JP7151492B2 - 電子写真感光体及び電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体及び電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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本発明は、電子写真感光体及び電子写真感光体の製造方法に関し、特に、感光体の長軸方向における膜厚偏差による感光体の減耗ムラを抑制し、画像欠陥の生じないかつ高寿命・高信頼な電子写真感光体等に関する。
一般的に、電子写真方式による画像形成装置に用いられる感光体においては、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程及び除電工程を経る一連の画像形成プロセスが繰り返し行われている。したがって、感光体には、画像形成プロセスが繰り返し行われても、帯電性や電位保持性などの電気的特性の劣化が少ないことが求められている。
ところで、AC帯電ローラープロセスにおいて、感光体の軸方向に膜厚ムラがある場合、静電容量の関係から膜厚が薄い領域が厚い領域に比べて、過剰な放電を受けるため、感光体の劣化が促進され、クリーニングブレードなどの接触部材との擦過により感光体の摩耗が促進され、画質不良を引き起こす。これは、保護層の有無で程度は変わるものの傾向は変わらない。
膜厚差が生じる主な要因として、電荷輸送層の一般的な塗布方式である浸漬塗布方式に由来する。これは、感光体へ電荷輸送層の塗布後に重力の影響により、塗膜のタレが生じる。したがって、感光体の軸方向での膜厚を測定すると、感光体上端が薄くなり、徐々に膜厚が平坦となる。
そこで、特許文献1に開示されている技術では、感光体を帯電する帯電ローラー部材において、感光体膜厚の小さい部分に対応する範囲における外径を他の部分の外径よりも大きくすることで、感光体膜厚のバラツキに起因する電荷輸送層の削れの不均一を是正し、感光体の寿命を確保している。
しかしながら、上記特許文献1のように帯電ローラー部材の外径を調整した場合、感光体の電荷輸送層の設計膜厚(狙い膜厚)が変わった場合に、塗膜の膜厚偏差(塗膜のタレ具合)が変わるため、この塗膜の偏差に応じた帯電ローラー部材を用意する必要があるため、生産面及びコストの観点から望ましくない。そこで、帯電ローラー部材側ではなく、感光体側の構成を調整することで前記問題を解消することが望まれている。
特開平8-202116号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、感光体の長軸方向における膜厚偏差による感光体の減耗ムラを抑制し、画像欠陥の生じないかつ高寿命・高信頼な電子写真感光体及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、膜厚が薄い領域の表面硬度を、膜厚が厚い領域の表面硬度よりも高く(硬く)することで、膜厚偏差による感光体の減耗ムラを抑制し、画像欠陥の生じないかつ高寿命・高信頼な電子写真感光体及びその製造方法を提供することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.電圧を印加することで接触又は近接帯電方式により帯電する電子写真感光体であって、
前記電子写真感光体が、長軸方向で膜厚差を有しており、
当該電子写真感光体の膜厚が薄い部分を領域A、膜厚が厚い部分を領域Bとしたときに、前記領域Aにおける前記電子写真感光体表面の硬度HU(A)が、前記領域Bにおける前記電子写真感光体表面の硬度HU(B)よりも高いことを特徴とする電子写真感光体。
2.前記硬度HU(A)及び前記硬度HU(B)が、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
10≦HU(A)-HU(B)≦30[N/mm]・・・式(1)
3.導電性支持体上に、感光層と、当該感光層上に重合性化合物を硬化した硬化樹脂を含有する保護層と、を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子写真感光体。
4.前記硬度HU(B)が、下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
220≦HU(B)≦280[N/mm]・・・式(2)
5.前記保護層が、重合性化合物を硬化した硬化樹脂中に少なくとも金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする第3項に記載の電子写真感光体。
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、
導電性支持体上の感光層上に、重合性化合物を含有する未硬化膜を形成する工程と、
前記未硬化膜に光照射して硬化樹脂を含有する保護層を形成する工程と、を備え、
前記保護層を形成する工程において、前記未硬化膜が形成されたワークを光照射する際に、前記ワークの任意の位置で搬出速度を変えて光照射することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
本発明の上記手段により、感光体の長軸方向における膜厚偏差による感光体の減耗ムラを抑制し、画像欠陥の生じないかつ高寿命・高信頼な電子写真感光体及びその製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
感光体の膜厚が薄い部分である領域Aにおける硬度HU(A)を、感光体の膜厚が厚い部分である領域Bにおける硬度HU(B)よりも高くすることで、領域Aにおける帯電ローラーからの放電が領域Bよりも強い場合であっても、表面硬度が高い分、減耗しにくくなるため、領域Aと領域Bとにおける減耗ムラが抑制される。その結果、画像欠陥が生じず、高寿命・高信頼な感光体を得ることができると推察される。
本発明における感光体長軸方向の平均膜厚プロファイル 本発明におけるスムージング処理後の膜厚プロファイル 本発明の電子写真感光体の構造の一例を示す断面模式図 本発明の画像形成装置の一例を示す断面模式図 本発明の実施例において用いる導電性粒子の製造装置の構成を示す模式図 本発明の感光体の評価方法を説明するための説明図
本発明の電子写真感光体は、電圧を印加することで接触又は近接帯電方式により帯電する電子写真感光体であって、前記電子写真感光体が、長軸方向で膜厚差を有しており、当該電子写真感光体の膜厚が薄い部分を領域A、膜厚が厚い部分を領域Bとしたときに、前記領域Aにおける前記電子写真感光体表面の硬度HU(A)が、前記領域Bにおける前記電子写真感光体表面の硬度HU(B)よりも高いことを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記硬度HU(A)及び前記硬度HU(B)が、前記式(1)の関係を満たすことが、領域Aと領域Bとにおける減耗ムラを確実に抑制することができる点で好ましい。
また、導電性支持体上に、感光層と、当該感光層上に重合性化合物を硬化した硬化樹脂を含有する保護層と、を有することが、低摩耗性や耐傷性の観点から膜強度に優れる点で好ましい。
さらに、前記硬度HU(B)が、前記式(2)の関係を満たすことが、クリーニングブレードの擦過力に対して傷が生じにくく、表面リフレッシュが適切に行える点で好ましい。
前記保護層が、重合性化合物を硬化した硬化樹脂中に少なくとも金属酸化物微粒子を含有することが、保護層の強度の向上や抵抗調整による画質安定性の点で好ましい。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、導電性支持体上の感光層上に、重合性化合物を含有する未硬化膜を形成する工程と、前記未硬化膜に光照射して硬化樹脂を含有する保護層を形成する工程と、を備え、前記保護層を形成する工程において、前記未硬化膜が形成されたワークを光照射する際に、前記ワークの任意の位置で搬出速度を変えて光照射することを特徴とする。これにより、領域Aと領域Bとにおけるそれぞれの積算光量を容易に制御でき、減耗ムラを抑制した感光体を製造することができる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[本発明の電子写真感光体の概要]
本発明の電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)は、電圧を印加することで接触又は近接帯電方式により帯電する電子写真感光体であって、前記電子写真感光体が、長軸方向で膜厚差を有しており、当該電子写真感光体の膜厚が薄い部分を領域A、膜厚が厚い部分を領域Bとしたときに、前記領域Aにおける前記電子写真感光体表面の硬度HU(A)が、前記領域Bにおける前記電子写真感光体表面の硬度HU(B)よりも高いことを特徴とする。
本発明において、長軸方向とは、ドラム状の感光体の軸方向(長手方向)をいう。
本発明の感光体の長軸方向における膜厚差は、平均で0.5~1.5μmの範囲内であり、この膜厚差に応じて、感光体の表面硬度差を大きくすることでより高い効果を得ることができる。
本発明における前記膜厚差は、感光体の電荷輸送層の塗布時における浸漬塗布(ディップコート法)により自然に生じるものであり、狙い膜厚が厚くなるにつれて、膜厚差も大きくなるものである。
<膜厚の測定方法>
渦電流方式の膜厚測定器(商品名:「EDDY560C」、HELMUT FISCHER GMBTE社製)を用いて、感光体の長軸方向における上端20mmの位置から感光体の長軸方向における下端20mmの位置まで、5mm間隔で測定を行い、感光体の周方向4点を平均化することで、感光体長軸方向の平均膜厚プロファイルを得る(例えば、図1参照。)。このときの全平均値を平均膜厚と定義する。
測定箇所の前後でばらつきが生じるため、さらに、移動平均によるスムージング処理(n=5)を行うことで、スムージング処理後の膜厚プロファイルが得られる。
ここでの移動平均によるスムージング処理とは、20mm位置を開始点として、20mm位置の移動平均処理後の平均膜厚は、20,25,30,35,40mm位置の膜厚の平均値(n=5)を表し、さらに25mm位置の場合、25/30/35/40/45mmと5mmずつ移動させた5点平均値(n=5)のことであり、感光体の下端方向まで順次、5mm間隔で移動平均化を行う。なお、感光体ドラムの下端側で測定点がn=5にならない場合は、n=5以下の移動平均値とする(例えば、図2参照。)。
<領域A及び領域B>
本発明における領域A及び領域Bとは、前記膜厚の測定方法で得られた最小値と最大値に対応する感光体長軸方向位置(X1及びX2)を起点にして、20mm幅をとった領域をそれぞれ領域A及び領域Bとする。
例えば、最小値が20mm位置の場合、20mmから40mmの範囲(測定5点)を領域A、最大値が120mm位置の場合、120mmから140mmの範囲が領域Bと定義する。
なお、連続して最小値、最大値が現れた場合の領域の起点については、最小値はより感光体ドラム下端に近い位置、最大値はより感光体ドラム上端に近い位置とする。
<硬度の測定方法>
