JP7270372B2 - 加熱溶融蒸散剤 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の組成の基材中に有効成分を含有する加熱溶融蒸散剤に関する。
加熱溶融蒸散剤は、加熱により溶融する基材中に、芳香成分、消臭成分、殺虫成分、忌避成分、殺菌成分等の活性成分を含有し、加熱溶融されると有効成分を環境に蒸散する製剤であり、加熱溶融手段としては、引火や加熱容器に入れて溶融蒸散させる方法が知られている。
従来、加熱溶融蒸散剤としては、ワックスを主成分とする基材に有効成分を含有する製剤が市販されている。
しかし、加熱溶融蒸散剤は、製造から消費者による使用までの流通過程で、高温等の比較的過酷な環境に曝されることがあり、この従来の加熱溶融蒸散剤では、流通過程で揮発性の高い有効成分が放出され、本来の芳香や活性が損なわれていたり、変形又は変色して、商品として取り扱うことができない場合があった。
これに対して、揮発性の異なる香料が共に放出されることを目的として、重量平均分子量4000以上のポリエチレングリコール及び/又は硬化ひまし油と、任意にワックスとを含む基材中に揮発性の香料を含む固形の組成物が提案されている(特許文献1)。しかし、この文献では、このような組成物によって発揮される効果について検証されておらず、その特性は不明である。また、硬化ひまし油はゲル状態にするのに用いるとしているが、硬化ひまし油を含む加熱溶融蒸散剤では、流通過程で変形又は変色し易く成る。この点、この文献の加熱溶融蒸散剤は、重量平均分子量4000以上のポリエチレングリコールを含み、この高分子のポリエチレングリコールは、蒸散剤の安定性の点では好ましいが、これを含む加熱溶融蒸散剤は、加熱時の有効成分の拡散性が必ずしも十分ではない。
また、製造から使用までの期間の安定化を目的として、40~95%の重量平均分子量5000~11000を有するポリエチレングリコール中に、0.1~20%の香料、および0.1~50%の澱粉粒を含む粒子からなる加熱溶融蒸散剤が開示されている(特許文献2)。この文献でも、安定性について検証されておらず、その実際の特性は不明であるが、澱粉粒は安定性を付与するための成分とされている。しかし、澱粉粒を含む加熱溶融蒸散剤は、製造時や使用時に繰返し加熱冷却を行うと、澱粉粒の分解や変質を生じるため、蒸散剤が劣化する。また、重量平均分子量5000~11000を有するポリエチレングリコールは、蒸散剤の安定性の点では好ましいが、これを含む加熱溶融蒸散剤は、加熱時の有効成分の拡散性が必ずしも十分ではない。
特表2007-526343号公報 特表2018-500087号公報
本発明は、上述した技術水準にあって、製造から消費者が使用するまでの間に剤形や材質の劣化を生じず、有効成分の拡散特性に優れる、加熱溶融蒸散剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、検討の結果、特定の分子量のポリエチレングリコールと特定の非イオン界面活性剤とを含む基材中に、有効成分を分散させる事で、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の加熱溶融蒸散剤、蒸散方法、加熱溶融蒸散装置用の容器および加熱溶融蒸散装置を提供する。
[1](i)55質量%以上の重量平均分子量1800以上5000未満のポリエチレングリコールと、
(ii)非イオン界面活性剤の少なくとも1種と、
(iii)有効成分と
を含む、加熱溶融蒸散剤。
[2]前記非イオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリエチレングリコール脂肪酸エステルの少なくとも1種を含む、[1]に記載の加熱溶融蒸散剤。
[3]さらに、多孔質担体を含む、[1]又は[2]に記載の加熱溶融蒸散剤。
[4][1]から[3]の何れか1項に記載の蒸散剤を加熱溶融し、前記有効成分を蒸散させる方法。
[5]前記蒸散剤をシリコンゴム製またはフッ素ゴム製の容器を備える加熱溶融蒸散装置で加熱溶融する、[4]記載の方法。
[6][1]から[3]の何れか1項に記載する蒸散剤を入れて、加熱溶融して蒸散するための加熱溶融蒸散装置用の容器であって、シリコンゴム製またはフッ素ゴム製である容器。
[7][1]から[3]の何れか1項に記載する蒸散剤と、これを入れるシリコンゴム製またはフッ素ゴム製の容器とを備える、加熱溶融蒸散装置。
上記の組成とすることで、本発明の加熱溶融蒸散剤は、製造から消費者が使用するまでの間に剤質や剤形の劣化がなく安定であり、有効成分の拡散特性にも優れる。
図1は、蒸散剤を加熱溶融する装置の一例を示す。
本発明の加熱溶融蒸散剤は、上述の通り、特定の分子量のポリエチレングリコール(以下、PEGと略称する)と特定の非イオン界面活性剤とを含む基材中に、有効成分を含むものである。
本発明の加熱溶融蒸散剤の基材を構成するPEGは、重量平均分子量が1800以上5000未満であり、好ましくは3000以上5000未満である。
