JP7320438B2 - マーク形成用接着シートおよびそれを用いたマーク形成方法 - Google Patents
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Description
マーク付きゴム加硫成形品の製造に使用される、本発明の一体型マーク形成用接着シートは、熱可塑性基材フィルム上に、直接的あるいは間接的に接着された状態で設けられたインク受容層を有する構成よりなる。したがって、熱可塑性基材フィルムとインク受容層は必須の構成要素であり、必要に応じて、前記熱可塑性基材フィルムと前記インク受容層の間にアンカー層が設けられた構成よりなる一体型マーク形成用接着シートである。
本発明に用いられる熱可塑性基材フィルムは、本発明の実施形態のインク受容層を有する一体型マーク形成用接着シートにおいて、接着シートの作製後、マーク形成及び前記ゴム積層体と重ね合わせるまでのプロセスにおいて、インク受容層を保持する役割と共に、マーク付き伝動ベルト作製後においては、前記熱可塑性基材フィルムは、インク受容層と共に、マークの保護層の機能を有する必要があるため、マーク付き伝動ベルト作製時に、前記加硫成形条件のような場合でも、白化したり千切れたりしてはならない。また、前記ゴム加硫成形品のマーク形成面が背面平タイプの伝動ベルトのみならず、背面が凹凸形状を有する屈曲性コグタイプの伝動ベルトへの保護層付きマーク形成をするためには、凹凸追従性を有するための引張伸びと引張強さを有していなければならない。
示差走査熱量計(日立ハイテクサイエンス(株)製TA7000シリーズ;DSC7000X)を用い、試料フィルム約5mgを20℃から270℃まで10℃/minの速度で昇温させた際に得られる融解ピークの頂点温度を融点とした。
示差走査熱量計(日立ハイテクサイエンス(株)製TA7000シリーズ;DSC7000X)を用い、試料フィルム約5mgを20℃から270℃まで10℃/minの速度で昇温させたのち、降温速度10℃/minで20℃まで降温し、発熱ピークの温度を降温結晶化温度とした。
試験装置はクロスヘッド速度一定型精密万能試験機(島津製作所(株)製オートグラフAG-IS)を用いて、試験片が破断するまでの引張荷重を加え、その間の最大荷重及び破断時の引張伸びを求めた。尚、最大荷重を試験片の元の断面積で除した値を引張強さ(MPa)とする(試験片形状;短冊形、試験片幅10mm、チャック間距離80mm、標線間距離40mm、引張速度200mm/min)。測定は、いずれも25℃で、5回ずつ測定し、その平均値を用いた。
本発明の一体型マーク形成用接着シートは、前記ポリブチレンテレフタレート基材フィルム上に、直接的にあるいは他の層を介して間接的にインク受容層が設けられ、インク受容層はサーマルヘッドプリンター出力手段により、インク受容層上にインクマークが形成された後、マーク形成されたインク受容層を有するマーク形成用接着シートごと、ゴム加硫成形品にマークが形成され、その後のゴム加硫成形品の使用においても、前記マーク形成用接着シートが剥離されることなく使用される。
したがって、インク受容層は、前記出力手段により形成されるインクマークとの熱接着性および最終被着体との熱接着性と共に、基材フィルムとの接着性も要求される。
熱転写印字媒体に使用される色材は、特に限定されるものではないが、マークを鮮明にするために、ベルト表面部材の色とのコントラストが大きい色の顔料インクを用いることが好ましい。例えば、白色、シルバー色、グレー色、黄色、クリーム色等が適しているが、例えば、ベルト表面部材が黒色のカバー帆布である場合は、特に酸化チタンを含有する白色顔料インクを用いることが好ましい。
はじめに、本発明の熱可塑性基材フィルム上に、直接的あるいは間接的に接着された状態で設けられたインク受容層を有する一体型マーク形成用接着シートを使用してのマーク付き伝動ベルトの作製方法を説明する。
一例として、本発明で用いる伝動ゴム積層体を構成する、接着ゴム層用未加硫ゴムシート、圧縮ゴム層用未加硫ゴムシート、前処理ポリエステル心線、前処理ポリエステル綿帆布の作製例を説明する。
