非プロトン性溶媒Bが、少なくとも1種のグリコールジエーテル系溶媒を含む、請求項12~15のいずれか一項に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  19. 非プロトン性溶媒Bが、テトラエチレングリコールジメチルエーテルを含む、請求項18に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  20. 原料液が、パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸カリウム塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸ナトリウム塩を含む、請求項11~19のいずれか一項に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
  21. 下記工程(1)および(2)を更に含む、請求項11~20のいずれか一項に記載のパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法。
    (1)パーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)およびその加水分解生成物の少なくともいずれか一方を、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液と反応させた後、生じたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を分液操作により分取する。
    (2)得られたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体に対して、水の留去および水の吸着からなる群から選択される水分含有率低減処理の1種以上を行うことにより、溶液状または固体状のパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を得る。
JP2020556092A 2018-11-06 2019-11-06 パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法 Active JP7335267B2 (ja)

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