本発明における硬度(ユニバーサル硬さ)(HU)は、下記式(1)及び(2)によって規定される。
Figure 0007151492000001
上記式(1)及び式(2)において、Fは試験荷重(N)、A(h)は圧子が被測定物と接触している表面積(mm)、hは試験荷重作用時の押込み深さ(mm)である。A(h)は、圧子の形状と押込み深さから計算され、圧子がビッカース圧子の場合、角錐形の貫入体の向かい合う面の角度a(136°)より26.43×hと計算される。
本発明において、硬度(HU)の測定は、市販の硬度測定装置を用いて行うことができ、超微小硬度計「H-100V」(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて下記の測定条件で測定される。
-測定条件-
測定機:超微小硬度計「H-100V」(フィッシャー・インストルメンツ社製)
圧子形状:ビッカース圧子(a=136°)
測定環境:20℃、60%RH
最大試験荷重:3mN
荷重速度:3mN/20sec
最大荷重クリープ時間:5秒
除荷速度:3mN/20sec
なお、測定は各感光体の領域A及び領域Bの長軸方向を均等間隔で5点、周方向に均等角度で4点の合計20点測定し、その平均値を本発明で定義する硬度(HU(A)、HU(B))とする。
本発明の感光体は、前記領域Aにおける前記電子写真感光体表面の硬度HU(A)が、前記領域Bにおける前記電子写真感光体表面の硬度HU(B)よりも高い。すなわち、本発明の感光体の最表面である保護層において、領域Aにおける硬度HU(A)が領域Bにおける硬度HU(B)よりも高い。
具体的には、前記硬度HU(A)及び前記硬度HU(B)が、下記式(1)の関係を満たすことが領域Aと領域Bとにおける減耗ムラを確実に抑制することができる点で好ましい。
10≦HU(A)-HU(B)≦30[N/mm]・・・式(1)
また、前記硬度HU(B)が、下記式(2)の関係を満たすことが、クリーニングブレードの擦過力に対して傷が生じにくく、表面リフレッシュが適切に行える点で好ましい。
220≦HU(B)≦280[N/mm]・・・式(2)
前記式(1)を満たすためには、例えば、保護層硬化時の積算光量を制御することで可能である。具体的には、保護層硬化時のUV光の強度又は照射時間を制御することが挙げられる。
また、前記式(2)を満たすためには、例えば、保護層硬化時の積算光量でも制御することができるが、後述する金属酸化物粒子の種類(組成や粒径)、添加量、また可塑成分となる電荷輸送物質(CTM)やラジカル捕捉剤(GS)を調整することが挙げられる。
[電子写真感光体の構成]
図3は、本発明の電子写真感光体の構造の一例を示した断面模式図である。
本発明の感光体100は、導電性支持体101上に少なくとも電荷発生層103aと、電荷輸送層103bと、保護層104とを順次積層した構造を有する。ここで、感光体が電荷発生層103a及び電荷輸送層103bが直接積層されてなる積層構造を有する場合、当該積層構造部分は感光層103とも称される。
なお、感光体100は、図3に示すように、導電性支持体101と電荷発生層103aとの間に中間層102を有する構成としてもよい。
以下、感光体を構成する各層について、詳細を説明する。
<保護層>
感光体は、導電性支持体側とは反対側の最表面の層として、保護層を有する。保護層は、感光体表面を保護し低摩耗性や耐傷性を向上させ、トナーのすり抜けの発生を低減し、感光体、ひいては電子写真画像形成装置の長寿命化に寄与する。
本発明に係る保護層の硬度(ユニバーサル硬さ)は、クリーニングブレードの擦過力に対して傷が生じにくく、表面リフレッシュが適切に行える範囲が好ましく、220~320N/mmの範囲内であることが好ましく、特に、領域Aの硬度HU(A)が230~310N/mmの範囲内で、領域Bの硬度HU(B)が220~280N/mmの範囲内であることが好ましい。
保護層の厚さは、0.2~10μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5~6μmの範囲内である。この範囲内であれば、感光体を長寿命化する効果に優れまた、転写メモリーの発生がより低減されうる。
本発明に係る保護層は、重合性化合物を硬化した硬化樹脂中に少なくとも金属酸化物粒子を含有している。また、保護層の硬度を上述したユニバーサル硬さの範囲内とする観点から、硬化樹脂を得るための重合反応を特定のラジカル捕捉剤の存在下において行うことが好ましい。特定のラジカル捕捉剤を用いることによって、重合反応における架橋反応を制御でき、重合体の架橋密度(ユニバーサル硬さ)を処方として容易に制御することができる。
本発明に係る保護層は、重合性化合物を硬化して得られる樹脂成分と、金属酸化物粒子とを含有する。また、保護層はさらに電荷輸送物質を含有することが好ましい。
また、保護層はさらに電荷輸送物質を含有することが好ましい。
(硬化樹脂成分)
保護層は、低摩耗性や耐傷性の観点から、重合性化合物の硬化物である硬化樹脂成分を含有する。保護層を構成する硬化樹脂成分は、紫外線や電子線などの活性線の照射により、重合性化合物を重合させ、硬化されることにより得られるものである。
重合性化合物としては、重合性官能基を2個以上有するモノマー(多官能重合性化合物)を用い、重合性官能基を1個有するモノマー(単官能重合性化合物)を併用することもできる。具体的には、重合性化合物としては、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N-ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。
重合性化合物としては、少ない光量又は短い時間での硬化が可能であることから、アクリロイル基(CH=CHCO-)又はメタクリロイル基(CH=CCHCO-)を2個以上有するアクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、又はこれらのオリゴマーであることが特に好ましい。
本発明においては、重合性化合物は単独で用いても、混合して用いてもよい。また、これらの重合性化合物は、モノマーを用いてもよいが、オリゴマー化して用いてもよい。
以下、重合性化合物の好ましい具体例を示す。
Figure 0007151492000002
Figure 0007151492000003
ここで、上記の例示化合物(M1)~(M14)を示す化学式において、Rはアクリロイル基(CH=CHCO-)を示し、R′はメタクリロイル基(CH=CCHCO-)を示す。
重合性化合物としては、重合性官能基を3個以上有するモノマーを用いることが好ましい。また、重合性化合物としては、2種以上の化合物を併用してもよいが、この場合においても、重合性官能基を3個以上有するモノマーを50質量%以上の割合で用いることが好ましい。
これら重合性化合物、硬化樹脂成分は1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
(金属酸化物粒子)
本発明に係る保護層は、金属酸化物粒子を含有する。
金属酸化物粒子は、保護層の膜強度の向上や抵抗調整による画質安定性に寄与するものである。
金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、1~300nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3~100nmの範囲内であり、さらに好ましくは5~40nmの範囲内である。
金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除く)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP(ソフトウエアバージョン Ver.1.32)」(株式会社ニレコ製)を使用することで算出できる。
前記金属酸化物粒子としては、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化ジルコニウム、酸化スズ、チタニア(酸化チタン)、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどを用いることができる。これらの中でも、電気特性の観点から、酸化スズが好ましい。
本発明に係る金属酸化物粒子は、特に限定はなく、公知の製造方法で作製された粒子を用いることができる。また、金属酸化物粒子は、例えば、絶縁性粒子(コア)と、当該絶縁性粒子の表面に担持され、導電性金属酸化物で構成されている被担持体(シェル)とで構成された、コア・シェル構造を有する複合粒子であってもよい。
金属酸化物粒子は、反応性有機基を有する表面修飾剤(以下、「反応性有機基含有表面修飾剤」ともいう。)によって表面修飾されたものであってもよい。
反応性有機基含有表面修飾剤としては、金属酸化物粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応するものが好ましく、このような反応性有機基含有表面修飾剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、反応性有機基含有表面修飾剤としては、ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤が好ましい。ラジカル重合性反応基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。このようなラジカル重合性反応基は、重合性化合物とも反応して強固な保護層を形成することができる。ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましい。
反応性有機基含有表面修飾剤は、上記ラジカル重合性基を有するシランカップリング剤が好ましく、例えば、以下の化合物S-1~S-31が挙げられる。
S-1:CH=CHSi(CH)(OCH
S-2:CH=CHSi(OCH
S-3:CH=CHSiCl
S-4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S-5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S-6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S-7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S-8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S-9:CH=CHCOO(CHSiCl
S-10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S-11:CH=CHCOO(CHSiCl
