ここで、上述した従来のストラットマウントのように、インナーリング2(内側部材)とアウターリング6との間を弾性体8で連結すると共に、アウターリング6をフランジ部材19(ケース部材)に圧入する構成では、アウターリング6の絞り加工が必要となるだけでなく、その絞り加工後の寸法検査も必須となるため、その分、工数が嵩み、製品コストが増加する。
そのため、アウターリング6を使用せずにストラットマウントを構成できることが望ましいが、単にアウターリング6を省略するだけでは、次の問題点がある。即ち、上述した従来のストラットマウントのように、フランジ部材19(ケース部材)の一側が開放されており、その一側を、車両ボディ3(車体)側の部材により閉封する構造の場合には、ストラットマウントを車体へ組み付けるまでの搬送工程などにおいて、弾性体8がフランジ部材19内から脱落しないようにする必要がある。
しかしながら、この場合、弾性体8をフランジ部材19へ圧入したとしても、弾性体8の弾性力のみでは十分な圧入強度を確保できないため、その脱落を確実に防止することが困難であるという問題点がある。また、同様に、十分な圧入強度が確保できないことから、ピストンロッド4の上端部をインナーリング2(内側部材)に締結固定する際には、その締結トルクにより、インナーリング2が弾性体8と共にフランジ部材19内で空転してしまい、締結作業が阻害されるという問題点があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、防振基体がケース部材から脱落することを防止すると共に、ピストンロッドの締結固定時に内側部材がケース部材内で空転することを防止できるストラットマウント及びストラットマウントの製造方法を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段および発明の効果
請求項1記載のストラットマウントによれば、防振基体は、内側部材が内周側に加硫接着される円環状に形成されケース部材の筒壁部に内嵌される本体部と、その本体部に対しケース部材の下側壁部を挟んで反対側に配設されると共に下側壁部の挿通孔の内径よりも大きな外径を有する円筒状に形成されるストッパ部と、それらストッパ部および本体部に一体に形成されると共に下側壁部の挿通孔を介してストッパ部および本体部を連結する円環状の連結部とを備えるので、ケース部材の筒壁部へ防振基体の本体部を内嵌させる(即ち、防振基体のストッパ部を、ケース部材の筒壁部側から下側壁部の挿通孔を通過させ、下側壁部の下面側に位置させる、或いは、その状態となるように防振基体をケース部材と共に加硫金型により加硫成形する)ことで、ケース部材の下側壁部を防振基体の本体部とストッパ部との間に挟み込ませることができる。
これにより、ケース部材の筒壁部に内嵌された防振基体の本体部が軸方向一側(締結壁部側の開口側)へ変位することを、ケース部材の下側壁部に防振基体のストッパ部が係合することで規制することができる。その結果、防振基体(本体部)がケース部材(筒壁部)から脱落することを防止できるという効果がある。
このように、請求項1では、従来品において必要とされたアウターリング(以下「外筒金具」と称す)を省略できる。よって、請求項1によれば、外筒金具に絞り加工を施す必要がなく、その結果、絞り加工後の寸法検査も不要となるので、その分、製造工数を低減して、製品コストの削減を図ることができるという効果がある。また、外筒金具を省略できることで、部品点数の削減に伴う部品コストの低減だけでなく、製品の軽量化も図ることができるという効果がある。
また、このように、外筒金具を省略できれば、ケース部材の筒壁部内における限られたスペースにおいて、内側部材および防振基体の本体部のためのスペースを確保することができる。よって、内側部材および防振基体の本体部の形状の自由度が大きくなるので、設計性を高めて、静的および動的な特性や耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
更に、請求項1によれば、バウンド側入力時の防振基体のたわみ量を抑制して、耐久性の向上を図ることができるという効果がある。即ち、バウンド側入力時は、内側部材と車体側の部材との間の領域に位置する防振基体の部分が主に機能する(圧縮変形される)ところ、ケース部材の下側壁部に防振基体のストッパ部が係合することで、防振基体の他の部分(内側部材とケース部材の下側壁部との間の領域に位置する部分)も機能(引張変形)させることができる。よって、入力荷重が同じであれば、防振基体の他の部分が機能する分、防振基体全体を有効に利用して、そのたわみ量を抑制することができる。
なお、ケース部材の下側壁部を防振基体の本体部とストッパ部との間に挟み込ませた状態を、上述したように、ケース部材がキャビティ内に設置された加硫金型内にゴム状弾性体を充填して加硫成形することで得る場合には、ケース部材への接着剤の塗布を不要とすることができる。よって、この場合には、接着剤およびその塗布工程を不要として、材料コスト及び製造コストの低減を図ることができるという効果がある。
請求項2記載のストラットマウントによれば、請求項1記載のストラットマウントの奏する効果に加え、ケース部材の下側壁部は、筒壁部の軸直角方向における挿通孔の断面形状が非円形形状に形成され、防振基体は、筒壁部の軸直角方向における連結部の断面形状が挿通孔の断面形状と相似の非円形形状に形成されるので、上述したようにケース部材の筒壁部へ防振基体の本体部を内嵌させることで、防振基体の連結部とケース部材の下側壁部(挿通孔)とを係合させることができる。
