JP7295624B2 - 研磨パッド及びその製造方法、並びに研磨加工品の製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕
不織布と該不織布に含浸した樹脂とを含む樹脂含浸不織布からなるドーナツ型円盤状の研磨パッドであって、
ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を前記円盤の外周に有し、
前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の界面の展開面積比(Sdr)が1.0~1.2である、
研磨パッド。
〔2〕
前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の最大高さ(Sz)が、500~700μmである、
請求項1に記載の研磨パッド。
〔3〕
前記樹脂含浸不織布のショアA硬度が、70~90°である、
請求項1又は2に記載の研磨パッド。
〔4〕
前記樹脂含浸不織布の密度が、0.30~0.50g/cm3である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の研磨パッド。
〔5〕
前記樹脂がポリウレタン系樹脂を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の研磨パッド。
〔6〕
不織布に樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行う含浸工程と、
ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を形成する研磨部形成工程と、を有し、
該研磨部形成工程において、前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の展開面積比(Sdr)を1.0~1.2となるように調整する、
研磨パッドの製造方法。
〔7〕
請求項1~5のいずれか一項に記載の研磨パッドを用いて、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨する研磨工程を有する、
研磨加工品の製造方法。
本実施形態の研磨パッドは、不織布と該不織布に含浸した樹脂とを含む樹脂含浸不織布からなるドーナツ型円盤状の研磨パッドであって、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を前記円盤の外周に有し、前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の界面の展開面積比(Sdr)が1.0~1.2である。研磨パッドの形状である「ドーナツ型円盤状」とは、略円盤状の形状の中心付近に、その円盤状の厚さ方向に貫通する孔を有する形状を意味する。
本実施形態の研磨パッドは、不織布と該不織布に含浸した樹脂とを含む樹脂含浸不織布からなる。以下、研磨パッドを構成する樹脂含浸不織布の態様について詳述する。
不織布を構成する繊維としては、特に制限されないが、例えば、ポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系繊維、(メタ)アクリレート等のアクリル系繊維のような合成繊維;綿及び麻のような天然繊維が挙げられる。不織布を構成する繊維は、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。また、異なる繊維からなる不織布を重ねて用いてもよい。織布を得る際に繊維を交絡させる方法としても特に限定されず、例えば、ニードルパンチであってもよく、水流交絡であってもよい。
不織布に含浸させる樹脂としては、特に制限されないが、いわゆる湿式含浸により不織布に含浸できる樹脂(以下、「湿式樹脂」ともいう。)が挙げられる。このような湿式樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等のポリウレタン系樹脂;ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のビニル系樹脂;ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のポリサルホン系樹脂;アセチル化セルロース、ブチリル化セルロース等のアシル化セルロース系樹脂;ポリアミド系樹脂;及びポリスチレン系樹脂が挙げられる。このなかでも、ポリウレタン系樹脂が好ましい。このような樹脂を用いることにより、立ち上がり時間がより短縮され、研磨効率が向上するほか、ダミー用ワークの使用数を低減でき製造コストを低減することができる傾向にある。
本実施形態の研磨パッドの製造方法は、不織布に樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行う含浸工程と、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を形成する研磨部形成工程と、を有し、該研磨部形成工程において、前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の展開面積比(Sdr)を1.0~1.2となるように調整する。
含浸工程は、不織布に樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行う工程である。湿式凝固とは、樹脂溶液を、樹脂に対して貧溶媒である凝固液に浸漬することで樹脂を凝固再生させる方法である。本実施形態のように不織布に樹脂溶液を含浸させた上で湿式凝固を用いる場合、凝固液中では、不織布の繊維に付着している樹脂溶液の表面で樹脂溶液の溶媒と凝固液との置換が進行し、これにより樹脂が繊維の表面に凝固再生される。
研磨部形成工程は、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を形成する工程であり、研磨部形成工程において、研磨部のノッチ部と接触する面の展開面積比(Sdr)を1.0~1.2となるように調整する。具体的には、上記乾燥工程を経た樹脂含浸不織布をドーナツ型円盤状に成形した後に、その外周にワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を形成する。研磨部の形成方法としては、例えば、切削及び研磨が挙げられる。その後、研磨部のノッチ部と接触する面の展開面積比(Sdr)を1.0~1.2となるように調整する。調整方法としては、特に制限されないが、例えば、研磨部の表面をサンドペーパーなどにより研削処理する方法が挙げられる。
本実施形態の研磨加工品の製造方法は、上記研磨パッドを用いて、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨する研磨工程を有する。ワークとしては、ノッチ部を有するものであれば特に制限されない。また、研磨方法としては、図1に示すように、ワークの主面と研磨パッドの主面をほぼ直交するように接触させる方法が挙げられる。また、本実施形態の研磨加工品の製造方法は、上記の研磨工程に加えて、上記の研磨パッド又は別の研磨パッドの主面を接触面として、その研磨パッドを用いてワークの主面を研磨する別の研磨工程を有してもよい。
