JP3731991B2 - 印刷用ブランケットの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷用ブランケットの製造方法に関し、より詳しくは、厚みが均一なブランケットを簡単な工程でかつ良好な作業環境で作製することができる印刷用ブランケットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版オフセット印刷やグラビアオフセット印刷に用いられる印刷用ブランケット10は、例えば図5に示すように、少なくとも1層の基布層16を含む支持体層12と、この支持体層上に設けられた表面ゴム層11とで構成されている。前記支持体層12は、基布13と接着ゴム層15とからなる基布層16を、通常2〜5層積層したものである。また、図6に示すように、前記基布層16を圧縮性層14を介して積層した印刷用ブランケット100も知られている。
【0003】
前記接着ゴム層15や表面ゴム層11は、印刷用ブランケット全体の厚さの都合上厚くすることができない。すなわち、前記ゴム層を厚くすると、その結果印刷用ブランケット全体の厚さが増すことになり、印刷用ブランケットの印刷機への装着が困難になる。一方、前記ゴム層を薄くする代わりに基布層16の積層数を減らすと、印刷用ブランケットの強度が低下して、実用に適さなくなる。このため、接着ゴム層15や表面ゴム層11の厚みは、それぞれ通常1mm以下、好ましくは0.5mm以下に設定されている。
【0004】
また、接着ゴム層15や表面ゴム層11の厚みが不均一になると、印刷時にブランケットの表面にかかる面圧が不均一になって印刷不良が発生するという問題が生じることから、前記ゴム層の厚みのばらつきを極力小さくすること(厚みの均一性を高めること)が求められている。
そこで従来より、接着ゴム層15や表面ゴム層11を作製する方法として、ブレードコーティング法等の糊引き法が用いられている。かかる糊引き法によれば、未加硫のゴム材料をトルエンやメチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶かしてゴム糊とし、このゴム糊を綿、ポリエステル、レーヨン等からなる基布13に、または基布層16を積層した支持体12の表面に糊引きすることによって前記ゴム層が形成される。
【0005】
この糊引き法は、印刷用ブランケット全体の厚みのばらつきを小さくするうえで極めて有効な方法である。しかしながら、糊引き法は溶剤を蒸発させながら接着ゴム層や表面ゴム層を形成させるため、1回の糊引きの厚さを薄くする必要があり、1回の糊引きで得られる層の厚みはわずか0.01〜0.05mm程度である。このため、所定の厚みのゴム層を得るには糊引き操作を数回から数十回繰り返す必要がある。従って、印刷用ブランケットの製造に多大な時間がかかり、工程も煩雑となる。また、ゴム糊の作製に多量の有機溶剤を必要とするので、作業環境が低下するという問題もある。
【0006】
さらに、糊引きによって基布13の内部にゴム分が多量に浸透し、その結果、加硫後の基布層16の硬度、ひいては印刷用ブランケット全体の硬度が極めて高くなってしまうという問題もある。印刷用ブランケットの硬度が高くなると、印刷機への装着性が低下するとともに、ブランケットをブランケット胴のシリンダーに装着した際、シリンダーのエッジ部において盛り上がりが生じてしまい、その結果、盛り上がり部分では磨耗が激しくなって耐久性が低下したり、ブランケットの裏面に洗浄液が浸入して膨潤し易くなって、網点の太りが顕著になるという問題も生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一方、印刷用ブランケットの他の製造方法として、接着ゴム層形成用の未加硫のゴム材料をシート状に押出成形し、得られたゴムシートと基布とをローラで圧着したり、表面ゴム層用のゴム組成物を同様にしてシート状に押し出しして、これと支持体層とをローラで圧着する方法が米国特許第4093487号明細書に開示されている。しかし、押出機にてシート状のゴム部材を作製する場合はゴム部材の厚みを調節するのが困難であって、厚みを薄くしすぎるとシートが波打ったり、切れたりしてしまう。また、シート状に成形できたとしても厚みが不均一になる等の問題が生じる。
