JP2020132788A - ガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物及びガラス飛散防止フィルム - Google Patents

ガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物及びガラス飛散防止フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】衝撃が付与された際にガラスから剥離し難く、かつ、曲面ガラスへの追従性及びリワーク性に優れる粘着剤層を形成できるガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物、並びにガラス飛散防止フィルムを提供する。【解決手段】炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して40質量%以上90質量%以下、及び、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%以上24質量%以下含み、ガラス転移温度が−35℃以上−10℃以下であり、かつ、重量平均分子量が45万以上90万以下である(メタ)アクリル系共重合体と、架橋剤と、を含み、架橋後のゲル分率が60%以上90%以下であるガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物及びその応用。【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物及びガラス飛散防止フィルムに関する。
スマートフォン及びタブレット端末に代表されるタッチセンサーを備えた携帯情報端末が広く知られている。携帯情報端末では、各構成部材が粘着剤組成物により形成される粘着剤層を介して積層されている。また、携帯情報端末では、タッチセンサーを構成するカバーガラスの表面を保護するため、粘着剤層を備えた保護フィルムが用いられている。
例えば、特許文献1には、少なくとも貼合される側の面に段差を有する一の表示体構成部材と、他の表示体構成部材とを貼合するための粘着剤層を有する粘着シートであって、粘着剤層が、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、架橋剤(B)と、シリコーンオイル(C)とを含有する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤からなり、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該共重合体を構成するモノマー単位として、水酸基含有モノマーを7質量%〜40質量%含有するか、又はカルボキシ基含有モノマーを6質量%〜20質量%含有し、粘着剤のゲル分率が、40%〜90%であり、粘着シートの無アルカリガラスに対する粘着力が、15N/25mm〜26N/25mmであることを特徴とする粘着シートが開示されている。
また、特許文献2には、アクリル重合体を主成分とする光学用粘着剤であって、光学用粘着剤のカルボン酸量が40mgKOH/g以上であり、かつ粘着力が10mN/25mm〜30mN/25mmである光学用粘着剤から形成された粘着剤層を備えることを特徴とする光学用粘着シートが開示されている。
特開2016−216624号公報 特開2012−126783号公報
一般に、上記携帯情報端末では、タッチセンサーを構成するカバーガラスが破損した場合におけるガラス破片の飛散を防ぐため、カバーガラスの表面にガラス飛散防止フィルムが貼付される。ガラス飛散防止フィルムが備える粘着剤層には、ガラスに対する高い接着性が求められる。例えば、ガラス飛散防止フィルムが備える粘着剤層には、携帯情報端末の落下等による衝撃が加わった際に、カバーガラスから剥離しない性能が求められる。
また、近年、携帯情報端末の意匠性を高める観点から、曲面形状を有する携帯情報端末、折り畳み構造を有する携帯情報端末等の開発がなされている。このような形状又は構造を有する携帯情報端末に用いられるガラス飛散防止フィルムが備える粘着剤層は、曲面ガラスへの追従性に優れることが望ましい。
さらに、ガラス飛散防止フィルムが備える粘着剤層には、ガラスを汚染させることなく容易に貼り直しができる性質(所謂、リワーク性)も求められる。
本発明が解決しようとする課題は、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難く、かつ、曲面ガラスへの追従性及びリワーク性に優れる粘着剤層を形成できるガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物、並びに上記ガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるガラス飛散防止フィルムを提供することである。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して40質量%以上90質量%以下、及び、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%以上24質量%以下含み、ガラス転移温度が−35℃以上−10℃以下であり、かつ、重量平均分子量が45万以上90万以下である(メタ)アクリル系共重合体と、
架橋剤と、を含み、
架橋後のゲル分率が60質量%以上90質量%以下であるガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
<2> 上記(メタ)アクリル系共重合体は、上記炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位として、メチルアクリレートに由来する構成単位を含む<1>に記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
<3> 上記(メタ)アクリル系共重合体におけるメチルアクリレートに由来する構成単位の含有率が、上記(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、3質量%以上20質量%以下である<2>に記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
<4> 上記架橋剤が、ポリイソシアネート化合物及びエポキシ化合物の少なくとも一方である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
<5> 上記架橋剤が、エポキシ化合物である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
<6> 上記エポキシ化合物が、4官能のエポキシ系化合物である<5>に記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
<7> 上記エポキシ化合物の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.03質量部以上0.4質量部以下である<5>又は<6>に記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
<8> 基材と、上記基材上に設けられ、かつ、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備えるガラス飛散防止フィルム。
本発明によれば、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難く、かつ、曲面ガラスへの追従性及びリワーク性に優れる粘着剤層を形成できるガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物、並びに上記ガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるガラス飛散防止フィルムが提供される。
本発明の実施例における曲面ガラスへの追従性の評価試験方法を説明する概略図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリル系共重合体」とは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が全構成単位(即ち、(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位)の50質量%以上である共重合体を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方を包含する用語である。
本明細書において、「n−」はノルマルを意味し、「i−」はイソを意味し、「s−」はセカンダリーを意味し、「t−」はターシャリーを意味する。
本明細書において、「粘着剤組成物」とは、架橋反応が終了する前の液状又はペースト状の物質を意味する。
本明細書において、「粘着剤層」とは、粘着剤組成物における架橋反応が終了した後の物質からなる膜を意味する。
[ガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物]
本発明のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう。)は、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して40質量%以上90質量%以下、及び、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%以上24質量%以下含み、ガラス転移温度が−35℃以上−10℃以下であり、かつ、重量平均分子量が45万以上90万以下である(メタ)アクリル系共重合体〔以下、「特定(メタ)アクリル系共重合体」ともいう。〕と、架橋剤と、を含み、架橋後のゲル分率が60質量%以上90質量%以下である。
本発明の粘着剤組成物は、上記のような構成を有することで、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難く、かつ、曲面ガラスへの追従性及びリワーク性に優れる粘着剤層を形成できる。
