JP2020015142A - 研磨パッド - Google Patents

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Abstract

【課題】センターファーストやセンタースローなどの研磨における研磨ムラを抑制し、優れた平坦性を付与できる研磨パッドを提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂を含み、かつ、円形状の研磨面を有する研磨パッドであって、前記研磨面が、中心から外周縁E1に向かう方向に、第1領域A11、第2領域A12及び第3領域A13をこの順に同心円状に有し、前記第2領域A12における研磨面が、前記第1領域A11及び前記第3領域A13における研磨面に対して、前記研磨パッドの厚み方向に凹んでいる、又は、突出しており、前記第2領域A12における研磨面と、前記第1領域A11及び前記第3領域A13における研磨面との高さの差が、50〜200μmである、研磨パッド。【選択図】図2

Description

本発明は、研磨パッドに関する。
半導体デバイスの製造においては、半導体ウエハの表面に優れた平坦性を付与するために研磨が行われる。かかる研磨の方法として、化学機械研磨(CMP)が広く用いられている。CMPでは、研磨パッドと半導体ウエハの被研磨面とを摺動させながら、研磨パッドの表面に必要に応じて砥粒成分と酸化剤、キレート剤、酸性又はアルカリ性等の化学成分を含む研磨液を流下させつつ、研磨を行う。
半導体ウエハを研磨する場合、研磨装置の特性や研磨パッドと被研磨物のサイズの相対的関係等により、被研磨物の中心部が過剰に研磨されるセンターファーストといった現象や、逆に当該中心部が研磨不足となるセンタースローといった現象が生じ、これらは研磨後の半導体ウエハの平坦性(以下、単に「平坦性」ともいう。)を損なう原因となっている。かかる観点から、平坦性向上を目的として、特許文献1では、凹状である研磨面を含む研磨パッド構成体が提案されている。
特開2017−209772号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、研磨パッドを定盤に貼り付けた後、所望とされる表面加工を行うものとされている。そのため、特許文献1に記載の技術によれば、精密に制御可能な研削装置が必要になり、弾性を有する研磨パッドの研磨面の形状出しのための整形処理に時間がかかり正確な形状出しがより困難となる傾向にあるといえる。また、特許文献1に記載の研磨パッドにより研磨を行う場合、被研磨物と研磨パッドとを互いに押しつけるようにしながら研磨するため、被研磨物を研磨パッド全体の面方向(言い換えれば、厚み方向に直交する方向)に水平に接触できず、上記面方向に対して傾斜を伴うこととなる(図1参照)。すなわち、被研磨物と研磨パッドが水平に接触しない状態での研磨となり、研磨パッドと被研磨物とを所望の通りに接触させるのが困難である。その結果、特許文献1に記載の技術では平坦不良が生じやすく、十分な平坦性を得ることができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、センターファースト又はセンタースローなどの研磨の過不足(研磨ムラ)を抑制し、被研磨物と研磨パッドが水平に接触でき、優れた平坦性を付与できる研磨パッドを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の構成を有する研磨パッドが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
熱可塑性樹脂を含み、かつ、円形状の研磨面を有する研磨パッドであって、
前記研磨面が、中心から外周縁に向かう方向に、第1領域、第2領域及び第3領域をこの順に同心円状に有し、
前記第2領域における研磨面が、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面に対して、前記研磨パッドの厚み方向に凹んでいる、又は、突出しており、
前記第2領域における研磨面と、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面との高さの差が、50〜200μmである、研磨パッド。
[2]
圧縮率が、4.5%以下である、[1]に記載の研磨パッド。
[3]
前記第2領域が、エンボス加工部であり、前記第1領域及び前記第3領域が、非エンボス加工部である、[1]又は[2]に記載の研磨パッド。
[4]
前記第2領域が、非エンボス加工部であり、前記第1領域及び前記第3領域が、エンボス加工部である、[1]又は[2]に記載の研磨パッド。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法であって、
熱可塑性樹脂を含むシートの一つの面に対してエンボス加工を施すことにより、前記研磨パッドの研磨面を形成する工程を有する、研磨パッドの製造方法。
[6]
[1]〜[4]のいずれかに記載の研磨パッドを用いた半導体ウエハの研磨方法であって、
前記研磨パッドが有する円形状の研磨面の中心から外周縁に向かう方向に同心円状に順に位置する第1領域、第2領域及び第3領域のうち前記第2領域上に、前記半導体ウエハの中心点を配し、かつ、前記第1領域、前記第3領域及び前記中心上に前記半導体ウエハの少なくとも一部を配して、研磨を行う、研磨方法。
[7]
前記研磨パッドの研磨面の反対面が平坦な状態で前記研磨を行う、[6]に記載の研磨方法。
本発明によれば、研磨におけるセンターファースト又はセンタースローなどの研磨ムラを抑制し、被研磨物と研磨パッドが水平に接触でき、優れた平坦性を付与できる研磨パッドを提供することができる。
特許文献1の研磨パッド構成体と被研磨物の位置関係の典型例を模式的に示す断面図である。 図2(A)は、本発明の一実施形態に係る研磨パッドの研磨面の一例を上面視にて模式的に示す平面図である。図2(B)は、図2(A)のX1−X1’断面を示す断面図である。 図3(A)は、図2に示す研磨パッドと被研磨物の位置関係の一例を模式的に示す説明図である。図3(B)は、図3(A)のY1−Y1’断面を示す断面図である。 図4(A)は、本発明の他の実施形態に係る研磨パッドの研磨面の一例を上面視にて模式的に示す平面図である。図4(B)は、図4(A)のX2−X2’断面を示す断面図である。 図5(A)は、図4に示す研磨パッドと被研磨物の位置関係の一例を模式的に示す説明図である。図5(B)は、図5(A)のY2−Y2’断面を示す断面図である。 図6(A)は、第1領域、第2領域及び第3領域に溝部を有する研磨パッドの一例を模式的に示す平面図である。図6(B)は、図6(A)のZ−Z’断面を示す断面図である(断面図の溝部は省略)。 研磨パッドの直径方向における第2領域の研磨面の断面が台形状となっている態様の一例を模式的に示す断面図である。 図5に例示する研磨パッドの研磨面に更に凹部を形成した研磨パッドの研磨面を上面視にて示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る研磨方法を実施することで研磨パッドが摩耗する場合の典型例を模式的に示す説明図である。 図9に示す研磨方法とは異なる方法にて研磨を実施することで研磨パッドが摩耗する場合の典型例を模式的に示す説明図である。 比較例1の研磨パッドの研磨面を上面視にて示す平面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態のみに限定されない。
[研磨パッド]
