JP7285197B2 - 単結晶引上方法及び単結晶引上装置 - Google Patents
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Description
このネッキングによりネック部P1が形成される。また、このネック部P1は、一般的に、直径が3~4mmで、その長さが最低でも30mm以上が必要で、条件等よっては長さが100~500mm必要とされている。
また、ネッキング工程において転位の除去ができたとしても、その後の肩部育成工程において、晶癖線が消失しやすくなり、製品部(直胴部C2)に達するまでに結晶が有転位化するという課題があった。
しかしながら、肩部C1形成後に固体のドーパントをシリコン融液Mに投入すると、固体のドーパントが結晶に接触することにより、晶癖線が消失するという課題があった。
しかしながら、特許文献1に開示された方法にあっては、シリコン融液Mの液面M1にガス化したドーパントを局所的に吹き付けるため、融液Mの液面M1が振動し、有転位化しやすくなるため、単結晶Cの育成が困難になるという課題があった。
尚、前記昇華室において、前記吹出口は、直径5~15mmであり、該昇華室の周方向に、10~30個の範囲で所定間隔を空けて配置されていることが望ましい。
その結果、例えば赤燐や砒素などのドーパントを高濃度に添加した低抵抗率の単結晶を得ることができる。
また、前記ガス状となったドーパントを前記不活性ガス流に乗せて流す工程において、ドーパントが赤燐の場合、シリコン融液中のドーパント濃度を少なくとも1.9E20atoms/cm 3 以上とすることが望ましい。
その結果、例えば赤燐や砒素などのドーパントを高濃度に添加した低抵抗率の単結晶を得ることができる。
この単結晶引上装置1は、炉体2内において鉛直軸回りに回転可能且つ昇降可能に設けられたカーボンサセプタ(或いは黒鉛サセプタ)3と、前記カーボンサセプタ3に収容された石英ガラスルツボ4(以下、単にルツボ4と称する)とを備えている。
尚、輻射シールド7の下端と溶融液面との間のギャップは、育成する単結晶の所望の特性に応じて所定の距離を維持するよう制御される。
また、前記漏斗管12は、直管状に形成された炉体2内において前記昇華室部材11に、その下端が連通接続されている。また、前記漏斗管12の上端は、逆円錐状に形成された前記漏斗部本体13の下端部に連通接続されている。
前記昇華室部材11は、断面円形の管体が環状に形成されたものであり、シリコン融液Mの液面と平行(即ち水平)になるように配置される。
図3に示すように、昇華室部材11には、内部で昇華したドーパントを例えば環中心に向けて放出するために複数(例えば10~30個)の吹出口11aが設けられている。
また、昇華室部材11の環内径Bは、育成する単結晶Cの径の120%以上150%以下とすることが望ましい。これは、環内径Bが120%より小さいと、育成中の単結晶Cと昇華室部材11とが接触する虞があるためであり、150%より大きいと、吹出口11aから吹き出されるドーパントガスの量が、吹出口11a間で不均一になりやすい(漏斗管12に近い吹出口11aほど吹き出し量が多くなる)ためである。
さらに、ルツボ4が所定の高さ位置において所定の回転速度(rpm)で回転動作される。次いで、ワイヤ6が降ろされて種結晶Pがシリコン融液Mに接触され、種結晶Pの先端部を溶解するネッキングが行われ、ネック部P1が形成開始される。
本発明に係る方法にあっては、ドーパントが赤燐の場合、シリコン融液M中のドーパント濃度を、1.9E20atoms/cm3程度とすることが望ましく、それにより単結晶Cの抵抗率を1.1mΩcm程度にすることができる。また、ドーパントが砒素の場合、シリコン融液M中のドーパント濃度を、1.5E20atoms/cm3程度とすることが望ましく、それにより単結晶Cの抵抗率を1.8mΩcm程度にすることができる。
また、ドーパントガスDが不活性ガスGの流れによって、シリコン融液Mの液面全体に接触するため、シリコン融液Mに効率的にドーパントが取り込まれ、ドーパントの取り込み率が上昇する。
直胴工程が終了すると、結晶径を縮小して結晶底部(図示せず)を形成する縮径工程が行われ、単結晶Cの引き上げが完了する。
その結果、例えば赤燐や砒素などのドーパントを高濃度に添加した低抵抗率の単結晶Cを得ることができる。
例えば、図5(a)に示すように昇華室部材11の下面(270°)に吹出口11aを配置してもよく、或いは、図5(b)に示すように、昇華室部材11の上面、下面、側面などに千鳥状に吹出口11aを設けてもよい。
(実施例1)
実施例1では、上述の実施形態に示した構成の単結晶引上装置において、ルツボに150kgの原料ポリシリコンを投入し、直径206mmのシリコン単結晶の引上げを行なった。ドーパントとして直胴部の育成前半において赤燐を使用し、本実施形態に示した昇華治具10を用いてドープした。
