JP7324077B2 - 被覆層、被覆層の製造方法、樹脂組成物及び被覆用組成物 - Google Patents
被覆層、被覆層の製造方法、樹脂組成物及び被覆用組成物 Download PDFInfo
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Description
従来の被覆層として、特許文献1には、ポリウレタンプレポリマーと、硬化剤と、反応促進剤と、無機充填剤と、ゴムチップとの混合物を、スプレーガンで表面に吹き付けて形成した被覆層が記載されている。
本発明は上記課題に鑑み、短時間で形成できる被覆層を提供することを課題とする。
[1]弾性チップ層の上に表面層を備えた被覆層であって、前記弾性チップ層は、樹脂組成物(1)の硬化物と、弾性チップ材料とから構成され、前記表面層は、樹脂組成物(2)の硬化物から構成され、前記樹脂組成物(1)及び前記樹脂組成物(2)は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)と、アクリル系重合体及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)とを含む、被覆層。
[2]前記樹脂組成物(1)及び前記樹脂組成物(2)の少なくとも一方がチオール化合物(C)を含有する、[1]に記載の被覆層。
[3]前記樹脂組成物(1)及び前記樹脂組成物(2)の少なくとも一方が、イソシアネート基及びブロック化イソシアネート基の少なくとも一方の基を有する化合物(E)を含有する、[1]又は[2]に記載の被覆層。
[4]基材上に、樹脂組成物(1)を塗工して樹脂組成物層を形成し、前記樹脂組成物層の上に、弾性チップ材料を散布して、弾性チップ層を形成する工程と、前記弾性チップ層の上に、樹脂組成物(2)を塗工して、表面層を形成する工程と、を備える、[1]~[3]のいずれか一項に記載の被覆層の製造方法。
[5](メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)と、アクリル系重合体及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)と、弾性チップ材料とを含む、被覆用組成物。
「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの総称である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の総称である。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本実施形態の被覆層は、弾性チップ層の上に表面層を備える。本実施形態の被覆層は、土木用途等に好適に使用できる。
本実施形態において、弾性チップ層は、樹脂組成物(1)の硬化物と、弾性チップ材料とから構成される。
本実施形態において表面層は、樹脂組成物(2)の硬化物から構成される。
本実施形態において、樹脂組成物(1)及び樹脂組成物(2)は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)と、アクリル系重合体及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)とを含む。
以下、本実施形態に用いる各成分について説明する。
樹脂組成物(1)は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)(以下、単に「単量体(A)」と記す。)、アクリル系重合体及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)(以下、単に「重合体(B)」と記す。)、とを含む。
単量体(A)は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体である。単量体(A)としては、1分子中に(メタ)アクリロイル基を一つのみ有する単官能(メタ)アクリレート、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。単量体(A)は、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートのいずれか一方を含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合体(B)は、アクリル系重合体(以下、単に「重合体(B1)」と記す。)、及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体(以下、単に「重合体(B2)」と記す。)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である。
重合性二重結合を有する(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する単量体単位を有し、かつ重合性二重結合を有する。
ジオール(ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等)と、カーボネート化剤(ホスゲン、ジメチルカーボネート等)との反応で得られるポリカーボネートジオールが挙げられる。
ポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネートの三量体環化化合物が挙げられる。
ポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの製造に用いられるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、固形状のもの、液状のもの等、様々なものを用いることができる。エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に用いる樹脂組成物(2)は、前記単量体(A)と、前記重合体(B)とを含む。