これにより、防振基体がケース部材に対して周方向へ変位(回転)することを、防振基体の連結部とケース部材の下側壁部との係合により規制することができる。その結果、ピストンロッドを内側部材に締結固定する際に、内側部材がケース部材(筒壁部)内で空転することを防止できるという効果がある。よって、締結作業の作業性の向上を図ることができる。
また、防振基体の連結部の断面形状は、ケース部材の下側壁部における挿通孔の断面形状と相似形状に形成されるので、防振基体の連結部を、その一部に変形が偏ることを抑制しつつ、ケース部材の下側壁部における挿通孔に係合させることができる。その結果、防振基体の連結部の負担を抑制しつつ、防振基体がケース部材に対して周方向へ変位(回転)することの規制を行うことができるので、その耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
請求項3記載のストラットマウントによれば、請求項1記載のストラットマウントの奏する効果に加え、ケース部材の下側壁部は、下側壁部に貫通形成されると共に挿通孔の周囲に分散配置される複数の分散孔を備え、防振基体の連結部は、下側壁部の挿通孔および分散孔を介して、ストッパ部および本体部を連結するので、防振基体の連結部をケース部材の下側壁部における分散孔に係合させることで、防振基体がケース部材に対して周方向へ変位(回転)することを、より確実に規制することができるという効果がある。
即ち、防振基体の本体部がケース部材の筒壁部に内嵌され、ケース部材の下側壁部が防振基体の本体部とストッパ部との間に挟み込まれた状態を、上述したように、ケース部材がキャビティ内に設置された加硫金型内にゴム状弾性体を充填して加硫成形することで得る場合には、防振基体の連結部を、ケース部材の下側壁部における分散孔内に配設しつつ、この分散孔内に配設された部分を介して、本体部とストッパ部とを連結させることができる。その結果、防振基体のケース部材に対する周方向の変位(回転)の規制を確実に達成することができる。
請求項4記載のストラットマウントの製造方法によれば、加硫成形工程において、ケース部材には接着剤を塗布せずに、防振基体の加硫成形を行うので、接着剤およびその塗布工程を不要として、材料コスト及び製造コストの低減を図ることができるという効果がある。
この場合、加硫工程により加硫成形される防振基体は、内側部材が内周側に加硫接着される円環状に形成されケース部材の筒壁部に内嵌される本体部と、その本体部に対しケース部材の下側壁部を挟んで反対側に配設されると共に下側壁部の挿通孔の内径よりも大きな外径を有する円環状に形成されるストッパ部と、それらストッパ部および本体部に一体に形成されると共に下側壁部の挿通孔を介してストッパ部および本体部を連結する円環状の連結部とを備えるので、ケース部材の下側壁部を防振基体の本体部とストッパ部との間に挟み込ませることができる。
これにより、ケース部材の筒壁部に内嵌された防振基体の本体部が軸方向一側(締結壁部側の開口側)へ変位することを、ケース部材の下側壁部に防振基体のストッパ部が係合することで規制することができる。その結果、防振基体(本体部)がケース部材(筒壁部)から脱落することを防止できるという効果がある。
このように、請求項4では、従来品において必要とされたアウターリング(以下「外筒金具」と称す)を省略できる。よって、請求項4によれば、外筒金具に絞り加工を施す必要がなく、その結果、絞り加工後の寸法検査も不要となるので、その分、製造工数を低減して、製品コストの削減を図ることができるという効果がある。また、外筒金具を省略できることで、部品点数の削減に伴う部品コストの低減だけでなく、製品の軽量化も図ることができるという効果がある。
また、このように、外筒金具を省略できれば、ケース部材の筒壁部内における限られたスペースにおいて、内側部材および防振基体の本体部のためのスペースを確保することができる。よって、内側部材および防振基体の本体部の形状の自由度が大きくなるので、設計性を高めて、静的および動的な特性や耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
更に、請求項4によれば、バウンド側入力時の防振基体のたわみ量を抑制して、耐久性の向上を図ることができるという効果がある。即ち、バウンド側入力時は、内側部材と車体側の部材との間の領域に位置する防振基体の部分が主に機能する(圧縮変形される)ところ、ケース部材の下側壁部に防振基体のストッパ部が係合することで、防振基体の他の部分(内側部材とケース部材の下側壁部との間の領域に位置する部分)も機能(引張変形)させることができる。よって、入力荷重が同じであれば、防振基体の他の部分が機能する分、防振基体全体を有効に利用して、そのたわみ量を抑制することができる。
