JP7281422B2 - 釣り用リール - Google Patents

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Description

本発明は、釣り用リールに関する。
釣り用リールでは、スプール軸などの回転軸が転がり軸受を介してリール本体に回転可能に支持されている。特許文献1では、回転軸の回転に起因する振動を吸収するために、転がり軸受の外周面と転がり軸受が装着される装着孔の内周面との間に環状の弾性体が配置されている。弾性体は、装着孔の内周面に形成された溝によって保持されている。
装着孔の内周面に形成された溝によって弾性体を保持する場合、溝の内径を精確に加工・管理することが難しい。また、効率的な振動吸収ができず、組み付け時の軸受圧入力も安定させにくい。
そこで、特許文献2には、弾性体を保持する溝を転がり軸受の外周面に設けた構成が開示されている。
特開2001-95438号公報 特開2019-97522号公報
スプール軸などの高速回転する軸を転がり軸受で支持する場合、耐荷重性が許容する限りは、回転による摩擦抵抗が小さい転がり軸受、すなわち外径が小径の転がり軸受を用いることが望ましい。しかしながら、例えば外径が8mm以下の転がり軸受では、外輪の肉厚が薄いため弾性体を保持する溝を外輪に設けることが難しい。そこで、外輪と内輪の間に配置される転動体の径を小さくすることが考えられるが、この場合は耐荷重性が著しく低下してしまう。
本発明の課題は、釣り用リールにおいて、転がり軸受の耐荷重性の低下を抑制しつつ、転がり軸受に支持される回転軸の回転に起因する振動を抑制することにある。
本発明の一側面に係る釣り用リールは、リール本体と、軸部材と、転がり軸受と、弾性体とを備える。軸部材は、リール本体に対して回転可能である。転がり軸受は、外径が8mm以下であり、軸部材を支持する。転がり軸受は、保持溝を外周面に有する外輪と、軸部材に一体回転可能に連結される内輪と、外輪と内輪の間に配置される転動体と、を有する。弾性体は、環状であり保持溝に保持される。保持溝は、軸部材の径方向において転動体と重ならない位置に設けられる。外輪の最小肉厚は、転がり軸受の外径の10%以上である。
この釣り用リールでは、外輪の最小肉厚が転がり軸受の外径の10%以上であるため、転がり軸受の耐荷重性の低下を抑制しつつ、保持溝を形成するために必要な外輪の肉厚を確保することができる。これにより、回転軸の回転に起因する振動を弾性体によって吸収することができるので、回転軸の回転に起因する振動を抑制することができる。また、転がり軸受の外径が8mm以下であるため、回転軸の回転による摩擦抵抗も小さい。
外輪の最小肉厚は、転がり軸受の外径の20%以下であってもよい。この場合は、転がり軸受の耐荷重性の低下をより効果的に抑制することができる。
外輪の最小肉厚は、転動体の直径の70%以上であってもよい。この場合は、転がり軸受の耐荷重性の低下をより効果的に抑制することができる。
本発明によれば、釣り用リールにおいて、転がり軸受の耐荷重性の低下を抑制しつつ、転がり軸受に支持される回転軸の回転に起因する振動を抑制することができる。
両軸受リールの斜視図。 図1のII-II線断面図。 図2の部分拡大図。
図1は、本発明の一実施形態が採用された両軸受リール100(釣り用リールの一例)の斜視図である。図2は、図1のII-II線断面図である。両軸受リール100は、前方に釣糸を繰り出し可能である。両軸受リール100は、リール本体2と、ハンドル3と、スプール4とを備えている。
また、両軸受リール100は、ハンドル3の回転をスプール4に伝達する回転伝達機構10、クラッチ機構11、キャスティングコントロール機構12、スプール制動機構13、及びドラグ機構(図示せず)などを備えている。
なお、以下の説明において、釣りを行うときに、釣糸が繰り出される方向を前、その反対方向を後という。また、左右とは、両軸受リール100を後方から見たときの左右をいう。また、スプール軸14(図2参照)が延びる方向を「軸方向」、スプール軸14と直交する方向を「径方向」、スプール軸14の軸回りの方向を「周方向」という。
リール本体2は、フレーム6と、フレーム6の右側方を覆う右側カバー7と、フレーム6の左側方を覆う左側カバー8と、を有している。フレーム6は、第1側板6aと、第1側板6aと軸方向に間隔を隔てて配置された第2側板6bと、第1側板6aと第2側板6bとを連結する複数の連結部6cと、を有している。
