JP2017179276A - 粘着剤組成物及び粘着フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
ポップラベルの粘着剤層としては、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーを粘着成分とする比較的極性の高い(メタ)アクリル系粘着剤層が知られている。商品の容器としては、例えば、比較的極性の低いポリオレフィン製の容器が挙げられる。
また、商品の容器に貼着されたポップラベルは、消費者が商品を購入した後に剥離される。ポップラベルを剥離する際には、粘着力の強弱に起因して、滑らかに剥離せずパリパリと音を立てて剥離するジッピングと呼ばれる現象が起き、消費者が不快に感じる場合がある。
特許文献2に記載の粘着剤組成物は、水分散型の組成物であるため、ジッピング防止性に劣る場合がある。また、粘着剤層を形成する際に溶媒である水を取り除くために多大なエネルギーが必要となる。
このように、低極性被着体の曲面部位に貼着された際の剥がれ難さ(以下、耐反発性ともいう。)と、ジッピング防止性との双方に優れた粘着剤組成物は知られていない。
<1> 下記一般式(1)で表される構成単位を含み、前記構成単位の含有率が全構成単位に対して0.1モル%〜3モル%であり、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して6モル%以下である(メタ)アクリル系ポリマー100質量部と、粘着付与樹脂10質量部〜40質量部と、を含む粘着剤組成物である。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両者を包含することを意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を包含することを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を包含することを意味する。
本発明の粘着剤組成物は、下記一般式(1)で表される構成単位を含み、下記構成単位の含有率が全構成単位に対して0.1モル%〜3モル%であり、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して6モル%以下である(メタ)アクリル系ポリマー100質量部と、粘着付与樹脂10質量部〜40質量部と、を含む。
本発明の粘着剤組成物は、特定の構成単位を含む(メタ)アクリル系ポリマーと、粘着付与樹脂と、を含むことにより、耐反発性及びジッピング防止性という2つの性能を同時に付与することができると推察される。
具体的には、粘着剤組成物中の(メタ)アクリル系ポリマーが、一般式(1)で表される構成単位の含有率を全構成単位に対して0.1モル%〜3モル%の範囲とし、かつ(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率を6モル%以下に調整することで、(メタ)アクリル系ポリマー全体の凝集力の上昇を抑えながらも、粘着剤層の濡れ性を高めることができる。そのため、低極性被着体に対する耐反発性にも優れる。加えて、所定量の粘着付与樹脂を併用するので、被着体に対する濡れ性を保持することができ、ジッピング防止性にも優れる。
このため、当該粘着剤組成物を用いて作製した粘着フィルムは、低極性被着体の曲面に貼着した場合であっても、耐反発性に優れ、かつ、低極性被着体から剥離する際のジッピング防止性にも優れると推察される。
本発明の粘着剤組成物は、下記一般式(1)で表される構成単位を含み、下記一般式(1)で表される構成単位が全構成単位に対して0.1モル%〜3モル%であり、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が6モル%以下である(メタ)アクリル系ポリマーの少なくとも1種を含む。本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、上記(メタ)アクリル系ポリマーとは異なる(メタ)アクリル系ポリマーを更に含んでいてもよい。
(メタ)アクリル系ポリマーが下記一般式(1)で表される構成単位を有すると、カルボキシル基がLを介して結合していることにより、粘着剤層の凝集力と濡れ性とを両立させ、剥離性とジッピング防止性とを両立させることができる。
R21〜R24におけるアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。
R21〜R24におけるアリーレン基における結合位置は特に制限されない。例えばアリーレン基がフェニレン基又はシクロヘキシレン基の場合、結合位置は1位と4位、1位と2位、及び1位と3位のいずれであってもよく、1位と2位が好ましい。
R21及びR22におけるアリーレン基は、各々独立に、フェニレン基又はナフチレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位の含有率が0.1モル%未満であると、凝集力が低くなりすぎて、耐反発性に劣る。また、粘着力が低く、被着体から脱落しやすくなる傾向がある。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位の含有率が3モル%を超えると、凝集力が高くなりすぎて、剥離時にジッピングが生じやすくなる。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位の含有率は、ジッピング性防止の観点から、2モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましく、0.5モル%以下が更に好ましい。