S-12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S-13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S-14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S-15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S-16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S-17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S-18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S-19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S-20:CH=CHSi(C)(OCH
S-21:CH=C(CH)Si(OCH
S-22:CH=C(CH)Si(OC
S-23:CH=CHSi(OCH
S-24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S-25:CH=CHSi(CH)Cl
S-26:CH=CHCOOSi(OCH
S-27:CH=CHCOOSi(OC
S-28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S-29:CH=C(CH)COOSi(OC
S-30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S-31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
また、反応性有機基含有表面修飾剤としては、上記例示化合物(S-1)~(S-31)に示すもの以外でも、ラジカル重合可能な反応性有機基を有するシラン化合物を用いてもよい。反応性有機基含有表面修飾剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。反応性有機基含有表面修飾剤の処理量(添加量)は、粒子100質量部に対して0.1~200質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは7~70質量部の範囲内である。
反応性有機基含有表面修飾剤の未処理金属酸化物粒子に対する処理方法としては、特に制限されないが、例えば、未処理金属酸化物粒子と反応性有機基含有表面修飾剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式解砕する方法などが挙げられる。この方法により、未処理金属酸化物粒子の再凝集を防止すると同時に未処理金属酸化物粒子の表面修飾が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化する。
表面修飾装置としては、例えば湿式メディア分散型装置が挙げられる。この湿式メディア分散型装置は、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、未処理金属酸化物粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置である。湿式メディア分散型装置としては、未処理金属酸化物粒子に表面修飾を行う際に未処理金属酸化物粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば限定されず、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどが挙げられる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、せん断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。
湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1~2mm程度のものを使用するが、0.1~1.0mm程度のものを用いることが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
これら金属酸化物粒子は、1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
金属酸化物粒子の含有量は、特に制限されないが、硬化樹脂成分を構成するための重合性化合物100質量部に対して、100~200質量部の範囲内であることが好ましく、110~170質量部の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であると、感光体、ひいては電子写真画像形成装置の長寿命化、トナーのすり抜けの発生頻度低下効果がより向上する。
(電荷輸送物質)
本発明に係る保護層は、電荷輸送物質を含有することが好ましい。
前記電荷輸送物質は、保護層中の電荷キャリアを輸送する電荷輸送性を有する物質であり、保護層の電気抵抗を調整することができる物質である。
例えば、N,N-ジアルキルアニリン化合物、ジアリールアミン化合物、トリアリールアミン化合物などのアミン化合物、ピラゾリン化合物、カルバゾール化合物、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、オキサゾール化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物などが用いられうる。
電荷輸送物質は、公知の化合物から適宜選択されうるが、保護層は、耐傷性、電荷注入特性、転写メモリー発生確率の低さ等の観点から、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有する電荷輸送物質を含有することが好ましい。
Figure 0007151492000004
上記一般式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~7のアルキル基、又は炭素数1~7のアルコキシ基を表す。k,l及びnは、それぞれ独立して、0~5の整数を表し、mは0~4の整数を表す。ただし、k、l、n又はmが2以上である場合においては、複数存在するR、R、R及びRは、互いに同一のものであっても、異なるものであってもよい。これらの中でも、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基であることが好ましい。また、k、l、n及びmは、それぞれ独立して、0~1の整数であることが好ましい。好ましい化合物の一例は、実施例で使用するCTM-1である。
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば、特開2015-114454号公報に記載のものを使用できる。また、公知の合成方法、例えば、特開2006-143720号公報など開示されている方法で合成することができる。
これら電荷輸送物質は、1種単独でも又は2種以上を混合して用いてもよい。
電荷輸送物質の添加量は、硬化樹脂成分を構成するための重合性化合物100質量部に対して、1~25質量部の範囲内であり、より好ましくは5~20質量部の範囲内である。上記範囲であると、電気特性がより良好となり、感光体、ひいては電子写真画像形成装置の長寿命化、転写メモリー抑制効果、トナーのすり抜けの発生頻度低下効果がより向上する。
(特定のラジカル捕捉剤)
保護層は、下記一般式(2)で表される構造を有するラジカル捕捉剤を含有してもよい。
上記の重合性化合物は、下記一般式(2)で表される特定のラジカル捕捉剤の存在下において重合することができる。この特定のラジカル捕捉剤は、架橋結合の封止剤として機能する。すなわち、特定のラジカル捕捉剤は、その添加割合等によって架橋密度を調整することができる。したがって、硬化樹脂成分が、特定のラジカル捕捉剤の存在下において重合性化合物を重合させて得られるものであることにより、保護層が適度な膜強度(耐摩耗性)を有するものとなり、クリーニングブレードなどのクリーニング手段によって感光体表面が適度に減耗されるものとなる。そのため、感光体表面に放電生成物などが付着しても、感光体表面が減耗されてリフレッシュされるので、形成画像における像流れを防止することができる。
Figure 0007151492000005
上記一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基を表す。R及びRが、炭素数1~6のアルキル基であれば、ラジカル捕捉剤の立体障害の影響を小さくすることができ、架橋反応の制御が容易となる。また、R及びRは、捕捉したラジカルの安定性の観点から、それぞれ独立して、炭素数4又は5のアルキル基が好ましく、それぞれ独立して、tert-ブチル基又はtert-ペンチル基であることがより好ましく、tert-ペンチル基であることがさらに好ましい。これら特定のラジカル捕捉剤は、1種単独でも又は2種以上を混合して用いてもよい。
特定のラジカル捕捉剤は、合成品を用いても、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、住友化学株式会社製スミライザー(登録商標)GS等が挙げられる。
特定のラジカル捕捉剤の添加量は、特に制限されないが、硬化樹脂成分を構成するための重合性化合物100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、2~125質量部であることがより好ましい。上記範囲であると、感光体、ひいては電子写真画像形成装置の長寿命化、トナーのすり抜けの発生頻度低下効果がより向上する。また、形成画像における像流れ抑制効果が得られうる。
(重合開始剤)
上記の硬化樹脂成分を構成するための重合性化合物は、重合開始剤を用いて重合されることが好ましい。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に制限はないが、光重合開始剤が好ましく、中でもアシルホスフィンオキサイド化合物、アルキルフェノン化合物、オキシムエステル化合物、チオキサントン化合物がより好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシムエステル化合物がさらに好ましい。これら重合開始剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、特に制限されないが、例えば、下記の化合物を好ましく用いることができる。
Figure 0007151492000006
オキシムエステル化合物としては、特に制限されないが、例えば、下記の化合物を好ましく用いることができる。
Figure 0007151492000007
これらの重合開始剤は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の含有量は、重合性化合物の100質量部に対して好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.5~10質量部である。上記範囲であると、感光体、ひいては電子写真画像形成装置の長寿命化、形成画像における転写メモリーの抑制効果、トナーのすり抜けの発生頻度低下効果がより向上する。
