JP7294860B2 - 磁気ディスク基板用洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
特許文献2には、重量平均分子量が100以上10000未満の水溶性オリゴマー、及び水を含む半導体基板用洗浄剤が提案されている。
特許文献3には、水溶性高分子と、水系媒体とを含むシリコンウエハ用リンス剤組成物が提案されている。
特許文献4には、R-O-(C3H5O2R)n-Rで表されるポリグリセリン誘導体と、界面活性剤と、溶剤とを含むレジスト除去用組成物が提案されている。
研磨工程を経た基板表面に、研磨くずや砥粒等由来の無機物、研磨パッドから生じるパッドくず等由来の有機物等の異物が付着していると、表面欠陥発生の原因となることから、研磨後に洗浄が行われている。
また、メディア化工程では、通常、搬送時や保管時に基板表面に付着した無機物や有機物を除去するために、磁性層形成前に洗浄が行われている。
しかしながら、従来の洗浄剤組成物では有機物残渣の除去が十分ではなく、表面欠陥発生の原因となっていた。
一般的に、研磨工程で使用される研磨パッドには、可塑剤等の有機物が原料として含まれている。また、基板保管用の容器にも可塑剤等の有機物が原料として含まれることがある。このような有機物が研磨工程や保管、搬送時に基板に付着し、表面欠陥の発生の原因となる。
また、洗浄工程で使用される洗浄ブラシ(例えば、PVAブラシ)にはデンプン等の有機物が原料として含まれていることがあり、このような有機物が洗浄工程で基板に付着し、表面欠陥発生の原因となる。
本開示では、洗浄剤組成物中の特定のポリグリセリン化合物(成分A)が基板に付着した有機物に浸透することで、基板表面から有機物が剥がれやすくなり、有機物残渣を効率よく除去できると考えられる。そして、有機物残渣の除去性が向上することで、表面欠陥の発生を抑制できると考えられる。
但し、本開示は、これらのメカニズムに限定して解釈されなくてよい。
本開示の洗浄剤組成物に含まれる成分Aは、ポリグリセリン及びポリグリセリンアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種のポリグリセリン化合物である。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。成分Aは、表面欠陥の発生を抑制する観点から、ポリグリセリンアルキルエーテルが好ましく、ポリグリセリンモノアルキルエーテルがより好ましい。本開示において、ポリグリセリンアルキルエーテルとは、ポリグリセリンにアルキル基を付加した化合物であり、アルキル基の付加モル数に対するグリセリン骨格のモル数の比である[グリセリン骨格/アルキル基]が、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、5以上であることが更に好ましく、10以上であることが更に好ましく、50以上であることが更に好ましい。
本開示において「成分Aの分子量」は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量のことをいう。
本開示において「グリセリン重合度」は、末端分析法によって得られる水酸基価から算出される平均重合度である。具体的には、グリセリン重合度は、下記式(I)及び(II)から算出できる。
分子量=74n+18 ・・・(I)
水酸基価=56110(n+2)/分子量 ・・・(II)
上記式(I)及び(II)中、nは平均重合度、つまりグリセリン重合度である。
本開示の洗浄剤組成物に含まれる成分Bは、pH調整剤である。成分Bとしては、酸又はアルカリが挙げられる。酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の無機酸;酢酸、シュウ酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸等の有機酸が挙げられる。アルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリが挙げられる。有機物残渣の除去性向上の観点から、成分Bは、無機アルカリが好ましく、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムがより好ましい。成分Bは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の洗浄剤組成物に含まれる水(成分C)としては、溶媒としての役割を果たすことができるものであれば特に制限はなく、例えば、超純水、純水、イオン交換水、又は蒸留水等を挙げることができ、有機物残渣の除去性向上の観点から、超純水、純水、又はイオン交換水が好ましく、超純水がより好ましい。純水及び超純水は、例えば、水道水を活性炭に通し、イオン交換処理し、さらに蒸留したものを、必要に応じて所定の紫外線殺菌灯を照射、又はフィルターに通すことにより得ることができる。
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、基板表面のエッチング抑制の観点から、水溶性アミン(成分D)をさらに含有することができる。成分Dは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、基板表面への金属イオン残留抑制の観点から、キレート剤(成分E)をさらに含有することができる。成分Eは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、パーティクルの基板表面への再付着抑制、及びパーティクルの分散性向上の観点から、分散剤(成分F)をさらに含有することができる。成分Fは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示において「パーティクル」とは、基板表面に付着した無機物の異物をいう。本開示における「パーティクル」は、酸化ニッケル等の研磨くず由来の無機物;酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化セリウム(セリア)等の研磨砥粒由来の無機物;等を含む。