【0008】
また上記米国特許明細書には、ゴム層形成用の未加硫のゴム組成物をカレンダーで圧延し、これをローラにて基布や支持体層と圧着させる方法も開示されている。この方法によれば、多量の有機溶剤を使用する必要がなく、作業環境を向上させることができる。しかしながら、カレンダー操作においては、ロール間に供給するゴムの量を制御するのが困難であるため、成形するゴムシートの厚みが薄くなればなるほど、その厚みのばらつきが大きくなってしまう。
【0009】
図7(a),(b) は、4本のロール90,91,92,93を有する逆L字型4本カレンダーにより、ゴム組成物を圧延する操作を示す模式図である。同図(b) に示すように、ロール90,91の軸方向xにおいてゴムの練り溜まり94の量にばらつきがあると、ロール90,91間に巻き込まれるゴムの量が当該軸方向xで不均一になり、その結果、ゴムシート95の厚みが幅方向x’で不均一になってしまう。一方、ロール90,91間を通過するゴムの量に経時的なばらつきがあると、ゴムシート95の厚みが長手方向yで不均一になる。従って、上記公報に開示の方法で、厚みが均一な薄いゴムシートを成形するのは困難であった。
【0010】
そこで本発明の目的は、薄くしかも厚みが均一な基布層または表面ゴム層を簡単に製造できる印刷用ブランケットの製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の印刷用ブランケットの製造方法は、少なくとも1層の基布層を含む支持体層上おに表面ゴム層を形成する印刷用ブランケットの製造方法であって、前記基布層のうち少なくとも1層が、(1) 接着ゴム層用の未加硫のゴム材料を加熱しつつ押出成形して、シート状の接着ゴム層を作製する工程、(2) 前記接着ゴム層が冷却される前に、当該接着ゴム層をカレンダーで加圧して薄層化する工程、および(3) こうして薄層化された接着ゴム層と、基布とを、前記接着ゴム層が冷却される前に圧着用ローラで加圧して接着する工程を経て形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の印刷用ブランケットの製造方法は、少なくとも1層の基布層を含む支持体層上に表面ゴム層を形成する印刷用ブランケットの製造方法であって、(1) 表面ゴム層用の未加硫のゴム材料を加熱しつつ押出成形して、シート状の表面ゴム層を作製する工程、(2) 前記表面ゴム層が冷却される前に、当該表面ゴム層をカレンダーで加圧して薄層化する工程、および(3) こうして薄層化された表面ゴム層と、支持体層とを、前記表面ゴム層が冷却される前に圧着用ローラで加圧して接着する工程を経ることを特徴とする。
【0013】
上記本発明の印刷用ブランケットの製造方法によれば、接着ゴム層用または表面ゴム層用の未加硫のゴム組成物が押出成形によって一旦シート状に成形されてからカレンダーで薄層化されることから、ゴムの練り溜まりから直接カレンダーで薄層化する従来の方法に比べて、ロールへのゴムの供給量が変動するのを大幅に抑制できる。従って、得られる接着ゴム層や表面ゴム層は薄くかつ均一な厚みとなり、その結果、印刷用ブランケット全体の厚みを薄くかつ均一にすることができる。
【0014】
また、本発明では、接着ゴム層や表面ゴム層の作製に糊引きの操作を伴わないことから、有機溶剤の使用量を軽減でき、製造時の作業環境を向上させることができる。さらに、基布の内部にゴム糊が浸透して、加硫後の基布層が硬くなり過ぎるといった問題も生じない。
上記本発明の印刷用ブランケットの製造方法において、(2) の工程で得られた薄層が冷却される前に、当該薄層を圧着用ローラで加圧して基布または支持体層と圧着させるのが、当該薄層と基布または支持体層との接着性を高めるという観点から好ましい。
【0015】
