JP7402769B2 - 車両保護フィルム用粘着剤組成物及び車両保護フィルム - Google Patents

車両保護フィルム用粘着剤組成物及び車両保護フィルム Download PDF

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本開示は、車両保護フィルム用粘着剤組成物及び車両保護フィルムに関する。
車両保護フィルムは、車両の塗装面に傷、汚れ等が付かないように、外的要因から車両を守るための粘着フィルムである。このような粘着フィルムは、ペイントプロテクションフィルム(PPF)とも称され、近年、広く用いられている。
車両保護フィルムには、車両に貼り付けられてから剥がされるまでの間、車両の塗装面から剥離しないよう、十分な粘着力を有する粘着剤層を備えていることが求められる。一般に、粘着剤層が被着体に対して十分な粘着力を示すためには、粘着剤層の凝集力を適度に高め、かつ、粘着剤層の被着体へのぬれ性を高める必要がある。
例えば、特許文献1には、アルキル基の炭素数が4である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、アルキル基の炭素数が1~2である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、及びカルボキシ基含有モノマーを含むモノマー混合物の共重合物であるアクリル系ポリマー、並びに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、及び金属キレートから選ばれる少なくとも1種の硬化剤を含んでなるポリ塩化ビニル用粘着剤であって、上記粘着剤から形成された粘着剤層の周波数1Hz、70℃での貯蔵弾性率が、0.05MPa~1MPaであるポリ塩化ビニル用粘着剤が記載されている。
特許文献1に記載された粘着剤によれば、アルキル基の炭素数が1~2である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーによって、粘着剤層の凝集力を高めるとともに、カルボキシ基含有モノマーによって、粘着剤層の被着体へのぬれ性を高めることで、被着体に対して十分な粘着力を示す粘着剤層を形成できるとされている。
特許第6296184号公報
ところで、車両保護フィルムは、車両に貼り付けられた後、洗車等の際に、洗浄剤に含まれるアルカリ成分に曝される。車両保護フィルムが備える粘着剤層は、アルカリ成分に曝されると膨潤することがある。粘着剤層が膨潤すると、車両保護フィルムが車両から剥がれやすくなる。このため、車両保護フィルムには、耐アルカリ性に優れる粘着剤層を備えていることが求められる。また、車両保護フィルムは、車両に貼り付けられてから一定期間(例えば、3年)を経過した後に車両から剥離されるが、高温環境下に長期間曝されているため、車両から車両保護フィルムを剥離する際に、粘着剤層が車両に転着(所謂、糊残り)する場合がある。このため、車両保護フィルムには、糊残りを生じさせずに車両から剥離できる性質、いわゆるリワーク性に優れる粘着剤層を備えていることが求められる。
粘着剤層の耐アルカリ性を向上させるためには、粘着剤組成物に含まれるポリマー中のカルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の割合を少なくする必要がある。また、粘着剤層のリワーク性を向上させるためには、粘着剤層の凝集力を高め、粘着剤層を硬くするとともに、粘着剤組成物に含まれるポリマー中のカルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の割合を少なくして、粘着剤層の被着体へのぬれ性を低下させる必要がある。
しかし、粘着剤層の耐アルカリ性及びリワーク性を向上させるために、粘着剤組成物に含まれるポリマー中のカルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の割合を少なくすると、粘着剤層の被着体へのぬれ性が不足し、粘着剤層の粘着力が低下する傾向を示す。このように、粘着剤層の粘着力を低下させることなく、粘着剤層の耐アルカリ性及びリワーク性を向上させることは、従来困難であった。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、被着体に対して良好な粘着力を示し、かつ、耐アルカリ性及びリワーク性に優れる粘着剤層を形成できる車両保護フィルム用粘着剤組成物を提供することにある。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、被着体に対して良好な粘着力を示し、かつ、耐アルカリ性及びリワーク性に優れる車両保護フィルムを提供することにある。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して45質量%~70質量%、及び、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.1質量%~2.5質量%含み、かつ、重量平均分子量が20万~250万である(メタ)アクリル系共重合体(A)と、
水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して2.5質量%~20質量%含み、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲であり、かつ、重量平均分子量が0.1万~0.8万である(メタ)アクリル系共重合体(B)と、
金属キレート系架橋剤、及び、イソシアネート系架橋剤(但し、トリレンジイソシアネート化合物及びジフェニルメタンジイソシアネート化合物を除く。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋剤と、を含み、
上記(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して5質量部~35質量部であり、
上記金属キレート系架橋剤及び上記イソシアネート系架橋剤の合計含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して0.01質量部~1質量部である車両保護フィルム用粘着剤組成物。
<2> 架橋後のゲル分率が、39質量%以下である<1>に記載の車両保護フィルム用粘着剤組成物。
<3> 上記(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が、-30℃~-10℃である<1>又は<2>に記載の車両保護フィルム用粘着剤組成物。
<4> 上記(メタ)アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度が、35℃~85℃である<1>~<3>のいずれか1つに記載の車両保護フィルム用粘着剤組成物。
<5> 上記(メタ)アクリル系共重合体(A)が、単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を更に含む<1>~<4>のいずれか1つに記載の車両保護フィルム用粘着剤組成物。
<6> 基材と、
上記基材上に設けられ、かつ、<1>~<5>のいずれか1つに記載の車両保護フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、
を備える車両保護フィルム。
本開示の一実施形態によれば、被着体に対して良好な粘着力を示し、かつ、耐アルカリ性及びリワーク性に優れる粘着剤層を形成できる車両保護フィルム用粘着剤組成物が提供される。
本開示の他の実施形態によれば、被着体に対して良好な粘着力を示し、かつ、耐アルカリ性及びリワーク性に優れる車両保護フィルムが提供される。
以下、本開示の車両保護フィルム用粘着剤組成物及び車両保護フィルムの具体的な実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、粘着剤組成物中の各成分の量は、粘着剤組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、粘着剤組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル系共重合体」とは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、全構成単位〔即ち、(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位〕の50質量%以上である共重合体を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル系単量体」とは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方を包含する用語である。
本開示において、「n-」はノルマルを意味し、「i-」はイソを意味し、「s-」はセカンダリーを意味し、「t-」はターシャリーを意味する。
本開示において、「粘着剤組成物」とは、架橋反応が終了する前の液状又はペースト状の物質を意味する。
本開示において、「粘着剤層」とは、粘着剤組成物における架橋反応が終了した後の物質からなる膜を意味する。
[車両保護フィルム用粘着剤組成物]
本開示の車両保護フィルム用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう。)は、炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して45質量%~70質量%、及び、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.1質量%~2.5質量%含み、かつ、重量平均分子量が20万~250万である(メタ)アクリル系共重合体(A)〔以下、「特定(メタ)アクリル系共重合体(A)」ともいう。〕と、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して2.5質量%~20質量%含み、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲であり、かつ、重量平均分子量が0.1万~0.8万である(メタ)アクリル系共重合体(B)〔以下、「特定(メタ)アクリル系共重合体(B)」ともいう。〕と、金属キレート系架橋剤、及び、イソシアネート系架橋剤(但し、トリレンジイソシアネート化合物及びジフェニルメタンジイソシアネート化合物を除く。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋剤(以下、「特定架橋剤」ともいう。)と、を含み、上記(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して5質量部~35質量部であり、上記金属キレート系架橋剤及び上記イソシアネート系架橋剤の合計含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して0.01質量部~1質量部である。
本開示の粘着剤組成物によれば、被着体に対して良好な粘着力を示し、かつ、耐アルカリ性及びリワーク性に優れる粘着剤層を形成できる。
本開示の粘着剤組成物がこのような効果を奏し得る理由については明らかでないが、本発明者らは以下のように推測している。但し、以下の推測は、本開示の粘着剤組成物を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
本開示の粘着剤組成物は、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を適度に含む特定(メタ)アクリル系共重合体(B)と、水酸基と反応し難い特定架橋剤とを含んでいる。特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の水酸基は、特定架橋剤との間で、ほとんど架橋反応しないものの、弱い相互作用を示すと考えられる。この特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の水酸基と特定架橋剤との間で発現する弱い相互作用により、粘着剤層は、適度な凝集力を示すと推察される。また、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)に含まれる水酸基は、過度に多くないため、粘着剤層と被着体との密着性が高くなりすぎないと考えられる。このため、形成される粘着剤層は、被着体に対して良好な粘着力を示しつつ、リワーク性に優れると推察される。また、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、炭素数が少ないアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を適度に含んでいる。炭素数が少ないアルキル基は、立体障害が起こり難いため、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)同士、又は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)と特定(メタ)アクリル系共重合体(B)との間で、分子鎖が絡みやすいと考えられる。この分子鎖の絡みにより、形成される粘着剤層は、凝集力が高まり、リワーク性に優れると推察される。
