以下に、本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態の1つを図1から図8に基づいて説明する。
図1から図3の符号1は、本実施形態のノイズフィルタを示す。このノイズフィルタ1は、2本の電線(第1電線WE1、第2電線WE2)の中間部分同士をフィルタ回路で繋いだノイズ低減装置であり、2本の電線の内の一方を接地させ、その内の他方に乗った電気的なノイズ成分をフィルタ回路のノイズ低減素子で低減させる。その2本の電線は、例えば、車両のワイヤハーネスWHの幹線WTが備える複数本の電線の内の2本であって、一方の電線がアース線として接地され、他方の電線が電源線として利用される。その電源線には、例えば、車両のデフォッガやハイマウントストップランプ等の負荷が電気的に接続されている。ノイズフィルタ1は、その2本の電線に接続することによって、ワイヤハーネスWHの構成要素の1つとなる。以下に例示するワイヤハーネスWHにおいては、第1電線WE1を電源線として利用し、第2電線WE2をアース線として利用する。第1電線WE1は、一方の端部が電源(例えば、車両の二次電池)に対して電気的に接続され、他方の端部が負荷に対して電気的に接続されている。また、第2電線WE2は、一方の端部が接地されている。第1電線WE1と第2電線WE2は、各々、導電性の芯線WEaと、この芯線WEaの外周面を覆う絶縁性の被覆WEbと、を備える。
ノイズフィルタ1は、第1電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分と第2電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分との間に介在させ、それぞれの芯線WEaに対して電気的に接続させる。以下においては、その第1電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa1」と称し、かつ、第2電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa2」と称する。また、以下においては、その第1電線WE1の芯線WEaの中間接続部WEa1のことを「第1電線WE1の中間接続部WEa1」と簡略化し、かつ、その第2電線WE2の芯線WEaの中間接続部WEa2のことを「第2電線WE2の中間接続部WEa2」と簡略化する。このノイズフィルタ1は、例えば、第1電線WE1に乗った電気的なノイズ成分を低減させる。
このノイズフィルタ1は、ノイズ成分を低減させるフィルタ回路10と、このフィルタ回路10と共に第1電線WE1の中間接続部WEa1及び第2電線WE2の中間接続部WEa2が収容される筐体20と、備える(図1から図3)。このノイズフィルタ1においては、その筐体20の収容室20aに並列配置状態で第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とを収容して、その収容室20aの中で第1電線WE1と第2電線WE2とを併走させる(図1)。その第1電線WE1と第2電線WE2については、それぞれの両端側が筐体20の外方に引き出される。
ノイズフィルタ1は、フィルタ回路10の構成要素の1つとして、ノイズ成分を低減させる少なくとも1つのノイズ低減素子11を備える(図1から図4)。このノイズ低減素子11は、ノイズフィルタ1の回路構成でノイズの低減を図り得るものであれば、如何様なものを用いてもよい。例えば、ノイズ低減素子11としては、コンデンサやコイル等が考えられる。
このノイズ低減素子11は、第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間に配置され、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に対して電気的に接続させる。このノイズ低減素子11は、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して電気接続させる第1接続部11aと、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して電気接続させる第2接続部11bと、を有する(図4)。このノイズ低減素子11においては、第1接続部11aが一方の端部に露出状態で設けられ、第2接続部11bが他方の端部に露出状態で設けられる。例えば、このノイズ低減素子11は、外形が方体状に形成されており、対向配置状態の2つの壁部の内の一方に第1接続部11aが設けられ、かつ、その内の他方に第2接続部11bが設けられている。この例示のノイズフィルタ1では、そのノイズ低減素子11として2つのコンデンサを備えており、この2つのコンデンサでノイズの低減を図ることができるように構成している(図1から図4)。