これに対し、特許文献1に記載の粘着シートが備える粘着剤層は、シリコーンオイルを含む粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤からなるため、良好なリワーク性を示すが、粘着力が足りず、衝撃が付与された際にガラスから剥離しやすく、かつ、曲面ガラスへの追従性に劣る(例えば、後述の比較例9参照)。
また、特許文献2に記載の粘着シートが備える粘着剤層は、剥離することを前提としているため、粘着力が低く、かつ、凝集力が高い。よって、特許文献2に記載の粘着シートが備える粘着剤層は、衝撃が付与された際にガラスから剥離しやすく、かつ、曲面ガラスへの追従性に劣る。なお、特許文献2の実施例2には、炭素数1のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体であるメチルアクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して25質量%、炭素数4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体であるn−ブチルアクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して65質量%、及びカルボキシ基を有する単量体であるアクリル酸に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%含み、かつ、ガラス転移温度が−15℃であるアクリル共重合体と、架橋剤と、を含む粘着剤溶液により形成され、かつ、粘着力が17mN/25mmである粘着剤層が記載されている。特許文献2には、実施例2の粘着剤溶液に含まれるアクリル共重合体の重量平均分子量及び架橋後のゲル分率に関する具体的な記載はない。しかし、本発明者らは、実施例2の粘着剤溶液の組成で、17mN/25mmという粘着力を実現するためには、アクリル共重合体の重量平均分子量が90万よりも高く、かつ、架橋後のゲル分率が90質量%を超える必要があることを確認している(例えば、後述の比較例4参照)。
〔特定(メタ)アクリル系共重合体〕
本発明の粘着剤組成物は、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して40質量%以上90質量%以下、及び、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%以上24質量%以下含み、ガラス転移温度が−35℃以上−10℃以下であり、かつ、重量平均分子量が45万以上90万以下である(メタ)アクリル系共重合体〔即ち、特定(メタ)アクリル系共重合体〕を含む。
<炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して40質量%以上90質量%以下含む。
炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位は、粘着剤層の凝集力及び極性の調整に寄与する。
本明細書において、「炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位」とは、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、無置換の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。
炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、s−ブチルアクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート等が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率(割合)は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、40質量%以上90質量%以下であり、60質量%以上90質量%以下であることが好ましく、80質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して40質量%以上であると、粘着剤層の凝集力が適度となり、曲面ガラスへの追従性に優れる粘着剤層となり得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体における炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して90質量%以下であると、粘着剤層の極性が適度に高くなり、また、後述するカルボキシ基を有する単量体を所定量以上含むことができるため、粘着剤層とガラスとの親和性が良好となり、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難い粘着剤層となり得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位として、メチルアクリレートに由来する構成単位及びn−ブチルアクリレートに由来する構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含むことが好ましく、例えば、曲面ガラスへの追従性及びリワーク性の観点から、メチルアクリレートに由来する構成単位を含むことがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体がメチルアクリレートに由来する構成単位を含む場合、特定(メタ)アクリル系共重合体におけるメチルアクリレートに由来する構成単位の含有率は、特に限定されないが、例えば、曲面ガラスへの追従性及びリワーク性の観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、6質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、12質量%以上18質量%以下であることが更に好ましい。
<カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%以上24質量%以下含む。
カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位は、粘着剤層の凝集力及び極性の調整に寄与する。
本明細書において、「カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位」とは、カルボキシ基を有する単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
カルボキシ基を有する単量体の種類は、特に限定されない。
カルボキシ基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、グルタコン酸、シトラコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート〔例えば、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート〕、コハク酸エステル(例えば、2−アクリロイルオキシエチル−コハク酸)等が挙げられる。
これらの中でも、カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、共重合性の観点から、アクリル酸が好ましい。また、アクリル酸は、(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)を−35℃以上−10℃以下に調整しやすいという観点からも好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率(割合)は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、10質量%以上24質量%以下であり、10質量%以上20質量%以下であることが好ましく、10質量%以上14質量%以下であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して10質量%以上であると、架橋密度が適切な範囲となり、粘着剤層の凝集力が適度となるため、曲面ガラスへの追従性に優れる粘着剤層となり得る。
また、特定(メタ)アクリル系共重合体におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して10質量%以上であると、架橋に寄与しないものが残るため、粘着剤層の極性が適度に高くなる。そのため、粘着剤層とガラスとの親和性が良好となり、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難い粘着剤層となり得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して24質量%以下であると、粘着剤層の凝集力が過度に高くならないため、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難い粘着剤層となり得る。
<その他の構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、本発明の効果が発揮される範囲内において、既述の構成単位、すなわち、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位、及び、カルボキシ基を有する構成単位以外の構成単位(所謂、その他の構成単位)を含んでいてもよい。
その他の構成単位を構成する単量体は、既述の構成単位を構成する単量体と共重合できるものであれば、特に限定されない。
その他の構成単位を構成する単量体としては、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体以外のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、水酸基を有する単量体、アミノ基を有する単量体等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体以外のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、イソアミルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、及びイソステアリルアクリレートが挙げられる。