また、上記(2) の工程において、接着ゴム層や表面ゴム層を薄層化するのに用いられるカレンダーは、互いに逆方向に回転する一対のロールからなり、両ロールの軸が各々のロールの軸方向における中心部で交差し、かつ両軸のなす角が0.05〜1.5°であるのが、基布層や表面ゴム層の厚みを均一にするという観点から好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の印刷用ブランケットの製造方法において、接着ゴム層用の未加硫のゴム材料に用いられるゴムとしては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム等の耐油性の高いゴムがあげられる。
【0017】
一方、表面ゴム層用の未加硫のゴム材料に用いられるゴムとしては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水添加NBR、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム、アクリルゴム等の合成ゴムがあげられ、これらの合成ゴムと多硫化ゴムとの混合物も好適に用いられる。
接着ゴム層用または表面ゴム層用の未加硫のゴム材料は、上記例示のゴムに、加硫剤、加硫促進剤および必要に応じて充填剤、老化防止剤、可塑剤、補強剤、増粘剤等を配合したものが用いられる。
【0018】
本発明に用いられる基布としては、綿、ポリエステル、レーヨン等の織布があげられる。
本発明の印刷用ブランケットの製造方法において、上記接着ゴム層用または表面ゴム層用の未加硫のゴム材料は、図1に示すように、押出機20のシリンダー203内で加熱軟化され、ヘッド部201の吐出口202(図2参照)からシート状に押し出される。
【0019】
前記吐出口202の開口高さhは、接着ゴム層用のゴム材料を押出成形する場合には、2〜8mm、好ましくは3〜6mmの範囲にあるものが適当である。一方、表面ゴム層用のゴム材料を押出成形する場合には、3〜10mm、好ましくは4〜8mmの範囲にあるものが適当である。開口高さhが前記範囲を下回ると、ゴムを押し出しにくくなり、吐出口202の内部で温度が上昇してゴムの焼けが起こりやすくなる。一方、開口高さhが前記範囲を超えると、カレンダー20への接着ゴム層用または表面ゴム層用ゴム材料の供給が過剰になり、押出成形によって得られるシート状のゴム層30の厚みを薄くするのが困難になったり、押出幅wの制御も困難になるために好ましくない。
【0020】
押出機20におけるヘッド部201、シリンダー203、スクリュー204およびホッパー205の温度は、50〜120℃、好ましくは60〜110℃の範囲に設定するのが適当である。前記温度が50℃を下回ると、押出機20内でのゴム材料の流れが悪くなり、ゴムを押し出しにくくなるために好ましくない。一方、前記温度が120℃を超えると、ゴムの加硫が促進されてゴムの焼けが生じ易くなるために好ましくない。
【0021】
押出成形によって得られたシート状のゴム層30は、吐出口202から押し出された直後に、すなわちシート状のゴム層30が冷却される前に、カレンダー21に供給され、薄層化される。
カレンダー21は、図1に図示される矢印のように互いに逆方向に回転する一対のロール22,23からなるものであって、当該ロール22,23間にシート部材30を通過させることにより、当該シート状のゴム層30を薄層化することができる。ロール22,23間の間隙は、薄層化されたゴム層31に要求される厚みに応じて適宜設定される。
【0022】
カレンダー21のロール22,23は、図3に示すように、その軸が各々のロールの中心部で交差し、かつ両軸のなす角(以下、「交差角θ」という)が0.05〜1.5°、好ましくは0.1〜1°となるように設定するのが、薄層31の厚みを均一にするという観点から好ましい。
カレンダー21によって薄層化されたゴム層31の厚みは、一般に、ロール22,23の辺縁部へ行くのに従って薄くなる傾向がある。しかし、両ロール22,23を交差させることにより、ローラ22,23の中心から離れるほど当該ロール22,23間の間隙を広くすることができることから、かかる問題を解決することができる。
【0023】
交差角θの大きさは、カレンダー21に供給されるゴム材料の組成や、押出機20のヘッド部201における開口高h、押出幅w等の大きさに応じて、前記範囲内で適宜設定される。
