JP7299997B2 - 内視鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、内視鏡に関する。
内視鏡装置は一般に、被検者の体内(消化器官など)に挿入される挿入部を有している。挿入部は、光を伝達するためのライトガイド、及び撮像部からの電気信号を伝達するための電気配線をその内部に有している。これに加え、挿入部は、送水又は送気のための送気送水管路や、鉗子などの処置具を挿脱するための処置具管路をその内部に有している(例えば、特許文献1及び2参照)。
処置具管路の柔軟度が低い(固い)と、挿入部の柔軟度が十分に得られず、挿入部において所期の動作が得られないことが生じ得る。逆に、湾曲部における処置具管路の柔軟度が高いと、管路の座屈などを含む管路の破損を生じさせることがある。また、処置具管路が他の部材と接触し、処置具管路が変形することがある。このような変形が生じると、管路の内径が小さくなってしまい、その状態で処置具の移動が行われると、処置具管路に摩耗又は破損が生じる虞がある。特許文献1及び2は、このような処置具管路と他の部材との接触による問題に対応可能な構造を提示するものではない。
特開2001-46314号公報 国際公開第2018/088087号
本発明は、挿入部の柔軟度を維持しつつも、処置具管路の摩耗又は破損を抑制することができる内視鏡を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る内視鏡は、挿入部と、前記挿入部の一端が接続される手元操作部と、前記挿入部及び前記手元操作部の内部を通過し前記手元操作部の上端から処置具が挿通される第1処置具管路と、前記挿入部及び前記手元操作部の内部を通過し、前記手元操作部において第1分岐路及び第2分岐路に分岐する分岐部を備え、前記第1分岐路から処置具が挿通される第2処置具管路とを備える。前記手元操作部は、ユーザが把持するための把持部を備え、前記第1処置具管路は、前記手元操作部の中の少なくとも前記把持部において第1の硬度を有する第1部分と、前記第1の硬度よりも小さい第2の硬度を有する第2部分とを備える。
第1の態様において、前記手元操作部は、前記把持部と前記挿入部との間に位置する折れ止め部を備え、前記第1処置具管路は、少なくとも前記折れ止め部及び前記把持部の内部に前記第1部分を有することができる。また、前記第1処置具管路は、前記分岐部の近傍の領域に前記第1部分を備えることができる。さらに、一端を前記手元操作部に接続され他端をコネクタ部に接続されるユニバーサルケーブルを更に備え、前記第1処置具管路は、前記手元操作部における前記ユニバーサルケーブルとの接続部の近傍の領域において前記第1部分を有することができる。
また、第1の態様において、前記第1処置具管路は、内層と、前記内層の外側に形成される外層と備えたものとされてもよい。ここで前記内層は、第1の気孔率を有するポリテトラフルオロエチレンで形成される。前記外層は、第2の気孔率を有するポリテトラフルオロエチレンで形成される第1部分と、前記第2の気孔率よりも大きい第3の気孔率を有するポリテトラフルオロエチレンで形成される第2部分とを備えることができる。
本発明の第2の態様に係る内視鏡は、挿入部と、前記挿入部の一端が接続される手元操作部と、前記挿入部及び前記手元操作部の内部を通過し前記手元操作部の上端から処置具が挿通される第1処置具管路と、前記挿入部及び前記手元操作部の内部を通過し、前記手元操作部において第1分岐路及び第2分岐路に分岐する分岐部を備え、前記第1分岐路から処置具が挿通される第2処置具管路とを備える。前記第1処置具管路は、前記手元操作部の中の少なくとも前記分岐部の近傍において第1の硬度を有する第1部分と、前記第1の硬度よりも小さい第2の硬度を有する第2部分とを備える。
本発明の内視鏡によれば、挿入部の柔軟度を維持しつつも、処置具管路の摩耗又は破損を抑制することができる内視鏡を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態の内視鏡システム1の外観図である。 内視鏡100の先端部104の構造を示す斜視図である。 先端部104の断面構造をより詳細に説明する断面図である。 挿入部10、手元操作部102、ユニバーサルケーブル105及びコネクタ部106における各種管路の配置を示す概略図である。 第1の実施の形態の処置具管路141B及び141Cの構造を説明する断面図である。 第1の実施の形態の効果を説明する概念図である。 第1の実施の形態の変形例を説明する図面である。 第2の実施の形態の構造を説明する概略図である。 第2の実施の形態の構造を説明する概略図である。 第3の実施の形態の構造を説明する概略図である。 第3の実施の形態の構造を説明する概略図である。 第4の実施の形態の構造を説明する概略図である。