また、その他の構成単位を構成する単量体としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートに代表される環状基を有する(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、及びエトキシエチル(メタ)アクリレートに代表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、及びビニルトルエンに代表される芳香族モノビニル、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びバーサチック酸ビニルに代表されるビニルエステル、並びに、これらの単量体の各種誘導体が挙げられる。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度>>
特定(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−35℃以上−10℃以下であり、−30℃以上−15℃以下であることが好ましく、−30℃以上−20℃以下であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)が−35℃以上であると、粘着剤層の凝集力が適度となり、曲面ガラスへの追従性及びリワーク性に優れる粘着剤層となり得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)が−10℃以下であると、粘着剤層の凝集力が過度に高くならず、曲面ガラスへの追従性に優れ、かつ、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難い粘着剤層となり得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、下記の式1から計算により求められる絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算した値である。
1/Tg=m1/Tg1+m2/Tg2+・・・+m(k−1)/Tg(k−1)+mk/Tgk (式1)
式1中、Tg1、Tg2、・・・、Tg(k−1)、及びTgkは、特定(メタ)アクリル系共重合体を構成する各単量体を単独重合体としたときの絶対温度(K)で表されるガラス転移温度(Tg)をそれぞれ表す。m1、m2、・・・、m(k−1)、及びmkは、特定(メタ)アクリル系共重合体を構成する各単量体のモル分率をそれぞれ表し、m1+m2+・・・+m(k−1)+mk=1である。
なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算でき、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算できる。
なお、「単独重合体としたときの絶対温度(K)で表されるガラス転移温度(Tg)」とは、その単量体を単独で重合して製造した単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度(Tg)をいう。
単独重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定装置(DSC)(型番:EXSTAR6000、セイコーインスツル(株)製)を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定し、得られたDSCカーブの変曲点を単独重合体のガラス転移温度(Tg)としたものである。
代表的な単量体の「単独重合体としたときのセルシウス温度(℃)で表されるガラス転移温度(Tg)」は、以下に示すとおりである。
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)が−76℃、2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)が−10℃、n−ブチルアクリレート(n−BA)が−57℃、n−ブチルメタクリレート(n−BMA)が21℃、t−ブチルアクリレート(t−BA)が41℃、t−ブチルメタクリレート(t−BMA)が107℃、i−ブチルメタクリレート(i−BMA)が48℃、メチルアクリレート(MA)が5℃、メチルメタクリレート(MMA)が103℃、イソボニルメタクリレート(IBXMA)が155℃、イソボニルアクリレート(IBXA)が96℃、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)が56℃、エチルアクリレート(EA)が−27℃、エチルメタクリレート(EMA)が42℃、メタクリル酸が185℃、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)が−39℃、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)が−15℃、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)が55℃、アクリル酸(AA)が163℃、イソオクチルアクリレート(i−OA)が−75℃、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)が18℃、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレートが−30℃、及び2−アクリロイルオキシエチル−コハク酸が−40℃である。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量>>
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、45万以上90万以下であり、50万以上80万以下であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が45万以上であると、粘着剤層の凝集力が適度となり、リワーク性に優れる粘着剤層となり得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が90万以下であると、粘着剤層の凝集力が過度に高くならず、曲面ガラスへの追従性に優れ、かつ、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難い粘着剤層となり得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記の方法により測定される値である。具体的には、下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)特定(メタ)アクリル系共重合体の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体とテトラヒドロフランとを用いて、固形分濃度が0.2質量%である試料溶液を得る。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件にて、標準ポリスチレン換算値として、特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を測定する。
〜条件〜
測定装置:高速GPC(型番:HLC−8220 GPC、東ソー(株)製)
検出器:示差屈折率計(RI)(HLC−8220に組込、東ソー(株)製)
カラム:TSK−GEL GMHXL(東ソー(株)製)を直列に4本接続
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
注入量:100μL
流量:0.6mL/分
<<特定(メタ)アクリル系共重合体の含有率>>
本発明の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体の含有率は、特に限定されないが、例えば、曲面ガラスの追従性及びリワーク性の観点から、粘着剤組成物中の全固形分量に対して、90質量%以上99.97質量%以下であることが好ましく、92質量%以上99.97質量%以下であることがより好ましく、94質量%以上99.97質量%以下であることが更に好ましい。
本明細書において、「粘着剤組成物中の全固形分量」とは、粘着剤組成物が溶媒等の揮発性成分を含まない場合には、粘着剤組成物の全質量を意味し、粘着剤組成物が溶媒等の揮発性成分を含む場合には、粘着剤組成物から溶媒等の揮発性成分を除いた残渣の質量を意味する。
〔特定(メタ)アクリル系共重合体の製造方法〕
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造方法は、特に限定されない。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、及び塊状重合に代表される公知の重合方法で、既述の単量体を重合して製造できる。
特定(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、例えば、単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が異なる単量体を2種以上用いることで、適宜調整できる。
また、特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、重合温度、重合時間、有機溶媒の使用量、重合開始剤の種類、重合開始剤の使用量等を調整することにより、所望の値にできる。
重合方法としては、製造後に本発明の粘着剤組成物を調製するにあたり、処理工程が比較的簡単であり、かつ、短時間で行える点で、溶液重合が好ましい。
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中及び/又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させる。この場合、有機溶媒、単量体、重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、芳香族炭化水素化合物、脂肪族系又は脂環式系炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物、グリコールエーテル化合物、アルコール化合物等が挙げられる。