薄層化されたゴム層(接着ゴム層または表面ゴム層)31と、基布または支持体層(図1中に符号32で示す)とは、前述のように、シート状のゴム層30がカレンダー21を通過して薄層化された後で貼り合わせるのが好ましい。例えば、シート状のゴム層30と基布とを合わせてカレンダー21を通過させて、前記シート部材30を薄層化するとともに基布に圧着させた場合には、ロール22,23間の圧力によって基布内部にゴムが入り込みやすくなる。その結果、加硫後における基布層の硬度が高くなり過ぎるおそれがあり、好ましくない。また、シート状のゴム層30と基布または支持体層とをあらかじめ貼り合わせてからカレンダー21を通過させた場合には、基布や支持体層にシワが入ったり、ロール22,23間の圧力によって基布や支持体層が破れたりする等の問題が生じて、連続的な加工が困難になる。
【0024】
カレンダー21により薄層化されたゴム層31は、基布または支持体層と貼り合わせる前にポリエチレンシート等と貼り合わせて巻き取りを行い、その後、ポリエチレンシートを貼り合わせたままで反対側に基布や支持体層を圧着させたり、ポリエチレンシートを剥がしてから基布や支持体層を圧着させることもできる。しかし、前記ゴム層31と基布または支持体層との接着性を高めるためには、前記ゴム層31にポリエチレンシートを貼り合わせて巻き取る工程を経ずに、シート状のゴム層30を薄層化した直後に該ゴム層30と基布または支持体層とを圧着させる操作を行うのが好ましい。
【0025】
圧着用ローラ24をカレンダー21の一方のロール(図1ではロール23)に押し当てるようにして設置したときは、シート状のゴム層30を薄層化した直後に、該ゴム層30を基布または支持体層(図1中に符号32で示す)と接着させることができる。この場合、薄層化されたゴム層31が高い温度に維持されているため、基布または支持体層との接着性が良好になる。
【0026】
前記ゴム層31と基布または支持体層とを接着する際の、圧着用ローラ24の圧力は3〜100kgf/cm2 、好ましくは5〜60kgf/cm2 の範囲であるのが好ましい。前記圧力が3kg/cm2 を下回ると、薄層31と基布または支持体層との接着が不十分になるために好ましくない。一方、圧力が100kgf/cm2 を超えると、基布内部にゴムが入り込んだり、薄層31、基布または支持体層が破れたりするおそれが生じる。
【0027】
こうして得られた基布付き接着ゴム層(すなわち、基布層)または基布付き表面ゴム層は、冷却後、必要に応じてポリエチレンフィルム等の表面エネルギーの低いシートを介して巻き取られる。
上記本発明の印刷用ブランケットにおいて、基布層の厚みは特に限定されないが、通常、0.15〜0.5mm、好ましくは0.20〜0.45mmの範囲で設定するのが適当である。
【0028】
支持体層は、前述の方法により作製した基布層を、支持体層に要求される厚みに応じて積層した後、一対のローラ間に通して加圧し、接着させることによって得られる。支持体層12が図5に示すように圧縮性層14を有する場合は、当該圧縮性層14を介して基布層16を積層すればよい。
なお本発明において、圧縮性層は多孔質の弾性部材からなるものであるほかは特に限定されず、ゴム中に塩を混入し、加硫後に温水へ浸して塩を抽出し、気泡を形成する抽出法や、ガラス、フェノール樹脂、炭素または熱可塑性樹脂の中空微小球(マイクロバルーン)をゴム中に入れて気泡を形成するマイクロバルーン法、発泡剤を用いた発泡法等の、従来公知の種々の方法によって作製されたものを使用できる。
【0029】
上記支持体層全体の厚みは、通常、1.45〜1.85mm、好ましくは1.55〜1.75mmの範囲で設定するのが適当である。なお、基布層16の積層数は、製品に要求される特性に応じて適宜設定すればよく、通常1〜5層の範囲で設定される。
本発明において、表面ゴム層は、前述のように、片側の面に基布が付いた状態で得られる。かかる基布付き表面ゴム層は、その基布側の表面が支持体層の表面と重なり合うようにして貼り合わせたうえで、一対のローラ間に通して加圧し、接着させればよい。