図2に示すようにノッチを研磨するための研磨パッドの外周部から接触面(測定面)を含む試料(厚さ約1mm×幅約3mm×長さ約10mm)を切り出して、測定用サンプルとした。なお、測定サンプルのサイズについては、界面の展開面積比や最大高さの測定に適する大きさであれば特に限定されない。また、測定は研磨パッドのエッジ部(外周先端の角部)を除いた測定面で行う。
(測定条件)
レンズ :X5
測定領域 :2058.635μm×2745.741μm、
測定モード :フォーカスバリエーション
光量 :92
HDR :使用無
照明 :同軸落射+リング照明使用
測定サイズ :標準
測定ピッチ :12μm
解析ソフト :KEYENCE社製 マルチファイル解析アプリケーション
画像処理 :なし
フィルター :ガウシアンフィルター使用、
ローパスフィルター:なし
ハイパスフィルター:なし
形状補正 :なし
終端効果の補正 :ON
測定領域 :(X,Y)=(121,6)~(867,754)矩形領域指定
バネを介して厚さ4.5mm以上の研磨パッドの試験片表面(主面)に押針(測定子)を押し付け30秒後の押針の押し込み深さから、研磨パッドのショアA硬度を測定した。測定装置としては、デュロメータ タイプAを用いた。これを3回行って相加平均からショアA硬度を求めた。具体的には、研磨パッドを10cm×10cmに切り出し、試験片とし、厚さ4.5mm以上になるように複数枚重ねて測定した。なお、研磨パッドのサイズの関係で10cm×10cmの試料片を得ることが困難な場合は採取可能な大きさの試料片を用いて上記方法と同様に測定してもよい。
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用い、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、研磨パッドの圧縮率を測定した。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終圧力の下で5分間放置後の厚さt1を測定した。これらから、圧縮率を下記式により算出した。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2とした。
圧縮率(%)=(t0-t1)/t0×100
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、研磨パッドの圧縮弾性率を測定した。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終荷重のもとで5分間放置後の厚さt1を測定した。全ての荷重を除き、1分間放置後、再び初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0’を測定した。これらから、圧縮弾性率を下記式により算出した。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2であった。
圧縮弾性率(%)=(t0’-t1)/(t0-t1)×100
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、研磨パッドの厚さを測定した。具体的には、研磨パッドを10cm×10cmに切り出した試料片3枚用意し、各試料片に、厚さ測定器の所定位置にセットした後、480g/cm2の荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に厚さを測定した。1枚の試料片につき、5箇所の厚さを測定し相加平均を算出し、さらに3枚の試料片の相加平均を求めた。なお、研磨パッドサイズの関係で10cm×10cmの試料片を得ることが困難な場合は研磨パッド内の15箇所の厚さを測定し相加平均を求め研磨パッドの厚さとしてもよい。
日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、研磨パッドの密度を測定した。具体的には、厚さの測定で用いたものと同様の試料片を用意し、その質量を自動天秤で測定後、下記式により密度を算出し、3枚の試料片の相加平均を求めて研磨パッドの密度とした。なお、研磨パッドサイズの関係で10cm×10cmの試料片を得ることが困難な場合は、採取可能な大きさの試料片を3枚用意し試料の質量と体積から密度を算出し3枚の相加平均を求めて研磨パッドの密度としてもよい。
密度(g/cm3)=質量(g)/(10(cm)×10(cm)×試料片の厚さ(cm))
使用開始からキズがなく全体的に均一な研磨が出来るようになった状態を立ち上がり状態になったとして、従来品(比較例1)の立ち上がりに要する時間を100としたときの割合で立ち上がり時間を評価した。
ポリエチレンテレフタレート繊維(繊度3.3dtex、平均繊維長51mm)からな
る不織布を、ポリウレタン系樹脂(100%モジュラス12Mps)とN,N-ジメチル
ホルムアミドとを含む樹脂溶液中に浸漬した。浸漬後、1対のローラ間を加圧可能なマン
グルローラを用いて余剰の樹脂溶液を絞り落とし、不織布に樹脂溶液を略均一に含浸させ
た。次いで、室温の水からなる凝固液中に浸漬することにより、樹脂を凝固再生させて樹
脂含浸不織布を得た。なお、得られた樹脂含侵不織布において、不織布1質量部に対する
樹脂量は1.3質量部であった。
サンドペーパー(#320)に代えて、サンドペーパー(#240)を用いたこと以外
は、参考例1と同様にして、研磨パッドを得た。
サンドペーパー(#320)に代えて、サンドペーパー(#100)を用いたこと以外
は、参考例1と同様にして、研磨パッドを得た。
サンドペーパー(#320)に代えて、サンドペーパー(#600)を用いたこと以外
は、参考例1と同様にして、研磨パッドを得た。
Claims (6)
- 不織布と該不織布に含浸した樹脂とを含む樹脂含浸不織布からなるドーナツ型円盤状の研磨パッドであって、
ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を前記円盤の外周に有し、
前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の最大高さ(Sz)が、500~700μmである、
研磨パッド。 - 前記樹脂含浸不織布のA硬度が、70~90°である、
請求項1に記載の研磨パッド。 - 前記樹脂含浸不織布の密度が、0.30~0.50g/cm3である、
請求項1又は2に記載の研磨パッド。 - 前記樹脂がポリウレタン系樹脂を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の研磨パッド。 - 不織布に樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行う含浸工程と、
ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨するための研磨部を形成する研磨部形成工程と、を有し、
該研磨部形成工程において、前記研磨部の前記ノッチ部と接触する面の最大高さ(Sz)が、500~700μmとなるように調整する、
研磨パッドの製造方法。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の研磨パッドを用いて、ワークの外周縁部に形成されたノッチ部を研磨する研磨工程を有する、
研磨加工品の製造方法。
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