JP2004275076A - 魚釣用リール - Google Patents
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Abstract
【課題】釣糸放出時等において、高速回転する回転体部分が振動したりガタ付くことなく、更には、高い加工精度を必要としないで回転体の軸部分の撓みを抑制可能な魚釣用リールを提供する。
【解決手段】本発明の魚釣用リールは、高速回転するスプール5aを回転可能に支持する支持部をリール本体1に備えており、スプール5aが取り付けられたスプール軸5を転がり軸受20,21にて支持すると共に、転がり軸受20,21による支持位置とは異なる位置において、スプール軸5を動圧流体軸受30,31,32にて支持したことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の魚釣用リールは、高速回転するスプール5aを回転可能に支持する支持部をリール本体1に備えており、スプール5aが取り付けられたスプール軸5を転がり軸受20,21にて支持すると共に、転がり軸受20,21による支持位置とは異なる位置において、スプール軸5を動圧流体軸受30,31,32にて支持したことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高速回転する回転体を支持する部分に特徴を有する魚釣用リールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、魚釣用リールは、ハンドルを用いて巻取り駆動機構を駆動し、釣糸をスプールに巻回するべく構成されている。特に、両軸受リールにおいては、スプールを回転して釣糸を巻回する構成を備えており、仕掛け投擲の際に巻取り駆動機構からスプールを分離し、スプールを釣糸繰出し方向にフリー回転可能として釣糸を放出するよう構成されている。
【0003】
前記両軸受リールにおけるスプールは、リール本体とスプール軸との間に転がり軸受を介して支持する構成が最近の主流となっており、転がり軸受の精度の向上に伴って回転時における抵抗を軽減し、釣糸放出の際のスプール回転数が30000rpmを超える超高速回転になるものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した両軸受リールにおけるスプールを回転可能に支持する転がり軸受は、内輪と外輪、及びこれらの間に保持器によって保持された複数のコロを備えて構成されており、コロ及びコロを受ける溝の真円度、コロ及び溝の形状の精度、寸法誤差、保持器の形状誤差等により、微小振動が生じ、この振動が高速回転時の軸の回転に同期しない非同期振れ(NRRO)を生じさせている。このため、スプールが超高速回転するキャスト時では、スプール回転で振動が発生するという問題がある。
【0005】
また、スプール軸の軸端圧接力(制動力)を弱くしてスプールフリー状態にしてキャスティング操作すると、スプールの釣糸巻回胴部に綾巻されて保持された釣糸が、キャスト時にスプールを左右方向に振幅させるため、スプールが激しく左右に振動してしまうという不具合がある。
【0006】
さらに、スプール軸は、通常、スプールの釣糸巻回胴部の一方側から巻取り駆動機構の一部であるピニオンギヤ内に挿通される延出部分があり、軸の両側部のみ支えると高荷重を受けたときや高速回転時に中間部が撓む不具合が生じる。このような不具合は、スプールの両側部と、スプールから延出された軸の延出端部の計3箇所で軸支することで解消することも可能であるが、軸受を保持する3箇所の保持部を位置合わせして形成する際に高い加工精度が必要となり、コスト高となってしまう。また、コストを抑えるべく、スプール軸における延出端部、又は延出部のスプール側端部の内、少なくともいずれか一方を軸受にガタを持たせて支持すると、キャスト時にピニオンとスプール軸とが接触してピニオン内径部分が偏摩耗するという問題が生じる。
【0007】
そして、前記の振動やガタの影響でスプールのフランジ部分がリール本体と接触、あるいは振動で転がり軸受に不要な荷重が加わる等、キャスト時のスプール回転時の回転抵抗となるため、スプールの回転初速が低下し、更に回転数の減少が多く、仕掛け投擲距離が伸びない不具合がある。また、上記した振動によってリールを握持保持する釣人の手にキャスト毎に振動が伝わるので、長時間の実釣時に疲労が蓄積されて釣人に不快感を与える、等の不具合がある。
【0008】
この発明は、上述した問題点に基づいてなされたものであり、釣糸放出時等において、高速回転する回転体部分が振動したりガタ付くことなく、更には、高い加工精度を必要としないで回転体の軸部分の撓みを抑制可能な魚釣用リールを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用リールは、回転体を回転可能に支持する支持部をリール本体に備えており、前記回転体を軸受にて支持すると共に、前記軸受による支持位置とは異なる位置で前記回転体を動圧流体軸受にて支持したことを特徴とする。
【0010】
上記した構成において、回転体が高速回転した際、軸受のガタや回転体の回転部分の振れ、回転体の傾き、撓み等の影響で発生する振動は、軸受とは異なる位置に配設された動圧流体軸受の動圧作用によって抑えられる。すなわち、回転体は、動圧流体軸受の動圧により位置決めが成されるようになり、前記振動の影響で発生する回転体とリール本体との接触による回転抵抗や、振動による不快なノイズ、振動の影響による回転力低下が抑制される。
【0011】
また、上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用リールは、リール本体の左右側板間にスプールを回転可能に支持すると共に、前記スプールを駆動する巻取り駆動機構を備えており、前記巻取り駆動機構の一部であるピニオンと、前記スプール又は前記スプールと一体回転する部材との間に、動圧流体軸受を設けたことを特徴とする。
