以下に、本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態の1つを図1から図16に基づいて説明する。
図1から図3の符号1は、本実施形態のノイズフィルタを示す。このノイズフィルタ1は、2本の電線(第1接続電線WE1、第2接続電線WE2)の中間部分同士をフィルタ回路で繋いだノイズ低減装置であり、2本の電線の内の一方を接地させ、その内の他方に乗った電気的なノイズ成分をフィルタ回路のノイズ低減素子で低減させる。その2本の電線は、例えば、車両のワイヤハーネスWHの幹線WTが備える複数本の電線の内の2本であって、一方の電線がアース線として接地され、他方の電線が電源線として利用される。その電源線には、例えば、車両のデフォッガやハイマウントストップランプ等の負荷が電気的に接続されている。ノイズフィルタ1は、その2本の電線に接続することによって、ワイヤハーネスWHの構成要素の1つとなる。以下に例示するワイヤハーネスWHにおいては、第1接続電線WE1を電源線として利用し、第2接続電線WE2をアース線として利用する。第1接続電線WE1は、一方の端部が電源(例えば、車両の二次電池)に対して電気的に接続され、他方の端部が負荷に対して電気的に接続されている。また、第2接続電線WE2は、一方の端部が接地されている。第1接続電線WE1と第2接続電線WE2は、各々、導電性の芯線WEaと、この芯線WEaの外周面を覆う絶縁性の被覆WEbと、を備える。
ノイズフィルタ1は、第1接続電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分と第2接続電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分との間に介在させ、それぞれの芯線WEaに対して電気的に接続させる。以下においては、その第1接続電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa1」と称し、かつ、第2接続電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa2」と称する。また、以下においては、その第1接続電線WE1の芯線WEaの中間接続部WEa1のことを「第1接続電線WE1の中間接続部WEa1」と簡略化し、かつ、その第2接続電線WE2の芯線WEaの中間接続部WEa2のことを「第2接続電線WE2の中間接続部WEa2」と簡略化する。このノイズフィルタ1は、例えば、第1接続電線WE1に乗った電気的なノイズ成分を低減させる。
このノイズフィルタ1は、ノイズ成分を低減させるフィルタ回路10と、このフィルタ回路10と共に第1接続電線WE1の中間接続部WEa1及び第2接続電線WE2の中間接続部WEa2が収容される筐体20と、備える(図1から図3)。このノイズフィルタ1においては、その筐体20の収容室20aに並列配置状態で第1接続電線WE1の中間接続部WEa1と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2とを収容して、その収容室20aの中で第1接続電線WE1と第2接続電線WE2とを併走させる(図1)。その第1接続電線WE1と第2接続電線WE2については、それぞれの両端側が筐体20の外方に引き出される。
ノイズフィルタ1は、フィルタ回路10の構成要素の1つとして、ノイズ成分を低減させる少なくとも1つのノイズ低減素子11を備える(図1から図4)。このノイズ低減素子11は、ノイズフィルタ1の回路構成でノイズの低減を図り得るものであれば、如何様なものを用いてもよい。例えば、ノイズ低減素子11としては、コンデンサやコイル等が考えられる。
このノイズ低減素子11は、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2との間に配置され、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に対して電気的に接続させる。このノイズ低減素子11は、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1に対して電気接続させる第1接続部11aと、第2接続電線WE2の中間接続部WEa2に対して電気接続させる第2接続部11bと、を有する(図4)。このノイズ低減素子11においては、第1接続部11aが一方の端部に露出状態で設けられ、第2接続部11bが他方の端部に露出状態で設けられる。例えば、このノイズ低減素子11は、外形が方体状に形成されており、対向配置状態の2つの壁部の内の一方に第1接続部11aが設けられ、かつ、その内の他方に第2接続部11bが設けられている。この例示のノイズフィルタ1では、そのノイズ低減素子11として2つのコンデンサを備えており、この2つのコンデンサでノイズの低減を図ることができるように構成している(図1から図4)。
更に、このノイズフィルタ1は、フィルタ回路10の構成要素の1つとして、ノイズ低減素子11の第1接続部11aと第1接続電線WE1の中間接続部WEa1との間に介在させ、その第1接続部11aと中間接続部WEa1とを間接的に電気接続させる導電性の第1接続部材(以下、「第1回路接続部材」という。)12を備える(図1から図4)。また、このノイズフィルタ1は、フィルタ回路10の構成要素の1つとして、ノイズ低減素子11の第2接続部11bと第2接続電線WE2の中間接続部WEa2との間に介在させ、その第2接続部11bと中間接続部WEa2とを間接的に電気接続させる導電性の第2接続部材(以下、「第2回路接続部材」という。)13を備える(図1から図4)。その第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、各々、金属等の導電性材料で成形された導電部材である。
この例示の第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、各々、金属板を母材にして同形状に成形されている。ここでは、その第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とに各々弾性を持たせている。
第1回路接続部材12は、2つの片部を有するが如くU字状に折り曲げられた弾性部12aと、その弾性部12aの一方の片部における自由端から突出させた接点部12bと、を有する(図4)。このノイズフィルタ1においては、その接点部12bに対して第1接続電線WE1の中間接続部WEa1を間接的又は直接的に電気接続させる。この第1回路接続部材12は、弾性部12aの折り曲げ点が起点となる撓みを可能にするものであり、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1から接点部12bに対して間接的又は直接的に作用させた外力によって、この接点部12bを弾性部12aの一方の片部と共に撓ませることができる。
この例示の第1接続電線WE1においては、中間接続部WEa1に対して、導電性の端子金具30が物理的且つ電気的に接続されている(図1から図3)。その端子金具30は、金属等の導電性材料で成形された導電部材である。例えば、この端子金具30は、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1に対して巻き付けながら加締められていく矩形の金属板であり、加締め圧着後に筒状を成して中間接続部WEa1に対して物理的且つ電気的に接続される。第1回路接続部材12は、この端子金具30を接点部12bに接触させることによって、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的に電気接続される。
ここで、第1接続電線WE1は、丸導体等の単線を芯線WEaとして備えるものであるならば、中間接続部WEa1に端子金具30を設けずともよい。また、第1接続電線WE1は、複数本の素線の集合体を芯線WEaとして備えるものであるならば、中間接続部WEa1における複数本の素線を熱圧着等で溶着して一纏めに固着させることによって、その中間接続部WEa1に端子金具30を設けずともよい。これらの場合、第1回路接続部材12は、その第1接続電線WE1の中間接続部WEa1を接点部12bに接触させることによって、この中間接続部WEa1に対して直接的に電気接続される。
第2回路接続部材13は、第1回路接続部材12と同様の弾性部13aと接点部13bとを有する(図4)。このノイズフィルタ1においては、その接点部13bに対して第2接続電線WE2の中間接続部WEa2を間接的又は直接的に電気接続させる。この第2回路接続部材13は、第2接続電線WE2の中間接続部WEa2から接点部13bに対して間接的又は直接的に作用させた外力によって、この接点部13bを弾性部13aの一方の片部と共に撓ませることができる。
