JP7272067B2 - 電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成システム - Google Patents

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本発明は、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成システムに関し、特に、遊離外添剤発生量が抑制され、感光体摩耗やクリーニングブレード摩耗を減らし、クリーニング不良による画像不良を抑制することができる電子写真画像形成方法等に関する。
従来、静電荷像現像用トナーには、帯電性及び流動性の向上の観点から、トナー母体粒子表面上に外添剤が添加される。外添剤としては、帯電制御剤である二酸化チタン(TiO)が広く使われている。しかし、二酸化チタンは低抵抗なため、高カバレッジ印刷時にキャリア粒子に移行し、キャリア粒子の電荷移動が促進されてトナーの帯電量が低下してしまう問題がある。
そこで、酸化チタン粒子(チタン酸化合物粒子)にキャリアと同程度の抵抗を持たせるため、酸化チタン粒子の表面処理量を増大させる方法が挙げられるが、酸化チタン粒子の抵抗値をキャリアと同程度に調整するためには表面処理量が過剰となる。表面処理量が過剰になると外添剤の凝集性が増し、トナーの流動性が低下するため、結果として帯電量が低下してしまう。
そこで、高い誘電性を有するチタン酸化合物を用いることで、トナーの帯電性能を向上させようとする試みがなされている。例えば、チタン酸化合物を外添剤に用いたトナーにおいて、帯電性能とクリーニング性能をバランスよく発現し、かつ、チタン酸化合物の凝集に起因する画像欠陥を発生しないトナーを提供できることが知られている(特許文献1参照。)。また、外添剤としてチタン酸化合物等の金属酸化物粒子、脂肪酸金属塩粒子含有するトナーにおいて、クリーニング性が良好で、感光体や、クリーニングブレードの偏摩耗を抑制できることも知られている(特許文献2参照。)。
しかしながら、チタン酸化合物を用いた場合に、外添されているチタン酸化合物の凝集体が解砕されづらいため、過剰なスペーサー効果により、その他の外添剤(大径シリカ等)のトナー母体粒子への付着強度が低下し、結果として遊離外添剤量が増加してしまうことが問題となる。その際に、カバレッジが高い画像を連続して印刷した場合に、遊離外添剤やその凝集物によって、画像帯部と非帯部で感光体摩耗量に差が生じるとともに、ブレードの摩耗や傷が生じ、外添剤すり抜けに起因する画像不良が発生してしまう。特に、チタン酸化合物が大径の場合、クリーニング不良は顕著になる。クリーニング性には、トナーと感光体の接触状態が大きく寄与するため、トナー設計だけでなく、感光体設計と組み合わせることで、優れたクリーニング性を実現することが望まれる。
特開2011-13668号公報 特開2014-228763号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、遊離外添剤発生量が抑制され、感光体摩耗やクリーニングブレード摩耗を減らし、クリーニング不良による画像不良を抑制することができる電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成システムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、電子写真感光体の保護層表面の凸部間平均距離を特定し、かつ、チタン酸化合物粒子を外添剤として付着させたトナーを用いることにより、遊離外添剤発生量が抑制され、感光体摩耗やクリーニングブレード摩耗を減らし、クリーニング不良による画像不良を抑制することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.電子写真感光体を使用する電子写真画像形成方法であって、
前記電子写真感光体が、保護層を有し、
前記保護層の表面が、凸部構造を有し、
複数の凸部のうち互いに隣接する凸部間の平均距離Rを、100~250nmの範囲内とし、
前記保護層が、側鎖にシリコーン鎖を有するシリコーン表面修飾剤と、重合性基を有する反応性表面修飾剤で表面修飾された無機フィラーを含有し、
前記無機フィラーが、芯材の表面に金属酸化物が付着されてなる複合微粒子であり、
かつ、チタン酸化合物粒子をトナー母体粒子に付着させたトナーを用いることを特徴とする電子写真画像形成方法。
2.前記保護層が、重合性モノマーと無機フィラーを含む組成物の重合硬化物を含有することを特徴とする第1項に記載の電子写真画像形成方法。
.前記無機フィラーの個数平均一次粒径が、50~200nmの範囲内であることを特徴とする第又は2項に記載の電子写真画像形成方法。
.前記チタン酸化合物粒子が、チタン酸カルシウム粒子又はチタン酸ストロンチウム粒子であることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の電子写真画像 形成方法。
.前記チタン酸化合物粒子の個数平均一次粒径が、50~150nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
.電子写真感光体を有する電子写真画像形成装置と、トナーとを備えた電子写真画像形成システムであって、
前記電子写真感光体が、保護層を有し、
前記保護層の表面が、凸部構造を有し、
複数の凸部のうち互いに隣接する凸部間の平均距離Rが、100~250nmの範囲内であり、
前記保護層が、側鎖にシリコーン鎖を有するシリコーン表面修飾剤と、重合性基を有する反応性表面修飾剤で表面修飾された無機フィラーを含有し、
前記無機フィラーが、芯材の表面に金属酸化物が付着されてなる複合微粒子であり、
かつ、前記トナーが、チタン酸化合物粒子が付着されたトナー母体粒子を含むことを特徴とする電子写真画像形成システム。
本発明の上記手段により、遊離外添剤発生量が抑制され、感光体摩耗やクリーニングブレード摩耗を減らし、クリーニング不良による画像不良を抑制することができる電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成システムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
感光体の凸部間平均距離を250nm以下とすることで、凸部が均一に緻密になり、感光体の無機フィラーとトナーの外添剤との接触確率を高くすることができる。これにより、感光体及びトナーの摩擦力・付着力を低減でき、トナーが確実かつ速やかに排出され、遊離外添剤が少ない状態が実現する。トナーをクリーニングしやすくすることで、クリーニングブレードにおける負荷を低減でき、感光体/クリーニングブレードともに長期間に渡って摩耗を抑えることができる。さらに、遊離外添剤が少なくなることで、外添剤すり抜けが抑制され、クリーニング不良による画像不良を抑制できる。
すなわち、感光体の保護層は無機フィラーが隆起することにより、感光体の表面が無機フィラーによる凸部を有する。凸部間平均距離は、無機フィラーの添加量と無機フィラー分散性によって変化する。無機フィラー粒子を保護層中に高濃度で、かつ、凝集させることなく均一に分散することにより、凸部間平均距離を小さくすることができる。
本発明の感光体表面では、無機フィラーによる凸部間平均距離を250nm以下とすることで凸部が均一に緻密になり、無機フィラーとトナー外添剤との接触確率を上げることができる。例えば、図1に示すように、トナー201の外添剤202が、感光体保護層203の無機フィラー204と接触する、すなわち金属酸化物粒子同士が接触することでトナー201と保護層203との摩擦力・付着力を低減でき、さらに保護層203の無機フィラー204を表面修飾することでより摩擦力・付着力を低減できる。図1中、符号205は表面修飾された無機フィラーを示す。
無機フィラーによる凸部間平均距離を小さくするためには、フィラー濃度を高くすることが有効であるが、フィラー濃度が高すぎると重合硬化樹脂が相対的に少なくなるため、架橋強度が低下することで保護層が脆くなり、感光体摩耗が増加する。上記の理由から、無機フィラーによる凸部間平均距離は100nm以上である必要がある。
前記摩擦力・付着力を低減できることで、残留トナー201とクリーニングブレード206との突入力が減少する(図2参照。)。そして、この突入力が減少することにより、外添剤の遊離が抑制され、過剰な遊離外添剤やその凝集物が生じることを防ぐことができる。その結果、トナーが確実かつ速やかに排出され、クリーニング時の負荷が減少し、感光体やクリーニングブレードの摩耗量が低下し、十分なクリーニング性が得られる。
感光体とトナーの接触状態と摩擦力・付着力の関係を説明するための模式図 トナーのクリーニングブレードに対する突入力を説明するための模式図 (a)は、走査型電子顕微鏡で本発明に係る保護層の無機フィラーの隆起による凸部構造を撮影した写真画像、(b)は、(a)の写真画像の二値化画像 本発明の一形態に係る電子写真画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図 本発明の一形態に係る電子写真画像形成装置に備えられる非接触式の帯電手段及び滑剤供給手段の一例を示す概略構成図 本発明の他の一実施形態による画像形成装置に備えられる近接帯電式の帯電手段の一例を示す概略構成図 複合粒子(コア・シェル粒子)の作製に用いられる製造装置の一例を示す概略構成図
本発明の電子写真画像形成方法は、電子写真感光体を使用する電子写真画像形成方法であって、前記電子写真感光体が、保護層を有し、前記保護層の表面が、凸部構造を有し、
複数の凸部のうち互いに隣接する凸部間の平均距離Rを、100~250nmの範囲内とし、かつ、チタン酸化合物粒子をトナー母体粒子に付着させたトナーを用いることを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記保護層が、重合性モノマーと無機フィラーを含む組成物の重合硬化物を含有することが、感光体の摩耗を低減できる点で好ましい。
前記保護層が、表面修飾剤で表面修飾された無機フィラーを含有することが、クリーニングブレードの摩耗を低減できる点で好ましい。
前記表面修飾剤が、シリコーン鎖を有すること、特に、前記表面修飾剤が、側鎖にシリコーン鎖を有することが、クリーニングブレードの摩耗をより低減できる点で好ましい。
前記無機フィラーの個数平均一次粒径が、50~200nmの範囲内であることが、クリーニング性がより向上し、感光体の摩耗及びクリーニングブレードの摩耗をより低減できる点で好ましい。
前記チタン酸化合物粒子が、チタン酸カルシウム粒子又はチタン酸ストロンチウム粒子であることが、帯電量を長期にわたり一定レベルに維持させる点で好ましい。
前記チタン酸化合物粒子の個数平均一次粒径が、50~150nmの範囲内であることが、スペーサーとしての効果が大きく、感光体/トナーの摩擦力・付着力を低減でき、転写効率が良好となり、また、トナーへの付着強度は強いため外れにくくなり、滑剤メモリに遊離となる点で好ましい。
前記無機フィラーが、重合性基を有することが、保護層を構成している一体的な重合体と化学結合した状態で存在するために、高い強度の保護層を形成でき、感光体の摩耗がより低減できる点で好ましい。
また、前記無機フィラーが、芯材の表面に金属酸化物が付着されてなる複合微粒子であることが、感光体やクリーニングブレードの摩耗の低減効果及び画像不良の抑制効果をより向上させることができるとともに、凹凸紙への転写性をより向上させることができる点で好ましい。
本発明の電子写真画像形成システムは、電子写真感光体を有する電子写真画像形成装置と、トナーとを備えた電子写真画像形成システムであって、前記電子写真感光体が、保護層を有し、前記保護層の表面が、凸部構造を有し、複数の凸部のうち互いに隣接する凸部間の平均距離Rが、100~250nmの範囲内であり、かつ、前記トナーが、チタン酸化合物粒子が付着されたトナー母体粒子を含むことを特徴とする。
これにより、遊離外添剤発生量が抑制され、感光体摩耗やクリーニングブレード摩耗を減らし、クリーニング不良による画像不良を抑制することができる電子写真画像形成システムを提供することができる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[本発明の電子写真画像形成方法の概要]
本発明の電子写真画像形成方法は、電子写真感光体を使用する電子写真画像形成方法であって、前記電子写真感光体が、保護層を有し、前記保護層の表面が、凸部構造を有し、複数の凸部のうち互いに隣接する凸部間の平均距離Rを、100~250nmの範囲内とし、かつ、チタン酸化合物粒子をトナー母体粒子に付着させたトナーを用いることを特徴とする。
前記保護層の表面は、無機フィラーの隆起による凸部構造を有する。本明細書において、「無機フィラーの隆起による凸部構造」とは、露出した無機フィラーが構成する、5nm以上の平均高さを有する凸部構造を意味する。
保護層の表面に存在する凸部構造が無機フィラーの隆起によるものであることは、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子株式会社製)を用いて撮影した保護層の表面の写真画像を目視にて観察することにより確認することができる。
<凸部間の平均距離R>
保護層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間の平均距離R(以下、「凸部間平均距離R」ともいう。)は、以下のように算出される。
まず、最外層である保護層について、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子株式会社製)により撮影された写真画像(加速電圧:2.0kV、倍率:10000倍)をスキャナーにより取り込む。次いで、画像処理解析装置(「LUZEX AP」、株式会社ニレコ製)を用いて、得られた写真画像(図3(a)参照。)をモノクロヒストグラムの極大値+30のレベルで二値化する(図3(b)参照。)。その後、「LUZEX AP」の測定パラメーター 全隣接重心間距離分布測定を行い、その平均値を最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rとする。
本発明に係る凸部間平均距離Rは、前述のように100~250nmの範囲内である。下限値は、120nm以上であることが好ましい。また、上限値は、240nm以下であることが好ましく、225nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。
