JP7295624B2 - 研磨パッド及びその製造方法、並びに研磨加工品の製造方法 - Google Patents

研磨パッド及びその製造方法、並びに研磨加工品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、研磨パッド及びその製造方法、並びに研磨加工品の製造方法に関する。
シリコン単結晶などのウェハには、その方向を示すために、ウェハの最外周のエッジ部分に形成された小さい切り込み(ノッチ部)が形成される。ウェハの表面は研磨スラリーを用いて研磨パッドによる化学機械研磨加工等が行われるが、ノッチ部についてもチッピング防止やダストの巻き込みを防止することを目的として研磨加工が施される。
このようなノッチ部の研磨加工に用いられる研磨パッドとしては、たとえば、ノッチ部およびその周辺部の研磨に好適で、かつ、製品寿命の長い研磨パッドを提供することを目的とするものとして、基材に樹脂を含浸して成る研磨パッドにおいて、内層部と外層部とで、密度に違いのある三層構造を有する研磨パッドや(例えば、特許文献1参照。)、基材に樹脂を含浸して成る研磨パッドにおいて、空隙率が、前記基材の厚み方向外側から厚み方向中央側へと高くなる傾斜分布を有するように構成される研磨パッドなどが知られている(例えば、特許文献2参照。)
特開2010-157619号公報 特開2011-009584号公報
しかしながら、特許文献1や2に開示される研磨パッドは密度や硬度が場所によって異なるため、スラリーの保持量やワークへの接触が一様ではなく研磨状態にバラツキが出たり、傷を生じさせたりする恐れがある。また、ワークのノッチ部を研磨する研磨パッドは、その研磨工程においてワークの主面と研磨パッドの主面をほぼ直交するように接触させるため、研磨パッドの摩耗が激しく寿命が短くなるという問題がある。
このような問題を解決するために、研磨パッドの硬度を高くすることが考えられるが、高度を高くした場合にライフは改善されるものの、新しい研磨パッドを使用し始めてからその研磨パッドが均一な研磨性能(ノッチ部が滑らかな状態になる)を発揮するまでの時間(以下、「立ち上がり時間」ともいう。)が長時間化するという新たな課題が生じることが分かってきた。特に、立ち上がり時間が長時間化すると、研磨パッドが均一な研磨性能を発揮する状態(以下、「立ち上がり状態」ともいう。)にするために使用されるダミー用ワークの数が増加するなど製造上の問題が生じる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、立ち上がり時間が短縮された研磨パッド及びその製造方法、並びに当該研磨パッドを用いた研磨加工品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、研磨部を所定の表面状態とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
不織布と該不織布に含浸した樹脂とを含む樹脂含浸不織布からなるドーナツ型円盤状の研磨パッドであって、
ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を前記円盤の外周に有し、
前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の界面の展開面積比(Sdr)が1.0~1.2である、
研磨パッド。
〔2〕
前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の最大高さ(Sz)が、500~700μmである、
請求項1に記載の研磨パッド。
〔3〕
前記樹脂含浸不織布のショアA硬度が、70~90°である、
請求項1又は2に記載の研磨パッド。
〔4〕
前記樹脂含浸不織布の密度が、0.30~0.50g/cm3である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の研磨パッド。
〔5〕
前記樹脂がポリウレタン系樹脂を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の研磨パッド。
〔6〕
不織布に樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行う含浸工程と、
ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を形成する研磨部形成工程と、を有し、
該研磨部形成工程において、前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の展開面積比(Sdr)を1.0~1.2となるように調整する、
研磨パッドの製造方法。
〔7〕
請求項1~5のいずれか一項に記載の研磨パッドを用いて、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨する研磨工程を有する、
