JP7293167B2 - 結晶質スフェニシダイト物質、方法、電極物質、及び電気化学的電池 - Google Patents

結晶質スフェニシダイト物質、方法、電極物質、及び電気化学的電池 Download PDF

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Description

この出願は、バッテリー電極のための材料と方法に関する。また、この出願は、当該バッテリー電極で用いられる材料、リチウム二次電池等のこのような電極を用いる電気化学的電池、及び、製造方法に関する。
(関連出願)
この出願は、2014年3月7日付けの「ハイパワー電極物質」と題する米国仮特許出願第61/949,596号、及び、2015年1月15日付けの「ハイパワー電極物質」と題する米国仮特許出願第62/103,987号に対し優先権を主張するものであり、全ての目的のためにこれらの出願の全てを参照することにより、これらのそれぞれの全体の内容がここに組み込まれる。
リチウムイオン(Li-イオン)バッテリーは、電気化学反応からエネルギーを発生する一種の充電式バッテリーである。典型的なリチウムイオン電池において、電池は、陽極、陰極、2本の電極の間で前後にイオンの動きを支持するイオン電解質溶液、及び、電極の間でイオン運動を可能にするとともに、2本の電極が接触しないことを確実とする多孔質セパレーターを、含む。
リチウムイオン電池は、陽極(本明細書において、カソードとも称する。)のための金属酸化物と、陰極(本明細書において、アノードとも称する。)のためのカーボン/黒鉛と、イオン電解質溶液としての有機溶剤の中の塩(一般的にリチウム塩)を備える。充電の間、アノードはカソードからリチウムイオンをインターカレートして、放電の間、カソードへイオンを放出する。近年、リチウム金属リン酸塩(例えば、リン酸鉄リチウム)は、カソード電極活物質として用いられることが発見された。
現在商業的なリチウムイオン電池で用いらている、より危険なリチウム酸化コバルトの次世代置き換えとして、リン酸鉄リチウム(LFP)の使用が提供される。LFPベースのカソード物質を用いているリチウムイオン電池は、現在、コードレス手工具とオンボードUPS装置で見受けられる。バッテリーパックは、最近、航空及び電気自動車並びにプラグイン・ハイブリッド電気自動車自動車及びバスを含む輸送のために示された。
バッテリーに用いられる現行のLFP材料に必要な特徴は、他の意図された目的に対するもので、しばしば当該目的と異なっており、又は、当該目的と矛盾している。合成のために存在する不純物は、リチウムイオン電池に有害である場合がある。さらにまた、市販のLFP材料の合成における異なるバッチには、矛盾している特性がしばしばある可能性がある。このように、リチウムイオン電池で用いられる一貫して望ましい特性を提供する、慎重に制御された特徴を有するLFP材料が必要である。
リチウムイオン電池に用いられる現行のLFP材料は、様々な出発試薬から合成され、様々な特徴を有する。例えば、US8,541,136(Beck et al)は、放電レート容量を向上させるために過剰なリチウムと45.5m/gの表面積を含むLFP材料を提供し、他の実施例では、US2011/006829(Beck et al)は、高純度結晶質のリン酸鉄物質から、合成される高純度結晶質の相LFPを提供しており、すべての目的のために参照によって取り入れられる。
しかし、本発明者は、LFPベースのカソード材料の現行の生成で、潜在的問題を認めた。リチウムイオン電池のエネルギーが低すぎる場合があって、現行のLFP材料は極端な温度環境(例えば、0℃以下の温度への露出)で使用が制限される場合がある。このように、リチウムイオン電池に用いられるLFP材料は、アプリケーションのより幅広い範囲で用いられるために、極端な温度環境における、エネルギーの改善を必要とする。さらに、インピーダンスに関する改善、コールドクランクにおける電力、高いレート容量維持、及び、電荷移動抵抗が、LFPベースのカソード物質の現行の生成を改善すると認められた。
本発明者によって、改善された電極物質(また、LFP材料と呼ばれる)を生産するのに用いられることができるプレート状のスフェニシダイト(spheniscidite)前駆体を合成することを含む、上記の問題への1つの潜在的なアプローチが発見された。プレート状の前駆体は、単相の物質として形成されてもよく、いくつかの実施形態において、2014年3月7日付けの「ハイパワー電極物質」と題する米国仮特許出願第61/949,596号で明らかにされるように、20m/g以上25m/g以下の範囲の表面積を有していてもよく、その全てのコンテンツはすべての目的のために参照によってここに取り入れられる。
プレート状のスフェニシダイト前駆体から作られるLFP材料は、本明細書において、リン酸アンモニウム鉄前駆体とも称され、結晶質の第1の及び二次粒子を備えていてもよい。一次粒子は、約20nm以上約80nm以下の間で粒径を有していてもよい。二次粒子は、5ミクロン以上13ミクロン以下の範囲に、d50粒径を有していてもよい。いくつかの実施例では、二次粒子は、25m/g以上35m/g以下の範囲の表面積を有していてもよい。さらに、二次粒子は、約0.8g/mL以上約1.4g/mL以下のタップ密度を有していてもよい。
いくつかの実施例では、LFP材料は、約5重量%未満の、実質的にイオンを保持しないどんな追加の相を含んでいてもよい。さらに、LFP材料は、いくつかの実施形態において、2.1%以上2.5%以下の範囲のカーボン・パーセンテージを有していてもよい。
下記において詳細に説明されるように、開示されたLFP材料は、極端な温度環境で改善されたバッテリーの特性を提供することができる。例えば、LFP材料は、低温(低温は、0℃以下であってもよい)で、容量を向上させることができた。さらに、当該LFP材料は、改善されたインピーダンス、コールドクランクにおける向上された電力、より高いレート容量維持、及び、向上された電荷移動抵抗を提供する。
上記のサマリーは、詳細な説明でさらに記述される概念の精選を紹介するために、簡略化された形で提供されることが理解されよう。それは、クレームされた主題の要点又は重要な特徴を特定するものではなく、その範囲は、詳細な説明に続くクレームによって独自に定義される。さらにまた、クレームされた主題は、本開示のいかなる部分又は上記で記載された、いかなる不利を解決する実施例に、限定されていない。
図1Aは、純粋なスフェニシダイトのSEMイメージを示す。 図1Bは、純粋なスフェニシダイトのSEMイメージを示す。 図2Aは、溶媒系システムを用いて生産されるLFP活物質の一次粒子のSEMイメージを示す。 図2Bは、水系システムを用いて生産されるLFP活物質の一次粒子のSEMイメージを示す。 図3Aは、溶媒系システムを用いているLFP活物質のSEMイメージを示す。 図3Bは、水系システムを用いているLFP活物質のSEMイメージを示す。 図4は、スフェニシダイトを合成する方法の一例を示す。 図5は、スフェニシダイトのTGAカーブを示す。 図6は、純粋なスフェニシダイトのXRDパターンを示す。 図7は、スフェニシダイトからLFPを合成する方法の一例を示す。 図8は、LFPのXRDパターンを示す。 図9は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの初期充電容量を示す。 図10は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの初期放電容量を示す。 図11は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの初期充電容量損失のパーセンテージを示す。 図12は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの絶対容量損失を示す。 図13は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの交流抵抗インピーダンスを示す。 図14は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの直流抵抗インピーダンスを示す。 図15は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの3日エージング後の容量保持を示す。 図16は、形成の後電極の厚さを示す。 図17は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの23℃及び1s及び20s直流抵抗におけるハイブリッドパルスパワー特性(HPPC)データを示す。 図18は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの23℃及び10s直流抵抗におけるハイブリッドパルスパワー特性(HPPC)データを示す。 図19は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの-20℃におけるハイブリッドパルスパワー特性(HPPC)データを示す。 図20は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの-20℃における2層パウチ型電池(Double Layer Pouch(DLP)Cell)内のインピーダンスを示す。 図21は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの、異なる10Cレート放電における電圧プロフィールを示す。 図22は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの正規化レート容量を示す。 図23は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの直流抵抗を示す。 図24は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの-30℃におけるコールドクランクテストの結果の電力を示す。 図25は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの交流インピーダンスを示す。 図26は、電極アセンブリの一例を示す。 図27Aは、巻回電池の一例を示す。 図27Bは、巻回電池の一例を示す。 図28は、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPのXRDを示す。 図29は、LFPの相挙動を示す概略的な相図の一例である。