前記凸部間平均距離Rを250nm以下とすることで、凸部が均一に緻密になり、トナーが感光体表面に接する際に、無機フィラー部分に接する確率が高くなる。その結果、クリーニング時に残留トナーを確実かつ速やかに除去することができる。また、残留トナーはブレードニップ手前に堆積しにくくなり、ブレードニップ手前での残留トナーの対流による外添剤の遊離や凝集が抑制され、遊離外添剤やその凝集物のすり抜けも低減されるため、アルミナの外添剤を使用した場合においても、感光体やクリーニングブレードの摩耗や傷、及び、それに伴うクリーニング不良が発生しにくくなる。
無機フィラーによる前記凸部間平均距離Rを小さくするためには、無機フィラー濃度を高くすることが有効であるが、無機フィラー濃度が高すぎると重合硬化樹脂部分が相対的に少なくなるため、架橋密度が低下することで保護層が脆くなり、感光体摩耗が増加する。このような理由から、無機フィラーによる前記凸部間平均距離Rは100nm以上である必要があると推察される。
前記凸部の平均高さH(以下、「凸部平均高さ」ともいう。)は、5nm以上であり、15nm以上であることがより好ましく、25nm以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、クリーニング性がより向上し、感光体の摩耗がより低減される。この理由は、保護層の凸部平均高さが高くなることで、クリーニングブレードによる保護層の摩耗がより低減されるとともに、外添剤と無機フィラーとの接触によるトナーと保護層との接触の可能性がより高まるからであると推測される。
また、前記凸部平均高さは、特に制限されないが、100nm以下であることが好ましく、55nm以下であることがより好ましく、35nm以下であることがさらに好ましい(下限5nm)。この範囲であると、クリーニング性がより向上し、クリーニングブレードの摩耗がより低減される。この理由は、保護層中の無機フィラーによるクリーニングブレードの摩耗がより低減されるとともに、クリーニングブレードと、保護層を構成する重合硬化物の樹脂部分との接触も十分に起こるからであると推測される。
前記凸部平均高さは、三次元粗さ解析走査電子顕微鏡「ERA-600FE」(株式会社エリオニクス製)を用いて最外層の表面を三次元測定し、三次元解析において輪郭曲線要素の平均高さを算出し、その値を保護層の凸部平均高さとすることで算出することができる。
なお、前記凸部平均高さは、保護層表面の凸部以外の表面部分を基準として算出する。
ここで、前記凸部間平均距離R及び凸部平均高さHは、無機フィラーの種類及び含有量、重合性モノマーの種類及び含有量、かつ表面修飾の有無、表面修飾剤の種類、無機フィラーの種類、粒径、含有量等によって制御することができる。
さらに、保護層中に無機フィラーを凝集させることなく均一に分散させることにより、凸部間の平均距離Rを最適な範囲へと制御することができる。後述のように、無機フィラーの粒径、表面修飾剤の有無や種類等を適正化することにより、保護層中に無機フィラーを均一に分散することができる。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真画像形成方法では、電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう。)が用いられる。
電子写真感光体とは、電子写真方式の画像形成方法において潜像又は顕像をその表面に
担持する物体である。
感光体としては、特に制限されないが、好ましい例として、導電性支持体と、当該導電性支持体上に配置される感光層と、当該感光層上に配置される保護層を最外層として含むものが挙げられる。
また、感光体は、上記の導電性支持体、感光層及び保護層以外の他の構成をさらに含んでいてもよい。当該他の構成の好ましい例としては、中間層等が挙げられる。当該中間層は、例えば、上記導電性支持体と上記感光層との間に配置される、バリア機能と接着機能とを有する層である。
本発明で用いられる感光体の好ましい一形態の例として、導電性支持体と、当該導電性支持体上に配置される中間層と、当該中間層上に配置される感光層と、当該感光層上に配置される保護層を最外層として含むものが挙げられる。
以下、このような構成を有する電子写真感光体について詳細に説明する。
<導電性支持体>
導電性支持体は、感光層を支持し、かつ導電性を有する部材である。導電性支持体の形状は、通常、円筒状である。導電性支持体の好ましい例としては、金属製のドラム又はシート、ラミネートされた金属箔を有するプラスチックフィルム、蒸着された導電性物質の膜を有するプラスチックフィルム、導電性物質又は導電性物質と、バインダー樹脂とからなる塗料を塗布してなる導電層を有する金属部材やプラスチックフィルム、紙等が挙げられる。上記金属の好ましい例としては、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス鋼等が挙げられ、上記導電性物質の好ましい例としては、上記金属、酸化インジウム及び酸化スズ等が挙げられる。
<感光層>
感光層は、後述する露光により所期の画像の静電潜像を感光体の表面に形成するための層である。当該感光層は、単層でもよいし、積層された複数の層で構成されていてもよい。感光層の好ましい例としては、電荷輸送物質と、電荷発生物質とを含有する単層、及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層との積層物等が挙げられる。
<保護層>
保護層は、トナーと接触する側の最外部に配置される層であることが好ましく、感光体表面の機械的強度を向上させ、耐傷性や耐摩耗性を向上させるための層である。
本発明に係る保護層は、重合性モノマーと、無機フィラーと、を含む組成物(以下、保護層形成用組成物とも称する。)の重合硬化物を含有することが好ましい。
(無機フィラー)
保護層形成用組成物は、無機フィラーを含む。本明細書において、無機フィラーとは、少なくともその表面が無機物から構成される粒子をいう。無機フィラーは、保護層の耐摩耗性を向上させる機能を有する。また、残留トナーの除去性を向上させてクリーニング性を向上させ、感光体やクリーニングブレードの摩耗を低減させる機能を有する。
以下では、シリコーン鎖を有する表面修飾剤を、単に「シリコーン表面修飾剤」とも称し、「シリコーン表面修飾剤」による表面修飾を、単に「シリコーン表面修飾」とも称する。
また、重合性基を有する表面修飾剤を、単に「反応性表面修飾剤」とも称し、「反応性表面修飾剤」による表面修飾を、単に「反応性表面修飾」とも称する。
さらに、「シリコーン表面修飾」及び「反応性表面修飾」の少なくとも一方が施された無機フィラーを、単に「表面修飾粒子」と総称する場合もある。
無機フィラーは、特に制限されないが、金属酸化物粒子を含むことが好ましい。本明細書において、金属酸化物粒子とは、少なくともその表面(表面修飾粒子の場合は、未修飾母体粒子である未修飾金属酸化物粒子の表面)が金属酸化物から構成される粒子をいう。
粒子の形状は、特に限定されず、粉末状、球状、棒状、針状、板状、柱状、不定形状、燐片状、紡錘状等、いずれの形状であってもよい。
金属酸化物粒子を構成する金属酸化物の例としては、特に制限されないが、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化スズ、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム及び銅アルミ酸化物、アンチモンドープ酸化スズ等が挙げられる。
これらの中でも、アルミナ粒子、シリカ(SiO)粒子、酸化スズ(SnO)粒子、二酸化チタン(TiO)粒子、アンチモンドープ酸化スズ(SnO-Sb)粒子、銅アルミ複合酸化物(CuAlO)粒子が好ましく、酸化スズ粒子がより好ましい。これら金属酸化物粒子は、単独でも又は2種以上を組み合わせても用いることができる。
金属酸化物粒子は、芯材(コア)と、金属酸化物からなる外殻(シェル)と、を有する、コア・シェル構造の複合粒子が好ましい。
このような複合粒子を使用した場合、重合性モノマーとの屈折率の差が小さい芯材(コア)を選択することで、保護層の硬化に用いられる活性エネルギー線(特には紫外線)の透過性が向上し、硬化後の保護層の膜強度を向上し、保護層の摩耗をより低減される。また、外殻(シェル)を構成する材料の選択や外殻(シェル)の形状を制御することで、後述する表面修飾粒子における表面修飾効果をより高めることができる。これより、感光体やクリーニングブレードの摩耗の低減効果及び画像不良の抑制効果をより向上させるとともに、さらに凹凸紙への転写性をより向上させることができる。
当該複合粒子の芯材(コア)を構成する材料は、特に制限されないが、硫酸バリウム(BaSO)、アルミナ(Al)及びシリカ(SiO)等の絶縁材料が挙げられる。これらの中でも、保護層の光透過性を確保する観点から、硫酸バリウム、シリカが好ましい。また、当該複合粒子の外殻(シェル)を構成する材料は、上記金属酸化物粒子を構成する金属酸化物として挙げたものと同様である。
コア・シェル構造の複合粒子の好ましい例としては、硫酸バリウムからなる芯材と、酸化スズからなる外殻と、を有する、コア・シェル構造の複合粒子等が挙げられる。なお、芯材の個数平均一次粒径と、外殻の厚さとの比率は、使用する芯材及び外殻の種類、ならびにこれらの組み合わせに応じて、所望の表面修飾効果を得られるように適宜設定すればよい。
無機フィラーの個数平均一次粒径の下限値は、特に制限されないが、5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることがさらに好ましく、50nm以上がよりさらに好ましく、80nm以上が特に好ましい。この範囲であると、クリーニング性がより向上し、感光体の摩耗がより低減される。
また、無機フィラーの個数平均一次粒径の上限値は、特に制限されないが、700nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましく、200nm以下がよりさらに好ましく、150nm以下が特に好ましい。この範囲であると、クリーニング性がより向上し、クリーニングブレードの摩耗がより低減される。これらの理由は、個数平均一次粒径を上記範囲へと制御することによって、保護層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間の平均距離Rを最適な範囲へと制御することができるからであると推測される。
これより、本発明の好ましい一形態の例としては、無機フィラーの個数平均一次粒径は、50~200nmの範囲内であることが挙げられる。
なお、本明細書において、無機フィラーの個数平均一次粒径は、以下の方法で測定される。
まず、保護層について、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)により撮影された10000倍の拡大写真をスキャナーに取り込む。次いで、得られた写真画像から、凝集粒子を除く300個の粒子像を、ランダムに自動画像処理解析システム ルーゼックス(登録商標)AP ソフトウエアVer.1.32(株式会社ニレコ製)を使用して2値化処理して、当該粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径を算出する。そして、当該粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径の平均値を算出して個数平均一次粒径とする。
ここで、水平方向フェレ径とは、上記粒子像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。また、無機フィラーの個数平均一次粒径の測定は、後述する重合性基を有する無機フィラーや表面修飾粒子においては、重合性基を有する化学種や表面修飾剤由来の化学種(被覆層)を含まない無機フィラー(未処理母体粒子)について行うものとする。
保護層形成用組成物中の無機フィラーは、重合性基を有することが好ましい。保護層形成用組成物中の無機フィラーが重合性基を有することにより、感光体の摩耗がより低減される。この理由は、保護層を構成する硬化物中で、重合性基を有する無機フィラーと重合性モノマーとが化学結合した状態となり、保護層の膜強度が向上するからであると推測される。重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。重合性基の導入方法としては、特に制限されないが、後述するように、無機フィラーに対して、重合性基を有する表面修飾剤による表面修飾を行う方法が好ましい。
保護層形成用組成物中の無機フィラーが重合性基を有することや、保護層中の無機フィラーが重合性基由来の基を有することは、熱重量・示差熱(TG/DTA)測定、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過電子顕微鏡(TEM)による観察、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による分析等によって確認することができる。
保護層形成用組成物中の無機フィラーの好ましい含有量は、後述する電子写真感光体の製造方法の説明に記載する。
前記無機フィラーは、表面処理剤(表面修飾剤)により疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理することにより、無機フィラーを保護層中に高濃度で、かつ、凝集させることなく均一に分散することができ、凸部間の平均距離Rを最適な範囲へと制御することができる。疎水化表面修飾剤としては、例えば、一般的なカップリング剤、シラン化合物、シリコーン鎖を有する表面修飾剤(シリコーン表面処理剤、シリコーン表面修飾剤)、フッ素含有表面修飾剤等を用いることができる。
・シリコーン鎖を有する表面修飾剤による表面修飾(表面処理)
無機フィラーは、シリコーン表面修飾剤により表面修飾されていることが好ましい。
シリコーン表面修飾剤は、下記式(1)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 0007272067000001
式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、n’は3以上の整数である。
シリコーン表面修飾剤としては、主鎖にシリコーン鎖を有するシリコーン表面修飾剤(主鎖型シリコーン修飾剤(直鎖型シリコーン修飾剤ともいう。))であっても、側鎖にシリコーン鎖を有するシリコーン表面修飾剤(側鎖型シリコーン修飾剤)であってもよいが、側鎖型シリコーン修飾剤が好ましい。すなわち、無機フィラーは、側鎖型シリコーン表面修飾剤により表面修飾されていることが好ましい。
側鎖型シリコーン修飾剤で無機フィラーの表面修飾を行うと、無機フィラーは効率的に疎水化され、その表面上には高濃度にシリコーン鎖が存在することとなる。そのため、側鎖型シリコーン修飾剤で表面修飾した無機フィラーは、保護層中に高濃度に均一に分散することができ、感光体表面に粒子表面を露出させやすい。すなわち、トナー外添剤が感光体の無機フィラーと接触した際に、シリコーン鎖が高濃度に存在するため、低摩擦・低付着を実現することができる。また、上記シリコーン修飾剤は、無機フィラーの分散性向上の役割も担っている。シリコーン表面修飾を施すことで、感光体表面に無機フィラーが均一に存在し、緻密な表面凸部構造を形成することができる。
