JP7294568B2 - 耐熱性粘着シート用粘着剤組成物、耐熱性粘着シート、及び、積層体 - Google Patents
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Description
また、被着体には、銅箔、ポリイミド等が広く用いられる。
特許文献1には、窒素含有モノマーが共重合され、特定Tg範囲のアクリル系樹脂を主組成に含む粘着剤が開示されている。特許文献1によれば、170℃以上の加熱工程においても被着体表面が保護され、被着体表面から剥離できるとされている。
なお、特許文献1の実施例の評価は、SUS板を用いた180℃、5時間の条件でなされている。
一般に、耐熱性粘着シートには、被着体の汚染の抑制、すなわち、耐熱性粘着シートを被着体から剥離した際、被着体上に粘着剤層が付着することを抑制することが求められる。くわえて、被着体が例えば、銅箔等の場合には、銅箔自体が柔らかく、銅箔に、キズ、跡等が残りやすいため、耐熱性粘着シートには、発泡しないことが求められる。
特許文献1に記載の粘着剤は、凝集力が小さいため、240℃の高温条件下で被着体への汚染が生じやすい。また、特許文献1に記載の粘着剤はメチルメタクリレート(MMA)等の熱分解しやすいモノマーを含むため、発泡しやすい。
発明者らが検討したところ、従来の耐熱性粘着シートでは、被着体汚染と発泡抑制との両立が難しいことを見出した。
また、本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、耐熱性粘着シート用粘着剤組成物を用いた耐熱性粘着シート、又は、その積層体を提供することである。
<1> エチルアクリレートに由来する構成単位と、窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位と、を含む(メタ)アクリル系共重合体と、
架橋剤と、を含み、
前記(メタ)アクリル系共重合体に含まれるヒドロキシ基の全モル数に対し、前記架橋剤の官能基のモル数の比が、0.1以上1.0以下の範囲である、
耐熱性粘着シート用粘着剤組成物。
<2> 前記(メタ)アクリル系共重合体中のエチルアクリレートに由来する構成単位の含有量が、80質量%~99質量%の範囲である、<1>に記載の耐熱性粘着シート用粘着剤組成物
<3> 前記(メタ)アクリル系共重合体中の前記窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位の含有量が、0.5質量%~20質量%の範囲である、<1>又は<2>に記載の耐熱性粘着シート用粘着剤組成物。
<4> 前記(メタ)アクリル系共重合体に含まれるヒドロキシ基の全モル数に対し、前記架橋剤の官能基のモル数の比が、0.1以上0.4以下の範囲である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の耐熱性粘着シート用粘着剤組成物。
<5> <1>~<4>のいずれか1つに記載の耐熱性粘着シート用粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層を備える、耐熱性粘着シート。
<6> <5>に記載の耐熱性粘着シートと、金属箔と、を有する積層体。
また、本発明の他の実施形態によれば、耐熱性粘着シート用粘着剤組成物を用いた耐熱性粘着シート又はその積層体を提供することができる。
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
また、本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質を複数種併用する場合には、特に断らない限り、その成分に該当する複数種の物質の合計量を意味する。
更に、本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において(メタ)アクリル系共重合体とは、これを構成するモノマーのうち少なくとも主成分であるモノマーが(メタ)アクリロイル基を有するモノマーが重合して形成された重合体を意味する。
(メタ)アクリル系共重合体における主成分とは、重合体を形成するモノマー成分の中で最も含有率(質量%)が多いことを意味し、例えば、(メタ)アクリル系共重合体の場合、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーにより形成される構成単位の含有率が全構成単位の50質量%以上であるモノマーを意味する。
本明細書において、粘着剤層とは、(メタ)アクリル系共重合体と架橋剤とが実質的に架橋した後の層であって、例えば、固形状又はゲル状の層を意味する。
本発明に係る耐熱性粘着シート用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう)は、エチルアクリレートに由来する構成単位と、窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位と、を含む(メタ)アクリル系共重合体(以下、特定(メタ)アクリル系共重合体」ともいう。)と、架橋剤と、を含み、前記(メタ)アクリル系共重合体に含まれるヒドロキシ基の全モル数に対し、前記架橋剤の官能基のモル数の比が、0.1~1.0の範囲である。