【0012】
上記した構成において、両軸受リールのスプール高速回転時に発生する回転軸(スプール、又はスプールと一体回転する部材であってピニオンに挿通されるもの)の撓みは、ピニオンと回転軸との間に設けられた動圧流体軸受によって抑えられる。このため、回転軸の撓みで発生する回転軸とピニオンとの接触や、スプールとリール本体との接触が解消できると共に、異音や振動が効果的に抑制され高速回転時にスプールが滑らかに回転する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、両軸受リールを例示して説明する。
図1〜図4は、本発明の第1の実施形態を示す図であり、図1は両軸受リールの内部構成を示す平面図、図2はスプール軸の支持構造を示す拡大図、図3はスプール軸が挿通されるピニオン部分を示す図であり、(a)はクラッチON状態を示す図、(b)はクラッチOFF状態を示す図、(c)はピニオン部分を示す図、そして、図4は、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図である。
【0014】
図1に示すように、魚釣用リールのリール本体1は、左右フレーム2a,2bと、これら左右フレーム2a,2bに所定の空間をもって装着される左右側板3a,3bとを備えている。左右フレーム2a,2bは、複数の支柱を介して一体化されていると共に、左右フレーム2a,2b(左右側板3a,3b)間には、釣糸が巻回されるスプール5aが取り付けられたスプール軸5が回転可能に支持されている。この場合、スプール軸5は、左右側板に亘って延出すると共に、後述するように、軸方向の複数箇所において軸受(転がり軸受)、及び動圧流体軸受によって、リール本体(側板部分やフレーム部分等)に対して回転可能に支持されている。
【0015】
前記右フレーム2bと右側板3bには、軸受9を介してハンドル軸10が回転可能に支持されており、その端部には、ハンドル12が装着されている。前記ハンドル軸10には、巻取り駆動機構が係合しており、この巻取り駆動機構は、公知のドラグ機構を介してハンドル軸に回転可能に支持された駆動歯車14と、前記スプール軸5の右フレーム部分から突出する部分に配設され、駆動歯車14と噛合するピニオン16とを備えている。
【0016】
前記スプール軸5は、一体形成されており(途中で分断されていても良い)、右フレーム2bから突出してピニオン16内を挿通すると共に、更に右側板3bから突出しており、その突出部分には、スプール軸5に対してスラスト方向に制動を加える制動装置17が設けられている。この制動装置17は、右側板3bに嵌入された保持部17aと、保持部17aに対して軸方向に螺入されるキャップ状の調整部材17bとを備えており、後述するように、保持部17a内に配設される軸受(転がり軸受)21を介して、スプール軸5の右端部側を回転可能に支持している。そして、前記調整部材17bの裏面は、スプール軸5の右端面に当て付けられており、調整部材17bを締付けることで、スプール軸5には、反対側の端面部分となる左側板3a内に取着された当付け部3cとの間でスラスト方向の押圧力が調節されて、スプール軸5の回転に対して所望の制動力が付与できるように構成されている。
【0017】
前記ピニオン16は、公知のクラッチ機構の作動部材19が円周溝16aに係合して軸方向に摺動されるようになっており、ピニオン16が作動部材19によって図3(a)に示すようにスプール側に移動されたとき、スプール軸5に形成された断面非円形の係合部(本実施形態では、スプール軸5に嵌入されたピン5b)に嵌合して駆動力伝達状態(クラッチON)となり、ピニオン16が作動部材19によって図3(b)に示すようにハンドル側に移動されたとき、前記係合部から外れることで駆動力非伝達状態(クラッチOFF)となる。
【0018】
上記した構成により、前記スプール5aは、クラッチON状態では、ハンドル12を回転操作することによって回転駆動され、クラッチOFF状態では、フリー回転可能状態となり、キャスティング操作をすることで、高速で回転駆動される。
【0019】
前記スプール軸5は、軸方向の異なる位置の複数箇所において異なるタイプの軸受、具体的には、転がり軸受、及び動圧流体軸受を介して回転可能に支持されている。この場合、転がり軸受は、左側板3aの内側に突出形成された支持部3dと、前記制動装置17の保持部17a内に配設されており、スプール軸5を両側端部で回転可能に支持している(左側の転がり軸受を符号20で、右側の転がり軸受を符号21で示してある)。また、動圧流体軸受は、本実施形態では、軸方向において、3箇所配設されており、転がり軸受20に隣接した左側板3a側、転がり軸受20,21の略中間位置である右フレーム2b部分、そして、スプール軸5とピニオン16との間に配設されている(左側の動圧流体軸受を符号30で、右フレーム部分の動圧流体軸受を符号31で、ピニオン16部分の動圧流体軸受を符号32で夫々示してある)。
【0020】
前記転がり軸受20,21は、スプール軸5に対向する内輪と、リール本体(支持部3d、保持部17a)側に対向する外輪、及び内輪と外輪との間に保持器によって保持された複数のコロ部材を備えて構成されている。
【0021】
前記動圧流体軸受30,31は、それぞれ、前記支持部3d及び右フレーム2bに固着され、スプール軸5に対して所定のギャップを介して配設されるカラー部材33,34、及び各カラー部材33,34のスプール対向面に、所定形状の溝33a,34aを形成することで構成される。また、動圧流体軸受32は、ピニオン16をスプール軸5に対して所定のギャップを介して配設すると共に、図3(c)に示すように、ピニオン16のスプール対向面(内周面)に、等間隔で3箇所、所定形状の溝32aを形成することで構成される。この場合、動圧流体軸受30〜32は、スプール軸が高速回転した際に溝部分に入り込む空気によってスプール軸をカラー部材(ピニオン)から均一に浮かせてスプール軸を回転可能に支持するものである。
