JP7314507B2 - ニッケル粉末およびその製造方法 - Google Patents
ニッケル粉末およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7314507B2 JP7314507B2 JP2018238500A JP2018238500A JP7314507B2 JP 7314507 B2 JP7314507 B2 JP 7314507B2 JP 2018238500 A JP2018238500 A JP 2018238500A JP 2018238500 A JP2018238500 A JP 2018238500A JP 7314507 B2 JP7314507 B2 JP 7314507B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nickel
- nickel powder
- powder
- acid
- particle size
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
- Powder Metallurgy (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
Description
2.湿式法を用いたニッケル粉末の製造方法
2-1.晶析工程
2-1-1.晶析工程で用いる薬剤
2-1-2.晶析手順
2-1-3.還元反応
2-1-4.反応開始温度
2-2.洗浄・ろ過工程
2-2-1.洗浄・ろ過の方法と手順
2-2-2.中和に用いる薬剤
2-3.乾燥工程
2-4.解砕工程(後処理工程)
本発明のニッケル粉末は、粒径が0.8μmを超える粗大粒子であって、水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が200質量ppm以下と非常に少なく、ニッケルペースト乾燥膜における高い平坦性を実現できる。そのため、内部電極層と誘電体層からなる積層体における電極間ショート(短絡)を効果的に防止することが可能となり、積層セラミックコンデンサの内部電極の用途に好適である。
まず、本発明の一実施形態に係る湿式法を用いたニッケル粉末の製造方法について説明する。本発明の一実施形態に係る湿式法を用いたニッケル粉末の製造方法は、すくなくとも水溶性ニッケル塩、ニッケルよりも貴な金属の塩、還元剤(例えばヒドラジン)、pH調整剤としての水酸化アルカリと水を混合して得た強アルカリ性反応液中において、ヒドラジン等による還元反応でニッケルを晶析させてニッケル晶析粉を含む反応終液である強アルカリ性のニッケル粉スラリーを得る晶析工程、該ニッケル粉スラリーを洗浄しながらニッケル晶析粉を分離してニッケル粉ケーキを得る洗浄・ろ過工程、該ニッケル粉ケーキを乾燥してニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得る乾燥工程を含む。また、必要に応じて、反応液中に、アミン化合物や硫黄含有化合物を配合し、ヒドラジンの自己分解抑制剤(アミン化合物、硫黄含有化合物)および還元反応促進剤(錯化剤)(アミン化合物)として作用させてもよい。また、必要に応じて行う解砕工程を後処理工程として付加してもよい。
晶析工程では、少なくとも水溶性ニッケル塩、ニッケルよりも貴な金属の塩、還元剤、水酸化アルカリ、および水を混合した反応液中でニッケル塩(正確には、ニッケルイオン、またはニッケル錯イオン)を、例えばヒドラジン等の還元剤を用いた還元反応により還元することができる。本発明では、ヒドラジンを用いる場合には、この反応液に、必要に応じてアミン化合物や硫黄含有化合物を混合させ、アミン化合物や硫黄含有化合物の存在下で、還元剤としてのヒドラジンの分解抑制をしながら、ニッケル塩を還元することもできる。
本発明の晶析工程では、ニッケル塩、ニッケルよりも貴な金属の塩、還元剤、水酸化アルカリ、必要に応じて、アミン化合物や硫黄含有化合物等の各種薬剤と水を含む反応液が用いられている。溶媒としての水は、得られるニッケル粉末中の不純物量を低減させる観点から、超純水(導電率:≦0.06μS/cm(マイクロジーメンス・パー・センチメートル))や、純水(導電率:≦1μS/cm)という高純度のものがよく、中でも安価で入手が容易な純水を用いることが好ましい。以下、上記各種薬剤について、それぞれ詳述する。
本発明に用いるニッケル塩は、水に易溶であるニッケル塩であれば、特に限定されるものではなく、例えば、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケルから選ばれる1種以上を用いることができる。これらのニッケル塩の中では、塩化ニッケル、硫酸ニッケルあるいはこれらの混合物を用いることがより好ましい。
ニッケルよりも貴な金属の塩は、ニッケルよりもイオン化傾向が低いことにより、ニッケルを還元析出させる際にニッケルよりも先に還元される。したがって、ニッケルよりも貴な金属の塩は、ニッケル塩溶液に含有させると、ニッケルを還元析出させる際に、ニッケルよりも貴な金属が先に還元されて初期核となる核剤として作用する。そのため、この初期核が粒子成長して得られるニッケル晶析粉(ニッケル粉末)において、ニッケル粉末の粒径制御や微細化を容易に行なうことができるようになる。
本発明の晶析工程に用いる還元剤は、特に限定されるものではないが、例えばヒドラジン(N2H4、分子量:32.05)が挙げられる。なお、ヒドラジンには、無水のヒドラジンの他にヒドラジン水和物である抱水ヒドラジン(N2H4・H2O、分子量:50.06)があるが、どちらを用いてもかまわない。ヒドラジンの還元反応は、後述する式(2)に示す通りであるが、特にアルカリ性で還元力が高いこと、還元反応の副生成物が窒素ガスと水であるために、還元反応による不純物成分が反応液中に生じないこと、ヒドラジン中の不純物がそもそも少ないこと、および入手が容易なこと、という特徴を有している。そのため、ヒドラジンは還元剤に好適であり、例えば、市販されている工業グレードの60質量%抱水ヒドラジンを用いることができる。