重量平均分子量が1800未満のPEGで基材を構成すると、流通過程で高温に曝された際に、変色等の剤質の劣化やダレ等の剤形の劣化を生じ得る。また、重量平均分子量が5000以上だと蒸散剤の拡散特性が不十分と成り易い。
ここで、本願明細書で使用される「重量平均分子量」は、JIS K-1557 6.4に準じるピリジン無水フタル酸法で測定した水酸基価から計算した数値を意味し、以下では単に「分子量」という。
本発明の加熱溶融蒸散剤では、蒸散剤中に、1800以上5000未満の分子量を有するPEG、好ましくは3000以上5000未満の分子量を有するPEGを、55質量%以上含み、好ましくは60~90質量%含み、より好ましくは65~85質量%含む。1800以上5000未満の分子量を有するPEGの含有量が、55質量%未満の場合も、流通過程で高温に曝された際に、ダレ等の剤形の劣化を生じ得る。もっとも、1800以上5000未満の分子量を有するPEGを上記の範囲で含有すれば、この範囲外の分子量、例えば、5000以上の分子量のPEGを含んでもよい。
本発明の加熱溶融蒸散剤に含まれる界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ひまし油(以下、POE硬化ひまし油と略称する)以外の非イオン界面活性剤であればよく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(以下、POEアルキルエーテルと略称する)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体(以下、POE/POPブロック共重合体と略称する)、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(以下、PEG脂肪酸エステルと略称する)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(以下、POEソルビタン脂肪酸エステルと略称する)、及びグリセリン脂肪酸エステルが挙げられ、好ましくは、POEアルキルエーテル、POE/POPブロック共重合体、及びソルビタン脂肪酸エステルの少なくとも1種を含む。これら非イオン界面活性剤は、有効成分と上記PEGとの混和性を高めると共に、加熱溶融蒸散剤の剤形の安定性をより高める。
POEアルキルエーテルとしては、上記の観点から、エチレンオキサイド単位の繰返し数が20~200のPOEC12-18アルキルエーテルが好ましく、エチレンオキサイド単位の繰返し数が25~100のPOEC12-15アルキルエーテルがより好ましい。
POE/POPブロック共重合体も、同様の点から、分子量は800~40000が好ましい。また、POE/POPモル比は0.1~10が好ましい。POE/POPブロック共重合体は特に、分子量が3000~25000であり、POE/POPモル比が0.8~6のブロックポリマーが好ましい。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンC12-18脂肪酸エステルが好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエートを挙げることができる。
PEG脂肪酸エステルとしては、例えば、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられ、POE付加モル数が20~100のPEG脂肪酸エステルが好ましく、25~80のPEG脂肪酸エステルがより好ましい。
POEソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、POE(20)ソルビタンモノステアレート、POE(20)ソルビタントリステアレートが挙げられ、POE(20)ソルビタントリステアレートが好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリンモノオレエート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテートが挙げられ、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテートが好ましい。
本発明の蒸散剤においては、上記非イオン界面活性剤の中でも、POE/POPブロック共重合体が好ましく、これを単独で又は他の非イオン界面活性剤と組合せて蒸散剤に含有させることが好ましい。POE/POPブロック共重合体は、特に有効成分とPEGとの混和性を高める効果を有し、得られる蒸散剤中に有効成分を均一に分散させることができる。
本発明の蒸散剤における上記非イオン界面活性剤の含有量は、1~35質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましい。
本発明の蒸散剤に含有される有効成分は、基材の溶融温度で揮発可能な物質であることの他は特に制限はなく、芳香剤、消臭剤、忌避剤、殺虫剤及び殺菌剤等の様々な有効成分を含むことができ、芳香剤と、殺虫剤又は殺菌剤との組み合わせ等、2種以上の有効成分を組合せることもできる。