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、より具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、及び芳香族ナフサに代表される芳香族炭化水素化合物、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、及びテレピン油に代表される脂肪族系又は脂環式系炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、及び安息香酸メチルに代表されるエステル化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンに代表されるケトン化合物、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルに代表されるグリコールエーテル化合物、並びに、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、並びに、t−ブチルアルコールに代表されるアルコール化合物が挙げられる。
重合反応時には、これらの有機溶媒を1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、芳香族炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物、アルコール化合物等の重合反応中に連鎖移動を生じ難い有機溶媒の使用が好ましく、特に、特定(メタ)アクリル系共重合体の溶解性、重合反応の容易さ等の観点から、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、t−ブチルアルコール等の使用が好ましい。
重合開始剤としては、通常の溶液重合で用いられる有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−i−プロピルペルオキシジカルボナート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナート、t−ブチルペルオキシピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、及び2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ABVN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、及び2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルが挙げられる。
重合反応時には、これらの重合開始剤を1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、重合反応中にグラフト反応を起こさない重合開始剤の使用が好ましく、特に、アゾビス系の重合開始剤の使用が好ましい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されず、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定される。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、本発明の目的及び効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて連鎖移動剤を用いてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸、シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル化合物、ブロモ酢酸、ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル化合物、α−メチルスチレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、及び9−フェニルフルオレンに代表される芳香族化合物、p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、及びp−ニトロトルエンに代表される芳香族ニトロ化合物、ベンゾキノン及び2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンに代表されるベンゾキノン誘導体、トリブチルボランに代表されるボラン誘導体、四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、及び3−クロロ−1−プロペンに代表されるハロゲン化炭化水素化合物、クロラール及びフラルデヒドに代表されるアルデヒド化合物、炭素数1〜18のアルキルメルカプタン化合物、チオフェノール及びトルエンメルカプタンに代表される芳香族メルカプタン化合物、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル化合物、炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン化合物、並びに、ビネン及びターピノレンに代表されるテルペン化合物が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際し、連鎖移動剤を用いる場合、連鎖移動剤の使用量は、特に限定されず、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定される。
重合温度は、特に限定されず、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定される。
〔架橋剤〕
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含む。
架橋剤の種類は、特に限定されない。
架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物等が挙げられる。
本明細書において、「ポリイソシアネート化合物」とは、分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。また、「エポキシ化合物」とは、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物を意味する。
ポリイソシアネート化合物としては、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びトリレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族ポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、イソホロンジイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物としては、上記ポリイソシアネート化合物の2量体、上記ポリイソシアネート化合物の3量体、上記ポリイソシアネート化合物の5量体、上記ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物(例えば、トリメチロールプロパン)とのアダクト体、上記ポリイソシアネート化合物のビウレット体等も挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ポットライフの観点から、トリレンジイソシアネート(TDI)が好ましく、トリレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパンとのアダクト体がより好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、市販品を使用できる。
ポリイソシアネート化合物の市販品の例としては、「コロネート(登録商標) HX」、「コロネート(登録商標) HL−S」、「コロネート(登録商標) L」、「コロネート(登録商標) L−45E」、「コロネート(登録商標) 2031」、「コロネート(登録商標) 2037」、「コロネート(登録商標) 2234」、「コロネート(登録商標) 2785」、「アクアネート(登録商標) 200」、及び「アクアネート(登録商標) 210」〔以上、東ソー(株)製〕、「スミジュール(登録商標) N3300」、「デスモジュール(登録商標) N3400」、及び「スミジュール(登録商標) N−75」〔以上、住化コベストロウレタン(株)製〕、「デュラネート(登録商標) E−405−80T」、「デュラネート(登録商標) AE700−100」、「デュラネート(登録商標) 24A−100」、及び「デュラネート(登録商標) TSE−100」〔以上、旭化成(株)製〕、並びに、「タケネート(登録商標) D−110N」、「タケネート(登録商標) D−120N」、「タケネート(登録商標) M−631N」、「MT−オレスター(登録商標) NP1200」、及び「スタビオ(登録商標) XD−340N」〔以上、三井化学(株)製〕が挙げられる。
エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリス(グリシジル)イソシアヌレート、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌレート、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ベンゼンジ(メタンアミン)等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、市販品を使用できる。
エポキシ化合物の市販品の例としては、「TETRAD(登録商標)−X」及び「TETRAD(登録商標)−C」〔以上、三菱ガス化学(株)製〕が挙げられる。