以下、添付図面を参照して発明の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
以下に説明する実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態の内視鏡システムについて詳細に説明する。図1は、第1の実施形態の内視鏡システム1の外観図であり、図2は、内視鏡100の先端部104の構造を示す斜視図である。内視鏡システム1は、内視鏡100、プロセッサ200、光源装置300、送気送水部400、吸引部500、ディスプレイ600、及び入力部700から大略構成される。
内視鏡100は、被検体の体内に挿入可能に構成されて被写体を撮像し、その撮像された画像の画像信号をプロセッサ200に伝送する機能を有する。プロセッサ200は、内視鏡100からの画像信号を受信して所定の信号処理を実行する。
光源装置300は、プロセッサ200と接続可能に構成され、その内部に被写体を照射するための照射光を発する光源を備えている。光源からの光は、後述するライトガイドを介して被検体に向けて照射される。光源装置300は、プロセッサ200とは別体として構成されてプロセッサ200と接続可能に構成されてもよいし、プロセッサ200の内部に組み込まれていてもよい。
送気送水部400は、被検体に対して供給される水流、又は空気流を放出するためのエアポンプを備えている。吸引部500は、内視鏡100を介して被検者の体内から吸引された体液や切除物を吸引するためのポンプ及びタンク(図示せず)を備えている。
ディスプレイ600は、例えばプロセッサ200でのデータ処理結果等に基づく表示を行うための表示装置である。また、入力部700は、各種測定動作におけるオペレータからの指示を入力するための装置である。
内視鏡100は、挿入部10と、手元操作部102と、ユニバーサルケーブル105と、コネクタ部106とを備えている。挿入部10は更に、可撓管部101と、湾曲部103と、先端部104とを備えている。
内視鏡100の挿入部10は、図1に示すように、可撓性を有し、被検体の体内に挿入するための可撓管部101を備えている。可撓管部101は、その一端において手元操作部102と接続されている。手元操作部102は、例えば湾曲操作ノブ1021、その他ユーザによって操作可能な操作ボタン1022を備えており、内視鏡システム1による撮像のための各種操作をオペレータに行わせるための部分である。なお、手元操作部102には、処置具を挿入させるための処置具挿入口1024、1026、1027が設けられている。
可撓管部101のうち、湾曲部103に近い部分は、第1可撓管部101Aであり、手元操作部102に近い部分は、第2可撓管部101Bである。湾曲部103が、湾曲操作ノブ1021のオペレータによる操作により能動的にその形状が変化可能にされているのに対し、この第1可撓管部101Aは、湾曲操作ノブ1021の操作とは無関係な外力、例えば先端部104や湾曲部103が消化器官の壁面に当たることによる外力により、受動的にその形状が変化する部分である。第2可撓管部101Bも同様であるが、形状の変化の度合が第1可撓管部101Aに比べ小さい(最小曲率半径が大きい)。なお、図1の例では、可撓管部101が2種類の可撓管部を有しているが、これに限定されるものではなく、3種類以上の可撓管部が備えられていても良いし、1種類でも構わない。
可撓管部101の先端には、湾曲可能に構成された湾曲部103(能動湾曲部)が設けられている。前述のように、手元操作部102に設けられた湾曲操作ノブ1021の回転操作に連動した操作ワイヤ(図1では図示せず)の牽引によって湾曲部103は湾曲する。なお、湾曲部103と第1可撓管部101Aとの間には、湾曲用ワイヤWや外力により変形しない接続部が設けられていてもよい。
更に、湾曲部103の先端には、撮像素子(撮像部)を備えた先端部104が連結されている。湾曲操作ノブ1021の回転操作による湾曲部103の湾曲動作に応じて先端部104の向きが変わることにより、内視鏡100による撮影領域を変化させることができる。