研磨加工品の製造方法。
本発明によれば、立ち上がり時間が短縮された研磨パッド及びその製造方法、並びに当該研磨パッドを用いた研磨加工品の製造方法を提供することができる。
本実施形態の研磨パッドの使用方法の一例を示す概略図である。 界面の展開面積比(Sdr)及び最大高さ(Sz)の測定に用いるサンプルの採取方法を示す図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔研磨パッド〕
本実施形態の研磨パッドは、不織布と該不織布に含浸した樹脂とを含む樹脂含浸不織布からなるドーナツ型円盤状の研磨パッドであって、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を前記円盤の外周に有し、前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の界面の展開面積比(Sdr)が1.0~1.2である。研磨パッドの形状である「ドーナツ型円盤状」とは、略円盤状の形状の中心付近に、その円盤状の厚さ方向に貫通する孔を有する形状を意味する。
図1に、本実施形態の研磨パッドの使用方法の一例を示す。本実施形態の研磨パッドは、研磨部を円盤の外周に有するドーナツ型円盤状の研磨パッドであり、研磨部によりワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨する。具体的には、研磨部をワークのノッチ部に接触させながら、研磨パッドを回転させることで、研磨部によるノッチ部の研磨を行う。
研磨パッドの均一な研磨性能(ノッチ部が滑らかな状態となる)を発揮する状態(立ち上がり状態)となるためには、研磨部のノッチ部と接触する面(以下、「接触面」ともいう。)がノッチ部との接触において所定の接触面積を有することが条件の一つとなることが分かってきた。他方で、その接触面積が広すぎる場合には、ノッチ部に傷が生じ、品質の低下を招くことが懸念される。そこで、本実施形態においては、そのような面をより効率的に形成し得るよう、研磨部のノッチ部と接触する面の界面の展開面積比(Sdr)を所定範囲に規定する。
上記のような観点から、本実施形態の研磨部のノッチ部と接触する面の界面の展開面積比(Sdr)は、1.0~1.2であり、好ましくは1.05~1.2であり、より好ましくは1.1~1.2である。界面の展開面積比が1.0以上であることにより、立ち上がり時間がより短縮され、研磨効率が向上するほか、ダミー用ワークの使用数を低減でき製造コストを低減することができる。また、界面の展開面積比が1.2以下であることにより、得られる被研磨物の品質がより向上する。界面の展開面積比(Sdr)は、定義領域の展開面積(表面積)が、定義領域の面積に対してどれだけ増大しているかを示すパラメータであり、大きいほど被研磨物と研磨パッドとの接触面積が大きく、接触面がワークになじみやすくなるため、立ち上がり時間がより短縮される傾向にある。なお、完全に平坦な面の界面の展開面積比(Sdr)は0となる。界面の展開面積比は、ISO25178に準拠して求めることができ、具体的には実施例に記載の方法により求めることができる。界面の展開面積比(Sdr)を上記範囲に調整する方法としては、例えば、接触面をサンドペーパーにより研削処理したり、また、用いるサンドペーパーの粗さを調整したりする方法等が挙げられる。
また、上記と同様の観点から、本実施形態の研磨部のノッチ部と接触する面の最大高さ(Sz)をさらに考慮してもよい。最大高さ(Sz)は、好ましくは500~700μmであり、より好ましくは525~700μmであり、さらに好ましくは550~700μmである。最大高さ(Sz)が500μm以上であることにより、立ち上がり時間がより短縮され、研磨効率が向上するほか、ダミー用ワークの使用数を低減でき製造コストを低減することができる傾向にある。また、最大高さ(Sz)が700μm以下であることにより、得られる被研磨物の品質がより向上する傾向にある。最大高さ(Sz)は、表面の最も高い点から最も低い点までの距離を表すパラメータであり、大きいほど接触面に露出する繊維が長く、接触面がワークになじみやすくなるため、立ち上がり時間がより短縮される傾向にある。最大高さ(Sz)は、ISO25178に準拠して求めることができ、具体的には実施例に記載の方法により求めることができる。最大高さ(Sz)を上記範囲に調整する方法としては、例えば、接触面をサンドペーパーにより研削処理したり、また、用いるサンドペーパーの粗さを調整したりする方法等が挙げられる。
〔樹脂含浸不織布〕
本実施形態の研磨パッドは、不織布と該不織布に含浸した樹脂とを含む樹脂含浸不織布からなる。以下、研磨パッドを構成する樹脂含浸不織布の態様について詳述する。
(不織布)