本開示は、本発明の例示的な実施形態が示される添付の図面を参照して、以下より完全に記述される。ある実施形態は、単に、本質的に例示的であり、いかなる場合も、本発明、本発明の適用又は用途の範囲を制限することを目的とせず、もちろん、変更されてもよい。本発明は、本明細書に含まれる非限定的な定義と用語に関して記述される。これらの定義と用語は、本発明の範囲又は実行に対する制限として機能するようにはなっておらず、例示的な目的及び記述的な目的のためにだけ提示される。プロセス又は構成物が個々のステップの順序で、又は、特定の材料を使用して、記述され、発明の説明が様々に配置される複数のパーツ又はステップを含んでいてもよいように、ステップ又は材料が交換可能であると認められる。
本明細書では、要素が他の要素の「上」にあると記載されるとき、それは、他の要素の直上に、又は、それらの間にある中間要素の直上にあることが理解されよう。これとは対照的に、要素が他の要素の「直上」にあると記載されるとき、それらの間にある中間要素はない。
本明細書では、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又は、区分を記述するために、「第1の」、「第2の」、「第3の」等の言葉が用いられ、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又は、区分は、これらの言葉によって制限されてはならないことが理解されよう。これらの条件は、一の要素、構成要素、領域、層、及び/又は、区分、及び、他の要素、構成要素、領域、層、及び/又は、区分を区別するのに用いられるだけである。このように、以下に記す「第1の要素」、「構成要素」、「領域」、「層」及び/又は「セクション」は、本明細書中の教えを逸脱しない範囲で、第2の(又は他の)要素、構成要素、領域、層、及び/又は、区分と称されうる。
本明細書中の用語は、ある実施形態だけを記述する目的で、制限的なことを目的としない。本明細書では、特に明示しない限り、単数形の「a」、「an」、及び、「the」は複数形を含むこと、「少なくとも1つ」を含むことを意図する。「又は」は、「及び/又は」を意味する。本明細書中の「及び/又は」という言葉は、関連するリストされたアイテムの1以上のすべての組合せを含む。また、その語「備える」及び/又は「備えている」又は「含む」及び/又は「含んでいる」という言葉は、本明細書において用いられる場合、定まった特徴、領域、整数、ステップ、オペレーション、要素、及び/又は、構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、ステップ、オペレーション、要素、構成要素、及び/又は、そのグループの存在又は追加を排除しない。「又はその組合せ」又は「の混合」という語は、前述の要素の少なくとも1つを含む組合せを意味する。
本明細書では、「約」という言葉は、物理的な性質又は結果として生じる特性を変えることなく、値の上下にわずかなさらなる範囲を含む。
本明細書では、単相のスフェニシダイトは、約5重量%未満のいかなる追加の相(例えば、リン酸シデライト、又は、他のリン酸アンモニウム鉄化合物)を有するスフェニシダイトを意味する。図6に関して説明されるように、単相のスフェニシダイトは、XRDを用いて決定されてもよい。
本明細書では、言葉は、特定された特性を有するサンプルの大部分を実質的に含む。
限定されない限り、本明細書中の全ての言葉(専門的で科学的な言葉を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって慣用された同じ意味を有する。さらに、一般的に用いられる辞書で定められるような言葉は、関連した技術及び本開示の文脈における意味と一致している意味を有することが理解されるべきであり、本明細書においてはっきりと定義されない限り、理想とされた、又は、過剰に形式的な意味に解釈されないことが、理解されるべきである。
本開示の側面は、実施例により、及び、上記に挙げた例示的な実施形態を参照して、記述される。1以上の実施形態において実質的に同じである、構成要素、プロセス・ステップ、及び、他の要素は、同等に特定され、最小の繰り返しで記述される。しかし、同等に特定される要素もある程度異なってもよい点に注意される。
本開示は、カソードで用いられるナノサイズのリン酸鉄リチウム(LFP)活物質の一次粒子の合成における主要な及び/又は唯一のリン酸鉄源として、高純度のリン酸アンモニウム鉄、並びに、これらの製法を提供する。図1A及び1Bに図示されるように、スフェニシダイト前駆体として存在しているリン酸アンモニウム鉄は、プレート状粒子を提供する。この物質が、約100nmの第1の粒径及び20m/g以上25m/g以下の範囲の表面積を有するLFP活物質の合成のための前駆体として用いられてもよい。図4は、図5及び6に図示されるような高純度の単相の物質を形成するためのスフェニシダイト前駆体を生産するための方法の一例を提供する。それから、現行のLFP材料より著しく高い電力を示す高い表面積を有するLFP活物質を合成する前駆体物質として、高純度のスフェニシダイトが用いられる(図7に示される方法の一例)。図9~21に図示されるように、バッテリー(図25及び26に図示される例)で用いられるスフェニシダイト前駆体から合成されるLFP活物質は、極端な温度において、改善された特性及び向上された性能を提供する。
上述のように、合成されたスフェニシダイト(スフェニシダイト前駆体とも称する。)は、リチウムイオン二次電池に用いられるカソード物質の合成のための主要な又は唯一のリン酸鉄成分として、化学式NH4Fe2(PO42OH*2H2Oで表されるリン酸アンモニウム鉄化合物である。スフェニシダイトは、アンモニウム、NH4、及び、1/2の水分子が常在する2つの8員のチャンネルを有する特定の構造を有する。スフェニシダイトは、約35重量%以上約30重量%以下の鉄、約15重量%以上約20重量%以下のリン、及び、約4.6重量%以上約5.0重量%以下のアンモニウム(物理的な性質又は結果として生じる特性を変えることなく、約という言葉は値の上下にわずかなさらなる範囲を含む)を含んでいてもよい。LFP合成における唯一のリン酸鉄成分として単相で純粋なスフェニシダイトの使用は、驚くべきことに、改善された電気化学的特性を有する電気化学的電池に到達する、小さい一次粒子のサイズ及び高い表面積LFPカソード物質を有するLFP活物質を提供する。
本開示の1つの面は、LFP合成の前駆体として用いられるスフェニシダイトを準備するための方法を提供する。いくつかの実施例では、高純度のスフェニシダイトは、図1A及び1Bの中のSEMで示すように板状形を有し、約10%未満の全不純物を有していてもよい。10%未満の全不純物を有することにより、材料は、本明細書で開示される改善された特性を提供することができる。不純物は、XRDとTGAから決定される構造不純物を含んでいてもよく、並びに、組成不純物(例えば、NaやSO4不純物)は、ICPによって決定された。例えば、合成された純粋なスフェニシダイトは、自然に生じるスフェニシダイトに含まれるK及びAlを含まなくてもよい。他の実施形態において、スフェニシダイトは、約5%未満の不純物を含んでいてもよい。さらに別の実施形態では、スフェニシダイトは、約2.5%未満の不純物を含んでいてもよい。さらに他の実施例において、XRDは、不純物が最大で2%を超えないことを示す。
いくつかの実施例では、Na及びSO4の不純物に関して、2%未満のそのような不純物があってもよい。例えば、本明細書において開示されるように、合成されるLFP材料において、ICPは、Na及びSO4の不純物が.5%より少ないことを示す。
スフェニシダイトをさらに特徴づけることに関して、SEMは、結果物であるスフェニシダイトが、プレート状の一次粒子が当該プレートの長軸に沿って約100nmであるプレート状の形態を有することを、示す。
本開示の他の側面は、合成されたスフェニシダイトを用いたLFPを準備するための方法を提供する。一の実施形態は、溶媒系システムを利用する。他の実施形態は、水系システムを利用する。溶媒系システムは、3D構造を含む粒子を提供することができる。いくつかの実施例では、3D構造は、球面形を含むが、これに限定されるものではない。他の実施例では、3D構造は、崩壊した球又はドーナツのような形の形態を含んでいてもよい。他の実施例として、水系システムでは、粒子はかなり球形であってもよい。