(その他の成分)
保護層には、さらに他の成分が含有されていてもよく、例えば、酸化防止剤、滑剤粒子等を含有させることができる。
酸化防止剤としては、特に制限されないが、例えば、特開2000-305291号公報に記載のものを好ましく使用できる。
滑剤粒子としては、特に制限されないが、例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。
フッ素原子含有樹脂粒子としては、特に制限されないが、例えば、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が特に好ましい。
<導電性支持体>
感光体を構成する導電性支持体は、導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
<中間層>
感光体には、導電性支持体と感光層との間にバリアー機能と接着機能を有する中間層を設けることもできる。種々の故障防止などを考慮すると、中間層を設けるのが好ましい。
このような中間層は、例えば、バインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)及び必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子が含有されてなるものである。
中間層用バインダー樹脂としては、特に制限されず、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン-アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。これらの中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。これら中間層用バインダー樹脂は1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
中間層には、抵抗調整の目的で各種の導電性粒子や金属酸化物粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスなどの各種金属酸化物粒子を用いることができる。また、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
このような金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
これら金属酸化物粒子は、1種単独でも又は2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合した場合には、固溶体又は融着の形をとってもよい。
導電性粒子又は金属酸化物粒子の含有割合は、バインダー樹脂100質量部に対して20~400質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50~350質量部の範囲内である。
中間層の層厚は、0.1~15μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.3~10μmの範囲内である。
<電荷発生層>
感光体を構成する感光層における電荷発生層は、電荷発生物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷発生物質としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノン、アントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレンなどの多環キノン顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料が好ましい。これらの電荷発生物質は、1種単独でも又は2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、及びこれらの樹脂の内二つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ-ビニルカルバゾール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。これら電荷発生層用バインダー樹脂は、1種単独でも又は2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して1~600質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50~500質量部の範囲内である。
電荷発生層の層厚は、電荷発生物質の特性、電荷発生層用バインダー樹脂の特性、含有割合などにより異なるが、0.01~5μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.05~3μmの範囲内である。
<電荷輸送層>
感光体を構成する感光層における電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷輸送層の電荷輸送物質としては、電荷(正孔)を輸送する物質として、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などが挙げられる。
保護層の下層に形成される電荷輸送層には、移動度が高く、分子量が大きい電荷輸送物質を含有させることが好ましく、このような電荷輸送物質としては、上記一般式(1)で表される化合物とは異なるものが好ましく用いられる。
電荷輸送層用バインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。さらにはBPA(ビスフェノールA)型、BPZ(ビスフェノールZ)型、ジメチルBPA型、BPA-ジメチルBPA共重合体型のポリカーボネート樹脂などが耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。これら電荷輸送層用バインダー樹脂は1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有割合は、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して10~500質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは20~250質量部の範囲内である。
電荷輸送層の層厚は、電荷輸送物質の特性、電荷輸送層用バインダー樹脂の特性及び含有割合などによって異なるが、5~40μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10~30μmの範囲内である。
電荷輸送層中には、酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイルなどを添加してもよい。酸化防止剤については特開2000-305291号公報、電子導電剤は特開昭50-137543号公報、同58-76483号公報などに開示されているものが好ましい。
[電子写真感光体の製造方法]
本発明の感光体の製造方法は、導電性支持体上の感光層上に、重合性化合物を含有する未硬化膜を形成する工程と、前記未硬化膜に光照射して硬化樹脂を含有する保護層を形成する工程と、を備え、前記保護層を形成する工程において、前記未硬化膜が形成されたワークを光照射する際に、前記ワークの任意の位置で搬出速度を変えて光照射することを特徴とし、その他、特に制限されないが、下記工程を有する製造方法で製造されることが好ましい。
ここで、本発明におけるワークとは、導電性支持体上の感光層上に未硬化膜が形成されたものをいう。
工程(1):必要に応じて、導電性支持体の外周面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程、
工程(2):導電性支持体の外周面に、又は工程(1)により導電性支持体上に形成された中間層の外周面に、電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程、
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程、
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、保護層形成用の塗布液を塗布し、重合し、硬化させることにより保護層を形成する工程。
各層を形成するための塗布液中の各成分の濃度は、各層の層厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
各層を形成するための塗布液において、導電性粒子や金属酸化物粒子等の粒子や電荷発生物質等の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
各層を形成するための塗布液の塗布方法としては、特に制限されないが、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
以下、各層の形成工程の詳細を説明する。
(工程(1):中間層の形成)
中間層は、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の層厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液は、浸漬コーティング法を用いて塗布することが好ましい。
中間層の形成工程において使用する溶媒としては、導電性粒子や金属酸化物粒子を良好に分散し、中間層用バインダー樹脂、特にポリアミド樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール(2-ブタノール)などの炭素数1~4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用でき、好ましい効果を得られる助溶媒としては、ベンジルアルコール、トルエン、ジクロロメタン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
(工程(2):電荷発生層の形成)
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の層厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液は、浸漬コーティング法を用いて塗布することが好ましい。
電荷発生層の形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸tert-ブチル、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール(2-ブタノール)、メチルセロソルブ、4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(工程(3):電荷輸送層の形成)
