JP2021167647A - 転がり軸受 - Google Patents

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陽三 谷口
Yozo Taniguchi
寛一 耕田
Kanichi Kouda
友之 合田
Tomoyuki Aida
淳 内藤
Atsushi Naito
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Abstract

【課題】外輪の外周に弾性部材を装着してクリープを防ぐとともに、弾性部材の脱落を防止する。【解決手段】転がり軸受10は、外輪11と、内輪12と、複数の転動体13と、外輪11に一体に組付けられた環状の弾性部材15と、を備える。外輪11は、軸方向に延在する外輪外周面17と、軸方向一方で径方向に延在する側面18と、側面18と外輪外周面17とがつながる部位に全周にわたって形成された環状の凹部30と、を有し、凹部30は、外輪外周面17より小径の円筒面である溝底面31と、径方向外方に延在する溝側面32とを有する。弾性部材15は、軸方向に延在する円筒面である内周面39を有し、径方向の太さw1が外輪外周面17と溝底面31との径方向の寸法より大きく、内周面39が溝底面31と全周にわたって面で接触している。【選択図】図2

Description

本発明は、主として車両のトランスミッションやデフに使用される転がり軸受に関し、特に、外輪のクリープを防止する構造に関する。
車両のトランスミッションやデフなどの駆動装置では、図7に示すように、ギア軸71が転がり軸受72、72によって回転自在に支持されている。転がり軸受72は、中心軸mの回りで相対的に回転する外輪73と内輪74とを備えており、外輪73が、アルミニウム鋳物で製造されたハウジング70にすきまばめの状態で固定されている。しかしながら、ハウジング70の熱膨張量が鋼製の転がり軸受72より大きいので、車両が走行してハウジング70の温度が上昇すると、外輪73とハウジング70との嵌め合い面とのすきまが大きくなる場合がある。
通常、車両がエンジンで駆動されて走行している状態(ドライブ状態)では、ギアで伝達される動力の反力が転がり軸受72に作用しているので、外輪73は、ハウジング70に強く押し付けられており容易に移動しない。しかしながら、アクセルを緩めて、車輪がエンジンを駆動する状態(コースト状態)に切り替わるときに、転がり軸受72が無負荷状態となるので、外輪73とハウジング70との嵌め合い面のすきまが大きい場合には、外輪73が内輪74に引きずられて回転方向に移動する(以下、「クリープ」という)ことにより、ハウジング70の嵌め合い面が摩耗する恐れがある。
特許文献1には、図8に示すように、ゴム製のOリング75(弾性部材)が外輪73の外周に設けた凹部76に組み込まれて、Oリング75とハウジング70との間、及び、Oリング75と外輪73との間のすべり摩擦力によって外輪73のクリープを抑制する転がり軸受72が記載されている。更に、特許文献1では、転がり軸受72をハウジング70に組付けるときにOリング75が脱落するのを防止するために、凹部76が、軸方向内方ほど軌道輪内部に凹入した形状となっている。
特開平08−074845号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている凹部76は、中心軸mに対して傾いており、かつ、径方向の幅が狭いので、切削加工が困難になるという問題がある。
更に、外輪73の側面77または外周面78からのOリング75の突出量が小さいため、十分な締め代をもってOリング75をハウジング70に押し付けることが困難である。このため、外輪73のクリープを確実に防止できないという問題がある。