更に、このノイズフィルタ1は、フィルタ回路10の構成要素の1つとして、ノイズ低減素子11の第1接続部11aと第1電線WE1の中間接続部WEa1との間に介在させ、その第1接続部11aと中間接続部WEa1とを間接的に電気接続させる導電性の第1接続部材(以下、「第1回路接続部材」という。)12を備える(図1から図4)。また、このノイズフィルタ1は、フィルタ回路10の構成要素の1つとして、ノイズ低減素子11の第2接続部11bと第2電線WE2の中間接続部WEa2との間に介在させ、その第2接続部11bと中間接続部WEa2とを間接的に電気接続させる導電性の第2接続部材(以下、「第2回路接続部材」という。)13を備える(図1から図4)。その第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、各々、金属等の導電性材料で成形された導電部材である。
この例示の第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、各々、金属板を母材にして同形状に成形されている。ここでは、その第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とに各々弾性を持たせている。
第1回路接続部材12は、2つの片部を有するが如くU字状に折り曲げられた弾性部12aと、その弾性部12aの一方の片部における自由端から突出させた接点部12bと、を有する(図4)。このノイズフィルタ1においては、その接点部12bに対して第1電線WE1の中間接続部WEa1を間接的又は直接的に電気接続させる。この第1回路接続部材12は、弾性部12aの折り曲げ点が起点となる撓みを可能にするものであり、第1電線WE1の中間接続部WEa1から接点部12bに対して間接的又は直接的に作用させた外力によって、この接点部12bを弾性部12aの一方の片部と共に撓ませることができる。
この例示の第1電線WE1においては、中間接続部WEa1に対して、導電性の第1端子金具31が物理的且つ電気的に接続されている(図1から図3)。その第1端子金具31は、金属等の導電性材料で成形された導電部材である。例えば、この第1端子金具31は、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して巻き付けながら加締められていく矩形の金属板であり、加締め圧着後に筒状を成して中間接続部WEa1に対して物理的且つ電気的に接続される。第1回路接続部材12は、この第1端子金具31を接点部12bに接触させることによって、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的に電気接続される。
ここで、第1電線WE1は、丸導体等の単線を芯線WEaとして備えるものであるならば、中間接続部WEa1に第1端子金具31を設けずともよい。また、第1電線WE1は、複数本の素線の集合体を芯線WEaとして備えるものであるならば、中間接続部WEa1における複数本の素線を熱圧着等で溶着して一纏めに固着させることによって、その中間接続部WEa1に第1端子金具31を設けずともよい。これらの場合、第1回路接続部材12は、その第1電線WE1の中間接続部WEa1を接点部12bに接触させることによって、この中間接続部WEa1に対して直接的に電気接続される。
第2回路接続部材13は、第1回路接続部材12と同様の弾性部13aと接点部13bとを有する(図4)。このノイズフィルタ1においては、その接点部13bに対して第2電線WE2の中間接続部WEa2を間接的又は直接的に電気接続させる。この第2回路接続部材13は、第2電線WE2の中間接続部WEa2から接点部13bに対して間接的又は直接的に作用させた外力によって、この接点部13bを弾性部13aの一方の片部と共に撓ませることができる。
この例示の第2電線WE2においては、中間接続部WEa2に対して、導電性の第2端子金具32が物理的且つ電気的に接続されている(図1から図3)。その第2端子金具32は、金属等の導電性材料で成形された導電部材である。この例示の第2端子金具32には、第1端子金具31と同様のものが用いられている。第2回路接続部材13は、この第2端子金具32を接点部13bに接触させることによって、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的に電気接続される。
ここで、第2電線WE2は、丸導体等の単線を芯線WEaとして備えるものであったり、中間接続部WEa2における複数本の素線が熱圧着等で溶着して一纏めに固着されたものであったりするならば、中間接続部WEa2に第2端子金具32を設けずともよい。これらの場合、第2回路接続部材13は、その第2電線WE2の中間接続部WEa2を接点部13bに接触させることによって、この中間接続部WEa2に対して直接的に電気接続される。
