JP6552433B2 - 保護フィルム用粘着剤組成物及び保護フィルム - Google Patents

保護フィルム用粘着剤組成物及び保護フィルム Download PDF

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Description

本発明は、保護フィルム用粘着剤組成物及び保護フィルムに関する。
物品の表面を損傷及び汚れから防止するために、物品に粘着フィルムを貼り付けて保護することが行われている。このような粘着フィルムは保護フィルムと呼ばれる。
保護フィルムは、一般的に、シート状の基材の片面に、被着体に貼り付けるための粘着剤層を有し、保護対象である物品(以下、「被着体」ともいう。)の保護が不要になった段階で被着体から剥離される。
一般的に、粘着剤層を形成する粘着剤組成物として、(メタ)アクリル系樹脂を粘着成分とするアクリル系粘着剤組成物が知られている。アクリル系粘着剤組成物は、粘着力及び凝集力などの粘着特性を調整しやすいため、上記保護フィルムなど様々な用途で使用されている。
また、粘着剤層を形成する粘着剤組成物として、ウレタン樹脂を粘着成分とするウレタン系粘着剤組成物が知られている。ウレタン系粘着剤組成物は、アクリル系粘着剤組成物に比べて粘着成分であるポリマーの分子量が小さいため、被着体へのなじみ性に優れている。
上記アクリル系粘着剤組成物と、ウレタン系粘着剤組成物との長所を兼ね揃えた粘着剤組成物として、(メタ)アクリル系樹脂とウレタン樹脂とを含む粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2004−002827号公報 特開2005−194366号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の粘着剤組成物は、発明者らが検討したところ、(メタ)アクリル系樹脂における官能基の量が少ないので、凝集力が不足し、加熱処理後の粘着力が高く、保護フィルムの剥離性に劣る場合があった。特に、特許文献1に記載の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系樹脂における官能基がアクリル酸に由来するカルボキシ基であるため、(メタ)アクリル系樹脂とウレタン樹脂との相溶性が悪く、粘着剤層の透明性に劣る場合があった。
一般的に、粘着力は加熱処理によって上昇する傾向にある。粘着力が上昇しすぎると、被着体から剥離しにくい場合がある。そのため、保護フィルムには、被着体を加熱処理しても粘着力が上昇せず容易に剥離できること、すなわち優れた剥離性が求められている。
また、保護フィルムを剥離する際に、粘着力の強弱に起因して、滑らかに剥離せずパリパリと音を立てて剥離するジッピングと呼ばれる現象が起きる場合がある。ジッピングは、保護フィルムを加熱処理した後に起こりやすい。ジッピングが生じると、音による製造環境の悪化及び被着体にスジ状の欠点が発生するなどの問題が生じることがある。そのため、保護フィルムは、加熱処理後であってもジッピングを生じずに被着体から剥離できること、すなわち、ジッピング防止性が求められている。
加えて、保護フィルムの粘着剤層は、保護フィルムを貼着した状態で被着体の外観を検査できるように、高い透明性が求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、透明性に優れ、かつ、加熱処理後の剥離性及びジッピング防止性にも優れた粘着剤層を形成できる保護フィルム用粘着剤組成物並びに透明性に優れ、かつ、加熱処理後の剥離性及びジッピング防止性にも優れた保護フィルムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 水酸基価が15mgKOH/g〜65mgKOH/gである(メタ)アクリル系樹脂100質量部と、水酸基を有するウレタン樹脂1質量部〜40質量部と、イソシアネート化合物3質量部〜20質量部と、を含む保護フィルム用粘着剤組成物である。
<2> 前記イソシアネート化合物がヘキサメチレンジイソシアネート又はその誘導体である、前記<1>に記載の保護フィルム用粘着剤組成物である。
<3> 前記ウレタン樹脂の含有量に対する前記イソシアネート化合物の含有量の比が、質量基準で0.5以上である、前記<1>又は<2>に記載の保護フィルム用粘着剤組成物である。
<4> 前記(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度が−60℃以下である、前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の保護フィルム用粘着剤組成物である。
<5>前記ウレタン樹脂の水酸基価が3mgKOH/g〜100mgKOH/gである、前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の保護フィルム用粘着剤組成物である。
<6> 前記ウレタン樹脂は、イソシアネート化合物とオキシアルキレンポリオールとが縮合した構造部分を有し、数平均分子量が1万〜30万である前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の保護フィルム用粘着剤組成物である。
<7> 基材と、前記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の保護フィルム用粘着剤組成物を用いて前記基材上に配置された粘着剤層と、を有する保護フィルムである。
本発明によれば、透明性に優れ、かつ、加熱処理後の剥離性及びジッピング防止性に優れた粘着剤層を形成できる保護フィルム用粘着剤組成物並びに透明性に優れ、かつ、加熱処理後の剥離性及びジッピング防止性に優れた保護フィルムを提供することができる。
以下、本発明の保護フィルム粘着組成物について詳細に説明する。なお、本発明において、数値範囲における「〜」は、「〜」の前後の数値を含むことを意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、(メタ)アクリル系樹脂とは、これを構成するモノマーのうち少なくとも主成分であるモノマーが(メタ)アクリロイル基を有するモノマーであるポリマーを意味する。主成分であるモノマーとは、ポリマーを構成するモノマー成分の中で最も含有率(質量%)が大きいモノマーを意味する。(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、主成分である(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位の含有率が全構成単位の50質量%以上である共重合体であってもよい。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両者を包含することを意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を包含することを意味し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を包含することを意味する。
≪保護フィルム用粘着剤組成物≫
本発明の保護フィルム用粘着剤組成物(以下、単に、「粘着剤組成物」ともいう。)は、水酸基価が15mgKOH/g〜65mgKOH/gである(メタ)アクリル系樹脂100質量部と、水酸基を有するウレタン樹脂1質量部〜40質量部と、イソシアネート化合物3質量部〜20質量部と、を含む。本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、さらに、上記で説明した成分以外の他の成分を含んでいてもよい。
本発明の粘着剤組成物は、上記構成とすることで、透明性、ジッピング防止性及び剥離性に優れた粘着剤層を形成することができ、基材上に粘着剤層を有する保護フィルムが得られる。この理由は、以下のように推測される。
一般的に、粘着剤層の凝集力が高く粘着剤層が硬いと、保護フィルムの粘着力が低く抑えられ、剥離性に優れる傾向にあるが、被着体へのなじみ性が悪くなり、ジッピングが生じやすくなる傾向にある。一方、粘着剤層の凝集力が低く粘着剤層が柔らかい場合、被着体へのなじみ性が良くジッピングが生じにくい傾向にあるが、保護フィルムの粘着力が高くなり剥離性に劣る傾向にある。それゆえ、剥離性とジッピング防止性とは背反する性能であり、剥離性とジッピング防止性とを兼ね備えた保護フィルムを作製することは困難であった。