手元操作部102は、本体部102M、把持部102H、及び折れ止め部102Gを備えている。本体部102Mは、前述の湾曲操作ノブ1021や操作ボタン1022を有する部分であり、把持部102Hは、オペレータにより把持可能に構成された部分である。オペレータが把持し易くするため、把持部102Hの幅は、本体部102Mよりも小さくされている。なお、折れ止め部102Gは、挿入部10と手元操作部102との接続部に形成され、挿入部10の屈曲を抑制するために設けられている。
手元操作部102の反対側からは、コネクタ部106に向けてユニバーサルケーブル105が延びている。ユニバーサルケーブル105は、挿入部10と同様に、その内部にライトガイド、各種配線、各種管路を含んでいる。ユニバーサルケーブル105は、その一端を手元操作部102に接続され、他端をコネクタ部106に接続される。
コネクタ部106は、内視鏡100をプロセッサ200に接続させるための各種コネクタを含んでいる。また、コネクタ部106は、水流及び空気流を挿入部10に向けて送るための経路としての送気送水用管路108を含む。送気送水用管路108は、空気流/水流ポート1061を介してユニバーサルケーブル105に接続される。また、コネクタ部106は、内視鏡100を介して被検者の体内から吸引された体液や切除物を吸引して吸引部500に排出するための吸引用管路109を備えている。
図2を参照して、内視鏡100の先端部104の構造を説明する。内視鏡100の先端部104には、配光レンズ112A、112Bが配置され、挿入部10の内部には、先端部104からコネクタ部106に亘って、ライトガイドLGa、LGbが延びている。光源装置300の光源からの光が、このライトガイドLGa、LGbにより導光され、先端部104に配置された配光レンズ112A、112Bにより、被検体に向けて照射される。
また、内視鏡100は、図2に示すように、先端部104において対物レンズ113と撮像素子133を備えている。先端部104に設けられる対物レンズ113は、被検体からの散乱光や反射光を集光して、撮像素子133の受光面上に被検体の像を結像させる。
撮像素子133は、一例としてCCD(Charge Coupled Device)、又はCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Sensor)により構成され得る。撮像素子133は、プロセッサ200から電気配線138を介して供給される信号(ゲインコントロール信号、露出制御信号、シャッタ速度制御信号など)により制御されるとともに、プロセッサ200に対し、撮像された画像の画像信号を電気配線138及びA/D変換回路(図示せず)を介して供給するようにされている。
また、先端部104の端面には、各種管路の端部又は開口として、送気送水口114、副送水口115、及び処置具口116A~116Cが設けられている。送気送水口114は、先端部104の洗浄等のための水流、又は空気流を導入するため、送気送水管路121に接続されている。
また、副送水口115は、視野内の汚物除去のための副送水を導入するため、副送水管路122に接続されている。管路121~122は、先端部104、湾曲部103、挿入部10、手元操作部102、及びユニバーサルケーブル105の内部に沿って延びるように配置されている。
このような管路121~122に加え、内視鏡100の内部には、処置具管路141A~141Cが設けられている。処置具管路141A~Cは、鉗子等の処置具をその内部に進退自在に配置されている。処置具管路141A~Cの先端は、先端部104において処置具口116A~Cを構成している。この第1の実施の形態では、一例として、処置具管路141Aは、第1分岐部と第2分岐部とに分岐される分岐部を備えており、一方は処置具の挿通に用いられ、他方は吸引部への吸引管路として用いられる。
図3を参照して、先端部104の断面構造をより詳細に説明する。この断面図では、対物レンズ113~電気配線138、送気送水管路121、及び処置具管路141Bの構造の詳細を示している。処置具管路141A、141Cは図示を省略する。配光レンズ112A、112B及びライトガイドLGa、LGbの構造についても図示を省略している。また、副送水管路122の構造も図示を省略している。