本開示の洗浄剤組成物には、その他の成分をさらに含有することができる。任意成分としては、成分A以外の界面活性剤、可溶化剤、酸化防止剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、抗菌剤等が挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物の洗浄時のpHは、有機物残渣の除去性向上の観点から、9以上が好ましく、9.5以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、10.5以上がより更に好ましく、そして、14以下が好ましく、13以下がより好ましく、12以下が更に好ましく、11.5以下がより更に好ましい。より具体的には、本開示の洗浄剤組成物の洗浄時のpHは、9以上14以下が好ましく、9.5以上13以下がより好ましく、10以上12以下が更に好ましく、10.5以上11.5以下がより更に好ましい。本開示において「洗浄時のpH」とは、25℃における洗浄剤組成物の使用時(希釈後)のpHであり、pHメータを用いて測定でき、好ましくはpHメータの電極を洗浄剤組成物に浸漬して3分後の数値である。
本開示の洗浄剤組成物は、成分A、成分B、成分C、並びに必要に応じて成分D、成分E、成分F及びその他の成分を公知の方法で配合することにより製造できる。したがって、本開示は、少なくとも成分A~Cを配合する工程を含む、洗浄剤組成物の製造方法に関する。本開示において「配合」とは、成分A~C、並びに必要に応じて成分D~F及びその他の成分を同時又は任意の順に混合することを含む。本開示の洗浄剤組成物の製造方法において、各成分の配合量は、上述した本開示の洗浄剤組成物の各成分の含有量と同じとすることができる。
本開示の洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、有機物や無機物(パーティクル)が付着している基板の洗浄に用いられうる。したがって、本開示の洗浄剤組成物を用いて洗浄される被洗浄基板としては、一又は複数の実施形態において、有機物及び無機物(パーティクル)の少なくとも一方が付着している基板が挙げられ、本開示の効果が発揮される観点から、少なくとも有機物残渣が付着している基板に好適に使用される。基板としては、例えば、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板、ガラス基板等が挙げられる。
本開示は、一態様において、本開示の洗浄剤組成物を用いて上述した被洗浄基板を洗浄する洗浄工程を含む、基板の洗浄方法(以下、「本開示の洗浄方法」ともいう)に関する。本開示の洗浄方法は、前記本開示の洗浄剤組成物の濃縮液を希釈する希釈工程をさらに含んでもよい。洗浄工程における洗浄方式としては、例えば、浸漬洗浄及び/又はスクラブ洗浄が挙げられる。本開示の洗浄方法によれば、基板表面に付着した有機物残渣を効率よく除去できる。
被洗浄基板の洗浄剤組成物への浸漬条件としては、特に制限はない。例えば、洗浄剤組成物の温度は、作業性及び操業性の観点から、20~100℃が好ましい。例えば、浸漬時間は、有機物残渣の除去性向上、及び生産性の観点から、5秒以上30分以下が好ましく、10秒以上10分以下がより好ましく、100秒以上5分以下が更に好ましい。有機物残渣の除去性向上の観点から、洗浄剤組成物に超音波振動が付与されていると好ましい。超音波の周波数は、有機物残渣の除去性向上の観点から、20~2000kHzが好ましく、40~2000kHzがより好ましく、40~1500kHzが更に好ましい。
スクラブ洗浄の方法としては、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出して、被洗浄基板の表面に洗浄剤組成物を接触させて当該表面を洗浄する方法、洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に射出により供給し、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこする方法、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出により洗浄対象の表面に供給し、かつ、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこする方法が挙げられる。洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に供給する手段としては、例えば、スプレーノズル等の手段を用いることができる。洗浄用ブラシとしては、例えばナイロンブラシやポリビニルアルコール(PVA)スポンジブラシ等を使用できる。超音波の周波数としては、例えば、上述の浸漬洗浄で好ましく採用される値と同様とすることができる。
本開示は、一態様において、本開示の洗浄剤組成物を用いて上述した被洗浄基板を洗浄する工程を含む磁気ディスク基板の製造方法に関する。
本開示の洗浄組成物及び本開示の洗浄方法は、有機物残渣の除去性に優れているため、磁気ディスク基板の製造方法において、有機物残渣が発生する工程や高度な清浄度が要求される工程で使用されることが好ましく、例えば、研削工程後の洗浄工程、研磨工程後の洗浄工程、メディア化工程(例えば、磁性層をスパッタリングにより形成する工程)の前の洗浄工程で使用されることが好ましい。
本開示は、一態様において、本開示の洗浄剤組成物を製造するためのキット(以下、「本開示のキット」ともいう)に関する。
本開示のキットの一実施形態としては、成分A、成分B及び成分Cを含む溶液を含有するキットが挙げられる。前記溶液に含まれる成分Cは、洗浄剤組成物の調製に使用する水の全量でもよいし、一部でもよい。前記溶液は、一又は複数の実施形態において、使用時に必要に応じて水(成分C)で希釈される。前記溶液には、必要に応じて上述した任意成分が含まれていてもよい。本開示のキットでは、例えば、水(成分C)の使用量を調整することにより、洗浄剤組成物中の各成分の濃度を調整することができる。
<1> ポリグリセリン及びポリグリセリンアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種のポリグリセリン化合物(成分A)、pH調整剤(成分B)、及び水(成分C)を含有する、磁気ディスク基板用洗浄剤組成物。
<3> ポリグリセリンアルキルエーテルのアルキル基の炭素数は、1以上が好ましく、8以上がより好ましく、11以上が更に好ましく、18以下が好ましく、16以下がより好ましく、14以下が更に好ましい、<1>又は<2>に記載の洗浄剤組成物。