本実施形態の研磨パッドは、熱可塑性樹脂を含み、かつ、円形状の研磨面を有する研磨パッドであって、前記研磨面が、中心から外周縁に向かう方向に、第1領域、第2領域及び第3領域をこの順に同心円状に有し、第2領域における研磨面が、第1領域及び第3領域における研磨面に対して、前記研磨パッドの厚み方向に凹んでいる、又は、突出している。すなわち、i)センターファーストとなる傾向の研磨装置(機構)に適用する場合は、第2領域における研磨面が、第1領域及び第3領域における研磨面よりも凹んでいる。この態様に係る研磨パッドを、以下では単に「第1の研磨パッド」ともいう。逆に、ii)センタースローとなる傾向の研磨装置(機構)に適用する場合は、第2領域における研磨面が、第1領域及び第3領域における研磨面よりも突出している。この態様に係る研磨パッドを、以下では単に「第2の研磨パッド」ともいう。なお、第1の研磨パッドと第2の研磨パッドとを総称して、以下では単に「本実施形態の研磨パッド」ともいう。
さらに、本実施形態の研磨パッドにおいて、前記第2領域における研磨面と、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面との高さの差が、50〜200μmである。
上記のように構成されているため、第1の研磨パッドによれば被研磨物の中央領域における過剰な研磨(センターファースト)を防止でき、第2の研磨パッドによれば、被研磨物の中央領域における研磨不足(センタースロー)を防止できる。すなわち、本実施形態の研磨パッドは、研磨における研磨ムラを抑制し、優れた平坦性を付与できる。本実施形態の研磨パッドは、特にレンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料、ハードディスク用基板、半導体用シリコンウェハ、液晶ディスプレイ用ガラス基板、サファイヤや窒化ガリウムを始めとする難削材等の研磨に好ましく用いられる。本実施形態の研磨パッドは、特に集積回路が実装された半導体デバイスの裏面研磨において、研磨パッドの直径が被研磨物の直径より大きく2倍以内となる場合は特に平坦性を改善できることから、より好ましく用いることができる。
第1の研磨パッドの構成及びこれを用いた研磨について、図2の例示に基づいて説明するが、かかる構成や研磨については、以下に限定されるものではない。図2(A)は、第1の研磨パッド10の研磨面の一例を上面視にて模式的に示す平面図であり、図2(B)は、図2(A)のX1−X1’断面を示す断面図である。図2(A)に示されているように、研磨面の中心C1から外周縁E1に向かう方向に、第1領域A11、第2領域A12及び第3領域A13が配される。これらの領域は、いずれも、中心C1を持つ同心円で分画される領域であり、すなわち、同心円状に配されている。また、図2(B)に示されているように、第2領域A12における研磨面は、第1領域A11及び第3領域A13における研磨面よりも凹んでいる。かかる研磨パッド10を用いて研磨を行う場合の説明図を図3に示す。図3(A)に示されているように、研磨パッド10の研磨面上に円形状の被研磨物12が配置され、研磨パッド10はその研磨面の中心C1を軸として、被研磨物12の中心点は研磨パッド10の第2領域に配されており、その被研磨面の中心点を軸として、それぞれ自転することで研磨が行われる。すなわち、研磨時において、被研磨物12は自転しており、さらに、研磨パッド10の外周縁E1で囲まれる領域内を当該外周縁E1から被研磨物12の軌跡がはみ出さないように一定距離を往復しながら摺動してもよい。なお、図3(B)では、研磨パッド10に被研磨物12を載置した際の位置関係を説明する便宜上、被研磨物12と第2領域A12が接触しないものとして図示されている。ただし、研磨パッド10は熱可塑性樹脂から構成され、柔軟な材質である。よって、実際の研磨時において、研磨パッド10が被研磨物12からの押圧を受けることによってその第1領域A11及び第3領域A13が圧縮する結果、被研磨物12は第2領域A12にも接触する。すなわち、研磨時において、被研磨物12は第1領域A11、第2領域A12及び第3領域A13と接触することになる。被研磨物12において、第2領域A12と接触する部分よりも第1領域A11及び第3領域A13と接触する部分の方が高い圧力で研磨される。このように構成されるため、第2領域における研磨レート(研磨速度)が低下するとともに第1領域A11及び第3領域A13における研磨レート(研磨速度)が高まり、被研磨物12の中央領域が過剰に研磨されるセンターファーストを防止することができる。
また、第1領域A11及び第3領域A13と第2領域A12の位置(高さ)関係が第1の研磨パッドとは逆の場合、すなわち、第2の研磨パッドとする場合は、当該中心部が研磨不足となるセンタースローを防止することができる。第2の研磨パッドの構成及びこれを用いた研磨について、図4の例示に基づいて説明するが、かかる構成や研磨については、以下に限定されるものではない。図4(A)は、第2の研磨パッド20の研磨面の一例を上面視にて模式的に示す平面図であり、図4(B)は、図4(A)のX2−X2’断面を示す断面図である。図4(A)に示されているように、研磨面の中心C2から外周縁E2に向かう方向に、第1領域A21、第2領域A22及び第3領域A23が配される。これらの領域は、いずれも、中心C2を持つ同心円で分画される領域であり、すなわち、同心円状に配されている。また、図4(B)に示されているように、第2領域A22における研磨面は、第1領域A21及び第3領域A23における研磨面よりも突出している。かかる研磨パッド20と被研磨物12との位置関係の説明図を図5に示す。図5(A)に示されているように、研磨パッド20の研磨面上に円形状の被研磨物12が配置され、研磨パッド20はその研磨面の中心C2を軸として、被研磨物12の中心点は研磨パッド20の第2領域に配されており、その被研磨面の中心点を軸として、それぞれ自転することで研磨が行われる。すなわち、研磨時において、被研磨物12は自転しており、さらに、研磨パッド20の外周縁E2で囲まれる領域内を当該外周縁E2から被研磨物12の軌跡がはみ出さないように一定距離を往復しながら摺動してもよい。なお、図5(B)では、研磨パッド20に被研磨物12を載置した際の位置関係を説明する便宜上、被研磨物12と第1領域A21及び第3領域A23が接触しないものとして図示されている。ただし、研磨パッド20は熱可塑性樹脂から構成され、柔軟な材質である。よって、実際の研磨時において、研磨パッド20が被研磨物12からの押圧を受けることによってその第2領域A22が圧縮する結果、被研磨物12は第1領域A21及び第3領域A23にも接触する。すなわち、研磨時において、被研磨物12は第1領域A21、第2領域A22及び第3領域A23と接触することになる。被研磨物12において、第1領域A21及び第3領域A23と接触する部分よりも第2領域A22と接触する部分の方が高い圧力で研磨される。このように構成されるため、第2領域における研磨レート(研磨速度)が高まり、被研磨物12の中央領域が研磨不足となる不具合(センタースロー)を防止することができる。
図3(A)に示すような研磨パッドと被研磨物との位置関係で、研磨パッドに凹みがないと、研磨パッドと被研磨物が、互いに同一回転方向に自転する場合はセンターファーストになる傾向にあり、研磨パッドと被研磨物が互いに逆の回転方向に自転する場合はセンタースローになる傾向にある。本実施形態の研磨パッドは、このようなセンターファースト/センタースローを改善することができる。なお、センターファースト/センタースローの改善については、後述する実施例に記載の方法(研磨レート均一性)に基づいて評価することができる。すなわち、研磨レート均一性が良化し、その値が小さくなると、面内の研磨レートのバラツキが小さくなり、センターファーストやセンタースローが改善される。
