JP7267794B2 - ポリアミド樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
[1]示差走査熱量計で測定した融点が290℃以上340℃以下である半芳香族ポリアミド樹脂(A)45~99.8質量部と、示差走査熱量計で測定した、昇温過程(昇温速度:10℃/min)における融解熱量が0J/g以上5J/g以下である半芳香族ポリアミド樹脂(B)0~54.8質量部と、有機リン酸エステルの金属塩である結晶核剤(C)0~1.5質量部と、充填材(D)0.2~5質量部と、を含み(ただし、前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)、前記半芳香族ポリアミド樹脂(B)、前記結晶核剤(C)、および前記充填材(D)の合計は100質量部である)、前記充填材(D)の最小幅を径Diとしたとき、下記式で求められる重量平均径が、15~50μmである、ポリアミド樹脂組成物。
重量平均径=(Σri×Di2)/(Σri×Di)
(上記式において、riは、径がDiである充填材(D)の個数を表す。)
重量平均繊維長さ=(Σqi×Li2)/(Σqi×Li)
(上記式において、Liは前記充填剤(D)の繊維長さを表し、qiは、繊維長さがLiである充填材(D)の個数を表す。)
[3]前記充填材(D)がガラス繊維である、[1]または[2]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[4]前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)が、ジカルボン酸成分単位(a1)およびジアミン成分単位(a2)を含み、前記ジカルボン酸成分単位(a1)が、テレフタル酸成分単位を20~100モル%、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位を0~80モル%、炭素原子数4~20の脂肪族ジカルボン酸成分単位を0~60モル%含み、前記ジアミン成分単位(a2)が、炭素原子数4~20の脂肪族ジアミン成分単位を含む、[1]~[3]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[6]前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)の前記ジカルボン酸成分単位(a1)が、イソフタル酸成分単位を含む、[4]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[7]前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)の前記ジカルボン酸成分単位(a1)が、テレフタル酸成分単位を55~80モル%、イソフタル酸成分単位を20~45モル%含む、[6]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[9]前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)の前記ジアミン成分単位(a2)が、1,6-ジアミノヘキサン成分単位を80~100モル%含む、[8]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[10]前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)の前記ジアミン成分単位(a2)が、1,6-ジアミノヘキサン成分単位および2-メチル-1,5-ジアミノペンタン成分単位を含む、[8]または[9]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[12]前記半芳香族ポリアミド樹脂(B)の前記ジカルボン酸成分単位(b1)が、イソフタル酸成分単位を55~100モル%、テレフタル酸成分単位を0~45モル%含む、[11]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[13]前記結晶核剤(C)が、環状リン酸エステルの金属塩である、[1]~[12]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[14]上記[1]~[13]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、半芳香族ポリアミド樹脂(A)と、充填材(D)とを少なくとも含んでいればよいが、半芳香族ポリアミド樹脂(B)や、有機リン酸エステルの金属塩である結晶核剤(C)をさらに含むことが好ましい。また、必要に応じて各種添加剤等を含んでいてもよい。
半芳香族ポリアミド樹脂(A)は、示差走査熱量計(DSC)により測定される、融点(Tm)が290℃以上340℃以下のポリアミド樹脂である。当該半芳香族ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド樹脂組成物のバインダとして機能する。
ジカルボン酸成分単位(a1)は、少なくともテレフタル酸成分単位を含むことが好ましい。テレフタル酸成分単位を含む半芳香族ポリアミド樹脂(A)は、結晶性が高く、ポリアミド樹脂組成物の耐熱性や剛性が高い。
ジアミン成分単位(a2)は、炭素原子数4~20の脂肪族ジアミン成分単位を含むことが好ましい。炭素原子数4~20の脂肪族ジアミン成分単位によって、成形品に疎水性を付与でき、成形品の吸湿性や吸水性を低減できる。