ヒドラジンの還元力は、後述する式(2)に示すように、反応液のアルカリ性が強い程大きくなるため、本発明では、晶析工程において、水酸化アルカリを、アルカリ性を高めるpH調整剤として用いることができる。水酸化アルカリとしては、特に限定されるものではないが、入手の容易さや価格の面から、アルカリ金属水酸化物を用いることが好ましい。具体的には、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)から選ばれる1種以上を用いることがより好ましい。
アミン化合物は、前述のようにヒドラジンの自己分解抑制剤、還元反応促進剤、さらにはニッケル粒子同士の連結抑制剤の作用を有しているため、必要に応じて、反応液に添加するとよい。上記アミン化合物としては、分子内に第1級アミノ基(-NH2)または第2級アミノ基(-NH-)をから選ばれる官能基のいずれかを合わせて2個以上含有する化合物であって、例えば、アルキレンアミンまたはアルキレンアミン誘導体の少なくともいずれかを用いることができる。一例としては、分子内のアミノ基の窒素原子が炭素数2の炭素鎖を介して結合した下記式Aの構造を少なくとも有しているアミン化合物を用いることが好ましい。
硫黄含有化合物は、ニッケルめっきの光沢剤やめっき浴の安定剤に適用される化合物であって、上記アミン化合物と異なり、単独で用いた場合にはヒドラジンの自己分解抑制作用はそれ程大きくない。ただし、ニッケル粒子表面と吸着等の相互作用を有しており、上記アミン化合物と併用すると、ヒドラジンの自己分解抑制作用を大幅に強めることができるヒドラジンの自己分解抑制補助剤の作用を有している。そのため、必要に応じて、反応液に添加するとよい。そして上記硫黄含有化合物は、分子内に、スルフィド基(-S-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルホン酸基(-S(=O)2-O-)、チオケトン基(-C(=S)-)のいずれかを少なくとも1個以上含有する化合物である。さらに、上記硫黄含有化合物は、ヒドラジンの自己分解抑制補助剤の作用に加えて、ニッケル粒子同士の連結抑制剤としての作用も有しており、上記アミン化合物と併用すると、ニッケル粒子同士が互いに連結した粗大粒子の生成量をより効果的に低減することもできる。
晶析工程の反応液中には、上述のニッケル塩、ニッケルよりも貴な金属の塩、還元剤(例えばヒドラジン)、水酸化アルカリ、アミン化合物に加え、分散剤、錯化剤、消泡剤等の各種添加剤を少量含有させてもよい。例えば、分散剤や錯化剤は、適切なものを適正量用いれば、ニッケル晶析粉の粒状性(球状性)や表面平滑性を改善できたり、粗大粒子を低減することが可能になる場合がある。また、消泡剤も、適切なものを適正量用いれば、晶析反応で生じる窒素ガス(後述の式(2)~式(4)参照)に起因する晶析工程での発泡を抑制することで、例えば水溶液が容器からあふれてしまうことを防止することが可能となる。分散剤としては、公知の物質を用いることができ、例えば、アラニン(CH3CH(COOH)NH2)、グリシン(H2NCH2COOH)、トリエタノールアミン(N(C2H4OH)3)、ジエタノールアミン(別名:イミノジエタノール)(NH(C2H4OH)2)等が挙げられる。また、錯化剤としては、公知の物質を用いることができ、ヒドロキシカルボン酸、カルボン酸(少なくとも一つのカルボキシル基を含む有機酸)、ヒドロキシカルボン酸塩やヒドロキシカルボン酸誘導体、カルボン酸塩やカルボン酸誘導体、具体的には、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、蟻酸、酢酸、ピルビン酸、およびそれらの塩や誘導体等が挙げられる。さらに、消泡剤としては、アルカリ性条件下において破泡性に優れたものであれば、特に限定されず、オイル型や溶剤型のシリコーン系またはノンシリコーン系の消泡剤を用いることができる。
晶析工程では、少なくとも水溶性ニッケル塩とニッケルよりも貴な金属の塩を水に溶解させたニッケル塩溶液と、還元剤(例えばヒドラジン)を水に溶解させた還元剤溶液と、水酸化アルカリを水に溶解させた水酸化アルカリ溶液を用意し、これらを添加混合させて反応液を調合する。そして、還元反応により、この反応液中でニッケル粒子を晶析させてニッケル晶析粉を得る晶析反応を行う。なお、必要に応じて添加するアミン化合物や硫黄含有化合物は、反応液を調合する前に上記いずれかの溶液またはそれらを混合させた液に添加混合させるか、反応液を調合してから反応液に添加混合させることができる。なお、室温環境下では、反応液が調合された時点で還元反応が開始される。
晶析工程では、反応液中において、水酸化アルカリとニッケルよりも貴な金属の塩の共存下でニッケル塩をヒドラジンで還元することにより、ニッケル晶析粉を得ている。また、必要に応じて、極微量の特定のアミン化合物や硫黄含有化合物の作用で、ヒドラジンの自己分解を大幅に抑制して、還元反応させることができる。
Ni2++2e-→Ni↓ (2電子反応) ・・・(1)
N2H4→N2↑+4H++4e- (4電子反応) ・・・(2)
2NiCl2+N2H4+4NaOH
→2Ni(OH)2+N2H4+4NaCl
→2Ni↓+N2↑+4NaCl+4H2O ・・・(3)
3N2H4→N2↑+4NH3 ・・・(4)