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂及び電荷輸送物質を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の層厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層形成用塗布液は、浸漬コーティング法(浸漬塗布法)を用いて塗布することが好ましい。
電荷輸送層の形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール(2-ブタノール)、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(工程(4):保護層の形成)
保護層は、前記重合性化合物、前記金属酸化物粒子、必要に応じて重合開始剤、特定のラジカル捕捉剤、及び電荷輸送物質等の他の成分を公知の溶媒に添加して塗布液(以下、「保護層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、この保護層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥し、紫外線や電子線などの活性線を照射することによって塗膜中の重合性化合物成分を重合させ、硬化されることにより保護層を形成することができる。
保護層形成用塗布液は、円形スライドホッパー塗布装置を用いてスライドホッパー法にて塗布することが好ましく、例えば、特開2015-114454号公報など開示されている方法で塗布することができる。
保護層の形成に用いられる溶媒としては、重合性化合物、金属酸化物粒子等を溶解又は分散させることができればいずれのものも使用でき、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール(2-ブタノール)、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
重合性化合物を反応させる方法としては、特に制限されないが、例えば、電子線開裂で反応する方法、ラジカル重合開始剤を添加して、光、熱で反応する方法などが挙げられる。
硬化樹脂成分は、硬化処理として塗膜に活性線を照射し、ラジカルを発生させて重合し、かつ分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化することにより、生成される。活性線としては紫外線や電子線がより好ましく、紫外線が使用しやすく特に好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンなどを用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、好ましくは5~500mJ/cmの範囲内、より好ましくは5~100mJ/cmの範囲内である。
ランプの電力は、好ましくは0.1~5kWの範囲内であり、より好ましくは0.5~4kWの範囲内であり、さらに好ましくは0.5~3kWの範囲内である。
必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒間~10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間~5分間がより好ましい。
保護層の形成の工程においては、活性線を照射する前後、及び活性線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
(保護層の硬化装置及び条件)
本発明では、保護層塗布後の光照射条件により、感光体の長軸方向における表面硬度を変える。具体的には、領域Aにおける硬度HU(A)を領域Bにおける硬度HU(B)よりも高くする。
光照射装置によって、感光体の表面硬度が変えられる理由として、表面硬度は、感光体に照射する光の積算照射光量と相関があり、
積算照射光量は、(積算照射光量)=(感光体ドラム面の単位面積当たりの照射光量)×(単位面積当たりの照射時間)で決定されるため、(i)照射光量又は(ii)照射時間を変えることで、感光体の表面硬度を変えることができる。
例として、特開2013-57787号公報で記載されている光照射装置を用いた場合、感光体ワークを下方から上方へ引き上げる際に、任意の位置で(i)光の照射強度を変える、又は(ii)ワークの引き上げ速度を変える(すなわち、照射時間を変える。)ことで、感光体の長軸方向で感光体ドラム面の積算照射光量を変えることができ、感光体の表面硬度を変えることができる。特に、(ii)のワーク引き上げ速度を変える手段の方が、制御性の観点から好ましい。
また、前記光照射装置や後述する実施例の装置以外でも、例えば感光体ワークに対向したラインUV-LEDチップを用いて、軸方向で各LEDチップ間の照射光の強度を変えることで、積算照射光量を変えることができるので、本発明と同等の効果が得られる。
[電子写真画像形成装置]
本発明の電子写真感光体は、電子写真画像形成装置に好適に用いられ、当該電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」ともいう。)は、本発明の電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段とを備える。
また、画像形成装置は、さらに、滑剤を供給する手段を備え、当該滑剤を供給する手段が、前記静電荷像現像用トナーに対して外部添加された微粉状の前記滑剤を、前記現像手段において形成される現像電界の作用により、前記電子写真感光体に供給することが好ましい。
また、前記滑剤として、ステアリン酸亜鉛を含有することが好ましい。
前記帯電手段として、帯電ローラー、帯電ブラシ、帯電ベルト、帯電ブレードなどの近接帯電方式の帯電手段であることが好ましい。このような帯電手段を用いると感光体表面の劣化が大きくなる傾向があることから、本発明の効果がより顕著に得られうる。中でも、帯電の安定性の観点から、帯電手段として帯電ローラーを用いることが好ましい。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の一形態に係る画像形成装置を説明する。ただし、本発明は以下で説明する一形態のみに限定されるものではない。
図4は、本発明の一形態に係るタンデム型の電子写真画像形成装置の構造を表す断面模式図である。
前記画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Kと、中間転写体ユニット70と、給紙手段21及び定着手段24とからなる。電子写真画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
4つの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光体1Y、1M、1C、1Kを中心に、帯電手段2Y、2M、2C、2Kと、露光手段3Y、3M、3C、3Kと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4K、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、5M、5C、5K、及び感光体1Y、1M、1C、1Kをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C、6Kより構成されている。
なお、本発明の一形態に係る電子写真画像形成装置は、感光体1Y、1M、1C、1Kとして、各々上記説明した本発明の感光体を用いる。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、備えるトナーの色がそれぞれイエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、黒(K)色というように異なることを除き同じ構成である。よって、以下では、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Yを有し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。
帯電手段2Yは、感光体1Yの表面を一様に負極性に帯電させる手段である。本実施形態の電子写真画像形成装置においては、帯電手段2Yとして帯電ローラーを用いることが好ましい。
帯電ローラーは、感光体に近接配置され、例えば-2.5~-1.5kV程度の電圧を帯電ローラーに印加することによって感光体を所望の極性、電位に帯電させる。
帯電ローラーに印加する電圧としては、直流電界のみを印加して感光体を帯電処理するDC帯電方式、及び直流電界に交流電界を重畳したものを帯電部材に印加して感光体を帯電処理するAC帯電方式のいずれもが用いられうるが、交流電界によるならし効果が得られるAC帯電方式の方が、帯電均一性に優れるため好ましい。
上記AC帯電方式において、帯電ローラーに印加する電圧としては、直流定電圧、直流定電流、交流定電圧、交流定電流のうち、各々直流電界又は交流電界を選択することができる。
露光手段3Yは、帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段である。この露光手段3Yとしては、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、又は、レーザー光学系などが用いられる。
現像手段4Yは、例えばマグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ(図示せず)及び感光体と、この現像スリーブとの間に直流及び/又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
現像手段4Yは、Y成分の現像剤(例えばトナーと磁性キャリアとを主成分とする二成分現像剤)を収容する。現像手段4Yは、感光体1Y表面にY成分のトナーを付着させることにより、静電潜像を可視化してトナー像を形成する。具体的には、現像スリーブに現像バイアスが印加され、感光体1Yと現像スリーブとの間に現像電界が形成される。感光体1Y(負極性)と現像スリーブとの電位差によって、現像スリーブ上の帯電トナー(負極性)は、感光体1Yの表面の露光部に移動して付着する。すなわち、現像手段4Yは、反転現像方式によって静電潜像を現像する。
クリーニング手段6Yは、感光体1Y表面に残存したトナーを除去する手段である。本形態のクリーニング手段6Yは、クリーニングブレードを含む。このクリーニングブレードは、支持部材(図示せず)と、この支持部材上に接着層(図示せず)を介して支持されたブレード部材とにより構成される。ブレード部材は、その先端が、感光体1Y表面との当接部分における当該感光体1Yの回転方向と反対方向(カウンター方向)に向く状態で配置されている。