不織布を構成する繊維としては、特に制限されないが、例えば、ポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系繊維、(メタ)アクリレート等のアクリル系繊維のような合成繊維;綿及び麻のような天然繊維が挙げられる。不織布を構成する繊維は、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。また、異なる繊維からなる不織布を重ねて用いてもよい。織布を得る際に繊維を交絡させる方法としても特に限定されず、例えば、ニードルパンチであってもよく、水流交絡であってもよい。
不織布を構成する繊維の繊度は、好ましくは0.1~10dtexであり、より好ましくは1.1~7.8dtexであり、さらに好ましくは2.2~5.6dtexである。繊度が上記範囲内であることにより、スクラッチの発生が減少するほか、界面の展開面積比や最大高さを上記範囲に調整しやすくなる傾向にある。
不織布を構成する繊維の平均繊維長は、好ましくは20~80mmであり、より好ましくは28~70mmであり、さらに好ましくは32~55mmである。繊維長が上記範囲内であることにより、スクラッチの発生が減少するほか、界面の展開面積比や最大高さを上記範囲に調整しやすくなる傾向にある。
不織布の厚さは、好ましくは2~7mmであり、より好ましくは3~6mmであり、さらに好ましくは4~5mmである。不織布の厚さは研磨対象となるノッチに適するよう適宜調整することができる。
(樹脂)
不織布に含浸させる樹脂としては、特に制限されないが、いわゆる湿式含浸により不織布に含浸できる樹脂(以下、「湿式樹脂」ともいう。)が挙げられる。このような湿式樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等のポリウレタン系樹脂;ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のビニル系樹脂;ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のポリサルホン系樹脂;アセチル化セルロース、ブチリル化セルロース等のアシル化セルロース系樹脂;ポリアミド系樹脂;及びポリスチレン系樹脂が挙げられる。このなかでも、ポリウレタン系樹脂が好ましい。このような樹脂を用いることにより、立ち上がり時間がより短縮され、研磨効率が向上するほか、ダミー用ワークの使用数を低減でき製造コストを低減することができる傾向にある。
ポリウレタン樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。
不織布に含浸させる樹脂の量は、不織布1質量部に対して、好ましくは0.8~2質量部であり、より好ましくは0.9~1.7質量部であり、さらに好ましくは1~1.5質量部である。不織布に含浸させる樹脂の量が上記範囲内であることにより、研磨パッドの硬度がより向上し、それによりライフがより向上する傾向にある。また、不織布と樹脂の割合を調整することにより、研磨パッドの硬度等の物理特性を調整することができる。また、この他、樹脂中からの繊維の露出しやすさを調整することができるため、界面の展開面積比や最大高さを上記範囲に調整しやすくなる傾向にある。
樹脂含浸不織布のショアA硬度は、好ましくは65~95°であり、より好ましくは70~90°であり、さらに好ましくは75~85°である。ショアA硬度が65°以上であることにより、研磨パッドのライフがより向上する傾向にある。また、ショアA硬度が95°以下であることにより、傷の発生を抑制し、得られる被研磨物の品質がより向上する傾向にある。なお、ショアA硬度は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、ショアA硬度は、例えば、用いる樹脂の種類及び付着量により調整することができる。
樹脂含浸不織布の密度は、好ましくは0.30~0.50g/cm3であり、より好ましくは0.35~0.50g/cm3であり、さらに好ましくは0.40~0.45g/cm3である。密度が0.30g/cm3以上であることにより、研磨パッドのライフがより向上する傾向にある。また、密度が0.50g/cm3以下であることにより、傷の発生を抑制し、得られる被研磨物の品質がより向上する傾向にある。なお、密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、密度は、例えば、樹脂の含浸量により調整することができる。
樹脂含浸不織布の圧縮率は、好ましくは0.5~7%であり、より好ましくは0.5~5%であり、さらに好ましくは0.5~3%である。圧縮率が上記範囲内であることにより、ノッチ部との密着性がより良好となるほか、ワークの主面と研磨パッドの主面をほぼ直交するように接触させる研磨工程において研磨パッドの変形がより抑制される傾向にある。なお、圧縮率は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、圧縮率は、上記密度を調整することにより調整することができる。
