JP6928523B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は車輪用軸受装置に関する。詳しくは、軸受内部への泥水等の流入を抑えて、耐泥水性を向上した車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置は、車輪に接続されるハブ輪(内方部材)が転動体を介して外方部材に回転自在に支持されている。車輪用軸受装置は、泥水等が入り込んだりすることで転動体やその軌道面が損傷して軸受寿命が短くなる。このため、車輪用軸受装置には、外部から泥水等の入り込みを防止すべく外方部材と内方部材との間にシール部材が設けられている。
例えば、第2世代及び第3世代の車輪用軸受装置であって、その外方部材(外輪)が静止輪であるものにおいて、雨水や泥水等が多量に存在する環境においてもシール部材の耐泥水性の向上を図り、長期間に亘って密閉性能を確保するため、外方部材(外輪)に環状溝を形成したり、堰部を形成したシール部材を組み込んだものが提案されており(例えば、特許文献1参照)また、外方部材及び車輪取付フランジに撥水加工を施したもの(例えば、特許文献2参照)や、外方部材のアウター側端部に突堤部材が弾性装着され、かつ、撥水加工を組合せたもの(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
特許文献1に記載の車輪用軸受装置では、シール部材に芯金の露出した表面を覆うように回り込んで堰部が形成されると共に、外方部材の端部外周に形成された小径部に堰部が弾性接触され、この密着部に入り込んで小径部の外周に断面半円状の環状溝が形成されて堰部がオーバーハングした状態で配設されている。これにより、雨水や泥水等が多量に存在する環境下においてもシール部材の耐泥水性の向上を図り、長期間に亘って密封性能を確保することができる。
特許文献2に記載の車輪用軸受装置では、アウター側のシールが、鋼板をプレス加工にて形成された芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合されたシール部材とからなり、外方部材のアウター側の外周面と端面および車輪取付フランジのインナー側の側面に撥水加工が施されている。これにより、路面から跳ね上がった泥水等が、軸受周辺部品を伝ってきて外方部材の外周面に付着しても、撥水効果で球状の水滴に変化するため、その泥水等を外方部材の外周を伝うように誘導して排水することができ、リップ摺動部に滞留してリップ摩耗を誘発させるのを防止してシール部材の密封性と耐久性を高めて軸受の長寿命化を図ることができる。
特許文献3に記載の車輪用軸受装置では、外方部材のアウター側の端部外周に断面略半円状の環状溝が形成され、この環状溝にリング状の合成ゴム製の突堤部材が着脱自在に弾性装着されているので、車両の走行中に外方部材に泥水がかかって外周面を伝って流動し、シール部材の近傍に滞留するのを防止すると共に、この泥水を外方部材の外周を伝うように誘導して排水することができ、長期間に亘ってシールの耐久性と密封性能の向上を図ることができる。
特開2015−227673号公報 特開2012−180922号公報 特開2012−77770号公報
しかしながら、上述した特許文献の如く、外方部材に、一体、別体の如何に係わらず堰部や突堤部材や溝部を設けることは、ハブボルトの脱着に関するレイアウト上の制約を受けたり、外方部材の加工工数の増加を招いたり、軸受内の限られた配置スペースの中でシール部材を配置する際に、シール部材自体の設計自由度にも影響を及ぼしてしまう。また、特許文献2の如く、撥水加工処理だけでは、外方部材の表面における泥水の流れを十分にコントロールして泥水等を誘導することはできなかった。また、特許文献1,2のように軸受形状を大きく変更することなく、簡易的に泥水等の侵入を防ぐことができる構成が求められている。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、軸受形状を大きく変更することなく、軸受内部への泥水等の流入を抑えて、耐泥水性を向上した車輪用軸受装置の提供を目的とする。
第一の発明は、
内周に複列の外側転走面が形成され、車体に固定される外方部材と、
一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、および前記ハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
前記外方部材と前記内方部材との間をシールするシール部材と、を備えた車輪用軸受装置において、
少なくとも前記外方部材の外表面に撥水性塗膜と親水性塗膜とが形成されるものである。
第二の発明は、
前記撥水性塗膜と前記親水性塗膜とは、少なくとも1つの境界を有し、隣接して配置されているものである。
第三の発明は、