また、凹部76の切削加工を簡便にするために、図9に示すように、外周面78の幅方向の中央に凹部76を設ける方法が考えられる。この方法によると、Oリング75とハウジング70とのしめしろを大きくするとともに、Oリング75の脱落を防止することができるが、凹部76が外輪73の軌道面79に近接するので、軌道面79と凹部76との間の肉厚tが減少する。このため、転がり軸受72に大きな荷重が作用すると、肉厚tの小さいところで内部応力が増大し、外輪73が破損する恐れがある。
上記の事情に鑑み、本発明の目的は、外輪の外周に弾性部材を装着して、ハウジングに対する外輪のクリープを防いだ転がり軸受において、比較的簡便な加工方法で弾性部材の装着部を形成するとともに、外輪の強度低下を防止しつつ、弾性部材の脱落を防止した転がり軸受を提供することである。
本発明の一形態は、外輪と、内輪と、前記外輪と前記内輪との間に配置される複数の転動体と、前記外輪に一体に組付けられた環状の弾性部材と、を備え、前記外輪または前記内輪が、中心軸の回りで回転する転がり軸受であって、前記外輪は、前記中心軸の方向である軸方向に延在する外輪外周面と、前記外輪外周面より軸方向一方で前記中心軸と直交する方向である径方向に延在する側面と、前記側面と前記外輪外周面とがつながる部位に全周にわたって形成された環状の凹部と、を有し、前記凹部は、前記外輪外周面の軸方向一方の端部に設けられた前記外輪外周面より小径の円筒面である溝底面と、前記溝底面の軸方向他方の端部とつながって径方向外方に延在する溝側面とを有し、前記弾性部材は、軸方向に延在する円筒面である内周面を有し、径方向の太さが前記外輪外周面と前記溝底面との径方向の寸法より大きく、前記凹部に組付けられて、前記内周面が前記溝底面と全周にわたって面で接触している。
本発明によると、外輪の外周に弾性部材を装着して、ハウジングに対する外輪のクリープを防いだ転がり軸受において、比較的簡便な加工方法で弾性部材の装着部を形成するとともに、外輪の強度低下を防止しつつ、弾性部材の脱落を防止した転がり軸受を提供することができる。
図1(a)は、第1実施形態の転がり軸受の正面図であり、図1(b)は、図1(a)のX−Xの位置における断面図である。 図1(b)において弾性部材が組み込まれている部分の要部拡大図である。 弾性部材が脱落するときの動きを説明する説明図である。 ハウジングに組み込まれた転がり軸受の軸方向断面図である。 弾性部材の変形例についての軸方向断面図である。 第2実施形態における弾性部材が組み込まれている部分の要部拡大図である。 従来の車両用駆動装置の部分断面図である。 従来の転がり軸受の軸方向断面図である。 従来の転がり軸受の他の形態を示す軸方向断面図である。
(第1実施形態)
図を用いて本発明を実施するための形態を説明する。図1(a)は、第1実施形態としての転がり軸受10の正面図で、図1(b)は、図1(a)のX−Xの位置における断面図である。図2は、図1(b)において弾性部材15が組み込まれている部分の要部拡大図である。
第1実施形態の転がり軸受10は、外輪11と、内輪12と、転動体としての複数の円すいころ13と、保持器14と、弾性部材15と、を備えている。外輪11及び内輪12は環状であり、それぞれの中心軸が一致するように組み合わされている。外輪11と内輪12との間には複数の円すいころ13が組み込まれており、内輪12は外輪11の内側で、中心軸mを中心として回転自在である。以下の説明では、中心軸mと平行な方向を軸方向とし、中心軸mと直交する方向を径方向、中心軸mの回りを周回する方向を周方向という。また、図1(b)の左方を軸方向一方といい、右方を軸方向他方という。
外輪11は、SUJ2等の軸受鋼で製造されている。外輪11は、外側軌道面16と、外輪外周面17と、外輪の背面18(請求項1の側面)と、外輪の正面19と、凹部30と、を備えている。
外側軌道面16は、外輪11の内周に形成され、円すいころ13が転走する面である。外側軌道面16は、中心軸mを軸とする円錐面で形成されており、軸方向一方に向かうにしたがって直径が小さくなっている。
外輪外周面17は、中心軸mを中心とする円筒面である。
外輪の背面18は、外輪11の軸方向一方で中心軸mと直交する向きに形成されて径方向に延在している。外輪の背面18の径方向内方の端部は、外側軌道面16の軸方向一方の端部とつながっている。
