JP2018198554A - 麦芽飲料及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】良好な冷涼感を有する麦芽飲料及びその製造方法の提供。【解決手段】リナロールの濃度を20ppb以下に調整することと、δ−カジネンの濃度を2ppb以上に調整することとを含む麦芽飲料の製造方法。外観発酵度を80%以上に調整することを含む該麦芽飲料の製造方法。麦汁を煮沸することを含み、麦汁煮沸開始から30分以内にホップの添加を完了し、ホップが添加された麦汁をさらに煮沸することを含む、前記麦芽飲料の製造方法。ホップはポラリス種ホップを含むことが好ましく、麦汁の麦芽比率が50%以上であることが更に好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、麦芽飲料及びその製造方法に関する。
麦芽飲料は、原料に麦芽を使用して製造される飲料をいう。例えば、麦芽由来の糖液を発酵させて得られる飲料、麦芽由来の糖液を混合して得られる飲料などは麦芽飲料に該当する。麦芽飲料の具体例にはビール、ビール様麦芽飲料等が含まれる。
ビールとは、麦芽、ホップ、及び水を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる飲料をいう。ビール様麦芽飲料は、味及び香りがビールと同様になるように設計された麦芽飲料をいう。ビール様麦芽飲料は発酵させたものであっても、発酵させないものであってもよい。発泡酒並びに麦芽由来の糖液、ホップ、香料及び炭酸ガス等を混合させた飲料はビール様麦芽飲料に含まれる。ビール様麦芽飲料には、アルコールを実質的に含有しない、いわゆるノンアルコールビールも含まれる。
麦芽飲料の原料としての麦汁は、麦芽を含む穀類を粉砕し、副原料及び水と混合して加熱することによりデンプンを糖化し、麦汁を濾過し、得られる糖液にホップを加えて更に煮沸して製造される。麦芽等を水と共に加熱する過程は、一般に、糖化と呼ばれ、糖液を煮沸する過程は麦汁煮沸と呼ばれる。麦汁という文言の意味には、糖化後に得られる糖液も含まれることがある。
飲料分野においては、嗜好の多様化等の観点から種々の添加物を用いて種々の香味、呈味を付与した飲料が提供されている。例えば特許文献1には「冷涼感」という香味の付与について、特定のホップに多く含まれるβ−ユーデスモールを用いる方法が記載されている。またミントのような香味を呈するホップとしてポラリス種ホップが知られている。例えば特許文献2にはポラリス種ホップ抽出物の酵素処理物を用いる発酵麦芽飲料における日光臭を抑制する方法が記載されている。一方、特許文献3には、ホップ成分の1種であるδ−カジネンを所定量含有するビールテイスト飲料が記載され、シトラール劣化等に起因する香味悪化が抑制されるとされている。
特開2015−156848号公報 特開2015−119645号公報 特開2014−217347号公報
従来の冷涼感を付与する方法では、冷涼感と他の香味等とのバランスをとることが難しかった。本発明は、良好な冷涼感を有する麦芽飲料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、リナロールの濃度を20ppb以下に調整することと、δ−カジネンの濃度を2ppb以上に調整することとを含む麦芽飲料の製造方法を提供する。
ある一形態において、製造方法は、外観発酵度を80%以上に調整することを含む。
ある一形態において、製造方法は、外観発酵度を85%以上に調整することを含む。
ある一形態において、製造方法は、麦汁を煮沸することを含み、麦汁煮沸開始から30分以内にホップの添加を完了し、ホップが添加された麦汁をさらに煮沸することを含む。
ある一形態の製造方法においては、ホップがポラリス種ホップを含む。
ある一形態の製造方法においては、前記麦汁の麦芽比率が50%以上である。
また本発明は、リナロールの濃度が20ppb以下であり、δ−カジネンの濃度が2ppb以上である麦芽飲料を提供する。
ある一形態において、麦芽飲料は、外観発酵度が80%以上である。
ある一形態において、麦芽飲料は、外観発酵度が85%以上である。
また本発明は、リナロールの濃度を20ppb以下に調整することと、δ−カジネンの濃度を2ppb以上に調整することとを含む、麦芽飲料の冷涼感付与方法を提供する。
ある一形態において、冷涼感付与方法は、外観発酵度を80%以上に調整することを含む。
ある一形態において、冷涼感付与方法は、外観発酵度を85%以上に調整することを含む。