選ばれる溶媒システムに関わらず、図2A及び2Bに図示されるような約100nmの第1の粒径、及び、図3A及び3Bの中のSEMで例示されるような25m/g以上35m/g以下の範囲の表面積及び5ミクロン以上13ミクロン以下の範囲の第2のd50粒径を有するLFPが産出される。範囲の他の例として、第2のd50粒径は、約8ミクロン以上13ミクロン以下の範囲であってもよい。例えば、二次粒子は、約10ミクロンのd50粒径を有していてもよい。
本明細書において提供されている方法は、純粋なスフェニシダイトを得るために原料を提供するステップ、上述の特性を有する最終的なLFP活物質を生産するために得られた純粋なスフェニシダイトと混合するリチウム源並びに他の反応物を提供するステップ、を含む。
さらに、方法は、混合、フィルタリング、遠心分離、エージング、乾燥、粉砕、及び、加熱、又はその組合せのステップの少なくとも1つを含む。
さらにまた、方法は、材料を予め定められたモル比で混合し、特定の方法ステップにおいて、1つのステップで3-8.5の範囲の中となるようにpHを制御し、以降のステップにおいて約2以上4以下の範囲の中となるようにpHを制御するステップを含む。
1つの実施例の方法では、下記の反応式1で示すように、水性硫酸鉄(II)溶液は、スフェニシダイトを生じるために、三価鉄イオンに酸化するかもしれない。当該1つの実施例の方法よって、下記の反応式2で示すように、LFP材料は、スフェニシダイトとリチウム源物質の組合せによって形成される。この例では、リチウム源は、Li2CO3である。リチウムイオン電池のカソードの使用に適しているLFP活物質を形成するために、スフェニシダイトとリチウム源は結合される。反応式2における前駆体物質として以降に使用するため、反応式1において純粋なスフェニシダイトは産出されるツーステップ反応によって、陰極活物質は以下のように形成される。
Figure 0007293167000001
Figure 0007293167000002
鉄源、アンモニウム源、及び、オキシダントを反応させることによって、スフェニシダイトは得ることができる。得られるスフェニシダイトは、単相で高い純度を有する。スフェニシダイトは、20m/g以上25m/g以下の範囲に、表面積を有していてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、プレート状の単相のスフェニシダイト前駆体は、約23m/gの表面積を有していてもよい。
いくつかの実施例では、スフェニシダイトを作るためのしっかりしたソース合成物は、第1鉄塩であってもよい。第1鉄塩は、水和されていてもよく、無水であってもよい。第1鉄塩(鉄(II)塩)は、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、酸化鉄(II)、これらの水和物、又はその混合から選ばれてもよい。ある実施例では、鉄源として、硫酸鉄(II)七水和物、FeSO4*7H2Oが用いられてもよい。
いくつかの実施例では、スフェニシダイトを作るためのリン酸塩源は、H3PO4、P2O5、NH4H2PO4、(NH4)2HPO4、(NH4)3PO4、NaH2PO4、Na2HPO4、Na3PO4又はそれらの混合物から選ばれてもよい。ある実施例では、(NH4)2HPO4とH3PO4の混合が、用いられてもよい。他の実施例では、(NH4)3PO4が、用いられてもよい。
いくつかの実施例では、アンモニウム源は、NH4H2PO4、(NH4)2HPO4、(NH4)3PO4、NH4OH又はそれらの混合物から選ばれてもよい。ある実施例では、NH4OHが用いられてもよい。
いくつかの実施例では、酸化剤が含まれてもよい。酸化剤は、H2O2、Na2O、NaClO3又はそれらの混合物から選ばれてもよい。酸化剤の非限定的な例は、過酸化水素(H2O2)を含む。
図4を参照して、高純度なスフェニシダイトを合成する方法の一例400は、概説される。例えば、当該方法は、スフェニシダイトをつくるために反応式1において鉄イオン(Fe2+)を鉄イオン(Fe3+)に酸化させる、反応式1の反応物を含んでもよい。ある実施例では、方法400は、原料の混合、副産物のフィルタリング、結晶化のためのスラリーの加熱、最終的なフィルタリング、熱い溶媒(例えば水)による洗浄を含む反応式1のための材料処理を含んでいてもよい。
402において、方法は、原料の混合を含んでいてもよい。例えば、鉄源、リン酸塩源、アンモニウム源、及び、酸化剤が混合される。原料は、特定のモル比で混合されてもよい。例えば、NH4:PO4のモル比は、約1.8以上約3.5以下の間、又は、約2.0以上約3.1以下であってもよい。ある実施例では、固体原料は、原料を混ぜる前に、脱イオン水に溶解されてもよい。他の実施例では、原料は、特定の順序で混ぜ合わされてもよい。反応式1で概説されるように、原料の混合の1つの例は、FeSO4*7H2O、(NH4)PO4、H2O2、PO4、及び、NH4OHの混合を含む。原料を備える混合は、約3以上約8.5以下のpHを有していてもよい。混合物は、ステップ404まで進む前に、しばらく攪拌されてもよい。
404で、方法は、副産物のフィルタリングを含んでいてもよい。ある実施例では、402からの混合は、副産物を分離するために遠心分離されてもよい。他の実施例では、402からの混合は、副産物を分離するためにフィルタプレスされてもよい。副産物のフィルタリングは、完全に副産物を分離するために、複数回実行されてもよい。例えば、溶液は3回、遠心分離機でフィルタリングされる。
406で、方法は、404のフィルタリングにおいて、得られた固体のリンスを含んでいてもよい。例えば、固体は、熱い脱イオン水でリンスされてもよい。ある実施例では、固体は複数回、お湯でリンスされてもよい。他の実施例では、固体はしばらくの間連続的にリンスされてもよい。
408で、方法は、406においてリンスされた固体の再分散を含んでいてもよい。例えば、固体(材料ケーキとも称する。)は、酸を備える脱イオン水の中で、再分散されてもよい。脱イオン水に再分散された固体の溶液は、pHを約1.8以上約3.1以下の範囲となるように制御されてもよい。
410で、方法は、408において再分散した固溶体の加熱を含んでいてもよい。いくつかの実施例では、溶液は、選ばれた温度範囲(制限されないが、例えば85℃以上95℃以下の温度がある時間で用いられてもよい。)で加熱されてもよい。ある実施例では、全溶液は熱されてもよい。
412で、方法は、410において加熱された溶液のフィルタリングを含んでいてもよい。ある実施例では、溶液は、フィルタプレスを用いてフィルタリングされてもよい。他の実施例では、溶液は、フラスコフィルタリングを用いてフィルタリングされてもよい。
414で、方法は、412において回収された固体の熱い脱イオン水によるリンスを含んでいてもよい。ある実施例では、リンスは、ある時間において複数回されてもよい。他の実施例では、リンスは、ある時間にわたって、連続的にされてもよい。
416で、方法は、414においてリンスされた固体の乾燥を含んでいてもよい。固体は、最終製品で要求されない、存在するどんな揮発性の合成物でも除去する温度で乾燥されてもよい。
418で、方法は、スフェニシダイトを得ることを含んでいてもよい。上述のように、スフェニシダイトは、リン酸鉄物質を含まず、不純物が10%未満である高純度のスフェニシダイトを有していてもよい。例えば、最終製品に残される全不純物は10%未満であってもよく、そのような材料は、実質的に不純物を含まないと解釈され得る。1つの実施例において、不純物の濃度は、ICPで測定されてもよい。他の実施例において、スフェニシダイトの不純物の濃度は、5%未満であってもよい。さらに他の実施例では、不純物の濃度は、2.5%未満であってもよい。そして、当該方法は、終了する。
上述のように、結晶質スフェニシダイト物質(本明細書において、リン酸アンモニウム鉄物質とも称される。)が形成される。1つの非限定的な実施例では、結晶質スフェニシダイト物質は、約25重量%以上約30重量%以下の鉄、約15%重量以上約20重量%以下のリン、及び、約4.6重量%以上約5.0重量%以下のアンモニウムを含んでもよく、鉄に対するリンのモル比は、約1以上約1.25以下である。さらに、リン酸アンモニウム鉄は、不純物を実質的に含まない(XRDは、2%を超える不純物ピークを含まない。)。いくつかの実施例では、結晶質スフェニシダイト物質は、単相のものであってもよい。さらに、いくつかの実施例では、結晶質スフェニシダイト物質は、20m/g以上25m/g以下の範囲の表面積を有していてもよい。
それぞれ図5及び6に図示されるTGAやXRDで、高純度のスフェニシダイトは、さらに測定されてもよい。スフェニシダイト以外の形態のリン酸鉄物質に相当するXRD又はTGAにおいて、高純度のスフェニシダイト産物は、いかなるピークを実質的に有さないことから測定されてもよい。
図5において、スフェニシダイトのTGAカーブ500が提供される。TGAカーブ502は、純粋なスフェニシダイトの分解を示す特定の形を有する。特定の温度において得られる派生的なTGAカーブは3つのピーク504、506、及び、508を示す。このように、合成されるスフェニシダイト(例えば、方法400を用いて)の純度を確かめるのに、TGAカーブは用いられてもよい。
図6において、スフェニシダイトのXRDパターン600が提供される。XRDカーブ602は、特徴的な2Θピークを示す。このように、XRDカーブは、スフェニシダイトの相と純度を確認するのに用いられてもよい。本開示の以下で概説されるように、単相で高純度のスフェニシダイトは最終的なLFP製品を生産するために要求される。
バッテリーのカソードとして用いられるLFP活物質は、リチウム源と高純度のスフェニシダイト(例えば、方法400によって上述のように合成される。)とを反応させることによって、得ることができる。スフェニシダイトは、LFP活物質の合成における主要な又は唯一のリン酸鉄源であってもよい。合成は、ドーパントと炭素源を更に含んでいてもよい。