また更に、このノイズフィルタ1は、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とが実装される回路基板14を備える(図1から図4)。この例示では、矩形の平板状に回路基板14を形成している。この回路基板14は、一方の平面を部品面14aとし、その部品面14aにノイズ低減素子11と第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とを実装させる。
この回路基板14は、第1回路接続部材12をノイズ低減素子11の第1接続部11aに電気接続させ、かつ、第2回路接続部材13をノイズ低減素子11の第2接続部11bに電気接続させる導電性の回路パターン(図示略)を有する。その回路パターンは、第1回路接続部材12の回路接続部12c(図4)とノイズ低減素子11の第1接続部11aとの間に介在して、その間を電気接続させる第1導電部と、第2回路接続部材13の回路接続部13c(図4)とノイズ低減素子11の第2接続部11bとの間に介在して、その間を電気接続させる第2導電部と、を有している。ここで、第1回路接続部材12においては、弾性部12aの他方の片部を回路接続部12cとして利用している。また、第2回路接続部材13においては、弾性部13aの他方の片部を回路接続部13cとして利用している。
筐体20は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。この筐体20の収容室20aには、ノイズ低減素子11と第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とが部品面14aに実装された回路基板14(つまり、フィルタ回路10)と、第1電線WE1と、第2電線WE2と、が収容される。
この例示の筐体20は、収容室20a及び当該収容室20aへの部品挿入口20bを有する箱部材21と、その部品挿入口20bを塞ぐ蓋部材22と、を備える(図1及び図3)。
箱部材21は、底壁と外周壁とを有し、これらで囲まれた空間が収容室20aとして利用され、その収容室20aの開口が部品挿入口20bとして利用される。この例示の箱部材21は、矩形且つ平板状の底壁21aと、この底壁21aの4つの辺部から各々立設させた第1から第4の外周壁21b-21eと、を有する(図2、図3、図5及び図6)。この箱部材21においては、第1から第4の外周壁21b-21eについても、各々、矩形且つ平板状に形成されている。
回路基板14は、部品面14aを部品挿入口20bに向けて底壁21aに載せ置かれる。収容室20aにおいては、回路基板14の4つの辺部の内の1つである第1周縁部14bを第1外周壁21bの内壁面に対して間隔を空けて対向配置させる(図6)。また、この収容室20aにおいては、回路基板14の4つの辺部の内の1つである第2周縁部14cを第2外周壁21cの内壁面に対して間隔を空けて対向配置させる(図6)。また、この収容室20aにおいては、回路基板14の4つの辺部の内の1つである第3周縁部14dを第3外周壁21dの内壁面に対して間隔を空けて対向配置させる(図6)。また、この収容室20aにおいては、回路基板14の4つの辺部の内の1つである第4周縁部14eを第4外周壁21eの内壁面に対して間隔を空けて対向配置させる(図6)。
第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2は、その回路基板14上の第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とに各々載せ置かれる。この例示の箱部材21においては、第1電線WE1の一方の端部側を収容室20aの中から外方に引き出させる第1引出口21b1が第1外周壁21bに形成され、第1電線WE1の他方の端部側を収容室20aの中から外方に引き出させる第2引出口21d1が第3外周壁21dに形成されている(図2、図3、図5及び図6)。また、この例示の箱部材21においては、第2電線WE2の一方の端部側を収容室20aの中から外方に引き出させる第1引出口21b2が第1外周壁21bに形成され、第2電線WE2の他方の端部側を収容室20aの中から外方に引き出させる第2引出口21d2が第3外周壁21dに形成されている(図2、図3、図5及び図6)。
蓋部材22は、閉塞壁と外周壁とを有し、その閉塞壁で部品挿入口20bを塞ぐ。この例示の蓋部材22は、矩形且つ平板状の閉塞壁22aと、この閉塞壁22aの4つの辺部から各々立設させた第1から第4の外周壁22b-22eと、を有する(図2及び図3)。この蓋部材22においては、第1から第4の外周壁22b-22eについても、各々、矩形且つ平板状に形成されている。