<4> ポリグリセリンアルキルエーテルのアルキル基の炭素数は、1以上18以下が好ましく、8以上16以下がより好ましく、11以上14以下が更に好ましい、<1>から<3>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<5> 成分Aのグリセリン重合度は、4以上60以下が好ましく、4以上40以下がより好ましく、18以上30以下が更に好ましい、<1>から<4>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<6> 成分Aの分子量は、450以上が好ましく、730以上がより好ましく、1,000以上が更に好ましい、<1>から<5>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<7> 成分Aの分子量は、10,000以下が好ましく、8,000以下がより好ましく、6,000以下が更に好ましい、<1>から<6>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<8> 成分Aの分子量は、450以上10,000以下が好ましく、730以上8,000以下がより好ましく、1,000以上6,000以下が更に好ましい、<1>から<7>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<9> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Aの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.015質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましい、<1>から<8>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<10> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Aの含有量は、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい、<1>から<9>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<11> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Aの含有量は、0.01質量%以上2質量%以下が好ましく、0.015質量%以上1.5質量%以下がより好ましく、0.02質量%以上1質量%以下が更に好ましい、<1>から<10>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<12> 成分Bは、酸又はアルカリであり、無機アルカリが好ましく、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムがより好ましい、<1>から<11>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<13> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Bの含有量は、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましい、<1>から<12>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<14> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Bの含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい、<1>から<13>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<15> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Bの含有量は、0.001質量%以上10質量%以下が好ましく、0.01質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.02質量%以上3質量%以下が更に好ましい、<1>から<14>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<16> 水溶性アミン(成分D)、キレート剤(成分E)、及び分散剤(成分F)から選ばれる少なくとも1種をさらに含む、<1>から<15>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<17> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Dの含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.04質量%以上がより好ましく、0.09質量%以上が更に好ましい、<16>に記載の洗浄剤組成物。
<18> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Dの含有量は、0.4質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい、<16>又は<17>に記載の洗浄剤組成物。
<19> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Dの含有量は、0.01質量%以上0.4質量%以下が好ましく、0.04質量%以上0.3質量%以下がより好ましく、0.09質量%以上0.2質量%以下が更に好ましい、<16>から<18>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<20> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Eの含有量は、0.005質量%以上が好ましく、0.008質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましい、<16>から<19>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<21> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Eの含有量は、