周方向に塗布されている前記撥水性塗膜が、周方向に塗布されている前記親水性塗膜と軸方向に隣接して配置されているものである。
第四の発明は、
前記撥水塗膜は、フッ素系塗料を塗布することにより形成されているものである。
第五の発明は、
前記親水性塗膜は、シリカ系塗料を塗布することにより形成されているものである。
第六の発明は、
前記車輪取り付けフランジの基部のインナー側に、前記撥水性塗膜が形成されているものである。
第七の発明は、
前記親水性塗膜の上に前記撥水性塗膜が形成されているものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明に係る車輪用軸受装置は、外方部材の外表面に撥水性塗膜と親水性塗膜が形成されている。これにより、例えば、路面から跳ね上がった泥水が、軸受周辺部品を伝ってきて外方部材の外表面に付着しても、撥水性塗膜による撥水効果で球状の水滴に変化するとともに転がるように移動し、当該水滴が親水性塗膜上に至ると親水性塗膜による親水効果で水滴が拡がって親水性塗膜上を移動するため、その泥水を外方部材の外表面から外方部材の下方に誘導して排除することができる。このようにして、当該車輪用軸受装置は、軸受の形状に制約を与えることなく、外方部材の外表面の泥水等の流れを効果的にコントロールすることができ、軸受内部への泥水等の流入を抑えて、シール部材の耐泥水性を向上することができる。ひいては、シール部材の長寿命化を実現して、装置全体の信頼性を向上することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置の第一実施形態における全体構成を示す斜視図。 本発明に係る車輪用軸受装置の第一実施形態における全体構成を示す断面図。 車輪用軸受装置の第一実施形態における塗膜のパターン形状を示す図であり、(a)は断面図、(b)は反路面側から俯瞰した上面図。 車輪用軸受装置の第二実施形態における塗膜のパターン形状を反路面側から俯瞰して示す上面図。 図3(a)の一部を拡大して示す拡大断面図。 車輪用軸受装置の第三実施形態における塗膜のパターン形状を示す図であり、(a)は断面図、(b)は反路面側から俯瞰した上面図。 (a)は水接触角の測定方法を示す説明図、(b)はぬれ性の評価を説明する説明図。
以下に、図1と図2とを用いて、車輪用軸受装置の第一実施形態である車輪用軸受装置1について説明する。
図1と図2とに示すように、車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外輪2、ハブ輪3、内輪4、転動列であるインナー側ボール列5a(図2参照)、アウター側ボール列5b(図2参照)、インナー側シール部材6(図2参照)およびアウター側シール部材7(図2参照)を具備する。なお、本明細書において、インナー側とは、車輪用軸受装置1を車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、車輪用軸受装置1を車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。
図2に示すように、外方部材である外輪2は、転動列5a、5bを介して、内方部材(ハブ輪3と内輪4)を支持するものである。外輪2は、例えば、略円筒状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。外輪2のインナー側端部には、インナー側シール部材6が嵌合可能なインナー側開口部2aが形成されている。外輪2のアウター側端部には、アウター側シール部材7が嵌合可能なアウター側開口部2bが形成されている。
外輪2の内周面には、環状に形成されているインナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dとが周方向に互いに平行になるように形成されている。インナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dとには、例えば、高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲とする硬化層が形成されている。外輪2の外周面には、図示しない懸架装置のナックルに取り付けるための車体取り付けフランジ2eが一体に形成されている。車体取り付けフランジ2eの取り付け面である一側面および他側面は、好ましくは、切削加工等の機械加工が施されている。また、詳細は後述するが、外輪2及びハブ輪3の外表面(外周面)の一部には、図2に示すように、撥水性塗膜及び親水性塗膜をコーティングした塗膜Cが形成されている(図中二点鎖線にて示す部分)。