本発明者らが鋭意検討した結果、本発明に係る粘着剤組成物は上記構成を有することで、例えば、240℃以上の高温条件下で熱処理した後であっても、得られる粘着剤層からの発泡が抑制され、かつ、被着体から粘着剤層を剥離したときの被着体の汚染の抑制に優れることを見出した。上記効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
なお、本明細書において、「被着体の汚染」とは、例えば、粘着剤層を被着体から剥離した際に、被着体上に粘着剤層の一部が付着することを意味する。また、本明細書において、被着体の汚染を抑制に優れることを「耐汚染性」に優れるともいう。また、本明細書において、粘着剤層からの発泡の抑制に優れることを「耐発泡性」に優れるともいう。
また、特定(メタ)アクリル系共重合体は、エチルアクリレートに由来する構成単位を含む。一般に、エチルアクリレートは、例えば、メチルアクリレートと比較して、凝集力が高く、高温条件下においても熱分解しにくい。さらに、エチルアクリレートは極性が高いため、例えば、銅箔等の被着体との密着性も良好になる。本発明に係る粘着剤組成物が含有する特定(メタ)アクリル系共重合体は、エチルアクリレートに由来する構成単位を含むため、例えば、240℃の高温環境下で処理した後に、得られる粘着剤層を被着体から剥離した場合であっても、被着体の汚染を抑制できると推定される。
本発明に係る粘着剤組成物は、架橋剤を含み、特定(メタ)アクリル系共重合体中のヒドロキシ基の全モル数に対し、架橋剤が有する官能基のモル比が0.1以上であるため、粘着剤層は十分な凝集力が得られ、また、上記モル比が1.0以下であるため、未反応の架橋剤に起因する被着体の汚染を抑制できる。
また、特定(メタ)アクリル系共重合体は、窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位を含むので、自己架橋により、粘着剤層は凝集力が十分に得られ、被着体との密着性に優れやすい。
一般に、銅箔等の金属箔は柔らかいため、耐熱性粘着シートに備えられた粘着剤層が、高温、例えば240℃の環境下で発泡すると、発泡跡が残りやすい傾向がみられるが、本発明に係る粘着剤組成物は上記構成をとることにより、銅箔等の金属箔の被着体と貼り合わせた場合でも、得られる粘着剤層は耐発泡性に優れる。
以下、本発明に係る粘着剤組成物に含まれる各構成要件の詳細について説明する。
本発明に係る粘着剤組成物は、エチルアクリレートに由来する構成単位と、窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位と、を含む(メタ)アクリル系共重合体(特定(メタ)アクリル系共重合体)を含む。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位を含む。
窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が好適に挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、エチルアクリレートに由来する構成単位を含有する。
エチルアクリレートに由来する構成単位の含有量としては、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、凝集力及び高温条件下での熱分解抑制の観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、20質量%以上99.95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上99質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上99質量%以下であることが更に好ましく、80質量%以上99質量%以下であることが特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、粘着性の観点から、エチルアクリレートに由来する構成単位以外のアルキルアクリレートに由来する構成単位(以下、「その他のアルキルアクリレートに由来する構成単位」ともいう。)を含むことが好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、その他のアルキルアクリレートに由来する構成単位を1種単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基としては、特に制限はなく、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
また、粘着剤層の被着体に対する粘着力及び基材との密着性の観点から、上記アルキル基の炭素数は、1及び3~18であることが好ましく、3~12であることがより好ましい。