外輪の正面19は、外輪11の軸方向他方で中心軸mと直交する向きに形成されており、外輪外周面17の軸方向他方の端部及び外側軌道面16の軸方向他方の端部とつながっている。
図2を参照して、凹部30について説明する。凹部30は、外輪の背面18の外周と外輪外周面17とがつながる部位に全周にわたって環状に形成されており、溝底面31と、溝側面32と、で画定される。凹部30には、弾性部材15が組付けられる。
溝底面31は、中心軸mを中心とする円筒面であり、溝底面31の外径は、外輪外周面17の外径より小径である。溝底面31の軸方向一方の端部は、外輪の背面18の径方向外方端部とつながっている。
溝側面32は、溝底面31の軸方向他方の端部から中心軸mと直交する向きに径方向外方に延在しており、外輪外周面17の軸方向一方の端部とつながっている。
こうして、凹部30は、外輪外周面17の軸方向一方の端部から径方向内方に凹むとともに、外輪の背面18の径方向外方の端部から軸方向他方に凹むことで形成されている。また、凹部30は、径方向外方及び軸方向一方に向かって開放しており、切削加工によって容易に形成することができる。
再び図1を参照する。内輪12は,SUJ2等の軸受鋼で製造されている。内輪12は、内側軌道面21と、内輪内周面22と、内輪の正面23と、内輪の背面24と、を備えている。
内側軌道面21は、内輪12の外周に形成されており、円すいころ13が転走する面である。内側軌道面21は、中心軸mを軸とする円錐面で形成されており、軸方向一方に向かうにしたがって直径が小さくなっている。内側軌道面21の軸方向一方の端部に、径方向外方に凸となった小つば25が形成されるとともに、内側軌道面21の軸方向他方の端部に、径方向外方に凸となった大つば26が形成されている。円すいころ13は、転がり軸受10が回転するときに大つば26で案内されて、周方向に転動する。
内輪内周面22は、中心軸mを中心とする円筒面である。内輪の正面23は、内輪内周面22の軸方向一方の端部から径方向に延在しており、内輪の背面24は、内輪内周面22の軸方向他方の端部から径方向に延在している。
円すいころ13は、SUJ2等の軸受鋼で製造されている。円すいころ13は、円錐台の形状であり、外輪11の外側軌道面16と内輪12の内側軌道面21との間に複数組み込まれる。
保持器14は、冷間圧延鋼板をプレス成形し、或いは、合成樹脂を射出成形することによって製造される。保持器14には、円すいころ13を一つずつ収容するポケットが周方向に複数形成されており、複数の円すいころ13が、内輪12と外輪11との間で周方向に等しい間隔で保持されている。
内輪12又は外輪11が回転すると、円すいころ13が、各軌道面16、21を転動する。各軌道面16、21が円錐面で形成されているので、転がり軸受10は、軸方向に作用する荷重(アキシアル荷重)及び径方向に作用する荷重(ラジアル荷重)を同時に支持することができる。
図2によって、弾性部材15について説明する。
弾性部材15は、中心軸mを中心とする環状で、周方向に一様な太さを有している。弾性部材15は、本体部35と凸部38とを有する。本体部35は、全周にわたって弾性部材15の外周側に形成されており軸方向断面が略円形状である。凸部38は、全周にわたって本体部35の内周側に形成されており軸方向断面が矩形形状である。本体部35と凸部38は、ニトリルゴム(NBR)やアクリルゴム(ACM)などの耐油性を有するゴム材で一体に形成されている。
本体部35の外周面(以下「ゴム外周面36」)は、軸方向断面では、直径がdの円の一部で形成されている。径方向外方の頂点をQとする。
凸部38は、ゴム内周面39と、第1側面40及び第2側面41で画定される。ゴム内周面39は、中心軸mと平行に軸方向に延在する円筒面である。第1側面40及び第2側面41は、ゴム内周面39の軸方向両端から径方向外方に延在して、それぞれ径方向外方でゴム外周面36とつながっている。第1側面40と第2側面41との間の軸方向の寸法は、本体部35の直径dより小さい。