半芳香族ポリアミド樹脂(A)の具体例には、以下の樹脂が含まれる。
ジカルボン酸成分単位(a1)がテレフタル酸成分単位であり、ジアミン成分単位(a2)が1,6-ジアミノヘキサン成分単位および2-メチル-1,5-ジアミノペンタン成分単位であるポリアミド樹脂;
ジカルボン酸成分単位(a1)がテレフタル酸成分単位であり、ジアミン成分単位(a2)が1,9-ノナンジアミン成分単位および2-メチル-1,8-ジアミノペンタン成分単位であるポリアミド樹脂;
ジカルボン酸成分単位(a1)がテレフタル酸成分単位およびイソフタル酸成分単位であり、ジアミン成分単位(a2)が1,6-ジアミノヘキサン成分単位であるポリアミド樹脂;ならびに
ジカルボン酸成分単位(a1)がテレフタル酸成分単位およびアジピン酸成分単位であり、ジアミン成分単位(a2)が1,6-ジアミノヘキサン成分単位であるポリアミド樹脂。
半芳香族ポリアミド樹脂(A)は、これらを一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
半芳香族ポリアミド樹脂(A)の、温度25℃、96.5%硫酸中で測定される極限粘度[η]は、0.7~1.6dl/gが好ましく、0.8~1.2dl/gがより好ましい。半芳香族ポリアミド樹脂(A)の極限粘度[η]が一定以上であると、成形品の強度が十分に高まりやすい。一方で、極限粘度[η]が一定以下であると、樹脂組成物の成形時の流動性が損なわれにくい。極限粘度[η]は、半芳香族ポリアミド樹脂(A)の分子量によって調整される。
[η]=ηSP/(C(1+0.205ηSP))
[η]:極限粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
t:試料溶液の流下秒数(秒)
t0:ブランク硫酸の流下秒数(秒)
ηSP=(t-t0)/t0
半芳香族ポリアミド樹脂(B)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した昇温過程(昇温速度:10℃/min)における融解熱量(ΔH)が0J/g以上5J/g以下であるポリアミド樹脂である。当該半芳香族ポリアミド樹脂(B)は、ポリアミド樹脂組成物のバインダとして機能する。また、ポリアミド樹脂(B)は結晶性が低いため、半芳香族ポリアミド樹脂(B)を含むポリアミド樹脂組成物は、透明性(視認性)が良好になりやすい。なお、半芳香族ポリアミド樹脂(B)は非晶性の樹脂であることが好ましい。
ジカルボン酸成分単位(b1)は、少なくともイソフタル酸成分単位を含むことが好ましい。イソフタル酸成分単位は、半芳香族ポリアミド樹脂(B)の結晶性を低くし、当該半芳香族ポリアミド樹脂(B)を含む成形品のヘイズを小さくし、さらには成形品の外観を良好にする。
ジアミン成分単位(b2)は、炭素原子数4~15の脂肪族ジアミン成分単位を含むことが好ましい。
半芳香族ポリアミド樹脂(B)の具体例には、イソフタル酸/テレフタル酸/1,6-ジアミノヘキサン/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体;イソフタル酸/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン/ω-ラウロラクタムの重縮合体;イソフタル酸/テレフタル酸/1,6-ジアミノヘキサンの重縮合体;イソフタル酸/2,2,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン/2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサンの重縮合体;イソフタル酸/テレフタル酸/2,2,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン/2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサンの重縮合体;イソフタル酸/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン/ω-ラウロラクタムの重縮合体;およびイソフタル酸/テレフタル酸/その他ジアミン成分の重縮合体;等が含まれる。中でも、イソフタル酸/テレフタル酸/1,6-ジアミノヘキサンの重縮合体が好ましい。半芳香族ポリアミド樹脂(B)は、これらを一種のみ含んでもよく、二種以上含んでもよい。
半芳香族ポリアミド樹脂(B)の、温度25℃、96.5%硫酸中で測定される極限粘度[η]は、0.55~1.6dl/gが好ましく、0.6~1.2dl/gがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、有機リン酸エステルの金属塩である結晶核剤(C)を含んでもよい。当該結晶核剤(C)を含むと、半芳香族ポリアミド樹脂(A)が細かい結晶になりやすく、ポリアミド樹脂組成物のヘイズが低くなりやすい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、特定の重量平均径を有する充填材(D)を含む。当該充填材(D)は、後述の重量平均径を満たせば、その形状は特に制限されず、例えば粒子状や扁平状等であってもよい。
重量平均径=(Σri×Di2)/(Σri×Di)
上記式において、Diは充填材(D)の径を表し、riは、径がDiである充填材(D)の個数を表す。
重量平均繊維長さ=(Σqi×Li2)/(Σqi×Li)