また、粘着力の観点から、その他のアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は上記エチルアクリレートに由来する構成単位の含有量と合計して、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、80質量%以上99.95質量%以下であることが好ましく、85質量%以上99.95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上99.95質量%以下であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマー以外のヒドロキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有していてもよい。
ヒドロキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位は、1種単独で含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、本発明の効果が発揮される範囲内において、上記エチルアクリレートに由来する構成単位、窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位、その他のアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位、及び、ヒドロキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレート以外の構成単位(以下、「その他の構成単位」ともいう。)を含んでいてもよい。
その他の構成単位を構成するモノマーは、上記エチルアクリレート、及び、窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーと共重合できるものであれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
シアン化ビニルモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。
その他の構成単位を含む場合、その他の構成単位の含有量としては、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、5質量%以下であることが好ましく、1質量%未満であることがより好ましく、0.1質量%未満であることが更に好ましい。
なお、固形分総質量とは、粘着剤組成物から、溶剤などの揮発性成分を除いた残渣の総質量を意味する。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、とくに制限はなく、粘着力を向上させる点から、5万~100万であることが好ましく、10万~80万であることがより好ましく、20万~60万であることが更に好ましい。重量平均分子量は、重合反応温度、時間、有機溶媒の量等により調整することができる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記の測定方法により求められる。
より具体的には、下記(1)~(3)に従って測定して、重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
(1)特定(メタ)アクリル系共重合体の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体をテトラヒドロフランにて固形分0.2質量%になるように溶解させる。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を測定する。
GPC:HLC-8220 GPC〔東ソー(株)製〕
カラム:TSK-GEL GMHXL〔東ソー(株)製〕4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.8mL/分
カラム温度:40℃
特定(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、得られる粘着剤層の粘着力を高め、かつ、凝集力の過度の上昇による熱処理後の粘着力上昇をより抑制する観点から、-60℃~-5℃であることが好ましく、-55℃~-30℃であることがより好ましく、-50℃以上-40℃未満であることが更に好ましい。
式中、Tg1、Tg2、・・・・・及びTgnは、モノマー1、モノマー2、・・・・・及びモノマーnそれぞれの単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度である。m1、m2、・・・・・及びmnは、それぞれのモノマー成分のモル分率である。
なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算可能であり、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算可能である。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の方法でモノマーを重合して製造できる。
なお、製造後に本発明に係る粘着剤組成物を調製するにあたり、処理工程が比較的簡単かつ短時間で行えることから、特定(メタ)アクリル系共重合体は、溶液重合を用いて製造されることが好ましい。