この例示の第2接続電線WE2においては、中間接続部WEa2に対して、第1接続電線WE1と同様の端子金具30が物理的且つ電気的に接続されている(図1から図3)。第2回路接続部材13は、この端子金具30を接点部13bに接触させることによって、第2接続電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的に電気接続される。
ここで、第2接続電線WE2は、丸導体等の単線を芯線WEaとして備えるものであったり、中間接続部WEa2における複数本の素線が熱圧着等で溶着して一纏めに固着されたものであったりするならば、中間接続部WEa2に端子金具30を設けずともよい。これらの場合、第2回路接続部材13は、その第2接続電線WE2の中間接続部WEa2を接点部13bに接触させることによって、この中間接続部WEa2に対して直接的に電気接続される。
また更に、このノイズフィルタ1は、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とが実装される回路基板14を備える(図1から図4)。この例示では、矩形の平板状に回路基板14を形成している。この回路基板14は、一方の平面を部品面14aとし、その部品面14aにノイズ低減素子11と第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とを実装させる。
この回路基板14は、第1回路接続部材12をノイズ低減素子11の第1接続部11aに電気接続させ、かつ、第2回路接続部材13をノイズ低減素子11の第2接続部11bに電気接続させる導電性の回路パターン(図示略)を有する。その回路パターンは、第1回路接続部材12の回路接続部12c(図4)とノイズ低減素子11の第1接続部11aとの間に介在させる第1導電部と、第2回路接続部材13の回路接続部13c(図4)とノイズ低減素子11の第2接続部11bとの間に介在させる第2導電部と、を有している。第1導電部は、回路接続部12cを介して第1回路接続部材12を第1接続部11aに電気接続させる。第2導電部は、回路接続部13cを介して第2回路接続部材13を第2接続部11bに電気接続させる。ここで、第1回路接続部材12においては、弾性部12aの他方の片部を回路接続部12cとして利用している。また、第2回路接続部材13においては、弾性部13aの他方の片部を回路接続部13cとして利用している。
筐体20は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。この筐体20の収容室20aには、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とが部品面14aに実装された回路基板14(つまり、フィルタ回路10)と、第1接続電線WE1と、第2接続電線WE2と、が収容される。
この例示の筐体20は、収容室20aを有し、かつ、フィルタ回路10、第1接続電線WE1及び第2接続電線WE2を収容室20aに挿入させる部品挿入口20bを有する箱部材21と、その部品挿入口20bを塞ぐ蓋部材22と、を備える(図1及び図3)。
箱部材21は、底壁と外周壁とを有し、これらで囲まれた空間が収容室20aとして利用され、その収容室20aの開口が部品挿入口20bとして利用される。この例示の箱部材21は、矩形且つ平板状の底壁21aと、この底壁21aの4つの辺部から各々立設させた第1から第4の外周壁21b-21eと、を有する(図2、図3及び図5から図8)。この箱部材21においては、第1から第4の外周壁21b-21eについても、各々、矩形且つ平板状に形成されている。
回路基板14は、部品面14aを部品挿入口20bに向けて底壁21aに載せ置かれる。収容室20aにおいては、回路基板14の4つの辺部の内の1つである第1周縁部14bを第1外周壁21bの内壁面に対して間隔を空けて対向配置させる(図8)。また、この収容室20aにおいては、回路基板14の4つの辺部の内の1つである第2周縁部14cを第2外周壁21cの内壁面に対して間隔を空けて対向配置させる(図8)。また、この収容室20aにおいては、回路基板14の4つの辺部の内の1つである第3周縁部14dを第3外周壁21dの内壁面に対して間隔を空けて対向配置させる(図8)。また、この収容室20aにおいては、回路基板14の4つの辺部の内の1つである第4周縁部14eを第4外周壁21eの内壁面に対して間隔を空けて対向配置させる(図8)。
第1接続電線WE1の中間接続部WEa1と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2は、その回路基板14上の第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とに各々載せ置かれる。この例示の箱部材21においては、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1よりも一端側を収容室20aの中から外方に引き出させる第1引出部21b1が第1外周壁21bに形成され、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1よりも他端側を収容室20aの中から外方に引き出させる第2引出部21d1が第3外周壁21dに形成されている(図2、図3及び図5から図8)。また、この例示の箱部材21においては、第2接続電線WE2の中間接続部WEa2よりも一端側を収容室20aの中から外方に引き出させる第3引出部21b2が第1外周壁21bに形成され、第2接続電線WE2の中間接続部WEa2よりも他端側を収容室20aの中から外方に引き出させる第4引出部21d2が第3外周壁21dに形成されている(図2、図3及び図5から図8)。
蓋部材22は、閉塞壁と外周壁とを有し、その閉塞壁で部品挿入口20bを塞ぐ。この例示の蓋部材22は、矩形且つ平板状の閉塞壁22aと、この閉塞壁22aの4つの辺部から各々立設させた第1から第4の外周壁22b-22eと、を有する(図2及び図3)。この蓋部材22においては、第1から第4の外周壁22b-22eについても、各々、矩形且つ平板状に形成されている。
この例示の蓋部材22は、箱部材21に組み付けた際に、第1外周壁22bを箱部材21の第1外周壁21bの外壁面に対向配置させ、かつ、第2外周壁22cを箱部材21の第2外周壁21cの外壁面に対向配置させ、かつ、第3外周壁22dを箱部材21の第3外周壁21dの外壁面に対向配置させ、かつ、第4外周壁22eを箱部材21の第4外周壁21eの外壁面に対向配置させる。よって、第1外周壁22bには、組付け状態で第1引出部21b1に対向配置させる第1引出部22b1と、組付け状態で第3引出部21b2に対向配置させる第3引出部22b2とが形成されている(図2)。また、第3外周壁22dには、組付け状態で第2引出部21d1に対向配置させる第2引出部22d1と、組付け状態で第4引出部21d2に対向配置させる第4引出部22d2とが形成されている(図2)。
この筐体20においては、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1を第1回路接続部材12に電気接続させた上で、第1接続電線WE1の一端側を第1引出部21b1と第1引出部22b1から外方に引き出させ、第1接続電線WE1の他端側を第2引出部21d1と第2引出部22d1から外方に引き出させることによって、その第1接続電線WE1を第1配索経路に沿って配策させることが可能になる。また、この筐体20においては、第2接続電線WE2の中間接続部WEa2を第2回路接続部材13に電気接続させた上で、第2接続電線WE2の一端側を第3引出部21b2と第3引出部22b2から外方に引き出させ、第2接続電線WE2の他端側を第4引出部21d2と第4引出部22d2から外方に引き出させることによって、その第2接続電線WE2を第2配索経路に沿って配策させることが可能になる。この筐体20においては、第1接続電線WE1を第1配索経路に沿って配策させ、かつ、第2接続電線WE2を第2配索経路に沿って配策させることによって、その第1接続電線WE1と第2接続電線WE2とが併走状態で収容室20aに収容される。
この筐体20は、図示しないが、箱部材21と蓋部材22とを組付け完了状態で保持する保持構造を備える。この保持構造は、例えば、箱部材21と蓋部材22の内の一方に設けた突起部と、この突起部を嵌入させる貫通孔状又は溝状の嵌入部と、を備える。