以上のように、本開示の粘着剤組成物は、粘着剤層に凝集力を付与するために、架橋を利用するのではなく、水酸基と架橋剤との弱い相互作用及び分子鎖の絡み合いを利用している点を特徴としている。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を全く含まないか、又は、ほとんど含まないため、過度に架橋せず、粘着剤層の表面(所謂、被着体との界面付近)に適度に偏在すると考えられる。特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、水酸基を適度に含むため、形成される粘着剤層の被着体との密着性が向上し、良好な粘着力を実現できると推察される。
本開示の粘着剤組成物に含まれる特定(メタ)アクリル系共重合体(A)及び特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、いずれもカルボキシ基を過度に含んでいないため、例えば、洗車の際に、粘着剤層が洗浄剤に含まれるアルカリ成分に曝された場合でも、アルカリ成分との反応による粘着剤層の変質(例えば、膨潤)が生じ難いと考えられる。このため、形成される粘着剤層は、耐アルカリ性に優れると推察される。
以上により、本開示の粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、被着体に対して良好な粘着力を示し、かつ、耐アルカリ性及びリワーク性に優れると考えられる。
以下、本開示では、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)及び特定(メタ)アクリル系共重合体(B)を「特定(メタ)アクリル系共重合体」と総称する。
〔特定(メタ)アクリル系共重合体(A)〕
本開示の粘着剤組成物は、炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して45質量%~70質量%、及び、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.1質量%~2.5質量%含み、かつ、重量平均分子量が20万~250万である(メタ)アクリル系共重合体(A)〔即ち、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)〕を含む。
<炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して45質量%~70質量%含む。
本開示において、「炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位」とは、炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリレート及びエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましく、メチルアクリレートが特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における、炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して、45質量%~70質量%であり、45質量%~65質量%であることが好ましく、50質量%~65質量%であることがより好ましく、50質量%~60質量%であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における、炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して45質量%以上であると、リワーク性に優れる粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)同士で、又は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)と特定(メタ)アクリル系共重合体(B)との間で、分子鎖が十分に絡み合い、形成される粘着剤層の凝集力が高まるためと考えられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における、炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して70質量%以下であると、被着体に対して良好な粘着力を示す粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、形成される粘着剤層の被着体との密着性が過度に低くならないためと考えられる。
<カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.1質量%~2.5質量%含む。
本開示において、「カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位」とは、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体の種類は、特に限定されない。
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、及び2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-コハク酸が挙げられる。
これらの中でも、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、アクリル酸及びω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)におけるカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して、0.1質量%~2.5質量%であり、0.2質量%~2.3質量%であることが好ましく、0.5質量%~2.0質量%であることがより好ましく、0.5質量%~1.5質量%であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)におけるカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して0.1質量%以上であると、リワーク性に優れる粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、金属キレート系架橋剤又は特定イソシアネート系架橋剤と十分に架橋することで、形成される粘着剤層が十分な凝集力を示すためと考えられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)におけるカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して2.5質量%以下であると、耐アルカリ性に優れる粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、アルカリ性の成分を反応し難くなるためと考えられる。
<単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を更に含むことが好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)が、単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含むと、被着体に対して良好な粘着力を示す粘着剤層をより形成しやすい傾向がある。
本明細書において、「単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位」とは、単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されず、例えば、2-エチルヘキシルアクリレート(Tg:-76℃)、i-オクチルアクリレート(Tg:-75℃)、n-オクチルアクリレート(Tg:-65℃)、及びi-デシルアクリレート(Tg:-62℃)が挙げられる。
これらの中でも、単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
2-エチルヘキシルアクリレートは、単独重合体としたときのガラス転移温度が低いことに加えて、炭素数8の分岐鎖アルキル基を有する。このため、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)が2-エチルヘキシルアクリレートに由来する構成単位を更に含むと、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)同士で、又は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)と特定(メタ)アクリル系共重合体(B)との間で、一旦、絡み合った分子鎖が解け難くなり、被着体に対する粘着力がより良好となる傾向がある。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含む場合、この単量体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)が、単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含む場合、この単量体の含有率は、特に限定されず、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して、29.9質量%~54.9質量%であることが好ましく、31質量%~54質量%であることがより好ましく、35質量%~50質量%であることが更に好ましく、40質量%~50質量%であることが特に好ましい。
<その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、及び、単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体〔所謂、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体〕に由来する構成単位を含んでいてもよい。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、無置換の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であることが好ましい。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、又は環状アルキル基のいずれであってもよいが、分岐鎖アルキル基であることが好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)が、分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を更に含むと、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)同士で、又は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)と特定(メタ)アクリル系共重合体(B)との間で、一旦、絡み合った分子鎖が解け難くなり、被着体に対する粘着力がより良好となる傾向がある。
アルキル基の炭素数は、3以上であればよく、4以上であることが好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)が、炭素数の多い直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を更に含むと、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)同士で、又は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)と特定(メタ)アクリル系共重合体(B)との間で、一旦、絡み合った分子鎖が解け難くなり、被着体に対する粘着力がより良好となる傾向がある。このような観点からは、アルキル基の炭素数は、6以上であることがより好ましい。
