JP2005306705A - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】CZ法によるシリコン単結晶の製造において、歩留まりよく安定して、無欠陥部分の採取率をより高くできる製造方法の提供する。
【解決手段】(1)CZ法によるシリコン単結晶の製造において、るつぼの回転速度を4min-1以下とし、かつ育成装置内に導入しシリコン融液表面を通過する不活性ガスが単結晶の表面に沿った旋回流となるよう融液表面に吹きつけつつ引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。不活性ガスとしてアルゴンガスを用い、その流量を90〜200L/minとすること、または/およびその流速を0.5〜8.0m/secとすることが望ましい。さらに、磁場強さが0.02〜0.09Tであるカスプ磁場を印加することができる。
【選択図】なし。
【解決手段】(1)CZ法によるシリコン単結晶の製造において、るつぼの回転速度を4min-1以下とし、かつ育成装置内に導入しシリコン融液表面を通過する不活性ガスが単結晶の表面に沿った旋回流となるよう融液表面に吹きつけつつ引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。不活性ガスとしてアルゴンガスを用い、その流量を90〜200L/minとすること、または/およびその流速を0.5〜8.0m/secとすることが望ましい。さらに、磁場強さが0.02〜0.09Tであるカスプ磁場を印加することができる。
【選択図】なし。
Description
本発明は、半導体材料として使用されるシリコンウェーハ用単結晶の、より詳しくはチョクラルスキー法(以下CZ法という)により育成するウェーハ用シリコン単結晶の製造方法に関する。
半導体材料のシリコンウェーハに用いるシリコン単結晶の製造に、最も広く採用されている方法としてCZ法による単結晶育成方法がある。
CZ法は、石英るつぼ内の溶融したシリコンに種結晶を浸けて引き上げ単結晶を成長させるものであり、このシリコン単結晶育成技術の進歩により、欠陥の少ない無転位の単結晶が製造されるようになっている。
このCZ法による単結晶育成方法の特徴の一つは、原料になるシリコンを石英のるつぼの中で溶融することであるが、シリコン融液にはるつぼから酸素がわずかずつ溶け込み、この酸素の大部分はSiOとなって融液の表面から蒸発する。SiOは低温のるつぼ端、単結晶表面、引き上げ軸、または引き上げ室内壁等に析出し、これが融液面に落下すると単結晶に取り込まれ、欠陥発生や多結晶化の原因となる。
そこで、例えば特許文献1に開示された発明のように、引き上げられる単結晶を同軸で包囲する管を設置し、装置内に導入する不活性ガスをこの管と単結晶との間に流下させ、融液表面を通過させてるつぼの外側へと導き、炉の底部に設けられた排気口から外部へ放出することにより、融液から蒸発するSiOによる害を防止する手段がとられる。
この単結晶を同軸で包囲する管は、融液面やるつぼ内壁からの単結晶表面への熱輻射を遮り、育成速度を速める熱遮蔽材を兼用させることが多く、装置内の不活性ガスの流れについても種々の考案がなされている。
単結晶から得られたウェーハを基板とする半導体デバイスは、数百のプロセスを経過して製品化される。その過程で基板には数多くの物理的処理、化学的処理、さらには熱的処理が施され、中には1000℃以上での高温処理など、過酷な熱的環境での処理も含まれる。このため、単結晶の成長過程にてその原因が導入されていて、デバイスの製造過程で顕在化し、その性能を低下させる結果となる微小欠陥、すなわちGrown−in欠陥が問題になる。
図1は、シリコンウェーハで観察される典型的な欠陥分布の例を模式的に示した図であり、上述の微少欠陥の代表的なものの分布を観察して示したものである。具体的には、成長直後の単結晶からウェーハを切り出し、硝酸銅水溶液に浸けてCuを付着させ、熱処理後、X線トポグラフ法により微小欠陥分布の観察をおこなった結果を、模式的に示した図である。
すなわち、このウェーハは、外径の約2/3の位置に、リング状に分布した酸化誘起積層欠陥(以下OSF(Oxygen induced Stacking Fault)という)が現れたものであるが、そのリングの内側部分には赤外線散乱体欠陥(COPまたはFPDともいわれるが、いずれも同じSiが欠損した状態の欠陥)が見出される。また、リング状OSFに接してすぐ外側には酸素析出物が現れやすい酸素析出促進領域があり、それに接して欠陥の現れない無欠陥領域があり、その外側のウェーハの周辺部は転位クラスターの発生しやすい部分となっている。