金属キレート化合物としては、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、及びアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)に代表されるアルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、コバルトキレート化合物等が挙げられる。
金属キレート化合物としては、市販品を使用できる。
金属キレート化合物の市販品の例としては、「アルミキレートA」、「アルミキレートD」、及び「ALCH−TR」〔以上、川研ファインケミカル(株)製〕が挙げられる。
これらの中でも、架橋剤としては、例えば、衝撃が付与された際のガラスからの剥離抑制性、曲面ガラスへの追従性、及びリワーク性をよりバランス良く兼ね備えた粘着剤層を形成し得るという観点から、ポリイソシアネート化合物及びエポキシ化合物の少なくとも一方が好ましく、エポキシ化合物がより好ましく、4官能のエポキシ化合物が更に好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の粘着剤組成物における架橋剤の含有量は、特に制限されず、架橋剤の種類に応じて、適宜設定される。
例えば、本発明の粘着剤組成物が架橋剤としてポリイソシアネート化合物を含む場合、粘着剤組成物におけるポリイソシアネート化合物の含有量は、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、2質量部以上9質量部以下であることが好ましく、2.5質量部以上6質量部以下であることがより好ましく、3質量部以上5質量部以下であることが更に好ましい。
例えば、本発明の粘着剤組成物が架橋剤としてエポキシ化合物を含む場合、粘着剤組成物におけるエポキシ化合物の含有量は、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.03質量部以上0.4質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上0.15質量部以下であることがより好ましく、0.03質量部以上0.1質量部以下であることが更に好ましく、0.05質量部以上0.08質量部以下であることが特に好ましい。
〔シランカップリング剤〕
本発明の粘着剤組成物は、シランカップリング剤を含んでいてもよい。
シランカップリング剤は、衝撃が付与された際のガラスからの剥離抑制性及び曲面ガラスへの追従性の向上に寄与する。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに代表される重合性不飽和基含有シラン化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、及び3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシランに代表されるチオール基含有シラン系化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランに代表されるエポキシ基含有シラン化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランに代表されるアミノ基含有シラン化合物、並びに、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、シランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
なお、ガラスを被着体とするフィルムに用いられる粘着剤組成物では、シランカップリング剤の含有量が多いと、フィルムの保管中にシランカップリング同士の縮合が起こり、粘着剤層が硬くなる等、粘着剤層に経時変化が起こる場合がある。
このような観点から、本発明の粘着剤組成物におけるシランカップリング剤の含有量は、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.3質量部未満であることが好ましく、0.1質量部未満であることがより好ましく、0.05質量部未満であることが更に好ましく、0.01質量部未満であることが特に好ましく、0質量部であること、すなわち、本発明の粘着剤組成物がシランカップリング剤を含まないことが最も好ましい。
〔有機溶媒〕
本発明の粘着剤組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。
有機溶媒は、粘着剤組成物の塗布性の向上に寄与する。
有機溶媒としては、例えば、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体の重合反応時に用いられる有機溶媒と同様のものが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、有機溶媒を含む場合、有機溶媒を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の粘着剤組成物が有機溶媒を含む場合、有機溶媒の含有量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜設定できる。
〔その他の成分〕
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、既述した成分以外の成分(所謂、その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、特定(メタ)アクリル系共重合体以外の重合体、架橋触媒、帯電防止剤、帯電防止助剤、粘着付与剤、酸化防止剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、光安定剤(例えば、紫外線吸収剤)等が挙げられる。
<架橋後のゲル分率>
本発明の粘着剤組成物は、架橋後のゲル分率が60質量%以上90質量%以下であり、65質量%以上88質量%以下が好ましく、70質量%以上85質量%以下がより好ましい。
架橋後のゲル分率が60質量%以上であると、粘着剤層の凝集力が適度となり、曲面ガラスへの追従性及びリワーク性に優れる粘着剤層となり得る。
架橋後のゲル分率が90質量%以下であると、粘着剤層の凝集力が過度に高くならず、曲面ガラスへの追従性に優れ、かつ、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難い粘着剤層となり得る。
本明細書において、「粘着剤組成物の架橋後のゲル分率」は、酢酸エチルを抽出溶媒に用いて測定される溶媒不溶分の割合である。粘着剤組成物の架橋後のゲル分率は、具体的には、下記(1)〜(4)に従って測定する。
(1)精密天秤を用いて質量を正確に測定した250メッシュの金網(100mm×100mm)に、架橋後の粘着剤組成物(即ち、粘着剤層)を約0.15g貼付し、ゲル分が漏れないように、貼付した粘着剤層を内側にして、金網を5回折り畳み、試料とする。次いで、試料の質量(即ち、粘着剤層を貼付した金網の浸漬前の質量)を、精密天秤を用いて正確に測定する。
(2)得られた試料を酢酸エチル80mLに3日間浸漬する。
(3)試料を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、120℃で24時間乾燥させる。次いで、この乾燥後の試料の質量(即ち、浸漬後乾燥させた、粘着剤層を貼付した金網の質量)を、精密天秤を用いて正確に測定する。
(4)下式によりゲル分率を算出する。
ゲル分率(単位:質量%)=(Z−X)/(Y−X)×100
但し、Xは、金網の質量(単位:g)であり、Yは、粘着剤層を貼付した金網の浸漬前の質量(単位:g)であり、Zは、浸漬後乾燥させた、粘着剤層を貼付した金網の質量(単位:g)である。
〔用途〕
本発明の粘着剤組成物は、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難く、かつ、曲面ガラスへの追従性及びリワーク性に優れる粘着剤層を形成できるため、ガラス飛散防止フィルム、特に、曲面形状を有するガラス、或いは、湾曲するガラスに貼着されるガラス飛散防止フィルムに好ましく用いることができる。
本発明の粘着剤組成物を用いたガラス飛散防止フィルムに好適な被着体としては、ガラス飛散防止フィルムを貼着する時点で曲面形状を有しているガラス、ガラス飛散防止フィルムの貼着後、湾曲されることで曲面形状を有することになるガラス等が挙げられる。
このようなガラスの具体例としては、曲面形状を有する光学部材(曲面ディスプレイ、携帯情報端末のカバーガラス等)、湾曲する光学部材(フレキシブルディスプレイ、携帯情報端末のカバーガラス等)、曲面形状を有する窓ガラス(車両用、住宅用、店舗用等)、曲面形状を有するか、或いは、湾曲する各種ガラス製品(家電製品、家具、日用品等)などが挙げられる。
[ガラス飛散防止フィルム]
本発明のガラス飛散防止フィルムは、基材と、上記基材上に設けられ、かつ、既述の本発明の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備える。すなわち、本発明のガラス飛散防止フィルムでは、基材と、本発明の粘着剤組成物により形成された粘着剤層とが、積層されている。
本発明のガラス飛散防止フィルムは、本発明の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難く、かつ、曲面ガラスへの追従性及びリワーク性に優れる。
本発明のガラス飛散防止フィルムにおける基材は、その基材上に粘着剤層を形成できれば、特に限定されない。
基材としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂を含むフィルムが挙げられる。
例えば、透明性の観点からは、基材としては、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むフィルムが好ましい。
また、例えば、ガラス飛散防止性能の観点からは、ポリエステル系樹脂を含むフィルムが好ましく、実用性を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むフィルムが特に好ましい。
基材は、可塑剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
