JP6422771B2 - 粘着剤組成物及び粘着フィルム - Google Patents
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Description
そこで本発明では、塗工性に優れるとともに、粘着フィルムとしたときの加熱処理後の剥離性と汚染性に優れる粘着剤組成物を提供することを課題とする。また、当該粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する粘着フィルムを提供することを課題とする。
<1>アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を含み、重量平均分子量が300000〜1500000である(メタ)アクリル系ポリマーと、
アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を含み、水酸基価が70mgKOH/g以上であり、重量平均分子量が1000〜30000である(メタ)アクリル系オリゴマーと、
イソシアネート化合物と、を含み、
前記(メタ)アクリル系ポリマーの水酸基価をC(mgKOH/g)、前記(メタ)アクリル系オリゴマーの水酸基価をD(mgKOH/g)、前記(メタ)アクリル系ポリマーの含有量をc(質量部)、前記(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量をd(質量部)としたときに、下記式で表される水酸基価の合計が15mgKOH/g〜90mgKOH/gである、粘着剤組成物。
水酸基価の合計=C×{c/(c+d)}+D×{d/(c+d)}
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両者を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を意味し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を意味する。
本発明の粘着剤組成物は、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を含み、重量平均分子量が300000〜1500000である(メタ)アクリル系ポリマーと、
アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を含み、水酸基価が70mgKOH/g以上であり、重量平均分子量が1000〜30000である(メタ)アクリル系オリゴマーと、
イソシアネート化合物と、を含み、
前記(メタ)アクリル系ポリマーの水酸基価をC(mgKOH/g)、前記(メタ)アクリル系オリゴマーの水酸基価をD(mgKOH/g)、前記(メタ)アクリル系ポリマーの含有量をc(質量部)、前記(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量をd(質量部)としたときに、下記式で表される水酸基価の合計が15mgKOH/g〜90mgKOH/gである。
水酸基価の合計=C×{c/(c+d)}+D×{d/(c+d)}
2種以上の重合体を含む粘着剤組成物は、重合体間の絡み合いにより、擬塑性が強くなりやすいことが知られている。また、重合体に含まれる水酸基の量が多い粘着剤組成物は、水素結合により擬塑性が強くなりやすいことが知られている。本発明者らの検討において、擬塑性が強いと、塗工性が悪い傾向にあることがわかった。本発明における粘着剤組成物は、分子量が十分に小さいオリゴマーをポリマーと併用することで、重合体間の物理的な絡み合いが非常に少なく、擬塑性が低く抑えられ、塗工性に優れていると考えられる。また、(メタ)アクリル系ポリマーと(メタ)アクリル系オリゴマーの水酸基価の合計を特定の範囲内とすることで、水素結合に起因する擬塑性が低く抑えられるため、塗工性に優れると考えられる。
A=(メタ)アクリル系ポリマー又は(メタ)アクリル系オリゴマーに使用される全モノマー中の、水酸基を有するモノマーの含有率(質量%)
B=(メタ)アクリル系ポリマー又は(メタ)アクリル系オリゴマーに使用される水酸基を有するモノマーの分子量
なお、56.1はKOHの分子量である。
C=(メタ)アクリル系ポリマーの水酸基価
D=(メタ)アクリル系オリゴマーの水酸基価
c=(メタ)アクリル系ポリマーの含有量(質量部)
d=(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量(質量部)
C=(メタ)アクリル系ポリマーの水酸基価
D=(メタ)アクリル系オリゴマーの水酸基価
c=(メタ)アクリル系ポリマーの含有量(質量部)
d=(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量(質量部)
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を含み、重量平均分子量が300000〜1500000である。
(1)(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を剥離紙に塗布し、100℃で2分間乾燥し、フィルム状の(メタ)アクリル系ポリマーを得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系ポリマーとテトラヒドロフランとを用いて、固形分濃度が0.2質量%である試料溶液を得る。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、下記条件にて、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定する。
・GPC :HLC−8220 GPC〔東ソー(株)製〕