【0030】
表面ゴム層の厚みは特に限定されないが、通常、0.05〜0.8mm、好ましくは0.1〜0.6mm、より好ましくは0.2〜0.4mmの範囲で設定するのが適当である。表面ゴム層の厚みが上記範囲を下回ると、基布の模様が印刷画像に現れるおそれがある。逆に、厚みが上記範囲を超えると、印刷時のひずみが大きくなり過ぎて印刷品質が低下するおそれがある。
【0031】
なお、基布層を本発明の方法にて作製する場合には、支持体層の表面にゴム糊を塗布する従来の方法によって表面ゴム層を作製してもよい。また、表面ゴム層を本発明の方法にて作製する場合には、基布上にゴム糊を塗布する従来の方法によって基布層を作製してもよい。
【0032】
【実施例】
以下、実施例および比較例をあげて、本発明を説明する。
実施例1〜5
以下の(a) 〜(d) に示すようにして、図5に示す層構成を有する印刷用ブランケット10を得た。
【0033】
(a) 基布層16の作製
接着ゴム層用ゴム材料として、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)100重量部に対し、カーボンブラック30重量部、可塑剤10重量部、亜鉛華3重量部、ステアリン酸1重量部、老化防止剤1重量部、硫黄1重量部および加硫促進剤2重量部を配合したものを用いた。
【0034】
図1に示す押出機20に上記接着ゴム層用ゴム材料を入れ、開口高hが4mmの吐出口202から押出成形によってシート状の接着ゴム層30を取り出した。該ゴム層30を押し出した直後に、カレンダー21のロール22,23で、該ゴム層30の厚みが0.10mmとなるように加圧して、薄層化された接着ゴム層31を得た。さらにその直後に、ロール23と圧着用ローラ24との間に前記ゴム層31と基布(綿布、厚み0.4mm、図1では符号32で示す)とを通し、両者を圧着して、基布層16を得た。
【0035】
なお、上記押出成形時における条件は以下のとおりであった。シリンダー203の内径φ=90mm、押出速度(ラインスピード)=3m/分、シリンダ203の温度60℃、スクリュー204の温度80℃、ホッパ205の温度60℃、ヘッド部201の温度80℃、カレンダー21におけるロール22の温度80℃、ロール23の温度100℃。
【0036】
上記各実施例におけるロール22,23の交差角θ(°)と、圧着用ローラ24の圧接力F(kgf/cm2 )と、得られた基布層16の厚みの平均値X(mm)、厚みの最大値max(mm)、最小値min(mm)および標準偏差σの測定値と、基布13と接着ゴム層15との接着状況についての評価結果とを、それぞれ表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1より明らかなように、実施例1〜5では、基布層16の厚みのばらつきが小さく、とりわけカレンダー21のロール22,23に交差角θを設けた実施例2〜5では、ばらつきが極めて小さかった。また、基布13と接着ゴム層15との接着状況は良好であった。但し、圧着用ローラの圧接力が極めて大きい実施例5では、ゴムが基布内部に入り込み、裏面にまで達していた箇所が見受けられたが、接着状況は良好であった。
【0039】
(b) 支持体層12の作製
上記基布層16を実施例毎に3枚ずつ貼り合わせて、一対のローラで圧接して支持体層12を作製した。
(c) 基布13付き表面ゴム層11の作製
表面ゴム層用ゴム材料として、NBR100重量部に対し、顔料1重量部、含水シリカ30重量部、酸化チタン3重量部、可塑剤10重量部、亜鉛華2重量部、ステアリン酸1重量部、老化防止剤2重量部、硫黄1重量部および加硫促進剤2重量部を配合したものを用いた。
【0040】
上記表面ゴム層用ゴム材料を図1に示す押出機20に入れ、開口高hが6mmの吐出口202から押出成形によってシート状の表面ゴム層30を取り出した。該ゴム層30を押し出しした直後に、ロール22,23で、前記ゴム層30の厚みが0.50mmとなるように加圧して、薄層化された表面ゴム層31を得た。さらにその直後に、ロール23と圧着用ローラ24との間に前記ゴム層31と基布(綿布、厚み0.25mm、図1では符号32で示す)を通し、両者を圧着して、基布13が圧着された表面ゴム層11を得た。