これらの有機溶媒は、それぞれ1種単独でも用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
本発明に係る粘着剤組成物は、架橋剤を含有する。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、金属キレート化合物等が挙げられるが、高温条件下での熱処理後の耐汚染性、及び、耐発泡性の観点からは、イソシアネート系架橋剤又は金属キレート化合物であることが好ましく、イソシアネート系架橋剤であることがより好ましい。
架橋剤は、1種単独で含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びトリレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族ポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、イソホロンジイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物としては、上記ポリイソシアネート化合物の2量体、3量体、又は5量体、上記ポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記イソシアネート化合物のビウレット体なども挙げられる。
ポリイソシアネート化合物の市販品の例としては、「コロネート(登録商標)HX」、「コロネート(登録商標)HL-S」、「コロネート(登録商標)L」、「コロネート(登録商標)L45E」、「コロネート(登録商標)2031」、「コロネート(登録商標)2037」、「コロネート(登録商標)2234」、「コロネート(登録商標)2785」、「アクアネート(登録商標)200」、及び「アクアネート(登録商標)210」〔以上、東ソー(株)〕、「スミジュール(登録商標)N3300」、「デスモジュール(登録商標)N3400」、及び「スミジュール(登録商標)N-75」〔以上、住化コベストロウレタン(株)〕、「デュラネート(登録商標)E-405-80T」、「デュラネート(登録商標)AE700-100」、「デュラネート(登録商標)24A-100」、及び「デュラネート(登録商標)TSE-100」〔以上、旭化成(株)〕、並びに、「タケネート(登録商標)D-110N」、「タケネート(登録商標)D-120N」、「タケネート(登録商標)M-631N」、「MT-オレスター(登録商標)NP1200」、及び「スタビオ(登録商標)XD-340N」〔以上、三井化学(株)〕が挙げられる。
金属キレート化合物の市販品の例としては、「アルミキレートA」、「アルミキレートD」、及び「ALCH-TR」〔以上、川研ファインケミカル(株)〕が挙げられる。
(メタ)アクリル系共重合体に含まれるヒドロキシ基の全モル数に対する架橋剤の官能基のモル数の比(モル比)は、0.1以上1.0以下の範囲である。
上記モル比が上記範囲内であると、粘着剤層の凝集力がより適度となり、高温条件下の熱処理後の粘着力上昇をより抑制でき、未反応の架橋剤に起因する被着体汚染を抑制できる。
上記観点から、上記モル比としては、0.15以上1.0以下であることが好ましく、0.15以上0.9以下であることがより好ましく、0.15以上0.6以下であることが更に好ましく、0.1以上0.4以下であることが特に好ましい。
なお、架橋剤が有する官能基とは、上記(メタ)アクリル系共重合体が有するヒドロキシ基等の架橋反応可能な基を意味し、架橋剤が、例えば、イソシアネート系架橋剤である場合には、官能基はイソシアネート基を意味する。
本発明において、例えば、アルミニウムキレート化合物における中心金属の価数は3であり、アルミニウムキレート化合物は、1モル当たり3モルの官能基を有すると置き換えて計算することができる。
金属キレート化合物の当量は、以下の式より計算した値である。
当量=( A×B/C)/(D1×E1/F1+D2×E2/F2+・・・・+Dn×En×Fn)
A=金属キレート化合物の金属の価数
B=金属キレート化合物の質量部数(固形分としての量)
C=金属キレート化合物の分子量
D1、D2、・・・Dn=特定(メタ)アクリル系共重合体に使用される全モノマー中のヒドロキシ基を有する各モノマーの含有率(質量%)
E1、E2、・・・En=ヒドロキシ基を有する各モノマーの1分子中に含まれるヒドロキシ基の数
F1、F2、・・・Fn=特定(メタ)アクリル系共重合体に使用される、ヒドロキシ基を有する各モノマーの分子量
なお、nは、使用されたモノマーの種類の数を表し、例えば、使用された(メタ)アクリル系モノマーが1種である場合は、D1のみが計算に用いられ、D2・・・Dnは計算に用いられない。
=[(架橋剤中の官能基の含有率(単位:質量%)×架橋剤の配合量(単位:g))/架橋剤の固形分(単位:質量%)]/官能基の分子量(単位:g/mol)×1000・・・式(1)
特定官能基の合計モル数(単位:mmol/特定(メタ)アクリル系共重合体の固形分量100g)