上記の欠陥の発生位置は、通常、単結晶育成の際の引き上げ速度に大きく影響される。一例として、転位のない健全な単結晶を得る育成速度の範囲内にて、引き上げ速度を連続して減少させながら成長させた単結晶について、結晶中心の引き上げ軸に沿って縦方向に切断された面での各種の欠陥の分布を調べると、図2(a)のような結果がえられる。
単結晶引き上げ軸に対し垂直に切り出した円盤状のウェーハ面で見る場合、ショルダー部を形成させ所要の胴径とした後、育成速度を下げていけば、結晶周辺部からリング状OSFが現れる。周辺部に現れたこのリング状OSFは、育成速度の低下にともない、その径が次第に小さくなり、やがてはなくなって、ウェーハ全面がリング状OSFの外側部分に相当するものになってしまう。
すなわち、前記図1は、図2(a)における単結晶のAの引き上げ軸に垂直な断面、またはその引き上げ速度で育成した単結晶のウェーハを示したものであり、リング状OSF発生の位置を基準にすれば、育成速度の速い場合は、リング状OSFの内側領域に相当する相対的には赤外線散乱体欠陥の多い高速育成単結晶となり、遅い場合は外側領域の転位クラスターの多い低速育成単結晶となる。
溶融したシリコンが凝固して単結晶になるとき、結晶格子としてシリコン原子が不足している欠陥部分と過剰な欠陥部分とが同時に取り込まれ、これらは合体したり拡散したりして消滅していくが、最終的に不足している部分には赤外線散乱体欠陥、過剰な部分には転位クラスターが残る。そして、両者の過不足のない部分は無欠陥領域となり、その中の特定位置にリング状OSFが現れると考えられ、この無欠陥領域をニュートラル領域と言うこともある。
シリコン単結晶の転位は、その上に形成されるデバイスの特性を劣化させる原因になることはよく知られている。また、OSFはリーク電流増大など電気特性を劣化させるが、リング状OSFにはこれが高密度に存在する。このため、現在においては、通常のLSI用にはリング状OSFが単結晶の最外周に分布するような、比較的高速の引き上げ速度で単結晶が育成されている。
それによって、ウェーハの大部分をリング状OSFの内側部分、すなわち高速育成単結晶にして、転位クラスターを回避する。これは、リング状OSFの内側部分は、デバイスの製造過程にて発生する重金属汚染に対するゲッタリング作用が、外側部分よりも大きいことにもよっている。
近年のLSIの集積度増大にともない、ゲート酸化膜が薄膜化されて、デバイス製造工程での温度が低温化してきている。このため、高温処理で発生しやすいOSFが低減され、結晶の低酸素化もあり、リング状OSFなどのOSFは、デバイス特性を劣化させる因子としての問題が少なくなってきた。
しかしながら、高速育成単結晶中に主として存在する赤外線散乱体欠陥の存在は、薄膜化したゲート酸化膜の耐圧特性を大きく劣化させることが明らかになっており、特にデバイスのパターンが微細化してくると、その影響が大きくなって高集積度化への対応が困難になる。
前記図1に示した欠陥分布において、リング状OSFに接する酸素析出促進領域および無欠陥領域を拡大できれば、Grown−in欠陥の極めて少ないウェーハ、ないしは単結晶の得られる可能性がある。
これに対して、特許文献2には、単結晶育成時の引き上げ速度をV(mm/min)、融点から1300℃までの温度範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配をG(℃/mm)とするとき、結晶中央部より外周から30mmまでの内部位置ではV/Gを0.20〜0.22とし、結晶外周に向かってこれを漸次増加させるように結晶内の温度勾配を制御して、転位クラスターを生成させることなく、リング状OSFの外側部分の無欠陥領域のみをウェーハ全面さらには単結晶全体に広げる方法が提案されている。
前述のように、引き上げ速度を連続して減少させながら単結晶を育成した場合、通常はリング状OSFが図2(a)に示したV字状に現れる。上記特許文献2に示された方法は、引き上げ軸方向の温度勾配を結晶の中央部は大きく周辺部は小さくなるようにし、かつその範囲を限定する。それにより、図2(a)と同じように育成した単結晶のリング状OSFの発生を、図2(b)に示すU字状または平底状に変える。そこで、例えばBとして示した引き上げ速度にて育成を行えば、無欠陥領域が大幅に拡大された単結晶が得られることになる。