CRゴム100重量部、カーボンブラック70重量部、パラフィン系プロセスオイル10重量部、ステアリン酸1重量部、酸化亜鉛5重量部、硫黄3重量部、チウラム系加硫促進剤0.5重量部、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤0.5重量部、チアゾール系加硫促進剤1重量部、フェニレンジマレイミド5重量部の配合物をバンバリーミキサーを用いて混練し、この配合物をカレンダーロールにてシート状に圧延し、厚さ5mmの接着ゴム層用未加硫シートを作製した(2枚)
EPDMゴム100重量部、カーボンブラック65重量部、パラフィン系プロセスオイル10重量部、
ステアリン酸1重量部、酸化亜鉛5重量部、硫黄1.5重量部、加硫促進剤1重量部、ナイロン短繊維20重量部の配合物を前記と同様に混練・圧延し、厚さ0.5mmの圧縮ゴム層用未加硫ゴムシートを作製した。
心線として直径1mmのポリエステル繊維を用意し、イソシアネートトルエン溶液(固形分20重量%)に浸漬し、240℃で40秒間加熱乾燥後、レゾルシン-ホルマリン初期縮合物系よりなるRFL接着剤水溶液に浸漬した後、60℃で40秒間加熱乾燥して、前処理ポリエステル心線を作製した。
帆布としてポリエステル綿帆布を前記RFL接着剤水溶液に浸漬し、150℃で3分間加熱乾燥させた。
その後、接着ゴム層と同じ配合物をトルエンに溶解してなる接着ゴム溶液に浸漬した後、60℃で10秒間加熱乾燥して、ポリエステル綿帆布に処理を施した前処理ポリエステル綿帆布を作製した。
(基材フィルム)
以下、ポリブチレンテレフタレートをPBT、ポリエチレンテレフタレートをPETと表示する。
<PBTフィルム1>
融点;222℃、降温結晶化温度;190℃、引張伸び;MD410%、TD440%
引張強さ;MD76(MPa)、TD68(MPa)、基材フィルム厚み;25μm
<PBTフィルム2>
融点;222℃、降温結晶化温度;188℃、引張伸び;MD560%、TD610%
引張強さ;MD120(MPa)、TD110(MPa)、基材フィルム厚み;40μm
<PBTフィルム3>
融点;219/226℃、降温結晶化温度;190℃、引張伸び;MD680%、TD640%
引張強さ;MD85(MPa)、TD80(MPa)、基材フィルム厚み;25μm
<PBTフィルム4>
融点;215/222℃、降温結晶化温度;177℃、引張伸び;MD590%、TD730%
引張強さ;MD47(MPa)、TD51(MPa)、基材フィルム厚み;25μm
<PBTフィルム5>
融点;223℃、降温結晶化温度;189℃、引張伸び;MD150%、TD150%
引張強さ;MD210(MPa)、TD220(MPa)、基材フィルム厚み;20μm
<PETフィルム1>
融点;260℃、降温結晶化温度;136℃、引張伸び;MD188%、TD165%
引張強さ;MD229(MPa)、TD236(MPa)、基材フィルム厚み;38μm
<インク受容層塗工液1>
酸変性ポリオレフィン樹脂(三菱ケミカル(株)サーフレンP-1000);10重量部、トルエン;70重量部、MEK;20重量部
<インク受容層塗工液2>
酸変性ポリオレフィン樹脂(三菱ケミカル(株)サーフレンP-1000);9重量部、ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)エリーテルUE3380)1重量部、トルエン;70重量部、MEK;20重量部
<インク受容層塗工液3>
シンジオタクチックポリブタジエン樹脂;6重量部、酸変性ポリオレフィン樹脂(三菱ケミカル(株);サーフレンP-1000);4重量部、トルエン;70重量部、MEK;20重量部
<アンカー層塗工液4>
酸変性ポリオレフィン樹脂(三菱ケミカル(株)サーフレンP-1000);5重量部、ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)エリーテルUE3380)5重量部、トルエン;70重量部、MEK;20重量部
前記熱転写印字媒体1を用いた。
表面が平な円筒状の離型処理された成形ドラム金型の周面に、前記接着シート、前記前処理ポリエステル綿帆布、及び、接着ゴム層用未加硫ゴムシートを巻き付けた後、この上に前処理ポリエステル心線を螺旋状にスピニングし、更に、その上にもう1つの接着ゴム層用未加硫ゴムシートを巻き付けた後、圧縮ゴム層用未加硫ゴムシートを4回巻き付けてマーク付き予備積層体を作製した。なお、マーク面は前処理ポリエステル綿帆布面と接するように設けられている。