なお、ケース部材の下側壁部を防振基体の本体部とストッパ部との間に挟み込ませた状態を、上述したように、ケース部材がキャビティ内に設置された加硫金型内にゴム状弾性体を充填して加硫成形することで得る場合には、ケース部材への接着剤の塗布を不要とすることができる。よって、この場合には、接着剤およびその塗布工程を不要として、材料コスト及び製造コストの低減を図ることができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照してストラットマウント1の全体構成について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態におけるストラットマウント1の断面図であって、車体への装着状態を示す図である。なお、図1では、ピストンロッドR及びナットNの断面視が省略されると共に、ケース部材30と車体パネルBPとを締結固定するボルトの図示が省略される。
図1に示すように、ストラットマウント1は、ショックアブソーバのピストンロッドRの先端を車体側に支持する防振装置であり、ピストンロッドRの先端が締結固定される内側部材10と、その内側部材10が内周側に加硫接着される防振基体20と、その防振基体20の一部が内嵌されると共に車体パネルBPに締結固定されるケース部材30とを主に備えて構成される。
内側部材10は、鉄鋼材料やアルミニウム合金などから上面視円形の円盤状に形成され、その中心部には、ショックアブソーバのピストンロッドRの先端を挿通させるための挿通孔10aが穿設される。この挿通孔10aにロッドRの先端が挿通され、ナットNが締結されることで、内側部材10にショックアブソーバが取り付けられる。
防振基体20は、ゴム状弾性体から全体として円筒状に形成され、その上端側に位置する本体部21の内周側には、内側部材10が外縁部を埋め込んだ状態で加硫接着される。なお、防振基体20は、ケース部材30(筒壁部31)に内嵌される本体部21と、ケース部材30(下側壁部32)の下面側に配設されるストッパ部22と、それら本体部21及びストッパ部22を連結する連結部23とを備える。
ケース部材30は、鉄鋼材料からプレス加工により容器状に形成され、防振基体20の本体部21を収容するための収容部となる筒壁部31及び下側壁部32と、車体パネルBPへの取り付け部となる締結壁部33とを備える。締結壁部33には、内周面にめねじが螺刻された被締結穴33aが形成される。なお、締結壁部33の一部には、下面側(図1下側)へ向けて膨出する部分が形成されており、この膨出部分に被締結穴33aが形成される。これにより、被締結穴33aの締結可能長さが確保される。
被締結穴33aには、車体パネルBPの挿通孔hに挿通されたボルトが締結される。これにより、締結壁部33が車体パネルBPに接合固定され、ケース部材30が車体に取り付けられる。なお、ケース部材30が車体パネルBPに取り付けられると、それらケース部材30と車体パネルBPとの間で防振基体20の本体部21が軸方向(図1上下方向)に挟圧(圧縮)される。
車体パネルBPには、ショックアブソーバのピストンロッドRの先端に対応する位置に、開口部mが開口形成されており、この開口部によって、ナットNをピストンロッドRの先端に締結するための作業空間が確保される。
次いで、図2及び図3を参照して、防振基体20の詳細構成について説明する。図2(a)は、防振基体20の上面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線における防振基体20の断面図である。また、図3(a)は、図2(b)のIII−III線における防振基体20の断面図である。
図2及び図3に示すように、防振基体20は、軸方向上側(図2(b)上側)に位置する本体部21と、軸方向下側に位置するストッパ部22と、それら本体部21及びストッパ部22の間に位置し両者を連結する連結部23とを備え、これら各部21〜23が一体に加硫成形されることで、ピストンロッドRが挿通可能な円筒状に形成される。
本体部21は、円環状(ドーナツ状)に形成され、その軸方向(図2(b)上下方向)略中央となる位置に内側部材10が加硫接着される。本体部21の上面(図2(b)上側面)は、軸に対して垂直な平面として形成されると共に、この上面には、複数(本実施の形態では6個)の窪み部25が凹設される。各窪み部25は、同形状であり、周方向等間隔に配設される。
本体部21の外周面は、軸方向下側(図2(b)下側)に位置する領域Saが軸と平行に形成される一方、その領域Saよりも本体部21の上面側(軸方向上側)における領域Sbが軸に対して縮径方向へ傾斜して形成される。内側部材10は、領域Sa及び領域Sbの境界となる軸方向位置に配置される。
なお、本体部21は、領域Saにおける外径が、ケース部材30の筒壁部31における内径と略同一の寸法に設定される。また、ケース部材30の筒壁部31へ内嵌される前の状態における本体部21の高さ寸法(ケース部材30の下側壁部32に支持される下面とその下面に対向する上面との間の間隔、図2(b)上下方向寸法)は、車体パネルBPにケース部材30の締結壁部33を締結固定した状態におけるケース部材30の下側壁部32の上面と車体パネルBPの下面との間の対向面間隔(図1上下方向寸法)よりも大きな寸法に設定される。
よって、ストラットマウント1の車体への装着状態では、本体部21は、車体パネルBPとケース部材30の下側壁部32との間で軸方向に挟圧(圧縮)されると共に、ケース部材30の筒壁部31によって縮径方向へ挟圧(圧縮)される(図1参照)。