晶析工程の晶析反応は、例えば、少なくとも水溶性ニッケル塩、ニッケルよりも貴な金属の塩を含む溶液(ニッケル塩溶液)に、還元剤(例えばヒドラジン)と水酸化アルカリを含む溶液(還元剤・水酸化アルカリ溶液)を添加混合させた反応液において開始する。この場合において、晶析反応の反応開始温度が、40℃~95℃とすることが好ましく、50℃~80℃とすることがより好ましく、60℃~70℃とすることがさらに好ましい。なお、上記ニッケル塩溶液と還元剤・水酸化アルカリ溶液のそれぞれ温度は、それらを予備混合して得られる混合液の温度、すなわち反応開始温度が上記温度範囲になれば特に制約はなく、自由に設定することができる。
上記のような湿式法を用いたニッケル粉末の製造方法においては、還元剤としてヒドラジンがよく用いられるため、特許文献4等からも明らかなように、反応液は強アルカリ性(例えばpH14程度)となることが一般的である。図1に示すとおり、晶析工程では、ヒドラジンの還元反応により、この強アルカリ性反応液中にニッケル晶析粉が生成したニッケル粉スラリーが得られ、このニッケル粉スラリーからニッケル晶析粉を純水で洗浄しながらろ別回収してニッケル粉ケーキを得る洗浄・ろ過工程、このニッケル粉ケーキを乾燥(真空乾燥等)してニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得る乾燥工程、が晶析工程に引続いて実施される。
Ni2++2OH-→Ni(OH)2 ・・・(5)
本発明では、図3に示すように、晶析工程で得られる強アルカリ性のニッケル粉スラリー(例えばpH14程度)に対して、汎用の洗浄手法を用いてニッケル晶析粉を洗浄する過程で、強アルカリ性のニッケル粉スラリーまたはその希釈液を無機酸や有機酸で中和処理してpH7.0~pH9.0とし、最終的にニッケル晶析粉は、中和された付着液を含むニッケル粉ケーキとして汎用の固液分離装置を用いてろ別回収されている。
ニッケル粉スラリーまたはその希釈液の中和に用いる薬剤は、無機酸または有機酸から選ばれる1種類以上とすればよく、水に易溶であるものであれば、特に限定されることはない。具体的には、無機酸としては、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、炭酸(H2CO3)等を用いることができ、有機酸としては、酢酸(CH3COOH)、クエン酸(C(OH)(CH2COOH)2COOH)、アスコルビン酸(C6H8O6)等を用いることができる。これらの無機酸や有機酸はそのまま中和に用いてもよいが、取扱いの容易さを考慮すると水溶液の形で用いるのがより好ましい。例えば、炭酸を用いる場合は、炭酸ガス(CO2)を液(ニッケル粉スラリーまたはその希釈液)中に吹き込んで、液中で炭酸として中和の作用をさせてもよい。また、クエン酸等のニッケルと錯イオンを形成する有機酸を用いれば、ニッケル晶析粉の酸化を防止する効果も期待できる。
洗浄・ろ過工程で得られた中和された付着液を含むニッケル粉ケーキは、大気乾燥機、熱風乾燥機、不活性ガス雰囲気乾燥機および真空乾燥機等の汎用の乾燥装置を用いて50~300℃、好ましくは、80~150℃で乾燥し、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得ることができる。必要に応じて、ニッケル粉ケーキ中の付着水をエタノール等の低温揮発性の有機溶剤に置換した後、上記不活性ガス雰囲気乾燥機や真空乾燥機で乾燥して、水の大きな表面張力に起因して乾燥中に生じるニッケル粒子間の乾燥凝集を弱めることも可能である。
晶析工程、洗浄・ろ過工程、乾燥工程を経て得られたニッケル晶析粉(ニッケル粉末)は、前述の通り、必要に応じてアミン化合物や硫黄含有化合物が添加された場合には、それらがニッケルの晶析中においてニッケル粒子の連結抑制剤として作用する。そのため、ニッケル粒子が還元析出の過程で互いに連結して形成される粗大粒子(以降、「水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子」と区別するために、「連結粗大粒子」とすることもある。)の含有割合はそもそもそれ程大きくない。ただし、晶析手順や晶析条件によっては、連結粗大粒子の含有割合が幾分大きくなって問題になる場合もある。この場合には、晶析工程に引き続いて解砕工程を設け、ニッケル粒子が連結した連結粗大粒子をその連結部で分断して連結粗大粒子の低減を図ることができる。解砕処理工程では、スパイラルジェット解砕処理、カウンタージェットミル解砕処理等の乾式解砕方法や、高圧流体衝突解砕処理等の湿式解砕方法、その他の汎用の解砕方法を適用することが可能である。
本発明で得られるニッケル粉末は略球状の粒子形状を有しているが、その平均粒径は、ニッケル粉末の走査電子顕微鏡(SEM、JEOL Ltd.製、JSM-7100F)を用いた観察像(SEM像)の画像解析の結果から求めた粒径を基にした数平均の粒径である。
実施例および比較例において得られたニッケル粉末0.05gを、0.1質量%ヘキサメタリン酸化物ナトリウム水溶液100mL中に超音波分散させてニッケル粉末分散液を得た。この分散液を、孔径0.8μm、あるいは孔径1.2μmのメンブレンフィルタでろ過して、フィルタ上にそれぞれのメンブレンフィルタの孔径よりも大きなサイズ(0.8μmを超えるサイズ、あるいは1.2μmを超えるサイズ)の粗大粒子を補足し、その粗大粒子量を、粗大粒子の全量を酸溶解した溶液のICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)により算出し、上記ニッケル粉末中に含まれる粗大粒子の含有量(粒径0.8μmを超える場合、および、粒径1.2μmを超える場合)を求めた。