【0022】
上記した転がり軸受20と、これに隣接して配設される動圧流体軸受30は、図4に示すような関係をもって配設される。すなわち、転がり軸受20の内輪とスプール軸表面との間のギャップをG1とし、動圧流体軸受30のカラー部材33とスプール軸表面との間のギャップをG2とした場合、G2>G1となるように設定される。これは、スプール軸5の低速回転時においては、動圧流体軸受には動圧が作用しないため、転がり軸受20がスプール軸を回転可能に支持し、また、高速回転したときには、動圧流体軸受30の動圧作用によってスプール軸の振動や振れを抑制できるように、動圧流体軸受30におけるギャップG2を、転がり軸受20におけるギャップG1に対して大きく設定しておく必要がある。なお、転がり軸受20におけるギャップG1を0に設定した場合では、スプール左端部における振れが抑制されることから、動圧流体軸受30は省略することも可能である。
【0023】
上記した動圧流体軸受を構成する溝は、スプール軸5が高速回転した際、それによって生じる動圧によって、スプール軸が対向部分に接触しないような形状であれば良く、図3(c)及び図4に示すように、両サイドから中央部分に向かうV字状に形成されると共に、これを周方向に亘って連続形成して構成された、いわゆるヘリングボーン形状にしたり、スパイラル形状にしたり、周方向に連続的に凹凸を繰り返すラジアル形状にする等、適宜変形することが可能である。
【0024】
また、本実施形態におけるピニオン16は、その両端部において、リール本体に対して転がり軸受25,26によって回転可能に支持されており、釣糸巻取り操作時における剛性感を向上させている。
【0025】
上記したように構成されるスプール軸5の支持構造によれば、以下のような作用効果が得られる。
スプール軸5が高速回転すると、前記カラー部材33,34及びピニオン16に形成された各溝33a,34a,32a内に、スプール軸5の回転に伴って空気が吸入され、溝部分に動圧が作用するようになり、スプール軸5の表面とカラー部材33,34内周面及びピニオン16の内周面との間は均一のギャップが維持されて、スプール軸5は、カラー部材33,34及びピニオン16に対して非接触状態が維持されるようになる。すなわち、キャスティング時等、スプール軸5が高速回転した際、転がり軸受のガタやスプール軸の振れ、スプール軸の傾き等の影響で発生する振動、或いはスプール軸の中央領域で生じ易い撓みを、上記した位置に配設された動圧流体軸受の動圧作用で抑えることが可能となり、振動や撓みの影響で発生するスプール軸5とリール本体、或いはピニオン16との接触による回転抵抗や、振動による不快なノイズ、振動の影響によるスプール軸5の回転力の低下を抑制することが可能となる。
【0026】
これにより、スプール5aの回転抵抗が減ってスプール回転速度が上昇すると共に、高速回転時のスプールの滑らかな回転が実現され、キャスティング時の仕掛けの投擲距離を伸ばすことが可能となる。また、スプール軸5に回転抵抗が作用することがないため、スプール軸5に対して純粋に制動装置17による制動力を作用させることが可能となる。さらに、手に伝わる振動や不快なノイズが抑制されるため、長時間の実釣時に釣人の疲労が軽減される。
【0027】
そして、振動や撓みが発生し難いスプール軸5の低速回転時においては、動圧流体軸受の動圧が作用せず、上記した転がり軸受20,21がスプール軸5を支持するため、どの回転域においてもスプール軸5の滑らかな回転を実現することが可能となる。また、動圧流体軸受は、支持部に対してギャップを持たせて配設する構成であり、高速回転時におけるスプール軸5の撓みや傾きを抑えるような機能を有しているため、転がり軸受を軸方向において複数箇所配設する際に必要とされる加工精度が要求されることなく、スプール軸のガタ付きや振動を効果的に抑制することが可能となる。
【0028】
図5及び図6は、上記した実施形態の変形例を示す図であり、図5は、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図、図6は、ピニオン部分を示す図であって、(a)はクラッチON状態を示す図、(b)はクラッチOFF状態を示す図、(c)はピニオン部分を示す図である。
【0029】
上記した実施形態では、各動圧流体軸受を構成する溝は、カラー部材の内周面やピニオンの内周面に形成したが、これらの図に示すように、スプール軸5の表面部分に形成しても良い。このようにスプール軸表面に溝5c,5d,5eを形成することで、動圧流体軸受を形成する際の加工を容易にすることができる。
【0030】
また、従来では、スプール軸の高速回転時に、駆動歯車側からの負荷が作用してスプール軸の回転を低下させないように、ピニオン16とリール本体との間に転がり軸受を配設していたが(図2の転がり軸受25,26参照)、ピニオン部分に動圧流体軸受32を配設したことにより、上述したように、高速回転時においてもスプール軸5はピニオン16と接触することがないため、そのような転がり軸受を排除することが可能となる。これにより、スプール軸5の軸方向寸法を短くしてリール本体の小型化が図れると共に、重量バランスを向上することが可能となる。
【0031】
図7は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、(a)は、スプール軸の左端部側を拡大して示す図、(b)は、スプール軸の右端部側を拡大して示す図である。
この実施形態では、スプール軸5の両端部に、それぞれ、コニカル形状の動圧流体軸受40,50を配設している。すなわち、スプール軸5の両端部に、先端に移行するに従い小径化する円錐面41,51を形成すると共に、リール本体となる左側板に、円錐面41と所定のギャップをもって対向する対抗面42aを有するシール保持部材42を装着し、また、前記制動装置17の調整部材17bの内面側に、円錐面51と所定のギャップをもって対向する対抗面52aを有する突出部17cを突出形成している。そして、上記した円錐面41及び対抗面52aには、スプール軸5が高速回転した際、動圧が生じるように、所定形状の溝41a,52bが形成されている。