弾性部材15の径方向の太さw1は、外輪11における溝底面31と外輪外周面17との径方向の寸法Hより大きい。径方向の太さw1は、頂点Qとゴム内周面39との径方向の寸法である。弾性部材15が凹部30に組付けられた時には、ゴム外周面36の一部が、外輪外周面17より径方向外方に突出する。
また、弾性部材15の軸方向の太さw2は、外輪の背面18と溝側面32との軸方向の寸法Lより小さい。軸方向の太さw2は、弾性部材15の軸方向の最大寸法であり、第1実施形態では、本体部35の直径dと等しい。第1実施形態では、弾性部材15が凹部30に組付けられた時には、弾性部材15は、外輪の背面18より軸方向一方に突出しないように設定されている。
弾性部材15が自由状態のときのゴム内周面39の周方向の長さは、溝底面31の外周の周方向の長さより短い。弾性部材15が凹部30に組付けられた時には、ゴム内周面39が弾性をもって、全周にわたって溝底面31に押し付けられている。こうして、弾性部材15は、ゴム内周面39と溝底面31とが軸方向に所定の幅をもって面で接触しているので、弾性部材15を軸方向に位置ずれさせようとすると、ゴム内周面39と溝底面31との間に大きな摩擦力が生じる。このため、弾性部材15は軸方向に容易に移動しないので、弾性部材15が凹部30から容易に脱落しない。
また、図3に示すように、仮に矢印Bで示すように、弾性部材15を転倒させる向きに力が作用したと仮定した場合には、弾性部材15は、ゴム内周面39の軸方向一方の端部Cを支点にして、一点鎖線で示したように変形しようとする。しかしながら、この場合には、弾性部材15が径方向外方に変位することにより周方向に引っ張り応力が生じるので、このような変形を抑制することができる。
こうして、第1実施形態の転がり軸受10では、弾性部材15が凹部30から容易に脱落しないようにしている。
次に、図4によって、ハウジング70に組付けたときの、外輪11のクリープを防止する作用について説明する。図4は、トランスミッションのハウジング70に組み込まれた転がり軸受10の軸方向断面図である。
トランスミッションの構造は、従来構造と同様であり、転がり軸受10、10は、図7と同様にしてハウジング70に組込まれて、ギア軸71を回転支持している。各転がり軸受10は、互いにそれぞれの外輪の正面19が向き合う方向に組み込まれている。ギア軸71の両端の支持構造は互いに同様であり、図4は、軸方向一方の転がり軸受10の支持構造を示している。
ハウジング70は、アルミニウム鋳物などの軽合金製である。転がり軸受10は、ハウジング70の軸受嵌合部80に組み込まれている。
軸受嵌合部80は、軸方向に窪んだ有底の円筒孔であり、軸受嵌合面81と当接面82を備えている。軸受嵌合面81は中心軸mを中心とする円筒面である。軸受嵌合面81の直径は、常温では転がり軸受10の外輪外周面17の直径よりわずかに大径で、転がり軸受10は、わずかなすきまをもって組付けられる。
当接面82は、中心軸mと直交する面であって、軸受嵌合面81の軸方向一方の端部から径方向内方に延在している。
転がり軸受10は、外輪の背面18が当接面82と当接する向きで、軸方向に圧入されている。軸方向両側に組込まれた転がり軸受10、10は、互いに軸方向に予圧が付与された状態で組み込まれる。
凹部30に組み込まれた弾性部材15は、外輪外周面17より径方向外方に突出している(図2参照)。転がり軸受10が軸受嵌合部80に組み込まれると、弾性部材15は、軸受嵌合面81と溝底面31とで径方向に挟まれて、外輪外周面17より径方向に突出した高さsの分だけ径方向に弾性をもって圧縮された状態で組み込まれる。このときの圧縮量は、突出した高さsと等しい。なお、第1実施形態では、弾性部材15の軸方向の太さw2は、外輪の背面18と溝側面32との軸方向の寸法Lより小さく設定されているが、弾性部材15が外輪の背面18より軸方向一方に突出することを妨げるものではない。
