JP2020015142A - 研磨パッド - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
熱可塑性樹脂を含み、かつ、円形状の研磨面を有する研磨パッドであって、
前記研磨面が、中心から外周縁に向かう方向に、第1領域、第2領域及び第3領域をこの順に同心円状に有し、
前記第2領域における研磨面が、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面に対して、前記研磨パッドの厚み方向に凹んでいる、又は、突出しており、
前記第2領域における研磨面と、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面との高さの差が、50〜200μmである、研磨パッド。
[2]
圧縮率が、4.5%以下である、[1]に記載の研磨パッド。
[3]
前記第2領域が、エンボス加工部であり、前記第1領域及び前記第3領域が、非エンボス加工部である、[1]又は[2]に記載の研磨パッド。
[4]
前記第2領域が、非エンボス加工部であり、前記第1領域及び前記第3領域が、エンボス加工部である、[1]又は[2]に記載の研磨パッド。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法であって、
熱可塑性樹脂を含むシートの一つの面に対してエンボス加工を施すことにより、前記研磨パッドの研磨面を形成する工程を有する、研磨パッドの製造方法。
[6]
[1]〜[4]のいずれかに記載の研磨パッドを用いた半導体ウエハの研磨方法であって、
前記研磨パッドが有する円形状の研磨面の中心から外周縁に向かう方向に同心円状に順に位置する第1領域、第2領域及び第3領域のうち前記第2領域上に、前記半導体ウエハの中心点を配し、かつ、前記第1領域、前記第3領域及び前記中心上に前記半導体ウエハの少なくとも一部を配して、研磨を行う、研磨方法。
[7]
前記研磨パッドの研磨面の反対面が平坦な状態で前記研磨を行う、[6]に記載の研磨方法。
本実施形態の研磨パッドは、熱可塑性樹脂を含み、かつ、円形状の研磨面を有する研磨パッドであって、前記研磨面が、中心から外周縁に向かう方向に、第1領域、第2領域及び第3領域をこの順に同心円状に有し、第2領域における研磨面が、第1領域及び第3領域における研磨面に対して、前記研磨パッドの厚み方向に凹んでいる、又は、突出している。すなわち、i)センターファーストとなる傾向の研磨装置(機構)に適用する場合は、第2領域における研磨面が、第1領域及び第3領域における研磨面よりも凹んでいる。この態様に係る研磨パッドを、以下では単に「第1の研磨パッド」ともいう。逆に、ii)センタースローとなる傾向の研磨装置(機構)に適用する場合は、第2領域における研磨面が、第1領域及び第3領域における研磨面よりも突出している。この態様に係る研磨パッドを、以下では単に「第2の研磨パッド」ともいう。なお、第1の研磨パッドと第2の研磨パッドとを総称して、以下では単に「本実施形態の研磨パッド」ともいう。
さらに、本実施形態の研磨パッドにおいて、前記第2領域における研磨面と、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面との高さの差が、50〜200μmである。
上記のように構成されているため、第1の研磨パッドによれば被研磨物の中央領域における過剰な研磨(センターファースト)を防止でき、第2の研磨パッドによれば、被研磨物の中央領域における研磨不足(センタースロー)を防止できる。すなわち、本実施形態の研磨パッドは、研磨における研磨ムラを抑制し、優れた平坦性を付与できる。本実施形態の研磨パッドは、特にレンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料、ハードディスク用基板、半導体用シリコンウェハ、液晶ディスプレイ用ガラス基板、サファイヤや窒化ガリウムを始めとする難削材等の研磨に好ましく用いられる。本実施形態の研磨パッドは、特に集積回路が実装された半導体デバイスの裏面研磨において、研磨パッドの直径が被研磨物の直径より大きく2倍以内となる場合は特に平坦性を改善できることから、より好ましく用いることができる。
上記高さの差が50μm以上であることにより、第2領域にかかる研磨圧力を第1領域及び第3領域と比して十分に小さくでき、センターファーストの改善効果を十分に確保できる。また、上記高さの差が200μm以下であることにより、第2領域への研磨圧力が弱くなりすぎるといった問題を防止できる。すなわち、上記高さの差が50μm未満である場合、第2領域にかかる研磨圧力を第1領域及び第3領域と比して小さくすることができず、センターファーストの改善効果の確保が困難となり、また、200μmを超える場合、第2領域への研磨圧力が弱くなりすぎる等の問題が顕在化する。