ハンドル3は、リール本体2の側方に回転可能に装着されている。本実施形態では、ハンドル3は、リール本体2の右側方に装着されている。
スプール4は、例えばアルミニウム合金製であり、第1側板6aと第2側板6bとの間でリール本体2に回転可能に支持されている。詳細には、スプール4は、リール本体2に回転可能に支持されるスプール軸14に固定されており、スプール軸14を介してリール本体2に回転可能に支持されている。
スプール軸14は、軸部材の一例である。スプール軸14は、リール本体2に設けられる転がり軸受21,22(以下、単に「軸受21,22」と記す)を介してリール本体2に回転可能に支持されている。より詳細には、軸受21,22は、深溝玉軸受である。軸受21は、第1側板6aに配置されている。軸受22は、スプール制動機構13が収容されるブレーキケース16内に配置されている。詳細には、軸受22は、ブレーキケース16に設けられた軸受装着部16aに配置されている。
図3に示すように、軸受22の外径D1は、8mm以下に設定される。本実施形態における軸受22は、外径D1が8mm、内径dが3mm、幅が3mmである。
軸受22は、外輪31と、内輪32と、複数の転動体33とを有している。
外輪31は、軸受装着部16aに圧入固定されている。外輪31の外径は、8mm以下に設定される。外輪31の外径は、軸受22の外径D1と実質的に同一である。したがって、本実施形態における外輪31の外径は8mmである。
外輪31は、駆動溝31aと、1対の肩部31bとを内周面に有している。駆動溝31aは、左右方向における外輪31の中心付近に設けられている。駆動溝31aは、径方向内側から径方向外側に凹むように形成されている。駆動溝31aは、曲面状に形成され、1対の肩部31bから離れるにしたがって径が大きくなるように形成されている。1対の肩部31bは、駆動溝31aの左右に配置されている。1対の肩部31bの径は、駆動溝31aの径よりも小さい。1対の肩部31bは、断面視において、軸方向に対して平行に延びている。
外輪31は、保持溝31cを外周面に有している。保持溝31cは、周方向の全長に亘って形成されている。保持溝31cは、径方向外側から径方向内側に凹むように形成されている。保持溝31cは、転動体33と径方向に重ならない位置に形成されている。保持溝31cは、1対の肩部31bと径方向に重なる位置に形成されている。
外輪31の肉厚は、保持溝31cが形成される部分を除いて内輪32の肉厚よりも大きい。なお、外輪31の肉厚が内輪32の肉厚と同程度であってもよいし、保持溝31cが形成される部分の肉厚が内輪32の肉厚以上であってもよい。
外輪31の最小肉厚Tは、外径D1の10%以上に設定される。したがって、外径D1が8mmの場合、最小肉厚Tは0.8mm以上に設定される。最小肉厚Tとは、図3に示すように、駆動溝31aと径方向に重なる部分において肉厚が最も小さい部分である。すなわち、本実施形態における最小肉厚Tとは、駆動溝31aにおいて径が最も大きい溝底31dから外輪31の外周面までの寸法を意味する。
最小肉厚Tは、外径D1の20%以下であることが好ましい。したがって、外径D1が8mmの場合、最小肉厚Tは1.6mm以下であることが好ましい。本実施形態における最小肉厚Tは、略0.9mmである。
内輪32は、スプール軸14に一体回転可能に連結されている。内輪32の内径は、軸受22の内径dと実質的に同一である。したがって、本実施形態における内輪32の内径は3mmである。
内輪32は、駆動溝32aと、1対の肩部32bとを外周面に有している。駆動溝32aは、左右方向における内輪32の中心付近に設けられている。駆動溝31aは、径方向外側から径方向内側に凹むように形成されている。駆動溝32aは、曲面状に形成され、1対の肩部32bから離れるにしたがって径が小さくなるように形成されている。駆動溝32aは、駆動溝31aと径方向に対向して配置されている。1対の肩部32bは、駆動溝32aの左右に配置されている。1対の肩部32bの径は、駆動溝31aの径よりも大きい。1対の肩部32bは、1対の肩部31bと径方向に対向して配置されている。
転動体33は、外輪31と内輪32の間に配置されている。転動体33は、図示しない保持器によって外輪31と内輪32の間で回転可能に保持されている。転動体33は、駆動溝31a,32aを転がる。転動体33は、球状であり、本実施形態における転動体33の直径D2は、略1.19mmである。ここで、最小肉厚Tは、転動体33の直径D2の70%以上であることが好ましい。したがって、転動体33の直径D2が1.19mmの場合は、最小肉厚Tが0.83mm以上であることが好ましい。