ある実施態様において、高純度のスフェニシダイトは、主要な又は唯一のリン酸鉄源であってもよい。
いくつかの実施例では、リチウム源は、Li2CO3、Li2O、LiOH、LiF、LiI又はそれらの混合物から選ばれてもよい。ある実施例では、リチウム源は、Li2CO3であってもよい。
いくつかの実施例では、ドーパント(M)はV、Nb、Ti、Al、Mn、Co、Ni、Mg、Zr、その酸化物又はそれらの混合物から選ばれてもよい。ドーパントは、総計の10mol%まで加えられてもよい。ある実施例では、ドーパントは5mol%より少ない量で存在してもよい。
いくつかの実施例では、炭素源は、PVB、クエン酸、砂糖、PVA、グリセロール又はそれらの混合物から選ばれてもよい。
図7を参照して、スフェニシダイトからLFPを合成する方法の一例700が概説される。最終的なLFP材料は、混合、粉砕、及び、N2存在下の温度プログラム反応(TPR)を用いる化学還元によって、リチウム源とスフェニシダイトを結合することによって形成される。それから、結果物であるLFP活物質は、電気化学的電池のカソードで用いることができる。
702において、方法は、スラリーを形成するためにスフェニシダイト、リチウム源、ドーパント、炭素源、及び、溶媒の混合を含んでいてもよい。ある実施例では、溶媒は、アルコールを含んでいてもよい。他の実施例では、溶媒は、水を含んでいてもよい。このように、方法は、アルコールスラリー、又は、水スラリーを含んでいてもよい。ドーパント及び炭素源は、溶媒選択に基づいて異なっていてもよい。いくつかの実施例では、複数の炭素源が含まれてもよい。
反応式2の1つの特定の実施例では、IPAスラリーにおいて、リチウム源及びスフェニシダイトは、ドーパント及び炭素源と混ぜ合わされてもよい。それから、スラリーは粉砕されてもよい。
704において、方法は、702の混合物の粉砕を含んでいてもよい。方法は、最小限の時間における粉砕を含んでいてもよい。
706において、方法は、704の粉砕された混合物の乾燥を含んでいてもよい。混合物は、産業に知られている様々な方法を用いて乾燥されてもよい。
708において、方法は、706の乾燥材料の燃焼を含んでいてもよい。温度プログラム反応(TPR)によって、材料をLiFePO4(LFP)に変えるために、材料は燃焼されてもよい。TPRは、不活性雰囲気下(例えば、N2下)において実行されてもよい。例えば、乾燥された粉体は、チューブ炉におけるN2ガス流下のTPRによってLiFePO4に変化する。TPRプロフィールは、室温から徐々に上昇する加熱を含んでいてもよい。さらに、TPRは、特定の温度となるようにプログラムされてもよい。
710で、方法は、リン酸鉄リチウム(LFP)を得てもよい。図8に示されるXRDパターンで例示されるように、結果物であるLFP活物質には結晶構造がある。これに加えて、図2A及び2Bに示すように、一次粒子のサイズは20nm以上80nm以下の間にあってもよく、図3A及び3Bに示すように、最終的なLFP活物質の25m/g以上35m/g以下の範囲の高い表面積に至る。図2A及び2Bに図示されるように、アルコールスラリー又は水スラリーの使用は、LFPで同程度の第1の粒径に到達する。本明細書では、同程度のサイズ(例えば、表面積及び/又はボリューム)は、お互いの5%以内であってもよい。LFPの二次粒子は、溶媒スラリーに基づいて異なる。アルコールスラリーにおける二次粒子の形は図3Aに示され、水スラリーにおける二次粒子の形は図3Bに示される。水スラリーにおける二次粒子の形がより正確である球を示す一方、アルコールスラリーにおける二次粒子の形は様々な形を有する。
図8に、LFPのXRDパターン800を示す。XRDカーブ802は、結果物であるLFPの純度を測定するのに用いられてもよい。XRDカーブ802は、特徴的な2Θピークを示し、純粋な結晶質のLFPを示す。このように、XRDカーブは、LFPの相と純度を確認するのに用いられてもよい。本開示で概説されるように、最終的な結晶質のLFP製品を製造するために高純度のスフェニシダイトが要求され、最終的な結晶質のLFP製品は、低温におけるバッテリー性能を向上させる。例えば、LFP製品は、0℃以下におけるバッテリー性能を向上させることができる。他の実施例では、LFP製品は、-20℃から-30℃までの低温における、バッテリー性能を向上させることができる。
結果物であるLFP活物質は、非水電気化学的電池でテストされてもよい。LFP活物質は、LFP電極のリチウム充電容量よりはるかに大きい全リチウム含有量を有するリチウム源(リチウム箔等)に対する陽極として用いられる。この電気化学的電池構築は、リチウムイオン電池の当業者によって、しばしば、リチウム半電池と呼ばれる。そのような電池では、LFP活物質は電極に調製され、任意に伝導性の添加物(例えばカーボンと高分子バインダー)を用いる。LFP活物質電極は、任意の微小孔構造ポリマー・セパレーターによって、リチウム金属対電極から切り離される。それから、電池に非水リチウム導電液体電解質が充填される。電極の充電レート及び放電レートは、十分に速く、LFP電極物質の電気化学的性質はテストされてもよいということである。
このように、LFP活物質は、カソード又はアノードの構成要素として電気化学的電池において任意に用いられ、カソードが典型的である。ある電気化学的電池は、LFP活物質含有電極と対電極とを含んでいる。対電極は、アノード系物質を含む。いくつかの実施例では、アノード系物質は、シリコン、黒鉛カーボン、シリコン・カーボン複合物、スズ、Ge、Sb、AI、Bi、As、Li金属、リチウム合金、金属合金、遷移金属酸化物、窒化物材、硫化物材とその組合せを任意に含む。合金は、1以上のMg、Fe、Co、Ni、Ti、MoとWを任意に含む。
アノード系物質として金属合金の例示的な実施例は、シリコン合金を含む。シリコン合金は、任意に、シリコンと、Ge、Be、Ag、AI、Au、Cd、Ga、In、Sb、Sn、Zn又はその組合せと、の合金である。合金金属とシリコンとの比は、シリコンに基づいて、任意に5重量%対2000重量%、任意に5重量%対500重量%、任意に20重量%対60重量%である。
いくつかの実施例では、アノード系物質は、リチウム合金を含む。リチウム合金は、リチウムと合金になるどんな金属又は合金でも任意に含み、例えば、Al、Si、Sn、Ag、Bi、Mg、Zn、In、Ge、Pb、Pd、Pt、Sb、Ti、スズ合金、及び、シリコン合金を含む。
合金及び合金生産の方法の更なる例は、米国特許第6,235,427に記載されており、ここにすべての目的のために参照によって取り込まれる。いくつかの実施例では、アノード系物質は、シリコン;天然黒鉛、グラフェン、人工黒鉛、発泡黒鉛、炭素繊維、硬質カーボン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、活性炭等のカーボン材及び黒鉛カーボン材;金属又は金属化合物とカーボン又は黒鉛材の複合材料(金属はリチウムとシリコンを任意に含む);並びに、リチウム含有窒化物である、又は、これらを含む。このように、アノード系物質(本明細書において、陰極とも称する。)は、非黒鉛化カーボン、人工黒鉛、天然黒鉛、シリコン又はシリコン酸化物と炭素質物質との組合せを含んでいてもよい。


任意で、電極系物質は、シリコン、リチウム又は金属が存在しない黒鉛のみではない。いくつかの実施例では、アノード系物質は、シリコンと、カーボン・コーティング及び/又は表面へのコーティングの粘着力を安定させる熱処理を含む、又は、含まない黒鉛カーボンと、の複合材料である。いくつかの実施例では、アノード系物質は、コーティング(例えば、カーボン層)を含む。
アノード系物質又はLFP活物質は、導電基板と関係していてもよく、又は、関係していなくてもよい。基板と関係しているとき、基板は、任意に、銅、ステンレス鋼、チタン、又は、カーボン紙/フィルム、非穿孔した金属箔、アルミホイル、ニッケル及びアルミニウムを含む外装材、銅及びアルミニウムを含む外装材、ニッケルメッキの鋼、ニッケルメッキの銅、ニッケルメッキのアルミニウム、金、銀、その他のいかなる適当な導電性で不透過性の材料、又は、これらのいかなる適当な組合せを含む、いかなる適当な導電性であり不透過性又は実質的に不透過性な材料から形成される。いくつかの実施例では、基板は、1以上の適当な金属、又は、合金、固溶体、メッキ金属等の金属の組合せから形成されてもよい。アノード系物質又はLFP活物質は、任意に、基板と関係していない。
いくつかの実施例では、本発明に係るLFP活物質は、二次電池の電極において用いられてもよい。電極は、スラリーを準備するために溶媒の中にLFP活物質とバインダーとを(任意に、溶媒の1-10重量%で)分散させ、集電装置に結果物であるスラリーを塗布した後、乾燥させ、プレスすることによって、製作されてもよい。例示的なバインダーは、NMP又は水ポリオレフィン・ラテックス懸濁液中のPVDFバインダー溶液を含む。電極の準備で用いられる溶媒の例は、炭酸塩系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、又は、非プロトン性溶媒を含んでもよく、これに限定されない。また、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル・ピロリドン(NMP)、及び、エチレングリコールのような特性有機溶剤、及び、蒸留水が用いられてもよい。これらの溶媒は、当該技術分野において知られている。