このように、単結晶全体が無欠陥領域またはニュートラル状態領域となるように作製されたシリコン単結晶を、ここでは無欠陥単結晶という。前述のように従来のウェーハは、ある程度の赤外線散乱体欠陥が存在する高速育成部分を主体とする単結晶から採取される。これに対し無欠陥単結晶は、ウェーハ全面がGrown−in欠陥のない領域になることを目的に製造された単結晶である。
しかしながら、単結晶全体を無欠陥領域にすることは容易ではない。そこで、このような単結晶において、引き上げ軸に対し垂直に切断して得られたウェーハのほぼ全面が無欠陥領域となっている部分を、無欠陥単結晶の無欠陥部分ということにする。
上述の特許文献2に開示された方法は、結晶内の温度勾配Gを伝熱解析シミュレーションによりにより求め予測しているが、そのような温度勾配を単結晶内部に実現させる具体的手法については必ずしも明らかではない。
その後、このような無欠陥部分をできるだけ単結晶全体に拡大させるための、実施可能な無欠陥単結晶の製造方法がいくつか提案されている。例えば、特許文献3には、無欠陥シリコン単結晶を製造する方法として、固液界面形状が平坦、または上凸状態とするのがよいとし、その実現のために、るつぼの回転速度を5回転/分以下、単結晶は回転速度を13回転/分以上にて引き上げる発明が提案されている。
また、特許文献4には、るつぼと単結晶の回転速度の選定、単結晶の周囲に配置する熱遮蔽体の位置設定、および融液に対し水平磁場あるいはカスプ磁場の印加、等の組合せによって、固液界面形状を周辺部に対し中央部の高さが5mmを超える上凸状とし、単結晶の引き上げ軸方向の温度勾配を中央部が大きく周辺部が小さくなる温度分布にして引き上げ育成をおこなう、全体が無欠陥部分である高品質のシリコン単結晶を製造する方法の発明が開示されている。
前述の通り、単結晶内部の温度分布や固液界面形状を制御し、その上で引き上げ速度を選定して、無欠陥部分を拡大させたシリコン単結晶の製造が種々試みられてきた。しかしながら多くの場合、引き上げ軸に垂直な平面、すなわち、切り出されたウェーハの全面が無欠陥状態となる引き上げ速度範囲が狭く不安定であり、わずかな速度変動で赤外線散乱体欠陥あるいは転位クラスター欠陥が現れやすく、無欠陥単結晶全体に対する無欠陥ウェーハの採取率を十分に大きくできないという問題がある。
本発明は、このような問題に対応してなされたものであり、安定して無欠陥部分の採取率をより高くすることができる、シリコン単結晶の製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、下記(1)〜(3)に記載されるシリコン単結晶の製造方法を要旨としている。
(1)CZ法によるシリコン単結晶の製造において、るつぼの回転速度を4min-1以下とし、かつ育成装置内に導入しシリコン融液表面を通過する不活性ガスが単結晶の表面に沿った旋回流となるよう融液表面に吹きつけつつ引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
(2)上記(1)の製造方法では、不活性ガスとしてアルゴンガスを用い、その流量を80〜200L/minとすること、または/およびその流速を0.5〜8.0m/secとすることが望ましい。
(3)さらに、磁場中心が融液表面以下で、融液表面よりるつぼ底までの深さの1/2までの位置にあり、かつ磁場中心高さにおけるるつぼ壁面位置の磁場強さが0.02〜0.09Tであるカスプ磁場を印加することを特徴とする上記(1)または(2)に記載のシリコン単結晶の製造方法である。
(1)CZ法によるシリコン単結晶の製造において、るつぼの回転速度を4min-1以下とし、かつ育成装置内に導入しシリコン融液表面を通過する不活性ガスが単結晶の表面に沿った旋回流となるよう融液表面に吹きつけつつ引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
(2)上記(1)の製造方法では、不活性ガスとしてアルゴンガスを用い、その流量を80〜200L/minとすること、または/およびその流速を0.5〜8.0m/secとすることが望ましい。
(3)さらに、磁場中心が融液表面以下で、融液表面よりるつぼ底までの深さの1/2までの位置にあり、かつ磁場中心高さにおけるるつぼ壁面位置の磁場強さが0.02〜0.09Tであるカスプ磁場を印加することを特徴とする上記(1)または(2)に記載のシリコン単結晶の製造方法である。
