JP2023110821A - 低アルコールビールテイスト飲料及びその製造方法 - Google Patents

低アルコールビールテイスト飲料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄味が低減され、ビールらしい香味バランスに優れた、低アルコールビールテイスト飲料を提供すること。【解決手段】4~9w/w%の真性エキス濃度を有し、10~60mg/100mlの量で苦味系アミノ酸を含み、脱アルコール麦汁発酵液に由来する成分を含む、低アルコールビールテイスト飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、低アルコールビールテイスト飲料に関し、特に、アルコール濃度が1v/v%未満である低アルコールビールテイスト飲料に関する。「ビールテイスト」とは、ビールを想起させる味及び香気をいう。「ビール」とは麦芽、ホップ及び水などを原料として、これらを酵母で発酵させて得られる飲料をいう。
ビールは、一般に、原料として麦芽を使用し、約5%の量でアルコールを含有する。ビールは、麦芽成分のコク感、苦味等が後を引かないキレ感、醸造由来の複雑味等が調和することで、嗜好性が高いビールらしい香味を示す。
一方で、発酵後のビールに脱アルコール処理を施すことでアルコール分を除いた低アルコールビールテイスト飲料が知られている。発酵後脱アルコール処理ビールテイスト飲料は、アルコール分が除去されることによりアルコール自身が持つ香味が除かれたり、ビール特有の香気が除かれたりするため、淡白な香味となり、香、味どちらの面でもビールらしい香味が不十分である。
特許文献1には、発酵後脱アルコール処理ビールテイスト飲料に対し、香味付けのために麦芽エキスを添加し、更に糖組成を調整することで、ビール様の風味を持ち、甘味のバランス、のどごし及びキレを向上させた、炭酸飲料が記載されている。
特開2003-250503号公報
ビールテイスト飲料に脱アルコール処理を施すことでアルコール分を除いて低アルコール化を図った場合、得られる低アルコールビールテイスト飲料には、コク感が不足して鉄味及び納豆臭味が目立ち、また、飲用後に苦味が残ってビールらしい香味バランスが損なわれる、という問題が明らかになった。
本発明は上記問題を解決するものであり、その目的とするところは、鉄味等が低減され、ビールらしい香味バランスに優れた、低アルコールビールテイスト飲料を提供することにある。
本発明は、4~9w/w%の真性エキス濃度を有し、10~60mg/100mlの量で苦味系アミノ酸を含み、脱アルコール麦汁発酵液に由来する成分を含む、低アルコールビールテイスト飲料を提供する。
ある一形態においては、前記苦味系アミノ酸は、フェニルアラニン、チロシン、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、ヒスチジン、リジン及びトリプトファンからなる群から選択される少なくとも一種である。
ある一形態においては、前記苦味系アミノ酸は原料のタンパク質に由来する物質である。
ある一形態においては、前記低アルコールビールテイスト飲料は、10~40BUの苦味価を有する。
ある一形態においては、前記麦汁発酵液は、麦汁下面発酵液である。
ある一形態においては、前記麦汁発酵液は、50w/w%以上の麦芽使用比率を有する。
ある一形態においては、前記低アルコールビールテイスト飲料は脱アルコール麦汁発酵液を含む。
ある一形態においては、前記低アルコールビールテイスト飲料は、調味料として添加された前記苦味系アミノ酸を含まない。
また、本発明は、脱アルコール麦汁発酵液に由来する成分を低アルコールビールテイスト飲料に含有させる工程;
低アルコールビールテイスト飲料の苦味系アミノ酸の含有量を10~60mg/100mlに調節する工程;及び
低アルコールビールテイスト飲料の真正エキスの濃度を4~9w/w%に調節する工程;