この例示の蓋部材22は、箱部材21に組み付けた際に、第1外周壁22bを箱部材21の第1外周壁21bの外壁面に対向配置させ、かつ、第2外周壁22cを箱部材21の第2外周壁21cの外壁面に対向配置させ、かつ、第3外周壁22dを箱部材21の第3外周壁21dの外壁面に対向配置させ、かつ、第4外周壁22eを箱部材21の第4外周壁21eの外壁面に対向配置させる。よって、第1外周壁22bには、組付け状態で第1引出口21b1に対向配置させる第1引出口22b1と、組付け状態で第1引出口21b2に対向配置させる第1引出口22b2とが形成されている(図2)。また、第3外周壁22dには、組付け状態で第2引出口21d1に対向配置させる第2引出口22d1と、組付け状態で第2引出口21d2に対向配置させる第2引出口22d2とが形成されている(図2)。第1電線WE1は、一方の端部側が第1引出口21b1と第1引出口22b1から外方に引き出され、他方の端部側が第2引出口21d1と第2引出口22d1から外方に引き出される。また、第2電線WE2は、一方の端部側が第1引出口21b2と第1引出口22b2から外方に引き出され、他方の端部側が第2引出口21d2と第2引出口22d2から外方に引き出される。
この筐体20は、箱部材21と蓋部材22とを組付け完了状態で保持する保持構造25を備える(図1から図3)。この例示の保持構造25は、箱部材21と蓋部材22の内の一方に設けた突起部25aと、この突起部25aを嵌入させる貫通孔状又は溝状の嵌入部25bと、を備える。ここでは、箱部材21の第2外周壁21cの外壁面に突起部25aを設け、その突起部25aが組付け完了状態で嵌入される貫通孔状の嵌入部25bを蓋部材22の第2外周壁22cに設けている(図2)。また、ここでは、箱部材21の第4外周壁21eの外壁面に突起部25aを設け、その突起部25aが組付け完了状態で嵌入される貫通孔状の嵌入部25bを蓋部材22の第4外周壁22eに設けている(図2)。
このノイズフィルタ1においては、箱部材21と蓋部材22とを組み付けることによって、部品面14aに向けた押圧力を閉塞壁22aからそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2側に作用させる。これに伴い、このノイズフィルタ1においては、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2側が各々接点部12b,13bに接触したまま第1回路接続部材12と第2回路接続部材13を撓ませ、その撓みに応じた反力をそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2側に作用させる。よって、このノイズフィルタ1においては、閉塞壁22aと第1回路接続部材12とで第1電線WE1の中間接続部WEa1側が挟持され、かつ、閉塞壁22aと第2回路接続部材13とで第2電線WE2の中間接続部WEa2側が挟持されて、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2が収容室20aで保持される。この例示では、第1電線WE1の中間接続部WEa1が第1端子金具31を介して収容室20aで保持され、第2電線WE2の中間接続部WEa2が第2端子金具32を介して収容室20aで保持されている。
ここで、このノイズフィルタ1においては、閉塞壁22aからそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2側に押圧力を作用させ難い場合、例えば、中間接続部WEa1に押圧力を作用させるための押圧部(図示略)と、中間接続部WEa2に押圧力を作用させるための押圧部(図示略)と、を閉塞壁22aに突出状態で設ければよい。
ところで、ノイズフィルタ1には、車両の振動や加減速等に伴う外部入力が作用する。このため、このノイズフィルタ1においては、第1回路接続部材12と第1電線WE1の中間接続部WEa1との間を所期の通電状態に保つべく、第1回路接続部材12と閉塞壁22a(又は閉塞壁22aの押圧部)とによる中間接続部WEa1に対する保持力の低下を抑えることが望まれる。これと同じように、このノイズフィルタ1においては、第2回路接続部材13と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間を所期の通電状態に保つべく、第2回路接続部材13と閉塞壁22a(又は閉塞壁22aの押圧部)とによる中間接続部WEa2に対する保持力の低下を抑えることが望まれる。
そのような保持力の低下は、第1回路接続部材12と第1電線WE1の中間接続部WEa1との間の相対的な位置ずれと、第2回路接続部材13と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間の相対的な位置ずれと、によって生じる。本実施形態のノイズフィルタ1は、フィルタ回路10と筐体20との間のがたつきを抑えることよって、これらの相対的な位置ずれを抑制する。具体的に、本実施形態のノイズフィルタ1は、部品面14aに沿い且つ互いに直交する2方向で収容室20a内の回路基板14を弾性保持する弾性保持構造40を備える(図1から図3及び図5から図8)。