【0032】
上記したように、スプール軸5の両端部に、コニカル形状の動圧流体軸受40,50を設けることで、動圧をスプール軸方向にも作用させることが可能となって、スプール軸5の軸方向のガタ付きを抑えることが可能となる。すなわち、スプールに綾巻きされた釣糸によってスプールが左右に激しく振動しても、そのような振動を抑制することが可能となる。また、上記した制動装置17の制動力を緩めてスプール軸両端面に圧接力が作用しないような状態にしても、スプール軸5が高速回転した際、その位置を中央に位置決めすることが可能となり、かつ、両端部をシール保持部材42や調整部材17と非接触状態に維持することができるので、高速回転時における回転抵抗を減らしながら、軸方向のガタ付きも抑えることが可能となってスプール軸5の回転抵抗がより低減される。
【0033】
なお、上記したようなコニカル形状の動圧流体軸受は、スプール軸5のいずれか一方の端部に配設した構成であっても良い。このように、一方側のみに配設した構成では、スプール軸5の端面を、対向する部材の端面に押さえ付けた状態で、軸方向のガタ付きを抑制することが可能となる。
【0034】
図8は、上記した実施形態の変形例を示す図であり、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図である。この変形例で示すように、動圧流体軸受40を構成する溝42bは、左側板内に装着されるシール保持部材42の対抗面42aに形成しても良い。また、動圧流体軸受40と転がり軸受20との間に、上述したように構成される動圧流体軸受30を配設しても良い。このように、更に動圧流体軸受30を配設することにより、スプール軸5のガタ付きや振れをより確実に抑制することが可能となる。なお、このような構成では、図7の実施形態に示したように、スプール軸5の円錐面41に溝41bを形成しても良い(図9参照)。
【0035】
図10(a)及び(b)は、スプール軸5の軸方向のガタ付きを抑える動圧流体軸受の更に別の変形例を示す図であり、(a)は、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図、(b)は、図(a)のA−A線に沿った断面図である。この変形例の動圧流体軸受60は、スプール軸5の端部に、スプール軸と直交する円板状の動圧部材61を回り止め嵌合すると共に、動圧部材61の両面側に動圧作用を発揮する所定形状の溝61aを形成したものである。動圧部材61の両面側は、スプール軸5が高速回転した際、前記溝61aによって、軸方向のズレを防止する動圧が作用するように、僅かなギャップを介してシール保持部材62、及び動圧流体軸受30のカラー部材33が配設されている。
【0036】
このような構成の動圧流体軸受60によれば、動圧を直接軸方向に作用させることができるため、スプール軸5の軸方向のズレがより確実に防止される。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明に係る魚釣用リールは、高速回転する回転体(その回転駆動軸を含む)を支持する軸受に関し、一般的な軸受(転がり軸受等)と動圧流体軸受を、回転体の異なる支持位置に配設するものであれば良く、各軸受の構成、及び配設位置、個数等、及び回転体の構成については適宜変形することが可能である。また、本発明は、両軸受リールに限らず例えば、レバーブレーキを備えたスピニングリールのロータ部分に適応することも可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によれば、スプール等の回転体が高速回転した際、回転体部分が振動したりガタ付くことなく、更には、高い加工精度を必要としないで、その回転体の軸の撓みや振れが抑制される魚釣用リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す図であり、両軸受リールの内部構成を示す平面図。
【図2】スプール軸の支持構造を示す拡大図。
【図3】スプール軸が挿通されるピニオン部分を示す図であり、(a)はクラッチON状態を示す図、(b)はクラッチOFF状態を示す図、(c)はピニオン部分を示す図。
【図4】スプール軸の左端部側における支持構造を示す図。
【図5】第1の実施形態の変形例を示す図であり、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図。
【図6】第1の実施形態の変形例であるピニオン部分を示す図であり、(a)はクラッチON状態を示す図、(b)はクラッチOFF状態を示す図、(c)はピニオン部分を示す図。
【図7】本発明の第2の実施形態を示す図であり、(a)は、スプール軸の左端部側を拡大して示す図、(b)は、スプール軸の右端部側を拡大して示す図。
【図8】第2実施形態の変形例を示す図であり、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図。
【図9】第2実施形態の第2の変形例を示す図であり、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図。
【図10】第2実施形態の第3の変形例を示す図であり、(a)は、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図、(b)は、図(a)のA−A線に沿った断面図。
【符号の説明】
1 リール本体
5 スプール軸
5a スプール
20,21 転がり軸受
30,31,32,40,50,60 動圧流体軸受
【発明の属する技術分野】
