JP2010064930A - シリコン単結晶引上方法およびこれに用いるドーピング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドーパントの添加効率を向上させ、さらに添加量ばらつきも抑えることができるシリコン単結晶引上方法を提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法を用い、石英ガラスルツボ内のシリコン融液Mの表面に固相ドーパントを供給するとともに、この固相ドーパントが融液Mの表面に落下する位置から融液Mの表面方向に半径10〜50mmの範囲内のシリコン融液M中にキャリアガスであるアルゴンガスとともに気相ドーパントを供給する。
【選択図】図3

Description

本発明はシリコン単結晶引上方法およびこれに用いるドーピング装置に係り、特にドーパントのドーピング方法を改良したシリコン単結晶引上方法およびこれに用いるドーピング装置に関する。
従来、シリコン単結晶は主として、チョクラルスキー法(CZ法)によって製造されており、このCZ法は多結晶シリコンの融液に種結晶を浸し、この種結晶を中心としてシリコン単結晶を成長させ、この種晶を徐々に引上げて棒状のシリコン単結晶を製造する方法である。
この単結晶引上げでは通常、所望の抵抗率を得るためにホウ素、リン、アンチモン、ヒ素などのドーパントや、特性向上のため窒素、ゲルマニウムなどの補助ドーパントを投入することが行われている。
単結晶引上げで用いられるドーパントのうちアンチモン、ヒ素およびリンは、蒸気圧が高いためその投入は原料溶融後に行う必要がある。ホウ素などは蒸気圧が低いため原料溶融前に原料と一緒に投入し、原料溶融と同時に融液に添加することができないが、アンチモン、ヒ素およびリンは、通常固相で原料融液に投入しなくてはならず、しかも、単結晶育成中に絶えず融液自由表面から蒸発している。
通常、アンチモン、ヒ素およびリンは原料溶融後に、固体またはガスで添加される。
固体添加は融液上に落下させる方法が主流であり、ガス添加は石英治具に入れた固体の添加剤を融液上に保持してその輻射熱で昇華させて石英管を伝い添加される。
特許文献1に記載のように、固体添加に関して、精確にドーパントを供給する単結晶引上装置が提案されているが、この特許文献1のものは、添加物を精度良く融液中に落下させたとしても、図5に示すように、添加途中での昇華や融液との飛び跳ねによって添加具合にばらつきを生じる。
また、ガス添加についても、特許文献2には治具や添加方法の改善が提案されているが、この特許文献2に記載の引上方法は、確かに効率が固体添加と比較して向上する利点はあるが、添加時の昇華が始まると操作を停止することができないという作業上の欠点がある。
固体であれ、ガスであれ重要なことは、いかに添加効率を向上させるかという点であり、この添加物の固相、気相のそれぞれの利点を生かした添加方法があれば、有用である。
特開平7−82076号公報 特開2008−87981号公報
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、ドーパントの添加効率を向上させ、さらに添加量ばらつきも抑えることができるシリコン単結晶引上方法を提供することを目的とする。
また、本発明に係るシリコン単結晶引上方法に用いるドーピング装置によれば、ドーパントの添加効率を向上させ、さらに添加量ばらつきも抑えることができるシリコン単結晶引上方法に用いるドーピング装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係るシリコン単結晶引上方法は、チョクラルスキー法を用いたシリコン単結晶引上方法において、石英ガラスルツボ内のシリコン融液の表面に固相ドーパントを供給するとともに、この固相ドーパントが前記融液表面に落下する位置から前記融液表面方向に半径10〜50mmの範囲内のシリコン融液中にキャリアガスとともに気相ドーパントが供給されることを特徴とする。
また、本発明に係るシリコン単結晶引上方法に用いるドーピング装置は、チョクラルスキー法を用いたシリコン単結晶引上げに用いられる単結晶引上装置において使用され、石英ガラスルツボ内のシリコン融液にドーパントを添加するドーピング装置において、このドーピング装置は、前記シリコン融液の表面に固相ドーパントを供給し、固相ドーパント供給口がシリコン融液の表面と離間して対向する固相ドーパント供給管と、この固相ドーパント供給管から分岐し、前記固相ドーパント供給口が対向する付近からシリコン融液の内部に挿入されて、シリコン融液の内部に気相ドーパントを供給する気相ドーパント供給口が開口する気相ドーパント供給管とを備えることを特徴とする。