を包含する、低アルコールビールテイスト飲料の製造方法を提供する。
本発明によれば、コク感が増強されて鉄味等が低減され、苦味のキレ感が改善されてビールらしい香味バランスに優れた、低アルコールビールテイスト飲料を提供することができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。さらに本明細書の数値範囲の上限、及び下限は当該数値を任意に選択して、組み合わせることが可能である。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
<低アルコールビールテイスト飲料>
「低アルコールビールテイスト飲料」とは、アルコール濃度が通常のビールテイスト飲料よりも低いビールテイスト飲料をいう。低アルコールビールテイスト飲料は、3v/v%以下、好ましくは2v/v%以下、より好ましくは1v/v%未満のアルコール濃度を有する。「低アルコールビールテイスト飲料」の意味には、実質的にアルコールを含有しない、ノンアルコールビールテイスト飲料(例えば、アルコール濃度0.00v/v%)も含まれる。また、「アルコール」という文言はエタノールを意味する。
<脱アルコール麦汁発酵液に由来する成分>
本発明の低アルコールビールテイスト飲料は、脱アルコール麦汁発酵液に由来する成分を含む。脱アルコール麦汁発酵液とは、麦汁をビール酵母を使用して発酵させて得られる発酵液、即ち麦汁発酵液から、アルコールを除去して得られる液体である。本発明でいう麦汁は、通常のビールを製造する際に使用される麦汁を意味し、麦芽に由来する成分が含まれる。
麦芽に由来する成分とは、麦芽に含まれる成分をいう。また、脱アルコール麦汁発酵液に由来する成分とは、脱アルコール麦汁発酵液に含まれる成分をいう。本発明の低アルコールビールテイスト飲料は、脱アルコール麦汁発酵液を含むものであってもよい。
麦汁発酵液からアルコールを除去する方法としては、麦汁発酵液を加熱するか、減圧下加熱して、アルコールを気化させる方法、逆浸透膜などによりアルコールを除去する方法等が挙げられる。脱アルコール麦汁発酵液は、最終生成物中の低アルコールビールテイスト飲料のアルコール含有量が所望の濃度になる程度までアルコールが除去されていればよい。
脱アルコール麦汁発酵液は、ビールらしい複雑味、飲みごたえ感及びボディ感を呈することができる。一方で、脱アルコール麦汁発酵液は、コク感が不足して鉄味及び納豆臭味が目立ち、飲用後に苦味が感じられてビールらしい香味バランスに劣る、という問題を有する。
脱アルコール麦汁発酵液は、アルコール、及び揮発性香気成分が除去されているものである。麦汁発酵液において、アルコールは苦味及び甘味を呈する成分である。アルコールの苦味は持続性が短く、飲用後に感じられることがない。アルコールの苦味及び甘味は、ビールの味に刺激及び締まりを与え、コク感に寄与している。そのため、脱アルコール麦汁発酵液は、その飲用時に感じられる香味として、コク感が、ビールと比較して弱くなっている。
麦芽には鉄分が含まれている。また、穀物が発酵し、加熱された際には納豆様臭味が生成する。アルコール分が除去されてビールテイスト飲料の香味が淡泊になることで、麦芽に含まれる鉄分の風味や、穀物が発酵し、加熱された際に生成する納豆様臭味が顕在化し、香味バランスが損なわれている可能性がある。
麦汁発酵液は、麦汁上面発酵液であってよく、麦汁下面発酵液であってもよいが、後味をすっきりさせる観点から麦汁下面発酵液であることが好ましい。麦汁上面発酵液とは、麦汁に上面発酵酵母を接種し、通常の発酵条件、例えば15~25℃で数日間発酵させた麦汁発酵液をいう。麦汁下面発酵液とは、麦汁に下面発酵酵母を接種し、通常の発酵条件、例えば10℃前後でおよそ一週間発酵させた麦汁発酵液をいう。
低アルコールビールテイスト飲料に含まれる脱アルコール麦汁発酵液に由来する成分の量及び濃度は特に限定されず、所望の香味に応じて適宜設定することができる。
<苦味系アミノ酸>