本発明によれば、良好な冷涼感を有する麦芽飲料及びその製造方法を提供することができる。
ビールの穀物感、ホップ香、冷涼感及び飲みやすさの強度とδ−カジネン濃度との関係を示すグラフである。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
麦芽飲料の製造方法
本発明の麦芽飲料の製造方法は、リナロールの濃度を20ppb以下に調整することと、δ−カジネンの濃度を2ppb以上に調整することとを含む。δ−カジネンを所定濃度以上に調整することに加えて、ホップの香気成分の1種であるリナロールを所定濃度以下に調整することで、良好な冷涼感を有する麦芽飲料を効率的に製造することができる。リナロール濃度が20ppbを越えると、麦芽飲料の香味及び呈味の観点から十分な冷涼感を得ることが困難になる場合がある。リナロール濃度は好ましくは10ppb以下、より好ましくは5ppb以下、更に好ましくは3ppb以下、特に好ましくはリナロールの弁別閾値(例えば、1.0ppb)未満である。リナロール濃度の下限値は例えば0.1ppb以上であり、好ましくは0.5ppb以上であり、より好ましくは0.6ppb以上である。またδ−カジネン濃度が2ppb未満では十分な冷涼感を得ることが困難になる場合がある。δ−カジネン濃度は、冷涼感の観点から、好ましくは3ppb以上、より好ましくは4ppb以上、更に好ましくは5ppb以上である。またδ−カジネン濃度は、香味バランスの観点から、例えば20ppb以下であり、好ましくは15ppb以下であり、より好ましくは10ppb以下である。
麦芽飲料の製造方法におけるリナロール濃度の調整方法は、所望の濃度に調整可能であれば特に制限されない。例えば調整対象物にリナロールが所望の濃度以上に含まれている場合には、例えば煮沸等の熱処理によりリナロールを揮散させればよい。また例えば調整対象物のリナロール濃度が所望の濃度未満である場合には、必要量のリナロールを添加すればよい。また麦芽飲料の製造におけるδ−カジネン濃度の調整方法は、所望の濃度に調整可能であれば特に制限されない。例えば調整対象物のδ−カジネン濃度が所望の濃度未満である場合には、必要量のδ−カジネンを添加すればよい。リナロール濃度の調整とδ−カジネン濃度の調整は、同一の工程で実施してもよく、異なる工程で実施してもよい。
麦芽飲料の製造方法におけるリナロール濃度及びδ−カジネン濃度の調整は、原料の種類及び使用量を調節することで行ってもよい。リナロール及びδ−カジネンを含む原料の例にはホップが挙げられる。ホップは、麦芽飲料に苦味と爽快な香りを付与し、泡持ちを良くする、さらには麦芽飲料の微生物耐久性を向上させる目的で、麦芽飲料を製造する際に使用される原料である。ホップを原料として添加する形態は、ホップペレットでもよいし、ホップエキスとしてでもよい。ホップには種々の種類が知られているが、麦芽飲料に冷涼感を付する観点から、ポラリス種ホップを用いることが好ましい。ホップとしてポラリス種ホップを用いる場合、通常使用される種類のホップの全部又は一部をポラリス種ホップに代替すればよい。通常使用される種類のホップの一部をポラリス種ホップに代替する場合、ポラリス種ホップの使用量は、リナロール及びδ−カジネンの含有量及び麦芽飲料の冷涼感を考慮して、通常使用されるホップの約20重量%以上であり、好ましくは約30重量%以上100重量%以下、より好ましくは約50重量%以上100重量%以下の範囲で適宜調節される。
麦芽飲料の製造方法は、リナロールおよびδ−カジネンの濃度を調整すること以外は、ビール又はビール様麦芽飲料を製造する際に通常行われる方法及び条件に従って行われる。例えば、まず、麦芽の破砕物、大麦等の副原料、及び温水を仕込槽に加えて混合してマイシェを調製する。マイシェの調製は、常法により行うことができ、例えば、35℃以上60℃以下で20分間以上90分間以下の時間保持することにより行うことができる。また、必要に応じて、主原料と副原料以外にも、後述する糖化酵素やプロテアーゼ等の酵素剤や、スパイスやハーブ類等の香味成分等を添加してもよい。
糖化に供される穀類は麦芽を含む。糖化に供される穀類中の麦芽の含有量は、特に限定されないが、25重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは67重量%以上である。糖化に供される穀類は麦芽100重量%であってもよい。穀類中の麦芽の含有量が多いほど、得られる麦汁の麦芽由来の旨味やコク感が強くなる。また、穀類中の麦芽の含有量が多いほど得られる麦汁中の窒素化合物の含有量が多くなり、麦汁が発酵に供される場合に発酵不順が発生しにくくなり、不快臭が発生し難くなる。