本発明に係るシリコン単結晶引上方法によれば、ドーパントの添加効率を向上させ、さらに添加量ばらつきも抑えることができるシリコン単結晶引上方法を提供することができる。
本発明に係るシリコン単結晶引上方法に用いるドーピング装置によれば、ドーパントの添加効率を向上させ、さらに添加量ばらつきも抑えることができるシリコン単結晶引上方法に用いるドーピング装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るシリコン単結晶引上方法に用いるシリコン単結晶引上装置および本発明の一実施形態に係るシリコン単結晶引上方法に用いるドーピング装置について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るシリコン単結晶引上方法に用いる引上装置の概念図であり、図2は本発明の一実施形態に係るシリコン単結晶引上方法に用いるドーピング装置の概念図である。
図1に示すように本実施形態の単結晶引上方法に用いる単結晶引上装置1は、チャンバ2と、このチャンバ2内に設けられた石英ガラスルツボ3と、この石英ガラスルツボ3に装填されたポリシリコンを加熱して溶融するヒータ4と、この石英ガラスルツボ3を保持する黒鉛ルツボ5とを有する。
チャンバ2は石英ガラスルツボの交換、原料シリコンの石英ガラスルツボへの充填などのために、チャンバ本体2aと、蓋体2bに分割可能になっている。
また、黒鉛ルツボ5はチャンバ2を貫通し、ルツボ回転用モータ6に結合されて回転され、かつルツボ軸昇降装置(図示せず)によって昇降されるルツボ軸7に取り付けられる。
また、単結晶引上装置1には、単結晶引上げ用のシード8を保持するシードチャック9が取り付けられた引上用ワイヤ10が、石英ガラスルツボ3の上方に設けられており、引上用ワイヤ10は、チャンバ2外に設けられたモータ(図示せず)により駆動されワイヤ回転装置11に巻取りあるいは解放自在に取り付けられる。
さらに、石英ガラスルツボ3の上方には、単結晶引上げ領域を囲むように輻射シールド12が設けられている。この輻射シールド12は、石英ガラスルツボ3やシリコン融液Mの表面から結晶への輻射熱を遮蔽し、単結晶Igの引上げ速度の低下を防ぎ、また、チャンバ2上方からシリコン融液Mの表面に向かうように供給されるキャリアガスの流れを制御するものである。
また、符号15は、キャリアガス供給装置(図示せず)に接続されたキャリアガス供給口であり、16は、不活性ガス排出装置(図示せず)に接続された不活性ガス排出口である。
図2に示すように、石英ガラスルツボ内のシリコン融液にドーパントを添加するのに用いるドーピング装置31は、一端がドーパント供給装置32およびアルゴンガス供給源33に連通し、他端に固相ドーパント供給口34aが設けられる固相ドーパント供給管34と、この固相ドーパント供給管34から分岐する1本の気相ドーパント供給管35を備える。
固相ドーパント供給管34は固相ドーパント供給口34aがシリコン融液Mの表面に固相ドーパントを供給し、固相ドーパント供給口34aがシリコン融液Mの表面と離間して対向する。
また、気相ドーパント供給管35の分岐点pから固相ドーパント供給口34aの間で水平部34bを有するようにステップ状に折曲される。
一方、気相ドーパント供給管35はシリコン融液Mの内部にキャリアガスとともに気相ドーパントを供給するためのもので、固相ドーパント供給口34aが対向する付近例えば固相ドーパント供給口34aから排出される固相ドーパントが分散する範囲からシリコン融液Mの内部に挿入されて、シリコン融液Mの内部に気相ドーパント供給口35aが開口する。
また、気相ドーパント供給管35は分岐点pから気相ドーパント供給口35aの間で略L字状に折曲される。
さらに、気相ドーパント供給管35は水平状態を保ったまま、その他端35bは分岐点pで気相ドーパント供給管35の管壁を貫通して気相ドーパント供給管35の中心線まで達している。これにより、固相ドーパントが気相ドーパント供給管35に流入するのが防がれる。
この気相ドーパント供給口35aの口径は、固相ドーパント供給口34aの口径よりも大きく設定する。