先端部104は、先端硬質部104Mを有している。先端硬質部104Mは、前述の送気送水口114、副送水口115、及び処置具口116Bを構成する孔部を備えている。図3に示すように、送気送水管路121、及び処置具管路141Bが、先端硬質部104Mの対応する孔部に挿入されている。
先端硬質部104Mは、対物レンズ113、絞りAP、遮光マスク131を保持するレンズ枠136を嵌入するための孔部も有している。レンズ枠136は、密封剤137を介して先端硬質部104Mの孔部に固定される。
一方、対物レンズ113の後方には、一例として、遮光マスク131、カバーガラス132、撮像素子(CCD)133、及び回路基板134がCCDユニット枠135により保持され、このCCDユニット枠135が先端硬質部104Mの孔部に挿入・固定されている。回路基板134には、電気配線138が接続されている。
上記のように構成された先端部104(先端硬質部104M)が、湾曲部103の先端に嵌め込まれる。湾曲部103は、略円筒状に形成された湾曲駒153をリベットで互いに回動可動に接続して構成される。湾曲駒153の外面は網状管152で被覆されている。網状管152は、その端部において接輪管151を介して先端硬質部104Mと接合される。また、網状管152の外面は、合成樹脂製の外皮ゴムチューブ155で覆われている。外皮ゴムチューブ155と先端硬質部l04Mとは、その端部において例えば固定用糸S1により固定される。
複数の湾曲駒153の間には、ワイヤガイド154が設けられ、このワイヤガイド154に、湾曲動作のための湾曲用ワイヤWが貫通している。湾曲用ワイヤWは、1本の挿入部10内において、例えば周方向に略等間隔に4本設けられる。各湾曲用ワイヤWの一端は最前部の湾曲駒153に固定されている。この湾曲用ワイヤWの他端が湾曲操作ノブ102Aの操作により緊張・弛緩されることにより、湾曲部103が湾曲する。
次に、図4を参照して、挿入部10、手元操作部102、ユニバーサルケーブル105及びコネクタ部106における各種管路の配置を示す。前述の通り、挿入部10には送気送水管路121、副送水管路122、及び処置具管路141A~141Cが配置されている。
送気送水管路121は、途中で空気管路121Jと分岐する。この空気管路121J及び送気送水管路121は、挿入部10、手元操作部102及びユニバーサルケーブル105の内部を通過し、コネクタ部106において空気流/水流ポート1061に接続される。空気流/水流ポート1061は、前述の送気送水用管路108に接続される。同様に、副送水管路122は挿入部10、手元操作部102、ユニバーサルケーブル105の内部を通過し、コネクタ部106の副送水ポート1063に達するよう配設されている。
処置具管路141A(第処置具管路)は、挿入部10の内部を延びるように配置されるが、手元操作部102の処置具挿入口1024の位置において分岐部Dvを有し、分岐路141A’(第1分岐路)と分岐する。分岐路141A’は処置具挿入口1024に接続されて、処置具を挿入するための管路として機能する。処置具管路141A(第2分岐路)は、更に手元操作部102、ユニバーサルケーブル105及びコネクタ部106へと延びて吸引ポート1062に接続される。吸引ポート1062には、前述の吸引用管路109が接続されている。このように、処置具管路141Aは、処置具の挿入のための管路と、吸引のための管路とを兼用している。
一方、処置具管路141B及び141C(第処置具管路)は、挿入部10内を延びるが、ユニバーサルケーブル105の方向には延びず、手元操作部102の上端に延びて処置具挿入口1026及び1027に到達するよう配設されている。
図4から明らかなように、各種管路は、手元操作部102の内部、特に分岐部Dv付近において密集して配置される。また、手元操作部102の把持部102Hは、オペレータにより把持し易くするために、その直径(幅)が本体部102Mに比べ小さくされている。把持部102Hと挿入部10とを接続する折れ止め部102Gも同様である。このため、手元操作部102の内部、特に把持部102H及び折れ止め部102G付近では、管路同士の接触、又は管路と操作部の構造部材との接触が生じ易い。