芳香剤としては、例えば、じゃ香、竜延香、アビエス油、アルモンド油、ページル油、パーチ油、カヤブチ油、シトロネラ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、レモン油、レモングラス油、ナツメッグ油、ハッカ油、オレンジ油、テレピン油、セイジ油等の天然香料、ピネン、リモネン、リナロール、ゲラニオール、シトロネラール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、アネトール、オイゲノール、アルデヒド、シトラール、シトロネラール、ワニリン、カルボン、ケトン、メントン、アセトフェノン、クマリン、シネオール、エチルアセテート、オクチルアセテート、プロピオン酸ブチル、イソ酪酸イソプロピル、カプロン酸アリル、安息香酸エチル、桂皮酸メチル、サリチル酸メチル等の人造香料等が挙げられる。これらの香料は、1種単独で、または2種以上組み合わせて調合香料として使用することができる。
消臭および/または防臭剤としては、例えば、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトネート、ミリスチル酸アセトフェノン、パラメチルアセトフェノンベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、アミルシンナミックアルデヒド、アニシックアルデヒド、ジフェニルオキサイド、安息香酸メチル、安息香酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、ネオリン、サフロール、シトロネラ油、レモングラス油等が挙げられる。これらの消臭および/または防臭剤も、1種単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
殺虫剤としては、例えば、天然ピレトリン、ピレトリン、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、ペルメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、プラレトリン、ビフェントリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、メパフルトリン、ジメフルトリン、イミプロトリン、エムペントリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン等のピレスロイド系殺虫剤;プロポクスル、カルバリル等のカーバメイト系殺虫剤;フェニトロチオン、DDVP等の有機リン系殺虫剤;メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系殺虫剤;フィプロニル等のフェニルピラゾール系殺虫剤;イミダクロプリド、ジノテフラン等のネオニコチノイド系殺虫剤;アミドフルメト等のスルホンアミド系殺虫剤;クロルフェナピル等のピロール系化合物;メトプレン、ハイドロプレン等の昆虫幼若ホルモン様化合物;プレコセン等の抗幼若ホルモン様化合物;エクダイソン等の脱皮ホルモン様化合物;クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ブプロフェジン等のキチン合成阻害剤、フィトンチッド、薄荷油、オレンジ油、桂皮油、丁子油等の精油類;イソボルニルチオシアノアセテート(IBTA)、イソボルニルチオシアノエチルエーテル(IBTE)、四級アンモニウム塩、サリチル酸ベンジル等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。中でもピレスロイド系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、オキサジアゾール系殺虫剤およびスルホンアミド系殺虫剤が、揮散性に優れるので好ましく、特に、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、メトキサジアゾン、プロポクスル、アミドフルメト、エトフェンプロックス、トランスフルトリン、エムペントリン及びメトフルトリンが好ましい。
殺菌剤および/または防黴剤としては、例えば、イルガサンDP300、イソプロピルメチルフェノール等のフェノール化合物、ダウシルS-13、ヒノキチオール、プリベントールA3、プリベントールA4、チアベンダゾール、ジオキシン等が挙げられる。これらの薬剤は、1種単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