アルキル基の炭素数の上限は、特に限定されないが、例えば、18以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例としては、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、s-ブチルアクリレート、s-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、i-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ノニルアクリレート、n-ノニルメタクリレート、i-ノニルアクリレート、i-ノニルメタクリレート、n-デシルアクリレート、n-デシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、n-ブチルアクリレート(n-BA)が好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む場合、この構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)がその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含む場合、この単量体の含有率は、特に限定されず、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して、29.9質量%~54.9質量%であることが好ましく、31質量%~54質量%であることがより好ましく、35質量%~50質量%であることが更に好ましく、40質量%~50質量%であることが特に好ましい。
<その他の構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、本開示の粘着剤組成物の効果を損なわない範囲において、既述の構成単位以外の構成単位(所謂、その他の構成単位)を含むことができる。
その他の構成単位を構成する単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートに代表される芳香族環を有する(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエトキシエチル(メタ)アクリレートに代表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、p-クロロスチレン、クロロメチルスチレン、及びビニルトルエンに代表される芳香族モノビニル、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニル、並びに、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びバーサチック酸ビニルに代表されるビニルエステルが挙げられる。また、これらの単量体の各種誘導体が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、その他の構成単位を含む場合、その他の構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)がその他の構成単位を含む場合、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)におけるその他の構成単位の含有率は、特に限定されず、目的に応じて、適宜設定できる。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度>>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(「Tg」ともいう。)は、特に限定されないが、例えば、-49℃~-10℃であることが好ましく、-30℃~-10℃であることがより好ましく、-28℃~-12℃であることが更に好ましく、-25℃~-15℃であることが特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が-49℃以上であると、リワーク性に優れる粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、形成される粘着剤層の被着体との密着性がより過度に高くならないためと考えられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が-10℃以下であると、被着体に対して良好な粘着力を示す粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、形成される粘着剤層がより適度に柔らかくなるためと考えられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度は、下記の式1から計算により求められる絶対温度(単位:K;以下、同じ。)をセルシウス温度(単位:℃;以下、同じ。)に換算した値である。
1/Tg=m1/Tg1+m2/Tg2+・・・+m(k-1)/Tg(k-1)+mk/Tgk (式1)
式1中、Tg1、Tg2、・・・、Tg(k-1)、及びTgkは、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成する各単量体を単独重合体としたときの絶対温度で表されるガラス転移温度をそれぞれ表す。m1、m2、・・・、m(k-1)、及びmkは、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成する各単量体のモル分率をそれぞれ表し、m1+m2+・・・+m(k-1)+mk=1である。
なお、絶対温度から273を引くことで絶対温度をセルシウス温度に換算でき、セルシウス温度に273を足すことでセルシウス温度を絶対温度に換算できる。
本開示において、「単独重合体としたときの絶対温度で表されるガラス転移温度」とは、その単量体を単独で重合して製造した単独重合体の絶対温度で表されるガラス転移温度をいう。
単独重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)〔型番:EXSTAR6000、セイコーインスツル(株)製〕を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定し、得られたDSCカーブの変曲点を単独重合体のガラス転移温度としたものである。
代表的な単量体の「単独重合体としたときのセルシウス温度で表されるガラス転移温度」は、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)が-76℃、2-エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)が-10℃、n-ブチルアクリレート(n-BA)が-57℃、n-ブチルメタクリレート(n-BMA)が21℃、t-ブチルアクリレート(t-BA)が41℃、t-ブチルメタクリレート(t-BMA)が107℃、i-ブチルメタクリレート(i-BMA)が48℃、メチルアクリレート(MA)が5℃、メチルメタクリレート(MMA)が103℃、イソボニルメタクリレート(IBXMA)が155℃、イソボニルアクリレート(IBXA)が96℃、エチルアクリレート(EA)が-27℃、メタクリル酸が185℃、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)が-39℃、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)が-15℃、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)が55℃、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2HPA)が-7℃、アクリル酸(AA)が163℃、n-オクチルアクリレート(n-OA)が-65℃、i-オクチルアクリレート(i-OA)が-75℃、i-デシルアクリレートが-62℃、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)が18℃、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレートが-30℃、及び2-アクリロイルオキシエチル-コハク酸が-40℃である。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度は、例えば、単独重合体としたときのガラス転移温度が異なる単量体を2種以上用いることで、適宜調整できる。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量>>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(「Mw」ともいう。)は、20万~250万であり、25万~230万であることが好ましく、30万~200万であることがより好ましく、30万~150万であることが更に好ましく、30万~130万であることが特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量が20万以上であると、リワーク性に優れる粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、形成される粘着剤層が十分な凝集力を示すためと考えられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量が250万以下であると、被着体に対して良好な粘着力を示す粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、形成される粘着剤層が、架橋によって硬くなりすぎないためと考えられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量は、下記の方法により測定される値である。具体的には、下記の(1)~(3)に従って測定する。
(1)特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体(A)を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体(A)とテトラヒドロフランとを用いて、固形分濃度が0.2質量%である試料溶液を得る。なお、ここでいう「固形分濃度」とは、試料溶液に占める特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の質量割合を意味する。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件にて、標準ポリスチレン換算値として、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量を測定する。
~条件~
測定装置:高速GPC〔型番:HLC-8220 GPC、東ソー(株)製〕
検出器:示差屈折率計(RI)〔HLC-8220に組込、東ソー(株)製〕
カラム:TSK-GEL GMHXL〔東ソー(株)〕を直列に4本接続
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料溶液の注入量:100μL
流量:0.8mL/分
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量は、重合温度、重合時間、有機溶媒の使用量、重合開始剤の種類、重合開始剤の使用量等を調整することにより、所望の値にできる。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の含有率>>
本開示の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の含有率は、特に限定されないが、例えば、粘着剤組成物中の全固形分量に対して、75質量%~95質量%であることが好ましく、75質量%~90質量%であることがより好ましく、77質量%~87質量%であることが更に好ましく、80質量%~85質量%であることが特に好ましい。
本開示において、「粘着剤組成物中の全固形分量」とは、粘着剤組成物が溶媒を含まない場合には、粘着剤組成物の全質量を意味し、粘着剤組成物が溶媒を含む場合には、粘着剤組成物から溶媒を除いた残渣の質量を意味する。
〔特定(メタ)アクリル系共重合体(B)〕
本開示の粘着剤組成物は、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して2.5質量%~20質量%含み、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲であり、かつ、重量平均分子量が0.1万~0.8万である(メタ)アクリル系共重合体(B)〔即ち、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)〕を含む。本開示の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して5質量部~35質量部である。