そこで、第1の実施の形態では、処置具管路141B及び141Cにつき、図5に示す構造を採用する。処置具管路141B及び141Cは、内層201と、内層201よりも外側に配置される外層202の二層構造を備えている。内層201は、管路を通過する処置具と接触することによる破損を抑制するため、全長(先端部104~手元操作部102)に亘り充実構造(気孔率(第1の気孔率)が略ゼロ)のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から構成される。なお、充実構造とする代わりに、十分な硬度が得られる程度に非常に小さい気孔率を有する多孔質構造のPTFEを用いても良い。
一方、外層202は、把持部102H及び折れ止め部102Gに位置する第1部分202Aが、充実構造(気孔率(第2の気孔率)が略ゼロ)のPTFEを材料として構成される。残る第2部分202Bは、多孔質構造(第2の気孔率よりも大きい第3の気孔率)のPTFEを材料として構成される。換言すれば、把持部102H及び折れ止め部102Gにおいては、内層201及び外層202の両方が充実構造のPTFEで構成される。なお、充実構造とする代わりに、十分な硬度が得られる程度に非常に小さい気孔率を有する多孔質構造のPTFEを用いても良い。
処置具管路141B、141Cが充実構造のPTFEと多孔質のPTFEに二層構造とされることにより、処置具の挿通による破損に対する耐性と、座屈耐性との両立を図ることができる。換言すれば、内層201の充実構造のPTFEを、座屈しにくい外層202の多孔質PTFEで保持することで、柔軟で座屈しにくい管路とすることができる。一方、把持部102H及び折れ止め部102Gでは、内層201及び外層202の両方が充実構造のPTFEで構成される。これにより、処置具管路141B、141Cは、手元操作部102の一部である把持部102H及び折れ止め部102Gにおいて、第1の硬度を有する第1部分を有し、当該一部以外において第1の硬度よりも小さい第2の硬度を有する第2部分を備えることができる。なお、把持部102Hにおいてのみ、内層201と外層202の両方を充実構造のPTFEとすることも可能である。
処置具管路141B及び141Cの柔軟性が高い場合、図6(a)に示すように、把持部102H及び折れ止め部102G内の他の構成部材(符号Ob)が処置具管路141B及び141Cに接触することにより、処置具管路141B及び141Cに変形が生じることが生じ得る。このような変形は、処置具管路141B及び141Cの摩耗又は破損を生じさせる虞がある。
これに対し、第1の実施の形態では、処置具管路141B及び141Cが、上述のように、手元操作部102の一部である把持部102H及び折れ止め部102Gにおいて、内層201及び外層202共に充実構造のPTFEで構成されている。このため、把持部102H及び折れ止め部102G内の他の構成部材が処置具管路141B及び141Cに接触したとしても、処置具管路141B及び141Cは容易には変形しない。従って、本実施の形態によれば、密集部における処置具管路141B及び141Cの摩耗や破損を抑制しつつ、柔軟で座屈しにくい管路を形成することができる。
なお、上記に図示した例では、処置具管路141B、141Cを構成する内層201と外層202との二層構造のPTFEにおいて、気孔率を異ならせることで、位置によって異なる硬度を有する処置具管路を提供している。ただし、第1の硬度を有する第1部分と、第1の硬度よりも小さい第2の硬度を有する第2部分とを与える構造は、図示のものに限定されるものではない。例えば、熱収縮チューブや補強コイルにより補強する部分と補強しない部分とを設けることにより、異なる硬度を与えることも可能である。また処置具管路141B及び141Cを、図7に示すようなブレードチューブにより構成することもできる。ブレードチューブは、例えばPTFE等のフッ素系樹脂からなる内層203、内層の外側に巻き付けられる金属ブレード204(ステンレス等)、さらにその外側にウレタン等の軟質の樹脂からなる外層205を備えている。金属ブレード204における金属線の密度を場所によって異ならせることで、異なる硬度を与えることも可能である。このような変形は、以下の第2乃至第4の実施の形態においても採用することができる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る内視鏡を、図8及び図9を参照して説明する。この第2の実施の形態の内視鏡の全体構成は、第1の実施の形態(図1)と同様である。また、先端部104、湾曲部103及び挿入部10の構成、及び各種管路の配置も、第1の実施の形態(図2~図4)と同様である。