樹脂含浸不織布の圧縮弾性率は、好ましくは85~98%であり、より好ましくは90~98%であり、さらに好ましくは92~96%である。圧縮弾性率が上記範囲内であることにより、ノッチ部との密着性がより良好となるほか、ワークの主面と研磨パッドの主面をほぼ直交するように接触させる研磨工程において研磨パッドの変形がより抑制される傾向にある。なお、圧縮弾性率は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、圧縮弾性率は、用いる樹脂の種類により調整することができる。
本実施形態の研磨パッドの厚さは、好ましくは2~7mmであり、より好ましくは3~6mmであり、さらに好ましくは4~5mmである。研磨パッドの厚さは研磨対象となるノッチに適するよう適宜調整することができる。
〔研磨パッドの製造方法〕
本実施形態の研磨パッドの製造方法は、不織布に樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行う含浸工程と、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を形成する研磨部形成工程と、を有し、該研磨部形成工程において、前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の展開面積比(Sdr)を1.0~1.2となるように調整する。
〔含浸工程〕
含浸工程は、不織布に樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行う工程である。湿式凝固とは、樹脂溶液を、樹脂に対して貧溶媒である凝固液に浸漬することで樹脂を凝固再生させる方法である。本実施形態のように不織布に樹脂溶液を含浸させた上で湿式凝固を用いる場合、凝固液中では、不織布の繊維に付着している樹脂溶液の表面で樹脂溶液の溶媒と凝固液との置換が進行し、これにより樹脂が繊維の表面に凝固再生される。
樹脂溶液は、樹脂と溶媒を含み、必要に応じて、その他添加剤を含んでいてもよい。樹脂としては上記湿式樹脂として挙げたものを用いることができる。また、溶媒としては、湿式樹脂を溶解可能であり、かつ凝固液に混和するものを用いることができる。このような溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン及びジメチルスルホキシドが挙げられる。
湿式凝固の具体的な方法としては、例えば、樹脂溶液に不織布を十分に浸漬した後、マングルローラ等を用いて余剰な樹脂溶液を不織布から絞り落とすことで樹脂の付着量を調整し、次いで、樹脂溶液を含浸した不織布を樹脂に対する貧溶媒(凝固液)中に浸漬することにより、湿式樹脂を凝固再生させて樹脂含浸不織布を得る。この凝固液としては、例えば、水が挙げられ、必要に応じて、極性溶媒等の有機溶媒などが含まれてもよい。
得られた樹脂含浸不織布は、水等の洗浄液中で洗浄し、不織布中に残存するDMF等の溶媒を除去する洗浄工程や、洗浄後、マングルローラ等を用いて余分な洗浄液を絞り落とし、乾燥させる乾燥工程に供してもよい。
〔研磨部形成工程〕
研磨部形成工程は、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を形成する工程であり、研磨部形成工程において、研磨部のノッチ部と接触する面の展開面積比(Sdr)を1.0~1.2となるように調整する。具体的には、上記乾燥工程を経た樹脂含浸不織布をドーナツ型円盤状に成形した後に、その外周にワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を形成する。研磨部の形成方法としては、例えば、切削及び研磨が挙げられる。その後、研磨部のノッチ部と接触する面の展開面積比(Sdr)を1.0~1.2となるように調整する。調整方法としては、特に制限されないが、例えば、研磨部の表面をサンドペーパーなどにより研削処理する方法が挙げられる。
〔研磨加工品の製造方法〕
本実施形態の研磨加工品の製造方法は、上記研磨パッドを用いて、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨する研磨工程を有する。ワークとしては、ノッチ部を有するものであれば特に制限されない。また、研磨方法としては、図1に示すように、ワークの主面と研磨パッドの主面をほぼ直交するように接触させる方法が挙げられる。また、本実施形態の研磨加工品の製造方法は、上記の研磨工程に加えて、上記の研磨パッド又は別の研磨パッドの主面を接触面として、その研磨パッドを用いてワークの主面を研磨する別の研磨工程を有してもよい。