この発明は、高速回転する回転体を支持する部分に特徴を有する魚釣用リールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、魚釣用リールは、ハンドルを用いて巻取り駆動機構を駆動し、釣糸をスプールに巻回するべく構成されている。特に、両軸受リールにおいては、スプールを回転して釣糸を巻回する構成を備えており、仕掛け投擲の際に巻取り駆動機構からスプールを分離し、スプールを釣糸繰出し方向にフリー回転可能として釣糸を放出するよう構成されている。
【0003】
前記両軸受リールにおけるスプールは、リール本体とスプール軸との間に転がり軸受を介して支持する構成が最近の主流となっており、転がり軸受の精度の向上に伴って回転時における抵抗を軽減し、釣糸放出の際のスプール回転数が30000rpmを超える超高速回転になるものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した両軸受リールにおけるスプールを回転可能に支持する転がり軸受は、内輪と外輪、及びこれらの間に保持器によって保持された複数のコロを備えて構成されており、コロ及びコロを受ける溝の真円度、コロ及び溝の形状の精度、寸法誤差、保持器の形状誤差等により、微小振動が生じ、この振動が高速回転時の軸の回転に同期しない非同期振れ(NRRO)を生じさせている。このため、スプールが超高速回転するキャスト時では、スプール回転で振動が発生するという問題がある。
【0005】
また、スプール軸の軸端圧接力(制動力)を弱くしてスプールフリー状態にしてキャスティング操作すると、スプールの釣糸巻回胴部に綾巻されて保持された釣糸が、キャスト時にスプールを左右方向に振幅させるため、スプールが激しく左右に振動してしまうという不具合がある。
【0006】
さらに、スプール軸は、通常、スプールの釣糸巻回胴部の一方側から巻取り駆動機構の一部であるピニオンギヤ内に挿通される延出部分があり、軸の両側部のみ支えると高荷重を受けたときや高速回転時に中間部が撓む不具合が生じる。このような不具合は、スプールの両側部と、スプールから延出された軸の延出端部の計3箇所で軸支することで解消することも可能であるが、軸受を保持する3箇所の保持部を位置合わせして形成する際に高い加工精度が必要となり、コスト高となってしまう。また、コストを抑えるべく、スプール軸における延出端部、又は延出部のスプール側端部の内、少なくともいずれか一方を軸受にガタを持たせて支持すると、キャスト時にピニオンとスプール軸とが接触してピニオン内径部分が偏摩耗するという問題が生じる。
【0007】
そして、前記の振動やガタの影響でスプールのフランジ部分がリール本体と接触、あるいは振動で転がり軸受に不要な荷重が加わる等、キャスト時のスプール回転時の回転抵抗となるため、スプールの回転初速が低下し、更に回転数の減少が多く、仕掛け投擲距離が伸びない不具合がある。また、上記した振動によってリールを握持保持する釣人の手にキャスト毎に振動が伝わるので、長時間の実釣時に疲労が蓄積されて釣人に不快感を与える、等の不具合がある。
【0008】
この発明は、上述した問題点に基づいてなされたものであり、釣糸放出時等において、高速回転する回転体部分が振動したりガタ付くことなく、更には、高い加工精度を必要としないで回転体の軸部分の撓みを抑制可能な魚釣用リールを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用リールは、回転体を回転可能に支持する支持部をリール本体に備えており、前記回転体を軸受にて支持すると共に、前記軸受による支持位置とは異なる位置で前記回転体を動圧流体軸受にて支持したことを特徴とする。
【0010】
上記した構成において、回転体が高速回転した際、軸受のガタや回転体の回転部分の振れ、回転体の傾き、撓み等の影響で発生する振動は、軸受とは異なる位置に配設された動圧流体軸受の動圧作用によって抑えられる。すなわち、回転体は、動圧流体軸受の動圧により位置決めが成されるようになり、前記振動の影響で発生する回転体とリール本体との接触による回転抵抗や、振動による不快なノイズ、振動の影響による回転力低下が抑制される。
【0011】
また、上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用リールは、リール本体の左右側板間にスプールを回転可能に支持すると共に、前記スプールを駆動する巻取り駆動機構を備えており、前記巻取り駆動機構の一部であるピニオンと、前記スプール又は前記スプールと一体回転する部材との間に、動圧流体軸受を設けたことを特徴とする。
【0012】
上記した構成において、両軸受リールのスプール高速回転時に発生する回転軸(スプール、又はスプールと一体回転する部材であってピニオンに挿通されるもの)の撓みは、ピニオンと回転軸との間に設けられた動圧流体軸受によって抑えられる。このため、回転軸の撓みで発生する回転軸とピニオンとの接触や、スプールとリール本体との接触が解消できると共に、異音や振動が効果的に抑制され高速回転時にスプールが滑らかに回転する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、両軸受リールを例示して説明する。
図1〜図4は、本発明の第1の実施形態を示す図であり、図1は両軸受リールの内部構成を示す平面図、図2はスプール軸の支持構造を示す拡大図、図3はスプール軸が挿通されるピニオン部分を示す図であり、(a)はクラッチON状態を示す図、(b)はクラッチOFF状態を示す図、(c)はピニオン部分を示す図、そして、図4は、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図である。
【0014】