トランスミッションの温度が上昇すると、ハウジング70、ギア軸71及び転がり軸受10が、それぞれ軸方向及び径方向に膨張する。ハウジング70はアルミニウム製であり、線膨張係数は、概ね18〜25×10−6であり、ギア軸71及び転がり軸受10は鋼製であり、線膨張係数は、概ね10〜13×10−6である。したがって、ハウジング70の軸方向の熱膨張量(一方の軸受嵌合部80と他方の軸受嵌合部80との軸方向の寸法の増加量である)は、ギア軸71の軸方向の熱膨張量より大きいので、転がり軸受10の軸方向の予圧が減少する。また、軸受嵌合面81の内径の熱膨張量は、外輪11の外径の熱膨張量より大きいので、外輪11の外輪外周面17とハウジング70の軸受嵌合面81とのすきまが拡大する。
この結果、外輪の背面18と当接面82との間にすきまが生じたり、外輪外周面17と軸受嵌合面81との間のすきまが増大することによって、外輪11が軸受嵌合部80の内側で容易に動きうる状態となる場合がある。
通常、エンジンから車輪を駆動するドライブ状態では、トランスミッションのギアの反力が、主にラジアル荷重として転がり軸受10に作用するので、外輪11は、ハウジング70に強く押し付けられており、軸受嵌合部80の内側でクリープすることがない。しかしながら、車両の走行中にアクセルを緩めた場合など、車輪からエンジンを駆動するコースト状態に切り替わるときには、転がり軸受10に荷重が負荷されないので、転がり軸受10の引きずり抵抗によって、外輪11がクリープする場合がある。引きずり抵抗とは、内輪12が回転するときに、転がり軸受10を潤滑するオイルの粘性や転がり摩擦などによって、外輪11を回転させる力をいう。
第1実施形態では、弾性部材15が径方向に圧縮されて組み込まれている。弾性部材15の外輪外周面17より径方向に突出する高さsは、トランスミッションの温度が上昇したときに軸受嵌合面81と外輪外周面17との間に形成される径方向のすきまより大きく設定されている。このため、弾性部材15は、常に軸受嵌合面81と溝底面31との間で弾性をもって圧縮された状態を維持することができる。なお、軸受嵌合面81の径方向の熱膨張量と外輪外周面17の外径の熱膨張量との差は、概ね0.1mm以下(半径では0.05mm以下)である。
こうして、外輪11が中心軸mの周りで回転しようとすると、弾性部材15と軸受嵌合面81との間、及び、弾性部材15と溝底面31との間に周方向の滑り摩擦力が生じる。この滑り摩擦力によって、外輪11が、ハウジング70に対して周方向にクリープするのを防止することができる。
以上説明したように、第1実施形態の転がり軸受10では、弾性部材15が凹部30から容易に脱落しないように組み付けられている。また、ハウジング70の温度が上昇したときであっても、弾性部材15が、常に軸受嵌合面81と溝底面31との間で径方向に弾性的に圧縮された状態で組み込まれている。したがって、外輪11のクリープを確実に防止できる。また、凹部30は、径方向外方及び軸方向一方に向かって開放しているので、切削加工によって容易に形成することができる。更に、凹部30が外輪11の軸方向の端部に形成されているので、凹部30と外側軌道面16との間の肉厚t(図9参照)を十分大きくすることができる。このため、外輪11の強度を確保して破損を防止できる。
なお、弾性部材15の形態は、第1実施形態に例示したものに限定されない。図5は、弾性部材15の変形例について、図2と同様の軸方向断面の形状を示している。例えば、図5(a)の変形例では、凸部38が軸方向の一方に位置ずれして設けられている。この場合には、頂点Qを通る径方向の直線nがゴム内周面39を通るように凸部38が配置される。これにより、弾性部材15が径方向に圧縮されて、外輪11のクリープが防止される。また、図5(b)の変形例では、軸方向で本体部35と同じ幅のゴム内周面39が形成されている。また、図5(c)の変形例では、ゴム内周面39が、軸方向断面図においてゴム外周面36を形成する円の弦で表される円筒面で形成されている。
(第2実施形態)