このノイズフィルタ1において、第1接続電線WE1及び第2接続電線WE2としては、各々、芯線WEa及び被覆WEbで円柱を成す電線であり、小径電線又は小径電線よりも外径の大きい大径電線が用いられる。小径電線及び大径電線とは、それぞれでフィルタ回路10と筐体20の共用化を可能にする外径差の電線のことであり、例えば、小径電線を基準径の電線と定義するならば、その小径電線よりも外径が規格上で1サイズ大きい電線、その小径電線よりも外径が一回り大きい電線等を大径電線と定める。
このノイズフィルタ1においては、箱部材21と蓋部材22とを組み付けることによって、部品面14aに向けた押圧力を閉塞壁22aからそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2側に作用させる。これに伴い、このノイズフィルタ1においては、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2側が各々接点部12b,13bに接触したまま第1回路接続部材12と第2回路接続部材13を撓ませ、その撓みに応じた反力をそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2側に作用させる。よって、このノイズフィルタ1においては、閉塞壁22aと第1回路接続部材12とで第1接続電線WE1の中間接続部WEa1側が挟持され、かつ、閉塞壁22aと第2回路接続部材13とで第2接続電線WE2の中間接続部WEa2側が挟持されて、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2が収容室20aで保持される。フィルタ回路10と筐体20は、第1接続電線WE1及び第2接続電線WE2として小径電線が用いられようとも、第1接続電線WE1及び第2接続電線WE2として大径電線が用いられようとも、そのような収容室20aでのそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2の保持が行えるように形成する。この例示では、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1が端子金具30を介して収容室20aで保持され、第2接続電線WE2の中間接続部WEa2が端子金具30を介して収容室20aで保持されている。
ここで、このノイズフィルタ1においては、閉塞壁22aからそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2側に押圧力を作用させ難い場合、例えば、中間接続部WEa1に押圧力を作用させるための押圧部(図示略)と、中間接続部WEa2に押圧力を作用させるための押圧部(図示略)と、を閉塞壁22aに突出状態で設ければよい。
ところで、ノイズフィルタ1には、車両の振動や加減速等に伴う外部入力が作用する。このため、このノイズフィルタ1においては、第1回路接続部材12と第1接続電線WE1の中間接続部WEa1との間を所期の通電状態に保つべく、第1回路接続部材12と閉塞壁22a(又は閉塞壁22aの押圧部)とによる中間接続部WEa1に対する保持力の低下を抑えることが望まれる。これと同じように、このノイズフィルタ1においては、第2回路接続部材13と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2との間を所期の通電状態に保つべく、第2回路接続部材13と閉塞壁22a(又は閉塞壁22aの押圧部)とによる中間接続部WEa2に対する保持力の低下を抑えることが望まれる。
そのような保持力の低下は、第1回路接続部材12と第1接続電線WE1の中間接続部WEa1との間の相対的な位置ずれと、第2回路接続部材13と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2との間の相対的な位置ずれと、によって生じる。本実施形態のノイズフィルタ1においては、これらの位置ずれを抑えるべく、フィルタ回路10と筐体20の相対的な位置ずれを抑制させると共に、筐体20と第1接続電線WE1の相対的な位置ずれ及び筐体20と第2接続電線WE2の相対的な位置ずれを抑制させる。
先ず、本実施形態のノイズフィルタ1は、フィルタ回路10と筐体20の相対的な位置ずれを抑えるべく、部品面14aに沿い且つ互いに直交する2方向で収容室20a内の回路基板14を弾性保持する弾性保持構造40を備える(図1から図3及び図5から図10)。
その弾性保持構造40は、部品面14aに沿う第1方向の弾発力を収容室20aの中で回路基板14に付与させると共に、部品面14aに沿い且つ第1方向に直交する第2方向の弾発力を収容室20aの中で回路基板14に付与させて、その第1方向及び第2方向で回路基板14を弾性保持するものとして構成する。これにより、この弾性保持構造40は、収容室20aの中で筐体20に対するフィルタ回路10のがたつきを抑え、フィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。この弾性保持構造40は、筐体20に設ける。
例えば、弾性保持構造40は、第1方向の弾発力を発生させる第1弾性部41と、第2方向の弾発力を発生させる第2弾性部42と、第1方向の弾発力が付与された回路基板14に対して第1方向とは逆向きの第3方向の弾発力を付与する第3弾性部43と、第2方向の弾発力が付与された回路基板14に対して第2方向とは逆向きの第4方向の弾発力を付与する第4弾性部44と、を備える(図2及び図7から図10)。
第1弾性部41は、箱部材21の第1外周壁21bと回路基板14の第1周縁部14bとの間に介在させる。第2弾性部42は、箱部材21の第2外周壁21cと回路基板14の第2周縁部14cとの間に介在させる。第3弾性部43は、箱部材21の第3外周壁21dと回路基板14の第3周縁部14dとの間に介在させる。第4弾性部44は、箱部材21の第4外周壁21eと回路基板14の第4周縁部14eとの間に介在させる。
この弾性保持構造40においては、回路基板14が収容室20aに収容された際に、その回路基板14の第1周縁部14bに押動されて第1弾性部41を弾性変形させつつ、その回路基板14の第3周縁部14dに押動されて第3弾性部43を弾性変形させるものとして、その第1弾性部41と第3弾性部43を形成し且つ配置する(図9)。これにより、この弾性保持構造40においては、第1弾性部41が第1方向の弾発力を回路基板14の第1周縁部14bに付与し、かつ、第3弾性部43が第3方向の弾発力を回路基板14の第3周縁部14dに付与する。つまり、この弾性保持構造40は、その第1弾性部41と第3弾性部43が回路基板14を第1周縁部14b側と第3周縁部14d側から弾性変形しながら挟み込むので、その回路基板14の筐体20に対する第1方向(第3方向)のがたつきを抑え、その第1方向(第3方向)でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。
更に、この弾性保持構造40においては、回路基板14が収容室20aに収容された際に、その回路基板14の第2周縁部14cに押動されて第2弾性部42を弾性変形させつつ、その回路基板14の第4周縁部14eに押動されて第4弾性部44を弾性変形させるものとして、その第2弾性部42と第4弾性部44を形成し且つ配置する(図10)。これにより、この弾性保持構造40においては、第2弾性部42が第2方向の弾発力を回路基板14の第2周縁部14cに付与し、かつ、第4弾性部44が第4方向の弾発力を回路基板14の第4周縁部14eに付与する。つまり、この弾性保持構造40は、その第2弾性部42と第4弾性部44が回路基板14を第2周縁部14c側と第4周縁部14e側から弾性変形しながら挟み込むので、その回路基板14の筐体20に対する第2方向(第4方向)のがたつきを抑え、その第2方向(第4方向)でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。