本実施形態の研磨パッドは、円形状の研磨面を有する。すなわち、本実施形態における研磨面は、真円に限定されず、楕円形状であってもよい。
上述した構成が確保される限り、本実施形態の研磨パッドにおける第1領域、第2領域及び第3領域は、それぞれ、さらに研磨面の異なる複数の領域に分割されてもよい。
第1の研磨パッド10において、第2領域A12の研磨面は、第1領域A11及び第3領域A13における研磨面よりも凹んでいるが、第2領域A12(凹み部分)における研磨面と、第1領域A11及び第3領域A13における研磨面との高さの差は、50μm〜200μmとなる。上記高さの差は、研磨パッドの研磨面とは反対側の面(裏面)を基準とした高さの差であり、低い側の領域の研磨面において複数個所(ただし、後述する溝部を除く。)の平均値と、高い側の領域の研磨面において複数個所の平均値との高さの差を意味する。
上記高さの差が50μm以上であることにより、第2領域にかかる研磨圧力を第1領域及び第3領域と比して十分に小さくでき、センターファーストの改善効果を十分に確保できる。また、上記高さの差が200μm以下であることにより、第2領域への研磨圧力が弱くなりすぎるといった問題を防止できる。すなわち、上記高さの差が50μm未満である場合、第2領域にかかる研磨圧力を第1領域及び第3領域と比して小さくすることができず、センターファーストの改善効果の確保が困難となり、また、200μmを超える場合、第2領域への研磨圧力が弱くなりすぎる等の問題が顕在化する。
第2の研磨パッド20において、第2領域A22の研磨面は、第1領域A21及び第3領域A23における研磨面よりも突出しているが、第2領域A22(突出部分)における研磨面と、第1領域A21及び第3領域A23における研磨面との高さの差は、50μm〜200μmとなる。上記高さの差は、第1の研磨パッドについて説明したものと同義である。
上記高さの差が50μm以上であることにより、第1領域及び第3領域にかかる研磨圧力を第2領域と比して十分に小さくでき、センタースローの改善効果を十分に確保できる。また、上記高さの差が200μm以下であることにより、第1領域及び第3領域への研磨圧力が弱くなりすぎるといった問題を防止できる。すなわち、上記高さの差が50μm未満である場合、第1領域及び第3領域にかかる研磨圧力を第2領域と比して十分に小さくすることができず、センタースローの改善効果の確保が困難となり、また、200μmを超える場合、第1領域及び第3領域への研磨圧力が弱くなりすぎる等の問題が顕在化する。
本実施形態の研磨パッドにおいて、第2領域の研磨面から第1領域の研磨面までの高さの差と第2領域の研磨面から第3領域の研磨面までの高さの差は同一であることが好ましいが、必ずしも同一である必要はなく、例えば、±30μm程度異なっていてもよい。この場合、第1領域及び第3領域の複数個所の研磨面の高さの平均値と、第2領域の複数の研磨面の高さの平均値の差に基づいて、第2領域における研磨面と、第1領域及び第3領域における研磨面との高さの差を決定する。
本実施形態の研磨パッドにおける研磨面は、図6(A)に示すように、第1領域A31、第2領域A32及び第3領域A33において、格子状のパターンに形成された溝部D31を有することが好ましい。なお、図6(B)に示す図6(A)のZ−Z’断面図において、溝部は省略されている。ここでいう溝部とは、幅5.0mm未満のものをいう。溝部を有する場合、研磨スラリーの循環性がより向上する傾向にある。図6(A)に示す例では、格子状のパターンに配される複数の溝部を示しているが、このようなパターンに限定されない。溝部がとり得るパターンとしては、以下に限定されないが、例えば、放射状、同心円状及び渦巻状、並びにこれらのうち2種以上の組み合わせであってもよい。
本実施形態の研磨パッドにおける上記溝部の各寸法については、特に限定されないが、研磨パッドの厚さの10〜90%の深さを有するものであることが好ましい。例えば格子状のパターンに形成された溝部の寸法の好ましい例を挙げると、ピッチ(隣り合う溝部の幅方向における中心間の距離)として2〜50mmであることが好ましく、幅として0.1〜3.0mmであることが好ましく、深さとして第1又は第3領域の研磨面から0.3〜2.7mmであることが好ましい。
本実施形態の研磨パッドにおける研磨面は、図2(B)や図4(B)に示すように、研磨面の直径方向の断面を観察したとき、当該断面がコの字形状を有するものであってもよいが、その断面形状は特に限定されず、円弧状であってもよく、略U字形状、略V字形状、略台形状及びその他の多角形状であってもよく、これら2種以上の形状の組み合わせであってもよい。平坦性向上の観点から、図7に示すように、研磨パッドの直径方向における断面において台形状であることが好ましい。図7に示すように、断面台形状の形状は、第1の研磨パッドにおいて、第2領域A72に対応する研磨面の位置に観察されるものである。
本実施形態の研磨パッドにおける研磨面の面積に対する、前記第1領域、第2領域及び第3領域の面積比は、被研磨物の被研磨面をより均一に研磨する観点から、それぞれ、1〜20%、20〜60%及び30〜79%であることが好ましく、2〜10%、25〜55%及び35〜73%であることがより好ましい。ここで、研磨面の面積は第1領域、第2領域及び第3領域の面積の合計値である。なお、上記の各面積は、研磨パッドを上面視して特定される面積である。
本実施形態の研磨パッドの構成としては、特に限定されず、例えば、不織布樹脂含浸タイプ、湿式成膜によるスエードタイプ、発泡ポリウレタン等で構成されるシート状物が挙げられる。好ましくは、厚さ及び圧縮率の調整の容易性や後加工の容易性等から不織布樹脂含浸タイプである。なお、本実施形態の研磨パッドに用いる樹脂は、エンボス加工の観点から、熱可塑性樹脂を含むものである。
本実施形態の研磨パッドの圧縮率は、被研磨物の平坦性向上のため、被研磨物(以下、単に「ワーク」ともいう。)との良好な密着性を確保する観点及び研磨パッドの変形防止及び研磨面への平坦性確保の観点から、4.5%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%〜4.5%であり、さらに好ましくは2%〜4.5%であり、さらにまた好ましくは3%〜4.5%である。本実施形態の研磨パッドにおける第1領域、第2領域及び第3領域を形成する際、後述するように、エンボス加工により好ましく形成できる他、研磨定盤上にスペーサー等を設けることでも形成できる。研磨パッドの圧縮率が4.5%以下の場合、スペーサーを使用すると研磨パッドの追従性が低下するため、当該研磨パッドが研磨定盤から剥離しやすくなり、結果として研磨ムラにつながる傾向にある。そのため、研磨パッドの圧縮率が4.5%以下の場合は、とりわけエンボス加工により第1領域、第2領域及び第3領域を形成することが好ましい。
圧縮率は日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて求められる。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終圧力の下で5分間放置後の厚さt1を測定する。これらから、圧縮率を下記式により算出する。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2とする。
圧縮率(%)=(t0−t1)/t0×100
圧縮率は、例えば、後述の好ましい製造方法において、得られる研磨パッドの密度が低くなるように調整することにより、高くなる傾向にある。