次に本発明に係るシリコン単結晶引上方法について説明する。
図1に示すように、ナゲット状ポリシリコンを石英ガラスルツボ3に入れ、不活性ガスをチャンバ2の上方の不活性ガス供給口15からチャンバ2内に流入させ、ヒータ4を付勢してポリシリコンを加熱し、シリコン融液Mを生成する。
シリコン融液Mが生成したら、蓋体2bを外して、チャンバ本体2aの上部を開放する。
予め輻射シールド12は取り除かれた状態にあり、図2に示すように、ドーピング装置31を単結晶引上装置1にセットする。
このドーピング装置31のセットにより、固相ドーパント供給管34はシリコン融液Mの表面と離間して固相ドーパント供給口34aが対向し、気相ドーパント供給管35は固相ドーパント供給口34aが対向する付近からシリコン融液Mの内部に挿入されて、シリコン融液Mの内部に気相ドーパント供給口35aが開口する。
しかる後、図3に示すように、ドーパント供給装置32から固相ドーパント供給管34に固相ドーパントを供給し、アルゴンガス供給源33からキャリアガスを供給する。このキャリアガスとしては、アルゴンなどの不活性ガスを用いるのが好ましいが、不活性ガスの混合ガスも用いることもできる。
ドーパントとしてはアンチモン、ヒ素およびリンがあげられるが、例えばアンチモンを例にとり説明する。
固相ドーパント供給管34に供給された固相アンチモンは、例えば、アルゴンガスとともに固相ドーパント供給管34を流下し、固相ドーパント供給口34aから噴き出されてシリコン融液Mの表面に溶け込む。
一方、固相ドーパント供給管34を流下する過程で昇華したアンチモンは、アルゴンガスとともに気相ドーパント供給管35を介して、シリコン融液Mの内部に供給される。
図4に示すように、アンチモンは、固相ドーパントが融液表面に落下する位置pから融液表面方向(ルツボの半径方向)に半径10〜50mmの範囲内に供給される。
半径10mm未満では、固形ドーパントが気相ドーパント供給管35と衝突する頻度が高くなり過ぎてこの管に衝突したドーパントが不用意に飛び散るので好ましくなく、また、半径50mmを超えると、バブリング位置とドーパント落下位置が離れ過ぎてしまい、本発明の効果的なドーパント供給が十分得られにくくなるので、好ましくない。
また、ドーパントをシリコン融液Mの内部に供給するために、気相ドーパント供給管35をシリコン融液M内に浸漬するが、その浸漬長さは、3〜30mmにするのが好ましい。3mmより小さいと、融液中へのガス供給が十分でなく、30mmを超えると、気相ドーパント供給管35に熱変形が起り好ましくない。
シリコン融液Mの内部にアルゴンガスとともに気相アンチモンが供給されると、固相ドーパント供給口34aが対向する付近例えば固相アンチモンが落下する範囲のシリコン融液Mの添加物のアンチモン濃度が高くなることから、濃度差による未溶融アンチモンの飛び跳ねが抑制される。
このように、固相、気相のアンチモンを同時にシリコン融液Mに接触させることによって効率よく添加することができる。
アルゴンガスの流量は、毎分5〜10リットルであるのが好ましい。
流量が毎分5リットルより少ないと、昇華したアンチモンが押し出されず、シリコン融液Mに添加されなくなってしまい、毎分10リットルを超えると、アルゴンガスのバブリングが過剰に起こり、融液自体が跳ねてしまう。
また、上記のようなドーパント添加過程において、気相ドーパント供給口35aの口径は、固相ドーパント供給口34aの口径よりも大きく設定されているので、アルゴンガスと昇華した気相アンチモンが固相ドーパント供給管34より融液表面に、気相ドーパント供給管35よりシリコン融液Mヘバランスよく取り込まれる。
これとは逆に、気相ドーパント供給口35aの口径が、固相ドーパント供給口34aの口径よりも小さいと、アルゴンガスと昇華した気相アンチモンの大部分が、固相ドーパント供給口34aより放出されてしまい、気相ドーパント供給管35を設けた効果が得られない。
ドーパント添加が終了したら、ドーピング装置31を取り除き、輻射シールド12を取り付け、チャンバ本体2aの上部を蓋体2bで塞ぎ、チャンバ2を密閉する。
しかる後、通常の引上げ方法により、アンチモンドープシリコン単結晶を製造する。
アンチモンの添加効率が向上し、添加量ばらつきも抑えたシリコン単結晶を引上げることができる。