本明細書において「硬化性が高い」とは、硬化物表面の粘性(タック)がなくなるまでの時間が短いことを意味する。
なお、これら単量体(A)の具体例としては、樹脂組成物(1)と同様のものを挙げることができる。
重合体(B)としては、樹脂組成物(1)と同様のものを使用することができる。
本実施形態において、樹脂組成物(1)及び樹脂組成物(2)の少なくとも一方は、チオール化合物(C)、重合開始剤(D)、化合物(E)を含有していてもよい。
チオール化合物(C)としては、脂肪族チオール及び芳香族チオフェノール等のチオール基を1個以上有するチオール化合物が挙げられる。
樹脂組成物(1)又は樹脂組成物(2)は、薄膜にして硬化すると空気中の酸素の影響を受けて硬化性が低下する場合があるが、チオール化合物(C)を配合すると硬化性を改善できる場合がある。また、硬化性を改善することにより、タックフリー直後の単量体(A)による臭気を低減することができる。「タックフリー直後」とは、指先で軽く触れたときに樹脂組成物が指先に付着しなくなるまで硬化した直後を意味する。
チオール化合物(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。1級チオール化合物と2級チオール化合物を併用してもよい。
重合開始剤(D)としては、レドックス系重合開始剤が挙げられる。
樹脂組成物(1)又は樹脂組成物(2)が重合開始剤(D)を含有すると、レドックス系重合開始剤から発生するラジカルによって、硬化反応が進行し、硬化物とすることができる。
レドックス系重合開始剤は、還元剤(D1)と硬化剤(D2)とを併用した重合開始剤である。還元剤(D1)と硬化剤(D2)との組み合わせとしては、例えば、下記の(i)~(iv)が挙げられる。
N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N-(2-ヒドロキシエチル)N-メチル-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン等が挙げられる。
芳香族3級アミン類は、p(パラ)体に限定されず、o(オルト)体、m(メタ)体でもよい。
還元剤(D1)と硬化剤(D2)との組み合わせとしては、樹脂組成物(1)の硬化時間を短くして生産性を向上する点から、(i)の組み合わせが好ましい。(i)の組み合わせにおける芳香族3級アミン類としては、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジンが好ましい。
本実施形態において樹脂組成物(1)及び樹脂組成物(2)の少なくとも一方は、イソシアネート基及びブロック化イソシアネート基の少なくとも一方の基を有する化合物(E)を含有することが好ましい。
化合物(E)が、イソシアネート基を有する場合には、反応性が高く、空気中の水分や単量体成分と反応しやすい。
化合物(E)を含む樹脂組成物を用いると、樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。
これにより、施工後から短時間で本発明の被覆層から弾性チップ材料が離脱することを抑え、被覆層中の弾性チップや骨材の保持率を向上させることができる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロへキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の2官能のイソシアネート;旭化成株式会社製のヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体(商品名:デュラネート24A-100)、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体(商品名:デュラネートP-301-75E)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名:デュラネートTPA-100)、三井化学社製の1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのトリメチロールプロパンアダクト体(商品名:タケネートD-120N)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌレート体(商品名:タケネートD-127N)、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(商品名:タケネートD-140N)、住化コベストロウレタン社製のヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体(商品名:デスモジュールXP2679)等の3官能以上のイソシアネート等が挙げられる。ポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリイソシアネートのブロック体とは、ポリイソシアネートのイソシアネート基をマスキングしてイソシアネート基の反応性を制御した化合物を意味する。加熱処理や化学薬剤処理によりイソシアネート基が再生される化合物である。