この図4に示す電子写真画像形成装置においては、画像形成ユニット10Yのうち、感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、後述する滑剤供給手段(図示せず)及びクリーニング手段6Yが一体に支持されてプロセスカートリッジとして備えられており、このプロセスカートリッジは、レールなどの案内手段を介して装置本体Aに対して着脱自在に構成されていてもよい。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されており、感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には中間転写体ユニット70が配置されている。中間転写体ユニット70は、複数のローラー71、72、73、74によって巻回され、回動可能に支持された半導電性の無端ベルト状の中間転写体77と、二次転写手段としての二次転写ローラー5bと、クリーニング手段6bとからなる。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、中間転写体ユニット70とは、筐体80に収納されており、筐体80は、支持レール82L、82Rを介して装置本体Aから引き出し可能に構成されている。
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
また、図4において、20は給紙カセットを、22A、22B、22C、22Dは中間ローラーを、23はレジストローラーを、25は排紙ローラーを、26は排紙トレイを、Pは転写材をそれぞれ示す。
なお、図4においては、本発明の画像形成装置をカラーのレーザープリンターとして示したが、本発明の一形態に係る電子写真画像形成装置は、複写機として構成されていてもよい。また、本発明の一形態に係る画像形成装置においては、露光光源として、レーザー以外の光源、例えばLED光源を用いることもできる。
図4においては、本発明の好ましい画像形成装置の一例として、YMCKに対応する4つの画像形成ユニットを有する画像形成装置について説明したが、これらに加え、クリア、白、金、銀等、他の色に対応する画像形成ユニットをさらに有する画像形成装置も他の好ましい例として挙げられる。
<滑剤供給手段>
本発明の一形態に係る電子写真画像形成装置は、感光体の表面に滑剤を供給する滑剤供給手段を備えることが好ましい。
滑剤としては、特に制限されず、公知のものを適宜選択することができるが、脂肪酸金属塩を含有することが好ましい。
脂肪酸金属塩としては、特に制限されないが、炭素数10以上の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩が好ましい。例えば、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸インジウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸アルミニウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウムなどが挙げられる。これらの中でも、滑性、延展性及び吸湿性の観点から、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
脂肪酸金属塩としては、合成品を用いても、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、日油株式会社製ジンクステアレートS等が挙げられる。
これら脂肪酸金属塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
滑剤供給手段は、特に制限されないが、例えば、滑剤の供給を、ブラシローラーによって固形状の滑剤を塗布する方法によって行う手段(以下、「滑剤塗布手段」ともいう。)が挙げられる。
滑剤塗布手段を用いる場合、例えば図4に示す画像形成装置の画像形成ユニット10Yにおいては、滑剤塗布手段は、感光体1Yの回転方向においてクリーニング手段6Yの下流側かつ帯電手段2Yの上流側に配置されることが好ましい。ただし、この滑剤塗布手段の配置位置は、クリーニング手段6Yの下流側かつ帯電手段2Yの上流側に限定されるものではない。
滑剤塗布手段は、特に制限されないが、例えば、固形状の滑剤と、ブラシローラーよりなる滑剤塗布部材とにより構成されることが好ましい。具体的には、滑剤塗布手段は、直方体形状を有する固形状の滑剤により構成された滑剤ストックと、感光体1Y表面に当接し、滑剤ストックの表面を摺擦することにより掻き取った滑剤を感光体1Y表面に塗布するブラシローラーと、滑剤ストックをブラシローラーに押圧する加圧バネと、ブラシローラーを回転駆動させる駆動機構とにより構成されることが好ましい。ブラシローラーは、ブラシの先端が感光体1Y表面に当接する。また、ブラシローラーは、感光体1Yの回転方向とは同回転で等速に回転駆動されることが好ましい。滑剤塗布手段の下流側かつ帯電手段2Yの上流側に、滑剤塗布手段によって感光体1Y表面に供給された滑剤を均一に塗布する均しブレードが設けられていてもよい。
なお、滑剤塗布手段については、特に制限されず公知の手段を適宜参照することができ、例えば、特開2016-188950号公報等を参照することができる。
また、滑剤供給手段は、特に制限されないが、例えば、トナー母体粒子に対して外部添加された微粉状の滑剤を、現像手段(上記図4では、例えば、4Y)において形成される現像電界の作用により、感光体(上記図4では、例えば、1Y)に供給する手段(以下、「トナー含有手段」ともいう。)が挙げられる。すなわち、トナー含有手段は、トナーに含有される微粉状の滑剤を、現像手段において形成される現像電界の作用により、感光体に供給する手段である。
トナー含有手段は、前述の滑剤塗布手段のように、ブラシローラーのような中間部材を介さないことから、滑剤の汚染や、中間部材の汚染や劣化による滑剤供給量のバラツキが生じないため特に好ましい。
トナー含有手段では、後述するトナー母体粒子に、外添剤として、微粉状の滑剤を外部添加する。微粉状の滑剤の体積基準のメジアン径Dwは、0.3~25μmの範囲内であることが好ましく、0.5~20μmの範囲内であることがより好ましい。上記範囲であると、滑剤のサイズが適度に小さいことから、トナー母体粒子との付着力が適度に大きくなり、現像手段内での移行の発生がより生じ難くなることで、滑剤の供給がより十分となる。また、滑剤のサイズが適度に大きいことから、トナー母体粒子との付着力が適度に小さくなることで、感光体上への滑剤の移行がより容易となる。これより、滑剤を感光体上へ均一に供給できる。
なお、滑剤の体積基準のメジアン径Dwは、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出することにより得られる。また、電子顕微鏡写真撮影等の公知の方法により、トナー母体粒子(着色粒子)に外添された状態の滑剤の粒径を測定することも可能である。微粉状の滑剤の体積基準のメジアン径Dwの評価方法は、特開2010-175701号公報の段落「0031」及び「0032」等の記載を参照することができる。なお、詳細は実施例に記載する。
微粉状の滑剤の添加量は、トナーの総質量に対して、0.01~0.5質量部の範囲内であることが好ましく、0.03~0.3質量部の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であると、トナーの帯電性への影響が抑制されつつ、本発明の効果がより発揮されることとなる。
なお、トナー母体粒子と滑剤との混合方法は、特に制限されず、公知の方法を適宜選択でき、例えば、日本コークス工業株式会社製ヘンシェルミキサー(登録商標)等を用いて行うことができる。
[トナー及び現像剤]
本発明において、「トナー母体粒子」とは、「トナー粒子」の母体を構成するものである。「トナー母体粒子」は、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むものであり、その他必要に応じて、離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。「トナー母体粒子」は、外添剤の添加によって「トナー粒子」と称される。そして、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいう。
本発明の画像形成装置においては、特に制限されず、公知の各種トナーを用いることができる。
トナーとしては、粉砕トナー及び重合トナーのいずれを用いることもできるが、高い画質の画像が得られる観点から、重合トナーを用いることが好ましい。
トナーの平均粒径は、特に制限されないが、体積基準のメジアン径で2~8μmの範囲内であることが好ましい。この範囲とすることにより、解像度をより高くすることができる。
また、トナー母体粒子には、前述のように、トナーに含有される微粉状の滑剤を、現像手段において形成される現像電界の作用により、感光体に供給する滑剤供給手段を用いる場合は、微粉状の滑剤を外添剤として外部添加することができる。
また、トナー母体粒子には、外添剤として、平均粒径10~300nm程度のシリカ及びチタニアなどの無機粒子、0.2~3μm程度の研磨剤を適宜量、外添剤として外部添加することができる。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウム及び鉛などの合金、フェライト及びマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。これらの中でも、特にフェライトが好ましい。
キャリアとしては、さらに樹脂により被覆されているもの、又は樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることが好ましい。被覆用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、シクロヘキシルメタクリレート-メチルメタクリレート共重合体などを用いることが好ましい。
キャリアの体積基準のメジアン径は15~100μmの範囲内が好ましく、25~60μmの範囲内がより好ましい。
二成分現像剤に含まれるトナーの濃度は、4.0~8.0質量%の範囲内であることが好ましい。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
以下に実施例で使用する化合物の構造式を示す。
Figure 0007151492000008
[感光体〔1〕の製造]
(導電性支持体の準備)
直径30mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面を細かく粗面にした導電性支持体〔1〕を用意した。
(中間層の形成)
下記組成の分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層形成用塗布液〔1〕を調製した。
バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製):1質量部
金属酸化物粒子:酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製):3質量部
溶媒 :メタノール:10質量部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。中間層形成用塗布液〔1〕を用いて導電性支持体〔1〕上に、浸漬コーティング法で塗布し、乾燥層厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