この第2の実施の形態は、図8に示すように、処置具管路141B及び141Cの構造が第1の実施の形態と異なっている。この実施の形態では、内層201及び202とも充実構造のPTFEとされる部分が、手元操作部102のうち、分岐部Dvの近傍の領域1023Sとされている。
前述の通り、分岐部Dvの近傍の領域1023Sは、特に各種管路が集中し、且つ異なる方向に延びる。このため、特に管路同士の接触が生じ易い。例えば、分岐部Dvは通常、ステンレス等の硬質な部材で構成されている。各種管路が密集した箇所では、その硬質な分岐部Dvの外側を通る処置具管路141B及び141Cは、図6(a)のような変形を生じやすい。このため、この第2の実施の形態では、領域1023Sにおいて、処置具管路141B及び141Cの内層201及び外層202の両方を充実構造のPTFEにより構成する。従って、この第2の実施の形態によっても、密集部における処置具管路141B及び141Cの摩耗や破損を抑制しつつ、柔軟で座屈しにくい管路を形成することができる。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係る内視鏡を、図10及び図11を参照して説明する。この第3の実施の形態の内視鏡の全体構成は、第1の実施の形態(図1)と同様である。また、先端部104、湾曲部103及び挿入部10の構成、及び各種管路の配置も、第1の実施の形態(図2~図4)と同様である。
この第3の実施の形態は、図10に示すように、処置具管路141B及び141Cの構造が第1の実施の形態と異なっている。この第3の実施の形態では、内層201及び202とも充実構造のPTFEとされる部分が、手元操作部102の中のユニバーサルケーブル105の接続部付近の領域102Uとされている。
図11に示すように、ユニバーサルケーブル105の接続部付近の領域102U(本体部102M内)は、ユニバーサルケーブル105へ延びる各種管路が集中し、且つ略垂直に曲げられる。このため、特に管路同士の接触が生じ易い。このため、この第3の実施の形態では、領域102Uにおいて、処置具管路141B及び141Cの内層201及び外層202の両方を充実構造のPTFEにより構成する。従って、この第3の実施の形態によっても、密集部における処置具管路141B及び141Cの摩耗や破損を抑制しつつ、柔軟で座屈しにくい管路を形成することができる。なお、図示は省略するが、この第3の実施の形態においても、把持部102H及び折れ止め部102Gの処置具管路141B及び141Cの内層201及び外層202を、第2の実施の形態と同様に構成してもよい。
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態に係る内視鏡を、図12を参照して説明する。この第4の実施の形態の内視鏡の全体構成は、第1の実施の形態(図1)と同様である。また、先端部104、湾曲部103及び挿入部10の構成、及び各種管路の配置も、第1の実施の形態(図2~図4)と同様である。
この第4の実施の形態は、図12に示すように、処置具管路141B及び141Cの構造が第1の実施の形態と異なっている。この第4の実施の形態では、内層201及び外層202とも充実構造のPTFEとされる部分(第1部分)が、手元操作部102の中の、折れ止め部102Gも含めた全体とされている。換言すれば、外層202が多孔質構造とされている部分(第2部分)は、挿入部10のみに存在し、手元操作部102においては、折れ止め部102Gや本体部102Mも含め、内層201及び外層202の両方が全体として充実構造のPTFEとされている。
この第4の実施の形態によっても、前述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。この第4の実施の形態は、挿入部10内の外層202のみを多孔質構造のPTFEとし、手元操作部102内は全体として、内層201、外層202とも充実構造のPTFEとすることができ、処置具管路141B、141Cの構造が単純となり、その製造を容易にすることができる。
[その他]