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい、<16>から<20>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<22> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Eの含有量は、0.005質量%以上1質量%以下が好ましく、0.008質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい、<16>から<21>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<23> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Fの含有量は、0.003質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.008質量%以上が更に好ましい、<16>から<22>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<24> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Fの含有量は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい、<16>から<23>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<25> 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Fの含有量は、0.003質量%以上2質量%以下が好ましく、0.005質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.008質量%以上0.5質量%以下が更に好ましい、<16>から<24>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<26> 水溶性有機溶剤を実質的に含まない、<1>から<25>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<27> 洗浄剤組成物の洗浄時のpHは、9以上が好ましく、9.5以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、10.5以上がより更に好ましい、<1>から<26>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<28> 洗浄剤組成物の洗浄時のpHは、14以下が好ましく、13以下がより好ましく、12以下が更に好ましく、11.5以下がより更に好ましい、<1>から<27>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<29> 洗浄剤組成物の洗浄時のpHは、9以上14以下が好ましく、9.5以上13以下がより好ましく、10以上12以下がより更に好ましく、10.5以上11.5以下がより更に好ましい、<1>から<28>のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
<30> <1>から<29>のいずれかに記載の洗浄剤組成物を用いて被洗浄基板を洗浄する洗浄工程を含む、磁気ディスク基板の洗浄方法。
<31> <1>から<29>のいずれかに記載の洗浄剤組成物を用いて被洗浄基板を洗浄する洗浄工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
表2に示す各成分を配合し混合することにより実施例1~4及び比較例1~3の洗浄剤組成物の濃縮物を調製した。各洗浄剤組成物の濃縮物中の各成分の含有量(質量%、有効分)は、表2に示すとおりである。pHは、25℃における洗浄剤組成物のpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM-30G)の電極を洗浄剤組成物に浸漬して3分後の数値を測定した。
A1:ポリグリセリン20量体ラウリルエーテル[分子量1666、株式会社ダイセル社製](成分A)
A2:ポリグリセリン4量体ラウリルエーテル[分子量482、株式会社ダイセル社製](成分A)
A3:ポリグリセリン20量体[分子量1498、株式会社ダイセル社製](成分A)
A4:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル[分子量713、花王株式会社製](非成分A)
A5:グリセリン(モノマー)[分子量92.09、東京化成工業株式会社製](非成分A)
A6:グリセリン1量体アルキルエーテル[分子量204.31、花王株式会社製](非成分A)
(成分B:無機アルカリ)
水酸化カリウム(KOH)[関東化学株式会社製、鹿特級、固形分48質量%]
(成分C:水)
イオン交換水
(成分D:水溶性アミン)
N-(β-アミノエチル)エタノールアミン[日本乳化剤株式会社製、アミノアルコール EA]
(成分E:キレート剤)
1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)[イタルマッチジャパン株式会社製、ディクエスト2010]
(成分F:分散剤)
アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合体(AA/AMPS)[モル比92/8、分子量2,000]
調製した洗浄剤組成物の洗浄性、有機物の除去性について評価した。なお、比較例3の洗浄剤組成物は、化合物A6が水に不溶であったため、洗浄性及び有機物除去性の評価は行っていない。
Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板(外径:95mmφ、内径:25mmφ、厚さ:0.80mm)を、下記に示す研磨パッド及び研磨剤組成物を用いて6分間研磨することにより、研磨パッド及び研磨剤組成物由来の有機物が付着した被洗浄基板を用意した。そして、各洗浄剤組成物を用いて前記被洗浄基板の洗浄を行い、各洗浄剤組成物の洗浄性を評価した。洗浄は以下のようにして行った。
[被研磨基板]
被研磨基板として、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nm、長波長うねり(波長0.4~2mm)の振幅は2nm、短波長うねり(波長50~400μm)の振幅は2nmであった。