本実施形態の研磨パッドの圧縮弾性率は、ワークとの良好な密着性を確保する観点及び研磨パッドの変形防止の観点から、50%〜98%であると好ましく、60%〜95%であるとより好ましい。圧縮弾性率は、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠し、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることができる。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終荷重を30秒間かけた後の厚さt1を測定する。次に、厚さt1の状態から全ての荷重を除き、5分間放置(無荷重状態とした)後、再び初荷重を30秒間かけた後の厚さt0’を測定する。これらから、圧縮弾性率を下記式により算出する。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2とする。
圧縮弾性率(%)=100×(t0’−t1)/(t0−t1
圧縮弾性率は、例えば、後述の好ましい製造方法において、樹脂の含有率を高くすることにより、高くなる傾向にある。
本実施形態の研磨パッドのショアA硬度(以下、「A硬度」という。)は、特に限定されないが、ワークとの良好な密着性を確保する観点及び研磨パッドの変形防止の観点及び被研磨物の端部形状を安定させる(面ダレを防ぐ)ことから、50°〜90°であると好ましく、60°〜85°であるとより好ましい。A硬度は、バネを介して厚さ4.5mm以上の試験片(研磨パッドが4.5mm未満の厚さである場合は、厚さが4.5mm以上になるまで研磨パッドを重ねて試験片を得る。)表面に押針(測定子)を押し付け30秒後の押針の押し込み深さから求められる。これを3回行って相加平均からA硬度が求められる。A硬度は、例えば、後述の好ましい製造方法において、樹脂の含有率を高くすることにより、高くなる傾向にある。
本実施形態の研磨パッドの密度は、研磨パッドの永久歪みを抑制する観点、ワークとの接触面積の増大による作用点の圧力低下を抑制する観点、及びスラリー保持性を高める観点から、0.35〜0.60であると好ましく、0.35〜0.50であるとより好ましい。密度は、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、次のとおりに測定することができる。すなわち、2cm×2cm角に切り抜いて得た試料片10枚を用意し、その質量を自動天秤で測定後、下記式により密度を算出し、10枚の試料片の相加平均を求めて研磨パッドの密度とする。
密度(g/cm3)=質量(g)/(2(cm)×2(cm)×試料片の厚さ(cm))
密度は、例えば、後述の好ましい製造方法において、不織布に対する樹脂の含有率を高くすることにより、高くなる傾向にある。
本実施形態の研磨パッドに用いうる不織布は、特に限定されるものではなく、種々公知のものを採用できる。上記不織布に用いる繊維の例としては、ポリアミド系、ポリエステル系等の繊維を挙げることができる。また、不織布を得る際に繊維を交絡させる方法としても特に限定されず、例えば、ニードルパンチであってもよく、水流交絡であってもよい。不織布は上述した中から1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本実施形態の研磨パッドに用いうる不織布の厚さは、特に限定されないが、研磨パッドの生産性の観点から、1〜5mmとすることが好ましい。
本実施形態の研磨パッドに用いうる不織布の繊度は、特に限定されないが、含浸工程の安定性及び研磨時のスクラッチ発生減少の観点から、1.1〜7.7dtexであると好ましい。
本実施形態の研磨パッドに用いうる不織布の目付けは、特に限定されないが、研磨パッド密度や不織布と樹脂の比率の観点から、200〜1000g/m2であると好ましい。
本実施形態の研磨パッドに用いる樹脂は、熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、従来公知のものであってもよい。本実施形態においては、上記樹脂が、熱可塑性樹脂である第1の樹脂のみでもよいが、第1の樹脂とは異なる第2の樹脂とを含んでもよい。
上記第1の樹脂としては、いわゆる湿式含浸により不織布に含浸できるものであれば特に限定されず、種々公知のものを適用できる。そのような樹脂(以下、単に「湿式樹脂」ともいう。)の例としては、以下に限定されないが、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等のポリウレタン系、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のビニル系、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のポリサルホン系、アセチル化セルロース、ブチリル化セルロース等のアシル化セルロース系、ポリアミド系及びポリスチレン系が挙げられる。ポリウレタン樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。樹脂の100%モジュラスは、5MPa〜50MPaであると好ましく、10MPa〜30MPaであるとより好ましい。樹脂の100%モジュラスは、その樹脂からなるシートを100%伸ばしたとき、すなわち元の長さの2倍に伸ばしたとき、に掛かる張力を単位面積で割った値である。
また、本実施形態において、上記第2の樹脂として、いわゆる乾式含浸により不織布に含浸できる樹脂(以下、単に「乾式樹脂」ともいう。)を用いてもよい。乾式樹脂としては、特に限定されず、種々公知のものを適用できる。乾式樹脂は、例えば、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、硬化剤であるアミン化合物及び/又は多価アルコール化合物と、それらを溶解可能な溶媒とを含む溶液を用い、乾式法によって得ることができる。ここで、ウレタンプレポリマーとしては特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとプレンツカテコールとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、及びイソシアヌル酸とヘキサメチレンジイソシアネートとの付加物が挙げられる。また、硬化剤のうち、アミン化合物としては、例えば、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4−メチル−2,6−ビス(メチルチオ)−1,3−ベンゼンジアミン、2−メチル−4,6−ビス(メチルチオ)−1,3−ベンゼンジアミン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[3−(イソプロピルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(1−メチルプロピルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(1−メチルペンチルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス(3,5−ジアミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,6−ジアミノ−4−メチルフェノール、トリメチルエチレンビス−4−アミノベンゾネート、及びポリテトラメチレンオキサイド−di−p−アミノベンゾネートが挙げられる。多価アルコール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールメタンが挙げられる。これらのウレタンプレポリマー及び硬化剤は、それぞれ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