【0041】
なお、上記押出成形時における条件は、押出機のラインスピードが1m/分、吐出口202の開口高hが6mmであるほかは、シリンダ203等の温度条件を「基布層16の作製」と同様に設定した。また、カレンダーロール22,23の交差角θは0.1°、圧着ローラ24の圧接力Fは20kgf/cm2 にそれぞれ調整した。
【0042】
基布13が圧着された表面ゴム層11の厚み(すなわち、基布13と表面ゴム層11との厚み)は、平均値Xが0.72mm、最大値maxが0.73mm、最小値minが0.71mm、標準偏差σが0.010であって、厚みのばらつきが極めて小さかった。また、基布13と表面ゴム層11との接着状況は良好であった。
【0043】
(d) 印刷用ブランケット10の作製
上記支持体層12と、基布13付きの表面ゴム層11とを、当該表面ゴム層11における基布13側の表面と、支持体12における接着ゴム層15の露出面とを貼り合わせた。次いで、これを一対のロール間に通して圧接して、図5に示すように、基布層16が4枚積層された支持体層12と、表面ゴム層11とからなる積層体を作製した。
【0044】
次いで、上記積層体を、圧力2kg/cm2 、温度150℃で加硫した。加硫後、厚みを均一化するとともに、表面ゴム層11の形状を制御する研磨ロールによって表面ゴム層11を研磨して、図5に示すオフセット印刷用ブランケット10を得た。
比較例1
(基布層の作製)
上記実施例1〜5で使用したのと同じ接着ゴム層用ゴム材料を用いて、このゴム材料94を図4に示す逆L字型4本ロール96のロール90,91間に直接供給し、薄層化した。こうして得られたゴムシート97を、基布13(綿布、厚み0.4mm)とともに圧着用ローラ98とロール93とによって圧着し、基布に接着ゴム層が接着してなる基布層を得た。
【0045】
なお、逆L字型4本ロール96における薄層化の条件は次のとおりであった。4本ロール96のラインスピード=3m/分、ロールの温度=80℃。
上記比較例1におけるロール90,91の交差角θ(°)と、圧着用ローラ98の圧接力F(kgf/cm2 )と、得られた基布層の厚みの平均値X(mm)、厚みの最大値max(mm)、最小値min(mm)および標準偏差σの測定値と、基布と接着ゴム層との接着状況についての評価結果とは、それぞれ前記表1に示した通りである。
【0046】
前記表1より明らかなように、ゴム材料を直接4本ロールでシート化した比較例1では、基布層の厚みに大きなばらつきがみられた。また、比較例1では、ロール90とロール91、ロール91とロール92、およびロール92とロール93のそれぞれの間のロール間距離、つまりロール同士の圧接力を調整するのが困難で、生産性が劣る原因にもなり、このロール間距離の調整が適切になされないと、ゴムシート97の厚み、ひいては基布層の厚みのばらつきが大きくなってしまう。
【0047】
比較例2
(基布層の作製)
上記実施例1〜5で使用したのと同じ接着ゴム層用ゴム材料をトルエン−メチルエチルケトン混合溶媒に溶かして接着ゴム層用ゴム糊とした。このゴム糊をブレードコーティング法にて基布(綿布、厚み0.40mm)上に糊引きして、基布層を得た。なお、基布層の厚みは0.45mmとなるように調節した。次いで、こうして得られた基布層を一対のロール間に通して圧接し、合計3枚の基布層を積層した。
【0048】
(表面ゴム層の作製)
上記実施例1〜5で使用したのと同じ表面ゴム層用ゴム材料をトルエン−メチルエチルケトン混合溶媒に溶かして表面ゴム層用ゴム糊とした。このゴム糊をブレードコーティング法にて基布13(綿布、厚み0.25mm)上に糊引きして、基布13付き表面ゴム層11を得た。なお、表面ゴム層11の厚みは0.72mmとなるように調節した。
【0049】
(印刷用ブランケットの作製)
上記基布層を3枚積層した積層体における接着ゴム層の露出面と、上記基布付き表面ゴム層における基布が露出した側の表面とを貼り合わせた。次いで、これを一対のロール間に通して圧接して、図5に示すように、基布層16が4枚積層された支持体層12と、表面ゴム層11とからなる積層体を作製した。
