JP7333175B2 - 微生物抵抗性が増強されたビール風味発酵麦芽飲料 - Google Patents
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本発明は、ビール風味発酵麦芽飲料に関し、より具体的には、微生物抵抗性が増強されたビール風味発酵麦芽飲料に関する。
ビールのpHを上昇させると、微生物の繁殖によるビールの混濁のリスクが上昇することが分かっている。よって、ビールのpHを上昇させるためには、ビールに微生物抵抗性を付与する技術が必要となる。
(1)ビール風味発酵麦芽飲料であって、亜硫酸の含有量が5.8ppm以上であり、α酸の含有量が、飲料を下記分析条件:
<高速液体クロマトグラフィ分析条件>
試料調製:飲料サンプル10mlに1mlの3N塩酸を加え、そこに20mlのイソオクタンを加えて振とうした後に得られるイソオクタン有機溶媒層から10mlを採取し、その溶媒を蒸発させた後に残る固体に、内部標準物質としてβフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものを分析用試料とする
カラム:C18オクタデシルカラム(粒径5μm×内径4.0mm×カラム長250mm)
移動相組成:蒸留水27.0%(v/v)・メタノール72.0%(v/v)・リン酸1.0%(v/v)
移動相流速:毎分1ml(流速一定)
検出波長:270nm
による高速液体クロマトグラフィ分析に付した場合における、βフェニルカルコンのピーク面積に対するα酸のピーク面積の比(α酸内標比)として、0.13以上である、ビール風味発酵麦芽飲料。
(2)pHが4.4~4.5である、前記(1)に記載のビール風味発酵麦芽飲料。
(3)BUが、次の条件:BU≧42.0×pH-163.3を満たす、前記(1)または(2)に記載のビール風味発酵麦芽飲料。
(4)乳酸の含有量が250ppm以下である、前記(1)~(3)のいずれかに記載のビール風味発酵麦芽飲料。
(5)総ポリフェノールの含有量が200ppm以下である、前記(1)~(4)のいずれかに記載のビール風味発酵麦芽飲料。
(6)ビールである、前記(1)~(5)のいずれかに記載のビール風味発酵麦芽飲料。
(7)ビール風味発酵麦芽飲料を製造する方法であって、飲料中の亜硫酸の含有量を5.8ppm以上に調製し、α酸の含有量を、α酸内標比として0.13以上に調整することを含んでなる、方法。
(8)ビール風味発酵麦芽飲料のpHが4.4~4.5である、前記(7)に記載の方法。
(9)BUが、次の条件:BU≧42.0×pH-163.3の条件を満たすように調製される、前記(7)または(8)に記載の方法。
(10)ビール風味発酵麦芽飲料がビールである、前記(7)~(9)のいずれかに記載の方法。
(11)ビール風味発酵麦芽飲料の微生物抵抗性を増強する方法であって、飲料中の亜硫酸の含有量を5.8ppm以上に調製し、α酸の含有量を、α酸内標比として0.13以上に調整することを含んでなる、方法。
<高速液体クロマトグラフィ分析条件>
試料調製:飲料サンプル10mlに1mlの3N塩酸を加え、そこに20mlのイソオクタンを加えて振とうした後に得られるイソオクタン有機溶媒層から10mlを採取し、その溶媒を蒸発させた後に残る固体に、内部標準物質としてβフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものを分析用試料とする
カラム:C18オクタデシルカラム(粒径5μm×内径4.0mm×カラム長250mm)
移動相組成:蒸留水27.0%(v/v)・メタノール72.0%(v/v)・リン酸1.0%(v/v)
移動相流速:毎分1ml(流速一定)
検出波長:270nm
による高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析に付した場合における、βフェニルカルコンのピーク面積に対するα酸のピーク面積の比(以下「α酸内標比」という)として、0.13以上とされる。α酸の含有量の上限値は、特に限定されるものではないが、例えば、α酸内標比として、1.0とすることができ、好ましくは0.8、より好ましくは0.6とすることができる。
飲料中の亜硫酸の含有量は、特開昭60-39560号公報に記載の方法によって測定した。
飲料中のα酸の含有量は、飲料を下記分析条件:
<高速液体クロマトグラフィ分析条件>
試料調製:飲料サンプル10mlに1mlの3N塩酸を加え、そこに20mlのイソオクタンを加えて振とうした後に得られるイソオクタン有機溶媒層から10mlを採取し、その溶媒を蒸発させた後に残る固体に、内部標準物質としてβフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものを分析用試料とする