上記式において、Liは充填材(D)の繊維長さを表し、qiは繊維長さがLiである充填材(D)の個数を表す。
1)ポリアミド樹脂組成物または成形品を、ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム溶液(0.1/0.9体積%)に溶解させる。その後、濾過して得られる濾過物を採取する。
2)前記1)で得られた濾過物を水に分散させ、光学顕微鏡(倍率:50倍)で任意の300本について、それぞれの繊維長(Li)と径(Di)を計測する。
3)測定された繊維長(Li)および径(Di)、ならびにこれらの分布から、上述の式に基づき、重量平均径および重量平均長さを特定する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、発明の効果を損なわない範囲で、用途に応じて、任意の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例には、酸化防止剤(フェノール類、アミン類、イオウ類、リン類等)、耐熱安定剤(ラクトン化合物、ビタミンE類、ハイドロキノン類、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、光安定剤(ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾフェノン類、ベンゾエート類、ヒンダードアミン類、オギザニリド類等)、難燃剤(臭素系、塩素系、リン系、アンチモン系、無機系等)、滑剤、蛍光増白剤、可塑剤、増粘剤、帯電防止剤、離型剤、顔料、結晶核剤、種々公知の添加剤が含まれる。
ポリアミド樹脂組成物の結晶化度は、14%以上24%以下が好ましく、18%以上24%以下がより好ましく、18%以上22%以下がさらに好ましい。当該範囲であると、ポリアミド樹脂組成物のヘイズが小さくなりやすい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、少なくとも上記の比率の半芳香族ポリアミド樹脂(A)、半芳香族ポリアミド樹脂(B)、結晶核剤(C)、および充填材(D)と、必要に応じて他の添加剤とを、公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダーもしくはタンブラーブレンダー等で混合する方法、または混合後さらに一軸押出機、多軸押出機、ニーダー若しくはバンバリーミキサー等で溶融混練した後、造粒若しくは粉砕する方法により製造できる。各成分の混合後、さらに一軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練し、造粒あるいは粉砕を行ってもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、例えば、射出成形、押出成形等、公知の成形方法により成形することで、成形品を作製することができる。
[合成例1]半芳香族ポリアミド樹脂(A-1)の調製
テレフタル酸1787g(10.8モル)、1,6-ジアミノヘキサン2800g(24.1モル)、アジピン酸1921g(13.1モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物5.7g及び蒸留水554gを内容量13.6Lのオートクレーブに入れ、窒素置換した。190℃から攪拌を開始し、3時間かけて内部温度を250℃まで昇温した。このとき、オートクレーブの内圧を3.01MPaまで昇圧した。このまま1時間反応を続けた後、オートクレーブ下部に設置したスプレーノズルから大気放出して低次縮合物を抜き出した。抜き出した低次縮合物を室温まで冷却し、その後、粉砕機で1.5mm以下の粒径まで粉砕し、110℃で24時間乾燥した。得られた低次縮合物の水分量は3600ppm、極限粘度[η]は0.14dl/gであった。
1,6-ジアミノヘキサン2800g(24.3モル)、テレフタル酸2774g(16.7モル)、イソフタル酸1196g(7.2モル)、安息香酸36.6g(0.3モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物5.7gおよび蒸留水545gを内容量13.6Lのオートクレーブに入れ、窒素置換した。190℃から攪拌を開始し、3時間かけて内部温度を250℃まで昇温させた。このとき、オートクレーブの内圧を3.03MPaまで昇圧させた。この状態で1時間反応させ、その後、オートクレーブ下部に設置したスプレーノズルから大気放出して低縮合物を抜き出した。その後、室温まで冷却後、低縮合物を粉砕機で1.5mm以下の粒径まで粉砕し、110℃で24時間乾燥させた。得られた低縮合物の水分量は4100ppm、極限粘度[η]は0.15dl/gであった。
1,6-ジアミノヘキサン1312g(11.3モル)、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン1312g(11.3モル)、テレフタル酸3655g(22.0モル)、触媒として次亜リン酸ナトリウム5.5g(5.2×10-2モル)、およびイオン交換水640mlを1リットルの反応器に仕込み、窒素置換後、250℃、35kg/cm2の条件で1時間反応させた。1,6-ジアミノヘキサンと2-メチル-1,5-ジアミノペンタンとのモル比は50:50とした。1時間経過後、この反応器内に生成した反応生成物を、この反応器と連結され、かつ圧力を約10kg/cm2低く設定した受器に抜き出し、極限粘度[η]が0.15dl/gであるポリアミド前駆体を得た。
