特許法第30条第2項適用 令和2年10月23日に、アスザックフーズ株式会社が、アスザックフーズ株式会社 直営店舗「Chef’s Table」(長野県須坂市大字米持293番地72)において、本件出願の発明者が発明した乾燥食品(デミグラスハンバーグ)を販売した。
特許法第30条第2項適用 令和2年10月23日に、アスザックフーズ株式会社が、アスザックフーズ株式会社 直営オンラインショップ「Chef’s Table」(http://shop.asuzacfoods.co.jp/shopdetail/000000000934/)において、本件出願の発明者が発明した乾燥食品(デミグラスハンバーグ)を販売した。
特許法第30条第2項適用 令和2年10月23日に、アスザックフーズ株式会社が、アスザックフーズ株式会社 オンラインショップ楽天店「フリーズドライ乾燥野菜[素材屋さん]」(https://item.rakuten.co.jp/asuzacfoods/demi-hamburg/)において、本件出願の発明者が発明した乾燥食品(デミグラスハンバーグ)を販売した。
ところが、上記特許文献に開示の乾燥食品およびその製造方法には、以下のような課題が存在する。
具体的には、上記特許文献に開示の製造方法に従って製造された乾燥食品は、十分な量の水溶液中に浸漬することで水分を吸収させて摂食可能状態に復元することができるように製造されている。このため、摂食可能状態への復元に際して大量の水溶液を用意する必要があり、準備作業が煩雑であると共に、例えば野外での摂食時や被災地における摂食時のように、使用可能な水分量に制限がある環境下では、復元が困難となるおそれがある。また、上記特許文献に開示の製造方法は、水溶液中に浸漬することで摂食可能状態に復元される単一の食材(肉片等)で構成された食品(ステーキ等)を対象としている。このため、食品としての趣向性が低く、商品価値を向上させるのが困難となっている。
一方、出願人は、復元された状態の食品に含まれているべき必要最低限の量の水分を加えることで摂食可能状態に復元される乾燥食品を試作した。また、出願人は、例えば、「デミグラスハンバーグ」のように2種類の食材(この例では、「ハンバーグ」および「デミグラスソース」の2種類)で構成された趣向性の高い食品に復元される乾燥食品を試作した。この場合、出願人は、凍結乾燥によって乾燥させられたブロック状の食材(以下、「食材ブロック」ともいう)が多孔質体となるように処理することによって食材ブロックの吸水性が向上し、必要最低限の水分を加えることで好適に復元できる状態となることを確認した。
しかしながら、例えば、上記の「デミグラスハンバーグ」では、「デミグラスソース」の食材ブロックが加水によって比較的短時間で摂食可能状態に復元されるものの、「ハンバーグ」の食材ブロックについては、「デミグラスソース」の食材ブロックよりも吸水性が低いことで摂食可能状態に復元するのに要する時間がやや長くなる傾向がある。このため、「ハンバーグ」の食材ブロック、および「デミグラスソース」の食材ブロックの双方に対して1つの容器体内において同時に水分を加えたときには、「ハンバーグ」の食材ブロックが十分に水分を吸収して摂食可能状態に復元されるのに先立ち、「デミグラスソース」の食材ブロックが短時間で水分を吸収して摂食可能状態に復元されると共に、「ハンバーグ」の食材ブロックに吸収されるべき水分が、復元された「デミグラスソース」に混入する事態が生じる。
かかる状態においては、復元された「デミグラスソース」が摂食に適した状態よりも薄味となり、かつ、過剰に流動性が高くなってソースとして好適な「とろみ」が失われてしまう。また、水分を過剰に含んだ「デミグラスソース」は、好適な「とろみ」を失った状態であっても、容器体に注入した水分と比較して「ハンバーグ」の食材ブロックに対する浸透性が低くなる。このため、「ハンバーグ」の食材ブロックに、好適な摂食可能状態に復元可能な十分な量の水分を吸収させるのが一層困難となる。したがって、「ハンバーグ」の食材ブロック、および「デミグラスソース」の食材ブロックが収容されている1つの容器体内に、摂食可能状態における「デミグラスハンバーグ」が含有しているべき量の水分を注入して両食材ブロックに対して同時に水分を吸収させたときには、復元状態が不完全な「ハンバーグ」、および薄味で「とろみ」が失われた「デミグラスソース」からなる「デミグラスハンバーグ」が復元されることとなる。