(電荷発生層の形成)
電荷発生物質:下記電荷発生物質(CG-1):20質量部
バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000-C」(デンカ(株)社製):10質量部
溶媒 :酢酸t-ブチル:700質量部
溶媒 :4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン:300質量部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。この電荷発生層形成用塗布液〔1〕を中間層〔1〕上に浸漬コーティング法で塗布し、乾燥層厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(電荷発生物質(CG-1)の合成)
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3-ジイミノイソインドリン;29.2質量部をo-ジクロロベンゼン200質量部に分散し、チタニウムテトラ-n-ブトキシド;20.4質量部を加えて窒素雰囲気下に150~160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗メタノール洗浄して、乾燥後、26.2質量部(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで、粗チタニルフタロシアニンを5℃以下において濃硫酸250質量部中で1時間撹拌して溶解し、これを20℃の水5000質量部に注いだ。析出した結晶をろ過し、充分に水洗してウエットペースト品225質量部を得た。
このウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、ろ過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニン24.8質量部(収率86%)を得た。
(2)(2R,3R)-2,3-ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンの合成
上記無定形チタニルフタロシアニン10.0質量部と(2R,3R)-2,3-ブタンジオール0.94質量部(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトジクロロベンゼン(ODB)200質量部中に混合し60~70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)-2,3-ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する電荷発生物質)CG-1:10.3質量部を得た。
電荷発生物質(CG-1)のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm-1付近のTi=O、630cm-1付近にO-Ti-Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390~410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混合物と推定される。得られた電荷発生物質(CG-1)のBET比表面積を流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス・フローソープ型:島津製作所)で測定したところ、31.2m/gであった。
(電荷輸送層の形成)
電荷輸送物質:上記化合物A225質量部、バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300質量部、酸化防止剤:「Irganox1010」(BASFジャパン社製)6質量部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)1600質量部、溶媒:トルエン400質量部、シリコーンオイル「KF-50」(信越化学工業社製)1質量部を混合し、溶解して電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を電荷発生層〔1〕の上に浸漬塗布方式にて塗布を行い、乾燥層厚26μmの電荷輸送層を形成した。浸漬塗布時の上端を0mm位置としたとき、得られた感光体の膜厚を測定すると、領域Aは20mm位置(領域A起点位置X1)、また領域Bは120mm位置(領域B起点位置X2)であった。また領域Aと領域Bの膜厚差は1.21μmであった。このとき、電荷輸送層のユニバーサル硬さは領域A及び領域Bともに180N/mmであった。
このようにして、保護層を有しない感光体〔1〕を製造した。
[感光体〔2〕の製造]
(電荷輸送層の形成)
感光体〔1〕の製造と同様の条件で、乾燥層厚26μmの電荷輸送層を形成した。得られた感光体の膜厚を測定すると、領域Aは20mm位置、また領域Bは120mm位置であり、また領域Aと領域Bの膜厚差は1.18μmであった。
なお、感光体〔1〕と同様の条件で製造しても、感光体〔1〕と感光体〔2〕とでは、膜厚差において多少のずれが生じた。
(保護層の形成)
下記の金属酸化物微粒子:酸化スズ微粒子〔1〕153質量部、重合性化合物:上記例示化合物(M1)100質量部、電荷輸送物質:上記例示化合物(CTM-1)16質量部、重合開始剤:上記例示化合物(P1)8質量部、ラジカル捕捉剤:「スミライザーGS(上記一般式(2)においてRがtert-ペンチル基、Rがtert-ペンチル基)」(住友化学社製)13質量部、溶媒:2-ブタノール280質量部、溶媒:テトラヒドロフラン70質量部を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、保護層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この保護層形成用塗布液〔1〕を感光体〔1〕上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して塗膜を形成し、特開2013-57787号公報に記載の実施例1の条件を一部変更した下記の硬化条件で、乾燥層厚5.0μmの保護層を形成し、感光体〔2〕を製造した。このとき、保護層のユニバーサル硬さは領域A及び領域Bともに211N/mmであった。
(硬化条件)
・下部機枠の内径:40mm
・下部機枠の外径:100mm
・区画壁の内径:46mm
・下部機枠の上下方向の長さ:870mm
・上部機枠の上下方向の長さ:8mm
・ガス吐出口の上下方向の大きさ:3mm
・光出射窓の上下方向の大きさ:7mm
・ガス吐出口と機枠の最下端との距離(L1 ):855mm
・ガス吐出口と機枠の最上端との距離(L2 ):12mm
・ガス上昇流路の断面積:7.82cm
・三角プリズムの内径:40mm
・光ガイド部材を構成する光ファイバーの数:4000本
・光ファイバーの径φ:0.2mm
・光源:キセノンランプ、4kW
・強度(光出射窓付近、波長365nm):2000mW/cm
・光の照射強度(ワーク面):900mW/cm
・窒素ガスの流速(一定):4L/min
・ワークの外径:30mm
・ワークと光出射窓との距離:5mm
・ワークとガス吐出口との距離:5mm
・ワークの引き上げ速度:
1、感光体上端0~25mmまで(領域Aまで):20mm/sec
2、感光体上端110~360mm(領域B以降)まで:20mm/sec
*領域Aから領域Bまでは、以下の制御で引き上げ速度を可変させた。
(X1,Y1)=(領域Aの位置、領域A位置での引き上げ速度)
(X2,Y2)=(領域Bの位置、領域B位置での引き上げ速度)としたとき、
一次関数近似より、Xm=(感光体の軸方向位置)
(Y-Y1)=[(Y2-Y1)/(X2-X1)]×(Xm-X1)
として、勾配制御した。
(酸化スズ微粒子〔1〕の作製)
未処理金属酸化物微粒子として下記酸化スズ〔1〕を用い、表面修飾剤として上記例示化合物(S-15)を用い、以下に示すように表面修飾を行い、酸化スズ微粒子〔1〕を作製した。
まず、酸化スズ〔1〕として、CIKナノテック社製の酸化スズ(数平均一次粒子径:20nm、体積抵抗率:1.05×10(Ω・cm))を準備した。
次に、酸化スズ〔1〕100質量部、表面修飾剤(例示化合物(S-15):CH=C(CH)COO(CHSi(OCH)30質量部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒300質量部の混合液を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌することにより表面修飾を行った。さらに、上記処理混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって表面修飾を終了し、表面修飾済み酸化スズ微粒子〔1〕を作製した。
[感光体〔3〕~〔12〕の製造]
感光体〔2〕の製造における電荷輸送層及び保護層の形成において、表I及び表IIの項目にしたがって変更した以外は、同様にして、感光体〔3〕~〔12〕を製造した。
なお、感光体〔13〕の製造で使用した酸化スズ微粒子〔2〕は下記の処方にしたがって作製した。
(酸化スズ微粒子〔2〕の作製)
特開2018-72372号公報に記載の以下の方法にしたがった、
[ラジカル重合性導電性粒子の作製]
(ラジカル重合性導電性粒子1の作製)
図5は、導電性粒子の製造装置の構成を示す模式図である。
図5に示されるように、導電性粒子の製造装置110は、母液槽11、第1配管12、強分散装置13、第2配管14、第1ポンプ15及び第2ポンプ16を有する。母液槽11及び強分散装置13は、第1配管12及び第2配管14を介して互いに接続されている。母液槽11は、撹拌翼11a、第1シャフト11b及び第1モーター11cを有する。強分散装置13は、撹拌部13a、第2シャフト13b及び第2モーター13cを有する。第1ポンプ15は、第1配管12に配置されており、第2ポンプ16は、第2配管14に配置されている。
まず、母液槽11中に、純粋3500cmを入れ、平均粒径D50が10nmである硫酸バリウム粒子900gを加えてスラリーを得た。次いで、得られたスラリーを製造装置で5パス循環させた。このとき、強分散装置13での撹拌部13aの撹拌速度を16000rpmとし、母液槽11から流出するスラリーの流速S1が2280cm/分となるようにスラリーを循環させた。次いで、得られたスラリーを純水で全量が9000cm3となるようにメスアップし、スズ酸ナトリウム1600g及び濃度25Nの水酸化ナトリウム水溶液を、メスアップされたスラリーに加え、さらに製造装置で5パス循環させることで、母液を得た。なお、強分散装置13としては、ホモジナイザー「magic LAB」(IKAジャパン株式会社製、容積20cm)を使用した。