ストッパ部22は、円筒状に形成されると共に、本体部21と同心に配置され、その外周面および内周面には、周方向に連続する複数(本実施の形態では外周面に1個、内周面に2個)の溝部が凹設される。また、ストッパ部22の外周面は、軸方向下側(図2(b)下側)に位置する領域Scが軸と平行に形成される一方、その領域Scよりも溝部を挟んで本体部21側(軸方向上側)に位置する領域Sdが領域Sc側から本体部21側へ向かうに従って軸に対して拡径方向へ傾斜して形成される。
また、領域Scの下端(領域Sdと反対側)に連設される領域Seは、領域Scから離間するに従って軸に対して縮径方向へ傾斜して形成される。この領域Seの下端側の所定範囲における外径は、ケース部材30の下側壁部32に形成される挿通孔32a(図4(a)参照)に対し、その挿通孔32aの六角形形状に内接される内接円の直径よりも小さい寸法に設定される。よって、防振基体20をケース部材30に装着する場合には(図5参照)、ストッパ部22を挿通孔32aへ挿入しやすくして、その装着作業の効率化を図ることができる。
ここで、ストッパ部22は、バウンド側入力時にショックアブソーバのチューブ(図示せず)を受け止めてその変位を規制するためのバウンドストッパとして機能する部分であり、防振基体20をケース部材30へ装着した状態では、ケース部材30の下側壁部32を挟んで本体部21の反対側に配設される(図5(b)参照)。
即ち、ストッパ部22は、領域Sdにおける本体部21側(軸方向上側、図2(b)上側)の外径(最大外径)が、ケース部材30の下側壁部32に開口される挿通孔32aの内径よりも大きくされる。よって、ストッパ部22の上面側がケース部材30の下側壁部32に支持されるので、バウンド側入力時には、ストッパ部22の変形により衝撃を緩衝しつつ、ショックアブソーバのチューブの変位を規制することができる。
連結部23は、円環状に形成され、本体部21の下面側とストッパ部22の上面側との間に同心に配置され、これら両部21,22を連結する。なお、本体部21、ストッパ部22及び連結部材23の内周面は、軸に略平行(但し、加硫金型からの脱型性を考慮した若干の抜き勾配を有する)に形成され、その内周面の内径寸法は、本体部21の内側部材10よりも軸方向下側における内径寸法、及び、ストッパ部22の内径寸法と略同一の寸法に設定される。
連結部23は、軸方向(図2(b)上下方向)の厚み寸法が、ケース部材30の下側壁部32の板厚寸法(図4上下方向寸法)と略同一か若干小さい寸法に設定されると共に、その外径寸法が、下側壁部32に形成される挿通孔32aの内径寸法と略同一か若干小さく形成される。そのため、防振基体20がケース部材30に装着された状態では(図5(b)参照)、連結部23は、挿通孔32a内に配置され、その挿通孔32aを介して、本体部21とストッパ部22とを連結する。
ここで、連結部23は、図3に示すように、その断面形状が正六角形形状に形成される。この断面形状は、ケース部材30の下側壁部32に形成される挿通孔32aの断面形状と同一の形状か若干小さな相似形状に形成される。そのため、防振基体20がケース部材30に装着された状態では(図5(b)参照)、連結部23の外周面が挿通孔32aの内周面に係合され、防振基体20のケース部材30に対する回転が規制される。
次いで、図4を参照して、ケース部材30について説明する。図4(a)は、ケース部材30の上面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線におけるケース部材30の断面図である。
図4に示すように、ケース部材30は、防振基体20の本体部21が内嵌(図5(b)参照)される筒状の筒壁部31と、その筒壁部31の軸方向(図4(b)上下方向)下端から軸直角方向内方へ向けて延設される下側壁部32と、その下側壁部32と筒壁部31を挟んで反対側となる筒壁部31の軸方向上端から軸直角方向外方へ向けて延設され車体パネルBPに締結固定される締結壁部33とを備え、全体として深皿容器状に形成される。
下面壁部32の中心部には、正面視正六角形形状の開口である挿通孔32aが穿設され、ショックアブソーバのピストンロッドRが挿通可能とされる。なお、挿通孔32aは筒壁部31と同心となる位置(即ち、六角形状の重心が筒壁部31の軸に一致する位置)に配置される。また、下面壁部32の上面は、筒壁部31の軸と略直交する平面として形成され、防振基体20の下面を支持する。
なお、ケース部材30は、平板状の素材を所定の外形形状に打ち抜いて、その打ち抜いた素材にプレス加工を施すことで形成されるところ、平板状の素材を打ち抜く工程において、挿通孔32aも同時に打ち抜いて形成することができる。即ち、挿通孔32aを形成するための別工程を設ける必要がなく、外形を形成する工程と兼用することができる。よって、本実施の形態のように、挿通孔32aを正面視正六角形という複雑な形状に形成する場合であっても、ケース部材30の製造コストの低減を図ることができる。
締結壁部33は、上面視略三角形状に形成され、その三角形の重心が筒壁部31の軸に一致する位置に配設されると共に、筒壁部31の外周面から径方向外方へ向けて離間するに従って下降傾斜する傘状に形成される。また、締結壁部33は、その三角形の各頂部に対応する位置に、被締結穴33aがそれぞれ形成される。即ち、被締結穴33aは、筒壁部31の軸を中心として周方向120度間隔で配置される。