本明細書において説明される実施形態を付随するアプリケーションによって、LFP活物質からなる電極を用いる電気化学的電池も、提供される。電気化学的電池は、正と負の電極物質と液体、ジェル、又は、固体ポリマー電解質との間で多孔質電気絶縁セパレーターを用いてもよい。電気化学的電池は、低い電池インピーダンスを提供するために当業者には有名な方法によって開発された電極製剤、物理的デザイン、及び、組み立てを有することができ、これにより、LFP活物質の強力な容量を利用できる。
本明細書に一般的に説明されるLFP活物質は、約5重量%未満又は約3重量%未満のいかなる追加の相であって、イオンを実質的に保持しないが、追加の電気伝導度を提供することができる相を含む。そのような追加の相は、例えば、カーボン、金属、又は、金属リン化物、炭化金属、金属窒化物等の金属間化合物相、又は、金属カーバイド窒化物又は金属カーバイド・リン化物等の混合金属間化合物を含む。電極物質は、2.1%以上2.5%以下の範囲の量のカーボンを含んでいてもよい。いくつかの実施例では、LFPの一次粒子及び二次粒子は、約2.3%のカーボン・パーセンテージを有していてもよい。
ある実施形態において、貯蔵電極として、LFP活物質は、一般的に、標準的な方法によって、2,3重量%の高分子バインダー、及び、約10重量%未満のカーボン等の伝導性添加物の追加を含んで、電極に調製される。少なくともそういった実施形態において、電極は、金属箔(例えば、基板)の一方又は両方の面の上へコーティングされており、約30マイクロメートルと約200マイクロメートルとの間のコーティング厚さで、プレスされてもよい。そのような電極が、蓄電池の陽極又は陰極として用いられてもよい。これらのパフォーマンスは、例えば、コイン-電池、又は、いわゆるスウェージロック(Swagelok)電池型の研究用電池を用いて評価され、電極の一の層は、耐電極(概してナノスケール材料がリチウム保管資材であるリチウム金属)に対して、ガルバノスタティック(galvanostatic):定電流、若しくは、ポテンショスタティック(potentiostatic):定電圧テスト又は当該2つの組合せを用いて、テストされる。ガルバノスタティック条件において、電流レートは、「Cレート(ここで、レートはC/hである。)」と称され、及び、nは、電池の選ばれた上限電圧と下限電圧との間の実質的に完全な充電又は放電のために必要とされる時間数である。
電気化学的電池は、電解質を含む。電解質は、固体電解質であっても、流体電解質であってもよい。実例として、電解質は、リチウム塩及び非水有機溶剤を含む。リチウム塩は、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiN(SO2C2F5)2、Li(CF3SO2)2N、LiFSI、LiTFSI、LiN(SO3C2F5)2、LiC4F9SO3、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiCl、LiI、又は、LiB(C2O4)2(リチウム・ビス(オキサラト)ホウ酸塩;LiBOB)であってもよい。リチウム塩は、約0.1M以上約2.0M以下の濃度で存在してもよい。リチウム塩が上記の濃度範囲で含まれる場合、電解質は、最適電解質伝導率及び粘性に優れた性能及びリチウムイオン移動度を有する。
このように、先に述べたように、いくつかの実施例では、方法は、混合液を作成するために、鉄(II)塩、リン酸塩源、アンモニウム源、及び、酸化剤の水溶液への導入を含んで提供される。混合液は、固体副産物を回収するためにフィルタリングされ、固体副産物は水溶液に再分散されてもよい。水溶液は、加熱されてもよく、次いで、固体を回収するためにフィルタリングされてもよい。化学式NH4Fe2(PO4)2OH*2H2Oの高純度のスフェニシダイトを得るために、固体は乾燥されてもよい。高純度のスフェニシダイトは、単相のものであってもよい。
いくつかの実施例では、鉄(II)塩は、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、これらの水和物、又はその混合から選ばれてもよい。さらに、いくつかの実施例では、リン酸塩源は、H3PO4、P2O5、NH4H2PO4、(NH4)2HPO4、(NH4)3PO4、NaH2PO4、Na2HPO4、Na3PO4、又はそれらの混合物から選ばれてもよい。さらに、いくつかの実施例では、アンモニウム源は、NH4H2PO4、(NH4)2HPO4、(NH4)3PO4、NH4OH、又はそれらの混合物から選ばれてもよい。酸化剤も、H2O2、Na2O、NaClO3、又はそれらの混合物から選ばれてもよい。
他の実施例として、方法は、実質的に、オリビン結晶相、20nm以上80nm以下の範囲の一次粒子、5μm以上13μm以下の範囲のd50、25m/g以上35m/g以下の表面積を有する二次粒子、約2.3%のカーボン・パーセンテージを備えるリン酸鉄リチウムを得るために、得られた高純度のスフェニシダイト、リチウム源、ドーパントと炭素源の混合、スラリーを形成するための溶媒の添加、スラリーの粉砕、粉砕されたスラリーの乾燥、並びに、乾燥及び粉砕されたスラリーのフィルタリングを更に含んでもよい。リン酸鉄リチウムは、実質的に、イオンを実質的には保存しないいかなる追加の相が5重量%未満であるオリビン結晶相であってもよい。リン酸鉄リチウムは、現行のリン酸リチウム物質に比べて、低温におけるバッテリー性能を向上させることができる。例えば、現行のリン酸リチウム物質は、化学式LiFePO4によって定められる比率で要素が存在する、化学量論リン酸鉄リチウム材であってもよい
いくつかの実施例では、粉砕によって、約20nm以上約80nm以下の一次粒子が得られる。当該方法は、水及び/又はアルコール官能基を含む合成物である溶媒を含んでいてもよいことが理解されるべきである。
ある実施例では、リン酸鉄リチウム(LFP)は、結晶質の一次粒子及び二次粒子(一次粒子は、プレート状の単相のリン酸アンモニウム鉄スフェニシダイト前駆体とリチウム源から形成される)を備えて、提供される。LFP(スフェニシダイトから派生したLFPとも称する。)は、スフェニシダイト前駆体から形成されてもよく、特定のLFPの相挙動を示す。従来のLFPが類似した特徴(例えば、第1の粒径、比表面積又は類似したXRDピーク幅)有する場合でも、スフェニシダイトから派生したLFPは、従来のLFPより異なる相挙動を示す。
例えば、図29に図示されるように、当該LFPの相図の一例は、類似した物理的な性質(粒径や比表面積)を有する従来のLFP(例えば、類似した物理的な性質を有するが、純粋なリン酸アンモニウム鉄スフェニシダイト前駆体を有さないLFP)に比べて、当該LFPの拡張固溶体範囲を示す。ある実施例では、類似した特徴は、お互いの5%以内の同程度のサイズ及び/又はお互いの5-10%の以内の表面積であってもよい。LFPの相挙動は、純粋なリン酸アンモニウム鉄スフェニシダイト前駆体の利用によると考えられる、拡張固溶体範囲を含んでいてもよい。例えば、リチウムイオン電池で用いられる場合、LFPの相挙動(LFPの拡張固溶体範囲を含む)は、改善されたバッテリーの特性につながる可能性がある。例えば、LFPは、低温等の改善された温度特性を示し、容量を向上させた。さらに、2相フィールドは、同程度の粒径を有する従来のLFP材料と比べて、同じ温度において、LFPについてのLi濃度のより少ない範囲にわたって、生じることができる。これは、2相フィールドが、粒径を減少させることによって減少し、同じ粒径の場合、同じ挙動をするという従来の考え方と反対である。当該LFPは、ある温度範囲にわたって、同程度のサイズの従来のLFPに比べて、拡張固溶体範囲を示すことができる。
例えば、図29の2900と2904は、LFP2902の、従来のLFP2906に比べた、10Cの放電レート(1時間の1/10においてバッテリー装置の全容量を放電する電流密度)における放電容量カーブと電圧との関係(これは、LFPの拡張固溶体範囲を例示する。)を示す。LFPと従来のLFPは、類似した物理的な性質(例えば粒径及び/又は比表面積)を有する。類似した特徴は、お互いの5%以内の同程度のサイズ及び/又はお互いの5-10%以内の表面積であってもよい。2本の放電カーブの形は、従来のLFP2906と比較して、LFP材料2902が、高いレートアプリケーションのための改善されたバッテリー材料を提供することを示す。放電の最後の25%における放電カーブの形状は、電圧が減少し始める、明らかな違いを示す。LFP2902のカーブは、ちょうど3Vより上において生じる、よりシャープな、定義された傾きの変化を示す。LFP2902の放電カーブの形状は、活物質粒子内へのリチウムのインターカレートのモードの変化を例示するのかもしれない。より具体的には、放電カーブの平坦な部分によって示される、LFP物質は、2相反応を介してリチウム化され、2つの異なる結晶化の相(すなわち、LFPの相挙動)が存在しているのかもしれない。第1の相は、主にリチウム化された状態を示し、第2の相は、主に脱リチウム化された状態を示すのかもしれない。しかし、いくつかの材料において、1相のリチウム化反応が生じてもよく、それは、より速いリチウムインターカレーション動力学を促進することができる。1相のリチウム化反応に対する2相において生じるリチウム化反応全体のパーセンテージは、活カソード物質の全体的なレート特性を制御することができる。