本発明の低アルコールビールテイスト飲料は苦味系アミノ酸を含有する。苦味系アミノ酸は低アルコールビールテイスト飲料において苦味を呈するアミノ酸である。苦味系アミノ酸は、原料に含まれるタンパク質が酵素によって分解されて生成した物質である。タンパク質を含む原料には、具体的には、大麦麦芽、未発芽の大麦、小麦麦芽、大豆加水分解物、酵母エキス等がある。これらの中でも麦芽は使用量が多い。苦味系アミノ酸は主として麦芽に由来する。そこで、低アルコールールビールテイスト飲料の苦味系アミノ酸の含有量は、麦芽使用比率を調節することで、調節することができる。
苦味系アミノ酸の具体例としては、フェニルアラニン、チロシン、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、ヒスチジン、リジン及びトリプトファンが挙げられる。ここで苦味系アミノ酸というときは、これらの中で、対象になる低アルコールビールテイスト飲料に存在するアミノ酸の全種類の混合物を意味する。ある一形態において、苦味系アミノ酸は、フェニルアラニン、チロシン、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、ヒスチジン、リジン及びトリプトファンの混合物である。
苦味系アミノ酸が呈する苦味は、同様に原料分解物に由来する甘味、酸味、及びうま味と調和して、低アルコールビールテイスト飲料の味に厚み、コク感又は複雑感を与える要因である。苦味系アミノ酸が呈する苦味は後を引かず、低アルコールビールテイスト飲料の飲用後は、認識されにくい。
本発明の低アルコールビールテイスト飲料において、苦味系アミノ酸の濃度は10~60mg/100mlである。苦味系アミノ酸の濃度が10mg/100ml未満になると、得られる低アルコールビールテイスト飲料の鉄味が十分に低減されず、60mg/100mlを超えると苦味が後を引いてビールらしい香味バランスが損なわれやすくなる。本発明の低アルコールビールテイスト飲料の苦味系アミノ酸の濃度は、好ましくは20~55mg/100mlであり、より好ましくは30~45mg/100mlである。
苦味系アミノ酸の濃度は、例えば、(米国)ウォーターズ社製Acquity UPLC分析装置を 用いて、アキュタグウルトラ(AccQ-Tag Ultra)ラベル化法により測定することができる。また、日本電子社製アミノ酸自動分析装置JLC―500/V型などを用いて測定することが可能である。
麦汁発酵液は、所定の濃度の麦芽使用比率を有する。麦芽使用比率とは、デンプン質原料の重量に対する麦芽の重量の比率である。麦汁発酵液の麦芽使用比率は、例えば50w/w%以上である。麦汁発酵液の麦芽使用比率が50w/w%未満であると、得られる低アルコールビールテイスト飲料の鉄味が十分に低減されない場合がある。麦汁発酵液の麦芽使用比率は、好ましくは55w/w%以上、より好ましくは60w/w%以上、さらに好ましくは60~75w/w%である。
<真正エキス濃度>
本発明の低アルコールビールテイスト飲料は、4~9w/w%の真正エキス濃度を有する。真正エキス濃度が4w/w%未満であると、低アルコールビールテイスト飲料の味の厚みが不足して鉄味が低減されにくくなり、9w/w%を超えると、甘味が目立つようになり、ビールらしい香味のバランスが損なわれやすくなる。本発明のビール様発酵麦芽飲料の真正エキス濃度は、好ましくは5.0~9.0w/w%であり、より好ましくは6.0~8・0w/w%である。
尚、「エキス」とは、麦汁の蒸発残留固形分をいう。エキスは、主として糖分からなる。エキスの含有量は、原料である麦芽や各種デンプン、糖類の仕込み量を変えることにより調整することができる。ビール様発酵麦芽飲料の真正エキス濃度は、例えばEBC法(ビール酒造組合編集:BCOJビール分析法、7.2(2004))により測定することができる。エキスという文言は、文脈に応じて、不揮発性固形分そのもの、不揮発性固形分の量、又は不揮発性固形分の濃度(w/w%)を意味する。