研磨工程においてはスラリーを用いてもよい。スラリーに含まれる成分としては、例えば、化学機械研磨において用いられる酸化剤、溶媒、研磨粒子(砥粒)が挙げられる。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化水素などが挙げられる。溶媒としては、例えば、水及び有機溶媒が挙げられる。
また、スラリーには、必要に応じて、その他の添加剤が含まれていてもよい。そのような添加剤としては、例えば非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド及びカルボン酸等が挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔界面の展開面積比や最大高さの測定方法〕
図2に示すようにノッチを研磨するための研磨パッドの外周部から接触面(測定面)を含む試料(厚さ約1mm×幅約3mm×長さ約10mm)を切り出して、測定用サンプルとした。なお、測定サンプルのサイズについては、界面の展開面積比や最大高さの測定に適する大きさであれば特に限定されない。また、測定は研磨パッドのエッジ部(外周先端の角部)を除いた測定面で行う。
得られた測定用サンプルの接触面(測定面)における界面の展開面積比や最大高さを、KEYENCE社のレーザー顕微鏡であるVK-X1000(型式名)を用いて下記測定条件で測定した。
(測定条件)
レンズ :X5
測定領域 :2058.635μm×2745.741μm、
測定モード :フォーカスバリエーション
光量 :92
HDR :使用無
照明 :同軸落射+リング照明使用
測定サイズ :標準
測定ピッチ :12μm
解析ソフト :KEYENCE社製 マルチファイル解析アプリケーション
画像処理 :なし
フィルター :ガウシアンフィルター使用、
ローパスフィルター:なし
ハイパスフィルター:なし
形状補正 :なし
終端効果の補正 :ON
測定領域 :(X,Y)=(121,6)~(867,754)矩形領域指定
〔ショアA硬度〕
バネを介して厚さ4.5mm以上の研磨パッドの試験片表面(主面)に押針(測定子)を押し付け30秒後の押針の押し込み深さから、研磨パッドのショアA硬度を測定した。測定装置としては、デュロメータ タイプAを用いた。これを3回行って相加平均からショアA硬度を求めた。具体的には、研磨パッドを10cm×10cmに切り出し、試験片とし、厚さ4.5mm以上になるように複数枚重ねて測定した。なお、研磨パッドのサイズの関係で10cm×10cmの試料片を得ることが困難な場合は採取可能な大きさの試料片を用いて上記方法と同様に測定してもよい。
〔圧縮率〕
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用い、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、研磨パッドの圧縮率を測定した。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終圧力の下で5分間放置後の厚さt1を測定した。これらから、圧縮率を下記式により算出した。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2とした。
圧縮率(%)=(t0-t1)/t0×100
〔圧縮弾性率〕
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、研磨パッドの圧縮弾性率を測定した。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終荷重のもとで5分間放置後の厚さt1を測定した。全ての荷重を除き、1分間放置後、再び初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0’を測定した。これらから、圧縮弾性率を下記式により算出した。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2であった。
圧縮弾性率(%)=(t0’-t1)/(t0-t1)×100
〔厚さ〕
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、研磨パッドの厚さを測定した。具体的には、研磨パッドを10cm×10cmに切り出した試料片3枚用意し、各試料片に、厚さ測定器の所定位置にセットした後、480g/cm2の荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に厚さを測定した。1枚の試料片につき、5箇所の厚さを測定し相加平均を算出し、さらに3枚の試料片の相加平均を求めた。なお、研磨パッドサイズの関係で10cm×10cmの試料片を得ることが困難な場合は研磨パッド内の15箇所の厚さを測定し相加平均を求め研磨パッドの厚さとしてもよい。