LFP2902とは対照的に、従来のLFP2906は、明確に異なる放電電圧カーブを示す。従来のLFPを用いたバッテリーの全体的な電圧は、LFP2902に比べてより低い。さらに、特に放電の最後の25%の間、従来のLFP2906の放電カーブは、よりカーブして、連続的に丸い。従来のLFP2906は、2つのほとんど線形傾斜した領域の間で、急激な移行を示さない。従来のLFP2906の特徴は、より高い全体的な正味のインピーダンスを有する材料を示す。従来のLFP2906の2Vにおける放電の終わりにおける短い容量で例示されるように、インピーダンスは、全容量を完全に放電することからバッテリーを制限する。従来のLFP2906の放電カーブの滑らかに傾斜した特質は、LFP2902で見られるような、2相から1相リチウム化反応へのはっきりした移行を例示しない。例えば、放電の様々な状態における、LFP及び従来のLFPの高解像度X線回折は、相挙動及びリチウム化メカニズムにおける違いを示す。図29は、LFP2902(純粋なリン酸アンモニウム鉄スフェニシダイト前駆体から準備される)は、従来のLFP2906に比べて改善されたレート特性を有することを示す。さらに、LFPは、リチウム化のモード、より具体的には、LFPが十分に放電されたときに相変化挙動、を有すると結論付けられ、それは従来のLFPと異なる。このように、LFPはLFPの相挙動を含んでいてもよい。
上述の、LFP2902及び従来のLFP2906の2900及び2904で例示されたように、放電カーブの形状における違いは、LFP2906が従来のLFPに比べてより少ない分極を有することを示す。LFP2902の放電カーブが、2つの傾き領域の間に明らかな分断を示して、挙動がより少ない分極を有することを示すのに対し、従来のLFP2906の放電カーブは、2つの傾きの間に明らかな分断を示さず、挙動が分極によって制御されることを示す。例えば、電気化学的プロセスの分極化は、プロセスの効率を下げるかもしれない。低い分極と、2つの傾き領域の間の明らかな分断は、スフェニシダイトから派生したLFPにおける、より広い固溶体範囲の存在を示す。
ある実施態様において、LFPの相挙動は、拡張固溶体範囲のような特徴を示すかもしれない。例えば、スフェニシダイトから派生したLFPは標準的な材料とは異なる相挙動を示し、拡張された固溶体は同じ温度と粒径で変動するが、これに限定されるものではない。LFPの拡張固溶体範囲は、現行のLFP材料と比較して、同じ温度と粒径において、より大きい場合がある。さらに他の実施例として、リン酸鉄リチウムは、LFP相挙動を示し、LFP相挙動は、非限定的な例として、20nm-80nmの第1の粒径のための45℃において、LixFePO4のxがLiの少ない組成で0.2を超過するとともにLiが豊富な組成で0.8未満である拡張固溶体範囲を含む。さらに他の非限定的な例において、20nm-80nmの第1の粒径のための0℃において、LixFePO4のxがLiの少ない組成で0.1を超過するとともにLiの豊富な組成で0.15未満である拡張固溶体範囲は、LFPのために観察される。
非限定的な例において、LFPの相挙動は、固溶体が生じるリチウム組成物のより広い範囲で、拡張された固溶体を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態において、LFPの相挙動は、固溶体範囲の違いが、低い又は高い充電(又は、Liの全濃度の高い及び低い)状態における固溶体が生じるリチウム組成物のより広い範囲であってもよい。
LFPの相挙動の修正は、現行のリン酸リチウム物質に比べて、様々な温度、例えば低温、における改善されたバッテリー性能、及び、改善された容量を提供することができる。このように、純粋なリン酸アンモニウム鉄スフェニシダイト前駆体の利用は、LFPの相挙動を合成されたリン酸鉄リチウム物質にもたらす前駆体物質を提供することであり、バッテリー・アプリケーションにおける改善された特性を達成できる。具体的には、例えば、変更されたLFPの相挙動は、リン酸鉄リチウムにおける拡張固溶体範囲を達成できる。当該LFPの相挙動は、同程度の比表面積及び粒径を有するとともに類似したX線回折ピーク幅を示す他のLFP材料と比較して、予想外の結果である。これは、少なくとも部分的に、同じBET比表面積(又は、第1の粒径、又は、同じX線ピーク幅を示す)の従来のLFP材料と比較してスフェニシダイトから派生したLFPは異なる相挙動を示すという事実による。
非限定的な例において、低いBET比表面積及びより狭いX線ピーク幅を有するにもかかわらず、スフェニシダイトから派生したLFPを有するバッテリー電池の低温における著しく優れた電力を得ることができる。したがって、この例では、より大きいLFPの第1の微結晶サイズは、LFPの相挙動のために、劣った特性という結果にならない。
さらに、LFPの相挙動及び改善されたパフォーマンス特徴は、微結晶レベルにおける短い拡散距離によらないように見える。また、予想外に、導電性不純物相の量が組成、熱処理温度、及び、燃焼雰囲気に応じて広く変化するため、当該特性は、導電性不純物相の存在によって説明されず、従来は、開示されたLFPの特別な低温挙動に到達することができなかった。
また、オリビンカソード物質はLFPに固有の2相非混和性フィールドを抑制し、そのため、最初の順序の相移行を避けると考えられる。オリビンカソード物質についての発行された科学文献は、LFPに固有の2相非混和性フィールドを抑制すること、並びに、そのために最初の順序の相移行を避けること、及び、その関連した高い機械的ゆがみが、高い電力を得る役割を果たすことを示す。いかなる特定の科学的な解釈に束縛されることなく、いかなる所定の温度においても、異なるLi濃度の非混和性の固相が現れるものを超えるLi濃度の範囲は、欠陥と原子障害を引き起こすことによって減少する場合がある。さらに、純粋なLixFePO4における非混和性フィールドが、0と1との間のLi濃度の組成空間において比較的対称であるため、減少した非混和性の影響は、通常、対応するバッテリー電池の高い及び低い充電状態に対応する、低い及び高いLi濃度において観察され得る。
比較例として、非ドープのナノ粒子LFPにおいて、低い全Li濃度における固溶体の範囲が、34nmのBET比表面積から得られる同等な球状粒径において20%未満であり、42nmの粒径において10%未満であり、100nmの粒径において5%未満であることが分かっている。比較例のLFPとは対照的に、スフェニシダイトから派生した材料の予想外のLFP相挙動は、従来のLFP材料と対照的に同じ温度と粒径で増加した拡張固溶体範囲を有する。
非限定的な例として、スフェニシダイトから派生した材料のLFP相挙動は、同じ粒径の化学量論リン酸鉄リチウムの20%より多い又は少ない、固溶体におけるリチウム量を含んでいてもよい。他の実施例では、相挙動は、同じ粒径の化学量論リン酸鉄リチウムの5%より多い又は少ない、固溶体におけるリチウム量を含む。リン酸鉄リチウムは、リチウム非化学量論、すなわち、拡張固溶体範囲を示し得る。リン酸鉄リチウムの拡張固溶体は、同じであるように、リチウムが脱リチウム化、又は、リチウム化され得る結晶構造を可能にする。このように、LFPのLFP相挙動は、純粋なリン酸アンモニウム鉄スフェニシダイト前駆体を利用して合成されない従来のLFP材料に比べてリチウム化と脱リチウム化のより広い範囲(すなわちリチウム量)にわたって存在し得る均一な固体を示す。LFPのLFP相挙動は、類似した物理的性質を共有する従来のLFPの共有と比べて、固溶体が存在する予想外に広い範囲を示す。
他の実施例として、相挙動は、約45℃の温度においてLixFePO4のxが0.2<x<0.8であり、拡張固溶体範囲が2相フィールドの範囲の外において生じる、2相フィールドを示すかもしれない。
いくつかの実施例では、スフェニシダイトから派生したLFPは、従来のLFPと構造上の違いを1以上含んでいてもよい。これらの構造上の違いは、微妙な形態の違い又は違いを結晶格子局面に含んでいてもよく、それは、高い及び低いリチウム占有における格子歪みにおける違いを生じ得る。このような構造上の違いは、リチウム化(全体的な微結晶/粒の局面と結果として生じるリチウム拡散距離とが同程度であるような)の予想外で劇的な違いを可能にし得る。開示されたLFP材料の機械論的及び予想される構造上の分化は、レート特性の驚くべき劇的な違いを達成し得る。
もう一つの例示的な実施形態として、スフェニシダイトから派生したLFPは、リチウム挿入/抽出のレートの改善をさらに提供する。非限定的な例として、スフェニシダイトから派生した材料のLFP相挙動は、例えば、20Cのレートにおける90%放電容量がC/10と比べて保持される、改善されたリチウム挿入/抽出のレートに達成し得る。LFPの20-80nmの同程度の結晶寸法を有することにもかかわらず、比較の材料は、20Cにおいてたった80%の放電容量を保持できる。
さらに、不純物は、オリビン-リン酸鉄リチウムのM1サイトに存在することができ、M1サイトはオリビン構造のリチウム・サイトである。M1サイトにおける不純物の量を最小にすることは、例えば、開示されたLFPでそうであるように、バッテリー性能を改善し得る。例えば、スフェニシダイトから派生したLFPは、スフェニシダイトを用いて合成されないLFPに比べて、M1サイトにおける非リチウム原子、すなわち不純物、の量を最小にし得る。ある実施例では、M1サイトの不純物は、約5%未満であってもよい。他の実施例では、M1サイトの不純物は、約1%未満であってもよい。
さらに開示をサポートするために、本出願の様々な面は、以下の非限定的な実施例で例示される。当該実施例は、説明目的のものであり、本出願のいかなる実施を制限するものではない。ここで例示される試薬は市販であり、当該技術分野の当業者はそのような試薬がどこで得られるかついて、容易に理解する。
実験.