内方部材を構成するハブ輪3は、図示しない車両の車輪を回転自在に支持するものである。ハブ輪3は、例えば、円筒状に形成されたS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪3のインナー側端部には、外周面に縮径された小径段部3aが形成されている。ハブ輪3のアウター側端部には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3bが一体的に形成されている。ハブ輪3の車輪取り付けフランジ3b側の外周面には、周方向に環状の内側転走面3cと環状のシール摺動面3dとが形成されている。車輪取り付けフランジ3bには、円周等配位置にハブボルト3eが設けられている。ハブ輪3の内周面には等速自在継手を構成する外側継手部材(図示せず)が内嵌されるトルク伝達用のセレーション3f(またはスプライン)が形成されている。
ハブ輪3は、例えば、インナー側の小径段部3aからアウター側の内側転走面3cまでを高周波焼入れにより表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、ハブ輪3は、車輪取り付けフランジ3bに付加される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、ハブ輪3の耐久性が向上する。ハブ輪3に形成されている内側転走面3cは、外輪2のアウター側の外側転走面2dに対向するように配置されている。ハブ輪3の小径段部3aには、内輪4が圧入されている。
内輪4は、転動列であって車載時に車体側に配置されるインナー側ボール列5aと車載時に車輪側に配置されるアウター側ボール列5bとに予圧を与えるものである。内輪4は、円筒状に形成されている。内輪4は、例えば、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。内輪4の外周面には、周方向に環状の内側転走面4aが形成されている。内輪4は、圧入によりハブ輪3のインナー側端部に固定されている。つまり、ハブ輪3のインナー側には、内輪4によって内側転走面4aが構成されている。内輪4に形成されている内側転走面4aが外輪2のインナー側の外側転走面2cに対向するように配置されている。
転動列であるインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、ハブ輪3を回転自在に支持するものである。インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、転動体である複数のボールが保持器によって環状に保持されている。インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bに収容されるボールは、例えば、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで62〜67HRCの範囲で硬化処理されている。インナー側ボール列5aは、内輪4に形成されている内側転走面4aと、それに対向している外輪2のインナー側の外側転走面2cとの間に転動自在に挟まれている。アウター側ボール列5bは、ハブ輪3に形成されている内側転走面3cと、それに対向している外輪2のアウター側の外側転走面2dとの間に転動自在に挟まれている。つまり、インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、外輪2に対してハブ輪3と内輪4とを回転自在に支持している。
車輪用軸受装置1には、外輪2とハブ輪3と内輪4とインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとから複列アンギュラ玉軸受が構成されている。なお、本実施形態において、車輪用軸受装置1には、複列アンギュラ玉軸受が構成されているがこれに限定されるものではなく、複列円錐ころ軸受等で構成されていてもよい。
インナー側シール部材6は、外輪2のインナー側開口部2aとハブ輪3との隙間を塞ぐものである。インナー側シール部材6は、略円筒状のシール板と一側端部に鍔を有する略円筒状のスリンガとを具備する。インナー側シール部材6は、例えば、冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC等)等から構成されているシール板に、例えば、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなる複数の一側シールリップが加硫接着されている。スリンガは、例えば、シール板と同等の鋼板から構成されている。インナー側シール部材6は、シール板が外輪2のインナー側開口部2aに嵌合され、スリンガの円筒部分が内輪4に嵌合され、パックシールを構成している。スリンガは、その鍔部分が外側(インナー側)に向くようにして内輪4に固定されている。スリンガの鍔部分の外側(インナー側)には、回転速度検出装置(図示せず)の磁気エンコーダ9が接着されている。インナー側シール部材6は、シール板の一側シールリップが油膜を介してスリンガと接触または近接することでスリンガに対して摺動可能に構成されている。これにより、インナー側シール部材6は、外輪2の内部からの潤滑グリースの漏れ、および外部からの雨水や粉塵等の異物の侵入を防止する。