本発明のシリコン単結晶の製造方法によれば、Grown−in欠陥をできるだけ少なくし、安定して無欠陥部分を大幅に拡大させことができるので、無欠陥シリコン単結晶を歩留まりよく製造することが可能になる。このため、このような単結晶から得られたウェーハは、LSIチップの高密度化に対し、歩留まりの向上やコストの低減などに効果的に適応できる。
無欠陥シリコン単結晶の製造方法として、特許文献3には、るつぼの回転速度を5min-1以下、単結晶の回転速度を13min-1以上にて引き上げる製造方法が開示されている。さらに、特許文献4には、同様な単結晶やるつぼの回転に加えて、さらに単結晶の周囲に下端位置を限定して熱遮蔽材を置き、水平磁場またはカスプ磁場を融液に印加する方法が開示されている。
これらの特許文献に開示された方法によって、無欠陥シリコン単結晶が製造できることは確認されたが、育成される単結晶の結晶変形、それに伴う多結晶化、無欠陥部分が少なくなる、等の問題が生じやすく、無欠陥ウェーハの収率向上さらにはコスト低減のためには、より安定した製造方法が必要となる。
この不安定要因を排除すべく種々の検討を行った結果、無欠陥単結晶を得るべくるつぼの回転数を低くしていることが原因で、単結晶の融液において自然対流が支配的となり、引き上げつつある単結晶の融液に近い部分における、円周方向の温度不均一が大きくなるためではないかと推定された。特に、単結晶の径が大きくなってくると、顕著になる。
一方、るつぼの回転を速くすればこの温度不均一は低減できるが、全面が無欠陥部分であるウェーハを得ることが困難になる。
そこで着目したのが、単結晶引き上げの際、結晶の上部から流下される不活性ガスの活用である。CZ法によるシリコン単結晶は、図3にその断面を模式的に示すような装置を用いて製造される。この装置にて、石英るつぼ1内でヒータ2により加熱溶融されたシリコン融液3から、単結晶6が凝固育成され引き上げられる。
通常、単結晶6の回りには融液3面およびるつぼ1内面からの熱輻射を遮るため熱遮蔽材7が設置されており、るつぼ1および単結晶6はそれぞれ独立に、同一方向または逆方向に異なる回転数で回転できるようになっている。
図3において、不活性ガスは単結晶上方の流入孔8から注入され、単結晶6の表面と熱遮蔽材7との間を流下して融液表面を通りるつぼの外側へと導かれ、炉の底部から排気口9により外部へ放出される。このとき、シリコン融液の表面から蒸発するSiOは、不活性ガスと随伴して外部へ放出されるので、炉内で析出して単結晶面や融液面に落下する害は抑止される。
単結晶の表面を流下した不活性ガスは、融液表面に達した後、通常は、るつぼの中心から周囲のるつぼ壁方向に向けて放射状に融液表面を流れる。これに対し、特許文献5、または特許文献6に開示された装置では、筒状熱遮蔽体の内面に螺旋状の突起を設けたり、熱遮蔽材の下端近傍に単結晶の円周方向に向いたガス噴射口を半径方向に配列したガス整粒部材を設けたりして、融液表面を流れる不活性ガスが、単結晶の周方向に旋回しながらるつぼ壁に達しそれから外側に排出する状態にしている。
融液表面を流れる不活性ガスを旋回流とすることにより、ガスの流速を上げても融液面の波立ちが抑制される効果が得られ、あるいは融液表面からの酸素の蒸発量を容易に制御できるようになる。
この融液表面の不活性ガスの流れを旋回流とする装置を用いて、るつぼの回転数を低速にすることを検討した結果、無欠陥部分を拡大できることが明らかになった。これは不活性ガスを旋回流とすることにより、溶融シリコンの表面層がるつぼ回転とは独立して円周方向に動くため、融液表面やるつぼ内壁面の温度分布が均一化される効果が大きくなり、るつぼの低速回転による温度不均一を解消させたものと推定される。
ここで、るつぼの回転数は4min-1(4回転/分)以下とする。4min-1を超える回転数では、全面が無欠陥部分となるウェーハを採取できる無欠陥単結晶が得られなくなるからである。これは、無欠陥単結晶を得るための単結晶内部の温度分布が実現できないためと思われる。この場合、るつぼの回転はなくてもよいが、均熱の目的からはわずかでも回転させることが望ましい。
通常、引き上げ装置内に流入させる不活性ガスとして、アルゴンガスが用いられる。このとき、アルゴンガスの流量は80〜200L/minと多くし、または/およびアルゴンガスの流速を0.5〜8.0m/secで調整することにより、流入したガスが単結晶と熱遮蔽材と単結晶の間から旋回流となって融液表面に当たるようにするのがよい。