上記のようにメンブレンフィルタ上に補足された0.8μmや1.2μmを超えるサイズの粗大粒子は、図2に示すように、水酸化ニッケルからなるマトリックス中に巻き込まれた複数のニッケル粒子(ニッケル晶析粉)が水酸化ニッケルマトリックスを介して強固に結合した構造を有している。なお、上記マトリックス(図2の符号2)が水酸化ニッケル(Ni(OH)2)を主成分とすることは、メンブレンフィルタ上に補足された0.8μmや1.2μmを超えるサイズの粗大粒子において、(a)マトリックス部分のSEM-EDXによる測定でニッケルと酸素のモル比がNi:O=1:2程度の箇所が多く観察されること、(b)メンブレンフィルタ上から回収した0.8μmや1.2μmを超えるサイズの粗大粒子のXPSによる測定結果では水酸化ニッケル(Ni(OH)2)が主成分として検出されること、により確認されている。
[ニッケル塩およびニッケルよりも貴な金属の塩の溶液の調製]
ニッケル塩として塩化ニッケル6水和物(NiCl2・6H2O、分子量:237.69)405g、ヒドラジンの自己分解抑制補助剤としての硫黄含有化合物として、分子内にスルフィド基(-S-)を1個含有するL-メチオニン(CH3SC2H4CH(NH2)COOH、分子量:149.21)1.271g、ニッケルよりも貴な金属の塩として塩化パラジウム(II)アンモニウム(別名:テトラクロロパラジウム(II)酸アンモニウム)((NH4)2PdCl4、分子量:284.31)0.134mgを、純水1880mLに溶解して、主成分としてニッケル塩と、硫黄含有化合物と、ニッケルより貴な金属の金属塩である核剤とを含有する水溶液であるニッケル塩溶液を調製した。ここで、ニッケル塩溶液において、スルフィド化合物であるL-メチオニンはニッケルに対し0.5モル%(モル比で0.005)と微量で、パラジウムはニッケルに対し0.28モルppm(0.50質量ppm)である。
還元剤として抱水ヒドラジン(N2H4・H2O、分子量:50.06)を純水で1.67倍に希釈した市販の工業グレードの60質量%抱水ヒドラジン(エムジーシー大塚ケミカル株式会社製)を207g秤量し、水酸化アルカリを含まず、主成分としてのヒドラジンを含有する水溶液である還元剤溶液を調製した。還元剤溶液に含まれるヒドラジンは、ニッケル塩溶液中のニッケルに対するモル比が1.46となるように調製した。
水酸化アルカリとして、水酸化ナトリウム(NaOH、分子量:40.0)230gを、純水672mLに溶解して、主成分としての水酸化ナトリウムを含有する水溶液である水酸化アルカリ溶液を用意した。水酸化アルカリ溶液に含まれる水酸化ナトリウムは、ニッケル塩溶液中のニッケルに対するモル比が5.75となるように調製した。
ヒドラジンの自己分解抑制剤および還元反応促進剤(錯化剤)としてのアミン化合物として、分子内に第1級アミノ基(-NH2)を2個含有するアルキレンアミンであるエチレンジアミン(略称:EDA)(H2NC2H4NH2、分子量:60.1)1.024gを、純水19mLに溶解して、主成分としてのエチレンジアミンを含有する水溶液であるアミン化合物溶液を用意した。アミン化合物溶液に含まれるエチレンジアミンは、ニッケル塩溶液中のニッケルに対し1.0モル%(モル比で0.01)と微量であった。なお、上記ニッケル塩溶液、還元剤溶液、水酸化アルカリ溶液、およびアミン化合物溶液における使用材料には、60%質量抱水ヒドラジンを除き、いずれも和光純薬工業株式会社製の試薬を用いた。
塩化ニッケルとパラジウム塩を純水に溶解したニッケル塩溶液を、撹拌羽根付テフロン(登録商標)被覆ステンレス容器内に入れ、液温85℃になるように撹拌しながら加熱した後、液温25℃のヒドラジンと水を含む上記還元剤溶液を混合時間20秒で添加混合してニッケル塩・還元剤含有液とした。このニッケル塩・還元剤含有液に、液温25℃の水酸化アルカリと水を含む上記水酸化アルカリ溶液を混合時間80秒で添加混合し、液温70℃の反応液(塩化ニッケル+パラジウム塩+ヒドラジン+水酸化ナトリウム)を調合し、還元反応(晶析反応)を開始した。反応開始温度は63℃であった。反応開始後、8分後から18分後までの10分間にかけて、上記アミン化合物溶液を上記反応液に滴下混合し、ヒドラジンの自己分解を抑制しながら還元反応を進めて、ニッケル晶析粉を反応液中に晶析させた。反応開始から60分以内には、前述の式(3)の還元反応は完了し、反応液の上澄み液は透明で、反応液中のニッケル成分はすべて金属ニッケルに還元されていることを確認した。
晶析工程では、ニッケル晶析粉を含む反応終液として、スラリー状の強アルカリ性(pH:14.1)のニッケル粉スラリーが得られるが、このニッケル粉スラリーにメルカプト酢酸(チオグリコール酸)(HSCH2COOH、分子量:92.12)の水溶液を加えて、ニッケル晶析粉の表面処理(硫黄コート処理)を施した後、静置してニッケル晶析粉を沈降させ、上澄み液を反応液の約50%程度除去(デカンテーション)した。ニッケル粉スラリーに対し、導電率が1μS/cmの純水を、除去した上澄み液と同量程度加えて希釈(pH:13.8)した後、20質量%硫酸(H2SO4)水溶液を加えて中和し、液のpHを8.0とした。この後、上記純水を用い、表面処理が施されたニッケル晶析粉を含有するスラリーからろ過したろ液の導電率が100μS/cmになるまで、ブフナー漏斗(ろ紙:5C)を用いて吸引ろ過洗浄し、固液分離してニッケル粉ケーキを得た。表1に、中和に用いた薬剤および中和後の液のpHを示す。同様に、後述する実施例2~10、比較例1~3における、中和に用いた薬剤および中和後の液のpHついても、表1に示す。
上記ニッケル粉ケーキを、150℃の温度に設定した真空乾燥器中で乾燥して、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。