次いで、得られた母液を、母液槽11からの流速S1が200cm/分となるように循環させるとともに、強分散装置13に20%硫酸を供給した。このとき、撹拌速度を16000rpmとし、強分散装置13への硫酸の供給速度S3が9.2cm/分となるようにして循環を行った。この状態で母液の循環を15分間行った。これにより、硫酸バリウム(BaSO)粒子の表面が酸化スズ(SnO)で被覆された粒子を得た。
次いで、得られた上記粒子を含むスラリーを、導電率が600μS/cm以下となるまでリパルプ洗浄した後、ヌッチェろ過を行うことにより、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを大気中において150℃で10時間乾燥させた。次いで、乾燥させたケーキを粉砕し、1体積%H/N雰囲気下において、450℃で45分間還元焼成した。これにより、硫酸バリウム(BaSO4)粒子の表面に酸化スズ(SnO)が担持されている複合粒子1を得た。複合粒子1の数平均一次粒径は、100nmであった。
次いで、下記成分を下記の量で、サンドミル(メディア:径0.5mmのジルコニアビーズ)に入れ、回転速度1500rpm、40℃にて1時間混合した。表面処理剤としては、上記例示化合物S-15を使用し、溶剤としては、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)を使用した。
複合粒子1 100質量部
表面処理剤 30質量部
溶剤 300質量部
最後に、混合物をヘンシェルミキサーにて、回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、コア・シェル構造を有するラジカル重合性導電性粒子1を得た。ラジカル重合性導電性粒子1の数平均一次粒径は、100nmであり、体積抵抗率は、6.7×10Ω・cmであった。
Figure 0007151492000009
Figure 0007151492000010
表Iでは、上記各成分の含有量を体積%で示しており、表IIでは、上記各成分の含有量を質量部で示している。質量部から体積%への換算するとき、ラジカル重合性組成物中の溶剤を除く成分の合計を100%として計算し、金属酸化物粒子の比重は、酸化スズ微粒子〔1〕は、6.9g/cm、酸化スズ微粒子〔2〕は、5.3g/cm、電荷輸送化合物の比重を1.1g/cm、ラジカル捕捉剤の比重を1.1g/cm、重合開始剤の比重を1.1g/cmとして計算した。
[膜厚の測定方法]
前記のように、電荷輸送層塗布後の膜厚測定を以下のとおりに測定し、電荷輸送層塗布後の平均膜厚及び領域A及び領域Bの起点位置を算出した。
渦電流方式の膜厚測定器(商品名:「EDDY560C」、HELMUT FISCHER GMBTE社製)を用いて、感光体の長軸方向における上端20mmの位置から感光体の長軸方向における下端20mmの位置まで、5mm間隔で測定を行い、感光体の周方向4点を平均化することで、感光体長軸方向の平均膜厚プロファイルを得る。このときの全平均値を平均膜厚とした。
測定箇所の前後でばらつきが生じるため、さらに、移動平均(n=5)によるスムージング処理を行うことで、スムージング処理後の膜厚プロファイルが得られる(感光体ドラムの下端側で測定点がn=5にならない場合は、n=5以下の移動平均値とする。)。
そして、前記膜厚の測定方法で得られた最小値と最大値に対応する感光体長軸方向位置(X1及びX2)を起点にして、20mm幅をとった領域をそれぞれ領域A及び領域Bとする。
なお、連続して最小値、最大値が現れた場合の領域の起点については、最小値はより感光体ドラム下端に近い位置、最大値はより感光体ドラム上端に近い位置とする。
[ユニバーサル硬さの測定方法]
感光体の領域Aと領域Bにおける硬度(ユニバーサル硬さ)(HU)を前記式(1)及び(2)によって算出した。当該硬度(HU)の測定は、市販の硬度測定装置を用いて行い、超微小硬度計「H-100V」(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて下記の測定条件で測定した。
-測定条件-
測定機:超微小硬度計「H-100V」(フィッシャー・インストルメンツ社製)
圧子形状:ビッカース圧子(a=136°)
測定環境:20℃、60%RH
最大試験荷重:3mN
荷重速度:3mN/20sec
最大荷重クリープ時間:5秒
除荷速度:3mN/20sec
なお、測定は各感光体の領域A及び領域Bの長軸方向を均等間隔で5点、周方向に均等角度で4点の合計20点測定し、その平均値を硬度(HU(A)、HU(B))とした。
[評価]
コニカミノルタ株式会社製bizhub C658(bizuhubは同社の登録商標である。)に、前記で製造した感光体〔1〕~〔12〕をブラック位置に搭載して、各種耐久及び品質評価を行い、比較例〔1〕~〔3〕及び実施例〔1〕~〔9〕とした。
評価結果を表IIIに示す。
画像形成装置には、コニカミノルタ株式会社製bizhub C658(bizuhubは同社の登録商標である。)を用いた。bizhub C658は波長780nmのレーザー露光、反転現像を行う中間転写、タンデム方式のカラー複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)である。20[℃]、相対湿度50[%RH]の雰囲気下でYMCK各色の印字面積率10%のA4版画像をA4版中性紙に30万枚印刷出力した後に、各感光体の画像評価(ハーフトーン、すりぬけ評価)を、以下のように行った。
<ハーフトーン評価>
10℃、15%RHの環境下において、ハーフトーン画像(b)(図6(b)参照)観察し、下記基準に基づいてムラ評価を行った。
評価結果が「◎」及び「○」の場合を合格と判定した。
(評価基準)
◎:ムラが生じていない。
○:軽微にムラが生じているが、実用上の問題はない
×:明らかなムラが生じており、実用上の問題がある
<減耗量>
上記耐久試験前後における領域A及び領域Bの膜厚部分を、渦電流方式の膜厚測定器(商品名:「EDDY560C」、HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて測定を行い、平均値を算出し、感光体の膜厚とした。そして、上記耐久試験前後の感光体の上記膜厚の差を減耗量とした。100krоt(10万回転)あたりの減耗量をα値としたとき、領域Aと領域Bの差分の絶対値を算出した。
<すり抜け評価>
10℃、15%RHの環境下において、紙の搬送方向の前方部に黒地部、後方部に白地部が位置するように、カバレッジ率80%のハーフトーン画像(a)(図6(a)参照)を、A3版中性紙に2万枚プリントし、2万枚目の紙の白地部を目視により観察し、下記基準に基づいて、トナーのすり抜けを評価した。評価結果が「◎」及び「○」の場合を合格と判定した。
(評価基準)
◎:白地部に汚れが見られなかった、
○:白地部に軽微なスジ状の汚れが発生したが、実用上の問題はない、
×:白地部に明らかなスジ状の汚れが発生し、実用上の問題がある。
Figure 0007151492000011
上記結果に示されるように、本発明の感光体は、比較例の感光体に比べて、ハーフトーン評価及びすり抜け評価の点で良好で、また、減耗量を低減できることが分かる。
これは、減耗量の差分とハーフトーン評価の対応をとると
・減耗量の差分が0以上、0.08未満の場合、ハーフトーン評価では◎である。
・減耗量の差分が0.7以上、0.12未満の場合、ハーフトーン評価では〇である。
・減耗量の差分が0.12以上の場合、ハーフトーン評価では×である。
ことから、電荷輸送層の膜厚差に応じて感光体表面硬度を変えることで軸方向の減耗ムラを抑制でき、ハーフトーンムラの画像欠陥が抑制できていることを示している。
なお、実施例1~4では、ΔHUを変えた結果となり、実施例4が実施例3に比較して、ハーフトーン評価が悪い理由としては、1.20μm前後の膜厚差の場合、ΔHUが40まで開くと、領域A側が減耗しにくくなるために結果が悪化したと考えられる。つまり、膜厚差に応じてΔHUを変えた方が、より望ましい。
100 感光体
101 導電性支持体
102 中間層
103a 電荷発生層
103b 電荷輸送層
103 感光層
104 保護層
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電手段(帯電ローラー)
3Y、3M、3C、3K 露光手段
4Y、4M、4C、4K 現像手段
5Y、5M、5C、5K 一次転写ローラー
5b 二次転写ローラー
6Y、6M、6C、6K、6b クリーニング手段
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラー
23 レジストローラー
24 定着手段
25 排紙ローラー
26 排紙トレイ
70 中間転写体ユニット
71、72、73、74 ローラー
77 中間転写体
80 筐体
82L、82R 支持レール
A 本体
SC 原稿画像読み取り装置
P 転写材
110 導電性粒子の製造装置
11 母液槽
11a 撹拌翼
11b 第1シャフト
11c 第1モーター
12 第1配管
13 強分散装置
13a 撹拌部
13b 第2シャフト
13c 第2モーター
14 第2配管
15 第1ポンプ
16 第2ポンプ

Claims (6)

  1. 電圧を印加することで接触又は近接帯電方式により帯電する電子写真感光体であって、
    前記電子写真感光体が、長軸方向で膜厚差を有しており、
    当該電子写真感光体の膜厚が薄い部分を領域A、膜厚が厚い部分を領域Bとしたときに、前記領域Aにおける前記電子写真感光体表面の硬度HU(A)が、前記領域Bにおける前記電子写真感光体表面の硬度HU(B)よりも高いことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記硬度HU(A)及び前記硬度HU(B)が、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
    10≦HU(A)-HU(B)≦30[N/mm]・・・式(1)
  3. 導電性支持体上に、感光層と、当該感光層上に重合性化合物を硬化した硬化樹脂を含有する保護層と、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記硬度HU(B)が、下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
    220≦HU(B)≦280[N/mm]・・・式(2)
  5. 前記保護層が、重合性化合物を硬化した硬化樹脂中に少なくとも金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、
    導電性支持体上の感光層上に、重合性化合物を含有する未硬化膜を形成する工程と、
    前記未硬化膜に光照射して硬化樹脂を含有する保護層を形成する工程と、を備え、
    前記保護層を形成する工程において、前記未硬化膜が形成されたワークを光照射する際に、前記ワークの任意の位置で搬出速度を変えて光照射することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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