〔密度〕
日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、研磨パッドの密度を測定した。具体的には、厚さの測定で用いたものと同様の試料片を用意し、その質量を自動天秤で測定後、下記式により密度を算出し、3枚の試料片の相加平均を求めて研磨パッドの密度とした。なお、研磨パッドサイズの関係で10cm×10cmの試料片を得ることが困難な場合は、採取可能な大きさの試料片を3枚用意し試料の質量と体積から密度を算出し3枚の相加平均を求めて研磨パッドの密度としてもよい。
密度(g/cm3)=質量(g)/(10(cm)×10(cm)×試料片の厚さ(cm))
〔立ち上がり評価〕
使用開始からキズがなく全体的に均一な研磨が出来るようになった状態を立ち上がり状態になったとして、従来品(比較例1)の立ち上がりに要する時間を100としたときの割合で立ち上がり時間を評価した。
参考例1〕
ポリエチレンテレフタレート繊維(繊度3.3dtex、平均繊維長51mm)からな
る不織布を、ポリウレタン系樹脂(100%モジュラス12Mps)とN,N-ジメチル
ホルムアミドとを含む樹脂溶液中に浸漬した。浸漬後、1対のローラ間を加圧可能なマン
グルローラを用いて余剰の樹脂溶液を絞り落とし、不織布に樹脂溶液を略均一に含浸させ
た。次いで、室温の水からなる凝固液中に浸漬することにより、樹脂を凝固再生させて樹
脂含浸不織布を得た。なお、得られた樹脂含侵不織布において、不織布1質量部に対する
樹脂量は1.3質量部であった。
その後、得られた樹脂含浸不織布をドーナツ型円盤状に成形して、外周にはワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を形成した。次いで、研磨部のノッチ部と接触する面をサンドペーパー(#320)で研削処理して、厚さ4.5mm、密度0.43g/cm3の研磨パッドを得た。
参考例2〕
サンドペーパー(#320)に代えて、サンドペーパー(#240)を用いたこと以外
は、参考例1と同様にして、研磨パッドを得た。
参考例3〕
サンドペーパー(#320)に代えて、サンドペーパー(#100)を用いたこと以外
は、参考例1と同様にして、研磨パッドを得た。
参考比較例1〕
サンドペーパー(#320)に代えて、サンドペーパー(#600)を用いたこと以外
は、参考例1と同様にして、研磨パッドを得た。
Figure 0007295624000001
また、研磨パッドのライフについて確認したところ、いずれのパッドも同程度のライフを有していた。
本発明の研磨パッドは、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨パッドとして、産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. 不織布と該不織布に含浸した樹脂とを含む樹脂含浸不織布からなるドーナツ型円盤状の研磨パッドであって、
    ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を前記円盤の外周に有し、
    前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の最大高さ(Sz)が、500~700μmである、
    研磨パッド。
  2. 前記樹脂含浸不織布のA硬度が、70~90°である、
    請求項に記載の研磨パッド。
  3. 前記樹脂含浸不織布の密度が、0.30~0.50g/cm3である、
    請求項1又は2に記載の研磨パッド。
  4. 前記樹脂がポリウレタン系樹脂を含む、
    請求項1~のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  5. 不織布に樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行う含浸工程と、
    ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を形成する研磨部形成工程と、を有し、
    該研磨部形成工程において、前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の最大高さ(Sz)が、500~700μmとなるように調整する、
    研磨パッドの製造方法。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載の研磨パッドを用いて、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨する研磨工程を有する、
    研磨加工品の製造方法。
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