<水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して2.5質量%~20質量%含む。
本開示において、「水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位」とは、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体の種類は、特に限定されない。
水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3-ジメチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-3-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-3-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)、及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)がより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して、2.5質量%~20質量%であり、3質量%~18質量%であることが好ましく、5質量%~15質量%であることがより好ましく、8質量%~12質量%であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して2.5質量%以上であると、被着体に対して良好な粘着力を示す粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、形成される粘着剤層が被着体と十分に密着するためと考えられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して20質量%以下であると、リワーク性に優れる粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、形成される粘着剤層の被着体との密着性が過度に高くならないためと考えられる。
<カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲である。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)におけるカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して、0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲であると、被着体に対して良好な粘着力を示す粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が金属キレート系架橋剤若しくは特定イソシアネート系架橋剤と架橋反応しない、又は、過度に架橋反応せず、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が粘着剤層の表面に適度に偏在し、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)中の水酸基によって、粘着剤層が被着体と十分に密着するためと考えられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して0質量%を超えて0.15質量%以下の範囲であることが好ましく、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して0質量%を超えて0.1質量%以下の範囲であることがより好ましく、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して0質量%を超えて0.05質量%以下の範囲であることが更に好ましく、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含まないことが特に好ましい。
<(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位は、形成される粘着剤層の粘着力の調整に寄与する。
本開示において、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位」とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
なお、本開示における「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体」には、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体及びカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体は、含まれない。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の種類は、特に限定されない。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、無置換の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。
アルキル基の炭素数は、例えば、1~18であることが好ましく、1~12であることがより好ましく、1~8であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、i-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、2-エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)、n-ブチルメタクリレート(n-BMA)、t-ブチルメタクリレート(t-BMA)、及びi-ブチルメタクリレート(i-BMA)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む場合、この構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む場合、この構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して、79.8質量%~97.3質量%であることが好ましく、82質量%~95質量%であることがより好ましく、85質量%~93質量%であることが更に好ましく、87質量%~93質量%であることが特に好ましい。
<その他の構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、本開示の粘着剤組成物の効果を損なわない範囲において、既述の構成単位以外の構成単位(所謂、その他の構成単位)を含むことができる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)におけるその他の構成単位を構成する単量体の具体例は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)におけるその他の構成単位を構成する単量体の具体例と同様であるため、ここでは説明を省略する。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、その他の構成単位を含む場合、その他の構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)がその他の構成単位を含む場合、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)におけるその他の構成単位の含有率は、特に限定されず、目的に応じて、適宜設定できる。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度>>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度は、特に限定されないが、例えば、25℃~90℃であることが好ましく、35℃~85℃であることがより好ましく、35℃~75℃であることが更に好ましく、35℃~65℃であることが特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度が上記範囲内であると、被着体に対してより良好な粘着力を示す粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、形成される粘着剤層がより適度に硬くなるためと考えられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度と同様の方法により求められる値である。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度は、例えば、単独重合体としたときのガラス転移温度が異なる単量体を2種以上用いることで、適宜調整できる。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量>>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量は、0.1万~0.8万であり、0.15万~0.75万であることが好ましく、0.2万~0.7万であることがより好ましく、0.3万~0.6万であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量が上記範囲内であると、被着体に対して良好な粘着力を示す粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が粘着剤層の表面に適度に偏在し、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)中の水酸基によって、粘着剤層が被着体と十分に密着するためと考えられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と同様の方法により測定される値である。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の重量平均分子量は、重合温度、重合時間、有機溶媒の使用量、重合開始剤の種類、重合開始剤の使用量等を調整することにより、所望の値にできる。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量>>
本開示の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、5質量部~35質量部であり、8質量部~32質量部であることが好ましく、10質量部~30質量部であることがより好ましく、15質量部~30質量部であることが更に好ましい。
本開示の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して5質量部以上であると、被着体に対して良好な粘着力を示す粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が粘着剤層の表面に適度に偏在し、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)中の水酸基によって、粘着剤層が被着体と十分に密着するためと考えられる。
本開示の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して35質量部以下であると、リワーク性に優れる粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が粘着剤層の表面に過度に偏在せず、形成される粘着剤層の被着体との密着性が過度に高くならないためと考えられる。
〔特定(メタ)アクリル系共重合体の製造方法〕
特定(メタ)アクリル系共重合体〔即ち、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)及び特定(メタ)アクリル系共重合体(B)〕の製造方法は、特に限定されない。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、及び塊状重合法に代表される公知の重合方法で、既述の単量体を重合することにより製造できる。