この場合、例えば、「ハンバーグ」の食材ブロック、および「デミグラスソース」の食材ブロックの一方を、他方が収容されている容器体とは異なる容器体に移し替え、「ハンバーグ」の食材ブロックを収容している容器体内に「ハンバーグ」の復元に必要な量の水分を注入し、かつ「デミグラスソース」の食材ブロックを収容している容器体内に「デミグラスソース」の復元に必要な量の水分を注入することにより、「ハンバーグ」の食材ブロックおよび「デミグラスソース」の食材ブロックに適量の水分をそれぞれ吸収させて、「ハンバーグ」および「デミグラスソース」を好適な摂食可能状態に復元することができる。
しかしながら、そのような復元方法では、例えば、両食材ブロックの一方を、乾燥食品(両食材ブロック)が収容されている容器体内で復元したとしても、他方の食材ブロックについては、収容されていた容器体とは異なる容器体を用意する必要が生じる。このため、復元後の後片付け作業等が煩雑となる。また、一方の食材ブロックの復元が完了した後に他方の食材ブロックを復元することで、同じ容器体で両食材ブロックを復元することができる。しかしながら、水分を注入してから各食材ブロックが摂食可能状態に復元されるには、それぞれ数十秒から数分程度の時間を要するため、そのような復元方法では、両食材ブロックの復元を完了するまでに要する時間が長くなる。したがって、両食材ブロックに対して別々に水分を吸収させる復元方法では、短時間で容易に摂食可能状態に復元できることが求められているこの種の食品としての商品価値が低下してしまう。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、趣向性が高く、かつ短時間で容易に摂食可能状態に復元し得る乾燥食品、およびそのような乾燥食品の製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1記載の乾燥食品は、食材が凍結乾燥させられた食材ブロックと、前記食材ブロックを収容可能に構成された容器体とを備え、前記食材ブロックを収容した状態で前記容器体が密閉されると共に、当該容器体における入出口を開口して当該入出口から当該容器体内に液体を注入して当該食材ブロックに当該液体を吸収させることによって当該食材ブロックを摂食可能状態に復元可能に構成された乾燥食品であって、前記食材ブロックとしての第1ブロックおよび第2ブロックを備え、前記第1ブロックおよび前記第2ブロックは、当該第1ブロックよりも当該第2ブロックの方が前記摂食可能状態において流動生が高くなる前記食材によって当該第2ブロックよりも当該第1ブロックの方が大きな塊となるようにそれぞれ構成されると共に、当該第2ブロックよりも当該第1ブロックの方が前記入出口側に位置するように前記容器体内に収容されている。
また、請求項2記載の乾燥食品は、請求項1記載の乾燥食品において、前記容器体は、前記入出口を開閉可能なファスナーが当該入出口に設けられた袋体で構成されている。
さらに、請求項3記載の乾燥食品は、請求項1または2記載の乾燥食品において、前記容器体は、前記入出口を上方に向けて開口した状態で自立可能に構成されている。
また、請求項4記載の乾燥食品製造方法は、食材が凍結乾燥させられた食材ブロックと、前記食材ブロックを収容可能に構成された容器体とを備え、前記食材ブロックを収容した状態で前記容器体が密閉されると共に、当該容器体における入出口を開口して当該入出口から当該容器体内に液体を注入して当該食材ブロックに当該液体を吸収させることによって当該食材ブロックを摂食可能状態に復元可能な乾燥食品を製造する乾燥食品製造方法であって、前記食材ブロックとしての第1ブロックおよび第2ブロックを備えた前記乾燥食品を製造する際に、前記第1ブロックよりも前記第2ブロックの方が前記摂食可能状態において流動生が高くなる前記食材によって当該第2ブロックよりも当該第1ブロックの方が大きな塊となるように当該第1ブロックおよび当該第2ブロックをそれぞれ形成すると共に、当該第2ブロックよりも当該第1ブロックの方が前記入出口側に位置するように前記容器体内に収容する。