<苦味価>
本発明の低アルコールビールテイスト飲料は、所定の苦味価(単位:BU)を有することが好ましい。低アルコールビールテイスト飲料が所定の苦味価を有することで、低アルコールビールテイスト飲料の後味がよりすっきりする。ここで、苦味価とは、イソフムロンを主成分とするホップ由来物質群により与えられる苦味の指標である。
低アルコールビールテイスト飲料の苦味価は、好ましくは10~40BUである。低アルコールビールテイスト飲料の苦味価が10BU未満であると、低アルコールビールテイスト飲料の後味が重くなる場合がある。また、低アルコールビールテイスト飲料の苦味価が40BUを超えると、低アルコールビールテイスト飲料の苦みが際立ち、低アルコールビールテイスト飲料のビールらしい複雑味が不十分になる場合がある。低アルコールビールテイスト飲料の苦味価は、より好ましくは10~35BUであり、更に好ましくは15~30BUである。
苦味価は、例えばビール酒造組合編集:BCOJビール分析法、8.15(2004)に記載の方法により測定することができる。
低アルコールビールテイスト飲料の苦味価は、苦味物質を含む原材料(例えばホップ等)の品種やその使用量、及び当該原材料の添加のタイミング等を調整すること、又は苦味物質を適宜添加することによって調節することができる。苦味物質としては、単離したイソα酸を用いることができる。また、イソα酸はホップに含有されており、ホップ又はホップエキスとして用いることもできる。ホップ又はホップエキスとは、ホップの葉、その磨砕物、これらを水や熱湯で抽出した抽出液、抽出液の濃縮物及び乾燥物を指す。
<低アルコールビールテイスト飲料の製造方法>
本発明の低アルコールビールテイスト飲料の製造方法は、脱アルコール麦汁発酵液に由来する成分を低アルコールビールテイスト飲料に含有させること、低アルコールビールテイスト飲料に含まれる苦味系アミノ酸濃度を所定の範囲に調節すること、及び低アルコールビールテイスト飲料の真正エキス濃度を所定の範囲に調節することを、包含していればよく、これらの工程以外は、従来の低アルコールビールテイスト飲料の製造方法を利用することができる。
低アルコールビールテイスト飲料中の苦味系アミノ酸を所定の濃度に調節することは、例えば、原料の麦芽使用比率を調節する等の製造条件を調節することで所定量の苦味系アミノ酸を生成させた脱アルコール麦汁発酵液を、低アルコールビールテイスト飲料として使用する、かかる脱アルコール麦汁発酵液を低アルコールビールテイスト飲料に混合する、又は苦味系アミノ酸単独又は苦味系アミノ酸を含む調味料を低アルコールビールテイスト飲料に添加する等の方法によって、行うことができる。
例えば、製造条件を調節することである濃度の苦味系アミノ酸を生成させた脱アルコール麦汁発酵液と、製造条件を調節することで別の濃度の苦味系アミノ酸を生成させた脱アルコール麦汁発酵液とを、所定の混合比率で混合することで、得られる低アルコールビールテイスト飲料の苦味系アミノ酸濃度を所望の通りに調節することができる。
また、低アルコールビールテイスト飲料の真正エキス濃度を所定の範囲に調節することも、苦味系アミノ酸の濃度調節と同様の方法を使用して行うことができる。
本発明の低アルコールビールテイスト飲料の製造方法は、低アルコールビールテイスト飲料の苦味価を上述した範囲に調節する苦味価調節工程を含んでよい。
本発明の低アルコールビールテイスト飲料の製造方法は、公知の装置等を用いた、カラメル色素等を添加する工程、煮沸工程、pH調節工程、ろ過工程、香味調節工程、炭酸ガスを溶解させる工程等をさらに含んでもよい。
本発明の低アルコールビールテイスト飲料の製造方法は、必要に応じて、食物繊維、大豆ペプチド、炭酸、エキス類、香料、酸味料、甘味料、苦味料、着色料、酸化防止剤、pH調節剤、各種栄養成分等を添加する工程をさらに含んでもよい。
以下の実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<製造例1>