重合方法としては、製造後に本開示の粘着剤組成物を調製するにあたり、処理工程が比較的簡単であり、かつ、短時間で行える点で、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法では、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、例えば、窒素気流中、有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させる。この場合、有機溶媒、単量体、重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、芳香族炭化水素化合物、脂肪族系又は脂環族系炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物、グリコールエーテル化合物、アルコール化合物等が挙げられる。
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、より具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、t-ブチルベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、テトラリン、デカリン、及び芳香族ナフサに代表される芳香族炭化水素化合物、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、i-オクタン、n-デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、及びテレピン油に代表される脂肪族系又は脂環族系炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸n-アミル、酢酸2-ヒドロキシエチル、酢酸2-ブトキシエチル、酢酸3-メトキシブチル、及び安息香酸メチルに代表されるエステル化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンに代表されるケトン化合物、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルに代表されるグリコールエーテル化合物、並びに、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール、及びt-ブチルアルコールに代表されるアルコール化合物が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、芳香族炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物等の重合反応中に連鎖移動を生じ難い有機溶媒の使用が好ましく、特に、特定(メタ)アクリル系共重合体の溶解性、重合反応の容易さ等の観点から、酢酸エチルの使用が好ましい。
重合反応時には、有機溶媒を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
重合開始剤としては、通常の溶液重合法で用いられる有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ-i-プロピルペルオキシジカルボナート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカルボナート、t-ブチルペルオキシピバレート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-α-クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、及び2,2-ビス(4,4-ジ-t-オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)〔ABVN〕、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、及び2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチルが挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、重合反応中にグラフト反応を起こさない重合開始剤の使用が好ましく、特に、アゾ化合物の使用が好ましい。
重合反応時には、重合開始剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、必要に応じて、連鎖移動剤を用いてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸、シアノ酢酸の炭素数1~8のアルキルエステル化合物、ブロモ酢酸、ブロモ酢酸の炭素数1~8のアルキルエステル化合物、α-メチルスチレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、及び9-フェニルフルオレンに代表される芳香族化合物、p-ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p-ニトロ安息香酸、p-ニトロフェノール、及びp-ニトロトルエンに代表される芳香族ニトロ化合物、ベンゾキノン及び2,3,5,6-テトラメチル-p-ベンゾキノンに代表されるベンゾキノン誘導体、トリブチルボランに代表されるボラン誘導体、四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2-テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、及び3-クロロ-1-プロペンに代表されるハロゲン化炭化水素化合物、クロラール及びフラルデヒドに代表されるアルデヒド化合物、炭素数1~18のアルキルメルカプタン化合物、チオフェノール及びトルエンメルカプタンに代表される芳香族メルカプタン化合物、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1~10のアルキルエステル化合物、炭素数1~12のヒドロキシアルキルメルカプタン化合物、並びに、ピネン及びターピノレンに代表されるテルペン化合物が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際し、連鎖移動剤を用いる場合、連鎖移動剤の使用量は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
重合温度は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
〔特定架橋剤〕
本開示の粘着剤組成物は、金属キレート系架橋剤、及び、イソシアネート系架橋剤(但し、トリレンジイソシアネート化合物及びジフェニルメタンジイソシアネート化合物を除く。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋剤(即ち、特定架橋剤)を含む。本開示の粘着剤組成物における金属キレート系架橋剤又は上記イソシアネート系架橋剤の含有量は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して0.01質量部~1質量部である。
以下、本開示では、「イソシアネート系架橋剤(但し、トリレンジイソシアネート化合物及びジフェニルメタンジイソシアネート化合物を除く。)」を「特定イソシアネート系架橋剤」ともいう。
イソシアネート系架橋剤からトリレンジイソシアネート化合物及びジフェニルメタンジイソシアネート化合物を除いた趣旨は、水酸基と架橋反応し得る架橋剤であることにある。本開示の粘着剤組成物が、イソシアネート系架橋剤としてトリレンジイソシアネート化合物及びジフェニルメタンジイソシアネート化合物の少なくとも一方を含むと、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)中の水酸基と架橋反応するため、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が粘着剤層の表面に偏在できず、粘着剤層が被着体に対して十分な粘着力を示さない傾向がある。
本開示における「トリレンジイソシアネート化合物」には、トリレンジイソシアネートのみならず、トリレンジイソシアネートの2量体、3量体、又は5量体、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、トリレンジイソシアネートのビウレット体なども包含される。また、本開示における「ジフェニルメタンジイソシアネート化合物」には、ジフェニルメタンジイソシアネートのみならず、ジフェニルメタンジイソシアネートの2量体、3量体、又は5量体、ジフェニルメタンジイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、ジフェニルメタンジイソシアネートのビウレット体なども包含される。
本開示において、「金属キレート系架橋剤」とは、架橋剤として機能する金属キレート化合物を指す。また、本開示において、「イソシアネート系架橋剤」とは、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物(所謂、ポリイソシアネート化合物)を指す。
金属キレート系架橋剤の種類は、特に限定されない。
金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、及びアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)に代表されるアルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、並びにコバルトキレート化合物が挙げられる。
これらの中でも、金属キレート系架橋剤としては、アルミニウムキレート化合物及びジルコニウムキレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、アルミニウムキレート化合物がより好ましい。
金属キレート系架橋剤としては、市販品を使用できる。
金属キレート系架橋剤の市販品の例としては、アルミキレートA〔商品名、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、川研ファインケミカル(株)製〕、アルミキレートD〔商品名、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、川研ファインケミカル(株)製〕、ALCH-TR〔商品名、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、川研ファインケミカル(株)製〕、及びオルガチックス ZC-150〔商品名、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、マツモトファインケミカル(株)製〕が挙げられる。
特定イソシアネート系架橋剤の種類は、特に限定されない。
特定イソシアネート系架橋剤としては、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、イソホロンジイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
また、イソシアネート系架橋剤としては、上記ポリイソシアネート化合物の2量体、3量体、又は5量体、上記ポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記ポリイソシアネート化合物のビウレット体なども挙げられる。
これらの中でも、特定イソシアネート系架橋剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物が更に好ましい。
特定イソシアネート系架橋剤としては、市販品を使用できる。
特定イソシアネート系架橋剤の市販品の例としては、「スミジュール(登録商標) N75」〔住化コベストロウレタン(株)製〕、「タケネート(登録商標) D-110N」〔三井化学(株)製〕、「タケネート(登録商標) D-120N」〔三井化学(株)製〕、「タケネート(登録商標) D-140N」〔三井化学(株)製〕、及び「スタビオ(登録商標) D-370N」〔三井化学(株)製〕が挙げられる。
本開示の粘着剤組成物は、特定架橋剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。例えば、本開示の粘着剤組成物は、金属キレート系架橋剤のみを含んでいてもよく、特定イソシアネート系架橋剤のみを含んでいてもよく、金属キレート系架橋剤及び特定イソシアネート系架橋剤の両方を含んでいてもよい。また、例えば、本開示の粘着剤組成物が金属キレート系架橋剤を含む場合、金属キレート系架橋剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。特定イソシアネート系架橋剤の場合も同様である。