図1に示すように、魚釣用リールのリール本体1は、左右フレーム2a,2bと、これら左右フレーム2a,2bに所定の空間をもって装着される左右側板3a,3bとを備えている。左右フレーム2a,2bは、複数の支柱を介して一体化されていると共に、左右フレーム2a,2b(左右側板3a,3b)間には、釣糸が巻回されるスプール5aが取り付けられたスプール軸5が回転可能に支持されている。この場合、スプール軸5は、左右側板に亘って延出すると共に、後述するように、軸方向の複数箇所において軸受(転がり軸受)、及び動圧流体軸受によって、リール本体(側板部分やフレーム部分等)に対して回転可能に支持されている。
【0015】
前記右フレーム2bと右側板3bには、軸受9を介してハンドル軸10が回転可能に支持されており、その端部には、ハンドル12が装着されている。前記ハンドル軸10には、巻取り駆動機構が係合しており、この巻取り駆動機構は、公知のドラグ機構を介してハンドル軸に回転可能に支持された駆動歯車14と、前記スプール軸5の右フレーム部分から突出する部分に配設され、駆動歯車14と噛合するピニオン16とを備えている。
【0016】
前記スプール軸5は、一体形成されており(途中で分断されていても良い)、右フレーム2bから突出してピニオン16内を挿通すると共に、更に右側板3bから突出しており、その突出部分には、スプール軸5に対してスラスト方向に制動を加える制動装置17が設けられている。この制動装置17は、右側板3bに嵌入された保持部17aと、保持部17aに対して軸方向に螺入されるキャップ状の調整部材17bとを備えており、後述するように、保持部17a内に配設される軸受(転がり軸受)21を介して、スプール軸5の右端部側を回転可能に支持している。そして、前記調整部材17bの裏面は、スプール軸5の右端面に当て付けられており、調整部材17bを締付けることで、スプール軸5には、反対側の端面部分となる左側板3a内に取着された当付け部3cとの間でスラスト方向の押圧力が調節されて、スプール軸5の回転に対して所望の制動力が付与できるように構成されている。
【0017】
前記ピニオン16は、公知のクラッチ機構の作動部材19が円周溝16aに係合して軸方向に摺動されるようになっており、ピニオン16が作動部材19によって図3(a)に示すようにスプール側に移動されたとき、スプール軸5に形成された断面非円形の係合部(本実施形態では、スプール軸5に嵌入されたピン5b)に嵌合して駆動力伝達状態(クラッチON)となり、ピニオン16が作動部材19によって図3(b)に示すようにハンドル側に移動されたとき、前記係合部から外れることで駆動力非伝達状態(クラッチOFF)となる。
【0018】
上記した構成により、前記スプール5aは、クラッチON状態では、ハンドル12を回転操作することによって回転駆動され、クラッチOFF状態では、フリー回転可能状態となり、キャスティング操作をすることで、高速で回転駆動される。
【0019】
前記スプール軸5は、軸方向の異なる位置の複数箇所において異なるタイプの軸受、具体的には、転がり軸受、及び動圧流体軸受を介して回転可能に支持されている。この場合、転がり軸受は、左側板3aの内側に突出形成された支持部3dと、前記制動装置17の保持部17a内に配設されており、スプール軸5を両側端部で回転可能に支持している(左側の転がり軸受を符号20で、右側の転がり軸受を符号21で示してある)。また、動圧流体軸受は、本実施形態では、軸方向において、3箇所配設されており、転がり軸受20に隣接した左側板3a側、転がり軸受20,21の略中間位置である右フレーム2b部分、そして、スプール軸5とピニオン16との間に配設されている(左側の動圧流体軸受を符号30で、右フレーム部分の動圧流体軸受を符号31で、ピニオン16部分の動圧流体軸受を符号32で夫々示してある)。
【0020】
前記転がり軸受20,21は、スプール軸5に対向する内輪と、リール本体(支持部3d、保持部17a)側に対向する外輪、及び内輪と外輪との間に保持器によって保持された複数のコロ部材を備えて構成されている。
【0021】
前記動圧流体軸受30,31は、それぞれ、前記支持部3d及び右フレーム2bに固着され、スプール軸5に対して所定のギャップを介して配設されるカラー部材33,34、及び各カラー部材33,34のスプール対向面に、所定形状の溝33a,34aを形成することで構成される。また、動圧流体軸受32は、ピニオン16をスプール軸5に対して所定のギャップを介して配設すると共に、図3(c)に示すように、ピニオン16のスプール対向面(内周面)に、等間隔で3箇所、所定形状の溝32aを形成することで構成される。この場合、動圧流体軸受30〜32は、スプール軸が高速回転した際に溝部分に入り込む空気によってスプール軸をカラー部材(ピニオン)から均一に浮かせてスプール軸を回転可能に支持するものである。
【0022】
上記した転がり軸受20と、これに隣接して配設される動圧流体軸受30は、図4に示すような関係をもって配設される。すなわち、転がり軸受20の内輪とスプール軸表面との間のギャップをG1とし、動圧流体軸受30のカラー部材33とスプール軸表面との間のギャップをG2とした場合、G2>G1となるように設定される。これは、スプール軸5の低速回転時においては、動圧流体軸受には動圧が作用しないため、転がり軸受20がスプール軸を回転可能に支持し、また、高速回転したときには、動圧流体軸受30の動圧作用によってスプール軸の振動や振れを抑制できるように、動圧流体軸受30におけるギャップG2を、転がり軸受20におけるギャップG1に対して大きく設定しておく必要がある。なお、転がり軸受20におけるギャップG1を0に設定した場合では、スプール左端部における振れが抑制されることから、動圧流体軸受30は省略することも可能である。
【0023】
上記した動圧流体軸受を構成する溝は、スプール軸5が高速回転した際、それによって生じる動圧によって、スプール軸が対向部分に接触しないような形状であれば良く、図3(c)及び図4に示すように、両サイドから中央部分に向かうV字状に形成されると共に、これを周方向に亘って連続形成して構成された、いわゆるヘリングボーン形状にしたり、スパイラル形状にしたり、周方向に連続的に凹凸を繰り返すラジアル形状にする等、適宜変形することが可能である。