なお、下側壁部32の挿通孔32aは、3辺を被締結穴33aに向けた状態に形成される。即ち、ケース部材30が、図4(a)に示す上面視において、筒壁部31の軸を中心として120度毎に同じ形状とされるので、プレス加工時の成形性を確保できる。
次いで、図5を参照して、ストラットマウント1の組立方法および車体への装着方法を説明する。図5(a)は、ストラットマウント1の分解断面図であり、図5(b)は、ストラットマウント1の組立断面図である。
図5(a)に示すように、ストラットマウント1の組み立てに際しては、まず、ケース部材30に対する防振基体20の位相(即ち、挿通孔32aの六角形状の周方向位置と連結部23の六角形状の周方向位置と)を一致させ、防振基体20のストッパ部22を、ケース部材30の締結壁部33側の開口から軸方向(図5(a)上下方向)に沿って奥側(下面壁部32側)へ挿入し、下側壁部32の挿通孔32aを通過させることで、図5(b)に示すように、防振基体20の本体部21をケース部材30の筒壁部31に内嵌させる。
これにより、ストッパ部22が下側壁部32の下面側に配設されると共に、防振基体20の連結部23が挿通孔32a内に配設されることで、下側壁部32が本体部21とストッパ部22との間に挟み込まれた状態となり、ストラットマウント1の組み立てが完了する。
なお、内側部材10の下面が軸に垂直な平坦面として形成されると共に、内側部材10(挿通孔10a)の内径が連結部23及びストッパ部22の内径よりも小さく、かつ、内側部材10の外径が挿通孔32aの内径よりも大きくされるので、かかる内側部材10を利用することで、ストッパ部22及び連結部23を挿通孔32a内へ適格に押し込むことができ、その結果、挿入作業における作業性の向上を図ることができる。
図5(b)に示すように、ストラットマウント1を組み立てた後は、かかるストラットマウント1を、組立工程から車体への装着工程(例えば、ストラットマウント1を製造する部品メーカから車両を製造する車両メーカ)へ搬送する。
この搬送においては、下側壁部32が本体部21とストッパ部22との間に挟み込まれた状態となっているので、防振基体20の本体部21が筒壁部31内から軸方向一側(締結壁部33側の開口側、図5(b)上側)へ変位することを規制することができる。その結果、ストラットマウント1の搬送中に防振基体20がケース部材30の筒壁部31から脱落することを防止できる。
装着工程では、まず、ケース部材30の締結壁部33を車体パネルBPに接合し、車体パネルBPの挿通孔hから挿通したボルトを締結壁部33の被締結穴33aに締結固定する。次いで、下側壁部32の挿通孔32aを介してショックアブソーバのピストンロッドRの先端を内側部材10の挿通孔10aに相通し、ナットNにて締結固定する。これにより、ストラットマウント1の車体への装着が完了する(図1参照)。
この場合、防振基体20の連結部23と筒壁部31の挿通孔32aとの係合(挿通孔32aの六角形状への連結部23の六角形状の内嵌)により、ケース部材30の筒壁部31に内嵌された防振基体20の本体部21が周方向へ変位(回転)することを規制することができる。よって、ピストンロッドRを内側部材10に締結固定する際に、内側部材10がケース部材30の筒壁部31内で空転することを防止できる。その結果、ナットNを締結する際の作業性の向上を図ることができる。
以上、説明したように、ストラットマウント1は、従来品において必要とされたアウターリング(外筒金具)を省略することができる(図1参照)。よって、その外筒金具に絞り加工を施す必要がなく、その結果、絞り加工後の寸法検査も不要となるので、その分、製造工数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。また、外筒金具を省略できることで、部品点数の削減に伴う部品コストの低減だけでなく、製品の軽量化も図ることができる。
また、このように、外筒金具を省略できれば、ケース部材30の筒壁部31内における限られたスペースにおいて、内側部材10及び防振基体20(本体部21)のためのスペースを確保することができる。よって、内側部材10及び防振基体20(本体部21)の形状の自由度が大きくなるので、その分、これらの設計性を高めて、静的および動的な特性や耐久性の向上を図ることができる。
更に、ストラットマウント1によれば、バウンド側入力時の防振基体20の本体部21のたわみ量を抑制して、その本体部21の耐久性の向上を図ることができる。この点について、図1に戻って説明する。
即ち、バウンド側入力時は、内側部材10が相対的に上昇移動(図1上方へ移動)することで、内側部材10と車体パネルBPとの間の領域に位置する本体部21の部分が主に機能する(圧縮変形される)が、従来品では、内側部材10よりも下側壁部32側の領域に位置する部分は機能させられないところ、本実施の形態におけるストラットマウント1では、ストッパ部22の上面が下側壁部32の下面に係止されることで、本体部21の他の部分(即ち、内側部材10よりも下側壁部32側の領域に位置する部分であって、ストッパ部21が下側壁部32に係止されることで変位が規制される部分)も機能(引張変形)させることができる。よって、入力荷重が同じであれば、本体部21の他の部分が機能する分、防振基体20(本体部21)全体を有効に利用して、その本体部21におけるたわみ量を抑制することができる。