スフェニシダイトをつくるため、方法が、三価鉄イオン(Fe3+)に酸化される二価鉄イオン(Fe2+)を含む反応式1に従って、スフェニシダイト材料は形成される。結果物であるスフェニシダイトは、表1に挙げられる以下の特性をを有する。
Figure 0007293167000003
様々なスフェニシダイト材料は、ICP-AESによって評価され、表2に挙げられる以下の結果が得られた。
Figure 0007293167000004
ある実施例では、伝導性の添加物は、金属酸化物ドーパント及びカーボン添加物とともにスフェニシダイトに加えられてもよい。混合物は、溶媒(例えば、スラリーを形成するアルコール系溶媒)と混ぜ合わされてもよい。それから、スラリーは粉砕されてもよい。それから、粉砕されたスラリーは乾燥されてもよく、ふるいにかけられてもよい。乾燥された粉体は、材料を最終的なLFP製品に変えるために燃焼されてもよい。
他の実施例では、伝導性の添加物(少なくとも1つのカーボン添加物)は、金属塩ドーパントとともにスフェニシダイトに加えられてもよく、その後、水系溶媒スラリーに混ぜられてもよい。いくつかの実施例では、複数のカーボン添加物が用いられてもよい。それから、スラリーは粉砕されてもよい。それから、粉砕されたスラリーは乾燥されてもよい。それから、乾燥スラリーは、材料を最終的なLFP製品に変えるために燃焼されてもよい。
結果物であるLFP活物質は、0.45-0.49mAhr/cmのロードを形成するために、79%の活物質、10%のカーボン、及び、11%のバインダーを質量比で含むスウェージロック(Swagelok)電極を形成するのに用いられる。スウェージロック(Swagelok)半電池は、C/2~3.8VのCCCVで充電されて、異なるC-レートでCCから2Vまで放電される。異なるC-レートの充放電容量が計測され、レート-容量が算出された。いくつかの実施例では、10Cにおけるレート-容量は、スウェージロック(Swagelok)半電池で130mAh/gより大きい。
Figure 0007293167000005
Figure 0007293167000006
図9~24を参照して、純粋なスフェニシダイトから合成されるLFPを備える電気化学的電池の特性は、現行のLFP材料を備える電気化学的電池と比べて例示される。電気化学的電池は、カソード、アノード、電解質、及び、セパレーターを備える。
本明細書では、電気化学的電池の中のアノード、セパレーター、及び、電解質は、所定のテストと同じであった。
図9を参照して、カソードで用いられるLFP材料の初期充電容量が例示される。リチウムイオン電池のカソードで用いられる現行のLFP材料904と906より、純粋なスフェニシダイトから合成されるLFP902の初期充電容量は改善される。
図10を参照して、カソードで用いられるLFP材料の初期放電容量が例示される。リチウムイオン電池のカソードで用いられる現行のLFP材料1004と1006より、純粋なスフェニシダイトから合成されるLFP1002の初期放電容量は改善される。
図11を参照して、スフェニシダイトから合成されるLFPの初期充電容量のパーセンテージは、現行のLFP材料と比較される。スフェニシダイトから合成されるLFP1102は、現行のLFP1104に類似した、及び、現行のLFP1106よりわずかに低い、初期充電容量のパーセンテージを示す。
図12を参照して、スフェニシダイトから合成されるLFPの絶対容量損失は、現行のLFP材料と比較される。スフェニシダイトから合成されるLFP1202は、現行のLFP材料1204及び1206と比較して、低い絶対容量損失を示す。
図13を参照して、カソードで用いられるLFP材料を有する電池の交流抵抗(ACR)インピーダンスは、例示される。現行のLFP材料1304及び1306と比較して、スフェニシダイトから合成されるLFP1302は、改善されたACRインピーダンスを示す。
図14を参照して、カソードで用いられるLFP材料を有する電池の直流抵抗(DCR)インピーダンスは、例示される。現行のLFP材料1404及び1406と比較して、スフェニシダイトから合成されるLFP1402は、改善されたDCRインピーダンスを示す。
図15を参照して、カソードで用いられるLFP材料の3日エージング後の容量保持が例示される。スフェニシダイトから合成されるLFP1502は、現行のLFP材料1504及び1506と比べて類似した容量保持を示す。
図16を参照して、形成後及びカレンダー後の電極の厚さは例示される。カレンダー後の平均カソード1604及びアノード1608の厚さ、及び、形成後の平均カソード1602及びアノード1606の厚さは、スフェニシダイトから合成されるLFPを備える電極の許容できる膨張を示す値を示す。
図17を参照して、カソードで用いられるLFP材料の、23℃における、1s及び20sのハイブリッドパルスパワー特性(HPPC)DCRインピーダンスが例示される。スフェニシダイトから合成されるLFP1702、及び、現行のLFP材料1704及び1706、の1sのDCR結果は例示され、スフェニシダイトから合成されるLFP1708、及び、現行のLFP材料1710及び1712、の20sDCR結果は例示される。LFP1702及び1708は、1sと20sDCRにおいて、低減されたDCRを示す。
図18を参照して、カソードで用いられるLFP材料の、23℃における、10sのハイブリッドパルスパワー特性(HPPC)DCRインピーダンスが例示される。10sのDCRは、上の図17に図示される1s及び20s結果に類似した結果を示す。スフェニシダイトから合成されるLFP1802は、現行のLFP材料1804及び1806と比較して、低減されたDCRを示す。
図19を参照して、スフェニシダイトから合成されるLFPの、-20℃における、1s及び20sのパルスパワーにおけるハイブリッドパルスパワー特性(HPPC)が例示される。スフェニシダイトから合成されるLFP1902、及び、現行のLFP材料1904及び1906、の1sのDCR結果は例示され、スフェニシダイトから合成されるLFP1908、及び、現行のLFP材料1910及び1912、の20sDCR結果は例示される。LFP1902及び1908は、1s及び20sDCRにおいて、低減されたDCRを示し、低温における50%のSOC(充電状態)において、1sで40%の改善、20sで20%の改善を示す。
このように、開示された電極物質、スフェニシダイトから合成されるLFPは、電気化学的電池構成要素が同じであるが、プレート状の単相のスフェニシダイト前駆体から形成されないコントロール電極物質と比較して、-20℃における直流抵抗パルス放電において少なくとも10%の改善を有する。上述のように、カソード電極物質間における比較を提供するために、テストのために準備された電気化学的電池は、同じ構成要素、例えば、アノード、セパレーター、電解質を含んでいてもよい。
図20を参照して、5C及び30s間の50%のSOC、及び、0.5x電極積載の2層パウチ型電池(DLP)が示される。例示される特定のDLPでは、スフェニシダイトから合成されるLFPは、現行のLFP材料と比べて、平均DCRの45%の改善を示し、50%のSOCにおいて9オーム未満のインピーダンスを提供する。スフェニシダイトから合成されるLFPは、改善された低温特性を示す。
図21を参照して、スフェニシダイトから合成されるLFPの100%放電深さ(DOD)の10C放電の電圧プロファイルが示される。電圧プロフィール2002は、スフェニシダイトから合成されたLFPが、現行のLFP材料2004と比較して、エネルギーにおける改善を示すことを例示する。
図22を参照して、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの様々な放電レートの正規化レート容量が示される。LFP2102は、現行のLFP材料2106及び2104と比較して、増加したレート容量を示す。
図23を参照して、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの-30℃における10sの直流抵抗パルス放電が示される。スフェニシダイトから合成されるLFP2202は、現行のLFP2204と比べてDCRにおける約20%の減少及び40%の電力の向上(2208を参照)、並びに、現行のLFP2206よりも大きな改善を示す。
図24を参照して、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの、-30℃における、秒で計測される時間のコールドクランクテストの結果である電力が示される。スフェニシダイトから合成されるLFP2302は、現行のLFP材料2304及び2306と比較して、秒で計測される時間にわたって、増加した電力を示す。
図25を参照して、現行のLFP材料と比べた、スフェニシダイトから合成されるLFPの交流インピーダンスが示される。スフェニシダイトから合成されるLFP2402は、最も低い電荷移動抵抗を示す。現行のLFP材料2404及び2406は、より高い電荷移動抵抗を示す。
上述の実施形態は、角型及び円筒形の電気化学的電池で用いられてもよい。この文書のために、角型電池は、電池の長さに対して垂直な平面の中で長方形の外形を有する電池と定義される。当該平面の中で円形の外形を有する丸い(円筒形の)電池から、角型電池は区別されなければならない。
図26を参照して、開示されたLFP電子活物質を含む電極アセンブリが例示される。スフェニシダイトから合成されるLFP活物質は、カソード又はアノードとして存在してもよい。スタック可能な電池構成において、複数のカソードとアノードは、平行な交互の層として配置されてもよい。図25に図示される例に、スタック可能な電池電極アセンブリ2500が示される。電極アセンブリ2500は、7つのカソード2502a-2502gと6つのアノード2504a-2504fを含むことが示される。ある実施例では、カソードは、上述のように、スフェニシダイトから合成されるLFPを備えていてもよい。他の実施例では、アノードは、スフェニシダイトから合成されるLFPを備えていてもよい。隣接したカソード及びアノードにおけるイオン・コミュニケーションを提供するとともに、隣接したカソードとアノードは、電気的に絶縁するためにセパレーター・シート2506によって離される。各々の電極は、導電基板(例えば金属箔)と、当該導電基板で支えられる1又は2の活物質層を含んでいてもよい。各々の陰活物質層は、1枚の陽活物質層と対にされる。図25に示される例に、外側のカソード2502a及び2502gは、アセンブリ2500の中心に対向する1つの陽活物質だけを含む。当該技術分野の当業者は、多数の電極及び電極の組合せが用いられてもよいことを理解するであろう。導電性タブは、例えば、電極と導電素子における電子コミュニケーションを提供するのに用いられてもよい。いくつかの実施例では、電極アセンブリ2500の各々の電極は、それ自身のタブを有していてもよい。具体的には、アノード2504a-2504fがマイナスタブ2510を有するのに対し、カソード2502a-2502gがプラスタブ2508を有することが、示される。