また、基材は、一部又は全体に、模様が施されていてもよい。
基材の厚さは、一般には500μm以下であり、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
基材の厚さの下限は、例えば、ガラス飛散防止フィルムの強度の観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。
基材の片面又は両面には、帯電防止層が設けられていてもよい。
また、基材の粘着剤層が設けられる側の表面には、基材と粘着剤層との密着性を向上させる観点から、表面処理が施されていてもよい。
表面処理としては、化学的処理及び物理的処理が挙げられる。
化学的処理としては、酸、アルカリ等による処理が挙げられる。
物理的処理としては、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等が挙げられる。
粘着剤層の形成方法は、特に限定されず、通常用いられる方法を採用できる。
基材上に粘着剤層を形成する方法としては、例えば、以下の方法を採用できる。
本発明の粘着剤組成物を、そのままの状態で、又は、必要に応じて溶媒で希釈した状態で、基材上に塗布し、基材上に塗布膜を形成する。次いで、形成された塗布膜を乾燥して溶媒を除去し、粘着膜を得る。次いで、得られた粘着膜に対して養生を行うことにより、基材上に粘着剤層を形成する。
なお、露出した粘着剤層の表面は、剥離フィルムによって保護されていてもよい。
例えば、塗布膜の乾燥により得られた粘着膜の露出した面に、剥離フィルムを貼り合わせて積層体とした後、粘着膜に対して養生を行ってもよい。
剥離フィルムとしては、粘着剤層の表面からの剥離を容易に行えるものであれば、特に限定されず、例えば、片面又は両面に剥離剤による表面処理が施された紙、樹脂フィルム等が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代表されるポリエステルフィルムが挙げられる。
剥離剤としては、フッ素系樹脂、パラフィンワックス、シリコーン、長鎖アルキル基化合物等が挙げられる。
剥離フィルムは、ガラス飛散防止フィルムを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
基材上に粘着剤層を形成する別の方法としては、例えば、以下の方法を採用できる。
本発明の粘着剤組成物を、そのままの状態で、又は、必要に応じて溶媒で希釈した状態で、剥離剤による表面処理が施された紙、樹脂フィルム等の剥離フィルム上に塗布し、剥離フィルム上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥して溶媒を除去し、粘着膜を得る。次いで、剥離フィルムの粘着膜が形成された側の面を基材に接触させて加圧し、粘着膜を基材に転写することにより、基材上に粘着膜を形成する。次いで、形成された粘着膜に対して養生を行うことにより、基材上に粘着剤層を形成する。
基材上又は剥離フィルム上に、粘着剤組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、バーコーター、アプリケーター等を用いる公知の方法が挙げられる。
基材上又は剥離フィルム上への粘着剤組成物の塗布量は、形成する粘着剤層の厚さに応じて、適宜設定される。
粘着剤層の厚さは、ガラス飛散防止フィルムに求められる粘着力、ガラスの表面状態(例えば、形状及び表面粗さ)等に応じて、適宜設定できる。
粘着剤層の厚さは、一般には1μm以上100μm以下であり、5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
基材上又は剥離フィルム上に形成した塗布膜を乾燥させる方法としては、特に限定されず、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等の方法が挙げられる。
塗布膜の乾燥温度及び乾燥時間は、特に限定されず、塗布膜の厚さ、塗布膜中の有機溶媒の量等に応じて、適宜設定される。
養生は、例えば、23℃、50%RHの環境下で1日間〜10日間行う。
養生により、架橋反応が終了して粘着剤層が形成される。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[(メタ)アクリル系共重合体の製造]
〔製造例A−1〕
撹拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応装置に、酢酸エチル(有機溶媒)400質量部と、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル〔AIBN;重合開始剤〕0.06質量部と、を仕込んだ。
次いで、別の容器に、n−ブチルアクリレート(n−BA;炭素数4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体)360質量部、メチルアクリレート(MA;炭素数1のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体)90質量部、及びアクリル酸(AA;カルボキシ基を有する単量体)50質量部からなる単量体混合物500質量部を準備した。この単量体混合物のうち、100質量部(単量体混合物の20質量%に相当する量)を反応装置に仕込んだ後、加熱し、還流温度で30分間還流を行った。
次いで、還流温度条件下、反応装置内に、上記単量体混合物の残り400質量部(単量体混合物の80質量%に相当する量)、酢酸エチル50質量部、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.04質量部からなる混合物を、120分間かけて逐次滴下した。滴下終了後、更に60分間重合反応を行い、重合反応物(a1)を得た。
その後、反応装置内の重合反応物(a1)に、酢酸エチル12質量部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.19質量部からなる混合物を、60分間かけて逐次滴下した。滴下終了後、更に90分間重合反応を行い、重合反応物(a2)を得た。得られた重合反応物(a2)を、酢酸エチルを用いて固形分濃度34質量%に希釈し、(メタ)アクリル系共重合体A−1の溶液を得た。
ここでいう「固形分濃度」とは、(メタ)アクリル系共重合体A−1の溶液に占める、(メタ)アクリル系共重合体A−1の溶液から溶媒等の揮発性成分を除いた残りの成分の質量割合を意味する。以下の(メタ)アクリル系共重合体A−2〜A−19の各溶液についても同様である。
〔製造例A−2及びA−10〕
製造例A−1において、有機溶媒の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を、表1に示す重量平均分子量(Mw)に変更したこと以外は、製造例A−1と同様の操作を行い、固形分濃度が34質量%である(メタ)アクリル系共重合体A−2及びA−10の各溶液を得た。
〔製造例A−6、A−7、及びA−9〕
製造例A−1において、(メタ)アクリル系共重合体の単量体組成を表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、製造例A−1と同様の操作を行い、固形分濃度が34質量%である(メタ)アクリル系共重合体A−6、A−7、及びA−9の各溶液を得た。
〔製造例A−8、A−12、A−13、A−15、A−17、及びA−19〕
製造例A−1において、(メタ)アクリル系共重合体の単量体組成を、表1に示す単量体組成に変更したこと、並びに、有機溶媒の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を、表1に示す重量平均分子量(Mw)に変更したこと以外は、製造例A−1と同様の操作を行い、固形分濃度が34質量%である(メタ)アクリル系共重合体A−8、A−12、A−13、A−15、A−17、及びA−19の各溶液を得た。
〔製造例A−3〕
撹拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応装置に、酢酸エチル(有機溶媒)240質量部と、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル〔AIBN;重合開始剤〕0.063質量部と、を仕込んだ。
次いで、別の容器に、n−ブチルアクリレート(n−BA;炭素数4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体)480質量部、メチルアクリレート(MA;炭素数1のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体)24質量部、及びアクリル酸(AA;カルボキシ基を有する単量体)96質量部からなる単量体混合物600質量部を準備した。この単量体混合物のうち、150質量部(単量体混合物の25質量%に相当する量)を反応装置に仕込んだ後、加熱し、還流温度で20分間還流を行った。
次いで、還流温度条件下、反応装置内に、上記単量体混合物の残り450質量部(単量体混合物の75質量%に相当する量)、酢酸エチル64質量部、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.058質量部からなる混合物を、150分間かけて逐次滴下した。滴下終了後、更に20分間重合反応を行い、重合反応物(a1)を得た。
その後、反応装置内の重合反応物(a1)に、酢酸エチル38質量部を20分間かけて逐次滴下した。滴下終了後、更に80分間重合反応を行い、重合反応物(a2)を得た。得られた重合反応物(a2)を、酢酸エチルを用いて固形分濃度30質量%に希釈し、(メタ)アクリル系共重合体A−3の溶液を得た。
〔製造例A−4〕
製造例A−3において、(メタ)アクリル系共重合体の単量体組成を表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、製造例A−3と同様の操作を行い、固形分濃度が30質量%である(メタ)アクリル系共重合体A−4の溶液を得た。
〔製造例A−5、A−14、及びA−18〕