側鎖型シリコーン表面修飾剤としては、特に制限されないが、高分子主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有し、さらに表面修飾官能基を有するものが好ましい。表面修飾官能基としては、カルボン酸基、ヒドロキシ基、-R-COOH(Rは、2価の炭化水素基)、ハロゲン化シリル基、及びアルコキシシリル基等の導電性金属酸化物粒子と結合しうる基が挙げられる。これらの中でもカルボン酸基、ヒドロキシ基又はアルコキシシリル基が好ましく、ヒドロキシ基又はアルコキシシリル基がより好ましい。
側鎖型シリコーン表面修飾剤は、本発明の効果を維持しつつ、クリーニングブレードの摩耗をより低減させるとの観点から、高分子主鎖としてポリ(メタ)アクリレート主鎖又はシリコーン主鎖を有することが好ましい。
側鎖及び主鎖のシリコーン鎖は、ジメチルシロキサン構造を繰り返し単位として有することが好ましく、その繰り返し単位数は3~100個であるものが好ましく、3~50個であるものがより好ましい。
シリコーン表面修飾剤の重量平均分子量は、特に制限されないが、1000~50000の範囲内であることが好ましい。なお、シリコーン表面修飾剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
シリコーン表面修飾剤は、合成品であってもよいし、市販品であってもよい。主鎖型シリコーン表面修飾剤の市販品の具体例としては、KF-99、KF-9901(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
また、ポリ(メタ)アクリレート主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する、側鎖型シリコーン表面修飾剤の市販品の具体例としては、サイマック(登録商標)US-350(以上、東亞合成株式会社製)、KP-541、KP-574、及びKP-578(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
そして、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する、側鎖型シリコーン表面修飾剤
の市販品の具体例としては、KF-9908、KF-9909(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。また、シリコーン表面修飾剤は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
シリコーン表面修飾剤による表面修飾方法は、特に制限されず、無機フィラーの表面上にシリコーン表面修飾剤を付着(又は結合)することができる方法であればよい。このような方法としては、一般的に、湿式処理方法と乾式処理方法との二通りに大別されるが、いずれを用いてもよい。
なお、後述する反応性表面修飾後の無機フィラーをシリコーン表面修飾する場合、シリコーン表面修飾剤による表面修飾方法は、無機フィラーの表面上又は反応性表面修飾剤上に、シリコーン表面修飾剤が付着(又は結合)することができればよい。
湿式処理方法とは、無機フィラーと、シリコーン表面修飾剤とを溶剤中で分散することによって、シリコーン表面修飾剤を無機フィラーの表面上に付着(又は結合)させる方法である。当該方法としては、無機フィラーと、シリコーン表面修飾剤とを溶剤中で分散させ、得られた分散液を乾燥し溶剤を除去する方法が好ましく、その後さらに加熱処理を行い、シリコーン表面修飾剤と無機フィラーとを反応させることによって、シリコーン表面修飾剤を無機フィラーの表面上に付着(又は結合)させる方法がより好ましい。また、シリコーン表面修飾剤と無機フィラーとを溶剤中で分散した後、得られた分散液を湿式粉砕することにより、無機フィラーを微細化すると同時に表面修飾を進行させてもよい。
無機フィラー及びシリコーン表面修飾剤を溶剤中で分散させる手段としては、特に制限されず公知の手段を用いることができ、その例としては、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル等の一般的な分散手段を挙げることができる。
溶剤としては、特に制限されず公知の溶剤を用いることができ、その好ましい例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール(2-ブタノール)、tert-ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらは単独でも又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤の除去方法としては、特に制限されず公知の方法を用いることができ、その例としては、エバポレーターを用いる方法、室温下で溶剤を揮発させる方法等が挙げられる。これらの中でも、室温下で溶剤を揮発させる方法が好ましい。
加熱温度としては、特に制限されないが、50~250℃の範囲内であることが好ましく、70~200℃の範囲内であることがより好ましく、80~150℃の範囲内であることがさらに好ましい。また、加熱時間としては、特に制限されないが、1~600分の範囲内であることが好ましく、10~300分の範囲内であることがより好ましく、30~90分の範囲内であることがさらに好ましい。なお、加熱方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
乾式処理方法とは、溶剤を用いず、シリコーン表面修飾剤と無機フィラーとを混合し混練を行うことによって、シリコーン表面修飾剤を無機フィラーの表面上に付着(又は結合)させる方法である。当該方法としては、シリコーン表面修飾剤と、無機フィラーとを混合し混練した後、さらに加熱処理を行い、シリコーン表面修飾剤と無機フィラーとを反応させることによって、シリコーン表面修飾剤を無機フィラーの表面上に付着(又は結合)させる方法であってもよい。また、無機フィラーと、シリコーン表面修飾剤とを混合し混練する際に、これらを乾式粉砕することにより、無機フィラーを微細化すると同時に表面
修飾を進行させてもよい。
シリコーン表面修飾剤の使用量は、シリコーン表面修飾前の無機フィラー(後述する反応性表面修飾後の無機フィラーをシリコーン表面修飾する場合は、反応性表面修飾後の無機フィラー)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましい。この範囲であれば、また、クリーニング性がより向上し、クリーニングブレードの摩耗がより低減される。
また、シリコーン表面修飾剤の使用量は、シリコーン表面修飾前の無機フィラー(後述する反応性表面修飾後の無機フィラーをシリコーン表面修飾する場合は、反応性表面修飾後の無機フィラー)100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、未反応のシリコーン表面修飾剤による保護層の膜強度の低下が抑制され、感光体の摩耗がより低減される。
未修飾の無機フィラーや反応性表面修飾後の無機フィラーにシリコーン表面修飾が施されたことは、熱重量・示差熱(TG/DTA)測定、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過電子顕微鏡(TEM)による観察、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による分析等によって確認することができる。
・フッ素含有表面修飾剤による表面修飾方法
フッ素含有表面修飾剤は、含フッ素基及び表面処理官能基を有する。
含フッ素基としては、パーフルオロアルキル基、パーフルオロポリエーテル基が挙げられる。
表面処理官能基としては、カルボン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシシリル基が挙げられる。
上記フッ素含有表面修飾剤は、フルオロアルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体構造を含有するものであることが好ましく、下記一般式(1a)で表される構造単位及び一般式(1b)で表される構造単位を共に有するものであることがさらに好ましい。
Figure 0007272067000002
上記一般式(1a)中、Rは水素原子又はメチル基である。
上記一般式(1b)中、Rは炭素数1~4の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、Xは炭素数1~4のアルキレン基であり、Rは、炭素数1~6のパーフルオロアルキル基である。
前記一般式(1a)で表される構造単位及び一般式(1b)で表される構造単位を共に有するフッ素含有表面修飾剤を用いることにより、無機フィラーの表面にフッ素含有表面修飾剤を高い密着性で存在させることができ高いフッ素密度を得ることができる。
また、フッ素含有表面修飾剤を有する無機フィラーは保護層塗布液中において良好な分散性を示すので、塗膜において優れた分散性が得られる。
フッ素含有表面修飾剤の分子量は、数平均分子量で5000~30000の範囲内であることが好ましい。
フッ素含有表面修飾剤としては、例えば2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、及び、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチルメタクリレート/アクリル酸共重合体などを用いることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
フッ素含有表面修飾剤の使用量は、未修飾の無機フィラー100質量部に対して0.5~20質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1~10質量部の範囲内である。
無機フィラーに含フッ素表面修飾剤による表面修飾が施されていることは、示差熱・熱重量(TG/DTA)測定によって確認することができる。
・重合性基を有する表面修飾剤(反応性表面修飾剤)による表面修飾方法
前述のように、保護層形成用組成物中の無機フィラーは、重合性基を有することが好ましい。そして、重合性基の導入方法としては、特に制限されないが、反応性表面修飾を行う方法が好ましい。
すなわち、無機フィラーは、重合性基を有する表面修飾剤(反応性表面修飾剤)により表面修飾(反応性表面修飾)されていることが好ましい。重合性基は、反応性表面修飾によって導電性金属酸化物粒子の表面に担持され、その結果、無機フィラーは、重合性基を有することとなる。なお、無機フィラーは、保護層中で重合性基由来の基を有する構造として存在することとなるため、本発明の好ましい一形態の例としては、無機フィラーは、重合性基由来の基を有することが挙げられる。
反応性表面修飾剤は、重合性基及び表面修飾官能基を有する。重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。ここで、ラジカル重合性基は、炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合可能な基を表す。ラジカル重合性基の例としては、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、これらの中でもメタクリロイル基が好ましい。また、表面修飾官能基とは、導電性金属酸化物粒子の表面に存在するヒドロキシ基などの極性基への反応性を有する基を表す。表面修飾官能基の例としては、カルボン酸基、ヒドロキシ基、-R′-COOH(R′は、二価の炭化水素基)、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、これらの中でもハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基が好ましい。
反応性表面修飾剤は、ラジカル重合性基を有するシランカップリング剤が好ましく、その例としては、下記式S-1~S-32で表される化合物等が挙げられる。
S-1:CH=CHSi(CH)(OCH
S-2:CH=CHSi(OCH3)
S-3:CH=CHSiCl
S-4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S-5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S-6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S-7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S-8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S-9:CH=CHCOO(CHSiCl
S-10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S-11:CH=CHCOO(CHSiCl
S-12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S-13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S-14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S-15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S-16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S-17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S-18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S-19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S-20:CH=CHSi(C)(OCH
S-21:CH=C(CH)Si(OCH
S-22:CH=C(CH)Si(OC
S-23:CH=CHSi(OCH
S-24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S-25:CH=CHSi(CH)Cl
S-26:CH=CHCOOSi(OCH
S-27:CH=CHCOOSi(OC
S-28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S-29:CH=C(CH)COOSi(OCH5)