本開示の粘着剤組成物における、金属キレート系架橋剤及び特定イソシアネート系架橋剤の合計含有量(所謂、特定架橋剤の含有量)は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して0.01質量部~1質量部であり、0.02質量部~0.95質量部であることが好ましく、0.05質量部~0.9質量部であることがより好ましく、0.1質量部~0.8質量部であることが更に好ましい。
本開示の粘着剤組成物における、金属キレート系架橋剤及び特定イソシアネート系架橋剤の合計含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して0.01質量部以上であると、リワーク性に優れる粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、形成される粘着剤層が架橋によって十分な凝集力を示すためと考えられる。
本開示の粘着剤組成物における、金属キレート系架橋剤及び特定イソシアネート系架橋剤の合計含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して1質量部以下であると、被着体に対して良好な粘着力を示す粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、形成される粘着剤層が、架橋によって硬くなりすぎないためと考えられる。
〔有機溶媒〕
本開示の粘着剤組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。
本開示の粘着剤組成物は、有機溶媒を含むと、塗布性が向上し得る。
有機溶媒としては、例えば、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体の重合反応時に用いられる有機溶媒と同様のものが挙げられる。
本開示の粘着剤組成物は、有機溶媒を含む場合、有機溶媒を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の粘着剤組成物が有機溶媒を含む場合、有機溶媒の含有量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜設定できる。
〔その他の成分〕
本開示の粘着剤組成物は、その効果を損なわない範囲において、必要に応じて、既述した成分以外の成分(所謂、その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、特定(メタ)アクリル系共重合体以外の重合体、架橋触媒、粘着付与剤、酸化防止剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、光安定剤(例えば、紫外線吸収剤)、帯電防止剤等の各種添加剤が挙げられる。
本開示の粘着剤組成物がその他の成分を含む場合、その他の成分の含有量は、本開示の粘着剤組成物の効果を損なわない範囲において、適宜設定できる。
<架橋後のゲル分率>
本開示の粘着剤組成物の架橋後のゲル分率(所謂、粘着剤層のゲル分率)は、特に限定されないが、例えば、55質量%以下であることが好ましく、39質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることが更に好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
本開示の粘着剤組成物の架橋後のゲル分率が55質量%以下であると、被着体に対してより良好な粘着力を示す粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、粘着剤層がより適度に柔らかいためと考えられる。
本開示の粘着剤組成物の架橋後のゲル分率の下限は、例えば、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることが更に好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。
本開示の粘着剤組成物の架橋後のゲル分率が3質量%以上であると、リワーク性により優れる粘着剤層を形成できる傾向がある。理由としては、粘着剤層がより適度な凝集力を示すためと考えられる。
本開示において、「粘着剤組成物の架橋後のゲル分率」は、酢酸エチルを抽出溶媒に用いて測定される溶媒不溶分の割合である。粘着剤組成物の架橋後のゲル分率は、具体的には、下記の(1)~(4)に従って測定する。
(1)精密天秤にて質量を正確に測定した250メッシュの金網(100mm×100mm)に、架橋後の粘着剤組成物(即ち、粘着剤層)を約0.15g貼付し、ゲル分が漏れないように、貼付した粘着剤層を内側にして、金網を5回折り畳み、試料とする。その後、精密天秤にて質量を正確に測定する。
(2)得られた試料を酢酸エチル80mLに3日間浸漬する。
(3)試料を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、120℃で24時間乾燥させる。その後、精密天秤にて質量を正確に測定する。
(4)下式によりゲル分率を算出する。
ゲル分率(単位:質量%)=(Z-X)/(Y-X)×100
但し、Xは金網の質量(単位:g)、Yは粘着剤層を貼付した金網の浸漬前の質量(単位:g)、Zは浸漬後乾燥させた、粘着剤層を貼付した金網の質量(単位:g)である。
<用途>
本開示の粘着剤組成物は、被着体に対して良好な粘着力を示し、かつ、耐アルカリ性及びリワーク性に優れる粘着剤層を形成できるため、車両を保護するためのフィルム(所謂、車両保護フィルム)用として好適である。詳細には、本開示の粘着剤組成物は、車両の塗装面を保護するためのフィルム(所謂、ペイントプロテクションフィルム)に好ましく用いられる。
車両としては、特に限定されず、例えば、自動車、自動二輪車、列車等の車両が挙げられる。
塗装面としては、特に限定されず、例えば、メラミン塗装、アルキド塗装、アルキドメラミン塗装、アクリル塗装、ウレタン塗装、エポキシ塗装等が施された塗装面が挙げられる。
[車両保護フィルム]
本開示の車両保護フィルム(以下、単に「保護フィルム」ともいう。)は、基材と、上記基材上に設けられ、かつ、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備える。すなわち、本開示の保護フィルムでは、基材と、本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層とが、積層されている。
本開示の保護フィルムは、本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、被着体に対して良好な粘着力を示し、かつ、耐アルカリ性及びリワーク性に優れる。
基材は、その基材上に粘着剤層を形成できれば、特に限定されない。
基材としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂(例えば、トリアセチルセルロース樹脂)、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂を含むフィルムが挙げられる。また、基材としては、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)フィルムも挙げられる。
基材としては、例えば、表面保護性能の観点から、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)フィルムが好ましい。
基材は、可塑剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
基材は、一部又は全体に、模様が施されていてもよい。
基材の厚さは、特に限定されないが、一般には500μm以下であり、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。
基材の厚さの下限は、例えば、保護フィルムの強度の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。
基材の片面又は両面には、帯電防止層が設けられていてもよい。また、基材の粘着剤層が設けられる側の表面には、基材と粘着剤層との密着性を向上させる観点から、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
粘着剤層の形成方法は、特に限定されず、通常用いられる方法を採用できる。
基材上に粘着剤層を形成する方法としては、例えば、以下の方法を採用できる。
本開示の粘着剤組成物を、そのままの状態で、又は、必要に応じて溶媒で希釈した状態で、基材上に塗布し、塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、基材上に粘着膜を形成する。次いで、基材上に形成した粘着膜を養生することにより、基材上に粘着剤層を形成する。
本開示の保護フィルムにおいて、露出した粘着剤層は、剥離フィルムによって保護されていてもよい。
剥離フィルムとしては、粘着剤層からの剥離を容易に行えるものであれば、特に限定されず、例えば、片面又は両面に、剥離処理剤による表面処理(所謂、易剥離処理)が施された樹脂フィルムが挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代表されるポリエステルフィルムが挙げられる。
剥離処理剤としては、例えば、フッ素系樹脂、パラフィンワックス、シリコーン、及び長鎖アルキル基化合物が挙げられる。
剥離フィルムは、保護フィルムを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
基材上に粘着剤層を形成する別の方法としては、例えば、以下の方法を採用できる。
本開示の粘着剤組成物を、そのままの状態で、又は、必要に応じて溶媒で希釈した状態で、剥離剤による表面処理が施された紙、樹脂フィルム等の剥離フィルム上に塗布し、剥離フィルム上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、剥離フィルム上に粘着膜を形成する。次いで、形成した粘着膜の露出した面を基材に接触させて加圧し、粘着膜を基材に転写することにより、基材上に粘着膜を形成する。次いで、形成した粘着膜を養生させることにより、基材上に粘着剤層を形成する。
基材上又は剥離フィルム上に、粘着剤組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、バーコーター、アプリケーター等を用いる公知の方法が挙げられる。
基材上又は剥離フィルム上への粘着剤組成物の塗布量は、形成する粘着剤層の厚さに応じて、適宜設定される。
粘着剤層の厚さは、保護フィルムに求められる粘着力、被着体の種類(例えば、材質及び形状)、被着体の表面粗さ等に応じて、適宜設定できる。
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、一般には1μm~100μmであり、5μm~50μmであることが好ましく、10μm~45μmであることがより好ましく、15μm~40μmであることが更に好ましい。
基材上又は剥離フィルム上に形成した塗布膜を乾燥させる方法としては、特に限定されず、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等の方法が挙げられる。
塗布膜の乾燥温度及び乾燥時間は、特に限定されず、塗布膜の厚さ、塗布膜中の有機溶媒の量等に応じて、適宜設定される。
乾燥条件の一例としては、熱風乾燥機を用いて、70℃~120℃で1分間~3分間乾燥させる条件が挙げられる。
養生は、例えば、雰囲気温度20℃~35℃、相対湿度45%~55%(即ち、45%RH~55%RH)の環境下で、4日間~7日間行う。
養生により、粘着剤組成物の架橋反応が終了して粘着剤層が形成される。
以下、本開示の粘着剤組成物及び保護フィルムを実施例により更に具体的に説明する。本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[(メタ)アクリル系共重合体Aの製造]
〔製造例A-1〕
撹拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応装置の反応容器内に、酢酸エチル〔有機溶媒〕70.0質量部を仕込んだ。
また、別の容器に、2-エチルヘキシルアクリレート〔2EHA;単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下であるアクリル酸アルキルエステル単量体〕44.0質量部、メチルアクリレート〔MA;炭素数が1~2のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体〕55.0質量部、及びアクリル酸〔AA;カルボキシ基を有するアクリル系単量体〕1.0質量部からなる単量体混合物100.0質量部を準備した。この準備した単量体混合物のうちの20.0質量%を上記反応容器内に仕込んだ後、加熱し、還流温度で10分間還流を行った。