その弾性保持構造40は、部品面14aに沿う第1方向の弾発力を収容室20aの中で回路基板14に付与させると共に、部品面14aに沿い且つ第1方向に直交する第2方向の弾発力を収容室20aの中で回路基板14に付与させて、その第1方向及び第2方向で回路基板14を弾性保持するものとして構成する。これにより、この弾性保持構造40は、収容室20aの中で筐体20に対するフィルタ回路10のがたつきを抑え、フィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。この弾性保持構造40は、筐体20に設ける。
例えば、弾性保持構造40は、第1方向の弾発力を発生させる第1弾性部41と、第2方向の弾発力を発生させる第2弾性部42と、第1方向の弾発力が付与された回路基板14に対して第1方向とは逆向きの第3方向の弾発力を付与する第3弾性部43と、第2方向の弾発力が付与された回路基板14に対して第2方向とは逆向きの第4方向の弾発力を付与する第4弾性部44と、を備える(図2及び図5から図8)。
第1弾性部41は、箱部材21の第1外周壁21bと回路基板14の第1周縁部14bとの間に介在させる。第2弾性部42は、箱部材21の第2外周壁21cと回路基板14の第2周縁部14cとの間に介在させる。第3弾性部43は、箱部材21の第3外周壁21dと回路基板14の第3周縁部14dとの間に介在させる。第4弾性部44は、箱部材21の第4外周壁21eと回路基板14の第4周縁部14eとの間に介在させる。
この弾性保持構造40においては、回路基板14が収容室20aに収容された際に、その回路基板14の第1周縁部14bに押動されて第1弾性部41を弾性変形させつつ、その回路基板14の第3周縁部14dに押動されて第3弾性部43を弾性変形させるものとして、その第1弾性部41と第3弾性部43を形成し且つ配置する(図7)。これにより、この弾性保持構造40においては、第1弾性部41が第1方向の弾発力を回路基板14の第1周縁部14bに付与し、かつ、第3弾性部43が第3方向の弾発力を回路基板14の第3周縁部14dに付与する。つまり、この弾性保持構造40は、その第1弾性部41と第3弾性部43が回路基板14を第1周縁部14b側と第3周縁部14d側から弾性変形しながら挟み込むので、その回路基板14の筐体20に対する第1方向(第3方向)のがたつきを抑え、その第1方向(第3方向)でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。
更に、この弾性保持構造40においては、回路基板14が収容室20aに収容された際に、その回路基板14の第2周縁部14cに押動されて第2弾性部42を弾性変形させつつ、その回路基板14の第4周縁部14eに押動されて第4弾性部44を弾性変形させるものとして、その第2弾性部42と第4弾性部44を形成し且つ配置する(図8)。これにより、この弾性保持構造40においては、第2弾性部42が第2方向の弾発力を回路基板14の第2周縁部14cに付与し、かつ、第4弾性部44が第4方向の弾発力を回路基板14の第4周縁部14eに付与する。つまり、この弾性保持構造40は、その第2弾性部42と第4弾性部44が回路基板14を第2周縁部14c側と第4周縁部14e側から弾性変形しながら挟み込むので、その回路基板14の筐体20に対する第2方向(第4方向)のがたつきを抑え、その第2方向(第4方向)でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。
この例示では、その第1弾性部41と第2弾性部42と第3弾性部43と第4弾性部44を筐体20との一体成形品として設けている(図7及び図8)。ここでは、第1弾性部41と第2弾性部42と第3弾性部43と第4弾性部44を箱部材21に設けている。第1弾性部41は、箱部材21の第1外周壁21bの内壁面に突出状態で設けている(図7)。この第1弾性部41は、第1外周壁21bの内壁面から第3外周壁21dの内壁面に向けて突出させ、かつ、底壁21aに向けて屈曲させている。第2弾性部42は、箱部材21の第2外周壁21cの内壁面に突出状態で設けている(図8)。この第2弾性部42は、第2外周壁21cの内壁面から第4外周壁21eの内壁面に向けて突出させ、かつ、底壁21aに向けて屈曲させている。第3弾性部43は、箱部材21の第3外周壁21dの内壁面に突出状態で設けている(図7)。この第3弾性部43は、第3外周壁21dの内壁面から第1外周壁21bの内壁面に向けて突出させ、かつ、底壁21aに向けて屈曲させている。第4弾性部44は、箱部材21の第4外周壁21eの内壁面に突出状態で設けている(図8)。この第4弾性部44は、第4外周壁21eの内壁面から第2外周壁21cの内壁面に向けて突出させ、かつ、底壁21aに向けて屈曲させている。ここで例示している箱部材21は、例えば、所謂3Dプリンタ等を用いて成形される。