図27A及び27Bにおいて、2本の電極がゼリーロールの状態に巻回されて、容器内に収納される巻回電池の一例2600が例示される。当該容器は、カソード、アノード、非水系電解質、及び、セパレーターを収納している。
20nm以上80nm以下の範囲及び25m/g以上35m/g以下の範囲の表面積の一次粒子を有する純粋なスフェニシダイトから合成されるLFPは、バッテリーの中の電極活物質として用いられる際に改善された特性を示す。ある実施例では、純粋なスフェニシダイトから合成されるLFPの表面積は、約30m/gであってもよい。LFPは、低減されたDCR、上記のHPPCデータで例示される約50%、コールドクランクにおける約40%の増加した電力、増加されたレート容量維持、及び、低減された電荷移動抵抗を示す。
図28を参照して、XRDは、ピークの半値における全幅によって示されるように、合成されたLFP2802が現行のLFP微結晶サイズ2804及び2806の範囲の中で微結晶サイズを有することを示している回折データを示す。合成されたLFPがリチウムイオン電池で向上するバッテリー性能を示すように、合成されたLFPは変更されたLFPの相挙動を有し得る。例えば、合成されたLFPのLFP相挙動は、約45℃において組成LixFePO4(xはLiの少ない組成で0.2超過であり、Liの豊富な組成で0.8未満である。)を有するとともに一次粒子が20nm以上80nm以下の範囲に粒径を有する拡張固溶体範囲を含んでもよい。さらに他の実施例では、20nm-80nmの第1の粒径のために0℃において組成LixFePO4(xはLiの少ない組成で0.1超過であり、Liの豊富な組成で0.15未満である。)を有する拡張固溶体範囲がLFPにおいて観察されてもよい。このように、20-80nmの第1の粒径(当該粒径は、現行の、化学量論、LFP材料に相当する。)を有するLFPの固溶体範囲は、拡張する。しかし、現行のLFP材料は、例えば低温において、同様な改善されたバッテリー性能を示さず、したがって、スフェニシダイトから派生したLFPに類似した相挙動を示さない。LFPの相挙動は、純粋なリン酸アンモニウム鉄スフェニシダイト前駆体を利用して合成されたLFPに特有であってもよく、それは現行のLFP材料に存在しない。
このように、本開示は、主要な又は唯一のリン酸鉄源として用いられる純粋なスフェニシダイトから合成されたLFP材料に、バッテリー性能を驚くほど改善する特定の特徴を提供する。LFP材料は、プレート状の単相のリン酸アンモニウム鉄前駆体とリチウム源から上述のように合成されて、異なる固相挙動(具体的には、上述の拡張固溶体範囲)を示し得る。
現在の発明の様々な修正は、ここに開示され記述されたそれらに加えて、上記の当該技術分野の当業者にとって明らかである。そのような修正は、添付のクレームの範囲内であることを意図する。
特に明記しない限り、当該技術分野における当業者によって、すべての試薬が入手できると認められる。
明細書に記載された特許、出版物、及び、実施は、発明が関係する当業者のレベルを示す。これらの特許、出版物、及び、実施は、参照することによって、ここに取り込まれ、特に、個別の特許、出版、又は、実施は、参照することによって、個別にここに取り込まれた。
前述の説明は、発明の特定の実施形態の実例となるが、その実施を制限することを意図するものではない。
前述の議論は、実例となるように理解されなければならなくて、いかなる意味においても制限的であると認識されてはいけない。発明が、その好ましい実施形態を参照することによって特に示され、記述される一方、クレームによって定義された発明の思想及び範囲から逸脱することなく、その中において形及び詳細の様々な変更がなされてもよいことは当業者によってよく理解されている。
以下のクレームにおける対応する構造、材料、動作、及び、機能と組み合わされた手段及びステップ要素の均等物は、特にクレームされているように、他のクレームされた要素と組み合わさって機能を実行するいかなる構造、材料、又は、動作を含むことを意図する。
最後に、上記の記事、システム及び方法は、多数のバリエーションと拡張とが同様に考えられる本開示―非限定的な実施形態であることが理解されよう。したがって、本開示は、ここに開示された記事、システムと方法のすべての新しくて非自明の組合せと下位組合せ、並びに、そのすべての均等物を含む。

Claims (22)

  1. 25重量%以上30重量%以下の鉄、
    15重量%から20重量%のリン、
    4.6重量%から5.0重量%のアンモニウムを備え、
    鉄に対するリンのモル比は、以上1.25以下であり、
    結晶質スフェニシダイトは、リン酸アンモニウム鉄であり、板状形態を有し、
    リン酸アンモニウム鉄は、化学式NH4Fe2(PO4)2OH*2H2Oで表される、
    電極活物質の製造に用いられる結晶質スフェニシダイト(spheniscidite)物質。
  2. 前記結晶質スフェニシダイト物質は、単相である、請求項1に記載の結晶質スフェニシダイト物質。
  3. 前記結晶質スフェニシダイトは、20m/g以上25m/g以下の範囲の表面積を有する、請求項1又は2に記載の結晶質スフェニシダイト物質。
  4. (a)混合液を作成するために、鉄(II)塩、リン酸塩源、アンモニウム源、及び、酸化剤を水溶液に導入すること、
    (b)固体副産物を回収するために混合液のフィルタリング、
    (c)水溶液に固体副産物を再分散させること、
    (d)水溶液の加熱、
    (e)固体を回収するために溶液のフィルタリング、
    (f)化学式NH4Fe2(PO4)2OH*2H2Oの高純度のスフェニシダイトを得るために、固体の乾燥、
    (g)得られた高純度のスフェニシダイト、リチウム源、ドーパント、及び、炭素源の混合、
    (h)スラリーを形成するために溶媒を加えること、
    (i)スラリーを粉砕すること、
    (j)粉砕されたスラリーの乾燥、及び、
    (k)リン酸鉄リチウムを得るために、粉砕され乾燥されたスラリーを燃焼すること、
    を更に含み、
    前記リン酸鉄リチウムは、実質的なオリビン結晶相、粒径が20nm以上80nm以下の範囲の一次粒子、d50が5μm以上13μm以下の範囲及び25m/g以上35m/g以下の表面積を有する二次粒子、2.3重量%のカーボンを備える、電極活物質の製造に用いられるリン酸アンモニウム鉄を形成する方法。
  5. 粒径20nm以上80nm以下の前記一次粒子を得るために、スラリーは粉砕される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記溶媒は、水である、請求項4又は5に記載の方法。
  7. 前記溶媒は、アルコール官能基を備える化合物である、請求項4又は5に記載の方法。
  8. 結晶質の一次粒子及び二次粒子を備え、
    前記一次粒子は、少なくとも板状の単相のリン酸アンモニウム鉄スフェニシダイト前駆体とリチウム源との反応の生成物である結晶質である、バッテリーに用いられる電極物質。
  9. 前記一次粒子は、20nm以上80nm以下の範囲に粒径を有する、請求項8に記載の電極物質。
  10. 前記二次粒子は、25m/g以上35m/g以下の表面積を有する、請求項8又は9に記載の電極物質。
  11. 前記一次粒子は、0.8g/mL以上1.4g/mL以下のタップ密度を有する、請求項8乃至10の何れか一項に記載の電極物質。
  12. 前記二次粒子は、10ミクロンのd50粒径を有する、請求項8乃至11の何れか一項に記載の電極物質。
  13. 前記電極物質は、2.1重量%以上2.5重量%以下のカーボンを有する、請求項8乃至12の何れか一項に記載の電極物質。
  14. 前記リチウム源は、Li2CO3を備える請求項8乃至13の何れか一項に記載の電極物質。
  15. 前記板状の単相のリン酸アンモニウム鉄前駆体は、20m/g以上25m/g以下の範囲の表面積を有する、請求項8乃至14の何れか一項に記載の電極物質。
  16. 前記二次粒子は、水系プロセスから形成され、実質的に球形である、請求項8乃至15の何れか一項に記載の電極物質。
  17. 前記二次粒子は、溶媒系プロセスから形成される、請求項8乃至15の何れか一項に記載の電極物質。
  18. リチウムをインターカレートして、放電することができる陰極、
    少なくとも板状形態を有する単相のスフェニシダイト前駆体とリチウム源との反応の生成物である結晶質の一次粒子及び二次粒子を備える電極物質を備える陽極、
    非水系電解質溶液、
    セパレーター、
    上述の陰極、陽極、非水系電解質溶液及びセパレーターを収納している容器、
    を備える、
    電気化学的電池。
  19. 前記電解質は、リチウム塩と少なくとも1つの有機溶剤を更に含む、請求項18に記載の電気化学的電池。
  20. リチウム塩が、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CFSO2)(C4F9SO2)とLiC(CF3SO2)2の1つから選ばれる、請求項18又は19に記載の電気化学的電池。
  21. 陰極は、非黒鉛化カーボン、人工黒鉛天然黒鉛、シリコン又はシリコン酸化物と炭素質物質との組合せ、を備える、請求項18乃至20の何れか一項に記載の電気化学的電池。
  22. 前記電極物質は、2.1重量%以上2.5重量%以下のカーボンを有する、請求項18乃至21の何れか一項に記載の電気化学的電池。
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