晶析工程、洗浄・ろ過工程、乾燥工程に引き続いて解砕工程を実施し、ニッケル粉末中の主にニッケル粒子が連結して形成された粗大粒子の低減を図った。具体的には、晶析工程で得られた上記ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、乾式解砕方法であるスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、実施例1に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は40質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が10質量ppm以下であった。表1に、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量、および粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量を示す。同様に、後述する実施例2~10、比較例1~3における粗大粒子の含有量についても、表1に示す。
洗浄・ろ過工程において、20質量%硫酸(H2SO4)水溶液を加えて中和し、液のpHを7.0とした以外は、実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、実施例2に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は40質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が10質量ppm以下であった。
洗浄・ろ過工程において、20質量%硫酸(H2SO4)水溶液を加えて中和し、液のpHを9.0とした以外は、実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、実施例3に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は60質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が15質量ppm以下であった。
洗浄・ろ過工程において、10質量%塩酸(HCl)水溶液を加えて中和し、液のpHを8.0とした以外は、実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、実施例4に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は40質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が10質量ppm以下であった。
洗浄・ろ過工程において、10質量%硝酸(HNO3)水溶液を加えて中和し、液のpHを8.0とした以外は、実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、実施例5に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は40質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が10質量ppm以下であった。
洗浄・ろ過工程において、10質量%酢酸水溶液を加えて中和し、液のpHを8.0とした以外は、実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、実施例6に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は40質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が10質量ppm以下であった。
洗浄・ろ過工程において、10質量%クエン酸水溶液を加えて中和し、液のpHを8.0とした以外は、実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、実施例7に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は40質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が10質量ppm以下であった。
洗浄・ろ過工程において、10質量%アスコルビン酸水溶液を加えて中和し、液のpHを8.0とした以外は、実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、実施例8に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は40質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が10質量ppm以下であった。
洗浄・ろ過工程において、液へ炭酸ガス(CO2)を吹込んで炭酸(H2CO3)により中和し、液のpHを8.0とした以外は、実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、実施例9に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は40質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が10質量ppm以下であった。
洗浄・ろ過工程において、液へ炭酸水(炭酸(H2CO3)が溶解した水)を加えて中和し、液のpHを8.0とした以外は、実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、実施例10に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は40質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が10質量ppm以下であった。