【0024】
また、本実施形態におけるピニオン16は、その両端部において、リール本体に対して転がり軸受25,26によって回転可能に支持されており、釣糸巻取り操作時における剛性感を向上させている。
【0025】
上記したように構成されるスプール軸5の支持構造によれば、以下のような作用効果が得られる。
スプール軸5が高速回転すると、前記カラー部材33,34及びピニオン16に形成された各溝33a,34a,32a内に、スプール軸5の回転に伴って空気が吸入され、溝部分に動圧が作用するようになり、スプール軸5の表面とカラー部材33,34内周面及びピニオン16の内周面との間は均一のギャップが維持されて、スプール軸5は、カラー部材33,34及びピニオン16に対して非接触状態が維持されるようになる。すなわち、キャスティング時等、スプール軸5が高速回転した際、転がり軸受のガタやスプール軸の振れ、スプール軸の傾き等の影響で発生する振動、或いはスプール軸の中央領域で生じ易い撓みを、上記した位置に配設された動圧流体軸受の動圧作用で抑えることが可能となり、振動や撓みの影響で発生するスプール軸5とリール本体、或いはピニオン16との接触による回転抵抗や、振動による不快なノイズ、振動の影響によるスプール軸5の回転力の低下を抑制することが可能となる。
【0026】
これにより、スプール5aの回転抵抗が減ってスプール回転速度が上昇すると共に、高速回転時のスプールの滑らかな回転が実現され、キャスティング時の仕掛けの投擲距離を伸ばすことが可能となる。また、スプール軸5に回転抵抗が作用することがないため、スプール軸5に対して純粋に制動装置17による制動力を作用させることが可能となる。さらに、手に伝わる振動や不快なノイズが抑制されるため、長時間の実釣時に釣人の疲労が軽減される。
【0027】
そして、振動や撓みが発生し難いスプール軸5の低速回転時においては、動圧流体軸受の動圧が作用せず、上記した転がり軸受20,21がスプール軸5を支持するため、どの回転域においてもスプール軸5の滑らかな回転を実現することが可能となる。また、動圧流体軸受は、支持部に対してギャップを持たせて配設する構成であり、高速回転時におけるスプール軸5の撓みや傾きを抑えるような機能を有しているため、転がり軸受を軸方向において複数箇所配設する際に必要とされる加工精度が要求されることなく、スプール軸のガタ付きや振動を効果的に抑制することが可能となる。
【0028】
図5及び図6は、上記した実施形態の変形例を示す図であり、図5は、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図、図6は、ピニオン部分を示す図であって、(a)はクラッチON状態を示す図、(b)はクラッチOFF状態を示す図、(c)はピニオン部分を示す図である。
【0029】
上記した実施形態では、各動圧流体軸受を構成する溝は、カラー部材の内周面やピニオンの内周面に形成したが、これらの図に示すように、スプール軸5の表面部分に形成しても良い。このようにスプール軸表面に溝5c,5d,5eを形成することで、動圧流体軸受を形成する際の加工を容易にすることができる。
【0030】
また、従来では、スプール軸の高速回転時に、駆動歯車側からの負荷が作用してスプール軸の回転を低下させないように、ピニオン16とリール本体との間に転がり軸受を配設していたが(図2の転がり軸受25,26参照)、ピニオン部分に動圧流体軸受32を配設したことにより、上述したように、高速回転時においてもスプール軸5はピニオン16と接触することがないため、そのような転がり軸受を排除することが可能となる。これにより、スプール軸5の軸方向寸法を短くしてリール本体の小型化が図れると共に、重量バランスを向上することが可能となる。
【0031】
図7は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、(a)は、スプール軸の左端部側を拡大して示す図、(b)は、スプール軸の右端部側を拡大して示す図である。
この実施形態では、スプール軸5の両端部に、それぞれ、コニカル形状の動圧流体軸受40,50を配設している。すなわち、スプール軸5の両端部に、先端に移行するに従い小径化する円錐面41,51を形成すると共に、リール本体となる左側板に、円錐面41と所定のギャップをもって対向する対抗面42aを有するシール保持部材42を装着し、また、前記制動装置17の調整部材17bの内面側に、円錐面51と所定のギャップをもって対向する対抗面52aを有する突出部17cを突出形成している。そして、上記した円錐面41及び対抗面52aには、スプール軸5が高速回転した際、動圧が生じるように、所定形状の溝41a,52bが形成されている。
【0032】
上記したように、スプール軸5の両端部に、コニカル形状の動圧流体軸受40,50を設けることで、動圧をスプール軸方向にも作用させることが可能となって、スプール軸5の軸方向のガタ付きを抑えることが可能となる。すなわち、スプールに綾巻きされた釣糸によってスプールが左右に激しく振動しても、そのような振動を抑制することが可能となる。また、上記した制動装置17の制動力を緩めてスプール軸両端面に圧接力が作用しないような状態にしても、スプール軸5が高速回転した際、その位置を中央に位置決めすることが可能となり、かつ、両端部をシール保持部材42や調整部材17と非接触状態に維持することができるので、高速回転時における回転抵抗を減らしながら、軸方向のガタ付きも抑えることが可能となってスプール軸5の回転抵抗がより低減される。
【0033】
なお、上記したようなコニカル形状の動圧流体軸受は、スプール軸5のいずれか一方の端部に配設した構成であっても良い。このように、一方側のみに配設した構成では、スプール軸5の端面を、対向する部材の端面に押さえ付けた状態で、軸方向のガタ付きを抑制することが可能となる。
【0034】