ポリイソシアネートのブロック体としては、例えば、ポリイソシアネートのブロック体(商品名:デュラネートMF-K60B、旭化成株式会社製;商品名:DM-6400、明星化学工業社製;商品名:DB-980K、DIC社製)等が挙げられる。ポリイソシアネートのブロック体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミンとしては、例えばエチレンジアミン、エチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ポリ(オキシアルキレン)ポリアミン等の脂肪族ポリアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、2,4’-ジフェニルメタンジアミン、2,4-トリレンジアミン、2,6-トリレンジアミン、3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン、1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミノベンゼン等の芳香族ポリアミン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられるウレタン結合を有する重合体は、ポリイソシアネートのイソシアネート基(-NCO)が、ポリオールやポリアミン等の活性水素化合物の活性水素基(-OH,-NH等)に対し、例えば、NCO/H当量比が、イソシアネート基が過剰となる1.2~10の割合で、反応温度約40~130℃で4~10時間反応させて製造することができる。
パラフィンワックスの融点は、40~80℃が好ましい。融点が40℃以上であれば、樹脂組成物を硬化させる際に十分な空気遮断作用が得られ、表面硬化性が良好となる。融点が80℃以下であれば、樹脂組成物を調製する際、パラフィンワックスの樹脂組成物(1)及び樹脂組成物(2)の少なくとも一方への溶解性が良好となる。
アジピン酸エステルとしては、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、オクチルアジペート等が挙げられる。
セバシン酸エステルとしては、ジブチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート等が挙げられる。
アゼラインエステルとしては、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、オクチルアゼレート等が挙げられる。
シクロヘキサンジカルボン酸エステルとしては、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソペンチルエステル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等が挙げられる。
パラフィン(ただし、前述のパラフィンワックスを除く。)としては、塩素化パラフィン等が挙げられる。
可塑剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硫黄系酸化防止剤としては、ジヘキシルスルフィド、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート等が挙げられる。
2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジターシャリイブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、又はこれらのハロゲン化物等が挙げられる。
フェニルサリシレート、p-ターシャリイブチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
無機系揺変剤としては、微粒子シリカ等が挙げられる。
楠本化成(株)製のディスパロンシリーズ:OX-880EF、OX-881、OX-883、OX-8040、1922、1927、P-410EF、P-420、P-425、PD-7、1970、230、230HF、LF-1982等が挙げられる。
ビックケミー・ジャパン(株)製のBYK-052、BYK-1752等が挙げられる。
本実施形態において、樹脂組成物(1)及び樹脂組成物(2)の少なくとも一方には、樹脂組成物の硬化性を向上するために、公知の光重合開始剤を加えてもよい。
樹脂組成物(1)における単量体(A)の含有量は、単量体(A)の含有量と重合体(B)の含有量との合計100質量%中、30~90質量%が好ましく、35~85質量%がより好ましく、50~70質量%がさらに好ましい。単量体(A)の含有量は多いほど樹脂組成物(1)の粘度が低くなり、少ないほど樹脂組成物(1)の硬化性が良好となる。
樹脂組成物(1)が化合物(E)を含む場合、化合物(E)の含有量は、単量体(A)の含有量と重合体(B)の含有量との合計100質量部に対して、5~40質量部が好ましく、10~30質量部がより好ましい。
化合物(E)の含有量が多いほど、弾性チップ材料散布後の弾性チップ材料の離脱を抑え、被覆層中の弾性チップや骨材の保持率を向上させることができる。化合物(E)の含有量が少ないほど、樹脂組成物(1)の粘度が低くなる傾向がある。
樹脂組成物(2)が化合物(E)を含む場合、化合物(E)の含有量は、単量体(A)の含有量と重合体(B)の含有量との合計100質量部に対して、5~40質量部が好ましく、10~30質量部がより好ましい。
化合物(E)の含有量が多いほど、弾性チップ材料散布後の弾性チップ材料の離脱を抑え、被覆層中の弾性チップや骨材の保持率を向上させることができる。化合物(E)の含有量が少ないほど、樹脂組成物(2)の粘度が低くなる傾向がある。
硬化物中の気泡を抑制するために、硬化剤を追加で配合した後に、真空脱泡や振動脱泡等を実施してもよい。
本実施形態に用いられる弾性チップ材料としては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ピリジンブタジエンゴム(PBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(UR)等を粒状にしたゴムチップが挙げられる。また、産業廃棄物として排出される自動車タイヤ等の各種弾性体をチップ化したものを再利用することもできる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。弾性チップ材料中に着色顔料、補強剤、充填材、老化防止剤等を添加してもよい。弾性チップ材料の形状は、球状、多面体、不定形等特に限定されるものではないが、粒子径としては0.2~6mm、好ましくは0.3~4mmのものが好適に用いられる。