なお、上記実施形態のドーピング装置において、固相ドーパント供給管34から分岐する気相ドーパント供給管35を1本設ける例で説明したが、図4および図5に示すように、固相ドーパントが融液表面に落下する位置pを中心として等間隔に複数本例えば2本の気相ドーパント供給管35A、35Aを配置し、固相ドーパント供給管34に段違いに設けてもよい。これにより、ドーパントの添加効率がより向上する。
本実施形態のシリコン単結晶引上方法によれば、ドーパントの添加効率を向上させ、さらに添加量ばらつきも抑えることができるシリコン単結晶引上方法が実現する。
また、本実施形態のシリコン単結晶引上方法に用いるドーピング装置によれば、ドーパントの添加効率を向上させ、さらに添加量ばらつきも抑えることができるシリコン単結晶引上方法に用いるドーピング装置が実現する。
図3に示す本発明のシリコン単結晶の育成方法を用いて、アンチモンドープのシリコン単結晶を引上げ(実施例)、図7に示す従来方法で引上げたシリコン単結晶(従来例)とアンチモンの添加率を調べた。
なお、添加効率は、添加後に育成したシリコン単結晶の直胴部のクラウン側(直胴部長0mm)の抵抗率から算出したものである。また、気相ドーパント供給口の口径は固相ドーパント供給口の1.25倍にした。
結果を表1に示す。
Figure 2010064930
表1からもわかるように、実施例では、♯6の1例で48%と50%を下回るが、他の9例でいずれも50%を上回り、平均でも54%に達し、アンチモンの添加効率が向上した。また、標準偏差も0.02822と小さく、添加量のばらつきが抑えられていることがわかる。
これに対して、従来例は4例で50%を下回り、特に、♯5では28%、♯6では42%と極めて低い値を示し、平均も49%と実施例に比べて低い。また、標準偏差も0.08583と大きく、添加量にばらつきがあることがわかる。
本発明の一実施形態のシリコン単結晶引上方法に用いる引上装置の概念図。 本発明の一実施形態のドーピング装置の概念図。 本発明の一実施形態のドーピング装置の使用状態の側面を示す概念図。 本発明の一実施形態のドーピング装置の使用状態の平面を示す概念図。 本発明の他の実施形態のドーピング装置の側面を示す概念図。 本発明の他の実施形態のドーピング装置の平面を示す概念図。 従来のドーピング装置の概念図。
符号の説明
31 ドーピング装置
32 ドーパント供給装置
33 アルゴンガス供給源
34 固相ドーパント供給管
34a 固相ドーパント供給口
34b 水平部
35 気相ドーパント供給管
35a 気相ドーパント供給口
35b 他端
p 分岐点

Claims (5)

  1. チョクラルスキー法を用いたシリコン単結晶引上方法において、石英ガラスルツボ内のシリコン融液の表面に固相ドーパントを供給するとともに、この固相ドーパントが前記融液表面に落下する位置から前記融液表面方向に半径10〜50mmの範囲内のシリコン融液中にキャリアガスとともに気相ドーパントが供給されることを特徴とするシリコン単結晶引上方法。
  2. 前記キャリアガスの流量は、毎分5〜10リットルであることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶引上方法。
  3. チョクラルスキー法を用いたシリコン単結晶引上げに用いられる単結晶引上装置において使用され、石英ガラスルツボ内のシリコン融液にドーパントを添加するドーピング装置において、
    このドーピング装置は、前記シリコン融液の表面に固相ドーパントを供給し、固相ドーパント供給口がシリコン融液の表面と離間して対向する固相ドーパント供給管と、
    この固相ドーパント供給管から分岐し、前記固相ドーパント供給口が対向する付近からシリコン融液の内部に挿入されて、シリコン融液の内部に気相ドーパントを供給する気相ドーパント供給口が開口する気相ドーパント供給管とを備える
    ことを特徴とするドーピング装置。
  4. 前記気相ドーパント供給口の口径は、前記固相ドーパント供給口の口径よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のドーピング装置。
  5. 前記固相ドーパント供給管は前記気相ドーパント供給管の分岐点から前記固相ドーパント供給口の間で水平部を有するようにステップ状に折曲され、前記気相ドーパント供給管は前記分岐点から前記気相ドーパント供給口の間で略L字状に折曲されることを特徴とする請求項4に記載のドーピング装置。
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