・カラム :TSK−GEL GMHXL 4本使用
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・流速 :0.6mL/分
・カラム温度:40℃
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・+w(k−1)/Tg(k−1)+wk/Tgk
式中、Tg1、Tg2、・・・、Tg(k−1)、Tgkは、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する各モノマーの単独重合体としたときのガラス転移温度(K)をそれぞれ表す。w1、w2、・・・、w(k−1)、wkは、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する各モノマーの質量分率をそれぞれ表し、w1+w2+・・・+w(k−1)+wk=1である。
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系オリゴマーは、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を含み、水酸基価が70mgKOH/g以上であり、重量平均分子量が1000〜30000である。
本発明の粘着剤組成物は、イソシアネート化合物を含む。イソシアネート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、前記した芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物等の鎖状又は環状の脂肪族ポリイソシアネート化合物、これらのポリイソシアネート化合物のビウレット体、2量体、3量体又は5量体、これらのポリイソシアネート化合物と、トリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体などが挙げられる。これらのイソシアネート化合物は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の粘着剤組成物におけるイソシアネート化合物の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーに含まれる水酸基と(メタ)アクリル系オリゴマーに含まれる水酸基との合計1当量に対してイソシアネート基が0.6当量〜1.8当量となる量であることがより好ましく、イソシアネート基が0.7当量〜1.3当量となる量であることがさらに好ましい。
本発明の粘着剤組成物が、(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリル系オリゴマー及びイソシアネート化合物の他に含んでもよいその他の成分としては、架橋触媒、キレート剤、溶剤、耐候性安定剤、タッキファイヤ−、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機充填剤、(メタ)アクリル系ポリマー以外のポリマー、(メタ)アクリル系オリゴマー以外のオリゴマー等が挙げられる。粘着剤組成物がこれらの成分を含む場合の含有量は、本発明の効果が発揮される範囲内において設定することができる。
キレート剤としては、例えばβ−ジケトン類やβ−ケトエステル類等が挙げられる。β−ジケトン類やβ−ケトエステル類としては、例えばアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル等が挙げられる。粘着剤組成物がこれらのキレート剤を含むことで、ポットライフを向上させることができる。これらのキレート剤の中でも、ポットライフを向上させる観点から、アセチルアセトンが好ましい。
本発明の粘着剤組成物に使用される(メタ)アクリル系ポリマー及び(メタ)アクリル系オリゴマーの重合方法は、特に制限されない。例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の公知の方法を適用できる。中でも、処理工程が比較的簡単であり、かつ短時間で行うことができる点で、溶液重合が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−i−プロピルペルオキシジカルボナト、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナト、t−ブチルペルオキシビバラト、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン等が挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−i−ブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸、シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類、ブロモ酢酸、ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類、α‐メチルスチレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類、p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類、ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類、トリブチルボランなどのボラン誘導体、四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペンなどのハロゲン化炭化水素類、クロラール、フラルデヒドなどのアルデヒド類、炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類、チオフェノール、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類、炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類、ビネン、ターピノレンなどのテルペン類等が挙げられる。