防虫剤及び忌避剤としては、例えば、ディート、ジ-n-ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、ロテノン、エチル-ブチルアセチルアミノプロピオネート、イカリジン、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、P-メンタン-3,8-ジオール等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の好ましい実施形態では、有効成分を有機又は無機の多孔質担体に担持させて基材中に含有させてもよい。多孔質担体に有効成分が担持されることで、流通過程における過酷な環境でも有効成分の放出がより抑制され、使用中もより長期間に亘って有効成分の放出が持続する。
無機材料からなる多孔質担体としては、シリカ、ゼオライト、アルミナ等が挙げられ、有機材料からなる担体としては、シクロデキストリン等が挙げられる。中でもシリカが好ましい。
本発明の蒸散剤は、本発明の効果を奏する限り、任意の成分を含んでいてもよく、例えば、蒸散補助剤、崩壊剤、賦形剤、酸化防止剤、色素等を含ませることができる。
蒸散補助剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック、三酸化アンチモン、デカブロモジフェニレンオキサイド、無水トリメリット酸、無水マレイン酸、ベンゾトリアゾール、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、尿素等が挙げられる。これらを併用することで、有効成分の揮散効率を調整することができる。
崩壊剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、ステアリン酸エステル、乳酸エチル、サリチル酸クロロフェニル等の有機酸エステル;乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、アジピン酸、コハク酸等の有機酸;リン酸等の無機酸等が挙げられる。崩壊剤を含有すると、加熱による製剤の崩壊が促進され、有効成分の揮散効率を高めることができる。
賦形剤としては、例えば、ショ糖、ブドウ糖等の糖;マルチトール、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコール等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEおよびその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物等を挙げることができ、特に、芳香成分等、空気との接触による酸化作用を受け易い有効成分の場合には、酸化防止剤を含有させることが好ましい。
本発明の蒸散剤は、加熱により基材を溶融させて有効成分を揮散させることにより使用される。従って、本発明は、上述した蒸散剤を加熱溶融し、有効成分を蒸散させる方法も提供する。
本発明において、蒸散剤の加熱溶融方法に特に制限は無いが、図1に示すような、発熱体1からの熱で容器2中の蒸散剤を溶融する装置が便利である。発熱体自身の温度は後述する容器温度を満足する条件であれば、装置の放熱状況に応じて、適宜設定すれば良いが、蒸散剤の熱耐性も考慮して、上限200℃程度が好ましく、上限180℃程度がより好ましい。
また、容器2の材質としては、一般的にはエラストマー、ポリプロピレンやポリエチレン等の汎用耐熱性樹脂、アルミやステンレス等の金属、陶器製などが使用できる。
このような装置を用いる場合、使用後には蒸散剤を容器から取り出すが、この際に離型が容易であれば便利である。このような観点から、容器は少なくとも100℃の温度に対して耐性で、室温で伸縮可能なエラストマー材料で形成することが好ましい。このような特性の材料としては、ニトリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等があり、前2者は比較的手頃に入手可能であるが、パラフィンワックスを基材にする蒸散剤では容器に蒸散剤の成分が浸み込み、離型の際に残渣が残る問題がある。これに対して、上述した本発明の蒸散剤ではニトリルゴム、シリコンゴム等の様々なエラストマー材料で形成した容器を用いても、蒸散剤の成分が容器に浸み込む問題がなく、綺麗に離型できる。
従って、本発明は、上述した蒸散剤を、少なくとも100℃の温度に対して耐性で、室温で伸縮可能なエラストマー材料で形成した容器を備える加熱溶融蒸散装置で使用する事で、蒸散剤の簡易な離型を可能とする方法を提供できる。また、蒸散剤の簡易な離型を達成する、少なくとも100℃の温度に対して耐性で、室温で伸縮可能なエラストマー材料で形成した容器中に上述した蒸散剤を含む固形製剤を提供する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
1.加熱溶融蒸散剤の調製
まず、分子量がそれぞれ1300~1600(PEG1540、日油株式会社)、1850~2150(PEG2000、日油株式会社)、3040(PEG4000、日油株式会社)、及び8311(PEG6000、日油株式会社)のPEGと、ポリオキシエチレン(45)モノメチルエーテル、ポリオキシエチレン(40)C12-15アルキルエーテル、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(300)ポリオキシプロピレン(55)ブロックポリマー、及びポリオキシエチレン(50)硬化ひまし油の何れか1種又は2種の非イオン性界面活性剤とを加熱溶融し混和して混和物Aを調製した)。