次いで、図6を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、連結部23及び挿通孔32aの形状が多角形形状(具体的には六角形形状)に形成される場合を説明したが、第2実施の形態における連結部223及び挿通孔232aは、その形状が円形の一部を切り取った形状とされる。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図6(a)は、第2実施の形態における防振基体220の断面図であり、図6(b)は、第2実施の形態におけるケース部材230の上面図である。なお、図6(a)は、図2(b)のIII−III線における断面視に対応する。
なお、第2実施の形態における防振基体220は、第1実施の形態のける防振基体20に対し、連結部223の断面形状が連結部23の断面形状と異なる点を除き、他の形状は同一である。また、第2実施の形態におけるケース部材230は、第1実施の形態におけるケース部材30に対して、挿通孔232aの軸方向視(上面視)形状が挿通孔32aの軸方向視形状と異なる点を除き、他の形状は同一である。
図6に示すように、第2実施の形態における連結部223の断面形状は、円形形状の一部を平行な2本の直線で切り取った形状(即ち、円周上の2箇所に平行で同じ長さの2本の弦を有する形状)に形成される。なお、連結部223の円形形状は、本体部21及びストッパ部22(図2参照)と同心とされる。一方、第2実施の形態における挿通孔232aの軸方向視(上面視)形状は、連結部223の断面形状と同じ形状に形成される。なお、その大きさは、同じ大きさ又は連結部223が挿通孔232aよりも若干大きな相似形状に形成される。
第2実施の形態においても、防振基体220がケース部材230に装着された状態では(図5(b)参照)、連結部223の外周面が挿通孔232aの内周面に係合されることで、防振基体220のケース部材230に対する回転を規制することができる。その結果、ピストンロッドRにナットNを締結する際(図1参照)の作業性の向上を図ることができる。
なお、第2実施の形態においても、第1実施の形態の場合と同様に、ケース部材230をプレス加工により成形する際には、最初に平板状の素材を打ち抜く工程において、挿通孔232aも同時に打ち抜いて形成しておくことができる。よって、本実施の形態のように、挿通孔232aを複雑な形状に形成する必要がある場合であっても、ケース部材230の製造コストの低減を図ることができる。
次いで、図7から図10を参照して、第3実施の形態について説明する。第1実施の形態では、防振基体20を加硫成形した後、その防振基体20をケース部材30に取り付ける(本体部21を筒壁部31に内嵌させる)ことで、ストラットマウント1が製造される場合を説明したが、第3実施の形態におけるストラットマウント301は、ケース部材330がキャビティ内に設置された加硫金型へゴム状弾性材を充填して防振基体220を加硫成形することで製造される。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図7は、第3実施の形態におけるストラットマウント301の断面図であって、車体への装着状態を示す図である。なお、図7では、ピストンロッドR及びナットNの断面視が省略されると共に、ケース部材330と車体パネルBPとを締結固定するボルトの図示が省略される。
図7に示すように、第3実施の形態におけるストラットマウント301は、防振基体220の本体部321がケース部材330の筒壁部31に内嵌されると共に、ストッパ部322がケース部材330の下側壁部332の下面側(図7下側)に配設される。一方、第3実施の形態におけるケース部材330の下側壁部332には、挿通孔332aの周囲に分散孔332bが穿設されており、防振基体320の本体部321及びストッパ部322は、挿通孔332a及び分散孔332bを介して、連結部323により連結される。これにより、防振基体320のケース部材330に対する回転をより確実に規制できる。
次いで、図8を参照して、第3実施の形態におけるケース部材330の詳細構成について説明する。図8(a)は、ケース部材330の上面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線におけるケース部材330の断面図である。
図8に示すように、ケース部材330は、筒壁部31の軸方向(図8(b)上下方向)下端から軸直角方向内方へ向けて直線状に延設される下側壁部332を備え、その下面壁部32の中心部には、正面視円形の開口である挿通孔332aが穿設されている。また、挿通孔332aの周囲には、複数(本実施の形態では3個)の分散孔332bが周方向等間隔に配設される。
分散孔332bは、挿通孔332aと同様に、下側壁部332を板厚方向に穿設して形成される開口であり、分散孔332bの形状は、図8(a)に示す軸方向視(上面視)において、挿通孔332aと同心に配置される円環形状をその周方向3カ所で分断して形成される湾曲した長円形状とされる。分散孔332bをこのような形状に形成することで、ケース部材330の強度低下を抑制しつつ、かかる分散孔332b内に配設される連結部323(図7参照)の耐久性の向上と、防振基体320のケース部材330に対する回転の防止とを図ることができる。