次いで、還流温度条件下で、上記単量体混合物の残り80.0質量%と、酢酸エチル50.0質量部と、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル〔AIBN;重合開始剤〕0.026質量部と、を120分間かけて上記反応容器内に逐次滴下し、滴下終了後に、更に150分間反応させ、反応を完結させた。反応完結後の溶液を、固形分濃度が35.0質量%となるように酢酸エチルを用いて希釈し、(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液を得た。
ここでいう「固形分濃度」とは、(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液に占める(メタ)アクリル系共重合体A-1の質量割合を意味する。
以下の(メタ)アクリル系共重合体A-2~A-19の各溶液についても同様である。
〔製造例A-3~A-6、A-14、及びA-15〕
製造例A-3~A-6、A-14、及びA-15では、有機溶媒の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体Aの重量平均分子量を表1に示す重量平均分子量に調整したこと以外は、製造例A-1と同様の操作を行い、固形分濃度が35.0質量%である(メタ)アクリル系共重合体A-3~A-6、A-14、及びA-15の各溶液を得た。
〔製造例A-2、A-7~A-13、及びA-16~A-19〕
製造例A-2、A-7~A-13、及びA-16~A-19では、(メタ)アクリル系共重合体Aの単量体組成を表1に示す単量体組成に変更したこと、並びに、有機溶媒の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体Aの重量平均分子量を表1に示す重量平均分子量に調整したこと以外は、製造例A-1と同様の操作を行い、固形分濃度が35.0質量%である(メタ)アクリル系共重合体A-2、A-7~A-13、及びA-16~A-19の各溶液を得た。
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-19の単量体組成(単位:質量%)、ガラス転移温度(Tg、単位:℃)、及び重量平均分子量〔Mw、単位:万(表中では、「×10と表記)〕を表1に示す。
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-19のガラス転移温度は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度の計算方法と同様の方法により計算した。
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-19の重量平均分子量は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量の測定方法と同様の方法により測定した。
上記にて得られた(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-19のうち、(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-13は、本開示における特定(メタ)アクリル系共重合体(A)に相当する。
表1に記載の各単量体の詳細は、以下に示すとおりである。
<単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体>
「2EHA」;2-エチルヘキシルアクリレート
(単独重合体としたときのガラス転移温度:-76℃)
<その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体>
「n-BA」;n-ブチルアクリレート
(単独重合体としたときのガラス転移温度:-57℃)
<炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体>
「MA」;メチルアクリレート(アルキル基の炭素数:1)
「EA」;エチルアクリレート(アルキル基の炭素数:2)
<カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体>
「AA」;アクリル酸
「M-5300」;ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート
〔商品名:アロニックス M-5300、東亞合成(株)製〕
上記「アロニックス」は、登録商標である。
表1中、単量体組成の欄に記載の「-」は、その欄に該当する単量体を含んでいないことを意味する。
表1では、「ガラス転移温度」を「Tg」と表記し、「重量平均分子量」を「Mw」と表記した。
[(メタ)アクリル系共重合体Bの製造]
〔製造例B-1〕
撹拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応装置の反応容器内に、酢酸エチル〔有機溶媒〕60質量部を仕込んだ。
次いで、別の容器に、i-ブチルメタクリレート〔i-BMA;メタクリル酸アルキルエステル単量体〕90.0質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート〔2HEMA;水酸基を有するメタクリル系単量体〕10.0質量部、及び2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル〔重合開始剤〕3.4質量部を入れて混合した溶液を準備した。この準備した溶液を、還流温度条件下で、180分間かけて上記反応容器内に逐次滴下し、滴下終了後に、更に180分間反応させ、反応を完結させた。反応完結後の溶液を、固形分濃度が61.0質量%となるように酢酸エチルを用いて希釈し、(メタ)アクリル系共重合体B-1の溶液を得た。
ここでいう「固形分濃度」とは、(メタ)アクリル系共重合体B-1の溶液に占める(メタ)アクリル系共重合体B-1の質量割合を意味する。
以下の(メタ)アクリル系共重合体B-2~B-18の各溶液についても同様である。
〔製造例B-3、B-4、B-14、及びB-15〕
製造例B-3、B-4、B-14、及びB-15では、有機溶媒の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体Bの重量平均分子量を表2に示す重量平均分子量に調整したこと以外は、製造例B-1と同様の操作を行い、固形分濃度が61.0質量%である(メタ)アクリル系共重合体B-3、B-4、B-14、及びB-15の各溶液を得た。
〔製造例B-2、B-5~B-13、及びB-16~B-18〕
製造例B-2、B-5~B-13、及びB-16~B-18では、(メタ)アクリル系共重合体Bの単量体組成を表2に示す単量体組成に変更したこと、並びに、有機溶媒の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体Bの重量平均分子量を表2に示す重量平均分子量に調整したこと以外は、製造例B-1と同様の操作を行い、固形分濃度が61.0質量%である(メタ)アクリル系共重合体B-2、B-5~B-13、及びB-16~B-18の各溶液を得た。
(メタ)アクリル系共重合体B-1~B-18の単量体組成(単位:質量%)、ガラス転移温度(Tg、単位:℃)、及び重量平均分子量(Mw)を表2に示す。
(メタ)アクリル系共重合体B-1~B-18のガラス転移温度は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度の計算方法と同様の方法により計算した。
(メタ)アクリル系共重合体B-1~B-18の重量平均分子量は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量の測定方法と同様の方法により測定した。
上記にて得られた(メタ)アクリル系共重合体B-1~B-18のうち、(メタ)アクリル系共重合体B-1~B-13は、本開示における特定(メタ)アクリル系共重合体(B)に相当する。
表2に記載の各単量体の詳細は、以下に示すとおりである。
<(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体>
「2EHMA」;2-エチルヘキシルメタクリレート
「n-BMA」;n-ブチルメタクリレート
「t-BMA」;t-ブチルメタクリレート
「i-BMA」;i-ブチルメタクリレート
<カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体>
「AA」;アクリル酸
<水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体>
「2HEMA」;2-ヒドロキシエチルメタクリレート
「2HEA」;2-ヒドロキシエチルアクリレート
「4HBA」;4-ヒドロキシブチルアクリレート
表2中、単量体組成の欄に記載の「-」は、その欄に該当する単量体を含んでいないことを意味する。
表2では、「ガラス転移温度」を「Tg」と表記し、「重量平均分子量」を「Mw」と表記した。
[粘着剤組成物の調製]
〔実施例1〕
(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液285.7質量部(固形分として100質量部)と、(メタ)アクリル系共重合体B-1の溶液41.0質量部(固形分として25質量部)と、金属キレート系架橋剤としてアルミキレートA〔商品名、化学名:アルミニウムトリスアセチルアセトネート、川研ファインケミカル(株)製〕0.4質量部(固形分として0.4質量部)と、を十分に混合して、実施例1の粘着剤組成物を得た。
〔実施例2~32〕
実施例1において、粘着剤組成物の組成を表3に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2~32の各粘着剤組成物を得た。
〔比較例1~18〕
実施例1において、粘着剤組成物の組成を表4に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1~18の各粘着剤組成物を得た。
[ゲル分率の測定]
実施例1~32及び比較例1~18の各粘着剤組成物を用いて、架橋後のゲル分率(即ち、粘着剤層のゲル分率)を測定した。具体的には、以下の方法により測定した。
シリコーン系剥離処理剤で易剥離処理された剥離フィルム〔商品名:フィルムバイナ(登録商標)100E-0010N023、藤森工業(株)製〕の易剥離処理面に、乾燥後の厚みが30μmとなるように粘着剤組成物を塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を、熱風循環式乾燥機を用いて、乾燥温度100℃、乾燥時間1分間の乾燥条件で乾燥させ、剥離フィルム上に粘着膜を形成した。次いで、粘着膜の露出した面を、別途準備した剥離フィルム〔商品名:フィルムバイナ(登録商標)100E-0010N023、藤森工業(株)〕の易剥離処理面に重ねて貼り合わせた後、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下にて4日間養生を行うことで、架橋反応を進行させて、剥離フィルム/粘着剤層/剥離フィルムの構成を有する無基材タイプの粘着シートを作製した。
得られた粘着シートから剥離した粘着剤層を用いて、下記(1)~(4)に従い、ゲル分率を測定した。結果を表3及び表4に示す。
(1)精密天秤にて質量を正確に測定した250メッシュの金網(100mm×100mm)に、粘着剤層を約0.15g貼付し、ゲル分が漏れないように、貼付した粘着剤層を内側にして、金網を5回折り畳み、試料とする。その後、精密天秤にて質量を正確に測定する。
(2)得られた試料を酢酸エチル80mLに3日間浸漬する。
(3)試料を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、120℃で24時間乾燥させる。その後、精密天秤にて質量を正確に測定する。
(4)下式によりゲル分率を算出する。
ゲル分率(単位:質量%)=(Z-X)/(Y-X)×100
但し、Xは金網の質量(単位:g)、Yは粘着剤層を貼付した金網の浸漬前の質量(単位:g)、Zは浸漬後乾燥させた、粘着剤層を貼付した金網の質量(単位:g)である。
表3及び表4中、「-」は、その欄に該当する成分を配合していないことを意味する。
表3及び表4中、「質量部」の欄に記載の数値は、全て固形分換算値である。
表3及び/又は表4に記載の架橋剤の詳細は、以下に示すとおりである。
<イソシアネート系架橋剤>
「HMDI」〔商品名:スミジュール N75、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)のビウレット体、固形分濃度:75質量%、住化コベストロウレタン(株)製〕