図6によって、本発明のその他の実施形態(以下、第2実施形態という)について説明する。図6は、図2と同様の、軸方向断面の要部拡大図であって、第2実施形態の転がり軸受50について、弾性部材15が組み込まれている部分の軸方向断面を示している。なお、図6では、転がり軸受50をハウジング70に組付けたときの軸受嵌合部80の位置を破線で示している。また、図の左方を軸方向一方といい、右方を軸方向他方という。
第2実施形態の転がり軸受50は、第1実施形態の転がり軸受10と比較して、外輪51に形成された凹部60の形態のみが異なっている。その他の形態は、第1実施形態と同様であるため、共通する構成については第1実施形態と同一の番号を付して簡単に説明し、または説明を省略する。
図6を参照する。凹部60は、外輪の背面18の外周と外輪外周面17とがつながる部位に全周にわたって環状に形成されており、溝底面61と、溝側面62と、鍔63と、で画定される。
溝底面61は、中心軸mを中心とする円筒面であり、溝底面61の直径は、外輪外周面17の直径より小径である。溝側面62は、溝底面61の軸方向他方の端部から中心軸mと直交する向きに径方向外方に延在しており、外周の端部が外輪外周面17の軸方向一方の端部とつながっている。鍔63は、溝底面61の軸方向一方の端部に形成され、全周にわたって径方向外方に突出している。鍔63の外側面64は、外輪の背面18と面一に形成されている。
こうして、凹部60は、外輪外周面17の軸方向一方の端部から径方向内方に凹むとともに、外輪の背面18の径方向外方の端部から軸方向他方に凹むことで形成されている。第2実施形態においても、凹部60は、径方向外方及び軸方向に向かって開放されており、切削加工によって容易に形成することができる。
弾性部材15が自由状態のときのゴム内周面39の周方向の長さは、溝底面61の周方向の長さより短い。弾性部材15が凹部60に組付けられた時には、ゴム内周面39が、全周にわたって、弾性をもって溝底面61に押し付けられている。こうして、ゴム内周面39と溝底面61とが軸方向に所定の幅をもって面で接触しているので、ゴム内周面39と溝底面61との間に大きな摩擦力が生じる。このため、弾性部材15は溝底面61に対して容易に移動しないので、弾性部材15の脱落を防止できる。
更に、第2実施形態では、凹部60の溝底面61に、鍔63が設けられている。鍔63は、弾性部材15が組付けられたときに、弾性部材15より外輪の背面18の側に位置するように形成されている。このため、弾性部材15が軸方向に位置ずれしようとすると、鍔63と当接して軸方向の移動が制限される。したがって、弾性部材15の脱落を更に確実に防止できる。
第2実施形態では、鍔63は、内側面65が弾性部材15の凸部38と軸方向に当接し得る程度の高さとなっているが、鍔63の外径は、適宜変更可能である。第2実施形態より外径を更に大きくして、鍔63の外周部が弾性部材15の本体部35と当接するようにしてもよい。
この場合、鍔63の外周の位置は、本体部35の中心(軸方向断面においてゴム外周面36を形成する円の中心である)より径方向内方に配置するのが好ましい。鍔63が本体部35の内周側に配置されることにより、鍔63を本体部35の径方向内方に形成することができるので、凹部60の溝側面62の位置を、第1実施形態の凹部30の溝側面32と同等の位置に配置できる。仮に、鍔63の外周の位置が、本体部35の中心より径方向外方に配置したと仮定すると、鍔63の軸方向の厚さの分だけ弾性部材15の位置が軸方向他方に移動する。これにより、凹部60の溝側面62の位置が、第1実施形態の凹部30の溝側面32より軸方向他方に移動し、外輪の肉厚t(図9参照)が減少する。
これに対して、第2実施形態では、鍔63を設けた場合であっても、凹部60が外側軌道面16に近接しないので外輪51の強度を確保できる。
第2実施形態においても第1実施形態と同様に、弾性部材15の径方向の太さw1は、溝底面61と外輪外周面17との径方向の寸法Hより大きく、弾性部材15が凹部60に組付けられた時には、ゴム外周面36の一部が、外輪外周面17より径方向外方に突出している。