また、昇華室部材11に形成する吹出口11aは、昇華室部材11の環の周に沿って10箇所に等分配置した。各吹出口11aの直径は、8mmに形成した。また、各吹出口11aの配置角度(図4に示す角度の定義)は、45°とした。
ドーパントの投入は、肩部形成後に5~10/回ずつ、複数回に分けて計1000gに達するまで昇華室部材11内へ投入した。尚、ドーパントを投入する度、固形のドーパントが昇華したことを目視で確認し、次のドーパント投入を行なった。
比較例1では、実施例1で使用した昇華治具は用いず、輻射シールドの外側において、シリコン融液の液面に、局所的にガス化したドーパントを吹き付けた。
その他の条件は、実施例1と同じである。
実施例1において、すべてのドーパントを投入し、引き上げた単結晶の抵抗率を四探針法で測定した結果、3回の引き上げのいずれにおいても1.1Ωcm以下となった。
一方、比較例1において、すべてのドーパントを投入し、引き上げた単結晶の抵抗率を四探針法で測定した結果、3回の引き上げのいずれにおいても2.0mΩcm以上となった。
一方、比較例1では、液面振動が発生し、それが原因と思われる有転位が3回の引き上げ中、2回の引き上げで発生した。
図6のグラフに示されるように、実施例1では、比較例1の場合よりも抵抗率が低い単結晶が得られ、ドーパントとしてシリコン融液に吸収される割合が約2倍となることを確認した。
2 炉体
3 サセプタ
4 ルツボ
5 サイドヒータ
6 ワイヤ
7 輻射シールド(熱遮蔽板)
10 昇華治具
11 昇華室部材
11a 吹出口
12 漏斗管(漏斗部)
13 漏斗部本体(漏斗部)
14 ドーパント供給管
15 ドーパント室
M シリコン融液
C シリコン単結晶
C1 肩部
C2 直胴部
G 不活性ガス
D ドーパントガス
Claims (5)
- ヒータにより加熱される炉内に配置されたルツボ内でシリコン融液を形成し、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成するシリコン単結晶引上装置において、
前記ルツボの上方において育成するシリコン単結晶を囲むように配置された熱遮蔽板と、
前記熱遮蔽板の内周面側において、周方向に沿って環状に形成され、周方向に沿って複数の吹出口が形成された昇華室と、
先端側が前記昇華室に連通し、前記昇華室にドーパントを供給するための漏斗部と、を
備え、
前記漏斗部は、逆円錐状の漏斗部本体と、前記漏斗本体の縮径した先端から前記昇華室まで延びる漏斗管と、を有し、前記漏斗部本体の上部開口は、直径40~80mmであり、前記漏斗管は、直径4~10mmであり、前記昇華室の管部内径は20~50mmであり、環状の前記昇華室の環内径は、育成するシリコン単結晶の径の120~150%の範囲であることを特徴とする単結晶引上装置。 - 前記昇華室において、前記吹出口は、直径5~15mmであり、該昇華室の周方向に、10~30個の範囲で所定間隔を空けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載された単結晶引上装置。
- 前記請求項1または請求項2に記載された単結晶引上装置において、炉内に配置されたルツボ内でシリコン融液を形成し、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成するシリコン単結晶の引上方法であって、
炉内において育成するシリコン単結晶を囲むように配置された熱遮蔽板の内側を、上方からシリコン融液面に向かって流れるとともに、前記シリコン融液面に沿って放射状に広がり、前記ルツボ外に排気される不活性ガス流を形成する工程と、
前記炉内に形成された前記昇華室においてドーパントをガス状にする工程と、
ガス状となったドーパントを前記昇華室から前記熱遮蔽板の内側に放出する工程と、
前記ガス状となったドーパントを前記不活性ガス流に乗せて流す工程と、を備えること
を特徴とする単結晶引上方法。 - 前記ガス状となったドーパントを前記不活性ガス流に乗せて流す工程において、
ドーパントが砒素の場合、シリコン融液中のドーパント濃度を少なくとも1.5E20atoms/cm3以上とすることを特徴とする請求項3に記載された単結晶引上方法。 - 前記ガス状となったドーパントを前記不活性ガス流に乗せて流す工程において、
ドーパントが赤燐の場合、シリコン融液中のドーパント濃度を少なくとも1.9E20atoms/cm3以上とすることを特徴とする請求項3に記載された単結晶引上方法。
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