この例示では、その第1弾性部41と第2弾性部42と第3弾性部43と第4弾性部44を筐体20との一体成形品として設けている(図9及び図10)。ここでは、第1弾性部41と第2弾性部42と第3弾性部43と第4弾性部44を箱部材21に設けている。第1弾性部41は、箱部材21の第1外周壁21bの内壁面に突出状態で設けている(図9)。この第1弾性部41は、第1外周壁21bの内壁面から第3外周壁21dの内壁面に向けて突出させ、かつ、底壁21aに向けて屈曲させている。第2弾性部42は、箱部材21の第2外周壁21cの内壁面に突出状態で設けている(図10)。この第2弾性部42は、第2外周壁21cの内壁面から第4外周壁21eの内壁面に向けて突出させ、かつ、底壁21aに向けて屈曲させている。第3弾性部43は、箱部材21の第3外周壁21dの内壁面に突出状態で設けている(図9)。この第3弾性部43は、第3外周壁21dの内壁面から第1外周壁21bの内壁面に向けて突出させ、かつ、底壁21aに向けて屈曲させている。第4弾性部44は、箱部材21の第4外周壁21eの内壁面に突出状態で設けている(図10)。この第4弾性部44は、第4外周壁21eの内壁面から第2外周壁21cの内壁面に向けて突出させ、かつ、底壁21aに向けて屈曲させている。ここで例示している箱部材21は、例えば、所謂3Dプリンタ等を用いて成形される。
続いて、本実施形態のノイズフィルタ1は、筐体20と第1接続電線WE1の相対的な位置ずれ及び筐体20と第2接続電線WE2の相対的な位置ずれを抑えるべく、筐体20の第1配索経路上における第1回路接続部材12の接点部12bに対する一方側と他方側とに各々設け、かつ、筐体20の第2配索経路上における第2回路接続部材13の接点部13bに対する一方側と他方側とに各々設けた電線保持構造50を備える(図1から図3、図5から図8及び図10から図12)。
第1配索経路上のそれぞれの電線保持構造50は、第1接続電線WE1として小径電線が用いられた場合でも、第1接続電線WE1として大径電線が用いられた場合でも、その小径電線と大径電線の内の何れか一方を保持し得るものとして構成する。また、第2配索経路上のそれぞれの電線保持構造50は、第2接続電線WE2として小径電線が用いられた場合でも、第2接続電線WE2として大径電線が用いられた場合でも、その小径電線と大径電線の内の何れか一方を保持し得るものとして構成する。
本実施形態の電線保持構造50は、互いに間隔を空けて対向配置され、小径電線と大径電線の内の何れか一方を保持することが可能な可撓性を持つ2つの突起部51を備える(図2、図7、図8及び図10から図12)。その2つの突起部51は、自らの撓みに伴い小径電線の最大外径部を乗り越えさせることが可能で、かつ、その乗り越え後の撓みの解消に伴い小径電線を挟持することが可能で、かつ、自らが最大限撓んでも大径電線の最大外径部を乗り越えさせることが不能で、かつ、大径電線を挟持することが可能な形状及び間隔のものとして設ける。つまり、この2つの突起部51は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として小径電線が用いられる場合、その小径電線で弾性変形させられながら、この小径電線の最大外径部を乗り越えさせ、その乗り越え後に撓みが解消させられることによって、小径電線を挟持させるように形成及び配置されている。更に、この2つの突起部51は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として大径電線が用いられる場合、その大径電線で最大限弾性変形させられたとしても、この大径電線の最大外径部を乗り越えさせないが、この大径電線を挟持させることができるように形成及び配置されている。
ここで示す電線保持構造50は、小径電線と大径電線の内の何れか一方の収容が可能な電線収容部52を備える(図1から図3、図5から図8及び図10から図12)。その電線収容部52は、小径電線と大径電線の内の何れか一方を挿入させることが可能な電線挿入口52aと、円弧状に形成された弧状面52bと、弧状面52bの一端から電線挿入口52aまで延出させた第1側壁面52cと、弧状面52bの他端から電線挿入口52aまで延出させ、第1側壁面52cに対して間隔を空けて対向配置された第2側壁面52dと、を有している(図11及び図12)。この電線保持構造50において、2つの突起部51は、その内の一方を第1側壁面52cに設け、その内の他方を第2側壁面52dに設ける。
具体的に、それぞれの電線保持構造50は、箱部材21と蓋部材22の内の何れか一方に設ける。この例示では、それぞれの電線保持構造50を箱部材21に設けている。ここで示すそれぞれの電線保持構造50は、各々、第1引出部21b1と第2引出部21d1と第3引出部21b2と第4引出部21d2を電線収容部52として利用する(図2、図3及び図5から図8)。つまり、ここでは、第1外周壁21bと第3外周壁21dに2箇所ずつ電線保持構造50が設けられている。第1配索経路上では、第1引出部21b1の周壁面に2つの突起部51が設けられ、かつ、第2引出部21d1の周壁面に2つの突起部51が設けられている。また、第2配索経路上では、第3引出部21b2の周壁面に2つの突起部51が設けられ、かつ、第4引出部21d2の周壁面に2つの突起部51が設けられている。それぞれの電線保持構造50は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2を被覆WEb側から2つの突起部51で挟み込んで保持させる。
本実施形態のノイズフィルタ1は、第1接続電線WE1と第2接続電線WE2の双方に小径電線WESを用いてもよく(図1から図3及び図12)、第1接続電線WE1と第2接続電線WE2の双方に大径電線WELを用いてもよい(図13から図16)。また、本実施形態のノイズフィルタ1は、第1接続電線WE1と第2接続電線WE2の内の一方に小径電線WESを用い、その内の他方に大径電線WELを用いてもよい。
それぞれの電線保持構造50においては、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として小径電線WESが用いられる場合、2つの突起部51を乗り越えさせるべく、電線挿入口52aから挿入された小径電線WESに力を加える。これにより、それぞれの電線保持構造50においては、その小径電線WESが2つの突起部51を弾性変形させながら乗り越えて、その乗り越えた先の弧状面52bと弾性変形が解消された2つの突起部51とで挟み込まれる(図1、図2及び図12)。よって、それぞれの電線保持構造50は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として用いられた小径電線WESを筐体20に保持させることができる。
一方、それぞれの電線保持構造50においては、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として大径電線WELが用いられる場合、電線挿入口52aから挿入された大径電線WELを2つの突起部51に押し付けながら、その2つの突起部51を弾性変形させる。これに伴い、それぞれの電線保持構造50においては、その2つの突起部51における撓みの解消方向の力を大径電線WELに作用させ、その大径電線WELを2つの突起部51に挟持させる(図13、図14及び図16)。従って、それぞれの電線保持構造50は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として用いられた大径電線WELを筐体20に保持させることができる。
また、それぞれの電線保持構造50においては、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として大径電線WELが用いられる場合、例えば、電線挿入口52aから挿入された大径電線WELを2つの突起部51に載せ置いてから、この箱部材21に蓋部材22を組み付ける(図13から図16)。ここで、その蓋部材22において、第1引出部22b1と第2引出部22d1と第3引出部22b2と第4引出部22d2は、各々、小径電線と大径電線の内の何れか一方を挿入させることが可能な電線挿入口22b11、22d11、22b21、22d21と、円弧状に形成された弧状面22b12、22d12、22b22、22d22と、弧状面22b12、22d12、22b22、22d22の一端から電線挿入口22b11、22d11、22b21、22d21まで延出させた第1側壁面22b13、22d13、22b23、22d23と、弧状面22b12、22d12、22b22、22d22の他端から電線挿入口22b11、22d11、22b21、22d21まで延出させ、第1側壁面22b13、22d13、22b23、22d23に対して間隔を空けて対向配置された第2側壁面22b14、22d14、22b24、22d24と、を有している(図15)。例えば、このノイズフィルタ1においては、箱部材21に蓋部材22を組み付けることによって、その蓋部材22の弧状面22b12、22d12、22b22、22d22に大径電線WELを押動させながら、その大径電線WELからの押付力によって2つの突起部51を弾性変形させる。よって、それぞれの電線保持構造50においては、その弧状面22b12、22d12、22b22、22d22と2つの突起部51とで大径電線WELが挟み込まれる(図13、図14及び図16)。従って、それぞれの電線保持構造50は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として用いられた大径電線WELを筐体20に保持させることができる。