また、(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位の含有率は、濡れ性を確保する観点から、0.2モル%以上が好ましく、0.3モル%以上がより好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が6モル%を超えると、凝集力が高くなりすぎてしまい、ジッピング防止性に劣る。(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率は、ジッピング防止性の観点から、4モル%以下が好ましく、3モル%以下がより好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率は、耐反発性の観点及び粘着力を高くして被着体からの脱落を防止する観点から、1モル%以上が好ましく、1.5モル%以上がより好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位に対する、当該(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の比率がモル基準で0.7〜20であると、凝集力と濡れ性とのバランスが保たれ、耐反発性及びジッピング防止性に優れる傾向がある。
なお、単独重合体のガラス転移温度は、後述の方法で求めることができる。
なお、単独重合体のガラス転移温度は、後述の方法で求めることができる。
(メタ)アクリル系ポリマーにおいて、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有すると、粘着剤組成物を用いて作製された粘着フィルムは、耐反発性及びジッピング防止性に優れる傾向がある。
また、(メタ)アクリル系ポリマーは、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して30モル%〜70モル%であり、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して25モル%〜55モル%であることがより好ましい。
また、(メタ)アクリル系ポリマーは、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して45モル%〜65モル%であり、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して30モル%〜50モル%であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける、単独重合体のガラス転移温度が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位に対する、単独重合体のガラス転移温度が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の比率が、モル基準で0.6〜3.2であると、凝集力と濡れ性とのバランスが保たれ、耐反発性及びジッピング防止性に優れる傾向がある。
その他の構成単位を形成し得るモノマーとしては、例えば、水酸基を有するモノマー、アルキレンオキシド鎖を有するモノマー及び環状基を有するモノマーが挙げられる。
(メタ)アクリル系ポリマーのTgが−70℃以上であると、耐反発性に優れる傾向がある。(メタ)アクリル系ポリマーのTgが−10℃以下であると、ジッピング防止性に優れる傾向がある。
1/Tg=m1/Tg1+m2/Tg2+・・・+m(k−1)/Tg(k−1)+mk/Tgk
式中、Tg1、Tg2、・・・、Tg(k−1)、Tgkは、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する各モノマーの単独重合体の絶対温度で表さられるガラス転移温度をそれぞれ表す。m1、m2、・・・、m(k−1)、mkは、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する各モノマーのモル分率をそれぞれ表し、w1+w2+・・・+w(k−1)+wk=1である。
なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算可能であり、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算可能である。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系ポリマーとテトラヒドロフランとを用いて、固形分濃度が0.2質量%である試料溶液を得る。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)を測定する。
GPC :HLC−8220 GPC〔東ソー(株)製〕
カラム :TSK−GEL GMHXL 4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :0.6mL/分
カラム温度:40℃
これらの有機溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−イソプロピルペルオキシジカルボナト、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナト、t−ブチルペルオキシピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン及び2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンを挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−イソブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル及び2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、粘着付与樹脂の少なくとも1種を含む。
粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂(スチレン系樹脂を含む)、ロジン系樹脂及びテルペン系樹脂が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物がテルペン系樹脂とロジン系樹脂とを含む場合、テルペン系樹脂に対するロジン系樹脂の比率(質量基準)は、ジッピング防止性と耐反発性との観点から、0.2〜5.0が好ましく、0.25〜4.0がより好ましく、0.5〜1.5が更に好ましい。
なお、粘着付与樹脂の軟化点は、環球法により測定できる。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によりGPC装置(HLC−8220 GPC、東ソー(株)製)を用いて以下の条件にて測定し、標準ポリスチレンによる換算値として算出する。
GPC :HLC−8220 GPC〔東ソー(株)製〕
カラム :TSK−GEL GMHXL 4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :0.6mL/分
カラム温度:40℃
また、上記ロジン系樹脂の具体例としては、「スーパーエステルA−100」(軟化点100℃)、「スーパーエステルA−125」(軟化点125℃)、「スーパーエステルA−75」(軟化点75℃)〔以上、荒川化学工業(株)製〕などの商品名により市販されているものが挙げられる。
(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して粘着付与樹脂が10質量部未満、又は40質量部を超えると、粘着力及び被着体への濡れ性に劣り、耐反発性にも劣る場合がある。
本発明における粘着付与樹脂は、濡れ性を向上させる観点から、一般式(1)で表される構成単位を含む(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、10質量部〜35質量部が好ましく、15質量部〜30質量部がより好ましく、18質量部〜25質量部が更に好ましい。粘着付与樹脂の含有量が上記範囲であると、粘着力が高く被着体から脱落しにくい傾向がある。
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含むことができる。架橋剤としては、特に限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリアジリジン化合物、メラミンホルムアルデヒド縮合物、金属キレート化合物などが挙げられる。これら架橋剤は、それぞれ1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
これらのポリイソシアネート化合物の中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートの2量体、3量体並びにアダクト体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体がより好ましい。これらのポリイソシアネート化合物は、1種単独で又は2種類以上混合して使用することができる。
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー、粘着付与樹脂及び任意成分である架橋剤の他に、必要に応じて、シランカップリング剤、溶剤、耐候性安定剤、可塑剤、軟化剤、剥離助剤、染料、顔料、無機充填剤、界面活性剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、光安定剤などを含んでもよい。
本発明の粘着フィルムは、基材と、前記基材上に設けられ、本発明の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層と、を備える。すなわち、本発明の粘着フィルムは、基材と、本発明の粘着剤組成物に由来する粘着剤層とが積層されている。本発明の粘着フィルムは、本発明の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有することで、耐反発性に優れ、かつ、ジッピング防止性にも優れる。
基材が透明性に優れると、透明なラベルを製造できるため好ましい。
経時後の粘着力(剥離力)が1N/25mm以上であることで、粘着フィルムを低極性の被着体の曲面に貼付した場合であっても、粘着フィルムが被着体から脱落しにくくなる。
まず、粘着剤組成物を、剥離用フィルム上に25g/m2となるように塗布し、粘着剤層を形成する。粘着剤層が形成された剥離用フィルムの粘着剤層の表面を、基材フィルムに貼り合せて粘着シートを作製する。
ついで、粘着シートを25mm×150mmにカットし、剥離用フィルムを剥離後、粘着シートを粘着剤層が被着体に接するように重ね、2kgのゴムローラーを用いて圧着して試験サンプルを作製する。
試験サンプルを40℃、90%RHの環境下で1週間放置し、被着体から粘着シートを粘着剤層ごと、剥離角度180°、23℃雰囲気下、剥離速度0.3m/minの条件で剥離したときの粘着力を、卓上型材料試験機を用いて測定する。
すなわち、本発明の粘着フィルムは、低極性被着体に貼りつけた場合であっても耐反発性及びジッピング防止性に優れる。また、低極性被着体に対する粘着力が高いため、被着体から脱落しにくい。