また、(メタ)アクリル系樹脂とウレタン樹脂とは、極性が異なるため相溶性が低く、(メタ)アクリル系樹脂とウレタン樹脂とを含む粘着剤層は、透明性が低い場合があった。
本発明の粘着剤組成物は、所定量の水酸基価を有する(メタ)アクリル系樹脂と、水酸基を有するウレタン樹脂と、を含むため、剥離性とジッピング防止性という互いに背反する性能を同時に付与することができると推察される。
具体的には、(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が15mgKOH/g〜65mgKOH/gの範囲にあるので、(メタ)アクリル系樹脂は、粘着剤層に適度な粘着力を付与するのに適した架橋密度に架橋される。その結果、保護フィルムの剥離性に優れると共に、粘着剤層が硬くなりすぎないため、ジッピングも生じにくい。
また、粘着剤層になじみ性を付与するウレタン樹脂は、水酸基を含むため、架橋されると適度な凝集力を粘着剤層に付与できる。このため、粘着剤層になじみ性を付与しつつ、保護フィルムの剥離性に優れると共に、ジッピングも生じにくい。
本発明の粘着剤組成物における(メタ)アクリル系樹脂は、架橋点が水酸基であり、かつ、従来よりも高い水酸基価を有するため、ウレタン樹脂との相溶性が高く粘着剤層の透明性に優れる。
また、本発明の粘着剤組成物における架橋剤は、(メタ)アクリル系樹脂及びウレタン樹脂の両方に対する相溶性が高いイソシアネート化合物である。このため、粘着剤組成物の各成分との相溶性が高く、上記粘着剤組成物を用いて作製された粘着剤層は、透明性に優れると推察される。
<(メタ)アクリル系樹脂>
本発明の保護フィルム用粘着剤組成物は、水酸基価が15mgKOH/g〜65mgKOH/gである(メタ)アクリル系樹脂の少なくとも1種を含む。本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(メタ)アクリル系樹脂とは異なる(メタ)アクリル系樹脂をさらに含んでいてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂が水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を含むことで、後述するイソシアネート化合物によって架橋される。
本発明の粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価は、ウレタン樹脂との併用時における相溶性をより向上させて優れた透明性を得る観点、粘着剤層のなじみ性を向上させて優れたジッピング防止性を得る観点、及び剥離性を向上させる観点から、水酸基価が15mgKOH/g〜65mgKOH/gである。同様の観点から、水酸基価は15mgKOH/g〜63mgKOH/gが好ましく、17mgKOH/g〜50mgKOH/gがより好ましく、17mgKOH/g〜35mgKOH/gが特に好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が15mgKOH/g未満であると、架橋性の官能基である水酸基が少なく、架橋反応が不十分となり、加熱処理による粘着剤組成物の粘着力の上昇を十分に抑制できず、剥離性に劣る。また、後述するウレタン樹脂と併用した場合に相溶性が悪く、粘着剤層の透明性が十分に得られない。(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が65mgKOH/gを超えると、架橋反応が過度に進行して粘着剤層が硬くなり、被着体へのなじみ性が悪く、剥離時にジッピングを生じる可能性がある。
本発明における(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価は、それぞれ以下の計算式によって求められる。
水酸基価(mgKOH/g)={(A1/100)÷B1}×C1×D1×1000
A1=(メタ)アクリル系樹脂に使用される全モノマー中の、(メタ)アクリル系樹脂に使用される水酸基を有するモノマーの含有率(質量%)
B1=(メタ)アクリル系樹脂に使用される水酸基を有するモノマーの分子量
C1=水酸基を有するモノマー1分子中における水酸基の数
D1=水酸化カリウム(KOH)の分子量
水酸基を有するモノマーが複数種含まれる場合には、各水酸基を有するモノマーごとに上記の計算式によって水酸基価を求め、合算した値を(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価とする。
(メタ)アクリル系樹脂の形成に用いられる、水酸基を有するモノマーは、特に制限されない。水酸基を有するモノマーとしては、水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレート、水酸基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートを挙げることができる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレートのアルキル部位は、直鎖状、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレートのアルキル部位の炭素数は、1〜12の範囲であることが好ましい。アルキル部位の炭素数が上記範囲内であると、粘着性と保護フィルムとしたときの基材との密着性の観点で有利である。水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレートのアルキル部位の炭素数は、2〜6であることがより好ましく、2〜4であることがさらに好ましい。
水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート及び3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
水酸基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのポリアルキレングリコール部位を構成するアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールの組み合わせなどを挙げることができる。
水酸基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートを挙げることができる。
被着体に対する適度な粘着力及び良好な剥離性を得る観点からは、水酸基を有する(メタ)アクリレートは、水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート及び12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがさらに好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが特に好ましい。これらは、(メタ)アクリル系樹脂を合成する際の他のモノマーとの相溶性及び共重合性が特に良好であり、またイソシアネート化合物との架橋反応が特に良好である。