以上示したように、本実施形態のノイズフィルタ1は、弾性保持構造40によって第1方向と第2方向とで回路基板14が弾性保持されるので、その第1方向と第2方向においての筐体20に対するフィルタ回路10のがたつきを抑え、その第1方向と第2方向でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。そして、このノイズフィルタ1は、振動等の外部入力が作用した際に、回路基板14に作用した外部入力を弾性保持構造40で吸収することができる。よって、このノイズフィルタ1は、振動等の外部入力が作用した際にも、第1方向と第2方向においての筐体20に対するフィルタ回路10のがたつきを抑え、その第1方向と第2方向でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。
その具体例では、第1弾性部41と第2弾性部42と第3弾性部43と第4弾性部44とによって第1方向(第3方向)と第2方向(第4方向)とで回路基板14が弾性保持されるので、その第1方向(第3方向)と第2方向(第4方向)においての筐体20に対するフィルタ回路10のがたつきを抑え、その第1方向(第3方向)と第2方向(第4方向)でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれが抑制される。そして、この具体例のノイズフィルタ1は、振動等の外部入力が作用した際に、回路基板14に作用した外部入力を第1弾性部41と第2弾性部42と第3弾性部43と第4弾性部44とで吸収することができる。よって、このノイズフィルタ1は、振動等の外部入力が作用した際にも、第1方向(第3方向)と第2方向(第4方向)においての筐体20に対するフィルタ回路10のがたつきを抑え、その第1方向(第3方向)と第2方向(第4方向)でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。
このように、本実施形態のノイズフィルタ1は、第1方向と第2方向においてのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができるので、その第1方向と第2方向での第1回路接続部材12と第1接続電線WE1の中間接続部WEa1との間の相対的な位置ずれの抑制も可能になり、かつ、その第1方向と第2方向での第2回路接続部材13と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2との間の相対的な位置ずれの抑制も可能になる。従って、このノイズフィルタ1は、弾性保持構造40によって、第1回路接続部材12と中間接続部WEa1との間を所期の通電状態に保ちつつ、第2回路接続部材13と中間接続部WEa2との間を所期の通電状態に保つことができるので、ノイズ低減機能を保ち続けることができる。
更に、本実施形態のノイズフィルタ1は、外径の異なる電線間でフィルタ回路10と筐体20を共用することができる。つまり、本実施形態のノイズフィルタ1は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として小径電線WESが用いられる場合でも、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として大径電線WELが用いられる場合でも、その第1接続電線WE1と第2接続電線WE2をそれぞれの電線保持構造50によって筐体20に保持させることができる。よって、本実施形態のノイズフィルタ1は、フィルタ回路10や筐体20の品番管理が容易なものとなり、かつ、原価の低減を図ることができる。また、このノイズフィルタ1は、それぞれの電線保持構造50による第1接続電線WE1や第2接続電線WE2の保持機能によって、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2が小径電線WESであるのか大径電線WELであるのかに拘わらず、振動等の外部入力が第1接続電線WE1や第2接続電線WE2に作用した際に、筐体20に対する第1接続電線WE1や第2接続電線WE2の電線軸方向への位置ずれを抑えることができる。よって、本実施形態のノイズフィルタ1は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2が小径電線WESであるのか大径電線WELであるのかに拘わらず、電線軸方向での第1回路接続部材12と第1接続電線WE1の中間接続部WEa1との間の相対的な位置ずれの抑制も可能になり、かつ、電線軸方向での第2回路接続部材13と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2との間の相対的な位置ずれの抑制も可能になる。従って、このノイズフィルタ1は、それぞれの電線保持構造50によって、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2が小径電線WESであるのか大径電線WELであるのかに拘わらず、第1回路接続部材12と中間接続部WEa1との間を所期の通電状態に保ちつつ、第2回路接続部材13と中間接続部WEa2との間を所期の通電状態に保つことができるので、ノイズ低減機能を保ち続けることができる。
また更に、本実施形態のノイズフィルタ1は、それぞれの電線保持構造50を次のように構成することによって、ノイズ低減機能の保持性能を向上させることができる。
第1配索経路上の2つの電線保持構造50におけるそれぞれの2つの突起部51は、小径電線WESを保持しているときに、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1側(ここでは、端子金具30)から接点部12bに押圧力を作用させ、その押圧力で第1回路接続部材12を弾性変形させるものとして形成及び配置する。そして、このそれぞれの2つの突起部51は、大径電線WELを保持しているときに、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1側(ここでは、端子金具30)から接点部12bに押圧力を作用させ、その押圧力で第1回路接続部材12を弾性変形させるものとして形成及び配置する。これにより、第1配索経路上では、第1接続電線WE1が小径電線WESであるのか大径電線WELであるのかに拘わらず、この第1接続電線WE1をそれぞれの電線保持構造50で保持させることによって、中間接続部WEa1側を第1回路接続部材12に対して的確に電気接続させることができる。このように、第1配索経路上の2つの電線保持構造50は、第1回路接続部材12と中間接続部WEa1との間の電気接続品質を向上させることができる。また、このノイズフィルタ1は、第2配索経路上の2つの電線保持構造50についても、第1配索経路上の2つの電線保持構造50と同じように構成することによって、第2回路接続部材13と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2との間の電気接続品質を向上させることができる。従って、このノイズフィルタ1は、第1回路接続部材12と中間接続部WEa1との間及び第2回路接続部材13と中間接続部WEa2との間における電線軸方向での位置ずれ抑制機能と相俟って、ノイズ低減機能を効果的に保ち続けることができる。
ここで、本実施形態のノイズフィルタ1は、弾性保持構造40のみでも、それぞれの電線保持構造50のみでも、ノイズ低減機能を保ち続けることができる。しかしながら、ここで示すノイズフィルタ1は、弾性保持構造40とそれぞれの電線保持構造50の双方を具備しているので、その各々が相俟って、第1回路接続部材12と第1接続電線WE1の中間接続部WEa1との間の相対的な位置ずれや第2回路接続部材13と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2との間の相対的な位置ずれをより効果的に抑えることができる。従って、ここで示すノイズフィルタ1は、第1回路接続部材12と中間接続部WEa1との間をより好ましい所期の通電状態に保ちつつ、第2回路接続部材13と中間接続部WEa2との間をより好ましい所期の通電状態に保つことができるので、ノイズ低減機能を効果的に保ち続けることができる。