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、温度計を備えた反応装置に2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)73.5質量部(56.8モル%)、メチルアクリレート(MA)25.2質量部(41.8モル%)、アクリル酸(AA)0.5質量部(1.0モル%)、一般式(1a)で表されるモノマー(製品名:アロニックスM−5300、東亞合成(株)製)0.8質量部(0.4モル%)からなる単量体混合物のうち25質量%、酢酸エチル60.8質量部及び重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.0042質量部を加えて加熱し、還流温度で10分間重合を行った。次いで還流温度条件下で単量体混合物の残量75質量%と酢酸エチル15質量部及びAIBN0.042質量部からなる重合開始剤溶液とを120分にわたって逐次滴下し、更に20分間重合を行った。その後、酢酸エチル15質量部にt−ブチルペルオキシピバレート0.2質量部を溶解させた溶液を、上記混合物に60分かけて滴下し、さらに140分間反応させた。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、固形分約35質量%、粘度約5100mPa・sの(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系ポリマーの組成(モル%)、重量平均分子量(Mw、単位:万)及び、Tg(℃)を表1に示す。
なお、ガラス転移温度(Tg)及び、重量平均分子量(Mw、単位:万)は既述の方法で測定、算出したものである。
なお、「固形分」とは(メタ)アクリル系ポリマーの溶液から溶媒を除去した残渣である。
製造例1において、表1に示すモノマー組成に変更し、適宜開始剤量などを調整したこと以外は、製造例1と同様の方法により(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマーの組成(モル%)、重量平均分子量(Mw、単位:万)及び、Tg(℃)を表1に示す。
なお、ガラス転移温度(Tg)及び、重量平均分子量(Mw、単位:万)は既述の方法で測定、算出したものである。
・AA:アクリル酸
・M−5300:ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(商品名:アロニックスM−5300、東亞合成(株)製)(一般式(1a)で表されるモノマー)
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・BA:n−ブチルアクリレート
・MA:メチルアクリレート
−粘着剤溶液の調製−
以下の手順にしたがって、粘着剤溶液(粘着剤組成物)を調製した。
製造例1で得られた(メタ)アクリル系ポリマーの溶液285.71質量部(固形分として100質量部)に対して、テルペン系樹脂(ヤスハラケミカル(株)製、YSレジンTR105、軟化点105℃、粘着付与樹脂)の酢酸エチル(EAc)溶液20質量部(固形分として10質量部)、ロジン系樹脂(ヤスハラケミカル(株)製、スーパーエステルA100、軟化点100℃、粘着付与樹脂)の酢酸エチル(EAc)溶液20質量部(固形分として10質量部)及び、コロネートL−45E(東ソー(株)製、イソシアネート系架橋剤)を4.67質量部(固形分として2.1質量部)を添加混合し、粘着剤溶液を調製した。
上記の粘着剤溶液を用い、以下の評価を行った。評価結果を下記表2に示す。
(1)耐反発性
(1−1)耐反発性の評価用粘着シートの作製
上記の手順で調製された粘着剤溶液を、シリコーン処理された剥離PETフィルム(藤森工業(株)製、フィルムバイナ100E−0010NO23(商品名)、厚さ100μm)に25g/m2となるように塗布した。塗布後、熱風乾燥機を用いて100℃で1分間乾燥し、粘着剤層を形成した。乾燥後、粘着剤層が形成された剥離PETフィルムの粘着剤層面の表を、基材PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルムHPE(商品名)、厚さ50μm)に貼り合せた。この基材PETフィルムの裏面(粘着剤層を形成していない面)に、同様の手順で、粘着剤層が形成された剥離PETフィルムを貼り合わせた。さらに、23℃、50%RHの条件下で7日間養生した。養生終了後、シリコーン処理された剥離PETフィルム(藤森工業(株)製、フィルムバイナ100E−0010NO23(商品名)、厚さ100μm)を片面のみ剥離し、剥離した面に裏打ち用PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルムHPE(商品名)、厚さ50μm)を貼り合せ、耐反発性の評価用粘着シートとした。
以下のエッジリフト試験にて耐反発性を評価した。上記で作製された耐反発性の評価用粘着シートを30mm×44mmにカットした。カット後、シリコーン処理された剥離PETフィルム(藤森工業(株)製、フィルムバイナ100E−0010NO23(商品名)、厚さ100μm)を剥離し、被着体である直径20mmのポリプロピレン(PP)棒に、粘着シートの長さ方向(44mm)がPP棒の円周方向になるように貼り付け、40℃で24時間放置し、40℃におけるPP棒に対して剥がれた長さを測定した。下記の評価基準に従って耐反発性を評価した。結果を表2に示す。
A :被着体からの剥がれが認められない。
B :被着体から剥がれた距離が5mm以下であり、実用上支障がない。
C :被着体から剥がれた距離が5mmを超えて10mm以下であり、実用上支障がない。
D :被着体から剥がれた距離が10mmを超え、実用上支障がある。