上記高さの差が50μm以上であることにより、第1領域及び第3領域にかかる研磨圧力を第2領域と比して十分に小さくでき、センタースローの改善効果を十分に確保できる。また、上記高さの差が200μm以下であることにより、第1領域及び第3領域への研磨圧力が弱くなりすぎるといった問題を防止できる。すなわち、上記高さの差が50μm未満である場合、第1領域及び第3領域にかかる研磨圧力を第2領域と比して十分に小さくすることができず、センタースローの改善効果の確保が困難となり、また、200μmを超える場合、第1領域及び第3領域への研磨圧力が弱くなりすぎる等の問題が顕在化する。
本実施形態の研磨パッドにおける上記溝部の各寸法については、特に限定されないが、研磨パッドの厚さの10〜90%の深さを有するものであることが好ましい。例えば格子状のパターンに形成された溝部の寸法の好ましい例を挙げると、ピッチ(隣り合う溝部の幅方向における中心間の距離)として2〜50mmであることが好ましく、幅として0.1〜3.0mmであることが好ましく、深さとして第1又は第3領域の研磨面から0.3〜2.7mmであることが好ましい。
圧縮率は日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて求められる。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終圧力の下で5分間放置後の厚さt1を測定する。これらから、圧縮率を下記式により算出する。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2とする。
圧縮率(%)=(t0−t1)/t0×100
圧縮率は、例えば、後述の好ましい製造方法において、得られる研磨パッドの密度が低くなるように調整することにより、高くなる傾向にある。
圧縮弾性率(%)=100×(t0’−t1)/(t0−t1)
圧縮弾性率は、例えば、後述の好ましい製造方法において、樹脂の含有率を高くすることにより、高くなる傾向にある。
密度(g/cm3)=質量(g)/(2(cm)×2(cm)×試料片の厚さ(cm))
密度は、例えば、後述の好ましい製造方法において、不織布に対する樹脂の含有率を高くすることにより、高くなる傾向にある。
本実施形態の研磨パッドの製造方法は、上述した本実施形態の研磨パッドの構造が得られる方法である限り、特に限定されるものではない。以下、本実施形態の研磨パッドの好適な製造方法を例示する。
エンボス加工は例えば下記のようにして行われる。まず、エンボスパターンに合わせた凸部を有する金型を加熱しておく。次いで、加熱した金型を台上に載置した樹脂含浸不織布の研磨面側に当接し押圧する。これにより、樹脂含浸不織布の研磨面にエンボス形状が転写形成される。第1の研磨パッドの製造では、かかるエンボスパターンに由来して凹んだ面が研磨面の第2領域となる。また、第2の研磨パッドの製造では、そのエンボスパターンに由来して凹んだ面が研磨面の第1領域及び第3領域となる。エンボス加工では、通常、樹脂含浸不織布を構成するマトリックス樹脂の融点をTm(℃)、ガラス転移温度をTg(℃)としたときに、エンボス金型を温度(Tm±50)℃ないし(Tg+100〜Tg+200)℃の近傍まで加熱し、一定圧力で一定時間プレスすることで、研磨面に凹凸を付与する。好ましくは、エンボス金型を100〜180℃の温度に加熱し、2.0〜10.0MPaの圧力で60〜300秒間プレスする。エンボス加工においては、ライナーを用いることがより好ましい。ライナーの厚さを変更することで、エンボス加工の高さ制御が可能となり、エンボス加工の精度を高めることができる。
なお、本実施形態において、第2の工程はエンボス加工による実施に限定されず、切削加工等によって、第1の研磨パッドの製造では、切削した領域を第2領域とする各領域を形成してもよく、第2の研磨パッドの製造では、切削した領域を第1及び第3の領域とする各領域を形成してもよい。切削加工の場合、ドリル刃や円板刃を樹脂含浸不織布の研磨面に対して平行に相対的に回転させながら、所望の凹凸パターンになるように移動させて凹凸を形成させる。第1の研磨パッドにおいては、かかる凹凸の凹んだ面が研磨面の第2領域となる。また、第2の研磨パッドにおいては、かかる凹凸の凹んだ面が第1領域及び第3領域の研磨面となる。
本実施形態の研磨方法は、本実施形態の研磨パッドを用いた半導体ウエハの研磨方法であって、研磨パッドが有する円形状の研磨面の中心から外周縁に向かう方向に同心円状に順に位置する第1領域、第2領域及び第3領域のうち前記第2領域上に、前記半導体ウエハの中心点を配し、かつ、前記第1領域、前記第3領域及び前記中心上に前記半導体ウエハの少なくとも一部を配して、研磨を行うものである(図3(A)及び図9(A)参照)。なお、本明細書において、半導体ウエハの中心点は、当該半導体ウエハのノッチやオリエーテションフラットを考慮しない場合の円の中心点に一致し、典型的には、研磨時における半導体ウエハの回転軸に一致する。