このようなガスの流れにより駆動される溶融シリコンは、融液の最表面部分のみと推定されるが、それにより無欠陥単結晶の無欠陥部分の収率が向上する。流量が80L/min以下では、この効果は十分でなく、200L/minを超える流量では、融液面の波立ちを生じやすくなり、有転位化するおそれがある。
また、アルゴンガスの流速が0.5m/sec未満であると、蒸発するSiO等を随伴して外部へ放出する効果(パージ効果)が充分でなく、析出物が単結晶面や融液面に落下するおそれがある。一方、流速が8.0m/secを超えるようになると、流量が過多の場合と同様に、融液面の波立ちや凍り付きを生じやすくなり、不安定な育成状況になる。
融液面に当たる不活性ガスの旋回流は、表面の融液を駆動できるものであれば、特に限定するものではない。しかし、熱遮蔽材の下端から融液面に噴出されるガス流が、極表面層だけでも融液を円周方向に駆動させるためには、融液面に平行な単結晶の周面の接線方向を基準に取れば、この接線に対し下方に向けて10°から70°でかつ水平面にて0°から70°の範囲に噴出されることが望ましい。
るつぼの回転方向は、ガス旋回流の噴出方向と同じでも逆でもいずれでも同様に効果がある。これはるつぼ回転により移動する融液の速度よりガス噴出速度の方が遙かに速く、ガスの旋回流により駆動される融液は表層のみに限られるためと思われる。ところが、上述のガス流量および流速の範囲で、確実に融液面の波立ち等を防止するには、るつぼの回転方向をガス旋回流の噴出方向と同じにするのが望ましい。
単結晶育成中の融液に対するカスプ磁場の印加は、単結晶の無欠陥部分の拡大に効果がある。この効果を得るには、磁場中心が融液表面以下で、融液表面よりるつぼ底までの深さの1/2までの位置にあって、かつ磁場中心高さにおけるるつぼ壁面位置の磁場強さが0.02〜0.09Tであるカスプ磁場を印加するのが望ましい。
通常、熱対流、結晶の回転およびるつぼの回転による融液の流動は、単結晶の成長と共に、るつぼ内の融液が減少してくるため次第に変化していく。このため、固液界面に当たる融液の流れが変化し、それによって固液界面の形状が変わり、ウェーハ面全面の無欠陥部分の維持が困難になってくる。
これに対し磁場の印加は、融液の流動を抑制する作用があり、磁場を印加して単結晶の育成を実施すれば、るつぼ内の融液が減少しても固液界面近傍の融液の流動状態が変化せず、単結晶の成長が進んでも無欠陥部分の形成条件を維持できるので、単結晶の無欠陥部分を形成する範囲が拡大できる。
無欠陥部分の形成を維持するには、固液界面の上凸状態を維持しなければならない。この固液界面の上凸状態は、単結晶の回転により引き起こされる単結晶近くの中心部の融液の上下流が大きく影響する。るつぼ中心部における融液の上下流の抑制効果は、水平磁場よりもカスプ磁場の方が小さいので、固液界面の上凸状態の維持にはカスプ磁場の印加がより望ましいと判断される。
この点からカスプ磁場印加を検討した結果、磁場中心高さにおけるるつぼ壁面位置の磁場強さが0.02Tを下回ると、ウェーハ面全面の無欠陥部分の維持が困難になり、0.09Tを超えると、抵抗率分布や酸素濃度分布が悪くなることがわかった。より望ましくは、0.03〜0.08Tとすることである。
カスプ磁場を印加する位置は、磁場中心を融液面から融液深さの1/2までとするのがよく、この範囲より高すぎても低すぎても磁場印加の効果が小さくなる。
図3に示すカスプ磁場印加可能な単結晶引き上げ装置を用い、直径200mmの無欠陥シリコン単結晶の製造を実施した。この場合、無欠陥単結晶を得るための条件は、装置のホットゾーン(融液直上の引き上げられた単結晶の冷却帯)の構造により種々異なる。そこで、シリコン融液の表面を通過する不活性ガスを旋回流とすることによる効果を明確にするため、あらかじめ磁場を印加した場合としない場合とについて、引き上げ速度を連続して変化させ、無欠陥単結晶の得られる条件が確認されている装置を用いて比較した。なお、磁場を印加する場合はカスプ磁場とし、磁場中心の位置は融液面にほぼ等しい高さとした。
装置内をアルゴンガス雰囲気とし、その圧力を2000Pa(15Torr)とした。溶融原料の多結晶シリコン約120kgをボロン添加により10Ωcmとして溶解した後、種結晶を浸漬し、その回転速度を17min-1として引き上げてショルダ形成を行った。その後、無欠陥単結晶を育成するための安定条件に到達してから、1000mmの安定部分を育成したのち、絞りをおこなって単結晶とした。