[研磨条件(仕上げ研磨)]
研磨試験機:両面研磨機(スピードファム社製、「両面9B研磨機」)
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー、厚さ0.9mm、平均開孔径30μm)
研磨液:イオン交換水に水溶性高分子としてポリアクリル酸を1000ppmとなるように添加、撹拌混合した。次に脂肪族アミンとしてヒドロキシエチルピペラジンを100ppmとなるように添加し、撹拌混合した。更にリン酸及び20nmコロイダルシリカを5重量%添加し、研磨液を得た。リン酸添加量はpHが1.5となるように添加した
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.076mL/分)
下定盤回転数:25rpm
研磨荷重:12kPa
研磨時間:6分間
投入した基板の枚数:10枚
(1)調製した洗浄剤組成物の濃縮物を100倍希釈し、洗浄槽に入れ、洗浄槽内の液温が25℃になるように設定した。希釈後の洗浄剤組成物のpHは11~11.5であった。そして、洗浄槽内の洗浄剤組成物に被洗浄基板を浸漬し、超音波(430kHz)を照射しながら100秒間浸漬洗浄した。
(2)浸漬洗浄した基板を、洗浄ブラシ(PVAブラシ)がセットされたスクラブ洗浄ユニットに移した。そして、洗浄ブラシに25℃の洗浄剤組成物を射出し、該洗浄剤組成物の存在下で洗浄ブラシを被洗浄基板の両面に50rpmで回転させながら押し当てることにより、スクラブ洗浄を25℃で6秒間行った。スクラブ洗浄剤組成物には、浸漬洗浄で用いた洗浄剤組成物と同組成のものを用いた。
(3)スクラブ洗浄した基板を純水ですすいだ後、スピンドライヤーに移し、回転数1400rpmで6秒間かけて完全に基板表面を乾燥させた。
10,000rpmで回転している洗浄された基板に、光学式微細欠陥検査装置(Candela6100、KLA-Tencor社製)のMODE Q-Scatterでレーザーを照射して、欠陥数(基板上の異物数)の測定を実施した。各洗浄剤組成物について5枚ずつの基板の表裏合計10点について前記測定を行い、平均値を算出した。比較例1の値を100として相対値を表2に示す。値が小さいほど、欠陥数が少なく、洗浄性に優れると評価できる。
まず、表2に示す実施例又は比較例で用いた化合物100ppmを含有する水溶液を、KOHでpH11.5に調整し、ジオクチルフタレート(DOP、Aldich製)100ppmを添加した。DOPの添加直後の水溶液は白濁していた。そして、超音波照射によりDOPを分散させ、5分間経過後の水溶液の透過率を測定し、透過率から溶解量を算出した。算出結果を、比較例1を100とした相対値として表2に示した。値が大きいほど、より多量のDOPが溶解して水溶液は透明に変化するため、有機物に対する溶解性に優れると評価できる。
<条件>
測定装置:紫外可視分光光度計UV-2700(株式会社島津製作所製)
測定条件:測定波長660nm
デンプン溶解性試験を行い、有機物に対する溶解性を評価した。
まず、界面活性剤100ppmを含有する水溶液を、KOHでpH11.5に調整し、デンプン(Aldrich製)100ppmを添加した。ヨウ素を添加してヨウ素デンプン反応により着色させ、吸光度から溶解量を算出した。算出結果を、比較例1を100とした相対値として表2に示した。値が大きいほど、より多量のデンプンが溶けて濃紫色に呈色し、有機物に対する溶解性に優れると評価できる。
<条件>
測定装置:紫外可視分光光度計UV-2700(株式会社島津製作所製)
測定条件:測定波長600nm
Claims (11)
- ポリグリセリン及びポリグリセリンアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種のポリグリセリン化合物(成分A)、pH調整剤(成分B)、及び水(成分C)を含有する、磁気ディスク基板用洗浄剤組成物。
- 成分Aのグリセリン重合度は4以上60以下である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
- 成分Aが、ポリグリセリンアルキルエーテルである、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
- ポリグリセリンアルキルエーテルのアルキル基は、炭素数1以上18以下のアルキル基である、請求項1から3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
- ポリグリセリンアルキルエーテルのアルキル基は、炭素数8以上18以下のアルキル基である、請求項1から3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
- 成分Aの分子量が、450以上10,000以下である、請求項1から5のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
- 洗浄剤組成物の洗浄時における成分Aの含有量は、0.01質量%以上2質量%以下である、請求項1から6のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
- 洗浄剤組成物のpHは9以上である、請求項1から7のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
- 水溶性アミン(成分D)、キレート剤(成分E)、及び分散剤(成分F)から選ばれる少なくとも1種をさらに含む、請求項1から8のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
- 請求項1から9のいずれかに記載の洗浄剤組成物を用いて被洗浄基板を洗浄する洗浄工程を含む、磁気ディスク基板の洗浄方法。
- 請求項1から9のいずれかに記載の洗浄剤組成物を用いて被洗浄基板を洗浄する洗浄工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
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JP2019077150A JP7294860B2 (ja) | 2019-04-15 | 2019-04-15 | 磁気ディスク基板用洗浄剤組成物 |
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