本実施形態の研磨パッドにおいて、より良好な耐薬品性を付与する観点から、上記樹脂が、第1の樹脂と、当該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂とを含み、当該第2の樹脂が、NCO当量500以下のウレタンプレポリマーと硬化剤との反応物であることが好ましい。同様の観点から、上記NCO当量は450以下であることがより好ましく、200以上であることが好ましい。なお、本明細書中において、「NCO当量」とは、該当樹脂溶液中のウレタンプレポリマーの平均NCO当量を意味する。また、NCO当量は周知の方法で測定でき、例えばJIS K 7301に準拠して測定することができる。
本実施形態の研磨パッドにおいて、研磨中の引張強度保持の観点から、不織布、樹脂の合計に対して、不織布の含有量が30〜80質量%であり、樹脂の含有量が20〜70質量%であることが好ましい。同様の観点から、不織布の含有量が40〜60質量%であり、樹脂の含有量が40〜60質量%であることがより好ましい。研磨パッドにおける不織布、樹脂の各含有量は、極性溶媒への溶解性(極性)の差や、アミン分解性の差を利用して、溶出する成分の質量又は残渣の質量より、求めることができる。
本実施形態の研磨パッドは、上述の不織布及び樹脂の他、本実施形態の所望の効果を阻害しない範囲において、通常の研磨パッドに含まれ得る各種添加剤を含んでもよい。そのような添加剤としては、以下に限定されないが、例えば、カーボンブラック等の顔料、親水性活性剤及び疎水性活性剤が挙げられる。
本実施形態の研磨パッドの厚さは、特に限定されないが、ワークとの平坦な接触面を十分に確保する観点、平坦性を確保する観点及びスラリーを貯留する観点から、1.0〜5.0mmであると好ましく、2.0〜4.0mmであるとより好ましい。厚さは、研磨パッドの研磨面とは反対側の面(裏面)を基準とし、高い側の領域の研磨面において最も高い部分の高さで特定でき、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して測定される。具体的には、研磨パッドを10cm×10cm角に切り抜いて得た試料片3枚を用意し、各試料片毎に、厚さ測定器の所定位置にセットした後、480g/cm2の荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に厚さを測定する。1枚の試料片につき、5箇所の厚さを測定し相加平均を算出し、さらに3枚の試料片の相加平均を求める。なお、10cm×10cm角のサンプルが得難い場合は、得られる範囲でサンプリングした試料を用い、上記と同様の要領にて厚さを測定することもできる。
本実施形態の研磨パッドは、研磨面と反対側の面にクッション層を両面テープや接着剤等で積層してもよい。なお、上記クッション層としては、特に限定されないが、不織布、樹脂含浸不織布、合成ゴム、ポリエチレンフォーム及びポリウレタンフォーム等の層とすることができる。
[研磨パッドの製造方法]
本実施形態の研磨パッドの製造方法は、上述した本実施形態の研磨パッドの構造が得られる方法である限り、特に限定されるものではない。以下、本実施形態の研磨パッドの好適な製造方法を例示する。
本実施形態の研磨パッドの製造方法は、例えば、熱可塑性樹脂を含むシート状物の一つの面に対してエンボス加工を施すことにより研磨パッドの研磨面を形成する工程を有する。より具体的には、本実施形態の研磨パッドの製造方法は、不織布に樹脂溶液を含浸させ、湿式凝固を行うことにより、上記シートとしての樹脂含浸不織布を得る第1の工程と、樹脂含浸不織布の一つの面にエンボス加工を施すことにより、研磨パッドの研磨面における第1領域、第2領域及び第3領域に対応する3つの領域に分画する第2の工程と、を含むことができる。
第1の工程においては、不織布に樹脂溶液を含浸させた上で湿式凝固法により樹脂含浸不織布を得る。湿式凝固法とは、樹脂溶液を、樹脂に対して貧溶媒である凝固液に常温で浸漬することで樹脂を凝固再生させる方法である。本実施形態のように不織布に樹脂溶液を含浸させた上で湿式凝固法を用いる場合、凝固液中では、不織布の繊維に付着している樹脂溶液の表面で樹脂溶液の溶媒と凝固液との置換の進行により樹脂が繊維の表面に凝固再生される。
第1の工程の具体例としては、次のとおりである。まず、上述したような湿式樹脂と、当該湿式樹脂を溶解可能であって、後述の凝固液に混和する溶媒と、必要に応じて研磨パッドに配合するその他の添加剤とを混合し、更に必要に応じて減圧下で脱泡して樹脂溶液を準備する。本実施形態において、第2工程の便宜上、熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。上記溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、メチルエチルケトン(MEK)及びジメチルスルホキシドなどの水混和性溶剤が挙げられる。樹脂に対する良溶媒を選択する観点、さらに凝固浴に対して均一に混和させて湿式凝固をより容易にする観点から、第1の樹脂が、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上の溶媒に可溶であることが好ましい。同様に、上記溶媒が、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上の溶媒を含むことが好ましい。
不織布の全体に亘って樹脂を含浸する観点、及び、樹脂の含浸量を十分に確保する観点から、上記樹脂溶液について、B型回転粘度計を用いて20℃で測定した粘度が8000cp以下であると好ましく、100cp〜5000cpであるとより好ましく、400cp〜3000cpであると更に好ましい。そのような粘度の数値範囲にある樹脂溶液を得る観点から、例えば、ポリウレタン樹脂を、樹脂溶液の全体量に対して5〜25質量%の範囲、より好ましくは8〜15質量%の範囲で溶媒に溶解させてもよい。樹脂溶液の粘性は、用いる樹脂の種類及び分子量にも依存するため、これらを総合的に考慮し、樹脂の選定、濃度設定等を行うことが好ましい。
次に、樹脂溶液に不織布を十分に浸漬した後、樹脂溶液が付着した不織布から、1対のローラ間で加圧可能なマングルローラを用いて過剰な樹脂溶液を絞り落とすことで、樹脂溶液の不織布への付着量を所望の量に調整し、不織布に樹脂溶液を均一又は略均一に含浸させる。次いで、樹脂溶液を含浸した不織布を、樹脂に対する貧溶媒、例えば水、を主成分とする凝固液中に浸漬することにより、樹脂を凝固再生させる。凝固液には、樹脂の再生速度を調整するために、樹脂溶液中の溶媒以外の極性溶媒等の有機溶媒を添加してもよい。また、凝固液の温度は、樹脂を凝固できる温度であれば特に限定されず、例えば、15〜60℃であってもよい。
本実施形態において、上述の湿式凝固を行ったのち、以下のような洗浄・乾燥工程に供することが好ましい。まず、湿式樹脂が凝固再生された不織布を水等の洗浄液中で洗浄し、不織布中に残存するDMF等の溶媒を除去する。洗浄後、不織布を洗浄液から引き上げ、マングルローラ等を用いて余分な洗浄液を絞り落とす。その後、不織布基材を、100℃〜150℃の乾燥機中で乾燥させてもよい。凝固再生された湿式樹脂は、凝固再生由来の微細な複数の連通孔を有している。また、上記乾燥の後、得られる樹脂含浸不織布をさらにスライス、バフ等による加工に供し、表層のスキン層を除去し、所定の厚さにすることが、均一性を高める観点から好ましい。