このため、転がり軸受50が軸受嵌合部80に組み込まれたときには、弾性部材15が軸受嵌合面81と溝底面61との間で径方向に圧縮されるので、外輪51がハウジング70に対して移動しようとするときには、弾性部材15と軸受嵌合面81との間、及び、弾性部材15と溝底面61との間に周方向の滑り摩擦力が生じる。この摩擦力によって、外輪51がハウジング70に対してクリープするのを防止することができる。
以上説明したように、第2実施形態の転がり軸受50では、弾性部材15が凹部60から脱落するのを更に確実に防止している。また、第1実施形態と同様に、ハウジング70の温度が上昇したときであっても、弾性部材15が、常に軸受嵌合面81と溝底面61との間で径方向に弾性的に圧縮されて、外輪51のクリープを確実に防止できる。また、凹部60は、径方向外方及び軸方向一方に向かって開放しているので、切削加工によって容易に形成することができる。更に、凹部60が外輪51の軸方向の端部に形成されているので、凹部60と外側軌道面16との間の肉厚tを確保して外輪51の破損を防止できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。例えば、本実施形態では、転がり軸受として、転動体が円すいころである円すいころ軸受について説明したが、転動体が玉であるアンギュラ玉軸受や複列玉軸受であってもよい。また、転がり軸受が、アルミニウム製のハウジングに組付けられる場合について説明したが、ギア軸とハウジングとを、線膨張係数の近似した素材とした場合のように、転がり軸受に対する予圧変動が起こりにくい場合でも、外輪のクリープを防止する目的のためだけに本発明の転がり軸受を利用することができる。更に、本発明の転がり軸受は、車両のトランスミッションに用いる場合のみに限定されず、種々な場所に使用できる。
(第1実施形態)10:転がり軸受、11:外輪、12:内輪、13:円すいころ、14:保持器、15:弾性部材、16:外側軌道面、17:外輪外周面、18:大端面、21:内側軌道面、22:内輪内周面、30:凹部、31:溝底面、32:溝側面、35:本体部、36:ゴム外周面、38:凸部、39:ゴム内周面、40:第1側面、41:第2側面、
(第2実施形態)50:転がり軸受、51:外輪、60:凹部、61:溝底面、62:溝側面、63:鍔、64:外側面、65:内側面、
(従来技術)70:ハウジング、71:ギア軸、72:転がり軸受、73:外輪、74:内輪、75:Oリング、76:凹部、77:側面、78:外周面、79:外輪軌道面、80:軸受嵌合部、81:軸受嵌合面、82:当接面

Claims (2)

  1. 外輪と、内輪と、前記外輪と前記内輪との間に配置される複数の転動体と、前記外輪に一体に組付けられた環状の弾性部材と、を備え、前記外輪または前記内輪が、中心軸の回りで回転する転がり軸受であって、
    前記外輪は、前記中心軸の方向である軸方向に延在する外輪外周面と、前記外輪外周面より軸方向一方で前記中心軸と直交する方向である径方向に延在する側面と、前記側面と前記外輪外周面とがつながる部位に全周にわたって形成された環状の凹部と、を有し、
    前記凹部は、前記外輪外周面の軸方向一方の端部に設けられた前記外輪外周面より小径の円筒面である溝底面と、前記溝底面の軸方向他方の端部とつながって径方向外方に延在する溝側面とを有し、
    前記弾性部材は、軸方向に延在する円筒面である内周面を有し、径方向の太さが前記外輪外周面と前記溝底面との径方向の寸法より大きく、前記凹部に組付けられて、前記内周面が前記溝底面と全周にわたって面で接触している、転がり軸受。
  2. 前記溝底面の前記溝側面と反対側の端部に、全周にわたって径方向外方に突出する鍔が形成されていることを特徴とする請求項1の転がり軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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