本発明の粘着フィルムは、基材と、前記基材上に設けられ、本発明の粘着剤組成物に由来する粘着剤層と、を備える。本発明の粘着フィルムは、本発明の粘着剤組成物に由来する粘着剤層を有することで外観に優れるとともに、加熱処理後であっても、剥離性及び汚染性に優れている。
同様の観点から、中速剥離における剥離力は、0.3N/25mm以下であることがより好ましい。
(1)精密天秤にて質量を正確に測定した250メッシュの金網(100mm×100mm)に、粘着剤層を約0.25g貼付し、ゲル分が漏れないように包む。その後、精密天秤にて質量を正確に測定して試料を作製する。
(2)得られた試料を酢酸エチル80mlに3日間浸漬する。
(3)試料を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、120℃で24時間乾燥させる。その後、精密天秤にて質量を正確に測定する。
(4)下式によりゲル分率を算出する。
ゲル分率(質量%)=(Z−X)/(Y−X)×100
但し、Xは金網の質量(g)、Yは粘着剤層を貼付した金網の浸漬前の質量(g)、Zは浸漬後乾燥させた、粘着剤層を貼付した金網の質量(g)である。
(製造例1)
温度計、攪拌機、還流冷却器、及び逐次滴下装置を備えた反応容器内に、酢酸エチル25質量部、アルキルアクリレートとして2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)24.3質量部、水酸基を有するモノマーとして4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)0.7質量部を入れ、撹拌を行いながら反応容器内の温度を還流が発生するまで昇温させた。還流開始から10分後、2EHA72.3質量部、4HBA 7.7質量部、重合開始剤として1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリル(V―40:和光純薬工業製)0.2質量部を酢酸エチル20質量部に溶解させた溶液を120分かけて滴下し、滴下終了後さらに150分間かけて反応を完結させた。反応完結後、固形分が35質量%となるように酢酸エチルで希釈し、(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を調製した。
得られた(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー組成(質量%)、重量平均分子量(Mw)、水酸基価及びTgを表1に示す。重量平均分子量(Mw、単位:万)は、既述の方法で測定したものである。水酸基価及びTgは既述の方法で計算したものである。具体的には、水酸基価は次のとおり計算した。なお、4HBAの分子量は、144.2である。
{(3/100)÷144.2}×56.1×1000=11.7(mgKOH/g)
なお、「固形分」とは(メタ)アクリル系ポリマーの溶液から溶媒等の揮発性成分を除去した残渣量である。
製造例1において、モノマーの組成を表1に示すように変更すると共に、溶剤量や開始剤量の調整により、下記表1に示すように分子量を調整したこと以外は、製造例1と同様の方法により(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマーの組成(質量%)、重量平均分子量(Mw、単位:万)及びTgを表1に示す。表中の「MA」はメチルアクリレート、「LMA」はラウリルメタクリレートをそれぞれ表す。
(製造例A)
温度計、撹拌機、還流冷却器、及び逐次滴下装置を備えた反応容器内に、アルキルアクリレートとして2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)8質量部、水酸基を有するモノマーとして4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)2質量部、トルエン31.7質量部、メチルエチルケトン(MEK)31.7質量部、重合開始剤として2,2’‐アゾビス(イソ酪酸メチル)(V―601:和光純薬工業製)0.67質量部を入れ、撹拌を行いながら反応容器内の温度を還流が発生するまで上昇させた。還流開始から10分後、2EHA72質量部、4HBA18質量部、2,2’‐アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(V―601:和光純薬工業製)9.0質量部をMEK14.7質量部に溶解させた溶液を90分かけて滴下し、滴下終了後さらに230分かけて反応を完結させた。反応完結後、固形分が35%となるようにトルエンを加え、(メタ)アクリル系オリゴマーの溶液を調製した。
得られた(メタ)アクリル系オリゴマーのモノマー組成(質量%)、重量平均分子量(Mw)及び水酸基価を表2に示す。重量平均分子量(Mw、単位:万)は、既述の方法で測定したものである。水酸基は既述の方法で計算したものであり、具体的には次のとおり計算した。なお、4HBAの分子量は、144.2である。
{(20/100)÷144.2}×56.1×1000=77.8(mgKOH/g)
なお、「固形分」とは(メタ)アクリル系オリゴマーの溶液から溶媒等の揮発性成分を除去した残渣量である。