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…内視鏡システム、 100…内視鏡、 10…挿入部、 101…可撓管部、 101A…第1可撓管部、 101B…第2可撓管部、 102…手元操作部、 1021…湾曲操作ノブ、 1022…操作ボタン、 1024、1026、1027…処置具挿入口、 102G…折れ止め部、 102H…把持部、 102M…本体部、 103…湾曲部、 104…先端部、 105…ユニバーサルケーブル、 106…コネクタ部、 108…送気送水用管路、 109…吸引用管路、 LGa、LGb…ライトガイド、 112A、112B…配光レンズ、 113…対物レンズ、 114…送気送水口、 115…副送水口、 116A~C…処置具口、 121…送気送水管路、 122…副送水管路、 141A~C…処置具管路、 133…撮像素子、 134…回路基板、 135…CCDユニット枠、 136…レンズ枠、 137…密封剤、 138…電気配線、 200…プロセッサ、 201…内層、 202…外層、 203…内層、 204…金属ブレード、 205…外層、 300…光源装置、 400…送気送水部、 500…吸引部、 600…ディスプレイ、 700…入力部。

Claims (8)

  1. 挿入部と、
    前記挿入部の一端が接続される手元操作部と、
    前記挿入部及び前記手元操作部の内部を通過し前記手元操作部の上端から処置具が挿通される第1処置具管路と、
    前記挿入部及び前記手元操作部の内部を通過し、前記手元操作部において第1分岐路及び第2分岐路に分岐する分岐部を備え、前記第1分岐路から処置具が挿通される第2処置具管路と
    を備え、
    前記手元操作部は、ユーザが把持するための把持部を備え、
    前記第1処置具管路は、
    前記手元操作部の中の少なくとも前記把持部及び前記分岐部の近傍の領域において第1の硬度を有する第1部分と、前記第1の硬度よりも小さい第2の硬度を有する第2部分とを備える
    ことを特徴とする内視鏡。
  2. 前記手元操作部は、前記把持部と前記挿入部との間に位置する折れ止め部を備え、
    前記第1処置具管路は、少なくとも前記折れ止め部及び前記把持部の内部に前記第1部分を有する、請求項1に記載の内視鏡。
  3. 一端を前記手元操作部に接続され他端をプロセッサに接続されるユニバーサルケーブルを更に備え、
    前記第1処置具管路は、前記手元操作部における前記ユニバーサルケーブルとの接続部の近傍の領域において前記第1部分を有する、請求項1又は2に記載の内視鏡。
  4. 前記第1処置具管路は、
    内層と、前記内層の外側に形成される外層と備え、
    前記内層は、第1の気孔率を有するポリテトラフルオロエチレンで形成され、
    前記外層は、第2の気孔率を有するポリテトラフルオロエチレンで形成される第1部分と、前記第2の気孔率よりも大きい第3の気孔率を有するポリテトラフルオロエチレンで形成される第2部分とを備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の内視鏡。
  5. 前記第1処置具管路は、前記第2部分を前記挿入部の中にのみ有する、請求項1に記載の内視鏡。
  6. 挿入部と、
    前記挿入部の一端が接続される手元操作部と、
    前記挿入部及び前記手元操作部の内部を通過し前記手元操作部の上端から処置具が挿通される第1処置具管路と、
    前記挿入部及び前記手元操作部の内部を通過し、前記手元操作部において第1分岐路及び第2分岐路に分岐する分岐部を備え、前記第1分岐路から処置具が挿通される第2処置具管路と
    を備え、
    前記第1処置具管路は、
    前記手元操作部の中の少なくとも前記分岐部の近傍において第1の硬度を有する第1部分と、前記第1の硬度よりも小さい第2の硬度を有する第2部分とを備える
    ことを特徴とする内視鏡。
  7. 一端を前記手元操作部に接続され他端をコネクタ部に接続されるユニバーサルケーブルを更に備え、
    前記第1処置具管路は、前記手元操作部における前記ユニバーサルケーブルとの接続部の近傍の領域において前記第1部分を有する、請求項6に記載の内視鏡。
  8. 前記第1処置具管路は、
    内層と、前記内層の外側に形成される外層と備え、
    前記内層は、第1の気孔率を有するポリテトラフルオロエチレンで形成され、
    前記外層は、第2の気孔率を有するポリテトラフルオロエチレンで形成される第1部分と、前記第2の気孔率よりも大きい第3の気孔率を有するポリテトラフルオロエチレンで形成される第2部分とを備える、請求項6又は7に記載の内視鏡。
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