以上示したように、本実施形態のノイズフィルタ1は、弾性保持構造40によって第1方向と第2方向とで回路基板14が弾性保持されるので、その第1方向と第2方向においての筐体20に対するフィルタ回路10のがたつきを抑え、その第1方向と第2方向でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。そして、このノイズフィルタ1は、振動等の外部入力が作用した際に、回路基板14に作用した外部入力を弾性保持構造40で吸収することができる。よって、このノイズフィルタ1は、振動等の外部入力が作用した際にも、第1方向と第2方向においての筐体20に対するフィルタ回路10のがたつきを抑え、その第1方向と第2方向でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。
その具体例では、第1弾性部41と第2弾性部42と第3弾性部43と第4弾性部44とによって第1方向(第3方向)と第2方向(第4方向)とで回路基板14が弾性保持されるので、その第1方向(第3方向)と第2方向(第4方向)においての筐体20に対するフィルタ回路10のがたつきを抑え、その第1方向(第3方向)と第2方向(第4方向)でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれが抑制される。そして、この具体例のノイズフィルタ1は、振動等の外部入力が作用した際に、回路基板14に作用した外部入力を第1弾性部41と第2弾性部42と第3弾性部43と第4弾性部44とで吸収することができる。よって、このノイズフィルタ1は、振動等の外部入力が作用した際にも、第1方向(第3方向)と第2方向(第4方向)においての筐体20に対するフィルタ回路10のがたつきを抑え、その第1方向(第3方向)と第2方向(第4方向)でのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。
このように、本実施形態のノイズフィルタ1は、第1方向と第2方向においてのフィルタ回路10と筐体20との間の相対的な位置ずれを抑制することができるので、その第1方向と第2方向での第1回路接続部材12と第1電線WE1の中間接続部WEa1との間の相対的な位置ずれの抑制も可能になり、かつ、その第1方向と第2方向での第2回路接続部材13と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間の相対的な位置ずれの抑制も可能になる。よって、このノイズフィルタ1は、第1回路接続部材12と中間接続部WEa1との間を所期の通電状態に保ちつつ、第2回路接続部材13と中間接続部WEa2との間を所期の通電状態に保つことができるので、ノイズ低減機能を保ち続けることができる。
特に、このノイズフィルタ1においては、第1回路接続部材12の弾性変形に伴う第1回路接続部材12と閉塞壁22aとの間での中間接続部WEa1に対する弾性保持力の低下を抑えつつ、第2回路接続部材13の弾性変形に伴う第2回路接続部材13と閉塞壁22aとの間での中間接続部WEa2に対する弾性保持力の低下を抑えることができる。従って、このノイズフィルタ1は、より効果的にノイズ低減機能を保ち続けることができる。
また、本実施形態のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ1を具備するものであり、このノイズフィルタ1が得られる効果を奏することができる。
[変形例]
図9及び図10の符号2は、本変形例のノイズフィルタを示す。このノイズフィルタ2は、前述した実施形態のノイズフィルタ1において以下の点を変更したものである。そこで、以下の説明においては、実施形態のノイズフィルタ1と同じ部品や同等の機能を為す部位等について、便宜上、そのノイズフィルタ1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
このノイズフィルタ2は、実施形態のノイズフィルタ1において、筐体20を下記の筐体120に置き換え、かつ、弾性保持構造40を下記の弾性保持構造140に置き換えたものである(図9及び図10)。
筐体120は、実施形態の筐体20において、箱部材21を下記の箱部材121に置き換えたものである(図11から図13)。