製造例Aにおいて、モノマーの組成を表2に示すように変更すると共に、溶剤量や開始剤量の調整により、下記表2に示すように分子量を調整したこと以外は、製造例Aと同様の方法により(メタ)アクリル系オリゴマーの溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系オリゴマーの組成(質量%)、重量平均分子量(Mw、単位:万)及び水酸基価を表2に示す。表中の「MA」はメチルアクリレート、「LMA」はラウリルメタクリレート、「2HEA」は2−ヒドロキシエチルアクリレートをそれぞれ表す。
−粘着剤組成物の作製−
製造例1で調製した(メタ)アクリル系ポリマーの溶液(固形分:35質量%)90質量部と、製造例Aで調製した(メタ)アクリル系オリゴマーの溶液(固形分:35質量%)10質量部と、イソシアネート化合物(スミジュールN3300、住化バイエルウレタン株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート構造を有するイソシアネート化合物)2.43質量部((メタ)アクリル系ポリマーに含まれる水酸基及び(メタ)アクリル系オリゴマーに含まれる水酸基の合計水酸基1当量に対して、イソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基が1.00当量)と、架橋触媒(アデカスタブOT−1、株式会社ADEKA製、ジオクチルチンジラウレート、有効成分:100質量部)をアセチルアセトンで300倍に希釈したもの2.1質量部とを混合し、充分に撹拌して粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を用いて、以下の試験用粘着フィルムの作製方法に従って試験用粘着フィルムを作製し、各種試験を行った。水酸基価の合計及び水酸基価の比率を表3に示す。
水酸基価の合計及び水酸基価の比率は既述の方法で計算したものであり、具体的には次のとおり計算した。
水酸基価の合計
11.7×{90/(90+10)}+77.8×{10/(90+10)}=18.3
水酸基価の比率
11.7×{90/(90+10)}/77.8×{10/(90+10)}=1.4
上記で得られた粘着剤組成物を用い、以下のようにして、試験用粘着フィルムを作製した。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ルミラーU35、東レ株式会社製、厚さ:125μm)の上に、乾燥後の塗工量が20g/m2となるように粘着剤組成物を塗布し、熱風循環式乾燥機にて100℃で60秒間乾燥して粘着剤層を形成した。その後、シリコーン系離型剤で表面保護された離型フィルムの上に、粘着剤層が接するようにPETフィルムを載置し、加圧ニップロールにより圧着して貼りあわせた。その後、23℃、50%RHの環境下で2日間、架橋反応を終了させるための養生を行なって試験用粘着フィルムを作製した。
得られた粘着剤層のゲル分率を表3に示す。なお、ゲル分率は既述の方法により測定したものである。
[剥離性]
上記で作製した試験用粘着フィルムを25mm×150mmの大きさにカットし、得られた粘着フィルム片から離型フィルムを剥がし、ハードコート処理されたPETフィルム(KBフィルムG01S、株式会社きもと製)のハードコート処理された面に貼り付け、2kgのゴムロールを1往復して圧着した。この試験サンプルを23℃、50%RH環境下で1時間放置後、150℃環境下で1時間加熱処理を行い、続いて23℃、50%RH環境下で1時間放置した。その後、粘着フィルムを長辺(150mm)方向に剥離した場合の180°剥離における粘着力を剥離速度10m/分(中速剥離)の条件で測定し、以下の基準に従って評価した。結果を表3に示す。
B:0.05N/25mm以上0.1N/25mm未満、又は0.25N/25mm以上0.4N/25mm未満である場合(剥離性が良好)
C:0.4N/25mm以上0.5N/25mm未満である場合(剥離性がやや悪いが許容範囲内)
D:0.5N/25mm以上、又は0.05N/25mm未満である場合(剥離性が悪く不良)
加熱処理後の粘着力の測定に用いた、試験用保護フィルムを剥離した後のハードコート処理されたPETフィルムのハードコート処理された表面上に、2μLの純水を滴下し、滴下から30秒後に接触角測定装置(Drop Master DM−701、協和界面科学株式会社製)を用いて水の接触角(θ1)を測定した。得られた値と、予め測定しておいた試験用保護フィルムを貼り付けていないハードコート処理面の水の接触角(θ0=84°)との差の絶対値(Δθ=|θ1−θ0|)を汚染性の指標とし、以下の基準に従って評価した。結果を表3に示す。
B:Δθが2.0を超え4.5以下である場合(汚染性が良好)
C:Δθが4.5を超え7.5以下である場合(汚染性が悪いが許容範囲内)
D:Δθが7.5を超えている場合(汚染性が悪く不良)
製造例1〜12で調製した(メタ)アクリル系ポリマーの溶液と、製造例A〜Lで調製した(メタ)アクリル系オリゴマーの溶液を、表3に記載の配合比率で配合して混合液を調製し、混合液の剪断粘度を下記条件で測定した。測定機器はMCR−301(Anton Paar社製)に25mmφコーンプレート(CP25−2)を装着して行い、ステージ温度:25℃、シアレート:0.001〜3000(1/秒)、測定時間:60秒、混合液の温度:25℃の測定条件で行った。得られたグラフの内、シアレート(1/秒)が0.01〜0.1の部分にベースラインを引き、測定値がベースラインから離れたときのシアレート(1/秒)を読み取り、以下の基準に従って評価した。結果を表3に示す。
B:シアレート(1/秒)が1.0以上5.0未満である場合(塗工性が良好)
C:シアレート(1/秒)が0.5以上1.0未満である場合(塗工性が悪いが許容範囲内)
D:シアレート(1/秒)が0.5未満である場合(塗工性が悪く不適)