図8は、上記した実施形態の変形例を示す図であり、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図である。この変形例で示すように、動圧流体軸受40を構成する溝42bは、左側板内に装着されるシール保持部材42の対抗面42aに形成しても良い。また、動圧流体軸受40と転がり軸受20との間に、上述したように構成される動圧流体軸受30を配設しても良い。このように、更に動圧流体軸受30を配設することにより、スプール軸5のガタ付きや振れをより確実に抑制することが可能となる。なお、このような構成では、図7の実施形態に示したように、スプール軸5の円錐面41に溝41bを形成しても良い(図9参照)。
【0035】
図10(a)及び(b)は、スプール軸5の軸方向のガタ付きを抑える動圧流体軸受の更に別の変形例を示す図であり、(a)は、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図、(b)は、図(a)のA−A線に沿った断面図である。この変形例の動圧流体軸受60は、スプール軸5の端部に、スプール軸と直交する円板状の動圧部材61を回り止め嵌合すると共に、動圧部材61の両面側に動圧作用を発揮する所定形状の溝61aを形成したものである。動圧部材61の両面側は、スプール軸5が高速回転した際、前記溝61aによって、軸方向のズレを防止する動圧が作用するように、僅かなギャップを介してシール保持部材62、及び動圧流体軸受30のカラー部材33が配設されている。
【0036】
このような構成の動圧流体軸受60によれば、動圧を直接軸方向に作用させることができるため、スプール軸5の軸方向のズレがより確実に防止される。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明に係る魚釣用リールは、高速回転する回転体(その回転駆動軸を含む)を支持する軸受に関し、一般的な軸受(転がり軸受等)と動圧流体軸受を、回転体の異なる支持位置に配設するものであれば良く、各軸受の構成、及び配設位置、個数等、及び回転体の構成については適宜変形することが可能である。また、本発明は、両軸受リールに限らず例えば、レバーブレーキを備えたスピニングリールのロータ部分に適応することも可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によれば、スプール等の回転体が高速回転した際、回転体部分が振動したりガタ付くことなく、更には、高い加工精度を必要としないで、その回転体の軸の撓みや振れが抑制される魚釣用リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す図であり、両軸受リールの内部構成を示す平面図。
【図2】スプール軸の支持構造を示す拡大図。
【図3】スプール軸が挿通されるピニオン部分を示す図であり、(a)はクラッチON状態を示す図、(b)はクラッチOFF状態を示す図、(c)はピニオン部分を示す図。
【図4】スプール軸の左端部側における支持構造を示す図。
【図5】第1の実施形態の変形例を示す図であり、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図。
【図6】第1の実施形態の変形例であるピニオン部分を示す図であり、(a)はクラッチON状態を示す図、(b)はクラッチOFF状態を示す図、(c)はピニオン部分を示す図。
【図7】本発明の第2の実施形態を示す図であり、(a)は、スプール軸の左端部側を拡大して示す図、(b)は、スプール軸の右端部側を拡大して示す図。
【図8】第2実施形態の変形例を示す図であり、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図。
【図9】第2実施形態の第2の変形例を示す図であり、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図。
【図10】第2実施形態の第3の変形例を示す図であり、(a)は、スプール軸の左端部側における支持構造を示す図、(b)は、図(a)のA−A線に沿った断面図。
【符号の説明】
1 リール本体
5 スプール軸
5a スプール
20,21 転がり軸受
30,31,32,40,50,60 動圧流体軸受
Claims (5)
- 回転体を回転可能に支持する支持部をリール本体に備えた魚釣用リールであって、
前記回転体を軸受にて支持すると共に、前記軸受による支持位置とは異なる位置で前記回転体を動圧流体軸受にて支持したことを特徴とする魚釣用リール。 - 前記魚釣用リールは、釣糸が巻回されるスプールを左右側板間に支持した両軸受リールであり、前記回転体は、前記スプールを取り付けたスプール軸であることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
- 前記動圧流体軸受の設けられる位置は、前記回転体の回転軸方向両端部の内、少なくとも一方側であることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用リール。
- リール本体の左右側板間にスプールを回転可能に支持すると共に、前記スプールを駆動する巻取り駆動機構を備えた魚釣用リールであって、
前記巻取り駆動機構の一部であるピニオンと、前記スプール又は前記スプールと一体回転する部材との間に、動圧流体軸受を設けたことを特徴とする魚釣用リール。 - 前記ピニオンは、リール本体に複数の軸受を介して支持されていることを特徴とする請求項4に記載の魚釣用リール。
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2003
- 2003-03-14 JP JP2003070852A patent/JP2004275076A/ja active Pending
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