S-30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S-31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
S-32:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH3)
反応性表面修飾剤は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。市販品の具体例としては、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5103(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。また、反応性表面修飾剤は、単独でも又は2種以上を組み合わせても用いることができる。
シリコーン表面修飾及び反応性表面修飾の両方を行う場合、反応性表面修飾を行った後にシリコーン表面修飾を行うことが好ましい。この順序で表面修飾を行うことにより、保護層の耐摩耗性がより向上する。この理由は、撥油効果を有するシリコーン鎖によって、反応性表面修飾剤の無機フィラー表面への接触が妨げられることがないため、無機フィラーへの重合性基の導入がより効率よく行われるからである。
反応性表面修飾の方法は、特に制限されず、反応性表面修飾剤を用いる以外は、シリコーン表面修飾で説明した方法と同様の方法を採用することができる。また、公知の金属酸化物粒子の表面修飾技術を用いてもよい。
ここで、湿式処理方法を用いる場合、溶剤は、シリコーン表面修飾で説明した方法と同様のものを好ましく用いることができる。
反応性表面修飾剤の使用量は、反応性表面修飾前の無機フィラー(前述のシリコーン表面修飾後の無機フィラーを反応性表面修飾する場合は、シリコーン表面修飾後の無機フィラー)100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、1.5質量部以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、保護層の膜強度が向上し、感光体の摩耗がより低減される。また、反応性表面修飾前の無機フィラー(前述のシリコーン表面修飾後の無機フィラーを反応性表面修飾する場合は、シリコーン表面修飾後の無機フィラー)100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、8質量部以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、粒子表面のヒドロキシ基数に対して反応性表面修飾剤の量が過剰とはならずより適切な範囲となり、未反応の反応性表面修飾剤による保護層の膜強度の低下が抑制されて保護層の膜強度が向上し、感光体の摩耗がより低減され
る。
(重合性モノマー)
保護層形成用組成物は、重合性モノマーを含む。本明細書において、重合性モノマーとは、重合性基を有し、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線の照射により、又は加熱等のエネルギーの付加により、重合(硬化)して、保護層のバインダー樹脂となる化合物を表す。なお、本明細書でいう重合性モノマーには、上記の反応性表面修飾剤を含めないものとし、後述する潤滑剤としての重合性シリコーン化合物や重合性パーフルオロポリエーテル化合物を用いる場合にはこれらも含めないものとする。
重合性モノマーが有する重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。ここで、ラジカル重合性基は、炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合可能な基を表す。ラジカル重合性基の例としては、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。重合性基が(メタ)アクリロイル基であると、保護層の耐摩耗性が向上し、感光体の摩耗がより低減される。保護層の耐摩耗性の向上の理由は、少ない光量又は短い時間での効率的な硬化が可能となるからであると推測される。
重合性モノマーの例としては、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N-ビニルピロリドン系モノマー等が挙げられる。これら重合性モノマーは、単独でも又は2種以上混合しても用いることができる。
重合性モノマーが有する1分子中の重合性基の数は、特に制限されないが、2個以上であることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。この範囲であると、保護層の耐摩耗性が向上し、感光体の摩耗がより低減される。この理由は、保護層の架橋密度が増加し、膜強度がより向上するからであると推測される。また、重合性モノマーが有する1分子中の重合性基の数は、特に制限されないが、6個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましく、4個以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、保護層の均一性が高まる。この理由は、架橋密度が一定以下となり、硬化収縮が起こり難くなるからであると推測される。これらの観点から、重合性モノマーが有する1分子中の重合性基の数は、3個であることが最も好ましい。
重合性モノマーの具体例としては、特に制限されないが、下記の化合物M1~M11が挙げられ、これらの中でも、下記の化合物M2が特に好ましい。下記の各式中、Rは、アクリロイル基(CH=CHCO-)を表し、R′は、メタクリロイル基(CH=C(CH)CO-)を表す。
Figure 0007272067000003
重合性モノマーは、合成品であってもよいし市販品であってもよい。また、重合性モノマーは、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
保護層形成用組成物中の重合性モノマーの好ましい含有量は、後述する電子写真感光体の製造方法の説明に記載する。
(重合開始剤)
保護層形成用組成物は、さらに重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤は、上記重合性モノマーを重合反応することによって得られる硬化樹脂(バインダ樹脂)を製造する過程で使用されるものである。重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、光重合開始剤であることが好ましい。また、重
合性モノマーがラジカル重合性モノマーである場合、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、アルキルフェノン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらの中でも、α-アミノアルキルフェノン構造又はアシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましく、アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物がより好ましい。アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物の一例としては、IRGACURE(登録商標)819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)(BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。
重合開始剤は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
保護層形成用組成物中の重合開始剤の好ましい含有量は、後述する電子写真感光体の製造方法の説明に記載する。
(他の成分)
保護層形成用組成物は、上記成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
他の成分の例としては、特に制限されないが、潤滑剤等が挙げられる。電荷輸送物質は、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、トリアリールアミン誘導体等が挙げられる。潤滑剤は、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、重合性シリコーン化合物及び重合性パーフルオロポリエーテル化合物等が挙げられる。
(保護層の厚さ)
保護層の厚さは、感光体の種類に応じて適宜好ましい値を設定することができ、特に制限されないが、一般的な感光体では、0.2~15μmの範囲内であることが好ましく、0.5~10μmの範囲内であることがより好ましい。
[電子写真感光体の製造方法]
本発明の一形態に用いられる電子写真感光体は、後述する保護層形成用塗布液を用いる以外は、特に制限されず公知の電子写真感光体の製造方法によって製造することができる。これらの中でも、導電性支持体上に形成された感光層の表面に、保護層形成用塗布液を塗布する工程と、塗布された保護層形成用塗布液に活性エネルギー線を照射して、又は塗布された保護層形成用塗布液を加熱して、保護層形成用塗布液中の重合性モノマーを重合させる工程と、を含む方法によって製造することが好ましく、保護層形成用塗布液を塗布する工程と、塗布された保護層形成用塗布液に活性エネルギー線を照射して、保護層形成用塗布液中の重合性モノマーを重合させる工程と、を含む方法がより好ましい。
保護層形成用塗布液は、重合性モノマーと、無機フィラーと、を含む保護層形成用組成物を含むものである。保護層形成用組成物としては、重合開始剤をさらに含むことが好ましく、これらの成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。また、保護層形成用塗布液は、保護層形成用組成物と、分散媒とを含むことが好ましい。なお、本明細書において、保護層形成用組成物には、分散媒としてのみ用いられる化合物は含まないものとする。
分散媒としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、tert-ブタノール、2-ブタノール(sec-ブタノール)、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられる。分散媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
保護層形成用塗布液の総質量に対する分散媒の含有量は、特に制限されないが、1~99質量%の範囲内であることが好ましく、40~90質量%の範囲内であることがより好ましく、50~80質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
保護層形成用組成物中の無機フィラーの含有量は、特に制限されないが、保護層形成用組成物の総質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、保護層の耐摩耗性が向上し、感光体の摩耗がより低減される。また、無機フィラーの含有量の増加に伴い、当該粒子に起因する効果が向上し、クリーニング性が向上し、クリーニングブレードの摩耗もより低減される。また、保護層形成用組成物中の無機フィラーの含有量は、特に制限されないが、保護層形成用組成物の総質量に対して、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、保護層形成用組成物中の重合性モノマーの含有量が相対的に多くなることから、保護層の架橋密度が高まり、耐摩耗性が向上し、感光体の摩耗がより低減される。また、クリーニングブレードと、保護層を構成する重合硬化物の樹脂部分との接触が十分に得られ、クリーニング性が向上する。さらに、これらの結果、クリーニングブレードの摩耗もより低減される。
保護層形成用組成物中の重合性モノマーの無機フィラーに対する含有質量比(重合性モノマーの質量/保護層形成用組成物中の無機フィラーの質量)は、特に制限されないが、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.4以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、保護層形成用組成物中の重合性モノマーの含有量が相対的に多くなることから、保護層の架橋密度が高まり、耐摩耗性が向上し、感光体の減耗がより低減される。また、クリーニングブレードと、保護層を構成する重合硬化物の樹脂部分との接触が十分に得られ、クリーニング性が向上する。さらに、これらの結果、クリーニングブレードの摩耗もより低減される。また、保護層形成用組成物中の重合性モノマーの無機フィラーに対する含有質量比は、特に制限されないが、10以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、保護層の耐摩耗性が向上し、感光体の減耗がより低減される。また、無機フィラーの含有量の増加に伴い、当該粒子に起因する効果が向上し、クリーニング性が向上し、クリーニングブレードの摩耗もより低減される。
保護層形成用組成物中が重合開始剤を含む場合、その含有量は、特に制限されないが、重合性モノマー100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。また、保護層形成用組成物中の重合開始剤の含有量は、特に制限されないが、重合性モノマー100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。この範囲であると、保護層の架橋密度が高まり、保護層の耐摩耗性が向上し、感光体の摩耗がより低減される。
なお、保護層の総質量に対する無機フィラー、重合性モノマーの硬化物、ならびに任意に用いられる重合開始剤及び他の成分の含有量(質量%)(それぞれ重合性を有する場合はその硬化物も含む)と、保護層形成用組成物の総質量に対する無機フィラー、重合性モノマー、ならびに任意に用いられる重合開始剤及び他の成分の含有量(質量%)の含有量とは、ほぼ同等となる。
保護層形成用塗布液の調製方法も、特に制限はなく、重合性モノマー、無機フィラー、ならびに任意に用いられる重合開始剤及び他の成分を分散媒に加えて、溶解又は分散するまで撹拌混合すればよい。
保護層は、上記方法で調製した保護層形成用塗布液を感光層の上に塗布した後、乾燥及び硬化させることにより形成することができる。
上記塗布、乾燥、及び硬化の過程で、重合性モノマー間の反応、さらに無機フィラーが重合性基を有する場合には、重合性モノマーと無機フィラーとの間の反応、無機フィラー同士の反応等が進行し、保護層形成用組成物の硬化物を含む保護層が形成される。