後述の「(3−2)初期の粘着力の測定」において、測定された粘着力の最小値に対する、粘着力の最大値の比率(最大粘着力/最小粘着力)を算出し、ジッピング防止性を評価する指標とした。ジッピング防止性の評価は、以下の基準に従って行った。結果を表2に示す。
A: 粘着力の最大値の最小値に対する比率の値が1.1以下である(ジッピングの発生が十分抑制されており非常に良好)。
B: 粘着力の最大値の最小値に対する比率の値が1.1を超え2.0以下である(ジッピングの発生が抑制されており良好)。
C: 粘着力の最大値の最小値に対する比率の値が2.0を超え5.0以下である(ジッピングが多数発生しているが許容範囲内)。
D: 粘着力の最大値の最小値に対する比率の値が5.0を超えている(ジッピングが顕著に発生)。
(3−1)粘着力の評価用粘着シートの作製
上記の手順で調製された粘着剤溶液を、シリコーン処理された剥離PETフィルム(藤森工業(株)製、フィルムバイナ100E−0010NO23(商品名)、厚さ100μm)上に、25g/m2となるように塗布した。塗布後、熱風乾燥機を用いて100℃で1分間乾燥し、粘着剤層を形成した。乾燥後、粘着剤層が形成された剥離PETフィルムの粘着剤層面を、基材PETフィルム(厚さ50μm)に貼り合せ、23℃、50%RHの環境下で7日間養生し、粘着力の評価用粘着シートとした。
粘着力の評価用粘着シートを25mm×150mmにカットし、カット後、シリコーン処理された剥離PETフィルム(藤森工業(株)製、フィルムバイナ100E−0010NO23(商品名)、厚さ100μm)を剥離し、粘着剤層がポリプロピレン板に接するように重ね、2kgのゴムローラーを用いて圧着して粘着力測定用の試験サンプルとした。
上記粘着力測定用の試験サンプルを23℃、50%RHの環境下で24時間放置した。ポリプロピレン板から粘着力の評価用粘着シートを粘着剤層ごと剥離した場合の常温での粘着力を、剥離角度180°、23℃雰囲気下、剥離速度0.3m/minの条件で卓上型材料試験機((株)オリエンテック製、STA−1225(型名))を用いて測定した。結果を表2に示す。
A:粘着力の最大値が15N/25mm以上である(粘着力に非常に優れている)。
B:粘着力の最大値が10N/25mm以上15N/25mm未満である(粘着力に優れている)。
C:粘着力の最大値が5N/25mm以上10N/25mm未満である(粘着力はやや低いが許容範囲内である)。
D:粘着力の最大値が1N/25mm以上5N/25mm未満である(粘着力はあまり高くないが、許容範囲内である)。
E:粘着力の最大値が1N/25mm未満である(不意な剥離が生じる可能性があり、許容範囲外である)。
また、上記(3−2)で作製した粘着力測定用の試験サンプルを40℃、90%RHの環境下で1週間放置した。ポリプロピレン板から粘着力の評価用粘着シートを粘着剤層ごと剥離した場合の粘着力を、剥離角度180°、23℃雰囲気下、剥離速度0.3m/minの条件で卓上型材料試験機((株)オリエンテック製、STA−1225(型名))を用いて測定した。結果を表2に示す。
A:粘着力の最大値が15N/25mm以上である(粘着力に優れている)。
B:粘着力の最大値が10N/25mm以上15N/25mm未満である(粘着力にやや優れている)。
C:粘着力の最大値が5N/25mm以上10N/25mm未満である(粘着力はやや低いが許容範囲内である)。
D:粘着力の最大値が5N/25mm未満である(不意な剥離が生じる可能性があり、許容範囲外である)。
実施例1において、粘着剤組成物を表2に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤溶液を調製した。調製した粘着剤溶液を用い、実施例1と同様に評価用粘着シートを作製し、各種物性試験を行った。結果を表2に示す。
・AA:アクリル酸
・M−5300:ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(商品名:アロニックスM−5300、東亞合成(株)製)(一般式(1a)で表されるモノマー)(示性式;CH2CHCOO(C5H10COO)nH 〔n≒2〕)
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・BA:n−ブチルアクリレート
・MA:メチルアクリレート
・T1:テルペン系樹脂(商品名:YSレジンTR105、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点105℃)
・T2:テルペン系樹脂(商品名:YSポリスターT145、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点145℃)
・T3:ロジン系樹脂(商品名:スーパーエステルA100、荒川化学工業(株)製、軟化点100℃)
・T4:ロジン系樹脂(商品名:ペンセルKK、荒川化学工業(株)製、軟化点165℃)
・T5:芳香族系樹脂(商品名:FTR6100、三井化学(株)製、軟化点95℃)
・イソシアネート系架橋剤:(商品名:コロネートL−45E、東ソー(株)製)
なお、表2における粘着付与樹脂及び架橋剤の含有量は、固形分換算値であり、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対する含有量である。