本発明の被覆層は、弾性チップ層と表面層との界面付近に骨材を有していてもよい。本実施形態において骨材とは、弾性チップ材料以外に弾性を有さない材料を意味する。
骨材を含有することで、被覆層に滑り止め機能を付与することができる。骨材の具体例としては、例えば以下ものが挙げられる。砂、硅砂、川砂、寒水石、エメリー、大理石、炭酸カルシウム、カオリン、ベントナイト、マイカ、タルク、炭化珪素粉、窒化珪素粉、窒化ほう素粉、アルミナ、スラグ、ガラス粉末、セラミック骨材、陶器屑、着色骨材等。これら骨材は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本発明の被覆層は、基材として、特にアスファルトやコンクリート舗装面を対象とし、これらの表面を被覆することにより製造できる。
被覆層の製造方法は、基材上に、樹脂組成物(1)を塗工して樹脂組成物層を形成し、樹脂組成物層の上に、弾性チップ材料を散布して、弾性チップ層を形成する工程と、樹脂組成物(2)を塗工して、表面層を形成する工程と、を備える。
また、樹脂組成物の塗工時の温度は-30℃~60℃が好ましく、-10℃~40℃がより好ましく、施工性の点から、硬化時間は20分間~50分間の範囲が好ましい。
硬化時間が20分間以上であると、良好な塗装作業性、弾性チップ材料のグリップ性が得られ、50分間以下であると基材であるアスファルトやコンクリート舗装等との良好な付着性が得られる。
本発明の被覆用組成物は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)と、アクリル系重合体及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)とを含む樹脂組成物と弾性チップ材料とを含む。
また、本発明の被覆用組成物は、弾性チップ材料以外に骨材を含有してもよい。
(粘度)
樹脂組成物の液温を23℃とし、B型粘度計を用いて粘度を測定した。
攪拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置内に、脱イオン水135部、及び分散剤としてポリビニルアルコール(ケン化度80モル%、重合度1,700)0.4部を加えて攪拌し、ポリビニルアルコールを完全に溶解した後、一旦攪拌を停止した。メチルメタクリレート60部、n-ブチルメタクリレート40部、重合開始剤として2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル0.2部、連鎖移動剤としてn-ドデシルメルカプタン0.8部、電解質として炭酸ナトリウム0.1部を加えて再度攪拌し、75℃に昇温して2.5時間反応させた。さらに、98℃に昇温して1.5時間保持した後、反応を終了させた。
40℃に冷却した後、得られた水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、脱水した後、40℃で16時間乾燥して、粒状ビニル系重合体(重合体P-1)を得た。
得られた粒状ビニル系重合体のガラス転移温度(Tg)は65℃、重量平均分子量は160000であった。
合成例1の反応において、重量平均分子量を42000とした以外は合成例1の共重合体(P-1)と同様にして合成し、Tg65℃、重量平均分子量42000の粒状ビニル系重合体(重合体P-2)を得た。
<樹脂組成物(S-1)の調製>
攪拌機、温度計、冷却管付きの1Lフラスコに、単量体(A)としてMMA45.0部、2-エチルヘキシルアクリレート(以下「2-EHA」と略す)13.0部及びトリエチレングリコールジメタクリレート(日油(株)製、ブレンマーPDE-150、以下「PDE-150」と略す)2.0部と、還元剤(D1)としてN,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン(以下「PTEO」と略す)0.6部と、他の成分としてパラフィン-110(日本精蝋(株)製、パラフィンワックス(以下「P-110」と略す))0.25部、パラフィン-130(日本精蝋(株)製、パラフィンワックス(以下「P-130」と略す))0.25部、パラフィン-150(日本精蝋(株)製、パラフィンワックス(以下「P-150」と略す))0.1部、アデカサイザー(登録商標)P300((株)ADEKA製)20.0部、JF-77(城北化学(株)製)(以下、「JF-77」と略す)0.3部及びヒドロキノン(以下「HQ」と略す)0.005部を投入した後、攪拌しながら、重合体(B)として重合体(P-1)20.0部を投入した。引き続き、60℃で2時間加熱して溶解した。溶解を確認後、40℃に冷却し、チオール化合物(C)として、添加剤-1(ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)1.0部を投入し、樹脂組成物(S-1)を得た。得られた樹脂組成物(S-1)の配合組成を表1に示す。
表1に記載の配合組成にすること以外は、樹脂組成物(S-1)の調製と同様にして樹脂組成物(S-2)~(S-10)を得た。
MMA:メチルメタクリレート。
2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート。
PDE-150:トリエチレングリコールジメタクリレート(日油(株)製)。
P-1:合成例1で製造したMMA/n-ブチルメタクリレート=60/40の共重合体、重量平均分子量は160000。
P-2:合成例2で製造したMMA/n-ブチルメタクリレート=60/40の共重合体、重量平均分子量は42000。
RUA-012:ウレタンアクリレートオリゴマー(亜細亜工業(株)製)。
添加剤-1:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)。
P-110、P-130、P-150、:パラフィンワックス(日本精蝋(株)製)。
PTEO:N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン。