(メタ)アクリル系樹脂の全構成単位に占める水酸基を有するモノマーに由来する構成単位の割合(含有率)は、1質量%〜20質量%の範囲が好ましく、5質量%〜18質量%の範囲がより好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂の、水酸基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率が1質量%(好ましくは5質量%)以上であると、粘着剤層が適度に硬くなり、被着体の表面上でずれが生じたり、表面から脱落したりすることがない程度の粘着力を得やすい傾向がある。また、水酸基を有するモノマーに由来する構成単位の含有率が20質量%以下(好ましくは18質量%以下)であると、粘着剤層が適度に柔らかくなり、被着体との密着性に優れつつ、剥離時におけるジッピングの発生を抑制する傾向がある。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂は、水酸基を有するモノマーに由来する構成単位に加え、水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂が、水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む場合、水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートは、無置換のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、その種類は特に制限されない。水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は、1〜18の範囲が好ましく、1〜12の範囲がより好ましい。アルキル基の炭素数が上記の範囲内であると、粘着性及び保護フィルムとしたときに被着体との密着性が優れる。
水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートを挙げることができる。水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートとしては、硬さと柔らかさとを両立しやすい観点から、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びn−ブチル(メタ)アクリレートの少なくとも一方を含むことが好ましく、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含むことがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂の全構成単位に占めるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の割合は、被着体から容易に脱落しない程度に十分な粘着力を粘着剤層に付与しつつ、優れた剥離性も保持する観点からは、全構成単位に対して、50質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
また、(メタ)アクリル系樹脂の全構成単位に占めるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の割合は、汚染性を低く抑える観点からは、全構成単位に対して97質量%以下が好ましく、96質量%以下がより好ましく、95質量%以下がさらに好ましい。
なお、汚染性とは、保護フィルムを被着体から剥離した際に、被着体にクモリなどの汚染を発生させる性質をいい、被着体への汚染が少ないほど汚染性に優れる。
(メタ)アクリル系樹脂は、本発明の効果が発揮される範囲内において、水酸基を有するモノマーに由来する構成単位、及び水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する任意の構成単位以外のその他の構成単位(以下、「その他の構成単位」ともいう。)を含んでもよい。この場合、水酸基を有するモノマーに由来する構成単位と、水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位との合計の割合(含有率)は、(メタ)アクリル系樹脂の全構成単位に対して70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
その他の構成単位を構成するモノマーは、水酸基を有するモノマー及び水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートと共重合できるものであれば特に制限されない。
その他の構成単位を構成するモノマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の環状基を有する(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族モノビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステルなどを挙げることができる。また、カルボキシ基、グリシジル基、アミド基、N−置換アミド基、三級アミノ基等の、水酸基以外の官能基を有するモノマーを挙げることができる。
カルボキシ基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー及びω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
グリシジル基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アリルエーテル及び3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アリルエーテルを挙げることができる。
アミド基又はN−置換アミド基を有するモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド及びジアセトンアクリルアミドを挙げることができる。
三級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。
(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、40万〜150万であることが好ましく、50万〜100万であることがより好ましく、60万〜90万であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が40万以上であると、被着体への汚染をより抑制する傾向がある。また、(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が150万以下であると、剥離時の粘着力が大きくなり過ぎず、剥離性に優れる傾向がある。
(メタ)アクリル系樹脂の、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分散度(Mw/Mn)は、特に制限されず、粘着性及び被着体に対する汚染性の観点から、1〜30の範囲であることが好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、下記の方法によりそれぞれ測定された値である。
(重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定方法)
下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)(メタ)アクリル系樹脂溶液を剥離紙に塗布し、100℃で2分間乾燥し、フィルム状の(メタ)アクリル系樹脂を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系樹脂をテトラヒドロフランにて固形分0.2%になるように溶解させる。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定する。
(条件)
GPC:HLC−8220 GPC〔東ソー株式会社製〕
カラム:TSK−GEL GMHXL4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/min
カラム温度:40℃
(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は−60℃以下であることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂のTgが−60℃以下であると、被着体に対するなじみ性が良く、ジッピング防止性に優れる傾向がある。(メタ)アクリル系樹脂のTgは−65℃以下であることがより好ましく、−70℃以下であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂のTgは、下記式1から計算により求められる絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算した値である。