【0050】
次いで、上記積層体を実施例1〜5における「印刷用ブランケット10の作製」と同様の条件にて加硫し、表面ゴム層を研磨して、印刷用ブランケット10を得た。
(柔軟性測定結果)
上記実施例2〜4および比較例2で得られた印刷用ブランケット10について、その柔軟性を評価した。
【0051】
測定器にはLorentzen & Wettre社製の"Bending Resistance Tester" を使用した。なお、測定に用いた印刷用ブランケット10のサイズは幅38mm、長さ150mmであって、支点間距離50mm、まげ角度15°の条件で測定を行った。また、印刷用ブランケット10は、下層の基布層13を谷にして曲がるように測定器に装着した。
【0052】
以上の結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
表2より明らかなように、糊引き法によって作製された比較例2の印刷用ブランケットは、基布13内部にゴム糊が浸透することにより、曲げ抵抗値(mN)が大きく、すなわち硬度が高くなっていた。
これに対し、実施例2〜4で得られた印刷用ブランケットは、曲げ抵抗値は小さく、十分な柔軟性を有していた。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、厚みのばらつきが少ない印刷用ブランケットを得ることができる。また、糊引き操作を伴わないことから、製造工程を簡単にでき、かつ作業環境を良好なものとすることもできる。
さらに、糊引き操作を伴わないことから、印刷用ブランケットの柔軟性が高く、印刷機への装着性を良好なものとすることもできる。
【0056】
従って、本発明は、印刷用ブランケットの製造方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷用ブランケットの製造方法の一実施形態を示す模式的断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】カレンダーロールの交差角θを示す模式図である。
【図4】比較例1での基布層の作製方法を示す説明図である。
【図5】印刷用ブランケットの一例を示す断面図である。
【図6】印刷用ブランケットの他の例を示す断面図である。
【図7】カレンダー操作によってゴムの厚みにばらつきが生じるのを説明する模式図である。
【符号の説明】
21 カレンダー
22 ロール
23 ロール
24 圧着用ローラ
Claims (2)
- 少なくとも1層の基布層を含む支持体層上に表面ゴム層を形成する印刷用ブランケットの製造方法であって、前記基布層のうち少なくとも1層が、
(1) 接着ゴム層用の未加硫のゴム材料を加熱しつつ押出成形して、シート状の接着ゴム層を作製する工程、
(2) 前記接着ゴム層が冷却される前に、当該接着ゴム層をカレンダーで加圧して薄層化する工程、および
(3) こうして薄層化された接着ゴム層と、基布とを、前記接着ゴム層が冷却される前に圧着用ローラで加圧して接着する工程
を経て形成されることを特徴とする印刷用ブランケットの製造方法。 - 少なくとも1層の基布層を含む支持体層上に表面ゴム層を形成する印刷用ブランケットの製造方法であって、
(1) 表面ゴム層用の未加硫のゴム材料を加熱しつつ押出成形して、シート状の表面ゴム層を作製する工程、
(2) 前記表面ゴム層が冷却される前に、当該表面ゴム層をカレンダーで加圧して薄層化する工程、および
(3) こうして薄層化された表面ゴム層と、支持体層とを、前記表面ゴム層が冷却される前に圧着用ローラで加圧して接着する工程
を経ることを特徴とする印刷用ブランケットの製造方法。
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JP30587397A JP3731991B2 (ja) | 1997-11-07 | 1997-11-07 | 印刷用ブランケットの製造方法 |
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