=[特定(メタ)アクリル系共重合体中の窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位の含有率(単位:質量%)×窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位中のヒドロキシ基の個数(価数)×1000/窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーの分子量(単位:g/mol)]+[特定(メタ)アクリル系共重合体中のヒドロキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率(単位:質量%)×ヒドロキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位中のヒドロキシ基の個数(価数)×1000/ヒドロキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートの分子量(単位:g/mol)]・・・式(2)
本発明に係る粘着剤組成物は、架橋触媒を含んでいてもよい。
本発明に係る粘着剤組成物が架橋触媒を含む場合、かさ高い分子構造を有するモノマーを含む場合においても架橋反応が進みやすく、架橋密度が高い粘着剤層を形成することができ、粘着剤層の高温環境下における耐久性及びリワーク性がより優れやすい。
本発明に係る粘着剤組成物が架橋触媒を含む場合、架橋触媒は1種単独で含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
架橋触媒としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ジメチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、及び2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾールに代表されるイミダゾール化合物、ジオクチルチンジラウレート、及び1,3-ジアセトキシテトラブチルスタノキサンに代表される有機金属化合物、並びに、トリエチレンジアミン、及びN-メチルモルホリンに代表される第3級アミン化合物が挙げられる。
本発明に係る粘着剤組成物は、上記特定(メタ)アクリル系共重合体、架橋剤、及び架橋触媒の他に、必要に応じて、シランカップリング剤、有機溶媒、耐候性安定剤、可塑剤、軟化剤、剥離助剤、染料、顔料、無機充填剤、界面活性剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、及び、粘着付与樹脂、帯電防止剤、並びに、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等に代表される光安定剤等を適宜含有してもよい。
本発明に係る粘着剤組成物の用途としては、特に制限はないが、粘着剤層を介して被着体に貼着させる用途に好適に挙げられ、後述する本発明の実施形態に係る耐熱性粘着シートは、例えば、静電容量方式のタッチパネル製造工程における透明導電性フィルムをガラス基板などと貼り合わせる用途が好適である。また、FPC製造工程中のホットプレス、リフローはんだ付け時、又は、バックグラインド工程での、部品の仮固定や表面保護用途が好適である。
本発明に係る耐熱性粘着シートは、耐熱性粘着シート用粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層を備える。
本発明に係る耐熱性粘着シートは、本発明に係る粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層を備えるため、高温熱処理後における耐汚染性及び耐発泡性に優れる。
また、耐熱性粘着シートの最も外側の面は、剥離フィルムで保護されていてもよい。
粘着剤層側の面と反対側の面を剥離フィルムで保護する場合、剥離フィルムとしては、ハードコートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の表面保護フィルムが挙げられる。
耐熱性粘着シートの作製方法としては、特に制限はないが、例えば、本発明に係る粘着剤組成物を剥離フィルム上に塗布し、乾燥させ、剥離フィルム上に粘着剤組成物の塗布層を形成した後、養生させることで耐熱性粘着シートを作製する方法が挙げられる。
また、耐熱性粘着シートの作製方法の他の一例としては、本発明に係る粘着剤組成物を剥離フィルム上に塗布し、乾燥させ、剥離フィルム上に粘着剤組成物の塗布層を形成した後、塗布層の露出面に剥離フィルムを密着させて設け、支持体のない両面粘着テープを作製する。次いで、塗布層を養生させて粘着剤層とする作製する方法が挙げられる。
なお、乾燥の条件としては、例えば、熱風乾燥機を用いて、70℃~120℃で1分間~3分間乾燥させる条件が挙げられる。
本発明に係る粘着剤組成物より得られる粘着剤層は、例えば240℃の環境下で処理した後であっても耐発泡性に優れるので、上記耐熱性粘着シートを含む本発明に係る積層体は、金属箔の外観が保護される。
金属箔の厚さとしては、用途に応じて適宜設定することができ、例えば、1μm~350μmが挙げられ、1μm~220μmであることが好ましい。
また、金属箔としては、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-スズ合金、ニッケル-鉄合金、鉛、鉛-スズ合金等を中間層とし、この両面に銅箔層を設けた3層構造の複合箔、アルミニウム箔と銅箔とを複合した2層構造の複合箔であってもよい。