例えば、図3(A)に示されているように、研磨パッド10の研磨面上に円形状の被研磨物12が配置され、研磨パッド10はその研磨面の中心C1を軸として、被研磨物12はその被研磨面の中心を軸として、それぞれ自転させて研磨を行うことができる。また、研磨時において、被研磨物12を自転させながら、さらに、研磨パッド10の外周縁E1で囲まれる領域内から被研磨物12がはみ出さないようにして被研磨物12を摺動させることも出来る。なお、図3(B)では、研磨パッド10に被研磨物12を載置した際の位置関係を説明する便宜上、被研磨物12と第2領域A12が接触しないものとして図示されている。ただし、研磨パッド10は熱可塑性樹脂から構成された、柔軟な弾性体である。よって、実際の研磨時において、研磨パッド10が被研磨物12からの押圧を受けることによって特にその第1領域A11及び第3領域A13が圧縮する結果、被研磨物12は第2領域A12にも接触する。すなわち、研磨時において、被研磨物12は第1領域A11、第2領域A12及び第3領域A13と接触することになる。被研磨物12において、第2領域A12と接触する部分よりも第1領域A11及び第3領域A13と接触する部分の方が高い圧力で研磨される。このような構成で研磨が行われるため、第2領域における研磨レート(研磨速度)が低下するとともに第1領域A11及び第3領域A13における研磨レート(研磨速度)が高まり、被研磨物の中心部が過剰に研磨されるセンターファーストを防止することができる。また、第1領域A11及び第3領域A13と第2領域A12の位置(高さ)関係が逆の場合は、当該中心部が研磨不足となるセンタースローを防止することができる。図3(A)の装置とワークとの関係で、研磨パッドに凹みがない場合において、各定盤が、同一方向に自転する場合はセンターファーストになる傾向にあり、互いの定盤が逆方向に回転する場合はセンタースローになる傾向にある。その問題を研磨パッドにより改善できる。
なお、長期的な研磨によって研磨パッドが摩耗することを想定したとき、本実施形態の研磨方法を実施する場合は、第1領域と第3領域が均一に摩耗することとなり(図9(B)参照)、研磨パッドの各研磨面の均一性が確保される結果、研磨ムラを長期的に防止することができる。これに対して、半導体ウエハの外周部分の少なくとも一部が前記中心上に配されないようにして研磨を行う場合(図10(A)参照)、第3領域は均一に摩耗するものの第1領域が不均一に摩耗することとなり(図10(B)参照)、研磨パッドの各研磨面の均一性が損なわれる傾向にある。この場合、典型的には、第1領域に段差が生じ(図10(B)参照)、当該段差部分での研磨が不均一となる結果、研磨パッドの摩耗に伴って被研磨物12の縁ダレが生じやすくなる。このように、本実施形態の研磨方法によれば、特に長期的な研磨によって研磨パッドが摩耗することを想定したときも、被研磨物12の縁ダレを防止する観点から好ましい。上述した観点から、本実施形態の研磨方法において、半導体ウエハが第1領域を全て覆うように配されることが好ましい。
実施例及び比較例において、以下の湿式樹脂及び含浸樹脂溶媒を用いた。
(湿式樹脂)
C8867:エステル系ウレタン樹脂(DIC社製、商品名「クリスボン8867」、100%モジュラス12MPa)
C8966:エステル系ウレタン樹脂(DIC社製、商品名「クリスボン8966」、100%モジュラス24MPa)
(溶媒)
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
20質量部のC8867と、45質量部のC8966と、35質量部のDMFとを含む樹脂溶液を調製した。また、繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維からなる、厚さ3.50mm、密度0.135g/cm3のニードルパンチ不織布基材を準備した。次に、上記樹脂溶液にその不織布基材を浸漬した後、1対のローラ間を加圧可能なマングルローラを用いて過剰な樹脂溶液を絞り落として、不織布に樹脂溶液を略均一に含浸させた。次いで、室温の水からなる凝固液中に浸漬することにより、エステル系ポリウレタン樹脂を凝固再生させて全体的に繊維と樹脂の質量比が均一な1枚の樹脂シートを得た。その後、樹脂シートを凝固浴から取り出し、洗浄、乾燥させ、溶媒であるDMFを除去した。その後、樹脂シートを乾燥させつつ巻き取った。その後、樹脂シートの両面をそれぞれバフによりスキン層を研削し、厚さを調整し、厚さ3.09mmの樹脂シートを得た。この樹脂シートを半径225mmの円形状に切り出した後、研磨面全体にピッチ20.0mm、幅2.0mm、深さ2.0mmで断面U字形の格子状の溝を切削加工にて施し、裏面に両面テープを積層し、図11に模式的に示す比較例1の研磨パッド40を得た。図11は、比較例1で得られた研磨パッド40を上面視した場合の平面図である。この図11からわかるように、研磨パッド40の研磨面には、溝部D41(線で示す。)が格子状に形成されていた。