製造例A−3において、(メタ)アクリル系共重合体の単量体組成を、表1に示す単量体組成に変更したこと、並びに、有機溶媒の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を、表1に示す重量平均分子量(Mw)に変更したこと以外は、製造例A−3と同様の操作を行い、固形分濃度が30質量%である(メタ)アクリル系共重合体A−5、A−14、及びA−18の各溶液を得た。
〔製造例A−11〕
特開2012−126783号公報の段落[0033]に記載された実施例1の粘着剤の調製方法に従って、(メタ)アクリル系共重合体A−11の溶液を得た。
なお、酢酸エチル(有機溶媒)の使用量は、400質量部であり、得られた(メタ)アクリル系共重合体A−11の溶液の固形分濃度は、20質量%である。
〔製造例A−16〕
撹拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応装置に、酢酸エチル(有機溶媒)415質量部を仕込んだ。
次いで、別の容器に、n−ブチルアクリレート(n−BA;炭素数4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体)270質量部、メチルアクリレート(MA;炭素数1のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体)180質量部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA;水酸基を有する単量体)150質量部からなる単量体混合物600質量部を準備した。この単量体混合物のうち、120質量部(単量体混合物の20質量%に相当する量)を反応装置に仕込んだ後、加熱し、還流温度で10分間還流を行った。
次いで、還流温度条件下、反応装置内に、上記単量体混合物の残り480質量部(単量体混合物の80質量%に相当する量)、酢酸エチル28質量部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ABVN;重合開始剤)0.19質量部からなる混合物を、120分間かけて逐次滴下した。滴下終了後、更に30分間重合反応を行い、重合反応物(a1)を得た。
その後、反応装置内の重合反応物(a1)に、酢酸エチル17質量部及びt−ブチルペルオキシピバレート(重合開始剤)0.15質量部からなる混合物を、40分間かけて逐次滴下した。滴下終了後、更に150分間重合反応を行い、重合反応物(a2)を得た。得られた重合反応物(a2)を、酢酸エチルを用いて固形分35質量%に希釈し、(メタ)アクリル系共重合体A−16の溶液を得た。
(メタ)アクリル系共重合体A−1〜A−19の単量体組成(単位:質量%)、ガラス転移温度(Tg、単位:℃)、及び重量平均分子量〔Mw、単位:万(表中では、「×10と表記)〕を表1に示す。
(メタ)アクリル系共重合体A−1〜A−19のガラス転移温度(Tg)は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)における方法と同様の方法により計算した。
(メタ)アクリル系共重合体A−1〜A−19の重量平均分子量(Mw)は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)における方法と同様の方法により測定した。
上記にて得られた(メタ)アクリル系共重合体A−1〜A−19のうち、(メタ)アクリル系共重合体A−1〜A−9及びA−12は、本発明における特定(メタ)アクリル系共重合体に相当する。
表1に記載の各単量体の詳細は、以下に示すとおりである。
「n−BA」:n−ブチルアクリレート
(炭素数4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体)
「MA」:メチルアクリレート
(炭素数1のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体)
「2EHA」:2−エチルヘキシルアクリレート
(炭素数8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体)
「AA」:アクリル酸(カルボキシ基を有する単量体)
「M−5300」〔商品名、東亞合成(株)製〕:ω−カルボキシポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(カルボキシ基を有する単量体)
「2HEA」:2−ヒドロキシエチルアクリレート(水酸基を有する単量体)
表1中、「−」は、該当する欄の単量体を使用していないことを意味する。
表1では、「ガラス転移温度(Tg)」を単に「Tg」と表記し、「重量平均分子量(Mw)」を単に「Mw」と表記した。
[粘着剤組成物の調製]
〔実施例1〕
(メタ)アクリル系共重合体A−1の溶液294.1質量部(固形分として100質量部)に対して、架橋剤であるコロネート(登録商標) L〔商品名;ポリイソシアネート化合物、トリレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパン(TMP)とのアダクト体、固形分:75質量%、東ソー(株)製〕を固形分として3.0質量部加えて混合し、実施例1の粘着剤組成物を得た。
〔実施例2〜16〕
実施例2〜16では、粘着剤組成物の組成を表2に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着剤組成物を得た。
〔比較例1〜14〕
比較例1〜14では、粘着剤組成物の組成を表3に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着剤組成物を得た。
[測定及び評価]
上記にて得られた粘着剤組成物を用い、以下の測定及び評価を行った。
結果を表2及び表3に示す。
1.架橋後のゲル分率
上記にて得られた粘着剤組成物を、剥離フィルム(A)〔商品名:フィルムバイナ(登録商標)100E−0010N023、表面がシリコーン系剥離剤で表面処理されたフィルム、厚み:100μm、藤森工業(株)製〕の表面処理面に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を、100℃で1分間、熱風循環式乾燥機を用いて乾燥させ、剥離フィルム(A)上に粘着膜を形成した。次いで、剥離フィルム(A)上に形成された粘着膜の露出した面を、別途、準備した剥離フィルム(B)〔商品名:フィルムバイナ(登録商標)25E−0010BD、表面がシリコーン系剥離剤で表面処理されたフィルム、厚み:25μm、藤森工業(株)製〕の表面処理面に重ね合わせて積層体とした。この積層体を加圧ニップロール対に通して圧着して貼り合わせた後、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下で7日間養生して架橋反応を進行させ、剥離フィルム(A)/粘着剤層/剥離フィルム(B)の積層構造を有する積層体を作製した。
次いで、作製した積層体から剥離フィルム(A)及び剥離フィルム(B)を剥離し、得られた粘着剤層を用い、下記(1)〜(4)に従って、粘着剤組成物の架橋後のゲル分率を測定した。
(1)精密天秤を用いて質量を正確に測定した250メッシュの金網(100mm×100mm)に、架橋後の粘着剤組成物(即ち、粘着剤層)を約0.15g貼付し、ゲル分が漏れないように、貼付した粘着剤層を内側にして、金網を5回折り畳み、試料とした。次いで、試料の質量(即ち、粘着剤層を貼付した金網の浸漬前の質量)を、精密天秤を用いて正確に測定した。
(2)得られた試料を酢酸エチル80mLに3日間浸漬した。
(3)試料を取り出して少量の酢酸エチルを用いて洗浄し、120℃で24時間乾燥させた。次いで、この乾燥後の試料の質量(即ち、浸漬後乾燥させた、粘着剤層を貼付した金網の質量)を、精密天秤を用いて正確に測定した。
(4)下式によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(単位:質量%)=(Z−X)/(Y−X)×100
但し、Xは、金網の質量(単位:g)であり、Yは、粘着剤層を貼付した金網の浸漬前の質量(単位:g)であり、Zは、浸漬後乾燥させた、粘着剤層を貼付した金網の質量(単位:g)である。
2.ガラスに対する粘着力
(評価用粘着フィルムの作製)
上記にて得られた粘着剤組成物を、基材としてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔商品名:テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルム、型番:HPE、表面が易接着処理されたフィルム、厚み:50μm、帝人フィルムソリューション(株)製〕の易接着処理面に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を、100℃で1分間、熱風循環式乾燥機を用いて乾燥させ、PETフィルム上に粘着膜を形成した。
次いで、PETフィルム上に形成された粘着膜の露出した面を、剥離フィルム〔商品名:フィルムバイナ(登録商標)100E−0010N023、表面がシリコーン系剥離剤で表面処理されたフィルム、厚み:100μm、藤森工業(株)製〕の表面処理面に重ね合わせて積層体とした。この積層体を加圧ニップロール対に通して圧着して貼り合わせた後、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下で7日間養生して架橋反応を進行させ、評価用粘着フィルムを得た。
作製した評価用粘着フィルムは、基材(PETフィルム)/粘着剤層の積層構造を有し、粘着剤層の表面が剥離フィルムにより保護されている。
(評価試験)
上記にて作製した評価用粘着フィルムを25mm×150mmの大きさに切断し、評価用粘着フィルム片を準備した。
準備した評価用粘着フィルム片から剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、被着体としてのソーダガラス〔松浪硝子工業(株)製〕の片面に重ねて貼り合わせた後、2kgのローラーを1往復させて圧着し、積層体を作製した。作製した積層体は、被着体(ソーダガラス)/粘着フィルム片〔粘着剤層/基材(PETフィルム)〕の積層構造を有する。次いで、作製した積層体を、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に24時間静置し、試験片とした。