実施例のガラス転移温度(Tg)、重量平均分子量(Mw)、及び、モル比は上述の方法で測定及び計算したものである。
(製造例1)
温度計、攪拌機、還流冷却器、及び逐次滴下装置を備えた反応器内に、アセトン119質量部、トルエン52質量部、アソビスイソブチロニトリル(AIBN)0.049質量部を仕込んだ。次いで、エチルアクリレート(EA)を361.9質量部((メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して94質量%)、窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーであるN-メチロールアクリルアミド(N-MAM)を23.1質量部((メタ)アクリル系共重合体中の構成単位の総質量に対して6.0質量%)含むモノマー混合物385質量部を用意し、このうち96質量部(モノマー混合物25質量%)を反応装置に仕込み、加熱し、還流温度で20分間還流を行った。
次いで、還流温度条件下で、上記モノマー混合物の残り289質量部(モノマー混合物の75質量%)とアセトン271.4質量部とトルエン98質量部と、AIBN:0.49質量部とを、90分間にわたって逐次滴下し、更に75分間重合反応を行った。
その後、トルエン98質量部とAIBN:2.03質量部の混合液を、50分間にわたって逐次滴下し、更に120分間重合反応を行った。
反応終了後、製造例1の(メタ)アクリル系共重合体の溶液(固形分濃度:41.5質量%)を得た。
なお、「固形分」とは、(メタ)アクリル系共重合体の溶液から溶媒等の揮発性成分を除去した残渣量を意味する。
表1に示すモノマー組成とし、有機溶媒及び重合開始剤の量を変更して重量平均分子量を調整した以外は製造例1と同様にして、製造例2~14の(メタ)アクリル系共重合体を合成した。
製造例1~14の(メタ)アクリル系共重合体のモノマー組成、及び、重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
・2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
・BA:n-ブチルアクリレート
・EA:エチルアクリレート
・EMA:エチルメタクリレート
・MA:メチルアクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
・N-MAM:N-メチロールアクリルアミド(窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位)
・HEAA:ヒドロキシエチルアクリルアミド(窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位)
・2HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
・AA:アクリル酸
<<粘着剤組成物の調製>>
製造例1で調製した(メタ)アクリル系共重合体の溶液(固形分濃度:38質量%)263.2質量部(固形分換算で100質量部)と、架橋剤として、トリレンジイソシアネート(TDI)のトリメチロールプロパン(TMP)とのアダクト変性(商品名:コロネートL45E、東ソー(株)製)を酢酸エチルで希釈したTDI希釈物(固形分濃度:45質量%):6.31質量部(固形分換算として2.84質量部))とを混合し、十分に撹拌して粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を用いて、以下の試験用耐熱性粘着シートの作製方法に従って、試験用粘着シートを作製し、各種試験を行った。
(メタ)アクリル系共重合体が有するヒドロキシ基、及び、N-メチロール基(架橋性官能基)の全モル数に対する、架橋剤の官能基のモル数の比は、0.4であった。
上記で得られた粘着剤組成物を用い、以下のようにして、試験用粘着シートを作製した。ポリイミド(PI)シート(製品名:カプトン(登録商標)、東レ・デュポン(株)製)の上に、乾燥後の塗工量が10g/m2となるように粘着剤組成物を塗布し、熱風循環式乾燥機にて100℃で60秒間乾燥して粘着剤層を形成した。その後、シリコーン系離型剤で表面保護された離型フィルムの上に、粘着剤層が接するようにPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを載置し、加圧ニップロールにより圧着して貼りあわせた。 その後、23℃、50%RHの環境下で1週間養生を行ない、試験用粘着シートを得た。
<<粘着力>>
試験用粘着シートを25mm×150mmの大きさにカットして、試験用粘着シートを2つ用意した。
それぞれ作製した試験用粘着シートの一方の離型フィルムを剥がし、電解銅箔(厚さ:10μm、製品名:NC-WC、古河電気工業(株)製)に貼り合せた。
第1の試験用粘着シートは、銅箔に貼り合わせた後23℃、50%RHの環境下で24時間放置した後、0.3m/分の条件で銅箔から試験用粘着シートを剥離し、初期の粘着力(N/mm)を測定した。