アウター側シール部材7は、外輪2のアウター側開口部2bとハブ輪3との隙間を塞ぐものである。アウター側シール部材7は、例えば、ニトリルゴム等の合成ゴムからなる複数の他側シールリップが加硫接着によって略円筒状に形成された、例えば冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC等)等から構成されている芯金に一体に接合されている。アウター側シール部材7は、外輪2のアウター側開口部2bに円筒部分が嵌合され、ハブ輪3のシール摺動面3dに複数の他側シールリップが接触している。アウター側シール部材7は、他側シールリップが油膜を介してハブ輪3のシール摺動面3dと接触または近接することでハブ輪3に対して摺動可能に構成されている。これにより、アウター側シール部材7は、外輪2の内部からの潤滑グリースの漏れ、および外部からの雨水や粉塵等の異物の侵入を防止する。但し、インナー側シール部材6及びアウター側シール部材7については、様々な仕様が存在しており、本願の仕様に限定するものではない。
このように構成される車輪用軸受装置1は、外輪2とハブ輪3と内輪4とインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとから複列アンギュラ玉軸受が構成され、ハブ輪3がインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bを介して外輪2に回転自在に支持されている。また、車輪用軸受装置1は、外輪2のインナー側開口部2aと内輪4との隙間をインナー側シール部材6で塞がれ、外輪2のアウター側開口部2bとハブ輪3との隙間をアウター側シール部材7で塞がれている。これにより、車輪用軸受装置1は、内部からの潤滑グリースの漏れ、および外部からの泥水等の流入を防止しつつ、外輪2に支持されているハブ輪3が回転可能に構成されている。
次に、図3から図7を用いて、外方部材である外輪2の外表面に撥水性塗膜及び親水性塗膜により所定のパターン形状で形成される塗膜(図3(a)、図5、図6(a)における細ハッチング部分及びクロスハッチング部分、図3(b)、図4、図6(b)における薄いドットで示す領域部分及び濃いドットで示す領域部分)ついて詳細に説明する。
なお、図3、図5、及び図6においては、理解に供するために実際の塗膜の厚さ寸法よりも大きく記載しており、当該塗膜の部分はイメージ図として記載している。
図3に示すように、第一実施形態の車輪用軸受装置1に係る塗膜Cは、撥水性塗膜40(図3(a)において細ハッチングで示す領域部分、図3(b)において薄いドットで示す領域部分)と親水性塗膜50(図3(a)においてクロスハッチングで示す領域部分、図3(b)において濃いドットで示す領域部分)とにより構成される。親水性塗膜50は、複数(本実施形態では2列)の所定幅を有する帯状のものであり、親水性塗料が周方向に亘って帯状に所定長さに塗布されて形成される。親水性塗膜50は、外輪2の外表面において、軸方向における車体取り付けフランジ2eのアウター側基部と外輪2のアウター側端部との間の領域に形成される。撥水性塗膜40は、親水性塗膜50が形成された領域に隣接して形成される。具体的には、周方向に塗布されている撥水性塗膜40が、周方向に塗布されている親水性塗膜50と軸方向において隣接して配置されている。例えば、撥水性塗膜40は、車体取り付けフランジ2eの径方向端面からアウター側の軸方向端面に亘る領域と、2列の帯状の親水性塗膜50の間の領域と、2列の帯状の親水性塗膜50のアウター側端部と外輪2のアウター側端部の間の領域と、ハブ輪3における車輪取り付けフランジ3bのインナー側端面の領域とに形成される。
また、撥水性塗膜40と親水性塗膜50とは、境界Bを有し、隣接して配置されている。本実施形態では、車輪用軸受装置1において、隣接して配置される撥水性塗膜40と親水性塗膜50との境界Bが複数設けられている。こうして、撥水性塗膜40と親水性塗膜50とは交互にパターン化して配置されている。なお、車輪用軸受装置1において、撥水性塗膜40と親水性塗膜50との境界Bは、少なくとも1つ設けられていればよい。例えば、塗膜Cは、外輪2の外表面において、先ず親水性塗膜50に対応する部分及び塗膜Cを形成しない部分をマスキングした状態で撥水性塗料を塗布すること撥水性塗膜40を形成した後、マスキングを取り外して、その部分に親水性塗料を塗布して形成することができる。
なお、外輪2の外周面の車両下方側に泥水等が付着しても、自然に下方に落下していくため、塗膜Cは車輪用軸受装置1の少なくとも車両上方側に形成すればよいが、塗膜自体は、防錆能を有するため、車両上方側だけでなく、外輪2の全周に形成してもよいし、いわゆる、電蝕防止のため、車体取り付けフランジ2eのインナー側側面に形成してもよい。