特に、このノイズフィルタ1においては、第1回路接続部材12の弾性変形に伴う第1回路接続部材12と閉塞壁22aとの間での中間接続部WEa1に対する弾性保持力の低下を抑えつつ、第2回路接続部材13の弾性変形に伴う第2回路接続部材13と閉塞壁22aとの間での中間接続部WEa2に対する弾性保持力の低下を抑えることができる。従って、このノイズフィルタ1は、この点からも、より効果的にノイズ低減機能を保ち続けることができる。
また、本実施形態のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ1を具備するものであり、このノイズフィルタ1が得られる効果を奏することができる。
ところで、それぞれの電線保持構造50は、蓋部材22に設ける場合、各々、その蓋部材22の第1引出部22b1と第2引出部22d1と第3引出部22b2と第4引出部22d2を電線収容部52として利用すればよい。本実施形態のノイズフィルタ1及びワイヤハーネスWHは、このようにそれぞれの電線保持構造50を蓋部材22に設けたとしても、それぞれの電線保持構造50を箱部材21に設けた先の例示と同様の効果を得ることができる。
[変形例]
図17から図19の符号2は、本変形例のノイズフィルタを示す。このノイズフィルタ2は、前述した実施形態のノイズフィルタ1において以下の点を変更したものである。そこで、以下の説明においては、実施形態のノイズフィルタ1と同じ部品や同等の機能を為す部位等について、便宜上、そのノイズフィルタ1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
このノイズフィルタ2は、実施形態のノイズフィルタ1において、筐体20を下記の筐体120に置き換え、かつ、それぞれの電線保持構造50を各々下記の電線保持構造150に置き換えたものである(図17及び図19)。
本変形例の筐体120は、実施形態の筐体20において、箱部材21を下記の箱部材121に置き換え、かつ、蓋部材22を下記の蓋部材122に置き換えたものである(図17から図19)。
箱部材121は、先の箱部材21と同様の底壁121aと第1から第4の外周壁121b-121eとを有している(図18)。この箱部材121においては、その底壁121aと第1から第4の外周壁121b-121eとで囲まれた空間が収容室120aとして利用され、その収容室120aの開口が部品挿入口120bとして利用される。また、この箱部材121においては、先の箱部材21と同じように、第1接続電線WE1の一方の端部側を収容室120aの中から外方に引き出させる第1引出部121b1が第1外周壁121bに形成され、第1接続電線WE1の他方の端部側を収容室120aの中から外方に引き出させる第2引出部121d1が第3外周壁121dに形成されている(図18)。そして、この箱部材121においては、第2接続電線WE2の一方の端部側を収容室120aの中から外方に引き出させる第3引出部121b2が第1外周壁121bに形成され、第2接続電線WE2の他方の端部側を収容室120aの中から外方に引き出させる第4引出部121d2が第3外周壁121dに形成されている(図18)。その第1引出部121b1、第2引出部121d1、第3引出部121b2及び第4引出部121d2は、各々、先の第1引出部21b1、第2引出部21d1、第3引出部21b2及び第4引出部21d2と同等の形状のものとして形成されている。
蓋部材122は、先の蓋部材22と同様の閉塞壁122aと第1から第4の外周壁122b-122eとを有している(図19から図22)。この蓋部材122においては、先の蓋部材22と同じように、第1接続電線WE1の一方の端部側を外方に引き出させる第1引出部122b1が第1外周壁122bに形成され、第1接続電線WE1の他方の端部側を外方に引き出させる第2引出部122d1が第3外周壁122dに形成されている(図19から図22)。そして、この蓋部材122においては、第2接続電線WE2の一方の端部側を外方に引き出させる第3引出部122b2が第1外周壁122bに形成され、第2接続電線WE2の他方の端部側を外方に引き出させる第4引出部122d2が第3外周壁122dに形成されている(図19から図22)。その第1引出部122b1、第2引出部122d1、第3引出部122b2及び第4引出部122d2は、各々、先の第1引出部22b1、第2引出部22d1、第3引出部22b2及び第4引出部22d2と同等の形状のものとして形成されている。
本変形例の電線保持構造150は、実施形態の電線保持構造50と同じように、互いに間隔を空けて対向配置され、小径電線と大径電線の内の何れか一方を保持することが可能な可撓性を持つ2つの突起部151と、小径電線と大径電線の内の何れか一方の収容が可能な電線収容部152と、を備える(図20及び図22)。その2つの突起部151は、実施形態の2つの突起部51と同様のものとして形成及び配置されている。また、電線収容部152は、実施形態の電線収容部52と同じように、小径電線と大径電線の内の何れか一方を挿入させることが可能な電線挿入口152aと、円弧状に形成された弧状面152bと、弧状面152bの一端から電線挿入口152aまで延出させた第1側壁面152cと、弧状面152bの他端から電線挿入口152aまで延出させ、第1側壁面152cに対して間隔を空けて対向配置された第2側壁面152dと、を有している(図23)。この電線保持構造150においても、2つの突起部151は、その内の一方を第1側壁面152cに設け、その内の他方を第2側壁面152dに設けている。
それぞれの電線保持構造150は、箱部材121と蓋部材122の内の何れか一方に設ける。この例示では、それぞれの電線保持構造150を蓋部材122に設けている。ここで示すそれぞれの電線保持構造150は、各々、その蓋部材122の閉塞壁122aの内壁面122a1に突出状態で設けられ、小径電線と大径電線の内の一方を保持することが可能な電線保持体153を備える(図19から図22)。電線収容部152は、その電線保持体153に設ける(図20から図22)。
第1配索経路上のそれぞれの電線保持構造150においては、電線保持体153を第1引出部122b1と第2引出部122d1に対して各々間隔を空けて隣設させる。また、第2配索経路上のそれぞれの電線保持構造150においては、電線保持体153を第3引出部122b2と第4引出部122d2に対して各々間隔を空けて隣設させる。
本変形例のノイズフィルタ2においては、それぞれの電線保持構造150で第1接続電線WE1と第2接続電線WE2を蓋部材122に保持させる(図24及び図25)。一方、このノイズフィルタ2においては、箱部材121にフィルタ回路10を設置しておく。そして、このノイズフィルタ2においては、その箱部材121に蓋部材122を第1接続電線WE1及び第2接続電線WE2と共に組み付けることによって、第1接続電線WE1を第1回路接続部材12に電気接続させ、かつ、第2接続電線WE2を第2回路接続部材13に電気接続させる。
それぞれの電線保持構造150においては、例えば、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として小径電線WESが用いられる場合、2つの突起部151を乗り越えさせるべく、電線挿入口152aから挿入された小径電線WESに力を加える。これにより、それぞれの電線保持構造150においては、その小径電線WESが2つの突起部151を弾性変形させながら乗り越えて、その乗り越えた先の弧状面152bと弾性変形が解消された2つの突起部151とで挟み込まれる(図26)。よって、それぞれの電線保持構造150は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として用いられた小径電線WESを筐体120に保持させることができる。
一方、それぞれの電線保持構造150においては、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として大径電線WELが用いられる場合、電線挿入口152aから挿入された大径電線WELを2つの突起部151に押し付けながら、その2つの突起部151を弾性変形させる。これに伴い、それぞれの電線保持構造150においては、その2つの突起部151における撓みの解消方向の力を大径電線WELに作用させ、その大径電線WELを2つの突起部151に挟持させる(図27)。よって、それぞれの電線保持構造150は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として用いられた大径電線WELを筐体120に保持させることができる。