軸受22の外周面と軸受装着部16aの内周面との間には、環状の弾性体25が配置されている。弾性体25は、ゴムなどの弾性変形可能な部材で構成される。本実施形態における弾性体25は、Oリングである。弾性体25は、保持溝31cに保持される。弾性体25の内径は、保持溝31cの底面の外径よりも小さい。弾性体25は、軸受装着部16aの内周面に接触して配置される。弾性体25は、軸受装着部16aの内周面によって径方向内側に押圧されるように配置される。弾性体25は、軸受装着部16aの内周面に接触していない状態において外輪31の外周面から例えば、略0.05mm程度突出する。弾性体25は、スプール軸14の回転に起因する振動を吸収する。
上記構成の両軸受リール100では、外径D1が8mmの軸受22において、外輪31の最小肉厚Tが外径D1の10%以上であるため、軸受22の耐荷重性の低下を抑制しつつ、保持溝31cを形成するために必要な外輪31の肉厚を確保することができる。これにより、保持溝31cにおいて弾性体25を保持することができるので、スプール軸14の回転に起因する振動を弾性体25によって吸収することができる。
また、最小肉厚Tが外径D1の20%以下の場合は、軸受自体の過剰な重量化を防ぐことができる。また、最小肉厚Tが転動体33の直径D2の70%以上の場合においては、軸受22の耐荷重性の低下をより効果的に抑制することができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた実施形態及び複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
前記実施形態では、軸受22に保持溝31cを形成していたが、軸受21にも軸受22と同様の構成を適用してもよい。また、リール本体2に設けられる他の転がり軸受に本発明を適用してもよい。例えば、ハンドル軸やピニオンギアを回転可能に支持する転がり軸受に本発明を適用してもよい。また、スピニングリールなどの他の釣り用リールに本発明を適用してもよい。
軸受22の外径D1、軸受22の内径d、軸受22の幅、最小肉厚T及び転動体33の直径D2の寸法は、前記実施形態で例示した寸法に限定されるものではない。少なくとも、軸受22の外径D1が8mm以下かつ最小肉厚Tが外径D1の10%以上であればよい。また、最小肉厚Tは、転動体33の直径D2以上であってもよい。転動体33の直径D2を前記実施形態よりも小さくして、最小肉厚Tを前記実施形態よりも大きくしてもよい。寸法例としては、外径D1が8mm、内径dが3mm、幅が2.5mmの軸受22において、転動体33の直径D2を略0.79mm、最小肉厚Tを略1.1mmに設定することが考えられる。この場合は、回転による摩擦抵抗がより抑えられるとともに、外輪31において十分な肉厚を確保することができるので保持溝31cの形成が容易になる。この場合は最小肉厚Tが外径D1の13%以上、転動体33の直径D2の130%以上となる。
また、上記の実施形態の軸受22の外径D1を7mmにすることで軸受自体の軽量化を図ることができる。この場合の最小肉厚Tは、0.85mmであり、外径D1の12%以上、転動体33の直径D2の107%以上となる。
2 リール本体
14 スプール軸(軸部材の一例)
22 転がり軸受
25 弾性体
31 外輪
31c 保持溝
32 内輪
33 転動体
100 両軸受リール(釣り用リールの一例)
D1 外径
D2 直径
T 最小肉厚

Claims (3)

  1. リール本体と、
    前記リール本体に対して回転可能な軸部材と、
    保持溝を外周面に有する外輪と、前記軸部材に一体回転可能に連結される内輪と、前記外輪と前記内輪の間に配置される転動体と、を有し、前記軸部材を支持する外径が8mm以下の転がり軸受と、
    前記保持溝に保持される環状の弾性体と、
    を備え、
    前記保持溝は、前記軸部材の径方向において前記転動体と重ならない位置に設けられ、
    前記外輪の最小肉厚は、前記外径の10%以上である、
    釣り用リール。
  2. 前記外輪の前記最小肉厚は、前記外径の20%以下である、
    請求項1に記載の釣り用リール。
  3. 前記外輪の前記最小肉厚は、前記転動体の直径の70%以上である、
    請求項1又は2に記載の釣り用リール。
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