得られた単結晶について、引き上げ軸に垂直に切り出したウェーハにて欠陥分布を調査し、95%以上の面積が無欠陥部分となっている単結晶部分の長さを、上記安定部分に対する無欠陥部の比率として求めた。いずれの場合も、装置内の圧力を2000Paとしたので、アルゴンガスの供給条件は、アルゴンガスの流量で管理を行った。
表1に条件および結果を示すが、試番1は、この装置を用いて従来条件にて無欠陥単結晶を製造したものであり、得られた単結晶の無欠陥部分の比率は45%であった。
試番2は、前記図3に示す熱遮蔽材7の内側の融液面に近い部分に、図4にて斜視図(A)および上面図(B)として示すように整流板11を取り付け、単結晶6と熱遮蔽材7の間を流下しシリコン融液に当たるアルゴンガスを、るつぼの回転方向と同じにする旋回流とした場合である。
この場合、アルゴンガスは融液面に対して、単結晶の外周の接線にほぼ平行な、融液面には約20°の角度を持った旋回流として吹き付けるようにした。それによって無欠陥部分の比率は62%に増大させることができた。
従来の融液面を流れるガスが旋回しない試番1の場合、不活性ガスの流入量は50L/min程度が限界で、それ以上多く流入しようとすると、融液面に波立ちが生じ有転位化した。これに対し、試番2の旋回流によれば、アルゴンガス流量が200L/minを超えても波立ちは生じないことを確認している。
試番3はカスプ磁場を印加した場合であるが、試番1と比較すれば、磁場印加により無欠陥部分の比率が55%と拡大されている。これに試番2と同様にして熱遮蔽材に整流板を設け、融液面を流れる不活性ガスを旋回流としたものが試番4の結果であり、無欠陥部分の比率が70%とより一層拡大されることがわかる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法によれば、Grown−in欠陥をできるだけ少なくし、安定して無欠陥部分を大幅に拡大させことができるので、無欠陥シリコン単結晶を歩留まりよく製造することが可能になる。このため、このような単結晶から得られたウェーハは、LSIチップの高密度化に対し、歩留まりの向上やコストの低減などに効果的に適応できるので、半導体基板用として用いられるシリコンウェーハの製造に広く適用することができる。
1:るつぼ、 2:ヒーター
3:シリコン融液、4:引き上げ軸
5:シードチャック、6:単結晶
7:熱遮蔽材、8:不活性ガス流入孔
9:不活性ガス排出口、10:磁場印加装置
11:ガス整流板
3:シリコン融液、4:引き上げ軸
5:シードチャック、6:単結晶
7:熱遮蔽材、8:不活性ガス流入孔
9:不活性ガス排出口、10:磁場印加装置
11:ガス整流板
Claims (4)
- チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造において、
るつぼの回転速度を4min-1以下とし、かつ育成装置内に導入しシリコン融液表面を通過する不活性ガスが単結晶の表面に沿った旋回流となるよう融液表面に吹きつけつつ引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。 - 上記不活性ガスとしてアルゴンガスを用い、その流量を80〜200L/minとすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 上記不活性ガスとしてアルゴンガスを用い、その流速を0.5〜8.0m/secとすることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 磁場中心が融液表面以下で、融液表面よりるつぼ底までの深さの1/2までの位置にあり、かつ磁場中心高さにおけるるつぼ壁面位置の磁場強さが0.02〜0.09Tであるカスプ磁場を印加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
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2004
- 2004-04-26 JP JP2004130066A patent/JP2005306705A/ja active Pending
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