麦芽には香気成分として2−アセチルピロリンが含まれている。麦芽の使用比率が高いほど、麦芽飲料に含まれる2−アセチルピロリン濃度が高くなる。本発明の麦芽飲料は麦芽使用比率が高いことが好ましく、2−アセチルピロリンを濃度0.2ppb以上の量で含有することが好ましい。
その後、マイシェを徐々に昇温して所定の温度で一定期間保持することにより、麦芽由来の酵素やマイシェに添加した酵素を利用して、澱粉質を糖化させる。糖化処理時の温度や時間は、用いる酵素の種類やマイシェの量、目的とする麦芽飲料の品質等を考慮して、適宜決定することができ、例えば、60℃以上72℃以下にて30分間以上90分間以下の時間保持することにより行うことができる。糖化処理後、76℃以上78℃以下で10分間程度保持した後、マイシェを麦汁濾過槽にて濾過することにより、透明な糖液を得る。また、糖化処理を行う際に、酵素剤を必要な範囲で適当量添加してもよい。
上記副原料とは、麦芽とホップ以外の原料を意味する。副原料として、例えば、大麦、小麦、コーンスターチ、コーングリッツ、米、こうりゃん等の澱粉原料や、液糖や砂糖等の糖質原料がある。ここで、液糖とは、澱粉質を酸又は糖化酵素により分解、糖化して製造されたものであり、主にグルコース、マルトース、マルトトリオース等が含まれている。その他、香味を付与又は改善することを目的として用いられるスパイス類、ハーブ類、及び果物等も、副原料に含まれる。
糖化酵素とは、澱粉質を分解して糖を生成する酵素を意味する。該糖化酵素として、例えば、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルナラーゼ等が挙げられる。
麦汁煮沸の操作は、ビールを製造する際に通常行われる方法及び条件に従って行えばよい。例えば、pHを調節した糖化した麦汁を煮沸釜に移し、煮沸する。麦汁の煮沸開始時から、ワールプール静置の間に、ホップを添加する。ホップとしてホップエキス又はホップから抽出した成分を使用してもよい。
麦芽飲料の製造方法では、麦汁の煮沸開始時から例えば50分以内、好ましくは30分以内、より好ましくは20分以内にホップの添加を完了し、ホップが添加された麦汁をさらに煮沸することが好ましい。所定量のホップが添加された麦汁を煮沸することで、リナロール及びδ−カジネンの濃度を所望の範囲に調整することができる。リナロールはホップに含まれる香気成分の1種であるが、麦汁を煮沸することによって揮散させることができ、麦芽飲料におけるリナロール濃度を所望の範囲に調整することができる。ここで麦汁の煮沸開始時とは、麦汁を加熱して沸騰が始まった時点をいう。また例えばホップの種類及び使用量を調整することでホップに含まれる成分であるδ−カジネンの麦芽飲料中の濃度を所望の範囲に調整することができる。ホップが添加された麦汁をさらに煮沸する時間及び煮沸強度は、目的とするリナロール濃度等に応じて適宜選択すればよい。
麦汁を煮沸して得られた糖液は次いでワールプールと呼ばれる沈殿槽に移し、煮沸により生じたホップ粕や凝固した蛋白質等を除去した後、プレートクーラーにより適切な発酵温度まで冷却する。上記麦汁煮沸の操作により、麦汁が得られる。
得られた麦汁は、例えば、発酵させて、ビール又は含アルコールビール様発酵麦芽飲料を製造することができる。麦汁の発酵は常法に従って行えばよい。例えば、冷却した麦汁に酵母を接種して、発酵タンクに移し、アルコール発酵を行う。酵母による発酵の程度は例えば外観発酵度を指標とすることができる。麦芽飲料の製造方法では、外観発酵度が例えば80%以上であり、好ましくは85%以上、より好ましくは87%以上である。外観発酵度が前記範囲であると、得られる麦芽飲料の冷涼感がより向上する。ここで外観発酵度とは、(発酵前の麦汁糖度−発酵後の発酵液糖度)/(発酵前の麦汁糖度)で示され、Methods of Analysis of ASBC 7th revised edition 1976に記載された方法で測定される。
さらに、熟成工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させる。次いで濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより酵母及びタンパク質等を除去して、目的のビール又は含アルコールビール様発酵麦芽飲料が得られる。