上述のようにして得られた樹脂含浸不織布は、その後、必要に応じて、円形等の所望の形状、寸法に裁断されてもよく、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を施されてもよい。
続く第2の工程では、樹脂含浸不織布の一つの面にエンボス加工を施すこと等により、研磨パッドの研磨面における第1領域、第2領域及び第3領域となる3つの領域に分画する。すなわち、第1の研磨パッドを製造するに際しては、樹脂含浸不織布の研磨面における第2領域に対応する位置にエンボス加工等を施すことで、第1領域及び第3領域に対して凹んでいる第2領域を形成する。また、第2の研磨パッドを製造するに際しては、第1領域及び第3領域に対応する位置にエンボス加工等を施すことで、第2領域に対して凹んでいる第1領域及び第3領域を形成する。
エンボス加工は例えば下記のようにして行われる。まず、エンボスパターンに合わせた凸部を有する金型を加熱しておく。次いで、加熱した金型を台上に載置した樹脂含浸不織布の研磨面側に当接し押圧する。これにより、樹脂含浸不織布の研磨面にエンボス形状が転写形成される。第1の研磨パッドの製造では、かかるエンボスパターンに由来して凹んだ面が研磨面の第2領域となる。また、第2の研磨パッドの製造では、そのエンボスパターンに由来して凹んだ面が研磨面の第1領域及び第3領域となる。エンボス加工では、通常、樹脂含浸不織布を構成するマトリックス樹脂の融点をTm(℃)、ガラス転移温度をTg(℃)としたときに、エンボス金型を温度(Tm±50)℃ないし(Tg+100〜Tg+200)℃の近傍まで加熱し、一定圧力で一定時間プレスすることで、研磨面に凹凸を付与する。好ましくは、エンボス金型を100〜180℃の温度に加熱し、2.0〜10.0MPaの圧力で60〜300秒間プレスする。エンボス加工においては、ライナーを用いることがより好ましい。ライナーの厚さを変更することで、エンボス加工の高さ制御が可能となり、エンボス加工の精度を高めることができる。
なお、本実施形態において、第2の工程はエンボス加工による実施に限定されず、切削加工等によって、第1の研磨パッドの製造では、切削した領域を第2領域とする各領域を形成してもよく、第2の研磨パッドの製造では、切削した領域を第1及び第3の領域とする各領域を形成してもよい。切削加工の場合、ドリル刃や円板刃を樹脂含浸不織布の研磨面に対して平行に相対的に回転させながら、所望の凹凸パターンになるように移動させて凹凸を形成させる。第1の研磨パッドにおいては、かかる凹凸の凹んだ面が研磨面の第2領域となる。また、第2の研磨パッドにおいては、かかる凹凸の凹んだ面が第1領域及び第3領域の研磨面となる。
上述したように、本実施形態の研磨パッドにおける第1領域、第2領域及び第3領域を形成する際は、エンボス加工によることが好ましい。換言すると、第1の研磨パッドの場合、第2領域が、エンボス加工部であり、第1領域及び第3領域が、非エンボス加工部(研磨面においてエンボス加工を受けていない部分)であることが好ましく、第2の研磨パッドの場合、第2領域が、非エンボス加工部であり、第1領域及び第3領域が、エンボス加工部であることが好ましい。いずれの場合も、加熱ないし加圧を受けていない非エンボス加工部では熱可塑性樹脂由来の空隙(孔)が維持され、この空隙により好ましくスラリーを保持できるため、研磨レートが向上する傾向にある。なお、エンボス部分は、形状(厚さ)、圧縮率及び硬度の点から非エンボスと異なるため、これらを指標に両者を区別することができる。
また、エンボスの型にセンター合わせのための凸部を設けてエンボス加工を行うことにより、図8に示すように、当該凸部に由来する凹部D52が形成された研磨パッド50としてもよい。図8に示す例において、研磨パッド50の研磨面は、上記のエンボス加工により3つの領域A51,A52,A53に分画されており、これら全体にわたり溝部D51が格子状に形成されており、さらに、第3領域には90°間隔で凹部D52も形成されている。なお、凹部D52は、第2領域A52とは異なる領域であるが、これらの高さは同じであってもよい。
上記のようにして得られた研磨パッドは、その表面が研磨面となるが、その研磨パッドを用いてワークを研磨する場合、予め、研磨パッドの研磨面とは反対側の面に、研磨機の研磨定盤に研磨パッドを貼着するための両面テープ(粘着層及び剥離紙を備えるもの)を貼り合わせてもよい。
[研磨方法]
本実施形態の研磨方法は、本実施形態の研磨パッドを用いた半導体ウエハの研磨方法であって、研磨パッドが有する円形状の研磨面の中心から外周縁に向かう方向に同心円状に順に位置する第1領域、第2領域及び第3領域のうち前記第2領域上に、前記半導体ウエハの中心点を配し、かつ、前記第1領域、前記第3領域及び前記中心上に前記半導体ウエハの少なくとも一部を配して、研磨を行うものである(図3(A)及び図9(A)参照)。なお、本明細書において、半導体ウエハの中心点は、当該半導体ウエハのノッチやオリエーテションフラットを考慮しない場合の円の中心点に一致し、典型的には、研磨時における半導体ウエハの回転軸に一致する。
例えば、図3(A)に示されているように、研磨パッド10の研磨面上に円形状の被研磨物12が配置され、研磨パッド10はその研磨面の中心C1を軸として、被研磨物12はその被研磨面の中心を軸として、それぞれ自転させて研磨を行うことができる。また、研磨時において、被研磨物12を自転させながら、さらに、研磨パッド10の外周縁E1で囲まれる領域内から被研磨物12がはみ出さないようにして被研磨物12を摺動させることも出来る。なお、図3(B)では、研磨パッド10に被研磨物12を載置した際の位置関係を説明する便宜上、被研磨物12と第2領域A12が接触しないものとして図示されている。ただし、研磨パッド10は熱可塑性樹脂から構成された、柔軟な弾性体である。よって、実際の研磨時において、研磨パッド10が被研磨物12からの押圧を受けることによって特にその第1領域A11及び第3領域A13が圧縮する結果、被研磨物12は第2領域A12にも接触する。すなわち、研磨時において、被研磨物12は第1領域A11、第2領域A12及び第3領域A13と接触することになる。被研磨物12において、第2領域A12と接触する部分よりも第1領域A11及び第3領域A13と接触する部分の方が高い圧力で研磨される。このような構成で研磨が行われるため、第2領域における研磨レート(研磨速度)が低下するとともに第1領域A11及び第3領域A13における研磨レート(研磨速度)が高まり、被研磨物の中心部が過剰に研磨されるセンターファーストを防止することができる。また、第1領域A11及び第3領域A13と第2領域A12の位置(高さ)関係が逆の場合は、当該中心部が研磨不足となるセンタースローを防止することができる。図3(A)の装置とワークとの関係で、研磨パッドに凹みがない場合において、各定盤が、同一方向に自転する場合はセンターファーストになる傾向にあり、互いの定盤が逆方向に回転する場合はセンタースローになる傾向にある。その問題を研磨パッドにより改善できる。
なお、長期的な研磨によって研磨パッドが摩耗することを想定したとき、本実施形態の研磨方法を実施する場合は、第1領域と第3領域が均一に摩耗することとなり(図9(B)参照)、研磨パッドの各研磨面の均一性が確保される結果、研磨ムラを長期的に防止することができる。これに対して、半導体ウエハの外周部分の少なくとも一部が前記中心上に配されないようにして研磨を行う場合(図10(A)参照)、第3領域は均一に摩耗するものの第1領域が不均一に摩耗することとなり(図10(B)参照)、研磨パッドの各研磨面の均一性が損なわれる傾向にある。この場合、典型的には、第1領域に段差が生じ(図10(B)参照)、当該段差部分での研磨が不均一となる結果、研磨パッドの摩耗に伴って被研磨物12の縁ダレが生じやすくなる。このように、本実施形態の研磨方法によれば、特に長期的な研磨によって研磨パッドが摩耗することを想定したときも、被研磨物12の縁ダレを防止する観点から好ましい。上述した観点から、本実施形態の研磨方法において、半導体ウエハが第1領域を全て覆うように配されることが好ましい。