保護層形成用塗布液の塗布方法は、特に制限されず、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー塗布法、円形スライドホッパー塗布法などの公知の方法を用いることができる。
上記塗布液を塗布した後は、自然乾燥又は熱乾燥を行い、塗膜を形成した後、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させることが好ましい。活性エネルギー線としては紫外線や電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、紫外線の照射量(積算光量)は、好ましくは5~5000mJ/cmであり、より好ましくは10~2000mJ/cmである。また、紫外線の照度は、好ましくは5~500mW/cmであり、より好ましくは10~100mW/cmである。
必要な活性エネルギー線の照射量(積算光量)を得るための照射時間としては、0.1秒~10分が好ましく、作業効率の観点から0.1秒~5分がより好ましい。
保護層を形成する過程においては、活性エネルギー線を照射する前後や、活性エネルギー線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などによって適宜選択できる。乾燥温度は、特に制限されないが、好ましくは20~180℃であり、より好ましくは80~140℃である。乾燥時間は、特に制限されないが、好ましくは1~200分であり、より好ましくは5~100分である。
保護層中では、重合性モノマーは、重合物(重合硬化物)を構成する。ここで、無機フィラーが重合性基を有する場合、保護層中では、重合性モノマーと、重合性基を有する無機フィラーとは、保護層を形成する一体的な重合物(重合硬化物)を構成する。当該重合硬化物が重合性モノマーの重合物(重合硬化物)であることや、重合性モノマーと、重合性基を有する無機フィラーとの重合物(重合硬化物)であることは、熱分解GC-MS、核磁気共鳴(NMR)、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、元素分析などの公知の機器分析技術による上記重合物(重合硬化物)の分析によって確認することができる。
[トナー]
本発明の画像形成方法及び画像形成システムにおいて、トナーは、トナー母体粒子と、トナー母体粒子に外添された外添剤として少なくともチタン酸化合物粒子とを含む。
本明細書において、「トナー母体粒子」とは、「トナー粒子」の母体を構成するものである。「トナー母体粒子」は、少なくとも結着樹脂を含むものであり、その他必要に応じて、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。「トナー母体粒子」は、外添剤の添加によって「トナー粒子」と称される。そして、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいう。
<トナー母体粒子>
トナー母体粒子の組成、構造は、又は特に制限されず、公知のトナー母体粒子を適宜採用することができる。例えば、特開2018-72694号公報、特開2018-84645号公報等に記載のトナー母体粒子が挙げられる。
結着樹脂としては、特に制限されないが、例えば、非晶性樹脂又は結晶性樹脂等が挙げられる。本明細書において、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂を表す。非晶性樹脂としては、特に制限されず公知の非晶性樹脂を用いることができる。例えば、ビニル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂などが挙げられる。これらの中でも、熱可塑性を制御しやすいという観点から、ビニル樹脂が好ましい。
ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合したものであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。
また、本明細書において、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性樹脂としては、特に制限されず公知の結晶性樹脂を用いることができる。例えば、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリエーテル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ここで、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)及びその誘導体と、2価以上のアルコール(多価アルコール)及びその誘導体との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、上記吸熱特性を満たす樹脂である。これらの樹脂は、単独でも又は2種以上を組み合わせても用いることができる。
着色剤としては、特に制限されず公知の着色剤を用いることができる。例えば、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料等が挙げられる。
離型剤としては、特に制限されず公知の離型剤を用いることができる。例えば、ポリオレフィンワックス、分枝鎖状炭化水素ワックス、長鎖炭化水素系ワックス、ジアルキルケトン系ワックス、エステル系ワックス、アミド系ワックス等が挙げられる。
荷電制御剤としては、特に制限されず公知の荷電制御剤を用いることができる。例えば、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩又は金属錯体等が挙げられる。
トナー母体粒子は、コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア・シェル構造のような多層構造のトナー粒子であってもよい。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面
は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)等の公知の観察手段によって、確
認することができる。
トナー粒子の体積平均粒径は、3.0~6.5μmの範囲内であることが好ましい。製造しやすさの観点から、トナー粒子の体積平均粒径を3.0μm以上とすることが好ましい。また、帯電量を低くしすぎることなく、低帯電量成分による画像不良を起きにくくすることができる観点からは、トナー粒子の体積平均粒径を6.5μm以下とすることが好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、0.995以下であることが好ましく、0.985以下であることがより好ましく、0.93~0.97の範囲内であることがさらに好ましい。このような範囲の平均円形度であれば、より帯電しやすいトナー粒子となる。
<外添剤>
外添剤は、金属酸化物粒子を含む。外添剤としての金属酸化物粒子は、転写部材とトナーとの間の静電的・物理的な付着力を低減させ、転写性を向上させる機能を有する。また、残留トナーの除去性を向上させてクリーニング性を向上させ、感光体やクリーニングブレードの摩耗を低減させる機能を有する。
(チタン酸化合物粒子)
本発明に係るトナーは、外添剤としてチタン酸化合物粒子を用いる。
チタン酸化合物粒子としては、例えば、チタン酸カルシウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子又はチタン酸亜鉛粒子等が挙げられるが、帯電量を長期にわたり一定レベルに維持させる点で、チタン酸カルシウム粒子又はチタン酸ストロンチウム粒子が好ましい。
チタン酸化合物粒子は、公知の方法により作製することができる。
本発明に使用可能なチタン酸化合物の作製方法としては、例えば、メタチタン酸と呼ばれる水和物の形態を有する酸化チタン(IV)化合物TiO2・HO2Oを経て作製する方法がある。この方法は、前記酸化チタン(IV)化合物を炭酸カルシウム等の炭酸金属塩あるいは金属酸化物と反応させた後、焼成処理によりチタン酸カルシウムに代表されるチタン酸化合物を生成する方法である。なお、メタチタン酸等の酸化チタンの加水分解物は、鉱酸解膠品とも呼ばれ、酸化チタン粒子が分散した液の形態を有するものである。この酸化チタン加水分解物よりなる鉱酸解膠品に水溶性の炭酸金属塩や金属酸化物を添加し、その混合液を50℃以上にしてアルカリ水溶液を添加しながら反応することによりチタン酸化合物が作製される。
チタン酸化合物粒子の個数平均一次粒径は、50~150nmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であると、50nm以上であると、スペーサーとしての効果が大きく、感光体/トナーの摩擦力・付着力を低減でき、転写効率が良好となる。150nm以下であると、トナーへの付着強度は強いため外れにくくなり、滑剤メモリに遊離となる点で好ましい。
チタン酸化合物粒子の個数平均粒径は、次のようにして測定することができる。
走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子社製)を用いて、5万倍に拡大したSEM写真をスキャナーにより取り込む。画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、当該SEM写真画像のチタン酸化合物粒子について2値化処理し、チタン酸化合物粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値を個数平均粒径とする。
チタン酸化合物粒子の表面は、表面修飾剤(表面処理剤)により疎水化処理されていることが好ましく、その疎水化度は、例えば、40~70の範囲内であることが好ましい。これにより、環境差による帯電量変動とキャリアへ移行した際の帯電量変動をより効果的に抑制することができる。また、疎水化処理された際の表面修飾剤の遊離率は、0であることが好ましい。遊離した表面修飾剤が存在すると、それがキャリアに移行し、帯電量変動が大きくなってしまう。
表面修飾剤によるチタン酸化合物粒子の疎水化方法としては、例えば、気相中で浮遊させられたチタン酸化合物粒子に対して表面修飾剤、又は表面修飾剤を含む溶液を噴霧するスプレードライ法等による乾式法、表面修飾剤を含有する溶液中にチタン酸化合物粒子を浸漬し、乾燥する湿式法、表面修飾剤とチタン酸化合物粒子を混合機により混合する混合法等が挙げられる。
チタン酸化合物粒子の含有量は、例えば、トナー母体粒子100質量部に対して0.1~2.0質量部の範囲内であることが好ましい。0.1質量部以上であると、本発明の効果をより確実に得ることができる。2.0質量部以下であると、低カバレッジ印刷時に現像機内で現像剤が撹拌された際のトナー粒子とキャリア粒子の衝撃をチタン酸化合物粒子が受ける確率を低く抑えることができるので、チタン酸化合物粒子のトナー母体粒子への埋没を起こりにくくすることができる。
(その他の外添剤)
本発明に係る外添剤は、トナー粒子の流動性や帯電性等を制御する観点から、上記チタン酸化合物粒子以外に、その他の外添剤を含有することが好ましい。このような外添剤としては、例えば、シリカ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子、酸化ホウ素粒子等が挙げられる。
その他の外添剤の個数平均粒径は、例えば、分級や分級品の混合等によって調整することが可能である。その他の外添剤の個数平均粒径は、上記したチタン酸化合物粒子の個数平均粒径の測定方法と同様の方法で測定することができる。
その他の外添剤は、耐熱保管性や環境安定性の向上等の観点から、その表面が疎水化処理されていることが好ましい。当該疎水化処理には、公知の表面修飾剤が用いられる。当該表面修飾剤は、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物、ロジン酸、シリコーンオイル等が挙げられる。
その他の外添剤としては、帯電性付与の観点からシリカ粒子を用いることが好ましく、一次粒子の個数平均粒径が10~60nmの範囲内のシリカ粒子を用いることがより好ましい。これにより、トナーの流動性を向上させて、現像機にトナーが補給された際に、トナー粒子とキャリア粒子との混合を十分に行うことができるので、安定した帯電量推移が得られる。さらに、一次粒子の個数平均粒径が10~60nmの範囲内のシリカ粒子とともに、一次粒子の個数平均粒径が80~150nmの範囲内のシリカ粒子を併用することが好ましい。これにより、低カバレッジ印刷時に現像機内で現像剤が撹拌された際のトナー粒子とキャリア粒子の衝撃を和らげることができる。
また、その他の外添剤として、有機粒子を用いることもできる。有機粒子としては、個数平均粒径が10~2000nm程度の球形の有機粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレート等の単独重合体やこれらの共重合体による有機粒子を使用することができる。また、その他の外添剤として滑材を用いることもできる。滑材は、クリーニング性や転写性をさらに向上させる目的で使用されるものであって、具体的には、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
[トナーの製造方法]
トナー母体粒子の製造方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法等の公知の方法が挙げられる。これらの中でも、粒径の均一性、形状の制御性の観点から、乳化凝集法が好ましい。乳化凝集法とは、界面活性剤や分散安定剤によって分散された結着樹脂の粒子の分散液を、必要に応じて、着色剤の粒子の分散液と混合し、所望のトナー粒径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂の粒子間の融着を行うことにより形状制御を行うことで、トナー母体粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。
トナー母体粒子に対する外添剤の外添は、機械式混合装置を用いることができる。機械式混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、タービュラーミキサー等が使用できる。これらの中で、ヘンシェルミキサーのように処理される粒子に剪断力を付与できる混合装置を用いて、混合時間を長くする、又は撹拌羽根の回転周速を上げる等の混合処理を行えばよい。また、複数種類の外添剤を使用する場合、トナー粒子に対して全ての外添剤を一括で混合処理するか、又は外添剤に応じて複数回に分けて分割して混合処理してもよい。
[現像剤]
トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウム及び鉛などとの合金、フェライト及びマグネタイトなどの強磁性金属の化合物など、従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライトが好ましい。
[電子写真画像形成システム]
本発明の電子写真画像形成システムは、電子写真感光体を有する電子写真画像形成装置と、トナーとを備えた電子写真画像形成システムであって、前記電子写真感光体が、保護層を有し、前記保護層の表面が、凸部構造を有し、複数の凸部のうち互いに隣接する凸部間の平均距離Rが、100~250nmの範囲内であり、かつ、前記トナーが、チタン酸化合物粒子が付着されたトナー母体粒子を含むことを特徴とする。
すなわち、前記した電子写真感光体を有する電子写真画像形成装置と、前記したトナーとを備えている。
以下では、前記電子写真感光体を有する電子写真画像形成装置について説明する。
[電子写真画像形成装置]
本発明に係る電子写真画像形成装置は、上述した感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された感光体を露光し静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像が形成された感光体にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、感光体上に形成されたトナー像を転写する転写手段と、感光体の表面に残存した残留トナーを除去するクリーニング手段と、を有する。本発明の一形態に係る画像形成装置は、これらの手段に加え、感光体の表面に滑剤を供給する滑剤供給手段をさらに有するものが好ましい。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の一形態に係る画像形成装置を説明する。ただし、本発明は以下で説明する一形態のみに限定されるものではない。
図4は、本発明の一形態に係る電子写真画像形成装置の構成の一例を示す断面概略図であり、図5は、本発明の一形態による電子写真画像形成装置に備えられる非接触式の帯電手段及び滑剤供給手段の一例を示す概略構成図である。また、図6は、本発明の他の一実施形態による画像形成装置に備えられる近接帯電式の帯電手段の一例を示す概略構成図である。
図4に示す画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bk、無端ベルト状中間転写体ユニット7、給紙手段21、定着手段24等を備えている。画像形成装置100の装置本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に感光体1Yの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー(一次転写手段)5Y、及びクリーニング手段6Yを有する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、ドラム状の感光体1Mの周囲に感光体1Mの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写ローラー(一次転写手段)5M、及びクリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、ドラム状の感光体1Cの周囲に感光体1Cの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写ローラー(一次転写手段)5C、及びクリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成ユニット10Bkは、ドラム状の感光体1Bkの周囲に感光体1Bkの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写ローラー(一次転写手段)5Bk、及びクリーニング手段6Bk
を有する。
感光体1Y、1M、1C、1Bkとしては、上述した本発明に係る感光体を用いる。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成するトナー像の色が異なるのみで同様に構成される。したがって、画像形成ユニット10Yを例にとって詳細に説明し、画像形成ユニット10M、10C、10Bkの説明を省略する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー(一次転写手段)5Y、及びクリーニング手段6Yを有し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。また、本形態においては、画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、及びクリーニング手段6Yが一体化されて設けられている。
帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であって、例えば、図4及び図5において例示されるような、スコロトロンなどのコロナ放電型の帯電器等の、非接触式の帯電装置が用いられうる。
また、帯電手段2Yとしては、非接触式の帯電装置に代えて、図6で例示されるような、帯電ローラーを感光体に接触又は近接した状態で帯電させる近接帯電式の帯電装置である帯電手段2Y’も用いられうる。帯電手段2Y’は、感光体1Y表面に対して帯電ローラーにより帯電を行う手段である。この例の帯電手段2Y’は、感光体1Yの表面に接触して配置された帯電ローラーと帯電ローラーに電圧を印加する電源とからなる。帯電ローラーは、例えば、芯金と、芯金の表面上に積層され、帯電音を低減させるとともに弾性を付与して感光体1Yに対する均一な密着性を得るための弾性層と、を有する。弾性層の表面上には、必要に応じて帯電ローラーが全体として高い均一性の電気抵抗を得るための抵抗制御層が積層される。当該抵抗制御層上には、表面層が積層される。帯電ローラーは、押圧バネによって感光体1Yの方向に付勢され、感光体1Yの表面に対して所定の押圧力で圧接されて帯電ニップ部が形成される構成となっており、感光体1Yの回転に従動して回転される。
帯電手段2Yとして帯電手段2Y’を用いる場合、前述の特許文献1の技術では、クリーニング時にトナーから外添剤が遊離し易く、クリーニング時の遊離外添剤やその凝集物、トナーと遊離外添剤との凝集物のすり抜けによって帯電ローラー汚染が生じ、さらにこの帯電ローラー汚染に起因して画像不良が発生する場合があった。しかしながら、本発明の一形態に係る電子写真画像形成装置では、前述のように、残留トナーがクリーニングブレードに突入する際の突入力や残留トナーの対流による外添剤の遊離が抑制され、過剰な遊離外添剤やその凝集物、トナーと遊離外添剤との凝集物のすり抜けが低減される。これより、遊離外添剤による帯電ローラー汚染が抑制され、画像不良の発生が低減される。
露光手段3Yは、帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像
信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段である。露光手段3Yとしては、例えば、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、又はレーザー光学系が用いられる。
現像手段4Yは、例えば、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ及び感光体1Yとこの現像スリーブとの間に直流及び/又は交流バイアス電圧を印
加する電圧印加装置よりなるものである。
一次転写ローラー5Yは、感光体1Y上に形成されたトナー像を無端ベルト状の中間転写体70に転写する手段(一次転写手段)である。一次転写ローラー5Yは、中間転写体70と当接して配置されている。
感光体1Yの表面に滑剤を供給する(塗布する)滑剤供給手段116Yは、例えば図5に示すように、一次転写ローラー(一次転写手段)5Yの下流側かつクリーニング手段6Yの上流側に設けられる。ただし、クリーニング手段6Yの下流側であってもよい。
滑剤供給手段116Yを構成するブラシローラー121としては、例えば基布に繊維の束をパイル糸として織り込んだパイル織り生地をリボン状生地にし、起毛した面を外側にして金属製シャフトの周囲に螺旋状に巻き付け、接着したものが挙げられる。この例のブラシローラー121は、例えばポリプロピレンなどの樹脂製のブラシ繊維が高密度に植設されてなる長尺の織布がローラー基体の周面に形成されてなるものである。
ブラシ毛は、金属製シャフトに対し垂直方向に起毛させる、直毛タイプが滑剤の塗布能力の観点から好ましい。ブラシ毛に用いる糸は、フィラメント糸が望ましく、材料としては、6-ナイロン、12-ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル、アクリル樹脂、ビニロン等の合成樹脂が挙げられ、導電性を高める目的でカーボンやニッケル等の金属を練り込んだものでもよい。ブラシ繊維の太さは例えば3~7デニール、ブラシ繊維の毛長は、例えば2~5mm、ブラシ繊維の電気抵抗率は、例えば1×1010Ω以下、ブラシ繊維のヤング率は4900~9800N/mm、ブラシ繊維の植設密度(単位面積あたりのブラシ繊維数)は、例えば5万~20万本/平方インチ(50~200k本/inch)が好ましい。ブラシローラー121の感光体に対する食込み量は、0.5~1.5mmであることが好ましい。ブラシローラーの回転速度は、例えば感光体の周速比で0.3~1.5とされ、感光体の回転方向と同じ方向の回転であっても、逆の方向の回転であってもよい。
加圧バネ123は、ブラシローラー121の感光体1Yに対する押圧力が、例えば0.5~1.0Nとなるよう、滑剤122を感光体1Yに近接する方向に押圧するものが用いられる。
滑剤供給手段116Yにおいては、回転する感光体の表面における累積長さ1km当たりに対する滑材消費量が好ましくは0.05~0.27g/kmと、より好ましくはより少量となる0.05~0.15g/kmとされるよう、例えば滑剤122のブラシローラー121に対する押圧力及びブラシローラー121の回転速度が調整される。
滑剤122の種類としては、特に制限されず、公知のものを適宜選択することができるが、脂肪酸金属塩を含有することが好ましい。
脂肪酸金属塩としては、炭素数10以上の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩が好ましく、例えば、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸インジウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸アルミニウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウムなどが挙げられる。これらの中でも、滑剤としての効果や入手容易性、コスト等の観点から、ステアリン酸亜鉛が特に好ましい。
滑剤供給手段としては、前述のようなブラシローラー116Yによって固形状の滑剤122を塗布する方法によって行う手段に代えて、トナーの作製においてトナー母体粒子に対して微粉状の滑剤を外部添加することで、現像手段において形成される現像電界の作用により、電子写真感光体の表面に滑剤を供給する手段も用いられうる。
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される。
中間転写体ユニット7は、複数のローラー71~74により巻回され、回動可能に支持された無端ベルト状の中間転写体70を有する。無端ベルト状中間転写体ユニット7には、中間転写体70上にトナーを除去するクリーニング手段6bが配置されている。
また、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、中間転写体ユニット7とにより筐体8が構成されている。筐体8は、装置本体Aから支持レール82L、82Rを介して引き出し可能に構成されている。
定着手段24としては、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
なお、上記した実施形態においては、画像形成装置100がカラーのレーザープリンターであるものとしたが、モノクロのレーザープリンター、コピー機、複合機等であってもよい。また、露光光源は、レーザー以外の光源、例えばLED光源等であってもよい。
また、本発明の一形態に係る電子写真画像形成装置には、必要に応じて、滑剤を感光体の表面から除去する滑剤除去手段がさらに設けられてもよい。具体的には、例えば、画像形成装置100において、感光体1Yの回転方向において、クリーニング手段6Yの下流側かつ帯電手段2Yの上流側に滑剤供給手段116Yが設けられ、さらに当該滑剤供給手段116Yの下流側かつ帯電手段2Yの上流側に滑剤除去手段が配置されて、画像形成装置が構成される。
滑剤除去手段は、除去部材が感光体1Y表面に接触し、機械的作用によって滑剤を除去する手段であることが好ましく、ブラシローラーや発泡ローラーなどの除去部材を用いることができる。
本発明は、プリント速度を高速化する場合において、より高い効果を奏するものである。これより、電子写真画像形成装置は、70枚/分(A4ヨコ)以上のプリント速度を実現できるものであることが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
[金属酸化物粒子(無機フィラー)の作製]
A.ラジカル重合性の金属酸化物粒子の作製
(1)複合微粒子〔1〕の作製
図7に示す製造装置を用い、硫酸バリウム芯材(コア)の表面に酸化スズの被覆層(シェル)が付着されてなる複合微粒子〔1〕を作製した。
具体的には、母液槽41中に純水3500cmを投入し、次に、平均粒径D50が100nmである球状の硫酸バリウム芯材900gを投入して5パス循環させた。母液槽41から流出するスラリーの流速は2280cm/minであった。また、強分散装置43の撹拌速度を16000rpmとした。循環完了後のスラリーを純水で全量9000cmにメスアップし、そこに1600gの錫酸ナトリウム及び2.3cmの水酸化ナトリウム水溶液(濃度25N)を投入して5パス循環させた。このようにして母液を得た。
この母液を、母液槽41から流出する流速S1が200cmとなるように循環させながら、強分散装置43としてのホモジナイザー「magic LAB」(IKAジャパン株式会社製)に20%硫酸を供給した。供給速度S3を9.2cm/minとした。ホモジナイザーの容積は20cm、撹拌速度は16000rpmであった。循環を15分間行い、その間硫酸を連続的にホモジナイザーに供給した。このようにして、硫酸バリウム芯材の表面に酸化スズの被覆層が形成された粒子を得た。