請求項1記載の乾燥食品では、食材が凍結乾燥させられた食材ブロックを収容した状態で容器体が密閉されると共に、容器体における入出口を開口して入出口から容器体内に液体を注入して食材ブロックに液体を吸収させることによって食材ブロックを摂食可能状態に復元可能に構成され、食材ブロックとしての第1ブロックおよび第2ブロックは、第1ブロックよりも第2ブロックの方が摂食可能状態において流動生が高くなる食材によって第2ブロックよりも第1ブロックの方が大きな塊となるようにそれぞれ構成されると共に、第2ブロックよりも第1ブロックの方が入出口側に位置するように容器体内に収容されている。また、請求項4記載の乾燥食品製造方法では、第1ブロックよりも第2ブロックの方が摂食可能状態において流動生が高くなる食材によって第2ブロックよりも第1ブロックの方が大きな塊となるように第1ブロックおよび第2ブロックをそれぞれ形成すると共に、第2ブロックよりも第1ブロックの方が入出口側に位置するように容器体内に収容する。
したがって、請求項1記載の乾燥食品、および請求項4記載の乾燥食品製造方法によれば、摂食可能状態への復元に際して入出口から液体を容器体内に注入したときに、注入された液体が、入出口側に収容されている第1ブロックに対して最初に接するため、第1ブロックに対して好適に吸収させることができる。また、第1ブロックが好適に水分を吸収することで、第1ブロックに吸収されるべき水分(液体)が第2ブロックに吸収されて第2ブロックを復元した食材が薄味となったり、好適な流動生(とろみ)が失われたりする事態が好適に回避される。これにより、両食材ブロックを別個に復元することなく、両食材ブロックが摂食可能状態に復元された2種類の食材からなる趣向性が高い食品を短時間で容易に提供することができる。
請求項2記載の乾燥食品、およびそのような乾燥食品の製造方法によれば、入出口を開閉可能なファスナーが入出口に設けられた袋体で構成した容器体を使用することにより、摂食可能状態への復元に際して入出口から容器体内に注入した液体が両食材ブロックに吸収される以前に容器体から漏出する事態を回避することができるため、注入した液体を両食材ブロックに対して確実に吸収させて両食材ブロックを確実に摂食可能状態に復元することができる。また、摂食可能状態への復元に際して容器体内に高温の液体を注入したときには、ファスナーを閉じて入出口を密閉状態に維持することで、液体、および水分(液体)を吸収している両食材ブロックの温度が急激に低下するのを回避できるため、両食材ブロックに対して一層確実に水分(液体)を吸収させることができる。
請求項3記載の乾燥食品、およびそのような乾燥食品の製造方法によれば、入出口を上方に向けて開口した状態で自立可能に構成された容器体を使用することにより、摂食可能状態への復元に際して容器体を軽く支えているだけで入出口から液体を注入することができるため、復元作業を容易に実施することができる。これにより、容器体への注入作業時に注入すべき液体を容器体の外に零してしまったり、液体を注入した容器体の倒れによって容器体から液体が零れてしまったりする事態を好適に回避できるため、両食材ブロックに対して必要な両の水分(液体)を確実に吸収させることができる。
以下、乾燥食品および乾燥食品製造方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1,2に示す乾燥食品1は、「乾燥食品製造方法」に従って製造された「乾燥食品」の一例である「ハンバーグおよびデミグラスソースを乾燥させた食品」であって、後述する復元方法に従って水分を吸収させることによって摂食可能状態の食品1a(デミグラスハンバーグ:図6参照)に復元可能に構成されている。この乾燥食品1は、第1の食材ブロック11および第2の食材ブロック12と、両食材ブロック11,12を収容する容器体20とを備えて構成されている。
なお、本例の乾燥食品1では、両食材ブロック11,12を収容した状態の容器体20内に「液体」の一例である「お湯(温度上昇させた真水)」を注入することで両食材ブロック11,12に水分を吸収させて摂食可能状態に復元する復元方法を意図して製造されているが、復元に際して使用する「液体」は「お湯」に限定されず、「常温または低温の真水」を使用することもできる。また、「真水に味や着色を施した各種温度の液体」を「液体」として使用することもできる。
第1の食材ブロック11は、「食材が凍結乾燥させられた食材ブロック」としての「第1ブロック」の一例であって、ミンチ状に加工した肉片、具材および調味料等を混練した後に成形して加熱した「ハンバーグ(図6に示す第1の食材11a)」を凍結乾燥させることでブロック状に形成されている。第2の食材ブロック12は、「食材が凍結乾燥させられた食材ブロック」としての「第2ブロック」の一例であって、具材をソースで煮込んだ「デミグラスソース(図6に示す第2の食材12a)」を乾燥用容器に注いだ状態で凍結乾燥させることでブロック状に形成されている。
