JP7309591B2 - 防振装置 - Google Patents

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本発明は、防振装置に関する。
下記特許文献1には、外筒と内筒間に防振ゴムを介在させると共に、外筒側に振動体を固定し、内筒の突出部を被支持体に設けたホルダーに嵌合させた車両用防振機構が開示されている。ホルダーとして、別個にリング状に形成され、被支持体の内筒と対向する側の面に装着されたホルダーや被支持体の中央部分を内筒側へ向けて切り起こして形成されたホルダーが開示されている。これにより、内筒とホルダーが容易に離脱しなくなるため車両用防振機構の内筒に被支持体を仮留めすることができる。
特開昭61-180040号公報
しかしながら、特許文献1に記載された車両用防振機構では、被支持体において内筒の突出部と対向する側の面にホルダー(ストッパ)を装着する場合には、作業工数が増加しかつ部品点数が増加する可能性がある。また、被支持体の中央部分を内筒側へ向けて切り起こして形成されたホルダーでは、被支持体に内筒を圧入する必要があるため作業工数が増加する可能性がある。被支持体は、防振機構に固定されるまでの間だけ内筒に保持されていればよいため、簡易に内筒に仮留めできることが望ましい。
本発明は上記事実を考慮し、部品点数と作業工数の増加を抑制した上でストッパを簡易に仮留めすることができる防振装置を得ることを目的とする。
第1の態様に係る防振装置は、外筒と内筒との間に弾性体を介在させた防振装置と、前記内筒の軸方向の一端部の側において前記弾性体に取り付けられ、全体形状が略円板状に形成されると共に外縁部が前記弾性体の側へ向けて湾曲されたストッパと、前記弾性体の前記ストッパが取り付けられる側において、前記内筒の軸方向に沿って形成されると共に前記内筒の軸方向の前記一端部から突出された突出部と、前記突出部において前記弾性体から径方向に沿って延在された被係合部と、前記ストッパの前記外縁部に前記被係合部と係合可能に形成された係合部と、を含んで構成されている。
第1の態様に係る防振装置によれば、防振装置の内筒の軸方向の一端部の側には、全体形状が略円板状に形成されると共に弾性体の側へ向けて湾曲された外縁部に係合部を備えたストッパが設けられている。また、弾性体のストッパが取り付けられる側において内筒の軸方向に沿って形成されると共に内筒の軸方向の一端部から突出された突出部には、弾性体から径方向に沿って延在された被係合部が設けられている。このため、係合部と被係合部を係合させることにより、ストッパには別個の部品を設けることなくストッパを弾性体に取り付けることができる。これにより、部品点数と作業工数の増加を抑制した上で防振装置にストッパを簡易に仮留めすることができる。
第2の態様に係る防振装置は、第1の態様に係る防振装置において、前記係合部は、前記外縁部を前記ストッパの径方向に沿って切り欠くことにより形成され、前記ストッパの径方向外側へ開放された第1切欠部と、前記第1切欠部と連通し、前記ストッパを周方向に沿って切り欠くことにより形成された第2切欠部と、前記第2切欠部と連通し、前記外縁部を前記ストッパの径方向外側へ向けて切り欠くことにより形成された第3切欠部と、を有する。
第2の態様に係る防振装置によれば、ストッパの径方向外側へ開放された第1切欠部から被係合部を差し込み、第1切欠部と連通する第2切欠部へと被係合部を移動すると共にストッパを周方向に沿って回転させることによりストッパと係合部とを係合させることができる。このため、防振装置にストッパを簡易に仮留めすることができる。さらに、第2切欠部と連通すると共に外縁部をストッパの径方向外側へ向けて切り欠くことにより形成された第3切欠部へ被係合部を移動することにより被係合部が係合部から外れることを抑制することができる。このため、防振装置にストッパを安定して仮留めすることができる。
第3態様に係る防振装置は、第1の態様又は第2の態様に係る防振装置において、前記被係合部は、前記突出部の前記弾性体の径方向外側の面において前記内筒の軸方向の前記一端部から突出された側の端部に形成されると共に、前記弾性体の径方向外側へ向かうにつれて縮径されるテーパ状の突起とされている。
第3態様に係る防振装置によれば、被係合部は、弾性体の径方向外側へ向かうにつれて縮径されるテーパ状の突起とされている。このため、例えば、被係合部を係合部に引っ掛けるだけの簡易な作業で係合部と係合させることができる。また、弾性体の径方向外側へ向かうにつれて縮径される突起である被係合部は、突出部の弾性体の径方向外側の面において内筒の軸方向の一端部から突出された側の端部に形成されている。このため、被係合部と弾性体を一体で成型した場合であっても被係合部を欠損することなく成形型から取り外すことが可能となる。これにより、部品点数と作業工数の増加を抑制した上で防振装置にストッパを簡易に仮留めすることができる。