その箱部材121は、先の箱部材21と同様の底壁121aと第1から第4の外周壁121b-121eとを有している(図11から図13)。この箱部材121においては、その底壁121aと第1から第4の外周壁121b-121eとで囲まれた空間が収容室120aとして利用され、その収容室120aの開口が部品挿入口120bとして利用される。また、この箱部材121においては、先の箱部材21と同じように、第1電線WE1の一方の端部側を収容室120aの中から外方に引き出させる第1引出口121b1が第1外周壁121bに形成され、第1電線WE1の他方の端部側を収容室120aの中から外方に引き出させる第2引出口121d1が第3外周壁121dに形成されている(図11から図14)。そして、この箱部材121においては、第2電線WE2の一方の端部側を収容室120aの中から外方に引き出させる第1引出口121b2が第1外周壁121bに形成され、第2電線WE2の他方の端部側を収容室120aの中から外方に引き出させる第2引出口121d2が第3外周壁121dに形成されている(図11から図14)。
一方、本変形例の箱部材121には、下記の弾性保持構造140を取り付けるための第1から第4の保持部121f-121iが形成されている(図12及び図13)。その第1から第4の保持部121f-121iについては、弾性保持構造140の説明と共に詳述する。
本変形例の弾性保持構造140は、第1方向の弾発力を発生させる第1弾性部141aが設けられた第1弾性部材141と、第2方向の弾発力を発生させる第2弾性部142aが設けられた第2弾性部材142と、第1方向の弾発力が付与された回路基板14に対して第1方向とは逆向きの第3方向の弾発力を付与する第3弾性部143aが設けられた第3弾性部材143と、第2方向の弾発力が付与された回路基板14に対して第2方向とは逆向きの第4方向の弾発力を付与する第4弾性部144aが設けられた第4弾性部材144と、を備える(図12及び図13)。つまり、本変形例の弾性保持構造140において、第1弾性部141aと第2弾性部142aと第3弾性部143aと第4弾性部144aは、筐体120とは別体で当該筐体120に組み付けられる別体成形品として設ける。
この例示では、その第1弾性部材141と第2弾性部材142と第3弾性部材143と第4弾性部材144を箱部材121に取り付ける(図9及び図14)。ここでは、第1弾性部材141と第2弾性部材142と第3弾性部材143と第4弾性部材144を箱部材121の底壁121aに嵌入させる。そこで、箱部材121においては、第1から第4の保持部121f-121iを底壁121aに形成する。この例示の底壁121aにおいては、断面矩形の4つの貫通孔が各々第1から第4の外周壁121b-121eに隣接させて形成され、このそれぞれの貫通孔を各々第1から第4の保持部121f-121iとして利用する。第1弾性部材141と第2弾性部材142と第3弾性部材143と第4弾性部材144は、各々、底壁121aから取り外せぬよう第1から第4の保持部121f-121iに嵌め殺しにしてもよく、底壁121aに対して着脱し得るよう第1から第4の保持部121f-121iに嵌入させてもよい。
この例示では、第1弾性部材141と第2弾性部材142と第3弾性部材143と第4弾性部材144を各々同形状に成形し、第1から第4の保持部121f-121iを各々同形状に形成している。
第1弾性部材141は、第1弾性部141aの他に、この第1弾性部141aを箱部材121に取り付け且つ保持させる被保持部141bを有する(図12及び図13)。その被保持部141bは、方体状に形成され、第1保持部121fに嵌入させる。第1弾性部141aは、先の第1弾性部41と同様の形状と機能を有するものであり、被保持部141bを第1保持部121fに嵌入させることによって、箱部材121の第1外周壁121bと回路基板14の第1周縁部14bとの間に介在させる。
第2弾性部材142は、第2弾性部142aの他に、この第2弾性部142aを箱部材121に取り付け且つ保持させる被保持部142bを有する(図12及び図13)。その被保持部142bは、方体状に形成され、第2保持部121gに嵌入させる。第2弾性部142aは、先の第2弾性部42と同様の形状と機能を有するものであり、被保持部142bを第2保持部121gに嵌入させることによって、箱部材121の第2外周壁121cと回路基板14の第2周縁部14cとの間に介在させる。
第3弾性部材143は、第3弾性部143aの他に、この第3弾性部143aを箱部材121に取り付け且つ保持させる被保持部143bを有する(図12及び図13)。その被保持部143bは、方体状に形成され、第3保持部121hに嵌入させる。第3弾性部143aは、先の第3弾性部43と同様の形状と機能を有するものであり、被保持部143bを第3保持部121hに嵌入させることによって、箱部材121の第3外周壁121dと回路基板14の第3周縁部14dとの間に介在させる。
第4弾性部材144は、第4弾性部144aの他に、この第4弾性部144aを箱部材121に取り付け且つ保持させる被保持部144bを有する(図12及び図13)。その被保持部144bは、方体状に形成され、第4保持部121iに嵌入させる。第4弾性部144aは、先の第4弾性部44と同様の形状と機能を有するものであり、被保持部144bを第4保持部121iに嵌入させることによって、箱部材121の第4外周壁121eと回路基板14の第4周縁部14eとの間に介在させる。