麦芽飲料の製造方法は、非発酵ビール様麦芽飲料の製造方法であってもよく、適当な工程でリナロール及びδ−カジネンの濃度を調整すること以外は、非発酵ビール様麦芽飲料を製造する際に通常行われる工程を包含してもよい。一例として、まず、麦芽由来物、高分子糖、甘味物質及びその他の成分を所定量混合して配合物を調製する。次いで、配合物に飲用水を所定量添加して一次原料液を調製する。ホップを添加して一次原料液を煮沸する。
麦芽飲料の製造方法では、一次原料液の煮沸開始時から例えば50分以内、好ましくは30分以内、より好ましくは20分以内にホップの添加を完了し、ホップが添加された一次原料液をさらに煮沸することが好ましい。所定量のホップが添加された一次原料液を煮沸することで、リナロール及びδ−カジネンの濃度を所望の範囲に調整することができる。
一次原料液を煮沸後、冷却し、酒類を加え、カーボネーション工程によって炭酸ガスを添加することで麦芽飲料が製造される。
加えられる酒類はアルコール源であり、例えば、原料用アルコール、焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジン、スピリッツ等を使用することができる。コストの観点から、中でも、原料用アルコール等が一般に使用される。原料用アルコールには、サトウキビなどから得られる糖蜜を原料として、アルコール発酵させた液を連続式蒸留器でエタノール濃度約95%まで蒸留した後、エタノール濃度45%を下限として適宜希釈してエタノール濃度を調節し、使用するものが含まれる。
必要により、各段階において、濾過、遠心分離等で沈澱を分離除去することもできる。また、上記原料液を濃厚な状態で作成した後に、炭酸水を添加しても良い。これらは通常のソフトドリンクの製造プロセスを用いることで、発酵設備を持たなくても、簡便に非発酵ビール様アルコール飲料の調製が可能である。
カーボネーション工程や炭酸水添加工程の前に沈殿を除去すると、オリや雑味の原因物質が除去でき、より望ましい。尚、カーボネーション工程や炭酸水の添加工程の前に、必要に応じてろ過又は殺菌を行ってもよい。
麦芽飲料
本発明の麦芽飲料は、原料に麦芽を使用して製造される飲料であって、リナロールの濃度が20ppb以下であって、δ−カジネンの濃度が2ppb以上である。リナロール濃度が所定値以下で、δ−カジネン濃度が所定値以上であることで、良好な冷涼感を有する麦芽飲料を構成できる。リナロール濃度が20ppbを越えると、麦芽飲料の香味及び呈味の観点から十分な冷涼感を得ることが困難になる場合がある。リナロール濃度及びδ−カジネン濃度の好ましい範囲は、既述の通りである。
麦芽飲料中のリナロール濃度及びδ−カジネン濃度は、例えばGC/MS装置を使用して測定することができる。具体的には、まず、試験品10mLを、水酸化ナトリウムを用いてpH9に調整した後、ヘキサン40mLと混合してヘキサン抽出を行う。次いで、抽出後のヘキサン層をエバポレーションにより1mLにまで濃縮し、この濃縮液をGC/MS装置に供する。
麦芽飲料は、δ−カジネンに加えて、ホップに含まれるδ−カジネン以外の他のセスキテルペン類及びその誘導体を含んでいてもよい。他のセスキテルペン類及びその誘導体の例には、4−エピ−キュベボール、α−キュベベン、α−カジノール、α−キュベベン、γ−ムウロレン、α−アモルフェン、α−ムウロレン等が含まれる。
麦芽飲料は、発酵麦芽飲料であることが好ましく、その外観発酵度は、例えば80%以上であり、好ましい範囲は既述の通りである。外観発酵度が前記範囲であると、麦芽飲料における冷涼感がより向上する。
麦芽飲料はある程度苦味を示すことが好ましい。苦みを有することで、δ−カジネンを所定量含む場合に、飲みやすさ及びキレ感が向上し、より良好な冷涼感が付与される。麦芽飲料の苦味価は、例えば10°EBC以上であり、好ましくは18°EBC以上である。麦芽飲料の苦味は、ホップの使用量を増加させる、ホップエキスを添加する等の手段により強くすることができる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
δ−カジネンの添加試験
外観発酵度及びリナロール濃度が異なる市販のビールを4種準備した。準備したビールAからDの外観発酵度及びリナロール濃度を表1に示す。準備したビールのそれぞれについて、δ−カジネンの濃度が2ppb、6ppb及び10ppbとなるようにδ−カジネンを添加して3種の官能評価用の発酵麦芽飲料を調製した。