以上説明したように、部品点数と作業工数の増加を抑制した上で防振装置にストッパを簡易に仮留めすることができるという優れた効果を有する。
本実施形態に係る防振装置の斜視図である。 図1の2-2断面線に沿った防振装置の断面図である。 本実施形態に係る防振ゴムの底面斜視図である。 本実施形態に係るストッパの斜視図である。 図1の防振ゴムにストッパが取り付けられた状態を示す底面斜視図である。 突起を第1切欠部に嵌め込んだ状態を示す側面図である。 突起を第2切欠部側へ移動させた状態を示す側面図である。 突起を第2切欠部に沿って第3切欠部側へ移動させた状態を示す側面図である。 突起を第3切欠部に嵌め込んだ状態を示す側面図である。
(実施形態)
以下、図1~図6Dを用いて、本発明の一例として車両用防振装置10に用いられる防振装置12について説明する。
ここで、図中矢印DAは防振装置12の装置軸方向を示し、矢印DRは防振装置12の装置径方向を示し、矢印DCは防振装置12の装置周方向を示す。
ここでは、防振装置12は、装置軸方向DAが車両(図示省略)の上下方向と略同一となるように車両に配置され、装置径方向DRが車両(図示省略)の車両前後方向や車幅方向を含む車両水平方向と略同一となるように車両に配置されている。
一般に車両の走行時には、エンジン、モーター等の主機の回転や路面上の凹凸に起因する振動が発生する。このため、これらの振動が車体に伝わらないようにするため、弾性体を備えた防振装置12が車両に設けられている。
図1には、車体(図示省略)に取り付けるための金属製のブラケット14と本体部16が一体で形成された防振装置12が示されている。防振装置12の本体部16は、ブラケット14と一体で略円筒状に形成された金属製の外筒18と、本体部16の装置径方向の内側部分(中央部分)に配置されると共に略円筒状に形成された金属製の内筒20と、を含んで構成されている。また、防振装置12は、外筒18の内側面と内筒20の外側面の間に介在された弾性体としての防振ゴム22を含んで構成されている。
図2に示されるように、防振装置12は、例えば、ブラケット14がエンジン、モーター等の主機(図示省略)に固定されると共に、本体部16の装置下端側(車両下方側)に配置されたサスペンションメンバ(図示省略)等の車体を構成する部材とボルト32締結されている。
本体部16の上端側には、全体形状が平面視で略円板状に形成されると共に径方向中央部に取付孔24Aを備え、内筒20の外筒18に対する変位を規制する上側プレート24が載置されている。また、内筒20の軸方向の一端部の側となる本体部16の装置下端側には、全体形状が略円板状に形成されると共に径方向中央部に取付孔30Aを備えたストッパ30が取り付けられている(圧入されている)。
サスペンションメンバは、ストッパ30の装置下端側に配置され、上側プレート24側から装置軸方向に沿って上側プレート24、内筒20及びストッパ30の取付孔24A、20A、30Aへと挿通されたボルト32を介して本体部16とボルト締結されている。これにより、主機において生じた振動が本体部16で吸収(減衰)され、車体に伝達しないように構成されている。
ブラケット14は、主機の作動を阻害しないように固定する必要があるため主機の全体形状に比べて小さく形成されている。このため、ブラケット14に形成された複数箇所の(ここでは、4箇所)のボルト締結部26は、互いに隣接している。
ボルト締結部26には、ボルト(図示省略)を挿通するための取付孔26Aが各々形成されている。また、ボルト締結部26には、取付孔26Aに挿通されるボルトの頭部を配置できるように窪み部26Bが形成されている。窪み部26Bは、ボルトを締結する際に工具(図示省略)を配置することができるように、取付孔26Aの周方向に沿った片側部分がブラケット14の外側に対して開放されている。
図2からもわかるように、本体部16に取り付けられたストッパ30は、ボルト締結部26の取付孔26Aの軸方向に沿って見た場合に、ボルト締結部26の窪み部26Bとオーバーラップする。このため、ブラケット14を主機にボルト締結する際には、ストッパ30は本体部16から取り外される。
防振ゴム22の装置下方側には、内筒20の軸方向に沿って形成されると共に内筒20の下端側から突出された突出部40が形成されている。