得られた粒子を含むスラリーを、その導電率が600μS/cm以下となるまでリパルプ洗浄した後、ヌッチェ濾過を行い、ケーキを得た。このケーキを大気中、150℃で10時間乾燥させた。次いで乾燥ケーキを粉砕し、その粉砕粉を1体積%H/N雰囲気下で450℃、45分間還元焼成した。これによって、硫酸バリウム芯材の表面に酸化スズが付着されてなる複合微粒子〔1〕を得た。
ここで、図7に示す製造装置において、符号42、44は、母液槽41と強分散装置43との間の循環路を形成する循環配管、符号45、46は、循環配管42、44に設けられたポンプ、符号41aは撹拌翼、符号43aは撹拌部、符号41b、43bはシャフト、符号41c、43cはモーターをそれぞれ示す。
(2)表面修飾金属酸化物粒子の作製
<表面修飾金属酸化物粒子〔P-1〕の作製>
エタノール100mLに二酸化ケイ素(個数平均一次粒径=20nm)10gを加え、USホモジナイサーを用いて60分間分散させた。次いで、表面修飾剤としてジメチルジクロロシラン0.3g及びエタノール10mLを加え、USホモジナイサーを用いて30分間分散を行った。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、重合性基を有する表面修飾金属酸化物粒子〔P-1〕を得た。
<金属酸化物粒子〔P-2〕の作製>
酸化スズ(個数平均一次粒径=20nm)に表面修飾を行わずに、そのまま酸化スズを金属酸化物粒子〔P-2〕とした。
<表面修飾金属酸化物粒子〔P-3〕の作製>
エタノール100mLに酸化スズ(個数平均一次粒径=20nm)10gを加え、USホモジナイサーを用いて60分間分散させた。次いで、カップリング剤として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(例示化合物S-15)(信越シリコーン社製の「KBM503」)0.3g及びエタノール10mLを加え、USホモジナイサーを用いて30分間分散を行った。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、重合性基を有する金属酸化物粒子を得た。
上記で得られた金属酸化物粒子5gを、2-ブタノール50mLに加え、USホモジナイザーを用いて60分間分散させた。次いで、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する表面修飾剤(信越化学社製の「KF-9908」)0.15gを加えて、USホモジナイザーを用いて60分間分散を行った。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、側鎖にシリコーン鎖を有する表面修飾が施され、かつ重合性基を有する金属酸化物粒子〔P-3〕を得た。
<表面修飾金属酸化物粒子〔P-4〕~〔P-6〕の作製>
前記表面修飾金属酸化物粒子〔P-3〕の作製において、未修飾金属酸化物粒子である酸化スズの個数平均一次粒径を下記表に示すとおりに変更した以外は同様にして表面修飾金属酸化物粒子〔P-4〕及び〔P-5〕を作製した。また、前記表面修飾金属酸化物粒子〔P-3〕の作製において、酸化スズを、前記複合微粒子〔1〕に変更した以外は同様にして表面修飾金属酸化物粒子〔P-6〕を作製した。
<表面修飾金属酸化物粒子〔P-7〕の作製>
2-ブタノール100mLに前記複合粒子〔1〕10gを加え、USホモジナイサーを用いて60分間分散させた。次いで、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(信越化学社製の「KF-9908」)0.3g及び2-ブタノール10mLを加え、USホモジナイザーを用いて60分間分散を行った。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、側鎖にシリコーン鎖を有する表面修飾剤による表面修飾が施された金属酸化物粒子〔P-7〕を得た。
<表面修飾金属酸化物粒子〔P-8〕及び〔P-10〕~〔P-13〕の作製>
前記表面修飾金属酸化物粒子〔P-3〕の作製において、未修飾金属酸化物粒子の種類と個数平均一次粒径、及び、非反応性表面修飾剤の種類を下記表に示すとおりに変更した以外は同様にして表面修飾金属酸化物粒子〔P-8〕、〔P-10〕~〔P-13〕を作製した。
<表面修飾金属酸化物粒子〔P-9〕の作製>
(フルオロアルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体の合成)
2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート9.9g、アクリル酸0.1g、重合開始剤「パーロイルSA」(日油社製)0.3g及びフッ素系溶剤:メチルペルフルオロブチルエーテル(東京化成工業社製)60.0gを反応容器に加え、乾燥窒素でパージして反応容器を密封し、70℃で24時間、撹拌下で加熱した後、反応容器を冷却し、開封した。
次いで、反応容器内の溶液をメタノール300mL中に注ぎ、得られた重合体を沈殿させ、沈殿物を真空下にて乾燥させることにより、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体よりなる特定のフッ素化表面修飾剤〔A〕を得た。
(表面修飾)
エタノール100mLに前記複合粒子〔1〕10gを加え、USホモジナイサーを用いて60分間分散させた。次いで、カップリング剤として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製の「KBM503」)0.3g及びエタノール10mLを加え、USホモジナイサーを用いて30分間分散を行った。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、重合性基を有する金属酸化物粒子を得た。
上記で得られた金属酸化物粒子5gを、2-ブタノール50mLに加え、USホモジナイザーを用いて60分間分散させた。次いで、フッ素化表面修飾剤〔A〕0.15gを加えて、USホモジナイザーを用いて60分間分散を行った。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、フッ素化表面修飾が施され、かつ重合性基を有する金属酸化物粒子〔P-9〕を得た。
<表面修飾金属酸化物粒子〔P-14〕の作製>
エタノール100mLに前記複合粒子〔1〕10gを加え、USホモジナイサーを用いて60分間分散させた。次いで、カップリング剤として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(前記例示化合物S-15)(信越シリコーン社製の「KBM503」)0.3g及びエタノール10mLを加え、USホモジナイサーを用いて30分間分散を行った。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、重合性基を有する金属酸化物粒子〔P-14〕を得た。
前記で用いた表面修飾剤は下記のとおりである。
KF-9908:シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面修飾剤(信越化学工業製)
KP-574:アクリル主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面修飾剤(信越化学工業製)
KF-99:直鎖型シリコーン表面修飾剤(メチルハイドロジェンシリコーンオイル)(信越化学工業製)
KF-9901:下記式で表される、直鎖型のメチルハイドロジェンシリコーンオイル(信越化学社製)
Figure 0007272067000004
[感光体の作製]
<感光体1の作製>
A.導電性支持体の準備
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体を準備した。
B.中間層の作製
下記成分を下記分量で混合し、分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行い、中間層用の塗布液を調製した。当該塗布液を浸漬塗布法によって導電性支持体の表面に塗布し、110℃で20分間乾燥し、膜厚2μmの中間層を導電性支持体上に形成した。なお、ポリアミド樹脂としてX1010(ダイセルデグサ株式会社)を使用した。また、酸化チタン粒子としてSMT500SAS(テイカ株式会社)を使用した。
ポリアミド樹脂:10質量部
酸化チタン粒子:11質量部
エタノール:200質量部
C.電荷発生層の作製
下記成分を下記分量で混合し、循環式超音波ホモジナイザー(RUS-600TCVP;株式会社日本精機製作所)を19.5kHz、600Wにて循環流量40L/時間で0.5時間分散することにより、電荷発生層用の塗布液を調製した。当該塗布液を浸漬塗布法によって中間層の表面に塗布し、乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を中間層上に形成した。なお、電荷発生物質は、Cu-Kα特性X線回折スペクトル測定で8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークを有するチタニルフタロシアニン及び(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンの混晶を使用した。また、ポリビニルブチラール樹脂としてエスレックBL-1(積水化学工業株式会社、「エスレック」は、同社の登録商標)を使用した。また、混合液として、3-メチル-2-ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V)を使用した。
電荷発生物質:24質量部
ポリビニルブチラール樹脂:12質量部
混合液:400質量部
D.電荷輸送層の作製
下記成分を下記分量で混合した電荷輸送層用の塗布液を浸漬塗布法によって電荷発生層の表面に塗布し、120℃で70分間乾燥することにより、膜厚24μmの電荷輸送層を電荷輸送層上に形成した。なお、ポリカーボネート樹脂としてZ300(三菱ガス化学株式会社)を使用した。また、酸化防止剤としてIRGANOX1010(BASF社、「IRGANOX」は同社の登録商標)を使用した。
下記構造式(2)で表される構造を有する電荷輸送物質:60質量部
ポリカーボネート樹脂:100質量部
酸化防止剤:4質量部
Figure 0007272067000005
E.保護層の作製
下記成分を下記分量で混合し、分散・溶解した保護層形成用の塗布液を、電荷輸送層の表面に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布した。次いで、110℃70分の乾燥を行い、乾燥膜厚6.0μmの熱可塑性型の保護層を形成した。
前記表面修飾金属酸化物粒子〔P-1〕(シリカ粒子(処理:ジメチルジクロロシランで表面処理された個数平均1次粒径20nmのシリカ粒子)):120質量部
電荷輸送物質:(N-(4-メチルフェニル)-N-{4-(β-フェニルスチリル)フェニル}-p-トルイジン):150質量部
ポリカーボネート樹脂(Z300:三菱ガス化学社製):300質量部
酸化防止剤(IRGANOX1010::BASF社、「IRGANOX」は同社の登録商標):12質量部
テトラヒドロフラン(THF):2800質量部
シリコーンオイル(KF-54:信越化学社製):4質量部
<感光体2の作製>
電荷輸送層までは感光体1の作製手順と同様に作製した。下記成分を下記分量で混合した保護層用の塗布液(ラジカル重合性樹脂組成物)を電荷輸送層の表面に、円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布した。
次いで、塗布された塗布液の膜に、メタルハライドランプで紫外線を1分間照射して当該膜を硬化させることにより、膜厚3.0μmの保護層を電荷輸送層上に形成した。なお、重合開始剤は、イルガキュア819(BASFジャパン社)を使用した。
ラジカル重合性モノマー(前記例示化合物M2):120質量部
前記金属酸化物粒子〔P-2〕:100質量部
重合開始剤:10質量部
2-ブタノール:400質量部
<感光体3~12の作製>
前記感光体1の保護層の作製において、前記表面修飾金属酸化物粒子〔P-1〕を下記表に示す金属酸化物粒子に変えた以外は同様にして感光体3~12を作製した。
<感光体13の作製>
前記感光体2の保護層の作製において、前記金属酸化物粒子〔P-2〕を下記表に示す金属酸化物粒子に変え、かつ、その添加量を100質量部から120質量部に変更した以外は同様にして感光体13を作製した。
<感光体14の作製>
前記感光体2の保護層の作製において、前記金属酸化物粒子〔P-2〕を下記表に示す金属酸化物粒子に変え、かつ、その添加量を100質量部から75質量部に変更した以外は同様にして感光体14を作製した。
[トナーの作製]
<トナー1の作製>
(1)トナー母体粒子1の作製
(1.1)コア部用樹脂粒子A分散液の調製
(1.1.1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、あらかじめアニオン性界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
アニオン性界面活性剤溶液に重合開始剤として過硫酸カリウム(KPS)9.0質量部を添加し、内温を78℃とした。重合開始剤を添加したアニオン性界面活性剤溶液に対して、下記成分を下記分量で混合した単量体溶液1を3時間かけて滴下した。滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第1段重合)を行うことにより、樹脂粒子a1の分散液を調製した。
スチレン:540質量部
n-ブチルアクリレート:154質量部
メタクリル酸:77質量部
n-オクチルメルカプタン:17質量部
(1.1.2)第2段重合:中間層の形成
下記成分を下記分量で混合し、オフセット防止剤としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させて単量体溶液2を調製した。
スチレン:94質量部
n-ブチルアクリレート:27質量部
メタクリル酸:6質量部
n-オクチルメルカプタン:1.7質量部
アニオン性界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させた界面活性剤溶液を90℃に加温し、この界面活性剤溶液に樹脂微粒子a1の分散液を、樹脂粒子a1の固形分換算で28質量部添加した後、循環経路を有する機械式分散機(「クレアミックス(登録商標)」、エム・テクニック社製)により、単量体溶液2を4時間混合・分散させ、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。