本実施形態において、エンボス加工や切削加工等により第1領域、第2領域及び第3領域を形成して得られた研磨パッドによれば、研磨面の反対面を平坦とすることができ、その結果、研磨定盤と研磨パッドとの密着性がより良好となり、研磨ムラをより効果的に防止できる傾向にある。すなわち、本実施形態の研磨方法では、研磨面の反対面(すなわち、研磨パッドの裏面)が平坦な状態で前記研磨を行うことが好ましい。ここでいう「平坦な状態」とは、前述のクッション層の有無を問わず、例えば研磨定盤にスペーサーを設置して研磨パッドの裏面を凹ませることで当該研磨パッドの研磨面の対応する部分が突出するような状態を除外する趣旨である。
以下、実施例によって本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用原料]
実施例及び比較例において、以下の湿式樹脂及び含浸樹脂溶媒を用いた。
(湿式樹脂)
C8867:エステル系ウレタン樹脂(DIC社製、商品名「クリスボン8867」、100%モジュラス12MPa)
C8966:エステル系ウレタン樹脂(DIC社製、商品名「クリスボン8966」、100%モジュラス24MPa)
(溶媒)
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
(比較例1)
20質量部のC8867と、45質量部のC8966と、35質量部のDMFとを含む樹脂溶液を調製した。また、繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維からなる、厚さ3.50mm、密度0.135g/cm3のニードルパンチ不織布基材を準備した。次に、上記樹脂溶液にその不織布基材を浸漬した後、1対のローラ間を加圧可能なマングルローラを用いて過剰な樹脂溶液を絞り落として、不織布に樹脂溶液を略均一に含浸させた。次いで、室温の水からなる凝固液中に浸漬することにより、エステル系ポリウレタン樹脂を凝固再生させて全体的に繊維と樹脂の質量比が均一な1枚の樹脂シートを得た。その後、樹脂シートを凝固浴から取り出し、洗浄、乾燥させ、溶媒であるDMFを除去した。その後、樹脂シートを乾燥させつつ巻き取った。その後、樹脂シートの両面をそれぞれバフによりスキン層を研削し、厚さを調整し、厚さ3.09mmの樹脂シートを得た。この樹脂シートを半径225mmの円形状に切り出した後、研磨面全体にピッチ20.0mm、幅2.0mm、深さ2.0mmで断面U字形の格子状の溝を切削加工にて施し、裏面に両面テープを積層し、図11に模式的に示す比較例1の研磨パッド40を得た。図11は、比較例1で得られた研磨パッド40を上面視した場合の平面図である。この図11からわかるように、研磨パッド40の研磨面には、溝部D41(線で示す。)が格子状に形成されていた。
(実施例1)
比較例1同様にして得られた、半径225mmの円形状に切り出された樹脂シートの研磨面につき、中心から半径51mmの円形状部分を第1領域と位置決めし、中心から半径151mmの円形状部分であって第1領域を除いた部分を第2領域と位置決めし、研磨面全面から第1領域及び第2領域を除いた部分を第3領域と位置決めした。次いで、加熱可能な下部定盤状にエンボス型、上記樹脂シートの順に載置し周囲にエンボス深さ調整用のライナーを複数配置し上部定盤を下降させ樹脂シートに圧力を加えながら第2領域部分に120℃でエンボス加工を施し、第1領域及び第3領域における研磨面よりも第2領域における研磨面を凹ませた。その後、研磨面の第1領域、第2領域、第3領域全てにピッチ20.0mm、幅2.0mm、深さは第1領域又は第3領域の研磨面から2.0mmで断面U字形の格子状の溝部D31を切削加工にて形成し、裏面に両面テープを積層し、図6に模式的に示す研磨パッド30を得た(ただし、図6(B)において溝部D31は省略)。ここで、第1領域A31及び第3領域A33は同一高さの研磨面を有しており、後述する(高さの差)に基づいて測定される、第1領域A31及び第3領域A33における研磨面と、第2領域A32における研磨面との高さの差は100μmであった。
(実施例2)
高さの差が180μmとなるようにエンボス加工を行ったこと以外は、実施例1と同様にして研磨パッドを得た。
(比較例2)
湿式樹脂として65質量部のC8867と35質量部のDMFとを含む樹脂溶液を用いたこと、および繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維からなる、厚さ3.50mm、密度0.135g/cm3のニードルパンチ不織布基材を用いたこと以外は、比較例1と同様にして研磨パッドを得た。
(比較例3)
高さの差が250μmとなるようにエンボス加工を行ったこと以外は、実施例1と同様にして研磨パッドを得た。
[物性評価]
上述のようにして得られた各実施例及び比較例の研磨パッドについて、下記のとおりに物性を測定し、品質を評価した。それらの結果を表1に示す。
(厚さ)
日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、次のとおりに研磨パッドの厚さを測定した。まず、研磨パッドの厚さの厚い領域を2cm×2cm角に切り抜いて得た試料片10枚を用意し、各試料片毎に、厚さ測定器の所定位置にセットした。その後、480g/cm2の荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に厚さを測定した。その際、1枚の試料片につき、1箇所の厚さを測定し、さらに10枚の試料片の相加平均を求めて研磨パッドの厚さとした。
(高さの差)
日本工業規格(JIS K 6505)に準拠し、第2領域における研磨面と、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面との高さの差は、第1領域及び第3領域につき2cm×2cm角に切り抜いて得た試料片各5枚を準備し各試料片の中央部の厚さを測定し相加平均を算出し、次いで第2領域についても同一形状の試料片5枚を準備し、各試料片の中央部の厚さを測定し、相加平均を算出した。上記のようにして得られた第1領域及び第3領域の相加平均と第2領域の相加平均との差を高さの差とした。
(密度)
日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、次のとおりに研磨パッドの密度を測定した。すなわち、厚さの測定で用いたものと同様の試料片を用意し、その質量を自動天秤で測定後、下記式により密度を算出し、10枚の試料片の相加平均を求めて研磨パッドの密度とした。
密度(g/cm3)=質量(g)/(2(cm)×2(cm)×試料片の厚さ(cm))
(不織布、湿式樹脂の各含有量)
研磨パッドにおける不織布、及び湿式樹脂の各含有量は、上述した含浸工程前の不織布の密度と、浸漬工程後の研磨パッドの密度と、をそれぞれ測定し、密度差から算出した。なお、密度の測定は上記(密度)と同様にして測定した。
(圧縮率)