この弾性保持構造140においては、先の弾性保持構造40と同じように、回路基板14が収容室120aに収容された際に、その回路基板14の第1周縁部14bに押動されて第1弾性部141aを弾性変形させつつ、その回路基板14の第3周縁部14dに押動されて第3弾性部143aを弾性変形させる(図15)。このため、この弾性保持構造140においては、第1弾性部141aが第1方向の弾発力を回路基板14の第1周縁部14bに付与し、かつ、第3弾性部143aが第3方向の弾発力を回路基板14の第3周縁部14dに付与する。よって、この弾性保持構造140は、先の弾性保持構造40と同じように、その第1弾性部141aと第3弾性部143aが回路基板14を第1周縁部14b側と第3周縁部14d側から弾性変形しながら挟み込むので、その回路基板14の筐体120に対する第1方向(第3方向)のがたつきを抑え、その第1方向(第3方向)でのフィルタ回路10と筐体120との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。
更に、この弾性保持構造140においては、先の弾性保持構造40と同じように、回路基板14が収容室120aに収容された際に、その回路基板14の第2周縁部14cに押動されて第2弾性部142aを弾性変形させつつ、その回路基板14の第4周縁部14eに押動されて第4弾性部144aを弾性変形させる(図16)。このため、この弾性保持構造140においては、第2弾性部142aが第2方向の弾発力を回路基板14の第2周縁部14cに付与し、かつ、第4弾性部144aが第4方向の弾発力を回路基板14の第4周縁部14eに付与する。よって、この弾性保持構造140は、先の弾性保持構造40と同じように、その第2弾性部142aと第4弾性部144aが回路基板14を第2周縁部14c側と第4周縁部14e側から弾性変形しながら挟み込むので、その回路基板14の筐体120に対する第2方向(第4方向)のがたつきを抑え、その第2方向(第4方向)でのフィルタ回路10と筐体120との間の相対的な位置ずれを抑制することができる。
以上示したように、本変形例のノイズフィルタ2は、実施形態の第1から第4の弾性部41-44と同様の第1から第4の弾性部141a-144aを備えるものであり、実施形態のノイズフィルタ1と同様の効果を得ることができる。そして、本変形例のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ2を具備するものであり、このノイズフィルタ2が得られる効果を奏することができる。
ここで、本変形例の例示では、第1弾性部141aと第2弾性部142aと第3弾性部143aと第4弾性部144aを各々別部品(第1弾性部材141、第2弾性部材142、第3弾性部材143、第4弾性部材144)として用意している。しかしながら、その第1弾性部141aと第2弾性部142aと第3弾性部143aと第4弾性部144aは、1つの基板保持部材(図示略)に設けたものであってもよい。つまり、本変形例の弾性保持構造140は、そのような基板保持部材を備えるものであってもよい。その基板保持部材は、収容室120aに収容され、例えば第1弾性部材141等と同じようにして底壁121aに保持させる。
ところで、前述した実施形態や変形例の弾性保持構造40,140では、第1弾性部41,141aと対になる第3弾性部43,143aを設け、かつ、第2弾性部42,142aと対になる第4弾性部44,144aを設けている。しかしながら、実施形態や変形例のノイズフィルタ1,2及びワイヤハーネスWHは、弾性保持構造を次のように構成してもよい。
その弾性保持構造は、図示しないが、第1弾性部41,141aと対になる第1係止部と、第2弾性部42,142aと対になる第2係止部と、を備えるものである。第1係止部とは、第1弾性部41,141aによって第1方向の弾発力が付与された回路基板14を係止する部位である。この第1係止部は、例えば、箱部材21,121の第3外周壁21d,121dと回路基板14の第3周縁部14dとの間に設けた係止壁であってもよく、その第3外周壁21d,121dそのものであってもよい。また、第2係止部とは、第2弾性部42,142aによって第2方向の弾発力が付与された回路基板14を係止する部位である。この第2係止部は、例えば、箱部材21,121の第4外周壁21e,121eと回路基板14の第4周縁部14eとの間に設けた係止壁であってもよく、その第4外周壁21e,121eそのものであってもよい。実施形態や変形例のノイズフィルタ1,2及びワイヤハーネスWHは、このように弾性保持構造を構成したとしても、先の例示と同様の効果を得ることができる。