カラム:C18オクタデシルカラム(粒径5μm×内径4.0mm×カラム長250mm)
移動相組成:蒸留水27.0%(v/v)・メタノール72.0%(v/v)・リン酸1.0%(v/v)
移動相流速:毎分1ml(流速一定)
検出波長:270nm
による高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析によって測定した。測定結果は、内部標準物質であるβフェニルカルコンのピーク面積に対するα酸のピーク面積の比(α酸内標比)として示した。
飲料のBU(ビターユニット)の値は、EBC法(ANALYTICA-EBC, 4th ed. Supplement 1989(E131)参照)に準拠して測定した。
飲料中の乳酸の含有量は、「改訂BCOJビール分析法 8.24.2 キャピラリー電気泳動法」(ビール酒造組合国際技術開発部委員会(分析委員会)編、日本醸造協会、2013)に従って測定した。
飲料中の総ポリフェノールの含有量は、「改訂BCOJビール分析法 8.19 総ポリフェノール分析」(ビール酒造組合国際技術開発部委員会(分析委員会)編、日本醸造協会、2013)に従って測定した。
(1)各種ビールサンプルの調製
市販品のビールにおいて、pH調整、BU値調整、α酸の含有量の調整または亜硫酸含有量の調整を行い、様々なビールサンプルを調製した。これらビールサンプルの詳細を以下の表1に示す。
(1)で得られたビールサンプルに、ビール混濁菌であるラクトバチルス・ブレビスを、1×104CFU/mlレベルで植菌し、容器に蓋をした後、25℃でインキュベートした。その後、毎日、混濁の有無を目視で確認した。その結果を以下の表2に示す。
表1に示される分析値および表2に示される植菌試験結果について、ビール中でのラクトバチルス・ブレビスの混濁にかかる日数への各因子の影響を解明するための多変量解析を行った。まず、目的変数をラクトバチルス・ブレビスの混濁日数、説明変数をpH、非解離イソα酸、非解離α酸、および非解離亜硫酸として、これらの変数の全ての組み合わせについてステップワイズ回帰解析を行ったところ、あてはまりの良いモデル式が構築できた。このモデル式において効果が高いとされた項目は、非解離α酸、非解離亜硫酸、非解離α酸と非解離亜硫酸の組み合わせ、非解離イソα酸、pHと非解離亜硫酸との組み合わせとなった。
(1)で得られたビールサンプルに、ビール混濁菌であるペクチネイタス・フリシンジェンシス(入手先:ドイツ微生物寄託機関(Deutsche Sammlung von Microorganismen und Zellkulturen GmbH(DSM))を、1×104CFU/mlレベルで植菌し、容器に蓋をした後、25℃でインキュベートした。その後、毎日、混濁の有無を目視で確認した。その結果を以下の表3に示す。
本実施例では、乳酸のビール香味への影響を調べた。具体的には、市販品のビールにおいて一部パラメータの調整を行った。試飲サンプルのベースとなるビール(pH4.42、BU値23.8、α酸の含有量(内標比)0.20、亜硫酸含有量7.4ppm)に対し、さらに乳酸の濃度調整を行うことにより異なる乳酸濃度を有する複数のビールサンプルを調製し、これらのサンプルについて官能評価を行った。乳酸の濃度調整は、pHが変化しないように、乳酸と乳酸ナトリウムを組み合わせて添加することにより行った。官能評価は5名のパネラーによって行われ、評価項目は酸味およびボディ感とした。評価基準は、酸味およびボディ感の両方につき、0(感じない)、1(わずかに感じる)、2(感じる)および3(強く感じる)の4段階のスコアによる評価とした。対照サンプルとして用いる市販品のビールそのものの評価スコアは、酸味を1とし、ボディ感を2とした。評価結果を以下の表4に示す。
本実施例では、ポリフェノールのビール香味への影響を調べた。具体的には、市販品のビールにおいて一部パラメータの調整を行った。試飲サンプルのベースとなるビール(pH4.42、BU値23.8、α酸の含有量(内標比)0.20、亜硫酸含有量7.4ppm)に対し、さらにポリフェノールの濃度調整を行うことにより異なる総ポリフェノール濃度を有する複数のビールサンプルを調製し、これらのサンプルについて官能評価を行った。官能評価は5名のパネラーによって行われ、評価項目は苦渋味感とした。評価基準は、0(感じない)、1(わずかに感じる)、2(感じる)および3(強く感じる)の4段階のスコアによる評価とした。対照サンプルとして用いる市販品のビールそのものの評価スコアは1とした。評価結果を以下の表5に示す。
Claims (11)
- ビール風味発酵麦芽飲料であって、亜硫酸の含有量が5.8ppm以上であり、α酸の含有量が、飲料を下記分析条件:
<高速液体クロマトグラフィ分析条件>