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用い、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、次のとおりに研磨パッドの圧縮率を測定した。すなわち、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終圧力の下で5分間放置後の厚さt1を測定した。これらから、圧縮率を下記式により算出した。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2とした。なお、エンボス加工された研磨パッドについては、厚さの厚いほうの領域を対象として2cm×2cm角に切り抜いて得た3枚の試料片を測定し、相加平均を求めて研磨パッドの圧縮率とした。
圧縮率(%)=(t0−t1)/t0×100
(圧縮弾性率)
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用い、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、次のとおりに研磨パッドの圧縮弾性率を測定した。すなわち、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終荷重を30秒間かけた後の厚さt1を測定した。次に、厚さt1の状態から全ての荷重を除き、5分間放置(無荷重状態とした)後、再び初荷重を30秒間かけた後の厚さt0’を測定した。これらから、圧縮弾性率を下記式により算出した。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2とした。なお、エンボス加工された研磨パッドについては、厚さの厚いほうの領域を対象として2cm×2cm角に切り抜いて得た3枚の試料片を測定し、相加平均を求めて研磨パッドの圧縮弾性率とした。
圧縮弾性率(%)=100×(t0’−t1)/(t0−t1
(A硬度)
研磨パッドのA硬度は、次のようにして測定した。すなわち、厚さ4.5mm以上の試験片(2cm×2cm)の表面にバネを介して押針(測定子)を押し付け、30秒後の押針の押し込み深さをA型硬度計(日本工業規格、JIS K 7311)により測定した。なお、研磨パッドが4.5mm未満の厚さである場合は、厚さが4.5mm以上になるまで研磨パッドを重ね、試験片とした。これを3回行って相加平均から研磨パッドのA硬度を求めた。なお、エンボス加工された研磨パッドについては、厚さの厚いほうの領域を対象として測定した。
<研磨試験>
各実施例及び比較例の研磨パッドについて、以下に示すとおりに研磨加工を行い、研磨レートのバラツキ(均一性)を評価した。
まず、各例で得られた研磨パッドを片面研磨機の450mmφ定盤に貼り付け、次いで、下記に示す研磨条件にて研磨を行った。
(研磨条件)
研磨液:コロイダルシリカスラリー
研磨液流量:100mL/min(研磨液温度20℃)
研磨パッド径:450mmφ
定盤回転数:40rpm
トップリング回転数:40rpm(定盤の回転方向と同一)
研磨時間:60秒/バッチ
研磨圧: 10kPa
被研磨物:300mmφシリコンウェハ上にテトラエトキシシランをCVDで絶縁膜1μmの厚さになるように形成した基板
(研磨レート均一性)
研磨レートは、1分間あたりの研磨量を厚さ(Å)で表したものであり、研磨加工前後の基板の絶縁膜について直径方向で17箇所の厚み測定結果から研磨レートを算出し、最大最小のレート差と平均値を求めた。なお、厚み測定は、光学式膜厚膜質測定器(KLAテンコール社製、ASET−F5x)のDBSモードにて測定した。
被研磨物を研磨し基板面内の研磨レートのバラツキ(均一性)の程度を次の基準で評価した。なお、研磨レート均一性の値が小さいほど、面内の研磨レートのバラツキが小さくなり、センターファーストが改善されるものと評価した。
研磨レート均一性(%)=(面内の最大最小のレート差)/(平均レート)×100
上記の物性値、評価結果等に加え、研磨パッドの繊維と樹脂の質量比を下記表1に併せて示す。
Figure 2020015142
評価結果について、表1に示されている通り、実施例1及び2の研磨パッドは、「研磨レート均一性」が10%未満と優れており、比較例1の研磨パッドに対してセンターファーストが改善されていることが明らかである。
比較例2の研磨パッドは、比較例1の研磨パッドに対して、A硬度が低く、圧縮率、圧縮弾性率が高いため、「研磨レート均一性」について比較例1の研磨パッドより更に劣る結果となった。
比較例3の研磨パッドは、実施例1及び2の研磨パッドと素材や物性値等は同じであるが、「高さの差」が200μmを越えているため「研磨レート均一性」が14%と劣っていた。
本発明の研磨パッドは、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料、ハードディスク用基板、半導体用シリコンウェハ、液晶ディスプレイ用ガラス基板、サファイヤや窒化ガリウムを始めとする難削材等の研磨に用いられ特に集積回路が実装された半導体デバイスの裏面研磨に好適に用いられる。したがって、かかる用途に産業上の利用可能性がある。
10,20,30,50…研磨パッド、12…被研磨物、40…比較例1の研磨パッド、C1,C2…研磨面の中心、A11,A21,A31,A51,A71…第1領域、A12,A22,A32,A52,A72…第2領域、A13,A23,A33,A53,A73…第3領域、E1,E2…外周縁、D31,D41,D51…溝部、D52…凹部。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂を含み、かつ、円形状の研磨面を有する研磨パッドであって、
    前記研磨面が、中心から外周縁に向かう方向に、第1領域、第2領域及び第3領域をこの順に同心円状に有し、
    前記第2領域における研磨面が、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面に対して、前記研磨パッドの厚み方向に凹んでいる、又は、突出しており、
    前記第2領域における研磨面と、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面との高さの差が、50〜200μmである、研磨パッド。
  2. 圧縮率が、4.5%以下である、請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記第2領域が、エンボス加工部であり、前記第1領域及び前記第3領域が、非エンボス加工部である、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
  4. 前記第2領域が、非エンボス加工部であり、前記第1領域及び前記第3領域が、エンボス加工部である、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法であって、
    熱可塑性樹脂を含むシートの一つの面に対してエンボス加工を施すことにより、前記研磨パッドの研磨面を形成する工程を有する、研磨パッドの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッドを用いた半導体ウエハの研磨方法であって、
    前記研磨パッドが有する円形状の研磨面の中心から外周縁に向かう方向に同心円状に順に位置する第1領域、第2領域及び第3領域のうち前記第2領域上に、前記半導体ウエハの中心点を配し、かつ、前記第1領域、前記第3領域及び前記中心上に前記半導体ウエハの少なくとも一部を配して、研磨を行う、研磨方法。
  7. 前記研磨パッドの研磨面の反対面が平坦な状態で前記研磨を行う、請求項6に記載の研磨方法。
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