この場合、本例の乾燥食品1では、第1の食材ブロック11を構成する第1の食材11a(第1の食材ブロック11を摂食可能状態に復元した食材:ハンバーグ)よりも第2の食材ブロック12を構成する第2の食材12a(第2の食材ブロック12を摂食可能状態に復元した食材:デミグラスソース)の方が流動生が高くなる食材の組み合わせで構成されている。また、図1,2に示すように、本例の乾燥食品1では、第1の食材ブロック11が平面視略楕円形の板状に成形されると共に、第2の食材ブロック12が平面視略長方形の板状に成形されている。なお、「第1の食材ブロック」および「第2ブロック」については、両食材ブロック11,12のような平面視略楕円形や平面視略長方形に限定されず、任意の平面視形状とすることができるが、後述するように摂食可能状態への復元に際して水分を好適に吸収させるために、板状に成形するのが好ましい。
容器体20は、「食材ブロックを収容可能に構成された容器体」の一例であって、一例として、ポリエチレン樹脂等の2枚の樹脂シートの間にアルミニウム合金等の金属箔(アルミ箔等)を挟み込んで貼り合わせた複合樹脂シートを袋状に形成した「袋体」で構成されている。この容器体20は、図2に示すように、底部に襠が設けられており、この襠を展開することで第1の食材ブロック11や第2の食材ブロック12などの収容空間が形成されると共に、図1に示すように、底部を下向きにした状態で自立させることができるように構成されている。また、この容器体20は、第1の食材ブロック11や第2の食材ブロック12を収容した状態において上端部を溶着することで密閉用圧着部21が形成されると共に、鋏などの道具を使用せずに開封することができるように、幅方向の両端における密閉用圧着部21の下方に切欠き21aが設けられて密閉用圧着部21を手で切除することができるように構成されている。
さらに、この容器体20は、密閉用圧着部21を切除した状態において開封/密閉することができるように密閉用圧着部21の下方(切欠き21aの形成部位よりも下方)にファスナー22(「入出口を開閉可能なファスナー」の一例)が設けられている。なお、本例の容器体20では、図4に示すように、密閉用圧着部21を切除してファスナー22を開くことで形成される入出口24(開口部)が「入出口」に相当し、この入出口24を上方に向けて開口した状態においても自立させることができるように構成されている。また、図1,4に示すように、この容器体20では、自立状態において正対するようにしてラベル23aが貼付されている。さらに、図2に示すように、ラベル23aが貼付された面の裏面には、容器体20内に収容されている両食材ブロック11,12の原材料、製造年月日、賞味期限および製造者や、両食材ブロック11,12を摂食可能状態に復元する手順等に関する説明事項が記されたラベル23bが貼付されている。
この場合、本例の乾燥食品1では、「デミグラスハンバーグ」の主体である第1の食材11a(ハンバーグ)を凍結乾燥させた第1の食材ブロック11の方が、付属物である第2の食材12a(デミグラスソース)を凍結乾燥させた第2の食材ブロック12よりも大きな塊となっている。したがって、本例の乾燥食品1では、拡げた襠の大きさ(平面視の面積)が第1の食材ブロック11の大きさ(平面視の面積)よりも僅かに大きい容器体20を採用することで、容器体20内に収容した第1の食材ブロック11を平置きする(襠で構成される底面に沿って板状の第1の食材ブロック11を収容する)ことができるよう構成されている。
次に、乾燥食品1の製造方法について、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において例示する各原材料等の重量は、1個の乾燥食品1を製造するのに必要となる重量であり、実際には、同時に複数個分の原材料を調理するため、例示する重量の比率に応じた量の原材料が使用される。
上記の乾燥食品1の製造に際しては、図3に示す乾燥食品製造処理30における各ステップの工程を実行する。具体的には、挽き肉、玉ねぎ、牛乳、パン粉およびスパイス等を混練して約125gの小判形に成形した後に加熱処理することで第1の食材11a(ハンバーグ)を生成する(第1の食材ブロック11用の原材料の調理:ステップ31a)。