ここで、挿通孔332aは、筒壁部331に同心に配置される。また、筒壁部331の軸を中心とする分散孔332bの中心角は、本実施の形態では、略40度とされる。この中心角は、30度以上かつ60度以下とすることが好ましい。また、挿通孔332aの内径は、筒壁部331の内径の80%以下とすることが好ましい。ケース部材330の強度を確保、連結部323の耐久性の向上、及び、防振基体220の回転防止を図りつつ、本体部221及びストッパ部322を支持するための下側壁部332の支持面積を確保するためである。
なお、第3実施の形態においても、第1実施の形態の場合と同様に、ケース部材330をプレス加工により成形する際には、最初に平板状の素材を打ち抜く工程において、挿通孔332a及び分散孔332bも同時に打ち抜いて形成しておくことができる。よって、本実施の形態のように、挿通孔232aだけでなく、分散孔332bも複数形成する必要がある場合であっても、ケース部材330の製造コストの低減を図ることができる。
次いで、図9及び図10を参照して、第3実施の形態におけるストラットマウント301の製造方法について説明する。図9は、内側部材10及びケース部材330が設置されて型締めされた加硫金型の断面図であり、キャビティ内にゴム状弾性体が注入される前の状態が図示されている。また、図10は、第3実施の形態におけるストラットマウント301の断面図である。なお、図9に示す断面は、図7或いは図10に示す断面に対応する。
図9に示すように、加硫金型は、防振基体320(図10参照)を加硫成形するための金型であり、上下(図9上下方向)に型締めされる上型MD1及び下型MD2を備え、型締めにより形成されるキャビティ内に注入孔(図示せず)から注入されて充填されたゴム状弾性体を加硫することで、防振基体320を成形する。
即ち、防振基体320の成形(加硫成形工程)は、まず、加硫金型の下型MD2に内側部材10及びケース部材330を設置し、次いで、上型MD1を下降移動させて、型締めする(設置工程)。なお、本実施の形態では、内側部材10は、所定範囲(防振基体320の本体部321に埋設される領域)に接着剤を塗布するが(塗布工程)、ケース部材330への接着剤の塗布は行わない。
これにより、図9に示すように、ゴム状弾性体を加硫するための加硫空間であるキャビティが形成されるので、図示しない注入孔からキャビティ内にゴム状弾性体を注入して、かかるキャビティ内にゴム状弾性体を充填した後、加硫金型を加圧・加熱した状態で所定時間保持することで、ゴム状弾性体を加硫成形する。
なお、加硫金型のキャビティの形状は、第1実施の形態における防振基体20の外形形状に対し、ストッパ部322の最大外径が第1実施の形態におけるストッパ部22の外径寸法よりも大きい(即ち、分散孔322bへゴム状弾性体を充填するために、ストッパ部322の下側壁部332側の外径寸法が大きい)点を除き、他の構成は同一である。よって、その説明は省略する。
その結果、防振基体320が内側部材10及びケース部材330と一体となった状態で成形されるので、これら一体となった加硫成形体を加硫金型から取り出すことで、図10に示すストラットマウント301を得ることができる。
この場合、本実施の形態における製造方法によれば、ケース部材330への接着剤の塗布が省略されているので、接着剤を不要とする分、材料コストの低減を図ることができると共に、その塗布工程を不要とする分、作業工数を低減して、ストラットマウント301全体としての製品コストの低減を図ることができる。
なお、このように、防振基体320の本体部321をケース部材330の筒壁部331と一体に加硫したとしても、ケース部材330には接着剤が塗布されておらず、本体部321と筒壁部331及び下側壁部332との間は非接着状態で加硫されるので、加硫成形後の収縮により本体部321に内部応力が発生することを回避できる。よって、本体部321の耐久性の向上を図ることができる。
また、本体部321は、ケース部材330との間の高さ寸法(図10上下方向寸法)が、第1実施の形態の場合と同様に設定されるので、車体に装着されると、車体パネルBPとケース部材330の下側壁部332との間で軸方向に挟圧(圧縮)され、これにより、ケース部材330の筒壁部331によって縮径方向へも挟圧(圧縮)される(図7参照)。よって、本体部321と筒壁部331及び下側壁部332との間が非接着状態で加硫されたとしても、本体部321に圧縮ひずみを発生させ、その耐久性の向上を図ることができる。
図10に示すように、ストラットマウント301を製造した後は、かかるストラットマウント301を、加硫成形工程から車体への装着工程へ搬送する。この搬送においては、下側壁部332が本体部321とストッパ部322との間に挟み込まれた状態となっているので、防振基体320とケース部材330とが非接着状態であっても、第1実施の形態の場合と同様に、ストラットマウント1の搬送中に防振基体20がケース部材30の筒壁部31から脱落することを防止できる。
また、ストラットマウント301によれば、防振基体320の連結部323が、下側壁部332の挿通孔332a内だけでなく、分散孔332b内にも配置され、本体部321及びストッパ部322が、挿通孔332a及び分散孔332bを介して、連結部323により連結されているので、防振基体320とケース部材330とが非接着状態であっても、ピストンロッドRを内側部材10にナットNで締結固定する際には、内側部材10がケース部材330の筒壁部31内で空転することをより確実に防止することができる。