また、本実施形態では、上述したように、ハブ輪3における車輪取り付けフランジ3bのインナー側端面の領域にも、撥水性塗膜40を形成しているが、車輪取り付けフランジ3bのインナー側端面の全領域ではなく、少なくとも車輪取り付けフランジ3bの基部のインナー側に撥水性塗膜40を形成するように構成してもよいし、ブレーキロータや車輪の固着防止のため、車輪取り付けフランジ3bの外径部、アウター側側面やパイロット部に亘り、撥水性塗膜を形成してもよい。
また、前述した2列の帯状の親水性塗膜50は、その形状を第一実施形態に係るものに限定するものではなく、例えば、図4に示すように、外輪2の外表面における車両上方側の頂部において屈曲部40aを有するとともに、当該屈曲部40aから軸方向のアウター側かつ下方に行くに従って親水性塗膜50の幅が徐々に拡がるように構成してもよい。このように構成することにより、泥水等を下方に向けてスムーズに落下させることができる。
撥水性塗膜40は、例えば、フッ素系塗料を塗布することで形成される。なお、撥水性塗膜40を形成する撥水性塗料としては、特に限られることはなく、撥水性を有する塗料であればよく、フッ素系塗料の他、例えば、シリコン樹脂を含む塗料や、船底塗料などを用いることができる。また、撥水性塗料は、例えば、75度以上、好ましくは90度以上の接触角を有していることが好適である。
親水性塗膜50は、例えば、シリカ系塗料を塗布することで形成される。なお、親水性塗膜50を形成する親水性塗料としては、特に限られることはなく、親水性を有する塗料であればよく、シリカ系塗料の他、例えば、光触媒塗料、アルカリシリケート類含有無機塗料、金属アルコキシド類含有無機塗料、有機無機複合化塗料などを用いることができる。また、撥水性塗料は、例えば、55度以下、好ましくは40度以下の接触角を有していることが好適である。
なお、接触角とは、図7(a)に示すように、対象塗膜上に水滴を滴下した際の当該塗膜表面と水滴面とのなす角度θのことである。また、図7(b)に示すように、Aの水滴の状態では、接触角が大きく、ぬれにくく、撥水性が大きくなり、B、C、Sの水滴の状態のように、接触角が小さくなるにつれて、ぬれやすくなり、親水性が大きくなる。
このように構成される車輪用軸受装置1においては、主に静止輪である外輪2の外表面における少なくとも車両上方側の面に対し、例えば、フッ素系塗料等からなる撥水性塗膜40と、シリカ系塗料等からなる親水性塗膜50とが、境界Bを有して軸方向に隣接し、交互になるようにパターン化して配置されている。これにより、路面から跳ね上がった泥水等が、軸受周辺部品を伝ってきて外輪2の外表面に飛散しても、撥水性塗膜40による撥水効果で球状の水滴に変化するとともに転がるように移動する。当該水滴が親水性塗膜50上に至ると親水性塗膜50による親水効果で水滴が拡がって(図5に示す矢印参照)、親水性塗膜50上を外輪2の周方向に移動する。その泥水等を外輪2の外表面から外輪2の下方に誘導して排除することができる(図3(b)、図4において矢印で示す水滴の流れ参照)。このようにして、当該車輪用軸受装置1は、軸受の形状、レイアウトに制約(例えば、排水用の溝加工等も含む)を与えることなく、外輪2の外表面の泥水等の流れを効果的にコントロールし、軸受内部(アウター側シール部材7)へ向かう泥水等の流入を抑えて、アウター側シール部材7の耐泥水性を向上することができる。ひいては、アウター側シール部材7の長寿命化を実現して、装置全体の信頼性を向上することができる。
換言すると、撥水性塗膜40上に泥水が付着すると、泥水は接触角が大きい略球形の水滴にまとまる。親水性塗膜50上に泥水が付着すると、泥水は接触角が小さい略平坦に広がる水滴となる。撥水性塗膜40から境界Bを介して親水性塗膜50に至る過程では、水滴の接触角が、撥水側である撥水性塗膜40から、親水側である親水性塗膜50にかけて、大から小へと変化するため、撥水側から親水側へ、泥水が流れる力が働く。これを利用して、あたかも三次元(3D)の物理的な溝があるかのように、アウター側シール部材7へ向かおうとする泥水の流れをコントロールするとともに、塗膜Cによる外表面の防錆能や防汚性能も付与される。
次に、図6を用いて塗膜C1について説明する。
図6(b)に示すように、塗膜C1を俯瞰してみた状態は、前述した塗膜Cを示す図3(b)と略同じであるが、その形成方法が異なるものである。具体的には、塗膜C1は、先ず親水性塗料を、外輪2の外表面において、車体取り付けフランジ2eの径方向端面からアウター側端面に亘る領域と、ハブ輪3における車輪取り付けフランジ3bのインナー側端面の領域とに塗布して親水性塗膜50A(親水性の下地層)を形成する(図6(a)において細ハッチングで示す領域部分、図6(b)において薄いドットで示す領域部分)。それから、外輪2の外表面であって、軸方向における車体取り付けフランジ2eのアウター側基部と外輪2のアウター側端部との間の領域に周方向に亘って複数(本実施形態では2列)の帯状の撥水性塗料を塗布して撥水性塗膜40Aを形成する(図6(a)においてクロスハッチングで示す領域部分、図6(b)において濃いドットで示す領域部分)。