図3に示されるように、突出部40の装置径方向外側の面には、装置径方向外側へ向けて延在された被係合部としての突起42が複数箇所(ここでは、4箇所)に形成されている。突起42は、突出部40の装置下方側の端部に形成されると共に防振ゴム22の装置径方向外側へ向かうにつれて縮径されるテーパ状に形成されている。テーパ状の突起42は、防振ゴム22の装置下方側の端部に形成されているため、突起42と防振ゴム22を一体で成型した場合であっても突起42を欠損することなく成形型から取り外すことができる。このため、防振ゴム22と突起42とを一体成形した場合に、例えば、欠損した突起42を補修する必要が生じないため作業工数や部品点数の増加を抑制することができる。
図4には、ストッパ30の本体部16に取り付けられる側から見た斜視図が示されている。ストッパ30は、全体形状が略円板状に形成されている。ストッパ30の径方向内側には、取付孔30Aの外周部に沿って内筒20の装置下方側の端面と対向する対向面30Bが形成されている。対向面30Bは、ストッパ30が本体部16とボルト32締結される際に防振22ゴムと接触するように平面状に形成されている。このため、図2に示されるように、ストッパ30と上側プレート24により内筒20の外筒18に対する変位を規制することができ、防振ゴム22により適切に振動を吸収することができる。
図4に示されるように、ストッパ30の外縁部30Cには、突起42と係合可能な係合部34が形成されている。係合部34は、突起42を嵌め込むための切欠き34A,34B、34Cを備え、ストッパ30の周方向(装置周方向)に沿って複数箇所(ここでは、4箇所)に形成されている。
係合部34は、外縁部30Cをストッパ30の径方向に沿って切り欠いて形成されると共にストッパ30の径方向(装置径方向)外側へ開放された第1切欠部34Aを備えている。また、第1切欠部34Aの装置径方向内側の端部と連通すると共に装置周方向に沿って外縁部30Cを切り欠くことにより形成された第2切欠部34Bを備えている。さらに、第1切欠部34Aの装置径方向内側の端部から装置周方向に沿って切り欠かれた第2切欠部34Bの端部と連通し、外縁部30Cを装置径方向外側かつ装置上方側へ向けて切り欠くことにより形成された第3切欠部34Cを備えている。
図6Aから図6Dに示されるように、ストッパ30を突起42に係合させることができる。初めに、図6Aに示されるように、ストッパ30の第1切欠部34Aへ突起42を嵌め込む。次に、図6Bに示されるように、ストッパ30を装置上方側へ移動することにより第1切欠部34Aから嵌め込んだ突起42を第2切欠部34B側へ移動させる(図5と図6中のA1)。最後に、図6Cに示されるように、ストッパ30を装置周方向に沿って回転する(図5と図6中のA2)と共に、図6Dに示されるように、ストッパ30を装置下方側へ移動することにより突起42を第3切欠部34側Cへ相対的に移動させる(図5と図6中のA3)。このため、ストッパ30と突起42とを装置上下方向に係合させることができる。これにより、ストッパ30を装置上下方向に沿って移動し、装置周方向に沿って回転するだけの作業で防振ゴム22へ取り付ける(仮留めする)ことができる。また、第3切欠部34によりストッパ30の装置周方向及び防振ゴム22から離れる方向(装置下方側)へ向けた変位が規制される。このため、ストッパ30を防振ゴム22へ安定して仮留めすることができる。
(防振装置の車体への組付け方法)
防振装置12の車体への組付け方法を図2にもとづき説明する。防振装置12は、初めにストッパ30と上側プレート24を取り外した状態で主機に固定される。具体的には、防振装置12のブラケット14を主機に当接させると共に、ボルト締結部26の取付孔26Aと主機に取付孔26Aと連通するように形成された孔部(図示省略)にボルトを挿通することにより防振装置12と主機を締結する。
次に、主機にボルト締結された防振装置12の本体部16の上端側に上側プレート24を載置すると共に本体部16の下端側にからストッパ30を防振ゴム22へ圧入する。最後に、ストッパ30の装置下方側にサスペンションメンバを配置し、上側プレート24の取付孔24Aから内筒20とストッパ30の取付孔20A、30A及びサスペンションメンバの取付孔へボルト32を挿通する。挿通されたボルト32の下端にナット(図示省略)を螺入することにより、防振装置12とサスペンションメンバを締結する。
(作用、効果)
次に、本実施形態に係る防振装置12の作用並びに効果について説明する。
本実施形態に係る防振装置12によれば、防振装置12の内筒20の下端側には、全体形状が略円板状に形成されると共に防振ゴム22側へ向けて湾曲された外縁部30Cに係合部34を備えたストッパ30が設けられている。また、防振ゴム22の装置下方側において内筒20の軸方向に沿って形成されると共に内筒20の装置下方側の端部から突出された突出部40には、防振ゴム22の径方向外側の面に形成され、防振ゴム22の径方向外側へ向けて延在された突起42が設けられている。このため、係合部34と突起42を係合させることにより、ストッパ30には別個の部品を設けることなくストッパ30を防振ゴム22に取り付けることができる。これにより、部品点数と作業工数の増加を抑制した上で防振装置にストッパ30を簡易に仮留めすることができる。