比較例1では、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有量が多いため、凝集力が高くなり過ぎてジッピング防止性に劣っていることが分かる。比較例2では、一般式(1)で表される構成単位の全構成単位に対する含有率が、0.1モル%未満であるため、粘着剤組成物の凝集力が低すぎて、耐反発性に劣っていることが分かる。比較例3では、一般式(1)で表される構成単位の全構成単位に対する含有率が、3モル%を超えるため、粘着剤組成物の凝集力が高くなりすぎて、ジッピング防止性に劣っていることが分かる。比較例4では、粘着付与樹脂の含有量が少ないため、粘着力及び耐反発性に劣っていることが分かる。比較例5では、粘着付与樹脂の含有量が多すぎて、経時後にそれらがブリードアウトすることで経時後の粘着力が低下し、また、耐反発性に劣ることが分かる。
特に、本実施例5〜7では、(メタ)アクリル系ポリマーにおける、一般式(1)で表される構成単位の含有率を、(メタ)アクリル系ポリマーの全構成単位に対して0.1モル%〜3モル%の範囲で増減させた場合であっても、耐反発性及びジッピング防止性に優れていることが分かる。
本実施例8及び9では、粘着剤組成物における粘着付与樹脂の含有量を10質量部〜40質量部の範囲で増減させた場合であっても、耐反発性及び、ジッピング防止性が良好であることが分かる。さらに、本実施例10〜12では、1種の粘着付与樹脂を用いた場合であっても耐反発性及びジッピング防止性が得られていることが分かる。
本実施例13及び14では、更に軟化点の温度が130℃を超える粘着付与樹脂を含む場合であっても、耐反発性及びジッピング防止性が得られていることが分かる。
本実施例15及び16では、(メタ)アクリル系ポリマーにおける、単独重合体のガラス転移温度が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位に対する、単独重合体のガラス転移温度が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の比率が、モル基準で0.6〜3.2であるので、耐反発性及びジッピング防止性が得られることが分かる。
本実施例17では、単独重合体のガラス転移温度が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含まない場合であっても、耐反発性及びジッピング防止性が得られることが分かる。
本実施例18では、(メタ)アクリル系ポリマー中に(メタ)アクリル酸に由来する構成単位が含まれていると、耐反発性及びジッピング防止性が得られることが分かる。
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表される構成単位を含み、前記構成単位の含有率が全構成単位に対して0.1モル%〜3モル%であり、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して6モル%以下である(メタ)アクリル系ポリマー100質量部と、
粘着付与樹脂10質量部〜40質量部と、
を含む粘着剤組成物。
(一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を示す。Lは、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基及び酸素原子よりなる群より選ばれる少なくとも1種から構成される2価の連結基を示す。) - 前記(メタ)アクリル系ポリマーにおける前記(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して1モル%以上である請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル系ポリマーは前記(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を含み、前記(メタ)アクリル系ポリマーにおける、前記一般式(1)で表される構成単位に対する、前記(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の比率が、モル基準で0.7〜20である、請求項1又は請求項2に記載の粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル系ポリマーは、単独重合体のガラス転移温度が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して35モル%〜75モル%であり、単独重合体のガラス転移温度が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して20モル%〜60モル%である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル系ポリマーにおける、単独重合体のガラス転移温度が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位に対する、単独重合体のガラス転移温度が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の比率が、モル基準で0.6〜3.2である、請求項4に記載の粘着剤組成物。
- 前記粘着付与樹脂の軟化点は130℃以下である、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
- 前記粘着付与樹脂は、テルペン系樹脂及びロジン系樹脂の少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
- 低極性被着体への貼着に用いられる請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
- 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有する粘着フィルム。
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