洗浄・ろ過工程において、ニッケル晶析粉の表面処理(硫黄コート処理)を施した後、中和を行わず、ニッケル粉スラリーのpHが14.1のまま、導電率が1μS/cmの純水を用い、表面処理が施されたニッケル晶析粉を含有するスラリーからろ過したろ液の導電率が100μS/cm(液のpHは10.8)になるまでろ過洗浄し、固液分離してニッケル粉ケーキを得た。これ以外は実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、比較例1に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は340質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が160質量ppmであった。
洗浄・ろ過工程において、20質量%硫酸(H2SO4)水溶液を加えて中和し液のpHを6.0とした以外は、実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、比較例2に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は520質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が200質量ppmであった。
洗浄・ろ過工程において、20質量%硫酸(H2SO4)水溶液を加えて中和し液のpHを10.0とした以外は、実施例1と同様に行ない、ニッケル晶析粉(ニッケル粉末)を得た。そして、上記のニッケル晶析粉(ニッケル粉末)に、実施例1と同様のスパイラルジェット解砕処理を施した。以上の工程により、湿式法を用いて作製された、比較例3に係るニッケル粉末を得た。
得られたニッケル粉末の平均粒径は0.20μmであった。また、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量は260質量ppmであり、粒径1.2μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が120質量ppmであった。
実施例より明らかなように、本発明によれば、粒径0.8μmを超える水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が非常に少なく、ニッケルペースト乾燥膜における高い平坦性を実現できるニッケル粉末、およびニッケル粒子の製造方法を提供することができることは明らかである。特に、本発明であれば、水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が非常に少ないニッケル粉末を、より簡便かつ容易に作製できる、湿式法によるニッケル粒子の製造方法を提供することができる。
2 ニッケル晶析粉の酸化で生じた水酸化ニッケル
10 水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子
Claims (12)
- 略球状の粒子形状を有し、
数平均粒径が0.03μm~0.4μmであり、
粒径が0.8μmを超える、水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子を含み、
粒径が0.8μmを超える前記粗大粒子の含有量が200質量ppm以下であり、
粒径が1.2μmを超える前記粗大粒子の含有量が100質量ppm以下であることを特徴とする、ニッケル粉末。 - 前記の粒径が0.8μmを超える、水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が100質量ppm以下であり、前記の粒径が1.2μmを超える、水酸化ニッケルを主成分とする粗大粒子の含有量が50質量ppm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のニッケル粉末。
- 請求項1または2に記載のニッケル粉末の製造方法であって、
水溶性ニッケル塩、ニッケルよりも貴な金属の塩、還元剤、水酸化アルカリおよび水を混合した反応液中において、還元反応を行い、ニッケル晶析粉を含む反応終液としてニッケル粉スラリーを得る晶析工程と、
前記ニッケル粉スラリー中のニッケル晶析粉を、洗浄およびろ別してニッケル粉ケーキを得る洗浄・ろ過工程と、
前記ニッケル粉ケーキを乾燥してニッケル粉末を得る乾燥工程と、を有し、
前記洗浄・ろ過工程が、前記ニッケル粉スラリーまたはその希釈液を無機酸または有機酸から選ばれる1種以上によりpH7.0~pH9.0となるように中和する中和段階と、
前記ニッケル晶析粉を含有する液の導電率が30μS/cm~1000μS/cmとなるように前記ニッケル晶析粉を洗浄する洗浄段階と、
前記中和段階および前記洗浄段階を行った後、洗浄されたニッケル晶析粉を前記液からろ別して前記ニッケル粉ケーキを得るろ別段階を含むことを特徴とする、ニッケル粉末の製造方法。 - 前記洗浄・ろ過工程は、前記中和段階の後に前記洗浄段階を行うことを特徴とする、請求項3に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記反応液は、アミン化合物および/または硫黄含有化合物を含むことを特徴とする、請求項3または4に記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記アミン化合物が前記アルキレンアミンである場合には、当該アルキレンアミンが、エチレンジアミン(H2NC2H4NH2)、ジエチレントリアミン(H2NC2H4NHC2H4NH2)、トリエチレンテトラミン(H2N(C2H4NH)2C2H4NH2)、テトラエチレンペンタミン(H2N(C2H4NH)3C2H4NH2)、ペンタエチレンヘキサミン(H2N(C2H4NH)4C2H4NH2)およびプロピレンジアミン(CH3CH(NH2)CH2NH2)から選ばれる1種以上であり、