さらに、本実施形態に係る防振装置12によれば、ストッパ30を突起42に簡易に仮留めすることができる。具体的には、ストッパ30を本体部16側へ移動して第1切欠部34Aへ突起42を嵌め込むと共に装置上方側へ移動することにより突起42を第2切欠部34B側へ移動させる。さらに、ストッパ30を周方向に沿って回転することにより突起42を第3切欠部34Cへ移動させ、その状態でストッパ30を装置上方側へ移動させることにより突起42を第3切欠部34Cへ嵌め込み、ストッパ30と係合部34とを上下方向に係合させる。さらに、突起42を第3切欠部34Cへ嵌め込むことにより係合部34から突起42が相対的に外れることを抑制することができる。このため、防振装置12にストッパ30を安定して仮留めすることができる。
また、本実施形態に係る防振装置12によれば、突起42は、防振ゴム22の装置径方向外側へ向かうにつれて縮径されるテーパ状に形成されている。このため、例えば、突起42を係合部に引っ掛けるだけの簡易な作業でストッパ30と係合部34とを係合させることができる。また、防振ゴム22の径方向外側へ向かうにつれて縮径される突起42は、突出部40において装置下方側の端部に形成されている。このため、突起42と防振ゴム22を一体で成型した場合であっても突起42を欠損することなく成形型から取り外すことが可能となる。これにより、部品点数と作業工数の増加を抑制した上で防振装置12にストッパ30を簡易に仮留めすることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る防振装置12は、部品点数と作業工数の増加を抑制した上でストッパ30を簡易に仮留めすることができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
なお、本発明の適用例として、車両用防振装置12について説明したが、これに限らず、本発明は、車両以外に設けられた防振装置についても適用されてもよい。
さらに、ここでは、上側プレート24は本体部16に載置されているだけとして説明したが、これに限らず、上側プレートはストッパ30と同様の構成を備えた部材とされてよい。
また、ここでは、突起42は径方向に沿って延在されていると説明したが、これに限らず、突起は厳密に径方向に沿って延在されなくてもよく、径方向から傾いた状態で延在されてもよい。
さらに、ここでは、被係合部は、テーパ状の突起42であると説明したが、これに限らず、被係合部は、ストッパ30と係合できる形状であれば、例えば、板状、棒状等他の形状が適用されてもよい。
12…防振装置、18…外筒、20…内筒、22…防振ゴム(弾性体)、30…ストッパ、30B…対向面、30C…外縁部、34…係合部、34A…第1切欠部、34B…第2切欠部、34C…第3切欠部、40…突出部、42…突起(被係合部)

Claims (3)

  1. 外筒と、
    内筒と、
    前記外筒と前記内筒の間に介在する弾性体と、
    前記内筒の軸方向の一端部の側において前記弾性体に取り付けられ、全体形状が略円板状に形成されると共に外縁部が前記弾性体の側へ向けて湾曲されたストッパと、
    前記弾性体の前記ストッパが取り付けられる側において、前記内筒の軸方向に沿って形成されると共に前記内筒の軸方向の前記一端部から突出された突出部と、
    前記突出部において前記弾性体から径方向に沿って延在された被係合部と、
    前記ストッパの前記外縁部に前記被係合部と係合可能に形成された係合部と、
    を含んで構成された防振装置。
  2. 前記係合部は、
    前記外縁部を前記ストッパの径方向に沿って切り欠くことにより形成され、前記ストッパの径方向外側へ開放された第1切欠部と、
    前記第1切欠部と連通し、前記ストッパを周方向に沿って切り欠くことにより形成された第2切欠部と、
    前記第2切欠部と連通し、前記外縁部を前記ストッパの径方向外側へ向けて切り欠くことにより形成された第3切欠部と、
    を有する請求項1に記載の防振装置。
  3. 前記被係合部は、前記突出部の前記弾性体の径方向外側の面において前記内筒の軸方向の前記一端部から突出された側の端部に形成されると共に、前記弾性体の径方向外側へ向かうにつれて縮径されるテーパ状の突起とされた請求項1又は請求項2に記載の防振装置。
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