得られた発酵麦芽飲料について、よく訓練されたパネリスト5名によりブラインドでの官能評価を実施した。評価性能には、穀物感の強度(穀物香と穀物味の総合評価)、ホップ香の強度、冷涼感の強度及び飲みやすさを設定した。評価基準は次の通り5段階を設定した。各パネリストによる採点結果を平均値と共に表2に示す。また、採点結果の濃度毎の平均値を図1に示す。
(穀物感の強度)
5:大変強い
4:強い
3:ある程度強い
2:やや弱い
1:弱い
(ホップ香の強度)
5:大変強い
4:強い
3:ある程度強い
2:やや弱い
1:弱い
(冷涼感の強度)
5:大変強い
4:強い
3:ある程度強い
2:やや弱い
1:弱い
(飲みやすさの強度)
5:大変強い
4:強い
3:ある程度強い
2:やや弱い
1:弱い
外観発酵度が比較的低い発酵麦芽飲料A及びBでは、δ−カジネン濃度の上昇に伴って穀物感の減少が確認されるが、冷涼感は比較的少なかった。これは後味が多いためと考えられる。ホップ香はリナロール濃度に相関しているが、δ−カジネン濃度の影響は少なかった。リナロール濃度が20ppbを越える発酵麦芽飲料A及びCでは、冷涼感が少なかった。外観発酵度が高く、リナロール濃度が低い発酵麦芽飲料Dにおいてδ−カジネン濃度の上昇に伴って冷涼感をより高く感じる結果となった。
<実施例2>
冷涼感の比較官能検査
(試験品の製造)
試験品となる発酵麦芽飲料を以下のようにして製造した。麦芽30kg、コーンスターチ10kgを50℃、150Lの湯と混合してマイシェを作製した。マイシェは50℃、30分でタンパク分解を実施し、その後、62℃、30分糖化させた。糖化液は麦汁濾過後、160Lになるように湯で液量を調整し、加温した。
ホップとして、全添加量の50重量%のポラリス種ホップと、50重量%のナゲット種ホップを使用した。ホップの添加濃度は、α酸が10g/hLとなるように調整した。ホップは全量を煮沸開始時点に添加して、ホップを添加した麦汁の煮沸を60分実施した。麦汁煮沸後、麦汁はワールプールに60分静置させ、沈殿物を除去した。次いでプレートクーラーで冷却し、所定量の酵母を添加して10℃、10日間発酵させた。その後、10℃で7日間熟成させた後0℃で安定化させた。安定化が終了した発酵麦芽飲料は、珪藻土濾過し、壜詰して試験品の発酵麦芽飲料とした。
(対照品の製造)
添加するホップの全量をナゲット種ホップに変更したこと以外は、試験品の製造と同様にして対照品の発酵麦芽飲料を製造した。
上記で得られた試験品と対照品の発酵麦芽飲料について、外観発酵度、リナロール濃度及びδ−カジネン濃度を測定した。結果を表3に示す。
得られた麦芽発酵飲料について訓練されたパネリスト11名にて、以下のようにして官能評価を実施した。
<官能評価方法>
試験品及び対照品をホップ品種名非提示で飲み、冷涼感を感じるサンプルについて強制選択を実施した。
<評価結果>
パネリスト11名すべてが「試験品の方が、冷涼感がある」を選択した。なお選択した理由については以下の通りであった。
・より軽快に感じる
・穀物香が減る
・もったり感が減る
・冷涼感がある
以上から、リナロール濃度が20ppb以下で、δ−カジネン濃度が2ppb以上に調整された発酵麦芽飲料は、良好な冷涼感を有することが分かる。

Claims (9)

  1. リナロールの濃度を20ppb以下に調整することと、δ−カジネンの濃度を2ppb以上に調整することとを含む麦芽飲料の製造方法。
  2. 外観発酵度を80%以上に調整することを含む請求項1に記載の製造方法。
  3. 麦汁を煮沸することを含み、麦汁煮沸開始から30分以内にホップの添加を完了し、ホップが添加された麦汁をさらに煮沸することを含む請求項1又は2のいずれかに記載の製造方法。
  4. 前記ホップがポラリス種ホップを含む請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記麦汁は、麦芽比率が50%以上である請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. リナロールの濃度が20ppb以下であり、δ−カジネンの濃度が2ppb以上である麦芽飲料。
  7. 外観発酵度が80%以上である請求項6に記載の麦芽飲料。
  8. リナロールの濃度を20ppb以下に調整することと、δ−カジネンの濃度を2ppb以上に調整することとを含む、麦芽飲料の冷涼感付与方法。
  9. 外観発酵度を80%以上に調整することを含む請求項8に記載の方法。
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