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・+w(k−1)/Tg(k−1)+wk/Tgk
・・・(式1)
式1中、Tg1、Tg2、・・・、Tg(k−1)、Tgkは、(メタ)アクリル系樹脂を構成する各モノマーの単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度である。w1、w2、・・・、w(k−1)、wkは、(メタ)アクリル系樹脂を構成する各モノマーの質量分率をそれぞれ表し、w1+w2+・・・+w(k−1)+wk=1である。
なお、「単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度」は、そのモノマーを単独で重合して製造した単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度をいう。単独重合体のガラス転移温度は、その単独重合体を、示差走査熱量測定装置(DSC)(セイコーインスツルメンツ社製、EXSTAR6000)を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたDSCカーブの変曲点を、単独重合体のガラス転移温度としたものである。
代表的なモノマーの「単独重合体のセルシウス温度(℃)で表されるガラス転移温度」は、メチルアクリレートは5℃であり、エチルアクリレートは−27℃であり、n−ブチルアクリレートは−57℃であり、2−エチルヘキシルアクリレートは−76℃であり、2−ヒドロキシエチルアクリレートは−15℃であり、4−ヒドロキシブチルアクリレートは−39℃であり、t−ブチルアクリレートは41℃であり、アクリル酸は163℃である。例えば、単独重合体のガラス転移温度が異なるモノマーを用いることで、(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)を適宜調整できる。
なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算可能であり、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算可能である。
((メタ)アクリル系樹脂の重合方法)
本発明の粘着剤組成物に使用される(メタ)アクリル系樹脂の重合方法は、特に制限されない。重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の公知の方法を適用することができる。中でも、重合により得られた(メタ)アクリル系樹脂から粘着剤組成物を製造するにあたり、処理工程が比較的簡単であり、かつ短時間で行うことができるため、溶液重合が好ましい。
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、モノマー、重合開始剤、及び必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行われる。この場合、有機溶媒、モノマー及び重合開始剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサ等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油等の脂肪系又は脂環族系炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、及びメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類を挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒のうち、(メタ)アクリル系樹脂の重合に際しては、エステル類、ケトン類などの重合反応中に連鎖移動を生じにくい有機溶媒を用いることが好ましい。特に、(メタ)アクリル系樹脂の溶解性、重合反応の容易さなどの観点から、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトンなどがより好ましい。
重合開始剤としては、通常の溶液重合で用いられる有機過酸化物、アゾ化合物などを使用できる。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−i−プロピルペルオキシジカルボナト、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナト、t−ブチルペルオキシビバラト、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン及び2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンを挙げることができる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−i−ブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル及び2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルを挙げることができる。
重合開始剤としては、(メタ)アクリル系樹脂の重合に際しては、重合反応中にグラフト反応を起こさない重合開始剤の使用が好ましく、特にアゾビス系の重合開始剤がより好ましい。この場合の重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル系樹脂の合計100質量部に対して0.01質量部〜2質量部であることが好ましく、0.1質量部〜1質量部であることがより好ましい。
重合反応時の重合温度としては、約30℃〜180℃の範囲であることが好ましく、50℃〜150℃の範囲であることがより好ましく、50℃〜90℃の範囲であることがさらに好ましく、50℃〜80℃の範囲であることが特に好ましい。
<水酸基を有するウレタン樹脂>
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、水酸基を有するウレタン樹脂1質量部〜40質量部を含有する。水酸基を有するウレタン樹脂(以下、単に「ウレタン樹脂」ともいう。)を上記の範囲内の量で含有することにより、剥離性及び透明性を良好に保ちつつ、粘着剤層になじみ性を付与できるためジッピング防止性に優れる。また、後述するイソシアネート化合物と組み合わせることで、極性が異なる既述の(メタ)アクリル系樹脂と併用した場合であっても、相溶性が高く、透明性に優れる粘着剤層が得られる。
粘着剤組成物におけるウレタン樹脂の含有量が1質量部未満であると、粘着剤層が硬くなりすぎてしまい、ジッピング防止性に劣る。粘着剤組成物におけるウレタン樹脂の含有量が40質量部を超えると、(メタ)アクリル樹脂と相溶しにくく透明性に劣る。また、汚染性にも劣る。
粘着剤組成物におけるウレタン樹脂の含有量は、ジッピング防止性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂の合計100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。また、透明性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂の合計100質量部に対して、35質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
本発明の粘着剤組成物に含まれるウレタン樹脂の水酸基価は、3mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、5mgKOH/g〜50mgKOH/gがより好ましく、5mgKOH/g〜30mgKOH/gがさらに好ましい。
ウレタン樹脂の水酸基価が、3mgKOH/g以上であると、剥離性が良好となりやすい。ウレタン樹脂の水酸基価が100mgKOH/g以下であると、アクリル樹脂との相溶性に優れ、透明性に優れる傾向がある。
本発明におけるウレタン樹脂の水酸基価は、以下の方法で測定される値である。容量200mlの共栓付三角フラスコ中に溶解前のウレタン樹脂約2gを精秤し、アセチル化試薬(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)5mlをホールピペットで正確に添加する。これにピリジン10gを添加し、100℃で1.5時間反応させる。放冷後、トルエン/エタノール=2/1(容量比)混合液40mlを加えて溶解させる。この試料溶液を、フェノールフタレイン溶液を指示薬として、N/2水酸化カリウムのエタノール溶液を用いて、試料溶液が淡紅色を呈するまで滴定する。
水酸基価を次式により求める。
水酸基価(mgKOH/g)=[(b−a)×f×28.05/S]+D
S:試料の採取量(g)
a:N/2水酸化カリウムエタノール溶液の滴定量(ml)
b:空実験のN/2水酸化カリウムエタノール溶液の滴定量(ml)
f:N/2水酸化カリウムエタノール溶液の力価
D:ポリエステルの酸価(mgKOH/g)
本発明の粘着剤組成物に含まれるウレタン樹脂は、アクリル樹脂との相溶性の観点から、イソシアネート化合物の少なくとも1種と、ポリオールの少なくとも1種と、の縮合反応により生成された構造単位を有することが好ましく、イソシアネート化合物の少なくとも1種と、ポリオールの少なくとも1種と、の縮合反応により生成された構造単位を有し、数平均分子量(Mn)が1万〜30万であることがより好ましい。
本発明の粘着剤組成物に含まれるウレタン樹脂は、ポリオールとイソシアネート化合物とをイソシアネート基過剰の割合で縮合反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを製造し(プレポリマー生成反応)、上記イソシアネート基末端プレポリマーに鎖延長剤を反応させ(鎖延長反応)、さらに、末端停止剤を反応させ、末端を失活させて(停止反応)得ることができる。
−イソシアネート化合物−
プレポリマー生成反応に使用されるイソシアネート化合物は、特に制限されず、後述する公知の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートなどを用いることができる。それらの中でも、粘着剤層の黄変を防止する観点からイソホロンジイソシアネートが好ましい。
−ポリオール−
プレポリマー生成反応に使用されるポリオールとしては、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。
プレポリマー生成反応に使用されるポリオキシアルキレンポリオールは、粘着剤としての特性に優れることから、平均水酸基数が2以上であることが好ましく、2〜6であることがより好ましく、2〜3であることがさらに好ましく、2であることが特に好ましい。なお、ポリオキシアルキレンポリオールの1分子あたりの水酸基数は、製造するのに用いた多価開始剤の活性水素原子数と一致する。
また、ポリオキシアルキレンポリオールは、水酸基価が5.6mgKOH/g〜600mgKOH/gであることが好ましい。ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価が5.6mgKOH/g以上であると、イソシアネート化合物と反応しやすくなり、また得られたプレポリマーが鎖延長剤と反応しやすくなる傾向にある。一方、ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価が600mgKOH/g以下であると、得られるプレポリマー中のポリイソシアネート化合物単位の比率が相対的に高くなりすぎず、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖延長剤と反応させる際にゲル化しにくくなる。
ポリオキシアルキレンポリオールは、不飽和度が0.3meq/g以下であることが好ましく、0.05meq/g以下であることがより好ましい。ポリオキシアルキレンポリオールの不飽和度が0.3meq/g以下であると、汚染性に優れる傾向にある。
このような不飽和度の低いポリオキシアルキレンポリオールを製造するためには、開環重合触媒として、セシウム金属化合物触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、フォスファゼン触媒などを用いることが好ましく、複合金属シアン化物錯体触媒を用いることがより好ましい。
ポリオキシアルキレンポリオールは2種以上の混合物であってもよく、その場合においては、平均の不飽和度、平均の水酸基価が上記の範囲内にあることが好ましい。
ポリオキシアルキレンポリオールは、例えば、開環重合触媒及び多価開始剤の存在下、アルキレンオキシドを付加させて製造される。
アルキレンオキシドとしては、炭素数2〜6のアルキレンオキシドが好ましい。炭素数2〜6のアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド及び2,3−ブチレンオキシドを挙げることができる。これらの中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせがより好ましい。
ウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)は1万〜30万であることが好ましく、3万〜30万であることがより好ましい。ウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)が1万以上であると、粘着特性、特に保持力が向上する傾向にある。また、ウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)が30万以下であると、ゲル化せずに合成できる傾向がある。
ウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)は、粘着特性及び被着体に対する汚染性の観点から1万〜10万がより好ましい。
ウレタン樹脂の数平均分子量は、既述のアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)と同様にして測定、計算できる。
<イソシアネート化合物>
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、イソシアネート化合物3質量部〜20質量部を含有する。
本発明の粘着剤組成物におけるイソシアネート化合物の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂の合計100質量部に対して、3質量部〜20量部の範囲が好ましく、5質量部〜15質量部の範囲がより好ましい。
イソシアネート化合物の含有量が3質量部未満であると、架橋反応が不十分となり粘着剤層が柔らかく剥離性に劣る傾向がある。また、(メタ)アクリル系樹脂が被着体に残る(汚染が発生する)場合がある。また、(メタ)アクリル系樹脂とウレタン樹脂とを併用した場合の相溶性が悪く、粘着剤層に十分な透明性が得られない場合がある。イソシアネート化合物の含有量が20質量部を超えると、架橋反応が過度に進行して、必要な粘着力が維持されない場合があり、剥離時にジッピングを生じる可能性がある。
イソシアネート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート、上記の芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物などの脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物並びにこれらのポリイソシアネート化合物のビウレット体、2量体、3量体、5量体及びこれらのポリイソシアネート化合物と、トリメチロールプロパンなどのポリオール化合物とのアダクト体を挙げることができる。これらのイソシアネート化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート化合物としては、中でも、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物のビウレット体、2量体、3量体、及びアダクト体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート構造を有するイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体及びヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。これらのイソシネート化合物は、ウレタン樹脂及び(メタ)アクリル樹脂との相溶性が高いため、粘着剤層の透明性に優れる傾向がある。また、芳香環に由来する構造を有していないので、加熱後の粘着剤層が黄変し難く、透明性により優れる粘着フィルムを得ることができる。
イソシアネート化合物は、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、「コロネートHX」、「コロネートHL−S」、「コロネートL」、「コロネート2031」、「コロネート2030」、「コロネート2234」、「コロネート2785」、「アクアネート200」、「アクアネート210」〔以上、東ソー株式会社製〕、「スミジュールN3300」、「デスモジュールN3400」、「スミジュールN−75」〔以上、住友コベストロレタン株式会社製〕、「デュラネートE−405−80T」、「デュラネート24A−100」、「デュラネートTSE−100」〔以上、旭化成ケミカルズ株式会社製〕、「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」及び「MT−オレスターNP1200」〔以上、三井化学株式会社製〕の商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
本発明におけるウレタン樹脂の含有量に対するイソシアネート化合物の含有量の比は、質量基準で0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。
ウレタン樹脂の含有量に対するイソシアネート化合物の含有量の比が0.5以上であると、粘着剤組成物中におけるウレタン樹脂の相溶性が向上し、粘着剤層の透明性に優れる傾向がある。
<その他の成分>
本発明における粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン樹脂及びイソシアネート化合物の他に、必要に応じて、シランカップリング剤、溶剤、イソシアネート化合物以外の架橋剤、耐候性安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、剥離助剤、染料、顔料、無機充填剤、界面活性剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを適宜含有してもよい。
≪保護フィルム≫
本発明の保護フィルムは、基材と、本発明の粘着剤組成物を用いて上記基材上に配置された粘着剤層と、を備えている。本発明の保護フィルムは、粘着剤層が、本発明の粘着剤組成物を用いて形成されることで、透明性に優れ、かつ、加熱処理後の剥離性及びジッピング防止性にも優れている。これにより、光学部材の生産性が改善され、歩留まりの向上が図られる。
本発明の保護フィルムを構成する基材は、その上に粘着剤層の形成が可能であれば、任意の材料から選択することができる。
基材は、透視による光学部材の検査及び管理の観点から、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などからなるシート又はフィルムを挙げることができる。中でも、表面保護性能の観点から、ポリエステル系樹脂の基材が好ましく、実用性の点で、ポリエチレンテレフタレート樹脂の基材がより好ましい。
基材の厚みは用途に応じて選択でき特に制限されず、一般的には500μm以下である。このうち、好ましい厚みは5μm〜300μmの範囲であり、より好ましい厚みは10μm〜200μmの範囲である。
基材上に設けられる粘着剤層の形成方法は特に制限されず、通常用いられる方法で行うことができる。例えば、本発明の粘着剤組成物をそのままの状態で、又は必要に応じて溶媒で希釈した状態で、ベースフィルムである基材に直接塗布し、乾燥して溶媒を除去する工程を含む方法により行うことができる。
その他の方法としては、先ずシリコーン樹脂などにより離型処理が施された紙、ポリエステルフィルムなどの剥離シートの上に本発明の粘着剤組成物を塗布し、加熱乾燥して粘着剤層を形成し、次いで剥離シートの粘着剤層が形成された面を基材に接触させて加圧し、基材側に粘着剤層を転写する方法であってもよい。
なお、本発明の保護フィルムは、基材の上に、粘着剤層を直接形成させたものであってもよく、基材と粘着剤層との間に別の層を設けたものであってもよい。基材と粘着剤層との間に別の層を設けた保護フィルムとしては、例えば、基材の上に、易接着層を形成させ、易接着層の上に粘着剤層を形成させたものが挙げられる。
粘着剤層は、粘着剤組成物に含まれるイソシアネート化合物によって(メタ)アクリル系樹脂及びウレタン樹脂が架橋されている状態であることが好ましい。これにより、透明性と、加熱処理後の剥離性と、ジッピング防止性との両立が可能となる。
(メタ)アクリル系樹脂及びウレタン樹脂をイソシアネート化合物で架橋するための条件は、特に制限されない。例えば、保護フィルムを加熱することによって架橋させることができる。
粘着剤層の被着体に対する23℃で180度剥離した場合の粘着力は、剥離速度30m/分(高速剥離)における粘着力(剥離力)が0.4N/25mm以下であることが好ましく、0.35N/25mm以下であることがより好ましい。
高速剥離時の粘着力が0.4N/25mm以下であることで、容易に剥離することができ、特に広幅での剥離性が良好となる。
基材上に形成される粘着剤層の厚さは、保護フィルムに求められる粘着力及び被着体の表面粗さなどに応じて適宜設定することができる。粘着剤層の厚さとしては、1μm〜100μmの範囲が好ましく5μm〜50μmの範囲がより好ましく、15μm〜30μmの範囲がさらに好ましい。
本発明の保護フィルムの用途としては、ハードコート処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムなどの加熱処理が行われる光学部材の表面保護フィルム、フレキシブルプリント基板などの電子部材の製造工程において使用される表面保護フィルム、補強フィルムが挙げられる。すなわち、本発明の保護フィルムは、加熱処理工程において表面を保護又は補強し、加熱処理工程後、汚染なく、ジッピングを生じることなく容易に剥がすことができる耐熱性の粘着フィルムとして用いることが可能である。
中でも、本発明の粘着剤組成物は透明性が高いので、本発明の粘着剤組成物に由来する粘着剤層を備えた粘着フィルムは、被着体に貼り合せた状態で外観検査などの検査工程を実施することができる。このため、ハードコート処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムなどの光学部材の表面保護フィルム用途に適している。
なお、光学部材の表面保護フィルムは、光学部材の表面に積層されて、その光学部材の表面が汚染されたり損傷したりしないよう保護するものである。光学部材は表面保護フィルムが光学部材に積層された状態のまま、高温乾燥印刷工程、エッチング工程などの加熱処理が施される。その後、表面保護が不要となった段階で、光学部材から剥離除去される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
−(メタ)アクリル系樹脂の製造−
(製造例1)
温度計、攪拌機、還流冷却器、及び逐次滴下装置を備えた反応容器内に、酢酸エチル25質量部、水酸基を有しないアルキルアクリレートとして2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)23.75質量部、水酸基を有するモノマーとして4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1.25質量部を入れ、撹拌を行いながら反応容器内の温度を還流が発生するまで昇温させた。還流開始から10分後、2EHA71.25質量部、4HBA3.75質量部、重合開始剤として1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリル(V―40:和光純薬工業製)0.0125質量部を酢酸エチル20質量部に溶解させた溶液を120分かけて滴下し、滴下終了後さらに150分間かけて反応を完結させた。反応完結後、固形分が35質量%となるように酢酸エチルで希釈し、(メタ)アクリル系樹脂の溶液を調製した。
得られた(メタ)アクリル系樹脂のモノマー組成(質量%)、重量平均分子量(Mw、単位:万)、水酸基価及びTgを表1に示す。重量平均分子量(Mw、単位:万)、水酸基価及びTgは既述の方法で測定、計算したものである。具体的には、水酸基価は次のとおり計算した。なお、4HBAは、分子量が144.2であり、1分子中の水酸基の数は1である。また、KOHの分子量は56.1である。
{(5/100)÷144.2}×56.1×1×1000=19.5(mgKOH/g)
なお、「固形分」とは(メタ)アクリル系樹脂の溶液から溶媒などの揮発性成分を除去した残渣量である。
(製造例2〜9)
製造例1において、モノマーの組成を下記表1に示すように変更すると共に、溶剤量及び開始剤量の調整により、下記表1に示すように分子量を調整したこと以外は、製造例1と同様の方法により(メタ)アクリル系樹脂の溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系樹脂の組成(質量%)、重量平均分子量(Mw、単位:万)、水酸基価及びTgを表1に示す。重量平均分子量(Mw、単位:万)、水酸基価及びTgは既述の方法で測定、計算したものである。
表1における略号は以下の通りである。
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・BA:n−ブチルアクリレート
・4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
・2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
・AA:アクリル酸
−ウレタン樹脂の合成−
(1)ウレタン樹脂1
本発明に係る水酸基を有するウレタン樹脂は、以下のように合成した。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計及び滴下ロートを備えた4口フラスコに水酸基価112mgKOH/gのポリオキシプロピレンジオール40.8g、イソホロンジイソシアネート13.2g、ウレタン化触媒としてジブチル錫ジラウレート(DBTDL)を、ポリオキシプロピレンジオール、イソホロンジイソシアネート、ジエタノールアミンのプロピレンオキシド1モル付加物(鎖延長剤)の合計量に対して25ppmに相当する量を仕込んだ。
ついで、80℃まで徐々に昇温し、プレポリマー生成反応を4時間行ってイソシアネート基末端プレポリマーを得た。その後、60℃まで冷却し、酢酸エチルの28.5g、トルエンの28.5gを添加した後、上記鎖延長剤を2.96g添加して反応させた。60℃で反応を続け、イソシアネート基の含有率が0.05%以下になった時点で末端停止剤であるモノイソプロパノールアミン(MIPA)の0.13gを添加して反応を終了した。酢酸エチルの6.4g、トルエンの6.4gを添加し得られたウレタン樹脂1の溶液は無色透明で固形分が45質量%であった。
また、上記ウレタン樹脂1の溶液の粘度を25℃でB型粘度計により測定したところ、3000mPa・s/25℃であり、ウレタン樹脂1の数平均分子量(Mn)は50000であり、水酸基価は22.0mgKOH/gであった。数平均分子量(Mn)と水酸基価は、既述の方法で測定及び計算したものである。
(実施例1)
−粘着剤組成物の作製−
製造例1で調製した(メタ)アクリル系樹脂の溶液(固形分:35質量%)を固形分として100質量部と、上記で合成したウレタン樹脂1の溶液(固形分:45質量%)を固形分として5質量部と、イソシアネート化合物(スミジュールN3300、住化コベストロレタン株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート構造を有するイソシアネート化合物)を固形分として6質量部と、架橋触媒(アデカスタブOT−1、株式会社ADEKA製、ジオクチルチンジラウレート、有効成分100%)をアセチルアセトンで300倍に希釈したもの2.1質量部とを混合し、十分に撹拌して粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を用いて、以下の試験用保護フィルムの作製方法に従って試験用保護フィルムを作製し、各種試験を行った。(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価を表2に示す。
上記の水酸基価は既述の方法で計算したものである。
なお、「固形分」とは(メタ)アクリル系樹脂の溶液から溶媒などの揮発性成分を除去した残渣量である。
−試験用保護フィルムの作製−
上記で得られた粘着剤組成物を用い、以下のようにして、試験用保護フィルムを作製した。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ルミラーU35、東レ株式会社製、厚さ:125μm)の上に、乾燥後の塗工量が20g/mとなるように粘着剤組成物を塗布し、熱風循環式乾燥機にて100℃で60秒間乾燥して粘着剤層を形成した。その後、シリコーン系離型剤で表面保護された離型フィルムの上に、粘着剤層が接するようにPETフィルムを載置し、加圧ニップロールにより圧着して貼りあわせた。その後、23℃、50%RHの環境下で2日間、架橋反応を終了させるための養生を行なって試験用保護フィルムを作製した。
−測定・評価−
[加熱処理後の剥離性]
上記で作製した試験用保護フィルムを25mm×150mmの大きさにカットし、得られた保護フィルム片から離型フィルムを剥がし、ポリイミドフィルム(カプトンフィルム100H、東レ・デュポン株式会社製)に貼り付け、2kgのゴムロールを1往復して圧着して試験サンプルを得た。
この試験サンプルを23℃、50%RH環境下で1時間放置後、150℃環境下で1時間加熱処理を行い、続いて23℃、50%RH環境下で1時間放置した。その後、保護フィルムを長辺(150mm)方向に剥離した場合の180°剥離における粘着力を剥離速度30m/分(高速剥離)の条件で測定した。測定結果を表2に示す。
剥離性の評価は、以下の基準に従って行った。
<評価基準>
A:加熱処理後の粘着力が、0.2N/25mmを超えて0.35N/25mm以下である場合(剥離性に非常に優れ、作業性が非常に良好である)
B:加熱処理後の粘着力が、0.1N/25mmを超えて0.2N/25mm以下であるか、又は0.35N/25mmを超えて0.4N/25mm以下である場合(剥離性に優れ、作業性が良好である)
C:加熱処理後の粘着力が、0.05N/25mmを超えて0.1N/25mm以下であるか、又は0.4N/25mmを超えて0.45N/25mm以下である場合(剥離性はやや劣り、作業性も劣るが許容範囲内である)
D:加熱処理後の粘着力が、0.05N/25mm以下、又は0.45N/25mmを超える場合(剥離性及び作業性が劣り、許容できない範囲である)
[ジッピング防止性能]
保護フィルムの粘着力の強弱の差が大きいと、被着体から剥離する際にジッピング(パリパリという音)が発生する。ジッピングの発生は、粘着力の高い場所での汚染の発生及びシワの発生の原因となる。ジッピング防止性能の評価は、上記の「加熱処理後の剥離性」の測定において、測定された保護フィルムの粘着力の最小値に対する、粘着力の最大値の比率(粘着力の最大値/粘着力の最小値)を算出し、ジッピングを評価する指標とした。測定結果を表2に示す。
ジッピング防止性能の評価は、以下の基準に従って行った。
<評価基準>
A: 粘着力の最小値に対する、粘着力の最大値の比率の値が1.0である場合(ジッピングの発生が十分抑制されており非常に良好である)
B: 粘着力の最大値の最小値に対する比率の値が1.0を超え2.0以下である場合(ジッピングの発生が抑制されており良好である)
C: 粘着力の最大値の最小値に対する比率の値が2.0を超え5.0以下である場合(ジッピングが発生しているが許容範囲内である)
D: 粘着力の最大値の最小値に対する比率の値が5.0を超えている場合(ジッピングが顕著に発生する)
[透明性]
上記で作製した試験用保護フィルムを80mm×60mmにカットしてサンプル片とし、得られたサンプル片の離型フィルムを剥離し、露出した粘着剤層の表面を、厚さ1.8mmのガラス板(商品名:光学ソーダガラス、松浪硝子株式会社製)に重ね、卓上ラミネート機を用いて圧着し、透明性評価用試験サンプルとした。得られた透明性評価用試験サンプルのヘイズ(以下、「熱処理前ヘイズ」という。)を、分光測色計CM−3500d(コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定した。次いで、この透明性評価用試験サンプルを23℃、50%RH環境下で1時間放置後、150℃環境下で1時間加熱処理を行い、続いて23℃、50%RH環境下で1時間放置した後、上記と同様にして、ヘイズ(以下、「熱処理後ヘイズ」という。)を測定した。「熱処理後ヘイズ」の値から「熱処理前ヘイズ」の値を差し引いた値(Δヘイズ)を求め、下記評価基準に従って透明性を評価した。結果を表2に示した。
<評価基準>
A: Δヘイズが0.15以下である場合(透明性が非常に良好である)
B: Δヘイズが0.15を超えて0.25以下である場合(透明性が良好である)
C: Δヘイズが0.25を超えて0.35以下である場合(透明性が悪いが許容範囲内である)
D: Δヘイズが0.35を超える場合(透明性が悪く不良である)
[汚染性]
上記で作製した試験用保護フィルムから離型フィルムを剥離した後、ハードコート処理されたPETフィルムの表面上に、2μLの純水を滴下し、滴下から30秒後に接触角測定装置(Drop Master DM−701、協和界面科学株式会社製)を用いて水の接触角(θ1)を測定した。得られた値と、予め測定しておいた試験用保護フィルムを貼り付けていないハードコート処理面の水の接触角(θ0=84°)との差の絶対値(Δθ=|θ1−θ0|)を汚染性の指標とし、以下の基準に従って評価した。結果を表2に示す。
<評価基準>
A:Δθが2.0以下である場合(汚染性が非常に良好である)
B:Δθが2.0を超え4.5以下である場合(汚染性が良好である)
C:Δθが4.5を超え7.5以下である場合(汚染性が悪いが許容範囲内である)
D:Δθが7.5を超えている場合(汚染性が悪く不良である)
(実施例2〜14、比較例1〜7)
実施例1の組成を表2に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様にして表2に示すような保護フィルム用粘着剤組成物を作製した。作製した粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして試験用保護フィルムを作製した。得られた試験用保護フィルムについて、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
表2における略号は以下の通りである。
・4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
・2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
・HMDI:商品名スミジュールN3300、住化コベストロレタン株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート構造を有するイソシアネート化合物
・MDI:商品名コロネート2061、東ソー株式会社製、ジェフェニルメタンジイソシアネート
・TDI:商品名コロネートL、東ソー株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物
なお、表2中の質量部数は、固形分又は有効成分の換算値である。
表2に示すように、(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が15mgKOH/g未満である比較例1の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層は、加熱処理による粘着力の上昇が大きく、剥離性及び汚染性に劣り、かつ、透明性も不十分であった。
(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が65mgKOH/gを超えている比較例2の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層は、粘着剤層が硬すぎて剥離時のジッピングが顕著に発生していた。
水酸基を有するウレタン樹脂が1質量部未満である比較例3の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層は、剥離時のジッピングが顕著に発生していた。
水酸基を有するウレタン樹脂が40質量部を超えている比較例4の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層は、透明性及び汚染性に劣っていた。
イソシアネート化合物が3質量部未満である比較例5の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層は、加熱処理による粘着力の上昇が大きく、汚染性に劣っており、かつ粘着剤層の透明性が不十分であった。
イソシアネート化合物が20質量部以上である比較例6の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層は、加熱処理による粘着力の上昇が大きく、ジッピングが顕著に発生し、許容範囲外であった。
水酸基を含有しないモノマーにて形成された(メタ)アクリル系樹脂を含む比較例7の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層は、加熱処理による粘着力の上昇が大きく、汚染性に劣っており、かつ粘着剤層の透明性が不十分であった。
これに対して、(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が15mgKOH/g〜65mgKOH/gの範囲内であり、かつ、水酸基を有するウレタン樹脂1質量部〜40質量部と、イソシアネート化合物3質量部〜20質量部と、を含む実施例1〜14の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する保護フィルムは、剥離性、ジッピング防止性、透明性及び汚染性の評価のすべてにおいて良好又は許容範囲内であった。

Claims (7)

  1. 水酸基価が15mgKOH/g〜65mgKOH/gである(メタ)アクリル系樹脂100質量部と、
    水酸基を有するウレタン樹脂1質量部〜40質量部と、
    イソシアネート化合物3質量部〜20質量部と、
    を含む保護フィルム用粘着剤組成物。
  2. 前記イソシアネート化合物がヘキサメチレンジイソシアネート又はその誘導体である、請求項1に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  3. 前記ウレタン樹脂の含有量に対する前記イソシアネート化合物の含有量の比が、質量基準で0.5以上である、請求項1又は請求項2に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  4. 前記(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度が−60℃以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  5. 前記ウレタン樹脂の水酸基価が3mgKOH/g〜100mgKOH/gである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  6. 前記ウレタン樹脂は、イソシアネート化合物とポリオキシアルキレンポリオールとが縮合した構造部分を有し、数平均分子量が1万〜30万である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  7. 基材と、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の保護フィルム用粘着剤組成物を用いて前記基材上に配置された粘着剤層と、を有する保護フィルム。
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