次いで、生成した第1の食材11aを乾燥用容器(一例として、浅皿状の食品トレイ)に収容する(ステップ32a)。なお、第1の食材11aが固形物である本例では、このステップ32aの工程において、食品トレイ上に任意の数の第1の食材11aを並べて載置する。続いて、乾燥用容器上の第1の食材11aを、一例として、-25℃まで冷却することで凍結させる(第1の食材11aの予備冷凍:ステップ33a)。次いで、凍結した第1の食材11aを乾燥用容器ごと真空槽内に収容して真空槽内を真空引き(減圧)する(ステップ34a)。この際には、乾燥用容器上の第1の食材11aに含まれる水分が昇華させられる結果、第1の食材11aが乾燥させられる。これにより、第1の食材11aが乾燥した状態の約30gの第1の食材ブロック11が完成する。
また、デミグラスフォンブルン、デミグラスエスパニョール、マッシュルーム、スパイスおよび酒等を加熱しつつ掻き混ぜることで約30gの第2の食材12a(デミグラスソース)を生成する(第2の食材ブロック12用の原材料の調理:ステップ31b)。
次いで、生成した第2の食材12aを乾燥用容器(一例として、浅皿状の食品トレイ)に収容する(ステップ32b)。なお、第2の食材12aが流動体である本例では、このステップ32bの工程において、生成すべき第2の食材ブロック12の大きさおよび形状に応じた収容部を有する容器内に第2の食材12aを注ぎ入れる。続いて、乾燥用容器内の第2の食材12aを、一例として、-18℃まで冷却することで凍結させる(第2の食材12aの予備冷凍:ステップ33b)。次いで、凍結した第2の食材12aを乾燥用容器ごと真空槽内に収容して真空槽内を真空引き(減圧)する(ステップ34b)。この際には、乾燥用容器内の第2の食材12aに含まれる水分が昇華させられる結果、第2の食材12aが乾燥させられる。これにより、第2の食材12aが乾燥した状態の約10gの第2の食材ブロック12が完成する。
なお、上記の第1の食材ブロック11の生成処理(ステップ31a~34aの工程)、および第2の食材ブロック12の生成処理(ステップ31b~34bの工程)については、並行して実施する方法に限定されず、別個に実施することもできる。
次いで、生成した第1の食材ブロック11および第2の食材ブロック12を容器体20内に収容する。この際には、密閉用圧着部21が溶着されていない状態の容器体20のファスナー22を開いて入出口24を開口した状態において、最初に、第2の食材ブロック12を容器体20内に収容し(容器体20の底部に平置きする:ステップ35)、収容した第2の食材ブロック12の上に載置するようにして第1の食材ブロック11を容器体20内に収容する(第2の食材ブロック12の上に平置きする:ステップ36)。これにより、第2の食材ブロック12よりも第1の食材ブロック11の方が入出口24側に位置するようにして容器体20内に両食材ブロック11,12が収容される。
続いて、必要に応じて、両食材ブロック11,12の変質を防止するための脱酸素剤(酸化防止剤)などを第1の食材ブロック11の上に収容した後に、容器体20を大きく変形させることのないようにファスナー22を閉じ、密閉用圧着部21を溶着することで収容空間を密閉する(ステップ37)。これにより、図1,2に示すように、両食材ブロック11,12(および脱酸素剤等)と共に僅かな空気が収容空間内に収容された状態で乾燥食品1が完成する。
この場合、本例の乾燥食品1では、前述したように、襠の大きさが第1の食材ブロック11よりも僅かに大きい容器体20を採用している。このため、乾燥食品1の製造に際して両食材ブロック11,12をスムースに容器体20内へ収容することが可能となっている。また、図1,2に示すように、容器体20内に両食材ブロック11,12が収容された状態においては、両食材ブロック11,12と容器体20の内側面との間に僅かな隙間が生じた状態となる。これにより、完成した乾燥食品1の保管や搬送に際して容器体20の外表面に若干の外力が加わったときに、容器体20が変形するものの、収容されている両食材ブロック11,12に対して外力が直接作用し難くなっており、両食材ブロック11,12の破損(割れや欠け)が好適に回避される。