第2の試験用粘着シートは、銅箔に貼り合わせた後23℃、50%RHの環境下で24時間放置した後、240℃の環境下で60分間放置した後、再度23℃、50%RHの環境下で3時間放置し、0.3m/分の条件で銅箔から試験用粘着シートを剥離した。
綿棒に濡れ張力試験用混合液(富士フイルム和光純薬(株)製)を付着させて、上記銅箔に擦りつけ薄層を形成し、2秒間ハジクことなく液膜を保持するか否かの試験(以下、「濡れ張力試験」ともいう。)を行った。
なお、上記濡れ張力試験において、液膜が破れを生じないで、塗布されたときの状態を2秒以上保っている場合は、濡れていると判断する。
濡れ張力試験では、まず、任意の濡れ張力(mN/m)の値を示す濡れ試験用混合液を用いて、試験片に擦りつけ薄層を形成し、液膜(濡れ)が2秒以上保たれるか否か判断し、液膜(濡れ)が2秒以上保たれる場合は、更に、上記濡れ張力(mN/m)よりも次に濡れ張力の高い濡れ張力試験用混合液を選択して濡れ試験を行い、また逆に、2秒以下で液膜が破れる場合は、上記濡れ張力(mN/m)よりも次に濡れ張力の低い濡れ張力試験用混合液を選択し、濡れ試験を行い、この操作を繰り返し、試験片の表面を正確に2秒間で濡らすことができる濡れ張力(mN/m)の値を示す濡れ張力試験用混合液を選び、ハジキの生じない濡れ試薬の最大番号を濡れ指数を求めた。
なお、上記測定は、温度23℃、相対湿度50%の標準試験室雰囲気で実施した。
更に、耐熱試験前の銅箔表面に、濡れ張力試験用混合液を塗布し、上記と同様の操作を繰り返して、濡れ指数(mN/m)48mN/mをブランクの値とした。
耐熱試験後の銅箔表面の濡れ指数(mN/m)と上記ブランク(48mN/m)との絶対値の差を求め、下記の評価基準に従い、耐汚染性の評価を行った。
差が大きいほど、目視では確認できない付着物が残存していることを示す。
A~Cであれば、耐汚染性の許容範囲である。
B:張力差が5以上10未満である。
C:張力差が10以上15未満である。
D:張力差が15以上である。
上記耐熱試験後の銅箔表面を目視で確認し、以下の評価基準に従って評価した。
A又はBであれば許容範囲である。
A:銅箔に発泡が全く見られない。
B:銅箔における発泡跡の占有面積が、貼合わせ面積25mm×100mm四方の50%未満を占める。
C:銅箔における発泡跡の占有面積が、貼合わせ面積25mm×100mm四方の50%以上を占める。
図1に示すように、銅箔上の発泡跡の有無の判断は、目視で判断することができる。
表2に示す製造例の(メタ)アクリル系共重合体及び/又は架橋剤に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製し、この粘着剤組成物を用いて耐熱性粘着シートをそれぞれ作製した。作製した耐熱性粘着シートを用いて、実施例1と同様にして試験用粘着シートを作製し、試験用粘着シートについて、実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表2に示す。
・コロネートL45E:商品名(「コロネート」は登録商標)、トリレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパンとのアダクト体、固形分:45質量%、イソシアネート基の含有率:7.9質量%、イソシアネート系架橋剤、東ソー(株)
・アルミキレートA:商品名、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、金属キレート化合物、川研ファインケミカル(株))
Claims (5)
- エチルアクリレートに由来する構成単位と、窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位と、を含む(メタ)アクリル系共重合体と、
架橋剤と、を含み、
前記(メタ)アクリル系共重合体中のエチルアクリレートに由来する構成単位の含有量が、80質量%~99質量%の範囲であり、
前記(メタ)アクリル系共重合体に含まれるヒドロキシ基の全モル数に対し、前記架橋剤の官能基のモル数の比が、0.1以上1.0以下の範囲である、
耐熱性粘着シート用粘着剤組成物。 - 前記(メタ)アクリル系共重合体中の前記窒素原子とヒドロキシ基とを有する(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位の含有量が、0.5質量%~20質量%の範囲である、請求項1に記載の耐熱性粘着シート用粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル系共重合体に含まれるヒドロキシ基の全モル数に対し、前記架橋剤の官能基のモル数の比が、0.1以上0.4以下の範囲である、請求項1又は請求項2に記載の耐熱性粘着シート用粘着剤組成物。
- 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の耐熱性粘着シート用粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層を備える、耐熱性粘着シート。
- 請求項4に記載の耐熱性粘着シートと、金属箔と、を有する積層体。
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