当該分散液に重合開始剤としてKPS2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、この系を90℃において2時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第2段重合)を行うことにより、樹脂粒子a11の分散液を調製した。
(1.1.3)第3段重合:外層の形成(コア部用樹脂粒子Aの作製)
樹脂粒子a11の分散液に、重合開始剤としてKPS2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、下記成分が下記分量で配合された単量体溶液3を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中にコア部用樹脂粒子Aが分散されたコア部用樹脂粒子Aの分散液を調製した。コア部用樹脂粒子Aのガラス転移点は45℃であり、軟化点は100℃であった。
スチレン:230質量部
n-ブチルアクリレート:78質量部
メタクリル酸:16質量部
n-オクチルメルカプタン:4.2質量部
(1.2)シェル層用樹脂粒子B分散液の調製
(1.2.1)シェル層用樹脂(スチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂B)の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに、下記成分1を下記分量で入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した。
(成分1)
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:500質量部、
テレフタル酸:117質量部、
フマル酸:82質量部、
エステル化触媒(オクチル酸スズ):2質量部
次いで、冷却した上記溶液に、下記成分2を下記分量で混合した混合物滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、未反応のアクリル酸、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、スチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂Bを得た。得られたスチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂Bのガラス転移点は60℃であり、軟化点は105℃であった。
(成分2)
アクリル酸:10質量部
スチレン:30質量部
ブチルアクリレート:7質量部
重合開始剤(ジ-t-ブチルパーオキサイド):10質量部
(1.2.2)シェル層用樹脂粒子B分散液の調製
得られたスチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂B 100質量部を、粉砕器(ランデルミル、RM型;株式会社徳寿工作所社)で粉砕し、あらかじめ調製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー(「US-150T」、株式会社日本精機製作所製)を用いてV-LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、個数基準のメディアン径(D50)が250nmであるシェル層用樹脂粒子Bが分散されたシェル層用樹脂粒子Bの分散液を調製した。
(1.3)着色剤粒子分散液1の調製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(「モーガルL」、キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置(「クレアミックス(登録商標)」、エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液1を調製した。
この分散液における着色剤粒子の粒子径を、マイクロトラック粒度分布測定装置(「UPA-150」、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
(1.4)トナー母体粒子1の作製(凝集、融着-洗浄-乾燥)
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、コア部用樹脂粒子Aの分散液を固形分換算で288質量部、イオン交換水2000質量部を投入し、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10(25℃)に調整した。
その後、着色剤粒子分散液1を固形分換算で40質量部投入した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。
その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で精密粒度分布測定装置(「Multisizer3」、ベックマン・コールター社製)にてコア粒子の粒径を測定し、個数基準のメディアン径(D50)が5.8μmになった時点で、シェル層用樹脂粒子Bの分散液を固形分換算で72質量部を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置(「FPIA-2100」、Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で30℃に冷却し、トナー母体粒子1の分散液を得た。
このトナー母体粒子1の分散液を遠心分離機で固液分離し、トナー母体粒子1のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後、気流式乾燥機(「フラッシュジェットドライヤー」、株式会社セイシン企業製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥し、トナー母体粒子1を得た。
トナー母体粒子1の粒径を精密粒度分布測定装置(「Multisizer3」、ベックマン・コールター社製)にて測定したところ、個数基準のメディアン径(D50)が6.0μmであった。
(2)トナー1の作製
100質量部の上記調製したトナー母体粒子1に、外添剤として、シリカ粒子1(個数平均一次粒径=110nm、HMDS処理)を0.3質量部、シリカ粒子2(個数平均一次粒径=12nm、HMDS処理)を0.8質量部、チタン酸カルシウム粒子(個数平均一次粒径=100nm、シリコーンオイル処理)を0.5質量部添加した。これをヘンシェルミキサー型式「FM20C/I」(日本コークス工業(株)製)に添加し、羽根先端周速が40m/sとなるようにして回転数を設定して20分間撹拌し、トナー1を調製した。
<トナー2及び3の作製>
前記トナー1の作製において、前記チタン酸カルシウム粒子(個数平均一次粒径=100nm)の代わりに、下記表に記載のチタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムをそれぞれ用いた以外は同様にして、トナー2及び3を作製した。
<トナー4及び5の作製>
前記トナー1の作製において、チタン酸カルシウム粒子の個数平均一次粒径を、下記表に記載のとおりに変えた以外は同様にして、トナー4及び5を作製した。
<トナー6の作製>
前記トナー1の作製において、チタン酸カルシウム粒子(個数平均一次粒径=100nm)の代わりに、下記表に記載の二酸化チタンを用いた以外は同様にして、トナー6を作製した。
[評価]
フルカラー印刷機(「bizhub PRESS(登録商標)C1070」、コニカミノルタ株式会社製)を使用した。
常温常湿環境(温度20℃、湿度50%RH)にて、A4版の上質紙(65g/m) 上にテスト画像として印刷字が5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を1000枚行った。
次に、高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH)にて、A4版の上質紙(65g/m)状にテスト画像として印字率が5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を70000枚行った後、印字率が40%の帯状ベタ画像を形成する印刷を30000枚行った。
次に、低温低湿環境(温度10℃、湿度20%RH)にて、同じようにして計100000枚の印刷を行った。1000枚印刷後(初期(NN))、100000枚印刷後(100kp(HH))、200000枚印刷後(200kp(LL))のそれぞれのタイミングにおいて、下記の評価を行った。
(1)感光体摩耗
上記耐久試験前後における感光体の保護層の膜厚減耗量により評価した。
具体的には、保護層の膜厚は、均一膜厚部分(塗布の先端部及び後端部の膜厚変動部分を膜厚プロフィールを作製して除く。)をランダムに10ヶ所測定し、その平均値を保護層の膜厚とする。
膜厚測定器は、渦電流方式の膜厚測定器「EDDY560C」(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用い、耐久試験前後の保護層の膜厚の差を膜厚減耗量(μm)として算出した。0.20μm以下を実用可能と判断した。
(評価基準)
A:減耗量が0.05μm以下
B:減耗量が0.05μmより大きく、0.10μm以下
C:減耗量が0.10μmより大きく、0.15μm以下
D:減耗量が0.15μmより大きく、0.20μm以下
E:減耗量が0.20μmより大きい
(2)クリーニングブレード摩耗
耐久実験後、クリーニングブレードを、形状測定レーザマイクロスコープ「VK-X100」(株式会社キーエンス製)を用いて観察し、摩耗幅を算出した。そして、上記耐久実験前後のクリーニングブレードの摩耗幅の差を摩耗量とし、下記評価基準に従って摩耗量を評価した。なお、摩耗量40μm以下を実用可能と判断した。
(評価基準)
A:減耗量が10μm以下
B:減耗量が10μmより大きく、20μm以下
C:減耗量が20μmより大きく、30μm以下
D:減耗量が30μmより大きく、40μm以下
E:減耗量が40μmより大きい
(3)FDスジ(クリーニング性)
上記耐久試験後に、10℃、15%RHの環境下において、紙の搬送方向の前方部に黒地部、後方部に白地部が位置するように、ハーフトーン画像を、A3版中性紙に100枚プリントした。100枚目のプリントの白地部について、トナーのすり抜けにより発生した汚れを目視により観察し、下記評価基準にしたがって、クリーニング性を評価した。
(評価基準)
A:すり抜けが全くなく問題ないレベル
B:一部すり抜けは認められるが、画像上FDスジは視認できず、実用上問題なし
C:すり抜けが認められ、画像上でもFDスジが視認でき、実用上問題あり
(4)帯電量
帯電量測定装置「ブローオフ式TB-200」(東芝社製)に400メッシュのステンレス製スクリーンを装着し、ブロー圧0.5kgf/cm(0.049MPa)の条件で、上記各印刷実行後の現像器内のトナーに対し、10秒間窒素ガスにてブローした。当該ブロー後に測定された電荷を、ブローにより飛翔したトナーの質量で除することにより、帯電量(μC/g)を算出した。
Figure 0007272067000006
上記結果に示されるように、実施例1~16のような感光体とトナーとの組み合わせとした場合、比較例1~3のような感光体とトナーとの組み合わせとした場合に比べて、帯電量変動が抑制され、感光体及びクリーニングブレードの摩耗が低減され、かつ、クリーニング性も良好であることが分かる。
1Y、1M、1C、1Bk 電子写真感光体
2Y、2Y’、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー(一次転写手段)
5b 二次転写部(二次転写手段)
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段
7 中間転写体ユニット
8、120 筐体
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラー
23 レジストローラー
24 定着手段
25 排紙ローラー
26 排紙トレイ
41 母液槽
41a 撹拌翼
41b、43b シャフト
41c、43c モーター
42、44 循環配管
43 強分散装置
43a 撹拌部
45、46 ポンプ
70 中間転写体
71~74 ローラー
82R、82L 支持レール
100 画像形成装置
116Y 滑剤供給手段
121 ブラシローラー
122 滑剤
122a 表面
123 加圧バネ
A 本体

Claims (6)

  1. 電子写真感光体を使用する電子写真画像形成方法であって、
    前記電子写真感光体が、保護層を有し、
    前記保護層の表面が、凸部構造を有し、
    複数の凸部のうち互いに隣接する凸部間の平均距離Rを、100~250nmの範囲内とし、
    前記保護層が、側鎖にシリコーン鎖を有するシリコーン表面修飾剤と、重合性基を有する反応性表面修飾剤で表面修飾された無機フィラーを含有し、
    前記無機フィラーが、芯材の表面に金属酸化物が付着されてなる複合微粒子であり、
    かつ、チタン酸化合物粒子をトナー母体粒子に付着させたトナーを用いることを特徴とする電子写真画像形成方法。
  2. 前記保護層が、重合性モノマーと無機フィラーを含む組成物の重合硬化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成方法。
  3. 前記無機フィラーの個数平均一次粒径が、50~200nmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の電子写真画像形成方法。
  4. 前記チタン酸化合物粒子が、チタン酸カルシウム粒子又はチタン酸ストロンチウム粒子であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
  5. 前記チタン酸化合物粒子の個数平均一次粒径が、50~150nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
  6. 電子写真感光体を有する電子写真画像形成装置と、トナーとを備えた電子写真画像形成システムであって、
    前記電子写真感光体が、保護層を有し、
    前記保護層の表面が、凸部構造を有し、
    複数の凸部のうち互いに隣接する凸部間の平均距離Rが、100~250nmの範囲内であり、
    前記保護層が、側鎖にシリコーン鎖を有するシリコーン表面修飾剤と、重合性基を有する反応性表面修飾剤で表面修飾された無機フィラーを含有し、
    前記無機フィラーが、芯材の表面に金属酸化物が付着されてなる複合微粒子であり、
    かつ、前記トナーが、チタン酸化合物粒子が付着されたトナー母体粒子を含むことを特徴とする電子写真画像形成システム。
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