これにより、車両上方側から見ると図6(b)に示すように、撥水性塗膜40Aと親水性塗膜50Aとが隣接して交互に形成される。すなわち、塗膜C1では、所定領域の全面に親水性塗膜50Aを下地層として形成した後、当該下地層の上に撥水性塗膜40Aを複数の帯状にパターン化して形成している。これにより、撥水性塗膜40Aの膜厚分に相当する微小な段差が形成されるため、実体的な溝による泥水等の排出効果も加わり、撥水性塗膜40Aから親水性塗膜50Aへの水滴の移動が促進されるため、第1実施形態に係る塗膜Cと同様の作用効果を有するのに加えて、さらに効果的に泥水の流れをコントロールすることができる。加えて、このような塗膜C1の形成方法によれば、マスキング作業が省けて、装置の製造工程を簡略化することができる。
なお、本実施形態においては、親水性塗膜と撥水性塗膜の各パターン形状は例示であり、本実施形態に限るものではない。
さらには、撥水性塗膜に代わるものとして、撥水性を有するテープ状のものを、親水性塗膜の上に接着(貼り付け)するなど、親水性あるいは撥水性を有するものであれば、塗膜の代わりに使用してもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
加えて、本願における車輪用軸受装置1は、内方部材として一つの内輪が嵌合されたハブ輪を備え、取付フランジを有している外方部材である外輪と内方部材である内輪とハブ輪の嵌合体で構成された第3世代構造としているが、これに限定するものではない。例えば、主に外方部材である外輪と内方部材である一対の内輪で構成された第1世代構造であってもよい。また、取付フランジを有している外方部材である外輪と内方部材である一対の内輪で構成され、この一対の内輪がハブ輪の外周に嵌合される第2世代構造であってもよい。更に、内方部材としてハブ輪と自在継手が連結されており、取付フランジを有している外方部材である外輪と内方部材であるハブ輪と自在継手の嵌合体で構成された第4世代構造であってもよい。また、自在継手が連結される駆動輪用に限らず、従動輪用であってもよい。
1 車輪用軸受装置
2 外輪
2c・2d 外側転走面
3 ハブ輪
3b 車輪取り付けフランジ
3c・4a 内側転走面
4 内輪
5a インナー側ボール列
5b アウター側ボール列
6 インナー側シール部材
7 アウター側シール部材
40、40A 撥水性塗膜
50、50A 親水性塗膜
C、C1 塗膜

Claims (7)

  1. 外周に車体取り付けフランジを有し、内周に複列の外側転走面が形成され、車体に固定される外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジを有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、および前記ハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記外方部材と前記内方部材との間をシールするシール部材と、を備えた車輪用軸受装置において、
    少なくとも前記外方部材の外表面に撥水性塗膜と親水性塗膜とが形成され、
    前記撥水性塗膜と前記親水性塗膜は、前記外方部材の外表面において、前記車体取り付けフランジのアウター側基部と前記外方部材のアウター側端部との間の領域に形成される、車輪用軸受装置。
  2. 前記撥水性塗膜と前記親水性塗膜とは、少なくとも1つの境界を有し、隣接して配置されている、請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 周方向に塗布されている前記撥水性塗膜が、周方向に塗布されている前記親水性塗膜と軸方向に隣接して配置されている、請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記撥水塗膜は、フッ素系塗料を塗布することにより形成されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記親水性塗膜は、シリカ系塗料を塗布することにより形成されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車輪用軸受装置。
  6. 前記車輪取り付けフランジの基部のインナー側に、前記撥水性塗膜が形成されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車輪用軸受装置。
  7. 前記親水性塗膜の上に前記撥水性塗膜が形成されている、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の車輪用軸受装置。
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