このように、本変形例のノイズフィルタ2は、実施形態のノイズフィルタ1と同じように、外径の異なる電線間でフィルタ回路10と筐体120を共用することができる。つまり、本変形例のノイズフィルタ2は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として小径電線WESが用いられる場合でも、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2として大径電線WELが用いられる場合でも、その第1接続電線WE1と第2接続電線WE2をそれぞれの電線保持構造150によって筐体120に保持させることができる。よって、本変形例のノイズフィルタ2は、フィルタ回路10や筐体120の品番管理が容易なものとなり、かつ、原価の低減を図ることができる。また、このノイズフィルタ2は、それぞれの電線保持構造150による第1接続電線WE1や第2接続電線WE2の保持機能によって、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2が小径電線WESであるのか大径電線WELであるのかに拘わらず、振動等の外部入力が第1接続電線WE1や第2接続電線WE2に作用した際に、筐体120に対する第1接続電線WE1や第2接続電線WE2の電線軸方向への位置ずれを抑えることができる。よって、本変形例のノイズフィルタ2は、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2が小径電線WESであるのか大径電線WELであるのかに拘わらず、電線軸方向での第1回路接続部材12と第1接続電線WE1の中間接続部WEa1との間の相対的な位置ずれの抑制も可能になり、かつ、電線軸方向での第2回路接続部材13と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2との間の相対的な位置ずれの抑制も可能になる。従って、このノイズフィルタ2は、それぞれの電線保持構造150によって、第1接続電線WE1や第2接続電線WE2が小径電線WESであるのか大径電線WELであるのかに拘わらず、第1回路接続部材12と中間接続部WEa1との間を所期の通電状態に保ちつつ、第2回路接続部材13と中間接続部WEa2との間を所期の通電状態に保つことができるので、ノイズ低減機能を保ち続けることができる。
更に、本変形例のノイズフィルタ2は、それぞれの電線保持構造150を次のように構成することによって、ノイズ低減機能の保持性能を向上させることができる。
第1配索経路上の2つの電線保持構造150におけるそれぞれの2つの突起部151は、箱部材121と蓋部材122とが組付け状態で且つ小径電線WESを保持しているときに、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1側(ここでは、下記の端子金具130S)から接点部12bに押圧力を作用させ、その押圧力で第1回路接続部材12を弾性変形させるものとして形成及び配置する。そして、このそれぞれの2つの突起部151は、箱部材121と蓋部材122とが組付け状態で且つ大径電線WELを保持しているときに、第1接続電線WE1の中間接続部WEa1側(ここでは、下記の端子金具130L)から接点部12bに押圧力を作用させ、その押圧力で第1回路接続部材12を弾性変形させるものとして形成及び配置する。これにより、第1配索経路上では、第1接続電線WE1が小径電線WESであるのか大径電線WELであるのかに拘わらず、この第1接続電線WE1をそれぞれの電線保持構造150で保持させることによって、中間接続部WEa1側を第1回路接続部材12に対して的確に電気接続させることができる。このように、第1配索経路上の2つの電線保持構造150は、第1回路接続部材12と中間接続部WEa1との間の電気接続品質を向上させることができる。また、このノイズフィルタ2は、第2配索経路上の2つの電線保持構造150についても、第1配索経路上の2つの電線保持構造150と同じように構成することによって、第2回路接続部材13と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2との間の電気接続品質を向上させることができる。従って、このノイズフィルタ2は、第1回路接続部材12と中間接続部WEa1との間及び第2回路接続部材13と中間接続部WEa2との間における電線軸方向での位置ずれ抑制機能と相俟って、ノイズ低減機能を効果的に保ち続けることができる。
ここで、本変形例のノイズフィルタ2においては、第1接続電線WE1と第2接続電線WE2とに各々取り付けられる端子金具130が設けられている。その端子金具130は、金属等の導電性材料で成形された導電部材である。この端子金具130については、小径電線WESに取り付けられる端子金具130Sと、大径電線WELに取り付けられる端子金具130Lと、に大別される(図28及び図29)。尚、この端子金具130(端子金具130S、端子金具130L)は、実施形態のノイズフィルタ1が取り付けられる第1接続電線WE1や第2接続電線WE2に設けてもよい。
端子金具130Sは、小径電線WESの中間接続部WEa1(WEa2)に対して物理的且つ電気的に接続された小径芯線接続部131Sと、小径電線WESにおける中間接続部WEa1(WEa2)よりも一端側を被覆WEbの上から保持する第1小径被覆保持部132Sと、小径電線WESにおける中間接続部WEa1(WEa2)よりも他端側を被覆WEbの上から保持する第2小径被覆保持部133Sと、小径芯線接続部131S及び第1小径被覆保持部132Sを連結させる第1連結部134Sと、小径芯線接続部131S及び第2小径被覆保持部133Sを連結させる第2連結部135Sと、を有している(図29)。
小径芯線接続部131Sは、小径電線WESの中間接続部WEa1(WEa2)に対して巻き付けながら加締められ、加締め圧着後に筒状を成して中間接続部WEa1(WEa2)に対して物理的且つ電気的に接続される。第1回路接続部材12は、小径芯線接続部131Sを接点部12bに接触させることによって、小径電線WESとしての第1接続電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的に電気接続される。また、第1回路接続部材13は、小径芯線接続部131Sを接点部13bに接触させることによって、小径電線WESとしての第2接続電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的に電気接続される。
第1小径被覆保持部132Sは、小径電線WESにおける中間接続部WEa1(WEa2)よりも一端側の被覆WEbに対して巻き付けながら加締められ、その中間接続部WEa1(WEa2)よりも一端側を加締め圧着後に筒状を成して被覆WEbの上から保持する。これと同じように、第2小径被覆保持部133Sは、小径電線WESにおける中間接続部WEa1(WEa2)よりも他端側の被覆WEbに対して巻き付けながら加締められ、その中間接続部WEa1(WEa2)よりも他端側を加締め圧着後に筒状を成して被覆WEbの上から保持する。
このように、この端子金具130Sは、小径電線WESにおける被覆WEbが中剥ぎされた中間接続部WEa1(WEa2)を小径芯線接続部131Sで保持すると共に、その中間接続部WEa1(WEa2)に隣接する一端側を被覆WEbの上から第1小径被覆保持部132Sで保持し、かつ、その中間接続部WEa1(WEa2)に隣接する他端側を被覆WEbの上から第2小径被覆保持部133Sで保持している。よって、この端子金具130Sは、小径電線WESが電線軸方向に引っ張られた際の芯線WEaに対する被覆WEbの電線軸方向への位置ずれを抑えることができるので、中間接続部WEa1(WEa2)の領域拡張を抑制することができる。
また、この端子金具130Sは、小径芯線接続部131S及び第1小径被覆保持部132Sを第1連結部134Sで連結させると共に、小径芯線接続部131S及び第2小径被覆保持部133Sを第2連結部135Sで連結させる。よって、この端子金具130Sは、その第1連結部134Sや第2連結部135Sを第1回路接続部材12の接点部12b(第1回路接続部材13の接点部13b)に向けて配置することによって、その接点部12b(接点部13b)に対しての接触可能な面積を拡大させることができる。従って、この端子金具130Sは、その接点部12b(接点部13b)に対する電気接続品質の向上を図ることができる。