また、容器体20における襠の大きさが第1の食材ブロック11よりも僅かに大きい程度であるため、第1の食材ブロック11と容器体20の内側面との間には、小さな隙間(狭い隙間)が生じる。このため、第1の食材ブロック11の下方に収容されている第2の食材ブロック12が第1の食材ブロック11と容器体20の内側面との間の隙間を通って第1の食材ブロック11の上方に移動したり、第1の食材ブロック11の上に載置された脱酸素剤等が第1の食材ブロック11と容器体20の内側面との間の隙間を通って第1の食材ブロック11の下方に移動したりする事態が回避される。
次いで、乾燥食品1を摂食可能状態に復元する方法について添付図面を参照して説明する。
まず、第1の食材ブロック11および第2の食材ブロック12の復元に使用するお湯(一例として、85℃以上に加熱した100ml程度の真水)を用意する。次いで、容器体20の切欠き21aの部位において密閉用圧着部21を切除すると共に、図4に示すように、ファスナー22を開いて入出口24を開口する。続いて、用意したお湯を入出口24から容器体20内に注ぎ入れる(注入する)。この場合、図5に示すように、容器体20が第1の食材ブロック11よりも僅かに大きい程度の大きさであるため、入出口24を開口した状態では、第1の食材ブロック11のほぼ全体を上方から視認することが可能な状態となっている。したがって、第1の食材ブロック11の全体に行き渡るようにお湯を注ぎ入れる(第1の食材ブロック11の上面全域にお湯をかける)作業を容易に実施することができる。
この際に、本例の乾燥食品1では、摂食可能状態に復元し難い第1の食材ブロック11が第2の食材ブロック12の上方(入出口24側)に位置するように両食材ブロック11,12が容器体20内に収容されている。したがって、注ぎ入れられたお湯が第2の食材ブロック12に接するのに先立って第1の食材ブロック11に接するため、第1の食材ブロック11が水分(お湯)を好適に吸収する。また、本例の復元方法のように高温のお湯を注ぎ入れたときに、お湯の温度が低下する前に第1の食材ブロック11に接するため、第1の食材ブロック11に水分(お湯)が一層好適に吸収される。さらに、注ぎ入れた時点において第1の食材ブロック11に吸収されなかったお湯は、第1の食材ブロック11を伝って第2の食材ブロック12に接して第2の食材ブロック12に吸収される。
次いで、ファスナー22を閉じて(入出口24を閉塞して)容器体20を密閉状態とし、数分程度放置する。これにより、第1の食材ブロック11に十分な量の水分(お湯)が吸収されて摂食可能状態の第1の食材11aに好適に復元されると共に、第2の食材ブロック12にも十分な量の水分(お湯)が吸収されて摂食可能状態の第2の食材12aに好適に復元される。
この際に、第1の食材ブロック11が第2の食材ブロック12の上方に位置し、第2の食材ブロック12が第1の食材ブロック11よりも下方に位置するように両食材ブロック11,12が容器体20内に収容されている本例の乾燥食品1では、第2の食材ブロック12が第1の食材ブロック11(第1の食材11a)の下方において第2の食材12aに復元される。このため、第1の食材ブロック11に吸収されるべき水分(お湯)が第1の食材ブロック11に吸収されずに第2の食材ブロック12に到達して第1の食材ブロック11の吸水量が不足する事態や、第2の食材ブロック12(第2の食材12a)に過剰な水分(お湯)が接する状態となって第2の食材12aが薄味となったり、好適な「とろみ」が失われたりする事態が好適に回避される。
なお、上記の一連の作業手順については、前述のように、容器体20に添付されているラベル23bに記載されている。また、保管中または搬送中や、入出口24の開口作業時(密閉用圧着部21の切除やファスナー22を開く作業時)に乾燥食品1が乱雑に取り扱われたときには、容器体20内において第1の食材ブロック11と第2の食材ブロック12とが入れ替わって第2の食材ブロック12が第1の食材ブロック11よりも入出口24側(上方)に位置する状態となったり、第1の食材ブロック11および第2の食材ブロック12が容器体20内で起立して横並びの状態となったりするおそれがある。したがって、上記のラベル23bには、入出口24からお湯を注ぎ入れるのに先立ち、第1の食材ブロック11が第2の食材ブロック12の上方に位置するように収容されていること(容器体20の底側から第2の食材ブロック12および第1の食材ブロック11の順で収容されていること)を確認するよう注意書きされている。これにより、このラベル23bの記載を参照しつつ作業を行うことで、復元作業を行ったことがない者であっても、確実かつ容易に復元作業を実施することができる。