試料調製:飲料サンプル10mlに1mlの3N塩酸を加え、そこに20mlのイソオクタンを加えて振とうした後に得られるイソオクタン有機溶媒層から10mlを採取し、その溶媒を蒸発させた後に残る固体に、内部標準物質としてβフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものを分析用試料とする
カラム:C18オクタデシルカラム(粒径5μm×内径4.0mm×カラム長250mm)
移動相組成:蒸留水27.0%(v/v)・メタノール72.0%(v/v)・リン酸1.0%(v/v)
移動相流速:毎分1ml(流速一定)
検出波長:270nm
による高速液体クロマトグラフィ分析に付した場合における、βフェニルカルコンのピーク面積に対するα酸のピーク面積の比(α酸内標比)として、0.13以上である、ビール風味発酵麦芽飲料。 - pHが4.4~4.5である、請求項1に記載のビール風味発酵麦芽飲料。
- BUが、次の条件:BU≧42.0×pH-163.3を満たす、請求項1または2に記載のビール風味発酵麦芽飲料。
- 乳酸の含有量が250ppm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のビール風味発酵麦芽飲料。
- 総ポリフェノールの含有量が200ppm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のビール風味発酵麦芽飲料。
- ビールである、請求項1~5のいずれか一項に記載のビール風味発酵麦芽飲料。
- ビール風味発酵麦芽飲料を製造する方法であって、飲料中の亜硫酸の含有量を5.8ppm以上に調製し、α酸の含有量を、飲料を下記分析条件:
<高速液体クロマトグラフィ分析条件>
試料調製:飲料サンプル10mlに1mlの3N塩酸を加え、そこに20mlのイソオクタンを加えて振とうした後に得られるイソオクタン有機溶媒層から10mlを採取し、その溶媒を蒸発させた後に残る固体に、内部標準物質としてβフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものを分析用試料とする
カラム:C18オクタデシルカラム(粒径5μm×内径4.0mm×カラム長250mm)
移動相組成:蒸留水27.0%(v/v)・メタノール72.0%(v/v)・リン酸1.0%(v/v)
移動相流速:毎分1ml(流速一定)
検出波長:270nm
による高速液体クロマトグラフィ分析に付した場合における、βフェニルカルコンのピーク面積に対するα酸のピーク面積の比(α酸内標比)として、0.13以上に調整することを含んでなる、方法。 - ビール風味発酵麦芽飲料のpHが4.4~4.5である、請求項7に記載の方法。
- BUが、次の条件:BU≧42.0×pH-163.3の条件を満たすように調製される、請求項7または8に記載の方法。
- ビール風味発酵麦芽飲料がビールである、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
- ビール風味発酵麦芽飲料の微生物抵抗性を増強する方法であって、飲料中の亜硫酸の含有量を5.8ppm以上に調製し、α酸の含有量を、飲料を下記分析条件:
<高速液体クロマトグラフィ分析条件>
試料調製:飲料サンプル10mlに1mlの3N塩酸を加え、そこに20mlのイソオクタンを加えて振とうした後に得られるイソオクタン有機溶媒層から10mlを採取し、その溶媒を蒸発させた後に残る固体に、内部標準物質としてβフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものを分析用試料とする
カラム:C18オクタデシルカラム(粒径5μm×内径4.0mm×カラム長250mm)
移動相組成:蒸留水27.0%(v/v)・メタノール72.0%(v/v)・リン酸1.0%(v/v)
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検出波長:270nm
による高速液体クロマトグラフィ分析に付した場合における、βフェニルカルコンのピーク面積に対するα酸のピーク面積の比(α酸内標比)として、0.13以上に調整することを含んでなる、方法。
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ビール醸造技術,初版,株式会社食品産業新聞社,1999年12月28日,第297,355頁 |
国税庁,酒類製造における亜硫酸の適正使用について,2013年,http://budou.jpn.org/budou2/wp-content/uploads/2014/07/7f62d366312537ec72563f2476767952.pdf,[検索日2023年2月23日] |
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