前記アミン化合物が前記アルキレンアミン誘導体である場合には、当該アルキレンアミン誘導体が、トリス(2-アミノエチル)アミン(N(C2H4NH2)3)、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン(H2NC2H4NHC2H4OH)、N-(2-アミノエチル)プロパノールアミン(H2NC2H4NHC3H6OH)、2,3-ジアミノプロピオン酸(H2NCH2CH(NH)COOH)、1,2-シクロヘキサンジアミン(H2NC6H10NH2)、エチレンジアミン-N,N’-二酢酸(HOOCCH2NHC2H4NHCH2COOH)、N,N’-ジアセチルエチレンジアミン(CH3CONHC2H4NHCOCH3)、N,N’-ジメチルエチレンジアミン(CH3NHC2H4NHCH3)、N,N’-ジエチルエチレンジアミン(C2H5NHC2H4NHC2H5)、N,N’-ジイソプロピルエチレンジアミン(CH3(CH3)CHNHC2H4NHCH(CH3)CH3)および1,2-シクロヘキサンジアミン(H2NC6H10NH2)から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項6に記載のニッケル粉末の製造方法。 - 前記硫黄含有化合物が、分子内に、スルフィド基(-S-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルホン酸基(-S(=O)2-O-)、チオケトン基(-C(=S)-)のいずれかを少なくとも1個以上含有する化合物から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項5~7のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記硫黄含有化合物が、L(またはD、またはDL)-メチオニン(CH3SC2H4CH(NH2)COOH)、L(またはD、またはDL)-エチオニン(C2H5SC2H4CH(NH2)COOH)、N-アセチル-L(またはD、またはDL)-メチオニン(CH3SC2H4CH(NH(COCH3))COOH)、ランチオニン(HOOCCH(NH2)CH2SCH2CH(NH2)COOH)、チオジプロピオン酸(HOOCC2H4SC2H4COOH)、チオジグリコール酸(HOOCCH2SCH2COOH)、メチオノール(CH3SC3H6OH)、チオジグリコール(HOC2H5SC2H5OH)、チオモルホリン(C4H9NS)、チアゾール(C3H3NS)、ベンゾチアゾール(C7H5NS)、サッカリン(C7H5NO3S)、ドデシル硫酸ナトリウム(C12H25OS(O)2ONa)、ドデシルベンゼンスルホン酸(C12H25C6H4S(O)2OH)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C12H25C6H4S(O)2ONa)、スルホこはく酸ジ2-エチルヘキシルナトリウム(NaOS(O)2CH(COOCH2CH(C2H5)C4H9)CH2(COOCH2CH(C2H5)C4H9)およびチオ尿素(H2NC(S)NH2)から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記無機酸が、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、炭酸(H2CO3)のいずれかを含むことを特徴とする、請求項3~9のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記有機酸が、酢酸(CH3COOH)、クエン酸(C(OH)(CH2COOH)2COOH)、アスコルビン酸(C6H8O6)のいずれかを含むことを特徴とする、請求項3~9のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記洗浄・ろ過工程は、前記中和段階の前に前記ニッケル粉スラリーをデカンテーションしてから上澄み液を除去する上澄み液除去段階を含む、ことを特徴とする請求項3~11のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018238500A JP7314507B2 (ja) | 2018-12-20 | 2018-12-20 | ニッケル粉末およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018238500A JP7314507B2 (ja) | 2018-12-20 | 2018-12-20 | ニッケル粉末およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020100858A JP2020100858A (ja) | 2020-07-02 |
JP7314507B2 true JP7314507B2 (ja) | 2023-07-26 |
Family
ID=71141165