ハイプレン(登録商標)AX-662:イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(三井化学(株)製)。
アデカサイザー(登録商標)P300:アジピン酸ポリエステル系可塑剤((株)ADEKA製)。
JF-77:紫外線吸収剤(城北化学工業(株)製)。
HQ:ヒドロキノン。
BHT:2-6-ジ-t-ブチル4-メチルフェノール。
得られた樹脂組成物(S-1);100部に、過酸化ベンゾイル(化薬アクゾ社製、パーカドックスCH-50L、純度50%)を2部加え混合し、密粒アスファルト板(サイズ:300×300×50mm 大有建設(株)製)に塗布厚1.6mmになるようコテで塗装し、樹脂組成物層(1)を形成した。直ちにゴムチップ(篠田ゴム工業(株)製、EPDMカラーゴムチップ(粒径1~3mm)を240g及び滑り止め用の骨材(美州興産(株)製、セラサンドA1粒、粒径2~3.3mm)を60g散布し、30分後に固着していないゴムチップ及び骨材(約150g)を除去し、弾性チップ層を形成した。弾性チップ層の上に、樹脂組成物(S-6);100部に過酸化ベンゾイルを2部加えて混合し、ゴムチップと骨材の表面にウーローラー(大塚刷毛製造(株)製塗装用ローラー)で塗布厚0.6mmになるよう塗装し、表面層を形成した。こにより、密粒アスファルト板上に被覆層を形成した。
表1に示す構成とした他は、実施例1と同様にして密粒アスファルト板上に被覆層を形成した。
実施例1の手法で被覆層を形成するのに要する時間を測定した。被覆層完成時間は、硬化物表面のタック有無により確認し、以下の基準で硬化性を評価した。それらの結果を表1に示す。表1中の(H)は、被覆層を形成するのに要した時間(単位:時間)を意味する。
○:2時間未満でタックがなくなる
△:2時間以上、8時間未満でタックがなくなる
×:8時間以上でタックがなくなる
評価者の嗅覚により、施工時及びタックフリー直後の臭気を下記の基準で評価した。
○:微かに単量体の臭気があるもの
△:単量体の臭気があるもの
×:単量体の臭気が明らかに多いもの
恒温槽付き小型ラベリング試験機(ニッケン社製)を用い、一定荷重を載荷したゴム輪を回転させたときのゴムチップ及び骨材の保持率を測定した。
まず、密粒アスファルト板上に被覆層を形成し、評価板を作製した。
得られた評価板を以下の試験条件で評価した。結果を表1に示す。
(試験条件)
試験体駆動方式:回転速度:30rpm、回転数:100回
載荷輪荷重:25kg ゴム硬度60のゴム輪(黒色)使用
測定温度:23℃
(評価方法)
保持率(%)=((初期ゴムチップ及び骨材量-試験後ゴムチップ及び骨材量)/初期ゴムチップ及び骨材量)×100
樹脂組成物(S-1);100部に、過酸化ベンゾイルを2部加え混合し、次いでゴムチップ(篠田ゴム工業(株)製、EPDMカラーゴムチップ)500部を混合し、密粒アスファルト板(サイズ:300×300×50mm 大有建設(株)製)に塗布厚10mmになるようコテで塗装し、弾性チップ層を作成した。
得られた弾性チップ層表面は、30分後にタックがなくなり、モノマー臭気が少ない被覆層が得られた。
弾性チップ層の上に、樹脂組成物(S-8);100部に過酸化ベンゾイルを2部加えて混合したものをウーローラー(大塚刷毛製造(株)製塗装用ローラー)で塗布厚0.6mmになるよう塗装し、表面層を形成した。
Claims (6)
- 弾性チップ層の上に表面層を備えた被覆層であって、
前記弾性チップ層は、樹脂組成物(1)の硬化物と、弾性チップ材料とから構成され、
前記表面層は、樹脂組成物(2)の硬化物から構成され、
前記樹脂組成物(1)及び前記樹脂組成物(2)は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)と、アクリル系重合体及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)とを含み、
前記樹脂組成物(2)が、イソシアネート基及びブロック化イソシアネート基の少なくとも一方の基を有する化合物(E)を含有する、被覆層。 - 前記樹脂組成物(2)中、前記化合物(E)の含有量は、前記単量体(A)の含有量と前記重合体(B)の含有量との合計100質量部に対して、5~40質量部である、請求項1に記載の被覆層。
- 前記樹脂組成物(1)及び前記樹脂組成物(2)の少なくとも一方がチオール化合物(C)を含有する、請求項1又は2に記載の被覆層。
- 基材上に、前記樹脂組成物(1)を塗工して樹脂組成物層を形成し、前記樹脂組成物層の上に、前記弾性チップ材料を散布して、前記弾性チップ層を形成する工程と、
前記弾性チップ層の上に、前記樹脂組成物(2)を塗工して、前記表面層を形成する工程と、を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の被覆層の製造方法。 - 弾性チップ層を被覆するための樹脂組成物であって、
前記弾性チップ層は、樹脂組成物(1)の硬化物と、弾性チップ材料とから構成され、
当該樹脂組成物が、イソシアネート基及びブロック化イソシアネート基の少なくとも一方の基を有する化合物(E)を含有する樹脂組成物(2)であり、
前記樹脂組成物(1)及び前記樹脂組成物(2)は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)と、アクリル系重合体及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)とを含む、樹脂組成物。 - (メタ)アクリロイル基を有する単量体(A)と、アクリル系重合体及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)と、弾性チップ材料と、イソシアネート基及びブロック化イソシアネート基の少なくとも一方の基を有する化合物(E)と、を含む、弾性チップ層被覆用組成物。
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