比較例1同様にして得られた、半径225mmの円形状に切り出された樹脂シートの研磨面につき、中心から半径51mmの円形状部分を第1領域と位置決めし、中心から半径151mmの円形状部分であって第1領域を除いた部分を第2領域と位置決めし、研磨面全面から第1領域及び第2領域を除いた部分を第3領域と位置決めした。次いで、加熱可能な下部定盤状にエンボス型、上記樹脂シートの順に載置し周囲にエンボス深さ調整用のライナーを複数配置し上部定盤を下降させ樹脂シートに圧力を加えながら第2領域部分に120℃でエンボス加工を施し、第1領域及び第3領域における研磨面よりも第2領域における研磨面を凹ませた。その後、研磨面の第1領域、第2領域、第3領域全てにピッチ20.0mm、幅2.0mm、深さは第1領域又は第3領域の研磨面から2.0mmで断面U字形の格子状の溝部D31を切削加工にて形成し、裏面に両面テープを積層し、図6に模式的に示す研磨パッド30を得た(ただし、図6(B)において溝部D31は省略)。ここで、第1領域A31及び第3領域A33は同一高さの研磨面を有しており、後述する(高さの差)に基づいて測定される、第1領域A31及び第3領域A33における研磨面と、第2領域A32における研磨面との高さの差は100μmであった。
高さの差が180μmとなるようにエンボス加工を行ったこと以外は、実施例1と同様にして研磨パッドを得た。
湿式樹脂として65質量部のC8867と35質量部のDMFとを含む樹脂溶液を用いたこと、および繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維からなる、厚さ3.50mm、密度0.135g/cm3のニードルパンチ不織布基材を用いたこと以外は、比較例1と同様にして研磨パッドを得た。
高さの差が250μmとなるようにエンボス加工を行ったこと以外は、実施例1と同様にして研磨パッドを得た。
上述のようにして得られた各実施例及び比較例の研磨パッドについて、下記のとおりに物性を測定し、品質を評価した。それらの結果を表1に示す。
日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、次のとおりに研磨パッドの厚さを測定した。まず、研磨パッドの厚さの厚い領域を2cm×2cm角に切り抜いて得た試料片10枚を用意し、各試料片毎に、厚さ測定器の所定位置にセットした。その後、480g/cm2の荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に厚さを測定した。その際、1枚の試料片につき、1箇所の厚さを測定し、さらに10枚の試料片の相加平均を求めて研磨パッドの厚さとした。
日本工業規格(JIS K 6505)に準拠し、第2領域における研磨面と、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面との高さの差は、第1領域及び第3領域につき2cm×2cm角に切り抜いて得た試料片各5枚を準備し各試料片の中央部の厚さを測定し相加平均を算出し、次いで第2領域についても同一形状の試料片5枚を準備し、各試料片の中央部の厚さを測定し、相加平均を算出した。上記のようにして得られた第1領域及び第3領域の相加平均と第2領域の相加平均との差を高さの差とした。
日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、次のとおりに研磨パッドの密度を測定した。すなわち、厚さの測定で用いたものと同様の試料片を用意し、その質量を自動天秤で測定後、下記式により密度を算出し、10枚の試料片の相加平均を求めて研磨パッドの密度とした。
密度(g/cm3)=質量(g)/(2(cm)×2(cm)×試料片の厚さ(cm))
研磨パッドにおける不織布、及び湿式樹脂の各含有量は、上述した含浸工程前の不織布の密度と、浸漬工程後の研磨パッドの密度と、をそれぞれ測定し、密度差から算出した。なお、密度の測定は上記(密度)と同様にして測定した。
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用い、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、次のとおりに研磨パッドの圧縮率を測定した。すなわち、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終圧力の下で5分間放置後の厚さt1を測定した。これらから、圧縮率を下記式により算出した。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2とした。なお、エンボス加工された研磨パッドについては、厚さの厚いほうの領域を対象として2cm×2cm角に切り抜いて得た3枚の試料片を測定し、相加平均を求めて研磨パッドの圧縮率とした。
圧縮率(%)=(t0−t1)/t0×100