[合成例4]半芳香族ポリアミド樹脂(B-1)の調製
テレフタル酸1390g(8.4モル)、1,6-ジアミノヘキサン2800g(24.1モル)、イソフタル酸2581g(15.5モル)、安息香酸109.5g(0.9モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物5.7gおよび蒸留水545gを内容量13.6Lのオートクレーブに入れ、窒素置換した。190℃から攪拌を開始し、3時間かけて内部温度を250℃まで昇温した。このとき、オートクレーブの内圧を3.02MPaまで昇圧した。このまま1時間反応を続けた後、オートクレーブ下部に設置したスプレーノズルから大気放出して低縮合物を抜き出した。その後、室温まで冷却後、粉砕機で1.5mm以下の粒径まで粉砕し、110℃で24時間乾燥した。得られた低縮合物の水分量は3000ppm、極限粘度[η]は0.14dl/gであった。
結晶核剤(C)として、以下の化合物を使用した。
結晶核剤(C-1):ADEKA社製の有機リン酸エステル金属塩である「アデカスタブNA-11」(2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-6-(ソジオオキシ)-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン6-オキシド)
充填材(D)として、以下のガラス繊維を使用した。
ガラス繊維(D-1):日本電気硝子社製の「ECS03T-249N」(重量平均径:17μm、重量平均繊維長:3mm)
ガラス繊維(d-2):日本電気硝子社製の「ECS03T-249」(重量平均径:13μm、重量平均繊維長:3mm)
ガラス繊維(d-3):日本電気硝子社製の「ECS03T-249H」(重量平均径:10μm、重量平均繊維長:3mm)
扁平ガラス繊維(d-4):日東紡社製の「CSG3PA810」(重量平均径(短径):7μm、長径28μm、重量平均繊維長3mm)
各重量平均径は、充填材(D)の最小幅を径と定義し、下記方法に基づいて求めた。
充填材(D)を水に分散させ、光学顕微鏡(倍率:50倍)で任意の300個について、それぞれの径(Di)を計測した。径がDiである充填材(D)の個数をriとし、以下の式に基づいて重量平均径(Dw)を算出した。
重量平均径(Dw)=(Σri×Di2)/(Σri×Di)
重量平均繊維長=(Σqi×Li2)/(Σqi×Li)
表1に示される量の、半芳香族ポリアミド樹脂(A)、半芳香族ポリアミド樹脂(B)、結晶核剤(C)、および充填材(D)を、タンブラーブレンダーを用いて混合し、二軸押出機(日本製鋼所社製TEX30α)にて、シリンダー温度をポリアミド樹脂(A)の融点(Tm)+15℃に設定し、原料を溶融混錬した。溶融混練物をストランド状に押出し、水槽で冷却した。その後、ペレタイザーでストランドを引き取り、カットしてペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
組成を表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物について、ヘイズ、変形評価を以下のように評価した。なお、各樹脂組成物中における充填材(D)の平均繊維長も以下の方法で確認した。
ヘイズは、村上色彩技術研究所社製のHaze meter HM-150を用い、JIS K7361に準拠して、厚さ0.7mmの試験片について測定した。なお、各ポリアミド樹脂組成物を以下の条件で射出成形し、得られた厚さ0.7mmの角板(30mm×30mm)を試験片とした。得られた試験片は、150℃で2hのアニール処理を施した後に、測定に供した。ヘイズは低い程、視認性が高く好ましい。
(射出成形条件)
射出成形機:住友重機械工業社製 SE50-DU
シリンダー温度:半芳香族ポリアミド樹脂(A)の融点(Tm)+10℃
金型温度:120℃
冷却時間;10秒
ヘイズ測定用の試験片と同様の射出成形条件で、厚さ0.7mmの角板(30mm×30mm)を成形した。成形品の突き出し後、角板の1つの角を平面に固定し、その対角が最も浮き上がる時の高さを変形量として、下記の通り評価した。なお、△評価以上が実用上問題ないレベルである。
○:0.5mm未満
△:0.5mm以上1.0mm未満
×:1.0mm以上、または金型から離型不可
ポリアミド樹脂組成物中の充填材(D)の平均(繊維)長は、以下の方法で測定した。
1)ポリアミド樹脂組成物のペレットまたは成形品を、ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解させた。その後、濾過して得られる濾過物を採取した。
2)前記1)で得られた濾過物を水に分散させ、光学顕微鏡(倍率:50倍)で任意の300個について、それぞれの(繊維)長さ(Li)を計測した。(繊維)長さがLiである充填材(D)の個数をqiとし、以下の式に基づいて重量平均長さ(Lw)を算出した。
重量平均長さ(Lw)=(Σqi×Li2)/(Σqi×Li)
上記表1に示されるように、半芳香族ポリアミド樹脂(A)のみからなる比較例1では、ヘイズが低かったものの、変形が生じやすかった。また、半芳香族ポリアミド樹脂(A)とともに、半芳香族ポリアミド樹脂(B)を含んだとしても、充填材(D)を含まない場合には、いずれも変形しやすかった(比較例2および比較例3)。また、充填材(D)の重量平均径が15μm未満である場合には、樹脂組成物の成形品の変形は抑制できたが、ヘイズが高かった(比較例4~6)。これらの比較例では、半芳香族ポリアミド樹脂(A)等と充填材(D)との界面の面積が大きく、ヘイズが高かったと推察される。