苦味系アミノ酸高含有脱アルコール麦汁発酵液の製造
(1)麦汁発酵液の製造
仕込槽に粉砕した麦芽500kg、湯及びトランスグルコシダーゼ2kgを入れ、50℃で30分保持した。その後、62℃で30分糖化させ、得られた麦汁をろ過した。これにホップを投入し、100℃で30分煮沸した。その後、沈殿物を取り除き、得られた麦汁をエキス14w/w%、2500Lに調製した。調製した麦汁を冷却し、冷麦汁を得た。この麦汁にビール酵母を加え、7日間10℃前後で発酵させた後、ビール酵母を除去した。タンクを移し替えて7日間熟成させた後、-1℃付近まで冷却し14日間安定化させた。その後脱気水を加えて希釈後、珪藻土を用いて濾過し、麦汁発酵液を得た。得られた麦汁発酵液を発酵液1とした。
(2)脱アルコール麦汁発酵液の製造
発酵液1を90mbar付近の減圧下で、脱ガスタンク内にスプレーし炭酸ガスを除去した後、プレートクーラーを用いて50℃付近まで加熱した。その後、90mbar付近の減圧カラム内で50℃付近に加熱した水蒸気と接触させ、揮発成分を水蒸気に吸着させ、アルコール及び揮発成分を取り除き、アルコール1%未満の脱アルコール麦汁発酵液を作製した。得られた脱アルコール麦汁発酵液を蒸留液1とした。
(3)脱アルコール麦汁発酵液の分析
[苦味系アミノ酸の定量]
苦味系アミノ酸の濃度は、日本電子社製アミノ酸自動分析装置JLC―500/V型を用いて、フェニルアラニン、チロシン、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、ヒスチジン、リジン及びトリプトファンを定量し、それらの合計濃度として決定した。
蒸留液1の苦味系アミノ酸濃度は、55.9mg/100mlであった。
[真正エキス濃度の測定]
真正エキスの濃度(w/w%)は、EBC法(ビール酒造組合:「ビール分析法」7 .2 1990年)に従って測定した。
蒸留液1の真正エキス濃度は、9.0w/w%であった。
<製造例2>
苦味系アミノ酸低含有脱アルコール麦汁発酵液の製造
麦芽とコーンスターチ220kgを仕込釜に投入し、70℃に昇温しデンプンを液化させ、100℃で煮沸した。仕込槽に粉砕した麦芽240kgと湯を投入した後、たんぱく休止は行わずに、仕込槽のマイシェと仕込釜のマイシェとを合わせた。これにトランスグルコシダーゼ1.0kgを投入し、62℃で30分糖化させ、得られた麦汁をろ過した。これにホップを投入し、100℃で30分煮沸した。その後、沈殿物を取り除き、得られた麦汁をエキス14w/w%、2500Lに調製した。調製した麦汁を冷却し、冷麦汁を得た。この麦汁にビール酵母を加え、7日間10℃前後で発酵させた後、ビール酵母を除去した。タンクを移し替えて7日間熟成させた後、-1℃付近まで冷却し14日間安定化させた。その後脱気水を加えて希釈後、珪藻土を用いて濾過し、麦汁発酵液を得た。得られた麦汁発酵液を発酵液2とした。
発酵液1の代わりに発酵液2を用いること以外は製造例1と同様にして、発酵液2に含まれているアルコール及び揮発成分を取り除き、アルコール1%未満の脱アルコール麦汁発酵液を作製した。得られた脱アルコール麦汁発酵液を蒸留液2とした。
蒸留液1の代わりに蒸留液2を用いること以外は製造例1と同様にして、蒸留液2に含まれている苦味系アミノ酸、及び真正エキスを定量した。その結果、蒸留液2の苦味系アミノ酸濃度は10.5mg/100ml、真正エキス濃度は6.0w/w%であった。
<実施例1>
苦味系アミノ酸濃度、真正エキス濃度を変化させた低アルコールビールテイスト飲料
蒸留液1と蒸留液2とを所定の混合比率で混合することで、苦味系アミノ酸濃度及び真正エキス濃度を変化させた低アルコールビールテイスト飲料をそれぞれ1リットル、6種類製造した。これらを試料1~6とした。