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用い、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、次のとおりに研磨パッドの圧縮弾性率を測定した。すなわち、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終荷重を30秒間かけた後の厚さt1を測定した。次に、厚さt1の状態から全ての荷重を除き、5分間放置(無荷重状態とした)後、再び初荷重を30秒間かけた後の厚さt0’を測定した。これらから、圧縮弾性率を下記式により算出した。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2とした。なお、エンボス加工された研磨パッドについては、厚さの厚いほうの領域を対象として2cm×2cm角に切り抜いて得た3枚の試料片を測定し、相加平均を求めて研磨パッドの圧縮弾性率とした。
圧縮弾性率(%)=100×(t0’−t1)/(t0−t1)
研磨パッドのA硬度は、次のようにして測定した。すなわち、厚さ4.5mm以上の試験片(2cm×2cm)の表面にバネを介して押針(測定子)を押し付け、30秒後の押針の押し込み深さをA型硬度計(日本工業規格、JIS K 7311)により測定した。なお、研磨パッドが4.5mm未満の厚さである場合は、厚さが4.5mm以上になるまで研磨パッドを重ね、試験片とした。これを3回行って相加平均から研磨パッドのA硬度を求めた。なお、エンボス加工された研磨パッドについては、厚さの厚いほうの領域を対象として測定した。
各実施例及び比較例の研磨パッドについて、以下に示すとおりに研磨加工を行い、研磨レートのバラツキ(均一性)を評価した。
まず、各例で得られた研磨パッドを片面研磨機の450mmφ定盤に貼り付け、次いで、下記に示す研磨条件にて研磨を行った。
(研磨条件)
研磨液:コロイダルシリカスラリー
研磨液流量:100mL/min(研磨液温度20℃)
研磨パッド径:450mmφ
定盤回転数:40rpm
トップリング回転数:40rpm(定盤の回転方向と同一)
研磨時間:60秒/バッチ
研磨圧: 10kPa
被研磨物:300mmφシリコンウェハ上にテトラエトキシシランをCVDで絶縁膜1μmの厚さになるように形成した基板
研磨レートは、1分間あたりの研磨量を厚さ(Å)で表したものであり、研磨加工前後の基板の絶縁膜について直径方向で17箇所の厚み測定結果から研磨レートを算出し、最大最小のレート差と平均値を求めた。なお、厚み測定は、光学式膜厚膜質測定器(KLAテンコール社製、ASET−F5x)のDBSモードにて測定した。
被研磨物を研磨し基板面内の研磨レートのバラツキ(均一性)の程度を次の基準で評価した。なお、研磨レート均一性の値が小さいほど、面内の研磨レートのバラツキが小さくなり、センターファーストが改善されるものと評価した。
研磨レート均一性(%)=(面内の最大最小のレート差)/(平均レート)×100
比較例2の研磨パッドは、比較例1の研磨パッドに対して、A硬度が低く、圧縮率、圧縮弾性率が高いため、「研磨レート均一性」について比較例1の研磨パッドより更に劣る結果となった。
比較例3の研磨パッドは、実施例1及び2の研磨パッドと素材や物性値等は同じであるが、「高さの差」が200μmを越えているため「研磨レート均一性」が14%と劣っていた。
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂を含み、かつ、円形状の研磨面を有する研磨パッドであって、
前記研磨面が、中心から外周縁に向かう方向に、第1領域、第2領域及び第3領域をこの順に同心円状に有し、
前記第2領域における研磨面が、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面に対して、前記研磨パッドの厚み方向に凹んでいる、又は、突出しており、
前記第2領域における研磨面と、前記第1領域及び前記第3領域における研磨面との高さの差が、50〜200μmである、研磨パッド。 - 圧縮率が、4.5%以下である、請求項1に記載の研磨パッド。
- 前記第2領域が、エンボス加工部であり、前記第1領域及び前記第3領域が、非エンボス加工部である、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
- 前記第2領域が、非エンボス加工部であり、前記第1領域及び前記第3領域が、エンボス加工部である、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法であって、
熱可塑性樹脂を含むシートの一つの面に対してエンボス加工を施すことにより、前記研磨パッドの研磨面を形成する工程を有する、研磨パッドの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッドを用いた半導体ウエハの研磨方法であって、
前記研磨パッドが有する円形状の研磨面の中心から外周縁に向かう方向に同心円状に順に位置する第1領域、第2領域及び第3領域のうち前記第2領域上に、前記半導体ウエハの中心点を配し、かつ、前記第1領域、前記第3領域及び前記中心上に前記半導体ウエハの少なくとも一部を配して、研磨を行う、研磨方法。 - 前記研磨パッドの研磨面の反対面が平坦な状態で前記研磨を行う、請求項6に記載の研磨方法。
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