Claims (13)
- 示差走査熱量計で測定した融点が290℃以上340℃以下である半芳香族ポリアミド樹脂(A)45~99.8質量部と、
示差走査熱量計で測定した、昇温過程(昇温速度:10℃/min)における融解熱量が0J/g以上5J/g以下である半芳香族ポリアミド樹脂(B)0~54.8質量部と、
有機リン酸エステルの金属塩である結晶核剤(C)0~1.5質量部と、
充填材(D)0.2~5質量部と、
を含み(ただし、前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)、前記半芳香族ポリアミド樹脂(B)、前記結晶核剤(C)、および前記充填材(D)の合計は100質量部である)、
前記充填材(D)の最小幅を径Diとしたとき、下記式で求められる重量平均径が、15~50μmであり、
前記充填材(D)がガラス繊維であり、
前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)、前記半芳香族ポリアミド樹脂(B)、前記結晶核剤(C)、および前記充填材(D)の合計含有量が99質量%以上である、
ポリアミド樹脂組成物。
重量平均径=(Σri×Di2)/(Σri×Di)
(上記式において、riは、径がDiである充填材(D)の個数を表す。) - 前記充填材(D)の下記式で求められる重量平均繊維長さが、1μm~20mmである、
請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
重量平均繊維長さ=(Σqi×Li2)/(Σqi×Li)
(上記式において、Liは前記充填材(D)の繊維長さを表し、qiは、繊維長さがLiである充填材(D)の個数を表す。) - 前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)が、ジカルボン酸成分単位(a1)およびジアミン成分単位(a2)を含み、
前記ジカルボン酸成分単位(a1)が、テレフタル酸成分単位を20~100モル%、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位を0~80モル%、炭素原子数4~20の脂肪族ジカルボン酸成分単位を0~60モル%含み、
前記ジアミン成分単位(a2)が、炭素原子数4~20の脂肪族ジアミン成分単位を含む、
請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)の前記ジカルボン酸成分単位(a1)が、テレフタル酸成分単位を40~80モル%、アジピン酸成分単位を20~60モル%含む、
請求項3に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)の前記ジカルボン酸成分単位(a1)が、イソフタル酸成分単位を含む、
請求項3に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)の前記ジカルボン酸成分単位(a1)が、テレフタル酸成分単位を55~80モル%、イソフタル酸成分単位を20~45モル%含む、
請求項5に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)の前記ジアミン成分単位(a2)が、炭素原子数4~20の直鎖状アルキレンジアミン成分単位を含む、
請求項3~6のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)の前記ジアミン成分単位(a2)が、1,6-ジアミノヘキサン成分単位を80~100モル%含む、
請求項7に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記半芳香族ポリアミド樹脂(A)の前記ジアミン成分単位(a2)が、1,6-ジアミノヘキサン成分単位および2-メチル-1,5-ジアミノペンタン成分単位を含む、
請求項7または8に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記半芳香族ポリアミド樹脂(B)が、ジカルボン酸成分単位(b1)およびジアミン成分単位(b2)を含み、
前記ジカルボン酸成分単位(b1)がイソフタル酸成分単位を含み、
前記ジアミン成分単位(b2)が炭素原子数4~15の脂肪族ジアミン成分単位を含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記半芳香族ポリアミド樹脂(B)の前記ジカルボン酸成分単位(b1)が、イソフタル酸成分単位を55~100モル%、テレフタル酸成分単位を0~45モル%含む、
請求項10に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 前記結晶核剤(C)が、環状リン酸エステルの金属塩である、
請求項1~11のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。 - 請求項1~12のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
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