その後、これら試料を訓練されたパネリスト6名による官能評価に供した。評価項目は、鉄味、納豆臭味、コクの強さ、苦味の強さ、苦味の後引きの強さ、醸造由来の複雑味とし、各項目5段階で評価した。評点は、試料1の評点を3として、やや強く感じられる場合は4、強く感じられる場合は5、やや弱く感じられる場合は2、弱く感じられる場合は1とし、最後に6名の評点の平均を算出した。
鉄味、納豆臭味の評点の平均が2.5以下かつ苦味の後引きの強さの評点の平均が2.5以上から3.5未満かつコクの強さ、苦味の強度、醸造由来の複雑味の評点の平均が3.5以上の場合はビールらしい香味バランスを「B」、即ち可、鉄味、納豆臭味の評点の平均が2.0以下かつ苦味の後引きの強さの評点の平均が2.5以上から3.5未満かつコクの強さ、苦味の強度、醸造由来の複雑味の評点の平均が4.0以上の場合はビールらしい香味バランスを「A」、即ち良、とした。
Figure 2023110821000001
発酵後脱アルコール処理ビールテイスト飲料は、真性エキス濃度及び苦味系アミノ酸濃度を所定の範囲に調節することで、コク感が増強されて鉄味が低減され、苦味の後引きの強さは有意に増大せず、ビールらしい香味バランスが向上した。
<参考例>
苦味価を変化させた低アルコールビールテイスト飲料
ホップ添加量を調整することで表2記載の値となるように苦味価を変化させたこと以外は蒸留液2と同様にアルコール1%未満のビールテイスト飲料を製造し、これらを試料7~11とした。その後、これら試料を訓練されたパネリスト6名による官能評価に供した。評価項目及び評価基準は実施例1と同様とした。
Figure 2023110821000002
発酵後脱アルコール処理ビールテイスト飲料は、苦味価を増加させた場合、コク感の増強、鉄味の低減が不十分であり、苦味の後引きの強さが増大してビールらしい香味バランスが劣るものになった。

Claims (9)

  1. 4~9w/w%の真性エキス濃度を有し、10~60mg/100mlの量で苦味系アミノ酸を含み、脱アルコール麦汁発酵液に由来する成分を含む、低アルコールビールテイスト飲料。
  2. 前記苦味系アミノ酸は、フェニルアラニン、チロシン、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、ヒスチジン、リジン及びトリプトファンからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の低アルコールビールテイスト飲料。
  3. 前記苦味系アミノ酸は原料のタンパク質に由来する物質である、請求項1又は2に記載の低アルコールビールテイスト飲料。
  4. 10~40BUの苦味価を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の低アルコールビールテイスト飲料。
  5. 前記麦汁発酵液は、麦汁下面発酵液である、請求項1~4のいずれか一項に記載の低アルコールビールテイスト飲料。
  6. 前記麦汁発酵液は、50w/w%以上の麦芽使用比率を有する請求項1~5のいずれか一項に記載の低アルコールビールテイスト飲料。
  7. 脱アルコール麦汁発酵液を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の低アルコールビールテイスト飲料。
  8. 調味料として添加された前記苦味系アミノ酸を含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の低アルコールビールテイスト飲料。
  9. 脱アルコール麦汁発酵液に由来する成分を低アルコールビールテイスト飲料に含有させる工程;
    低アルコールビールテイスト飲料の苦味系アミノ酸の含有量を10~60mg/100mlに調節する工程;及び
    低アルコールビールテイスト飲料の真正エキスの濃度を4~9w/w%に調節する工程;
    を包含する、低アルコールビールテイスト飲料の製造方法。
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