この後、ファスナー22を開け、図6に示すように、入出口24から第1の食材11aおよび第2の食材12aを食器等の上に移し替える(盛り付ける)。この場合、本例の乾燥食品1では、前述したように、容器体20内において第2の食材12a(デミグラスソース)が第1の食材11a(ハンバーグ)の下方で摂食可能状態に復元される。したがって、容器体20を上下逆さまにして第1の食材11aおよび第2の食材12aを食器の上に移し替えたときには、第1の食材11a(ハンバーグ)の上方に第2の食材12a(デミグラスソース)がかかった状態となる。以上により、第1の食材11aおよび第2の食材12aからなる食品1aを摂食することが可能となる。
なお、本例の乾燥食品1では、上記のように保管および搬送用の容器体20を復元用容器として使用することを想定して製造されており、そのような復元方法で復元することを記載したラベル23bが容器体20に貼付されている。したがって、復元された第1の食材11aおよび第2の食材12aを移し替えた空の容器体20が不要な場合には、移し替えが完了した時点において容器体20を廃棄するだけで、後片付けの作業を完了させることができる。
このように、この乾燥食品1では、食材が凍結乾燥させられた第1の食材ブロック11および第2の食材ブロック12を収容した状態で容器体20が密閉されると共に、容器体20における入出口24を開口して入出口24から容器体20内にお湯を注入して両食材ブロック11,12に水分(お湯)を吸収させることによって両食材ブロック11,12を摂食可能状態に復元可能に構成され、両食材ブロック11,12は、第1の食材ブロック11よりも第2の食材ブロック12の方が摂食可能状態において流動生が高くなる第1の食材11aおよび第2の食材12aで構成されると共に、第2の食材ブロック12よりも第1の食材ブロック11の方が入出口24側に位置するように容器体20内に収容されている。また、この乾燥食品製造方法では、第1の食材ブロック11よりも第2の食材ブロック12の方が摂食可能状態において流動生が高くなる第1の食材11aおよび第2の食材12aで両食材ブロック11,12をそれぞれ形成すると共に、第2の食材ブロック12よりも第1の食材ブロック11の方が入出口24側に位置するように容器体20内に収容する。
したがって、この乾燥食品1、およびその乾燥食品製造方法によれば、摂食可能状態への復元に際して入出口24からお湯を容器体20内に注入したときに、注入されたお湯が、入出口24側に収容されている第1の食材ブロック11に対して最初に接するため、第1の食材ブロック11に対して好適に吸収させることができる。また、第1の食材ブロック11が好適に水分を吸収することで、第1の食材ブロック11に吸収されるべき水分(お湯)が第2の食材ブロック12に吸収されて第2の食材12aが薄味となったり、好適な流動生(とろみ)が失われたりする事態が好適に回避される。これにより、両食材ブロック11,12を別個に復元することなく、両食材ブロック11,12が摂食可能状態に復元された第1の食材11aおよび第2の食材12aからなる趣向性が高い食品1aを短時間で容易に提供することができる。
また、この乾燥食品1、およびその乾燥食品製造方法によれば、入出口24を開閉可能なファスナー22が入出口24に設けられた「袋体」で構成した容器体20を使用することにより、摂食可能状態への復元に際して入出口24から容器体20内に注入したお湯(水分)が両食材ブロック11,12に吸収される以前に容器体20から漏出する事態を回避することができるため、注入したお湯(水分)を両食材ブロック11,12に対して確実に吸収させて両食材ブロック11,12を確実に摂食可能状態(第1の食材11aおよび第2の食材12a)に復元することができる。また、摂食可能状態への復元に際して容器体20内に高温のお湯を注入したときには、ファスナー22を閉じて入出口24を密閉状態に維持することで、お湯、および水分(お湯)を吸収している両食材ブロック11,12の温度が急激に低下するのを回避できるため、両食材ブロック11,12に対して一層確実に水分(お湯)を吸収させることができる。
さらに、この乾燥食品1、およびその乾燥食品製造方法によれば、入出口24を上方に向けて開口した状態で自立可能に構成された容器体20を使用することにより、摂食可能状態への復元に際して容器体20を軽く支えているだけで入出口24からお湯を注入することができるため、復元作業を容易に実施することができる。これにより、容器体20への注入作業時に注入すべきお湯を容器体20の外に零してしまったり、お湯を注入した容器体20の倒れによって容器体20からお湯が零れてしまったりする事態を好適に回避できるため、両食材ブロック11,12に対して必要な両の水分(お湯)を確実に吸収させることができる。