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018238500A Active JP7314507B2 (ja) | 2018-12-20 | 2018-12-20 | ニッケル粉末およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7314507B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116275081B (zh) * | 2023-02-15 | 2024-06-18 | 丽水新川新材料有限公司 | 超细镍粉的制备方法及其在车规级陶瓷电容器中的应用 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013087308A (ja) | 2011-10-14 | 2013-05-13 | Nippon Steel & Sumikin Chemical Co Ltd | 金属ナノ粒子及びその製造方法 |
WO2015156080A1 (ja) | 2014-04-08 | 2015-10-15 | 東邦チタニウム株式会社 | ニッケル粉末 |
-
2018
- 2018-12-20 JP JP2018238500A patent/JP7314507B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013087308A (ja) | 2011-10-14 | 2013-05-13 | Nippon Steel & Sumikin Chemical Co Ltd | 金属ナノ粒子及びその製造方法 |
WO2015156080A1 (ja) | 2014-04-08 | 2015-10-15 | 東邦チタニウム株式会社 | ニッケル粉末 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020100858A (ja) | 2020-07-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102091143B1 (ko) | 니켈 분말의 제조 방법 | |
JP2018104819A (ja) | ニッケル粉末とその製造方法、およびニッケル粉末の表面処理方法 | |
KR102253292B1 (ko) | 니켈 분말의 제조 방법 | |
WO2021020522A1 (ja) | ニッケル粉末、ニッケル粉末の製造方法 | |
JP7314507B2 (ja) | ニッケル粉末およびその製造方法 | |
JP7183504B2 (ja) | 湿式ニッケル粉末の粗大粒子低減方法 | |
JP2023001435A (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP6926620B2 (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP7292578B2 (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP6805873B2 (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP6855830B2 (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP2023079720A (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP2023079721A (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP7212256B2 (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP7006337B2 (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP2018178256A (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP6973155B2 (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP7293591B2 (ja) | ニッケル粉末およびニッケル粉末の製造方法 | |
JP7336649B2 (ja) | ニッケル粉スラリーの製造方法 | |
JP2023001434A (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP7322655B2 (ja) | ニッケル粉末の製造方法 | |
JP6985219B2 (ja) | 球状銀粉の製造方法 | |
JP2022152785A (ja) | ニッケル粉末及びニッケル粉末の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20211119 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220906 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221024 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230124 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230317 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230613 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230626 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7314507 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |