JP2020158654A - 粘着剤組成物及び粘着シート - Google Patents
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Abstract
Description
粘着剤の裁断刃への付着等を抑制するためには、例えば、架橋速度が速いキレート系架橋剤を用いることで、塗工直後に架橋反応を進行させることが考えられる。しかし、キレート系架橋剤を用いると、偏光板と粘着剤層との密着性が極度に低下する。
<1> (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位、及び水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系共重合体と、
金属キレート系化合物と、
トリレンジイソシアネート系化合物と、を含み、
上記金属キレート系化合物の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、5質量部以上18質量部以下の範囲であり、かつ、
上記(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対する上記トリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比が、1.00以上である粘着剤組成物。
<2> 上記(メタ)アクリル系共重合体における上記カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、上記(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、1質量%以上5質量%以下の範囲である<1>に記載の粘着剤組成物。
<3> 上記(メタ)アクリル系共重合体における上記水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、上記(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、0.1質量%以上3質量%以下の範囲である<1>又は<2>に記載の粘着剤組成物。
<4> 上記(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対する上記トリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比が、10.00以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
<5> 仮支持体上に塗布した粘着剤組成物に対し、100℃の空気を風速3m/秒で1分間吹き付けて形成した厚さ20μmの膜を、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に3時間置いたときの膜のゲル分率が、80質量%以上である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
<6> 基材と、上記基材上に設けられ、かつ、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備える粘着シート。
<7> 上記基材が、偏光板である<6>に記載の粘着シート。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位、及び水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系共重合体〔以下、「特定(メタ)アクリル系共重合体」ともいう。〕と、金属キレート系化合物と、トリレンジイソシアネート系化合物と、を含み、金属キレート系化合物の含有量が、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、5質量部以上18質量部以下の範囲であり、かつ、(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対するトリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比が、1.00以上である。
本発明の粘着剤組成物は、上記のような構成を有することで、基材密着性及び加工性に優れる粘着剤層を形成できる。
本発明の粘着剤組成物がこのような効果を奏し得る理由については明らかではないが、本発明者らは、以下のように推測している。但し、以下の推測は、本発明の粘着剤組成物を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
以上により、本発明の粘着剤組成物は、基材密着性及び加工性に優れる粘着剤層を形成できると考えられる。
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位、及び水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系共重合体〔即ち、特定(メタ)アクリル系共重合体〕を含む。
本発明の粘着剤組成物は、特定(メタ)アクリル系共重合体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位は、粘着力の調整に寄与する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、無置換の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。
アルキル基の炭素数は、例えば、粘着力及び基材密着性の観点から、1〜18であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましい。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、凝集力と粘着力とを調整しやすいとの観点から、メチルアクリレート(MA)及びn−ブチルアクリレート(n−BA)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ここで、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して50質量%以上であることは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位が、特定(メタ)アクリル系共重合体を構成する構成単位の主成分として含まれていることを意味する。
特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率の上限は、特に制限されないが、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、98.5質量%以下であることが好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含む。
カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位のカルボキシ基は、後述の金属キレート系化合物と速やかに反応する。
カルボキシ基を有する単量体の具体例としては、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、クロトン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、グルタコン酸、シトラコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート〔例えば、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート〕、コハク酸エステル(例えば、2−アクリロイルオキシエチル−コハク酸)等が挙げられる。
これらの中でも、カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、共重合性の観点から、アクリル酸が好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して1質量%以上であると、カルボキシ基と金属キレート系化合物とが十分に反応し、裁断刃への粘着剤の付着及び粘着シート同士の貼り付きをより抑制できる粘着剤層を形成できる傾向がある。
特定(メタ)アクリル系共重合体におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して5質量%以下であると、例えば、基材が偏光板である場合には、基材の劣化がより生じ難くなる傾向がある。また、形成される粘着剤層が硬くなりすぎず、粘着シートの裁断時の衝撃による基材からの粘着剤層の浮きがより抑制される傾向がある。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含む。
水酸基を有する単量体に由来する構成単位の水酸基は、後述のトリレンジイソシアネート系化合物のイソシアネート基と架橋する。
水酸基を有する単量体の具体例としては、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ジカプロラクトン2−アクリロイルオキシ−エチルエーテルなどが挙げられる。
これらの中でも、水酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との共重合性が良好であるとの観点から、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、後述のトリレンジイソシアネート系化合物との反応性が良好であるとの観点から、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)及び4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して0.1質量%以上であると、水酸基とトリレンジイソシアネート系化合物のイソシアネート基とが十分に反応し、基材密着性により優れる粘着剤層を形成できる傾向がある。
特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して3質量%以下であると、形成される粘着剤層が硬くなりすぎず、粘着シートの裁断時の衝撃による基材からの粘着剤層の浮きがより抑制される傾向がある。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、本発明の効果が発揮される範囲内において、既述の構成単位、すなわち、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位、水酸基を有する単量体に由来する構成単位以外の構成単位(所謂、その他の構成単位)を含んでいてもよい。
その他の構成単位を構成する単量体の具体例としては、アミノ基を有する単量体、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートに代表される環状基を有する(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエトキシエチル(メタ)アクリレートに代表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、及びビニルトルエンに代表される芳香族モノビニル、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びバーサチック酸ビニルに代表されるビニルエステル、並びに、これらの単量体の各種誘導体が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、50万以上200万以下の範囲であることが好ましく、50万以上180万以下の範囲であることがより好ましく、60万以上150万以下の範囲であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が50万以上であると、高温環境下に曝された場合に生じ得る粘着剤層の発泡が低減される傾向がある。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が200万以下であると、粘着剤組成物の粘度が高くなりすぎないため、粘着剤組成物をより良好に塗工できる。
(1)特定(メタ)アクリル系共重合体の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体とテトラヒドロフランとを用いて、固形分濃度(即ち、特定(メタ)アクリル系共重合体の質量割合)が0.2質量%である試料溶液を得る。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件にて、標準ポリスチレン換算値として、特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を測定する。
測定装置:高速GPC(型番:HLC−8220 GPC、東ソー(株)製)
検出器:示差屈折率計(RI)(HLC−8220に組込、東ソー(株)製)
カラム:TSK−GEL GMHXL(東ソー(株)製)を直列に4本接続
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
注入量:100μL
流量:0.6mL/分
本発明の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体の含有率(割合)は、特に限定されないが、例えば、粘着力を調整しやすいとの観点から、粘着剤組成物中の全固形分量に対して、50質量%以上95質量%以下の範囲であることが好ましく、60質量%以上95質量%以下の範囲であることがより好ましく、70質量%以上95質量%以下の範囲であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造方法は、特に限定されない。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、及び塊状重合に代表される公知の重合方法で、既述の単量体を重合して製造できる。
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中及び/又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させる。この場合、有機溶媒、単量体、重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、より具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、及び芳香族ナフサに代表される芳香族炭化水素化合物、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、及びテレピン油に代表される脂肪族系又は脂環式系炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、及び安息香酸メチルに代表されるエステル化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンに代表されるケトン化合物、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルに代表されるグリコールエーテル化合物、並びに、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、及びt−ブチルアルコールに代表されるアルコール化合物が挙げられる。
重合反応時には、これらの有機溶媒を1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−i−プロピルペルオキシジカルボナート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナート、t−ブチルペルオキシピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、及び2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ABVN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、及び2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルが挙げられる。
重合反応時には、これらの重合開始剤を1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸、シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル化合物、ブロモ酢酸、ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル化合物、α−メチルスチレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、及び9−フェニルフルオレンに代表される芳香族化合物、p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、及びp−ニトロトルエンに代表される芳香族ニトロ化合物、ベンゾキノン及び2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンに代表されるベンゾキノン誘導体、トリブチルボランに代表されるボラン誘導体、四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、及び3−クロロ−1−プロペンに代表されるハロゲン化炭化水素化合物、クロラール及びフラルデヒドに代表されるアルデヒド化合物、炭素数1〜18のアルキルメルカプタン化合物、チオフェノール、及びトルエンメルカプタンに代表される芳香族メルカプタン化合物、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル化合物、炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン化合物、並びに、ピネン及びターピノレンに代表されるテルペン化合物が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、金属キレート系化合物を含む。
金属キレート系化合物は、架橋剤として機能する。
金属キレート系化合物としては、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、及びアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)に代表されるアルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、コバルトキレート化合物等が挙げられる。
これらの中でも、金属キレート系化合物としては、化合物として安定であり、取り扱いが容易であるとの観点から、アルミニウムキレート化合物が好ましい。
金属キレート系化合物の市販品の例としては、「アルミキレートA」、「アルミキレートD」、及び「ALCH−TR」〔以上、川研ファインケミカル(株)製〕が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物における金属キレート系化合物の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して5質量部以上であると、金属キレート系化合物と、特定(メタ)アクリル系共重合体中のカルボキシ基とが十分に反応するため、裁断刃への粘着剤の付着及び粘着シート同士の貼り付きが抑制された粘着剤層を形成し得る。
本発明の粘着剤組成物における金属キレート系化合物の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して18質量部以下であると、形成される粘着剤層が硬くなりすぎないため、粘着シートの裁断時の衝撃による基材からの粘着剤層の浮きを抑制し得る。
本発明の粘着剤組成物は、トリレンジイソシアネート系化合物を含む。
トリレンジイソシアネート系化合物は、架橋剤として機能する。
なお、本発明の粘着剤組成物は、トリレンジイソシアネート系化合物に代えて、他のポリイソシアネート系化合物〔例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)〕を含むと、ゲル化し、塗工が困難となる。
トリレンジイソシアネート系化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)のイソシアヌレート体、TDIのアダクト体[即ち、TDIとポリオール化合物〔例えば、トリメチロールプロパン(TMP)〕との付加体]等が挙げられる。
これらの中でも、トリレンジイソシアネート系化合物としては、反応速度及びポットライフがいずれも適度となるとの観点から、TDIのアダクト体が好ましい。
トリレンジイソシアネート系化合物の市販品の例としては、「コロネート(登録商標) L」、「コロネート(登録商標) L−45E」、「コロネート(登録商標) 2030」、及び「コロネート(登録商標) 2037」〔以上、東ソー(株)製〕が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物におけるトリレンジイソシアネート系化合物の含有量は、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、1.5質量部以上15質量部以下の範囲であり、1.5質量部以上10質量部以下の範囲であることが好ましく、3質量部以上8質量部以下の範囲であることがより好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、特定(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対するトリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比が、1.00以上であり、2.00以上であることが好ましく、3.00以上であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対するトリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比が1.00以上であると、架橋に寄与しないトリレンジイソシアネート系化合物が十分に存在する。この架橋に寄与しないトリレンジイソシアネート系化合物が基材(特に、偏光板)と相互作用するため、基材密着性により優れる粘着剤層を形成し得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対するトリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比の上限は、特に限定されないが、例えば、15.00以下であることが好ましく、10.00以下であることがより好ましく、8.00以下であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対するトリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比が15.00以下であると、架橋に寄与しないトリレンジイソシアネート系化合物同士の縮合物が過剰に生成されない。このため、形成される粘着剤層が硬くなりすぎず、粘着シートの裁断時の衝撃による基材からの粘着剤層の浮きがより抑制される傾向がある。
なお、以下の計算式では、トリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基のモル量を「NCO量」と表記し、特定(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基のモル量を「OH量」と表記する。
=[トリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の含有率(単位:質量%)×〔トリレンジイソシアネート系化合物の配合量(固形分換算量、単位:g)/トリレンジイソシアネート系化合物の固形分(単位:質量%)〕]/イソシアネート基の式量(単位:g/mol)×1000・・・(1)
=[特定(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率(単位:質量%)/水酸基を有する単量体の分子量(単位:g/mol)×水酸基を有する単量体に由来する構成単位中の水酸基の個数(価数)×1000]・・・(2)
=NCO量/OH量・・・(3)
本発明の粘着剤組成物は、シランカップリング剤を含んでいてもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに代表される重合性不飽和基含有シラン化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、及び3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシランに代表されるチオール基含有シラン系化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランに代表されるエポキシ基含有シラン化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランに代表されるアミノ基含有シラン化合物、並びに、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが挙げられる。
シランカップリング剤の市販品の例としては、「KBM−403」、「X−41−1053」、及び「KBM−9659」〔以上、信越化学工業(株)製〕が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、例えば、塗布性向上の観点から、有機溶媒を含んでいてもよい。
有機溶媒としては、例えば、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体の重合反応時に用いられる有機溶媒と同様のものが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、既述した成分以外の成分(所謂、他の成分)を含んでいてもよい。
他の成分としては、特定(メタ)アクリル系共重合体以外の重合体、架橋触媒、粘着付与剤、酸化防止剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、光安定剤(例えば、紫外線吸収剤)、帯電防止剤等の各種添加剤が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、以下のような物性を示すことが好ましい。
仮支持体上に塗布した粘着剤組成物に対し、100℃の空気を風速3m/秒で1分間吹き付けて形成した厚さ20μmの膜を、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に3時間置いたときの膜(所謂、粘着膜)のゲル分率が、80質量%以上である。
上記ゲル分率が80質量%以上であることは、架橋反応が短時間で進行することを意味する。上記ゲル分率が80質量%以上である粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える粘着シートは、例えば、塗工から比較的短時間で裁断されても、裁断刃への粘着剤の付着及び粘着シート同士の貼り付きが生じ難い傾向がある。
本発明の粘着剤組成物の塗工から3時間後のゲル分率の上限は、特に限定されないが、例えば、基材からの粘着剤層の浮きをより抑制できるとの観点から、98質量%以下であることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物の塗工から3時間後のゲル分率は、具体的には、下記(1)〜(4)に従って測定する。
(1)精密天秤を用いて質量を正確に測定した250メッシュの金網(100mm×100mm)に、粘着膜を約0.15g貼付し、ゲル分が漏れないように、貼付した粘着膜を内側にして、金網を5回折り畳み、試料とする。次いで、試料の質量(即ち、粘着膜を貼付した金網の浸漬前の質量)を、精密天秤を用いて正確に測定する。
(2)得られた試料を酢酸エチル80mLに3日間浸漬する。
(3)試料を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、120℃で24時間乾燥させる。次いで、この乾燥後の試料の質量(即ち、浸漬後乾燥させた、粘着膜を貼付した金網の質量)を、精密天秤を用いて正確に測定する。
(4)下式によりゲル分率を算出する。
ゲル分率(単位:質量%)=(Z−X)/(Y−X)×100
但し、Xは、金網の質量(単位:g)であり、Yは、粘着膜を貼付した金網の浸漬前の質量(単位:g)であり、Zは、浸漬後乾燥させた、粘着膜を貼付した金網の質量(単位:g)である。
本発明の粘着剤組成物の用途は、特に限定されない。
本発明の粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、基材密着性に優れるのみならず、上記粘着剤層を備える粘着シートを裁断した場合に、裁断刃に粘着剤が付着する、粘着シート同士が貼り付く、基材からの粘着剤層の浮きが生じる等の問題が生じ難く、加工性に優れる。このため、本発明の粘着剤組成物は、例えば、粘着剤層を介して偏光板を被着体に貼着させる用途に好適である。
具体的な用途としては、偏光板を液晶セルに貼着させる用途、偏光板を位相差フィルム等の光学フィルムに貼着させる用途等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、基材と、上記基材上に設けられ、かつ、既述の本発明の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備える。
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、基材密着性に優れる。また、本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、裁断の際に、裁断刃に粘着剤が付着する、粘着シート同士が貼り付く、基材からの粘着剤層の浮きが生じる等の問題が生じ難く、加工性に優れる。
基材としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂を含むフィルムが挙げられる。
基材は、一部又は全体に、模様が施されていてもよい。
本発明における偏光板は、少なくとも偏光子を含んで構成されるものであり、偏光子単体であってもよく、偏光子と保護フィルムとを積層したものであってもよい。
すなわち、偏光板は、偏光子単独の1層構造であってもよく、偏光子の片面に保護フィルムを有する2層構造であってもよく、偏光子の両面に保護フィルムを有する3層構造であってもよい。
なお、偏光子と保護フィルムとの間、保護フィルムと粘着剤層との間、及び偏光子と粘着剤層との間に、位相差フィルム(例えば、EWV層に代表される光学機能性層、接着剤層、及び易接着層)などの層を有していてもよい。
基材の厚さの下限は、特に限定されず、例えば、30μm以上であることが好ましい。
粘着剤層の形成方法は、特に限定されず、通常用いられる方法を採用できる。
基材上に粘着剤層を形成する方法としては、例えば、以下の方法を採用できる。
本発明の粘着剤組成物を、そのままの状態で、又は、必要に応じて溶媒で希釈した状態で、基材上に塗布し、基材上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥して溶媒を除去した後、養生を行うことにより、基材上に粘着剤層を形成する。
剥離フィルムとしては、粘着剤層の表面からの剥離を容易に行えるものであれば、特に限定されず、例えば、片面又は両面に剥離剤による表面処理が施された紙、樹脂フィルム等が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代表されるポリエステルフィルムが挙げられる。
剥離剤としては、フッ素系樹脂、パラフィンワックス、シリコーン、長鎖アルキル基化合物等が挙げられる。
剥離フィルムは、粘着シートを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
本発明の粘着剤組成物を、そのままの状態で、又は、必要に応じて溶媒で希釈した状態で、剥離フィルムの表面処理が施された面上に塗布し、剥離フィルム上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥して溶媒を除去する。次いで、剥離フィルムの粘着剤層が形成された側の面を基材に接触させて加圧し、粘着剤層を基材に転写することにより、基材上に粘着剤層を形成する。次いで、養生を行う。
基材上又は剥離フィルム上への粘着剤組成物の塗布量は、形成する粘着剤層の厚さに応じて、適宜設定される。
粘着剤層の厚さは、一般には1μm〜100μmであり、5μm〜50μmであることが好ましく、10μm〜30μmであることがより好ましい。
塗布膜の乾燥温度及び乾燥時間は、特に限定されず、塗布膜の厚さ、塗布膜中の有機溶媒の量等に応じて、適宜設定される。
養生により、粘着剤組成物の架橋反応が終了して粘着剤層が形成される。
(製造例A−1)
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(n−BA;アクリル酸アルキルエステル単量体)97.5質量部、2−ヒドロキシルエチルアクリレート(2HEA;水酸基を有する単量体)0.5質量部、アクリル酸(AA;カルボキシ基を有する単量体)2.0質量部、及び酢酸エチル70.0質量部を入れて混合し、混合物を得た後、反応器内を窒素置換した。
次いで、反応器内の混合物を撹拌しながら70℃に昇温した後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ABVN;重合開始剤)0.02質量部と、酢酸エチル120.0質量部と、を逐次添加し、6時間保持して重合反応させ、重合反応物を得た。得られた重合反応物を、酢酸エチルを用いて、固形分濃度18.5質量%に希釈した後、冷却し、(メタ)アクリル系共重合体A−1の溶液を得た。
製造例A−2〜A−5、A−7〜A−11、及びA−13〜A−15では、(メタ)アクリル系共重合体の単量体組成を表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、製造例A−1と同様の操作を行い、固形分濃度が18.5質量%である(メタ)アクリル系共重合体A−2〜A−5、A−7〜A−11、及びA−13〜A−15の各溶液を得た。
温度計、撹拌機、及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(n−BA;アクリル酸アルキルエステル単量体)32.5質量部、2−ヒドロキシルエチルアクリレート(2HEA;水酸基を有する単量体)0.17質量部、アクリル酸(AA;カルボキシ基を有する単量体)0.67質量部、及び酢酸エチル60.0質量部を入れて混合し、混合物を得た。
次いで、反応器内の混合物を撹拌しながら95℃に昇温した後、n−ブチルアクリレート(n−BA)65.0質量部と、2−ヒドロキシルエチルアクリレート(2HEA)0.33質量部と、アクリル酸(AA)1.33質量部と、酢酸エチル86.0質量部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ABVN;重合開始剤)0.09質量部と、を逐次添加し、5時間保持して重合反応させ、重合反応物を得た。得られた重合反応物を、酢酸エチルを用いて、固形分濃度38.0質量%に希釈した後、冷却し、(メタ)アクリル系共重合体A−6の溶液を得た。
製造例A−12では、有機溶媒の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を、表1に示す重量平均分子量(Mw)に変更したこと以外は、製造例A−6と同様の操作を行い、固形分濃度が38.0質量%である(メタ)アクリル系共重合体A−12の溶液を得た。
(メタ)アクリル系共重合体A−1〜A−15の重量平均分子量(Mw)は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)の測定方法と同様の方法により測定した。
「n−BA」:n−ブチルアクリレート(アクリル酸アルキルエステル単量体)
「MA」:メチルアクリレート(アクリル酸アルキルエステル単量体)
「PHEA」:フェノキシエチルアクリレート(その他の単量体)
「2HEA」:2−ヒドロキシエチルアクリレート(水酸基を有する単量体)
「4HBA」:4−ヒドロキシブチルアクリレート(水酸基を有する単量体)
「AA」:アクリル酸(カルボキシ基を有する単量体)
「M−5300」〔商品名、東亞合成(株)製〕:ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(カルボキシ基を有する単量体)
表1では、「重量平均分子量(Mw)」を単に「Mw」と表記した。
〔実施例1〕
(メタ)アクリル系共重合体として(メタ)アクリル系共重合体A−1の溶液100質量部(固形分換算値)と、トリレンジイソシアネート系化合物としてコロネート(登録商標) L−45E〔商品名、東ソー(株)製〕5質量部(固形分換算値)と、金属キレート系化合物としてアルミキレートA〔商品名、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムの含有率:8.3質量%、川研ファインケミカル(株)製〕をアセチルアセトンで1:1の質量割合で希釈したものを20質量部(金属キレート系化合物として10質量部)と、シランカップリング剤としてKBM−403〔商品名、信越化学工業(株)製〕0.3質量部と、適量の酢酸エチルと、を十分に撹拌混合し、実施例1の粘着剤組成物を得た。
実施例1において、粘着剤組成物の組成を表2に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜21の各粘着剤組成物を得た。
実施例1において、粘着剤組成物の組成を表3に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1〜9の各粘着剤組成物を得た。
比較例1〜9の各粘着剤組成物の組成(単位:質量部)、並びに、比較例1〜3、5、及び7の各粘着剤組成物における(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対するトリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比を表3に示す。
なお、トリレンジイソシアネート系化合物であるコロネート(登録商標) L−45Eは、固形分が45質量%(即ち、0.45)であり、イソシアネート基の含有率が7.9質量%(即ち、0.079)である。また、イソシアネート基の式量は、42であり、コロネート(登録商標) L−45Eの配合量(固形分換算量)は、5gである。
水酸基を有する単量体である2−ヒドロキシルエチルアクリレート(2HEA)の分子量は、116である。
NCO量(単位:mmol/固形分100g)
=[トリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の含有率(単位:質量%)×〔トリレンジイソシアネート系化合物の配合量(固形分換算量、単位:g)/トリレンジイソシアネート系化合物の固形分(単位:質量%)〕]/イソシアネート基の式量(単位:g/mol)×1000
=[0.079×〔5/0.45〕]/42×1000
=20.90
OH量(単位:mmol/固形分100g)
=[特定(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率(単位:質量%)/水酸基を有する単量体の分子量(単位:g/mol)×水酸基を有する単量体に由来する構成単位中の水酸基の個数(価数)×1000]
=[0.5(質量部)/100(質量部)×100(%)/116(g/mol)×1×1000]
=4.31
(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対するトリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比
=NCO量/OH量
=20.90/4.31
=4.85
表2及び表3中、「(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対するトリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比」の欄における「−」は、該当する値がないことを意味する。
〔架橋剤〕
<TDI(トリレンジイソシアネート)>
「コロネート L−45E」〔商品名、東ソー(株)製〕:TDIとトリメチロールプロパン(TMP)との付加体(所謂、TDIのアダクト体)、固形分:45質量%、イソシアネート基の含有率:7.9質量%
「コロネート 2030」〔商品名、東ソー(株)製〕:TDIのイソシアネートヌレート体、固形分:50質量%、イソシアネート基の含有率:8.0質量%
<XDI(キシリレンジイソシアネート)>
「タケネート D−110N」〔商品名、三井化学(株)製〕:XDIとトリメチロールプロパン(TMP)との付加体(所謂、XDIのアダクト体)、固形分:75質量%
<HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)>
「スミジュール N−75」〔商品名、住化コベストロウレタン(株)製〕:HMDIのビュレット体、固形分:75質量%
<金属キレート系化合物>
「アルミキレートA」〔商品名、川研ファインケミカル(株)製〕
「KBM−403」〔商品名、信越化学工業(株)製〕:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、エポキシ基含有シラン化合物、固形分:100質量%
「X−41−1053」〔商品名、信越化学工業(株)製〕:エポキシ基含有シラン化合物、固形分:100質量%
「KBM−9659」〔商品名、信越化学工業(株)製〕:トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、固形分:100質量%
実施例1〜21、並びに、比較例1〜5、7、及び8の各粘着剤組成物について、以下に示す方法により、塗工から3時間後のゲル分率を測定した。結果を表4に示す。
なお、比較例6及び比較例9の粘着剤組成物は、いずれもゲル化し、塗工不能であったため、ゲル分率を測定できなかった。
(実施例1)
シリコーン系離型剤による表面処理が施された剥離フィルム〔タイプ:MRF、厚さ:38μm、三菱ケミカル(株)製〕の表面処理面上に、粘着剤組成物を約110μmの厚さで塗布し、塗布膜を形成した。
次いで、形成した塗布膜に対し、熱風循環式乾燥機を用いて、100℃の空気を風速3m/秒で1分間吹き付けて、厚さ20μmの膜Xを形成した。
次いで、形成した膜Xを、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に3時間放置し、剥離フィルム/粘着膜の構成を有する積層体を得た。
そして、積層体の剥離フィルムを剥がし、得られた粘着膜をゲル分率測定用サンプルとした。
膜Xの厚さが20μmとなるように、粘着剤組成物の塗布量を適宜変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、剥離フィルム/粘着膜の構成を有する積層体を得た。
そして、積層体の剥離フィルムを剥がし、得られた粘着膜をゲル分率測定用サンプルとした。
上記にて作製したゲル分率測定用サンプル(即ち、粘着膜)を用い、下記(1)〜(4)に従って、ゲル分率を測定した。
(1)精密天秤を用いて質量を正確に測定した250メッシュの金網(100mm×100mm)に、粘着膜を約0.15g貼付し、ゲル分が漏れないように、貼付した粘着膜を内側にして、金網を5回折り畳み、試料とする。次いで、試料の質量(即ち、粘着膜を貼付した金網の浸漬前の質量)を、精密天秤を用いて正確に測定する。
(2)得られた試料を酢酸エチル80mLに3日間浸漬する。
(3)試料を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、120℃で24時間乾燥させる。次いで、この乾燥後の試料の質量(即ち、浸漬後乾燥させた、粘着膜を貼付した金網の質量)を、精密天秤を用いて正確に測定する。
(4)下式によりゲル分率を算出する。
ゲル分率(単位:質量%)=(Z−X)/(Y−X)×100
但し、Xは、金網の質量(単位:g)であり、Yは、粘着膜を貼付した金網の浸漬前の質量(単位:g)であり、Zは、浸漬後乾燥させた、粘着膜を貼付した金網の質量(単位:g)である。
実施例1〜21、並びに、比較例1〜5、7、及び8の各粘着剤組成物について、下記の評価を行った。結果を表4に示す。
なお、比較例6及び比較例9の粘着剤組成物は、いずれもゲル化し、塗工不能であったため、評価を行わなかった。
(粘着シートの作製)
基材密着性の評価には、基材が偏光板である粘着シートを用いた。
シリコーン系離型剤で表面処理された剥離フィルム〔タイプ:MRF、厚さ:38μm、三菱ケミカル(株)製〕の表面処理面上に、粘着剤組成物を塗布し、塗布膜を形成した。なお、粘着剤組成物の塗布量は、後述の膜Yの厚さが20μmとなる量とした。
次いで、形成した塗布膜に対し、熱風循環式乾燥機を用いて、100℃の空気を風速3m/秒で1分間吹き付けて、厚さ20μmの膜Yを形成した。
次いで、形成した膜Yの露出した面と、トリアセチルセルロース(TAC)層/偏光子を含むポリビニルアルコール(PVA)層/TAC層の構造を有する偏光板の一方のTAC層の面と、を重ねて貼り合わせた後、雰囲気温度35℃及び50%RHの環境下に3日間放置し、養生させることで、架橋反応を進行させて、剥離フィルム/粘着剤層/偏光板(TAC層/PVA層/TAC層)の構成を有する粘着シートを作製した。
上記にて作製した粘着シートを25mm×75mm(長辺)の大きさに切断した。
次いで、切断した粘着シートの剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面と、被着体としてのソーダガラス〔松浪硝子工業(株)製;以下、単に「ガラス」と称する。〕の面と、を重ねて貼り合わせた後、ラミネーターを用いて圧着し、積層体を作製した。
次いで、作製した積層体に対し、オートクレーブ処理(温度:50℃、圧力:5kg/cm2、処理時間:20分間)を施した後、雰囲気温度50℃の環境下に96時間放置した。
放置時間が経過した後、雰囲気温度23℃の環境下にて、180°剥離を剥離速度300mm/minで行った。そして、ガラスの表面と剥離した粘着剤層の表面とを目視にて観察し、下記の評価基準に従って、基材密着性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
評価結果が「A」又は「B」であれば、実用上問題がないと判断した。
A:ガラスの表面に粘着剤層が全く転着しなかった。
B:ガラスの表面に粘着剤層が僅かに転着したが、許容範囲内であった。
C:ガラスの表面に粘着剤層が明らかに転着した。
2−1.粘着剤の裁断刃への付着及び粘着シート同士の貼り付き
(粘着シートの作製)
粘着剤の裁断刃への付着及び粘着シート同士の貼り付きに基づく加工性の評価には、基材がポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである粘着シートを用いた。
シリコーン系離型剤で表面処理された剥離フィルム〔タイプ:MRF、厚さ:38μm、三菱ケミカル(株)製〕の表面処理面上に、粘着剤組成物を塗布し、塗布膜を形成した。なお、粘着剤組成物の塗布量は、後述の膜Zの厚さが20μmとなる量とした。
次いで、形成した塗布膜に対し、熱風循環式乾燥機を用いて、100℃の空気を風速3m/秒で1分間吹き付けて、厚さ20μmの膜Zを形成した。
次いで、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下、膜Zの露出した面と、基材(PETフィルム、厚さ:50μm)の面とを重ねて貼り合わせ、ラミネーターを用いて圧着し、「基材/膜Z/剥離フィルム」の構成を有する積層体を作製した。
次いで、作製した積層体を、塗工(即ち、膜Zの形成)から3時間、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に放置し、「基材/粘着膜/剥離フィルム」の構成を有する粘着シートを作製した。
上記にて作製した粘着シートを5枚重ねた後、裁断した。
裁断後、裁断刃及び粘着シートを目視にて観察し、粘着剤の裁断刃への付着の有無及び程度、並びに、粘着シート同士の貼り付きの有無及び程度を確認した。そして、下記の評価基準に従って、粘着剤の裁断刃への付着及び粘着シート同士の貼り付きに基づく加工性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
評価結果が「A」、「B」、又は「C」であれば、実用上問題がないと判断した。
A:粘着剤の裁断刃への付着及び粘着シート同士の貼り付きは全く確認されなかった。
B:粘着剤の裁断刃への付着は僅かに確認されたが、粘着シート同士の貼り付きは全く確認されなかった。
C:粘着剤の裁断刃への付着及び粘着シート同士の貼り付きが僅かに確認されたが、いずれも許容範囲内であった。
D:粘着剤の裁断刃への付着及び粘着シート同士の貼り付きが顕著に確認された。
(粘着シートの作製)
裁断による粘着剤層の浮きに基づく加工性の評価には、基材が偏光板である粘着シートを用いた。粘着シートは、上記「1.基材密着性」における粘着シートの作製と同様の方法により作製した。
上記にて作製した粘着シートを裁断した。
裁断後、粘着シートのエッジ部分の偏光板と粘着剤層との界面、及び、粘着剤層の切断面を観察し、粘着剤層の浮きの有無及び程度、並びに、粘着剤層の切断面の凹凸の有無を確認した。そして、下記の評価基準に従って、裁断による粘着剤層の浮きに基づく加工性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
評価結果が「A」、「B」、又は「C」であれば、実用上問題がないと判断した。
なお、粘着剤層の切断面は、切断時の衝撃による影響により凹凸が観察される場合がある。
A:粘着剤層の浮きは全く確認されず、かつ、粘着剤層の切断面に凹凸が確認されなかった。
B:粘着剤層の浮きは全く確認されなかったが、粘着剤層の切断面に凹凸が確認された。
C:粘着剤層の浮きが僅かに確認されたが、許容範囲内であった。
D:粘着剤層の明らかな浮きが確認された。
また、実施例1〜21の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、いずれも塗工から3時間後のゲル分率が高く、短時間で架橋反応が進行することが確認された。特に、実施例1〜17及び19〜21の粘着剤組成物は、塗工から3時間後のゲル分率が80質量%以上であり、塗工から短時間で裁断できる粘着剤組成物であり、実施例1〜17及び19〜21の粘着剤組成物によれば、作業性の大幅な改善が期待できることがわかった。
金属キレート系化合物の含有量が(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して18質量部を超える比較例2の粘着剤組成物により形成された粘着剤層では、裁断による粘着剤層の明らかな浮きが確認され、加工性に劣ることがわかった。
(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対するトリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比が1.00未満である比較例3の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、基材密着性が劣ることがわかった。
トリレンジイソシアネート系化合物を含まない比較例4の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、基材密着性が劣ることがわかった。
金属キレート系化合物を含まない比較例5の粘着剤組成物により形成された粘着剤層では、粘着剤の裁断刃への付着及び粘着シート同士の貼り付きが顕著に確認され、加工性に劣ることがわかった。また、比較例5の粘着剤組成物は、塗工から3時間後のゲル分率が3質量%であり、顕著に低いことが確認された。
(メタ)アクリル系共重合体がカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まない比較例7の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、基材密着性が劣ることがわかった。また、比較例7の粘着剤組成物により形成された粘着剤層では、粘着剤の裁断刃への付着及び粘着シート同士の貼り付きが顕著に確認され、加工性に劣ることがわかった。さらに、比較例7の粘着剤組成物は、塗工から3時間後のゲル分率が2質量%であり、顕著に低いことが確認された。
(メタ)アクリル系共重合体が水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含まない比較例8の粘着剤組成物により形成された粘着剤層では、基材密着性が劣ることがわかった。
Claims (7)
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位、及び水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系共重合体と、
金属キレート系化合物と、
トリレンジイソシアネート系化合物と、を含み、
前記金属キレート系化合物の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、5質量部以上18質量部以下の範囲であり、かつ、
前記(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対する前記トリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比が、1.00以上である粘着剤組成物。 - 前記(メタ)アクリル系共重合体における前記カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、前記(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、1質量%以上5質量%以下の範囲である請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル系共重合体における前記水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、前記(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、0.1質量%以上3質量%以下の範囲である請求項1又は請求項2に記載の粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基に対する前記トリレンジイソシアネート系化合物中のイソシアネート基の当量比が、10.00以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 仮支持体上に塗布した粘着剤組成物に対し、100℃の空気を風速3m/秒で1分間吹き付けて形成した厚さ20μmの膜を、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に3時間置いたときの膜のゲル分率が、80質量%以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 基材と、前記基材上に設けられ、かつ、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備える粘着シート。
- 前記基材が、偏光板である請求項6に記載の粘着シート。
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