この試験片について、被着体(ソーダガラス)から粘着フィルム片を長辺(150mm)方向に180°剥離した場合の粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として、シングルコラム型材料試験機〔型番:STA−1225、(株)エー・アンド・デイ製〕を用い、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。そして、下記の評価基準に従って、ガラスに対する粘着力を評価した。
評価結果が「A」又は「B」であれば、ガラスに対する粘着力に優れ、衝撃が付与された際にガラスから剥離し難い粘着剤層であると判断した。
−評価基準−
A:粘着力が18N/25mm以上である。
B:粘着力が12N/25mm以上18N/25mm未満である。
C:粘着力が12N/25mm未満である。
3.曲面ガラスへの追従性
曲面ガラスへの追従性は、以下に示す手順の定荷重試験の結果を指標とし、評価した。
曲面ガラスへの追従性の評価には、上記の「2.ガラスに対する粘着力」において作製した評価用粘着フィルムと同じものを用いた。
評価用粘着フィルムを25mm×150mmの大きさに切断し、評価用粘着フィルム片を準備した。
準備した評価用粘着フィルム片から剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、被着体としてのソーダガラス〔松浪硝子工業(株)製〕の片面に重ねて貼り合わせた後、2kgのローラーを1往復させて圧着し、積層体を作製した。作製した試験片は、被着体(ソーダガラス)/粘着フィルム片〔粘着剤層/基材(PETフィルム)〕の積層構造を有する。次いで、作製した積層体を、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間静置し、試験片とした。この試験片を用いて、曲面ガラスへの追従性の評価試験を行った。
評価試験の方法を、図面(図1)を参照しながら説明する。
雰囲気温度23℃、50%RHの環境下、被着体であるソーダガラス10に対して、90°の方向(被着面の法線方向)に200gの荷重が加わるように、試験サンプルの末端を剥がして、粘着フィルム片(粘着剤層20/基材30)に、セロハンテープSを用いて重りWを吊るし、粘着フィルム片の剥がれ始めのスタート位置に印を付けた後、180分間放置した。180分間の放置後、粘着フィルム片の剥がれた長さ(単位:mm)を測定した。そして、下記の評価基準に従って、曲面ガラスへの追従性を評価した。
評価結果が「A」又は「B」であれば、曲面ガラスへの追従性に優れる粘着剤層であると判断した。
−評価基準−
A:粘着フィルム片の剥がれた長さが0.5mm以下である。
B:粘着フィルム片の剥がれた長さが0.5mmを超えて10mm未満である。
C:粘着フィルム片の剥がれた長さが10mm以上である。
4.ガラスに対するリワーク性
ガラスに対するリワーク性の評価には、上記の「2.ガラスに対する粘着力」において作製した評価用粘着フィルムと同じものを用いた。
評価用粘着フィルムを25mm×100mmの大きさに切断し、評価用粘着フィルム片を準備した。
準備した評価用粘着フィルム片から剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、被着体としてのソーダガラス〔松浪硝子工業(株)製〕の片面に重ねて貼り合わせた後、2kgのローラーを1往復させて圧着し、積層体を作製した。作製した試験片は、被着体(ソーダガラス)/粘着フィルム片〔粘着剤層/基材(PETフィルム)〕の積層構造を有する。次いで、作製した積層体を、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間静置した後、雰囲気温度80℃の環境下に24時間静置した。静置後、積層体を、更に雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間静置し、試験片とした。この試験片を用いて、ガラスに対するリワーク性の評価試験を行った。
具体的には、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下、被着体(ソーダガラス)から粘着フィルム片を、剥離速度300mm/分で長辺(100mm)方向に180°剥離した。剥離後、ソーダガラスの表面を目視にて観察し、糊残りの有無及び糊残りの合計面積を求めた。なお、糊残りの合計面積は、糊残り部分を長方形に近似し、近似した長方形の面積を合計し、算出した。そして、下記の評価基準に従って、ガラスに対するリワーク性を評価した。
評価結果が「A」又は「B」であれば、ガラスに対するリワーク性に優れる粘着剤層であると判断した。
−評価基準−
A:ガラスへの糊残りが全く確認されなかった。
B:ガラスへの糊残りは確認されたが、ガラスへの糊残りの合計面積が貼り合わせ面積に対して1%未満であった。
C:ガラスへの糊残りの合計面積が貼り合わせ面積に対して1%以上であった。
表2及び表3中、「−」は、該当する成分を含んでいないことを意味する。
表2及び表3に記載の成分の詳細は、以下の通りである。
<架橋剤>
−ポリイソシアネート化合物−
「コロネート L」〔商品名、トリレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパン(TMP)とのアダクト体、固形分:100質量%、東ソー(株)製〕
「タケネート D−110N」〔商品名、キシリレンジイソシアネート(XDI)、固形分:75質量%、三井化学(株)製〕
−エポキシ化合物−
「TETRAD−X」〔商品名、4官能のエポキシ化合物、三菱ガス化学(株)製〕
「TETRAD−C」〔商品名、4官能のエポキシ化合物、三菱ガス化学(株)製〕
<その他の成分>
「KF−2012」〔商品名、変性シリコーン、信越化学工業(株)製〕
「コロネート」、「タケネート」及び「TETRAD」は、いずれも登録商標である。
表2に示すように、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して40質量%以上90質量%以下、及び、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%以上24質量%以下含み、ガラス転移温度が−35℃以上−10℃以下であり、かつ、重量平均分子量が45万以上90万以下である(メタ)アクリル系共重合体と、架橋剤と、を含み、架橋後のゲル分率が60%以上90%以下である実施例1〜実施例16の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、いずれも衝撃が付与された際にガラスから剥離し難く、かつ、曲面ガラスへの追従性及びリワーク性に優れることが確認された。
一方、表3に示すように、比較例1〜比較例14の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、ガラスに対する粘着力、曲面ガラスへの追従性、及びガラスに対するリワーク性の少なくとも1つの評価試験において、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層よりも劣る結果を示した。
10 被着体(ソーダガラス)
20 粘着剤層
30 基材(PETフィルム)
S セロハンテープ
W 重り

Claims (8)

  1. 炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して40質量%以上90質量%以下、及び、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%以上24質量%以下含み、ガラス転移温度が−35℃以上−10℃以下であり、かつ、重量平均分子量が45万以上90万以下である(メタ)アクリル系共重合体と、
    架橋剤と、を含み、
    架橋後のゲル分率が60質量%以上90質量%以下であるガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル系共重合体は、前記炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位として、メチルアクリレートに由来する構成単位を含む請求項1に記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル系共重合体におけるメチルアクリレートに由来する構成単位の含有率が、前記(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、3質量%以上20質量%以下である請求項2に記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
  4. 前記架橋剤が、ポリイソシアネート化合物及びエポキシ化合物の少なくとも一方である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
  5. 前記架橋剤が、エポキシ化合物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
  6. 前記エポキシ化合物が、4官能のエポキシ化合物である請求項5に記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
  7. 前記エポキシ化合物の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.03質量部以上0.4質量部以下である請求項5又は請求項6に記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物。
  8. 基材と、前記基材上に設けられ、かつ、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガラス飛散防止フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備えるガラス飛散防止フィルム。
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