端子金具130Lは、大径電線WELの中間接続部WEa1(WEa2)に対して物理的且つ電気的に接続された大径芯線接続部131Lと、大径電線WELにおける中間接続部WEa1(WEa2)よりも一端側を被覆WEbの上から保持する第1大径被覆保持部132Lと、大径電線WELにおける中間接続部WEa1(WEa2)よりも他端側を被覆WEbの上から保持する第2大径被覆保持部133Lと、大径芯線接続部131L及び第1大径被覆保持部132Lを連結させる第1連結部134Lと、大径芯線接続部131L及び第2大径被覆保持部133Lを連結させる第2連結部135Lと、を有している(図25及び図28)。
大径芯線接続部131Lは、大径電線WELの中間接続部WEa1(WEa2)に対して巻き付けながら加締められ、加締め圧着後に筒状を成して中間接続部WEa1(WEa2)に対して物理的且つ電気的に接続される。第1回路接続部材12は、大径芯線接続部131Lを接点部12bに接触させることによって、大径電線WELとしての第1接続電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的に電気接続される。また、第1回路接続部材13は、大径芯線接続部131Lを接点部13bに接触させることによって、大径電線WELとしての第2接続電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的に電気接続される。
第1大径被覆保持部132Lは、大径電線WELにおける中間接続部WEa1(WEa2)よりも一端側の被覆WEbに対して巻き付けながら加締められ、その中間接続部WEa1(WEa2)よりも一端側を加締め圧着後に筒状を成して被覆WEbの上から保持する。これと同じように、第2大径被覆保持部133Lは、大径電線WELにおける中間接続部WEa1(WEa2)よりも他端側の被覆WEbに対して巻き付けながら加締められ、その中間接続部WEa1(WEa2)よりも他端側を加締め圧着後に筒状を成して被覆WEbの上から保持する。
このように、この端子金具130Lは、先の端子金具130Sと同様の形態のものであり、大径電線WELが電線軸方向に引っ張られた際の芯線WEaに対する被覆WEbの電線軸方向への位置ずれを抑えることができるので、中間接続部WEa1(WEa2)の領域拡張を抑制することができる。また、この端子金具130Lは、第1連結部134Lや第2連結部135Lを第1回路接続部材12の接点部12b(第1回路接続部材13の接点部13b)に向けて配置することによって、その接点部12b(接点部13b)に対しての接触可能な面積を拡大させることができる。従って、この端子金具130Lは、その接点部12b(接点部13b)に対する電気接続品質の向上を図ることができる。
更に、ここでは、端子金具130(端子金具130S、端子金具130L)を用いて、筐体120に対する第1接続電線WE1や第2接続電線WE2の電線軸方向への位置ずれ抑制効果を高めることができる。かかる効果を得るべく、第1配索経路上の2つの電線保持構造150は、その内の一方の電線収容部152の周縁部で第1小径被覆保持部132S又は第1大径被覆保持部132Lを電線軸方向における一方側から係止させ、かつ、その内の他方の電線収容部152の周縁部で第2小径被覆保持部133S又は第2大径被覆保持部133Lを電線軸方向における他方側から係止させ得るものとして形成している(図25及び図30)。そして、第2配索経路上の2つの電線保持構造150は、その内の一方の電線収容部152の周縁部で第1小径被覆保持部132S又は第1大径被覆保持部132Lを電線軸方向における一方側から係止させ、かつ、その内の他方の電線収容部152の周縁部で第2小径被覆保持部133S又は第2大径被覆保持部133Lを電線軸方向における他方側から係止させ得るものとして形成している(図25及び図30)。
この例示では、第1配索経路上の一方の電線保持体153を第1外周壁122bにおける第1引出部122b1の周縁部と第1小径被覆保持部132S又は第1大径被覆保持部132Lとの間に配置し、この電線保持体153における第1外周壁122b側の外壁面で第1小径被覆保持部132S又は第1大径被覆保持部132Lを係止させる。また、この例示では、第1配索経路上の他方の電線保持体153を第3外周壁122dにおける第2引出部122d1の周縁部と第2小径被覆保持部133S又は第2大径被覆保持部133Lとの間に配置し、この電線保持体153における第3外周壁122d側の外壁面で第2小径被覆保持部133S又は第2大径被覆保持部133Lを係止させる。このように、この第1配索経路上の第1接続電線WE1は、小径電線WESであるのか大径電線WELであるのかに拘わらず、それぞれの電線収容部152の周縁部(それぞれの電線保持体153の外壁面)によって端子金具130(端子金具130S、端子金具130L)が電線軸方向で挟み込まれて係止されるので、筐体120に対する第1接続電線WE1の電線軸方向への位置ずれ抑制効果を高めることができる。
また、この例示では、第2配索経路上の一方の電線保持体153を第1外周壁122bにおける第3引出部122b2の周縁部と第1小径被覆保持部132S又は第1大径被覆保持部132Lとの間に配置し、この電線保持体153における第1外周壁122b側の外壁面で第1小径被覆保持部132S又は第1大径被覆保持部132Lを係止させる。また、この例示では、第2配索経路上の他方の電線保持体153を第3外周壁122dにおける第4引出部122d2の周縁部と第2小径被覆保持部133S又は第2大径被覆保持部133Lとの間に配置し、この電線保持体153における第3外周壁122d側の外壁面で第2小径被覆保持部133S又は第2大径被覆保持部133Lを係止させる。このように、この第2配索経路上の第2接続電線WE2は、小径電線WESであるのか大径電線WELであるのかに拘わらず、それぞれの電線収容部152の周縁部(それぞれの電線保持体153の外壁面)によって端子金具130(端子金具130S、端子金具130L)が電線軸方向で挟み込まれて係止されるので、筐体120に対する第2接続電線WE2の電線軸方向への位置ずれ抑制効果を高めることができる。
尚、第1配索経路上の一方の電線保持体153は、小径芯線接続部131Sと第1小径被覆保持部132Sとの間及び大径芯線接続部131Lと第1大径被覆保持部132Lとの間に配置し、その電線保持体153における第1外周壁122b側の外壁面で第1小径被覆保持部132S又は第1大径被覆保持部132Lに係止されるものとして形成してもよい。第2配索経路上の一方の電線保持体153についても、この第1配索経路上の一方の電線保持体153と同様のものとして形成してもよい。この場合、第1配索経路上の他方の電線保持体153は、小径芯線接続部131Sと第2小径被覆保持部133Sとの間及び大径芯線接続部131Lと第2大径被覆保持部133Lとの間に配置し、その電線保持体153における第3外周壁122d側の外壁面で第2小径被覆保持部133S又は第2大径被覆保持部133Lに係止されるものとして形成すればよい。第2配索経路上の他方の電線保持体153についても、この第1配索経路上の他方の電線保持体153と同様のものとして形成すればよい。このノイズフィルタ2は、それぞれの電線保持構造150をこのように構成したとしても、先の例示と同じように、筐体120に対する第1接続電線WE1や第2接続電線WE2の電線軸方向への位置ずれ抑制効果を高めることができる。
以上示したように、本変形例のノイズフィルタ2は、筐体120に対する第1接続電線WE1や第2接続電線WE2の電線軸方向への位置ずれを抑え、第1回路接続部材12と第1接続電線WE1の中間接続部WEa1との間を所期の通電状態に保ちつつ、第2回路接続部材13と第2接続電線WE2の中間接続部WEa2との間を所期の通電状態に保って、ノイズ低減機能を保ち続けることができる。また、本変形例のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ2を具備するものであり、このノイズフィルタ2が得られる効果を奏することができる。
ところで、それぞれの電線保持構造150は、箱部材121の底壁121aに設けてもよい。そして、この場合には、第1接続電線WE1と第2接続電線WE2とに各々端子金具130(端子金具130S、端子金具130L)が設けられていてもよい。この場合のノイズフィルタ2は、それぞれの電線保持構造150を蓋部材122に設ける場合と同じように、それぞれの電線保持構造150と端子金具130とによって、筐体120に対する第1接続電線WE1や第2接続電線WE2の電線軸方向への位置ずれを抑制させる。本変形例のノイズフィルタ2及びワイヤハーネスWHは、このように構成したとしても、先の例示と同様の効果を得ることができる。