作製したマーク付き予備積層体を内圧588kPa、外圧883kPa、温度165℃、時間35分間の条件で加硫缶中にて加熱加圧し、蒸気加硫して環状物となった一次成形体を作製し、 室温まで冷却し、マーク形成されたインク受容層を有するマーク形成用接着シートごと、ゴム加硫成形品にマークが形成されたマーク付き伝動ベルトを作製した。
次いで、リブ形成工程を実施した。具体的には、一次成形体を駆動ロールと従動ロールとからなる第1の駆動システムに取り付けて、所定の張力の下で走行させながら、これに研削ホイールにて表面にリブを形成した。この後、切断工程を実施した。具体的には、リブが形成された一次成形体を更に別の駆動ロールと従動ロールとからなる第2の駆動システムに取り付けて、走行させながら、所定の幅に裁断し、内周側と外周側を反転して、マーク付き伝動ベルトを作製した。
前記背面が平タイプのマーク付き伝動ベルトの作製において、前記前処理ポリエステル綿帆布に代えて、厚み130μmのポリプロピレン不織布を用意し、表面が、深さ1.5mm~2.0mm、幅1.5mm~3.0mmの凹凸形状を有する円筒状の離型処理された成形ドラム金型の周面に、前記接着シート、ポリプロピレン不織布、及び、接着ゴム層用未加硫ゴムシートを巻き付けた後、この上に前処理ポリエステル心線を螺旋状にスピニングし、更に、その上にもう1つの接着ゴム層用未加硫ゴムシートを巻き付けた後、圧縮ゴム層用未加硫ゴムシートを4回巻き付けてマーク付き予備積層体を作製した。加硫工程、リブ形成工程は、前記と同様である。
前記PBTフィルム1~5および前記PETフィルム1の基材フィルム上に、表1に示すように、必要に応じてアンカー層、インク受容層を塗工して、マーク付きゴム加硫成形品の製造に使用されるサーマルヘッドプリンター用のマーク形成用接着シートを作製した。なお、上記サーマルヘッドプリンター用のマーク形成用接着シートを用いて、前記段落0059~0062記載に準拠して、背面が平タイプ及びコグ形状タイプのマーク付き予備積層体の作製し、マーク形成用接着シートの凹凸追従性及び基材フィルムの形状面及び基材フィルムの密着性能を評価した結果を表1に示す。
Claims (4)
- マーク付きゴム加硫成形品の製造に使用されるマーク形成用接着シートにおいて、前記マーク形成用接着シートが、サーマルヘッドプリンターによる出力手段によりマークが形成される、熱可塑性基材フィルム上に、直接的あるいは間接的に接着された状態で設けられたインク受容層を有する一体型マーク形成用接着シートであって、前記熱可塑性基材フィルムが、示差走査熱量計で融点が200℃以上、降温速度10℃/minにて測定した降温結晶化温度が170℃以上で、25℃におけるフィルムの長手方向および幅方向の、引張伸びが350~750%、引張強さが40~150MPaであるポリブチレンテレフタレートよりなる基材フィルムであることを特徴とするインク受容層一体型マーク形成用接着シート。
- 前記ポリブチレンテレフタレートよりなる基材フィルムの膜厚が、10μm~80μmであることを特徴とする請求項1に記載のインク受容層一体型マーク形成用接着シート。
- 前記インク受容層が、酸変性ポリオレフィン樹脂または/およびシンジオタクチックポリブタジエン樹脂の少なくとも1種を含有したインク受容層であることを特徴とする請求項1~請求項2のいずれかに記載のインク受容層一体型マーク形成用接着シート。
- 本体ゴム部材と、該本体ゴム部材の外面に形成されたベルト表面部材と、マーク形成用接着シートとを備えたマーク付き伝動ベルトの製造方法であって、前記請求項1~3のいずれかに記載のインク受容層一体型マーク形成用接着シートのインク受容層上に、サーマルヘッドプリンター出力手段インクでマークを印字する印字工程と、前記ベルト表面部材の外表面と前記マーク形成用接着シートの印字面とが重ね合わさるように積層してベルト表面積層体を形成する積層工程と、前記本体ゴム部材と前記ベルト表面積層体とを成形金型にて一体的に加硫成形する加硫成形工程とを有することを特徴とする、マーク形成されたインク受容層を有するマーク形成用接着シートごと、ゴム加硫成形品にマークが形成されたマーク付き伝動ベルトの製造方法。
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