上記で作製した試験用粘着フィルムを、面積が25mm×150mmの粘着剤層を有する部分と、その両側に存在する30mmの粘着剤層が形成されていない部分と、からなる25mm×210mmの短冊状にカットした。得られた粘着フィルム片から離型フィルムを剥がし、粘着剤層が外側になるように湾曲させ、上記粘着剤層が形成されていない部分を重ねて指でつまんだ。湾曲した粘着剤層の先端にあたる部分をハードコート処理されたPETフィルム(KBフィルムG01S、株式会社きもと製)の表面に接触させ、指を離してから粘着剤層がPETフィルムのハードコート処理面に密着して全体に濡れ広がるまでの時間を測定し、以下の基準に従って評価した。結果を表3に示す。
B:30秒以上、60秒未満である場合(なじみ性が良く良好)
C:60秒以上、120秒未満である場合(なじみ性がやや悪いが許容範囲内)
D:120秒以上、または、粘着剤層が端まで濡れ広がらない場合(なじみ性が悪く許容範囲外)
(メタ)アクリル系ポリマー及び(メタ)アクリル系オリゴマーの種類及び比率を表3に示すように変更し、イソシアネート化合物の量を、(メタ)アクリル系ポリマー及び(メタ)アクリル系オリゴマーに含まれる水酸基の合計1当量に対して、イソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基が表3に示す当量となるように調整した以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物を作製した。作製した粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして試験用粘着フィルムを作製した。得られた試験用粘着フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表3に示す。
なお、実施例1〜20及び22は、(メタ)アクリル系オリゴマーの全構成単位100質量%に対して、単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が−50℃以下であるモノマーに由来する構成単位が50質量%以上である。
(メタ)アクリル系オリゴマーを含有しない比較例1の粘着剤組成物は、剥離性の評価が低かった。
(メタ)アクリル系オリゴマーの水酸基価が70mgKOH/gより低い比較例2及び比較例3の粘着剤組成物は、剥離性の評価が低かった。
(メタ)アクリル系ポリマーと(メタ)アクリル系オリゴマーの合計の水酸基価が15mgKOH/gより低い比較例4の粘着剤組成物は、剥離性と汚染性の評価が低かった。
(メタ)アクリル系ポリマーと(メタ)アクリル系オリゴマーの合計の水酸基価が90mgKOH/gより高い比較例5の粘着剤組成物は、剥離性となじみ性の評価が低かった。
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量が1500000より大きい比較例6の粘着剤組成物は、塗工性となじみ性の評価が低かった。
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量が300000より小さい比較例7の粘着剤組成物は、汚染性の評価が低かった。
(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量が30000より大きい比較例8の粘着剤組成物は、塗工性の評価が低かった。
(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量が1000より小さい比較例9の粘着剤組成物は、汚染性の評価が低かった。
Claims (4)
- アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を含み、重量平均分子量が300000〜1500000である(メタ)アクリル系ポリマーと、
アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を含み、水酸基価が70mgKOH/g以上であり、重量平均分子量が1000〜30000である(メタ)アクリル系オリゴマーと、
イソシアネート化合物と、を含み、
前記(メタ)アクリル系ポリマーと前記(メタ)アクリル系オリゴマーとの合計質量に対する(メタ)アクリル系オリゴマーの割合が1質量%〜40質量%であり、
前記(メタ)アクリル系オリゴマーは、全構成単位100質量%に対して、単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が−50℃以下であるモノマーに由来する構成単位を50質量%以上含み、
前記(メタ)アクリル系ポリマーの水酸基価をC(mgKOH/g)、前記(メタ)アクリル系オリゴマーの水酸基価をD(mgKOH/g)、前記(メタ)アクリル系ポリマーの含有量をc(質量部)、前記(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量をd(質量部)としたときに、下記式で表される水酸基価の合計が15mgKOH/g〜90mgKOH/gである、粘着剤組成物。
水酸基価の合計=C×{c/(c+d)}+D×{d/(c+d)}
- 前記イソシアネート化合物の含有量が、前記(メタ)アクリル系ポリマーに含まれる水酸基と前記(メタ)アクリル系オリゴマーに含まれる水酸基との合計1当量に対して、イソシアネート基が0.4当量〜2.2当量となる量である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は−50℃以下である、請求項1又は請求項2に記載の粘着剤組成物。
- 基材と、前記基材上に設けられ、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物に由来する粘着剤層と、を備える粘着フィルム。
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