「TDI」〔商品名:コロネート L-45E、トリレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパン(TMP)とのアダクト体、固形分濃度:45質量%、東ソー(株)製〕
<エポキシ系架橋剤>
「TETRAD-X」〔商品名、三菱ガス化学(株)製〕
<金属キレート系架橋剤>
「アルミキレートA」〔商品名、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、川研ファインケミカル(株)製〕
「オルガチックス ZC-150」〔商品名、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、マツモトファインケミカル(株)製〕
上記「スミジュール」、「コロネート」、及び「TETRAD」は、いずれも登録商標である。
[評価]
実施例1~32及び比較例1~18の各粘着剤組成物を用いて、以下の評価を行った。
結果を表5及び表6に示す。
<評価用粘着シートの作製>
シリコーン系剥離処理剤で易剥離処理された剥離フィルム〔商品名:フィルムバイナ(登録商標)100E-0010N023、藤森工業(株)製〕の易剥離処理面に、乾燥後の厚みが30μmとなるように粘着剤組成物を塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を、熱風循環式乾燥機を用いて、乾燥温度100℃、乾燥時間1分間の乾燥条件で乾燥させ、剥離フィルム上に粘着膜を形成した。次いで、粘着膜の露出した面を、基材としてのTPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)フィルム〔商品名:シルクロン(登録商標)、グレード名:SNY97、厚さ:150μm、大倉工業(株)製〕に重ねて貼り合わせた後、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下にて4日間養生を行うことで、評価用粘着シートを作製した。作製した評価用粘着シートは、剥離フィルム/粘着剤層/基材(TPUフィルム)の積層構造を有する。
1.被着体に対する粘着力
上記にて作製した評価用粘着シートを切断し、25mm×150mmの大きさの評価用粘着シート片を準備した。次いで、準備した評価用粘着シート片〔構成:剥離フィルム/粘着剤層/基材(TPUフィルム)〕の剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、被着体としての白色塗装板〔型番:SPCC-CD、メラミン塗装、(株)パルテック製〕の塗装面に重ねて貼り合わせた後、2kgのローラーを1往復させて圧着し、積層体を作製した。作製した積層体は、被着体(白色塗装板)/評価用粘着シート片〔構成:粘着剤層/基材(TPUフィルム)〕の積層構造を有する。次いで、作製した積層体を、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に24時間静置し、試験片とした。
この試験片について、被着体(白色塗装板)から粘着シート片を長辺(150mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置としてシングルコラム型材料試験機〔型番:STA-1225、(株)エー・アンド・デイ製〕を用い、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。そして、下記の評価基準に従って、被着体(白色塗装板)に対する粘着力を評価した。
評価結果が「A」、「B」、又は「C」であれば、被着体(白色塗装板)に対して良好な粘着力を示す粘着剤層であると判断した。
-評価基準-
A:粘着力が20N/25mm以上である。
B:粘着力が15N/25mm以上20N/25mm未満の範囲である。
C:粘着力が10N/25mm以上15N/25mm未満の範囲である。
D:粘着力が10N/25mm未満である。
2.耐アルカリ性
上記にて作製した評価用粘着シートを切断し、25mm×30mmの大きさの評価用粘着シート片を準備した。次いで、準備した評価用粘着シート片〔構成:剥離フィルム/粘着剤層/基材(TPUフィルム)〕の剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、被着体としての白色塗装板〔型番:SPCC-CD、メラミン塗装、(株)パルテック製〕の塗装面に重ねて貼り合わせた後、スキージを用いて圧着し、積層体を作製した。作製した積層体は、被着体(白色塗装板)/評価用粘着シート片〔構成:粘着剤層/基材(TPUフィルム)〕の積層構造を有する。この作製した積層体を試験片とし、耐アルカリ性の評価試験を行った。
この試験片を0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させ、雰囲気温度23℃の環境下に8時間静置した後、蒸留水で洗浄した。洗浄後の試験片を、マイクロスコープ〔型番:VHX-7000、(株)キーエンス製〕を用いて観察し、粘着剤層の膨潤範囲を画像処理にて算出した。そして、下記の評価基準に従って、耐アルカリ性を評価した。
アルカリによって粘着剤層が膨潤すると、試験片の辺縁部がふやけて膨らんだ形になることから、上記評価試験後の粘着剤層の膨潤範囲が、試験片の辺縁部から中央部に向かってどの程度であるかを粘着剤層の耐アルカリ性の評価の指標とした。
評価結果が「A」、「B」、又は「C」であれば、アルカリによる粘着剤層の膨潤が十分に抑制されており、耐アルカリ性に優れる粘着剤層であると判断した。
-評価基準-
A:粘着剤層の膨潤範囲が試験片の辺縁部から中央部に向かって最大で0.3mm未満である。
B:粘着剤層の膨潤範囲が試験片の辺縁部から中央部に向かって最大で0.3mm以上1.0mm未満の範囲である。
C:粘着剤層の膨潤範囲が試験片の辺縁部から中央部に向かって最大で1.0mm以上2.0mm未満の範囲である。
D:粘着剤層の膨潤範囲が試験片の辺縁部から中央部に向かって最大で2.0mm以上である。
3.リワーク性
上記にて作製した評価用粘着シートを切断し、25mm×150mmの大きさの評価用粘着シート片を2枚準備した。次いで、準備した2枚の評価用粘着シート片〔構成:剥離フィルム/粘着剤層/基材(TPUフィルム)〕から剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、それぞれ別の、被着体としての白色塗装板〔型番:SPCC-CD、メラミン塗装、(株)パルテック製〕の塗装面に重ねて貼り合わせた後、2kgのローラーを1往復させて圧着し、積層体を2つ作製した。作製した2つの積層体は、いずれも被着体(白色塗装板)/評価用粘着シート片〔構成:粘着剤層/基材(TPUフィルム)〕の積層構造を有する。次いで、作製した2つの積層体を、雰囲気温度105℃の環境下に30分間静置した後、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に1時間静置し、それぞれ試験片A及び試験片Bとした。これらの試験片を用いて、リワーク性の評価試験を行った。
まず、試験片Aについて、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下、シングルコラム型材料試験機〔型番:STA-1225、(株)エー・アンド・デイ〕を用い、被着体(白色塗装板)から評価用粘着シート片を、剥離速度300mm/分で長辺(150mm)方向に180°剥離した。次に、試験片Bについて、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下、シングルコラム型材料試験機〔型番:STA-1225、(株)エー・アンド・デイ〕を用い、被着体(白色塗装板)から評価用粘着シート片を、剥離速度1000mm/分で長辺(150mm)方向に180°剥離した。試験片A及び試験片Bのそれぞれについて、剥離後の被着体(白色塗装板)の表面に存在する糊残りを、マイクロスコープ〔型番:VHX-7000、(株)キーエンス製〕を用いて観察し、糊残りの合計面積を画像処理にて算出した。そして、下記の評価基準に従って、リワーク性を評価した。
評価結果が「A」、「B」、又は「C」であれば、リワーク性に優れる粘着剤層であると判断した。
-評価基準-
A:剥離速度1000mm/分で剥離した場合における被着体への糊残りの合計面積が、貼り合わせ面積に対して5%未満である。
B:剥離速度1000mm/分で剥離した場合における被着体への糊残りの合計面積は、貼り合わせ面積に対して5%以上50%未満であるが、剥離速度300mm/分で剥離した場合における被着体への糊残りの合計面積は、貼り合わせ面積に対して5%未満である。
C:剥離速度1000mm/分で剥離した場合における被着体への糊残りの合計面積は、貼り合わせ面積に対して50%以上であるが、剥離速度300mm/分で剥離した場合における被着体への糊残りの合計面積は、貼り合わせ面積に対して5%未満である。
D:剥離速度300mm/分で剥離した場合における被着体への糊残りの合計面積が、貼り合わせ面積に対して5%以上である。
表5に示すように、実施例1~32の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、被着体に対して良好な粘着力を示し、かつ、耐アルカリ性及びリワーク性に優れることが確認された。
一方、表6に示すように、比較例1~18の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、被着体に対する粘着力、耐アルカリ性、及びリワーク性の少なくとも1つの評価において、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層よりも劣ることが確認された。

Claims (6)

  1. 炭素数が1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して45質量%~70質量%、及び、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.1質量%~2.5質量%含み、かつ、重量平均分子量が20万~250万である(メタ)アクリル系共重合体(A)と、
    水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して2.5質量%~20質量%含み、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲であり、かつ、重量平均分子量が0.1万~0.8万である(メタ)アクリル系共重合体(B)と、
    金属キレート系架橋剤、及び、イソシアネート系架橋剤(但し、トリレンジイソシアネート化合物及びジフェニルメタンジイソシアネート化合物を除く。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋剤と、を含み、
    前記(メタ)アクリル系共重合体(B)の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して5質量部~35質量部であり、
    前記金属キレート系架橋剤及び前記イソシアネート系架橋剤の合計含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して0.01質量部~1質量部である車両保護フィルム用粘着剤組成物。
  2. 架橋後のゲル分率が、39質量%以下である請求項1に記載の車両保護フィルム用粘着剤組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が、-30℃~-10℃である請求項1又は請求項2に記載の車両保護フィルム用粘着剤組成物。
  4. 前記(メタ)アクリル系共重合体(B)のガラス転移温度が、35℃~85℃である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車両保護フィルム用粘着剤組成物。
  5. 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)が、単独重合体としたときのガラス転移温度が-60℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を更に含む請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の車両保護フィルム用粘着剤組成物。
  6. 基材と、
    前記基材上に設けられ、かつ、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の車両保護フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、
    を備える車両保護フィルム。
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