以上、説明したように、第3実施の形態におけるストラットマウント301においても、第1実施の形態の場合と同様に、以下の効果を奏する。即ち、従来品において必要とされたアウターリング(外筒金具)を省略することができるので(図7参照)、製造工数を低減して、製品コストの削減を図ることができると共に、製品の軽量化を図ることができる。また、内側部材10及び防振基体220(本体部221)の形状の自由度が大きくして、静的および動的な特性や耐久性の向上を図ることができる。更に、バウンド側入力時の防振基体320の本体部321のたわみ量を抑制して、その本体部321の耐久性の向上を図ることができる。
次いで、図11を参照して、第4実施の形態について説明する。第1実施の形態では、下側壁部32の挿通孔32aの形状が多角形形状(具体的には六角形形状)に形成されるケース部材30について説明したが、第4実施の形態におけるケース部材430は、挿通孔232aの形状が円形の周上から複数の突部を突出させた形状とされる。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図11(a)は、第4実施の形態におけるケース部材430の上面図であり、図11(b)は、図11(a)のXIb−XIb線におけるケース部材430の断面図である。
なお、第4実施の形態におけるケース部材430は、第1実施の形態におけるケース部材30に対して、挿通孔432aの軸方向視(上面視)形状が挿通孔32aの軸方向視形状と異なる点を除き、他の形状は同一である。
図11に示すように、第4実施の形態のケース部材430は、挿通孔232aの軸方向視(上面視)形状が、筒壁部31と同心の円形の周上から略矩形状の複数(本実施の形態では3個)の突部432bを径方向外方へ向けて突出させた形状とされる。なお、各突部432bは互いに同じ形状であり周方向等間隔に配設される。
この第4実施の形態におけるケース部材430は、第1実施の形態の場合のように、防振基体を加硫成形した後、その防振基体をケース部材430に取り付ける(本体部を筒壁部31に内嵌させる)ことで、ストラットマウントを製造することも、或いは、第3実施の形態の場合のように、ケース部材430がキャビティ内に設置された加硫金型へゴム状弾性材を充填して防振基体を加硫成形することで、ストラットマウントを製造することもできる。
前者の場合には、防振基体の連結部の断面形状を、挿通孔432aの軸方向視(上面視)形状と同じ又は若干小さな相似形状に設定し、後者の場合には、ケース部材430に接着剤を塗布せずに加硫金型のキャビティ内に設置する。これにより、前後者のいずれの場合であっても、第1実施の形態および第3実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
なお、第4実施の形態においても、第1実施の形態の場合と同様に、ケース部材430をプレス加工により成形する際には、最初に平板状の素材を打ち抜く工程において、挿通孔432aも同時に打ち抜いて形成しておくことができる。よって、本実施の形態のように、挿通孔432aを複雑な形状に形成する必要がある場合であっても、ケース部材230の製造コストの低減を図ることができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、上記第1実施の形態では、連結部23及び挿通孔32aの形状を多角形状として構成する場合の一例として、六角形を例示したが、頂点の数は、5以下であっても良く、7以上であっても良い。また、第2実施の形態において、連結部223及び挿通孔232aの形状として、2本の線分で円形を分断する形状を一例として例示したが、かかる線分の数は、1本であっても良く、或いは、3本状であっても良い。第3実施の形態で説明した分散孔332bの数や第4実施の形態で説明した突部432bの数についても同様である。
なお、第1実施の形態における多角形は正多角形である必要は無く、第2実施の形態における複数の線分はそれぞれ同じ長さである必要は無い。これらは適宜設定することができる。第3実施の形態における分散孔332bや第4実施の形態における突部432bの配設位置(周方向間隔など)も同様である。
第3実施の形態で説明した製造方法により、ストラットマウントを製造する場合に、第3実施の形態で説明したケース部材330とは異なる形状の他のケース部材を用いることは当然可能である。他のケース部材としては、例えば、第1、第2或いは第4実施の形態で説明したケース部材30,230,430が例示される。いずれのケース部材30,230,430であっても、搬送時の本体部21の脱落やピストンロッドR締結時の本体部21の空転を防止できる。
上記第3実施の形態では、ケース部材330への接着剤の塗布を完全に省略する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、その一部に接着剤を塗布することは当然可能である。例えば、挿通孔332a及び分散孔332bの内周面のみに接着剤を塗布する(即ち、かかる内周面のみ防振基体320(連結部323)に加硫接着される)構成としても良い。