なお、「乾燥食品」および「乾燥食品製造方法」は、上記の乾燥食品1およびその製造方法の例に限定されない。
例えば、「ハンバーグ(第1の食材11a)」を凍結乾燥させた第1の食材ブロック11と、「デミグラスソース(第2の食材12a」を凍結乾燥させた第2の食材ブロック12との組み合わせからなる「デミグラスハンバーグ(食品1a)」の乾燥食品1を例に挙げて説明したが、「乾燥食品」を構成する食材は、このような組み合わせの例に限定されない。この場合、「第1ブロック」として、肉、魚および卵等の塊を凍結乾燥させたもの(乾燥状態における吸水性がやや低いもの)を採用し、「第2ブロック」として、各種のソースやスープなどを凍結乾燥させたもの(摂食可能状態に復元された状態における流動生が高いもの)を採用して任意の組み合わせで「乾燥食品」を製造する際には、上記の乾燥食品1の例のように「第1ブロック」が「第2ブロック」よりも「入出口」側に位置するように「容器体」に収容することで、乾燥食品1およびその製造方法によって奏される上記の効果と同様の効果を奏することができる。
また、入出口24を開口/閉塞可能なファスナー22を備えた容器体20に両食材ブロック11,12を収容した乾燥食品1およびその製造方法を例に挙げて説明したが、「ファスナー」を備えない「袋体」を「容器体」として採用して「乾燥食品」を構成(製造)することもできる。そのような「容器体(袋体)」を採用した「乾燥食品」を摂食可能状態に復元する際には、「入出口」から「液体」を注入した後に、「入出口」を閉塞した状態でその近傍を折り曲げたり、「挟み具」を使用して「入出口」を閉塞した状態に維持したりすることで、「第1ブロック」や「第2ブロック」に吸収される以前の「液体」が「容器体」から漏出するのを好適に回避することができる。また、前述の例のように高温の「液体(お湯など)」を注入したときには、その急激な温度低下を阻止して「第1ブロック」や「第2ブロック」に水分を好適に吸収させることができる。
さらに、入出口24を上方に向けて開口した状態で自立可能に構成された容器体20に両食材ブロック11,12を収容した乾燥食品1およびその製造方法を例に挙げて説明したが、非自立型の「袋体」を「容器体」として採用して「乾燥食品」を構成(製造)することもできる。そのような「容器体(袋体)」を採用した「乾燥食品」を摂食可能状態に復元する際には、「入出口」から「液体」を注入した後に、「容器体に設けられたファスナー」や前述の「挟み具」を使用して「入出口」を閉塞状態に維持させることで、「容器体」を自立させなくても、「容器体」から「液体」が漏出するのを好適に回避することができる。なお、「容器体に設けられたファスナー」や「挟み具」が存在しない場合であっても、自立可能な「容器体」であれば、「入出口」を閉塞状態に維持しなくても、「容器体」から「液体」が漏出するのを好適に回避することができる。
また、「容器体」に開口する「入出口」については、上向きに開口したものに限定されず、「入出口」が横向き開口された「容器体」を採用して「乾燥食品」を構成(製造)することもできる。この場合、「入出口」が横向きに開口された「容器体」を採用する場合には、最初に「第2ブロック」を「入出口」から「容器体」に収容し、その後に「第1ブロック」を「入出口」から「容器体」に収容することで、「第1ブロック」が「入出口」側に位置するように(「第2ブロック」が奥側に位置するように)製造する。これにより、「乾燥食品」を摂食可能状態に復元する際に「入出口」から「液体」を注入したときに、注入した「液体」が最初に「第1ブロック」に接するため、前述の乾燥食品1およびその製造方法によって奏される効果と同様の効果を奏することができる。
さらに、「容器体」は「袋体」に限定されず、カップ状またはボウル状の「固形容器体」を「容器体」として採用して「乾燥食品」を構成(製造)することもできる。この場合、「固形容器体」で構成した「容器体」に上向きの「入出口」を開口した場合には、「入出口」を上向きにして「容器体」を自立させた状態とすることで、「入出口」を閉塞しなくても、「容器体」から「液体」が漏出するのを好適に回避することができる。