また、有効成分として香料(オリエンタル系香料、高砂香料工業社製)又はトランスフルトリン(商品名:バイオスリン、住友化学株式会社製)を、ジヒドロキシトルエン(H-BHT、本州化学工業株式会社製)に加え、溶解したのを確認した後、或いはジヒドロキシトルエンに溶解すること無しに、非晶質シリカ(カープレックス#80)を加え、或いは加えずに、混和物Bを調製した。
最後に、混和物Aと混和物Bを混合して蒸散剤を得た。各実施例および比較例の各成分の組成比は以下の表に示す通りである。
Figure 0007270372000001
Figure 0007270372000002
2.安定性評価
2-1.試料作成
各実施例及び各比較例で得られた蒸散剤約10gをシリコン製の円筒容器(直径50mm×深さ15mm)に充填し、冷却固化して得た円柱形状の固体を試料とした。
2-2試験方法
各試料を透明ピロー(GL-PET12/LLDPE50、凸版印刷社製、80mm×80mm)内に入れ、以下の通りに剤質安定性と剤形安定性を試験した。
剤質安定性
25℃で5日、或いは40℃で3日静置し、試料の色の変化を目視にて確認した。評価基準は、以下の通り。
○:褐色変化 無
×:褐色変化 有
剤形安定性
50℃で2時間、或いは55℃で3時間静置し、製剤の形状が変化しているかを目視で確認した。形状が変化している製剤を×、形状が維持されている製剤を○とした。
Figure 0007270372000003
Figure 0007270372000004
4.多孔性担体の有無による蒸散特性評価
非晶質シリカの有無のみで異なる実施例12及び13の蒸散剤を用いて蒸散特性を試験した。各実施例の試料10gを図1のホットプレート様熱源装置を用いて、50時間連続して約100℃で加熱した後、2.16mの密閉空間に移し、その空間中で1.5時間加熱し、以下の評価基準で官能評価を行った。総合評価は、7名のパネラーの平均値によって評価した。
Figure 0007270372000005
Figure 0007270372000006

上記の通り、50時間加熱後でも、シリカに香料を担持させた実施例13の蒸散剤のほうが、香質及び強度とも実施例12の蒸散剤より高いレベルで維持された。
5.PEG分子量の相違による蒸散特性の比較
分子量の異なるPEGを含む実施例13の蒸散剤(PEG:MW3040)及び比較例8の蒸散剤(PEG:MW8311)を用いて蒸散特性を比較した。各蒸散剤10gをホットプレート様熱源装置を用いて、2.16mの密閉空間にて通電開始から0.75時間各蒸散剤が100℃となるように加熱し、表5と同様に官能評価を行った(N=10)。
Figure 0007270372000007

上記の通り、PEGの分子量が小さい実施例13の蒸散剤のほうが、溶解しやすく拡散性が高いため、香質及び強度とも比較例8の蒸散剤より高かった。
蒸散剤のエラストマー製容器への浸透性の評価
実施例13の蒸散剤を用いて、各種材料製の容器について、容器への浸透性、製剤の取り出しやすさ及び繰返し使用耐性、並びに加熱使用時のにおいを評価した。実施例13の蒸散剤10gを、下記の表8に示す各種材料からなる図1に示す容器2に入れ、ホットプレート様熱源装置を用いて、24時間連続して約100℃で加熱した後、冷却し、容器から製剤を取り出した。加熱中は容器材質に起因する臭いを、加熱後に冷却した後は、容器からの製剤の離型性、繰り返し使用性、並びに容器裏側への製剤浸透性を外観目視評価した。
Figure 0007270372000008
1.発熱体
2.容器

Claims (6)

  1. (i)55質量%以上の重量平均分子量1800以上5000未満のポリエチレングリコールと、
    (ii)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリエチレングリコール脂肪酸エステルの少なくとも1種を含む、非イオン界面活性剤と
    (iii)有効成分と
    を含む、加熱溶融蒸散剤。
  2. さらに、多孔質担体を含む、請求項1に記載の加熱溶融蒸散剤。
  3. 請求項1又は2に記載の蒸散剤を加熱溶融し、前記有効成分を蒸散させる方法。
  4. 前記蒸散剤を、シリコンゴム製またはフッ素ゴム製の容器を備える加熱溶融蒸散装置で加熱溶融する、請求項に記載の方法。
  5. 請求項1又は2に記載する蒸散剤を入れて、加熱溶融して蒸散するための加熱溶融蒸散装置用の容器であって、シリコンゴム製またはフッ素ゴム製である容器。
  6. 請求項1又は2に記載する蒸散剤と、これを入れるシリコンゴム製またはフッ素ゴム製の容器とを備える、加熱溶融蒸散装置。
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