自動車には、ワイヤハーネスのコネクタや、リレー、ヒューズ、電子制御ユニット等の電気部品を収容するために、ジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックス等の電気接続箱(特許文献1ないし3を参照。)が搭載されている。この電気接続箱は、車種によりいろいろなものが用いられているが、例えば、図5及び図6に示す電気接続箱210のように、ケース本体203と、このケース本体203の上面に取り付けられるアッパカバー202と、ケース本体203の下面に取り付けられるロアカバー204と、で構成される合成樹脂製のケース201内に各種電気部品が収容されたものがある。また、この電気接続箱210は、前記自動車のエンジンルームなどに取り付けられている。
また、図5及び図6中の矢印Yはケース201の高さ方向を示している。矢印Xはケース201の短手方向を示している。矢印Zはケース201の長手方向を示している。アッパカバー202は、高さ方向Yに沿ってケース本体203の上面に近付けられて取り付けられる。また、ロアカバー204は、高さ方向Yに沿ってケース本体203の下面に近付けられて取り付けられる。また、本明細書では、ケース201の高さ方向Yに沿ったアッパカバー202が取り付けられる側を上側と定義し、高さ方向Yに沿ったロアカバー204が取り付けられる側を下側と定義する。
上記ケース本体203は、高さ方向Yに沿って延びた4つの外壁232により四角い枠状に設けられており、内側に上述した各種電気部品を収容する。また、このケース本体203は、フレーム本体230とこのフレーム本体230に着脱可能に設けられたサイドカバー205とで構成されている。このサイドカバー205は、ケース本体203に収容された電気回路とワイヤハーネスの端末とを接続する接続部を覆うためのカバーである。このサイドカバー205は、前記電気回路と前記ワイヤハーネスの端末とを接続する(または取り外す)作業時にはフレーム本体230から取り外され、それ以外の時はフレーム本体230に取り付けられている。
また、上記ケース本体203の4つの外壁232のうち、幅が小さく形成された一対の外壁232a、即ち短手方向Xと平行に設けられた一対の外壁232a、には、アッパカバー202に設けられたロック部223に係止することが可能なロック受け部252が設けられている。また、ロック受け部252は、外壁232aの短手方向Xに沿った中央に設けられている。このロック受け部252は、高さ方向Yに沿って延びた四角い筒状に設けられており、内側の空間に前記ロック部223が嵌め込まれる。また、ロック部223とロック受け部252とが互いに係止することにより、アッパカバー202とケース本体203とが互いに固定される。
また、上記ケース本体203の4つの外壁232それぞれには、ロアカバー204に設けられた第2ロック部243に係止することが可能な第2ロック受け部233が設けられている。また、前記一対の外壁232aにおいては、この第2ロック受け部233が、短手方向Xに沿った前記ロック受け部252の両側に1つずつ設けられている。また、第2ロック部243と第2ロック受け部233とが互いに係止することにより、ロアカバー204とケース本体203とが互いに固定される。
また、ケース本体203の上記一対の外壁232aのうち、図5中の手前側に位置する一方の外壁232aには、ケース本体203の内部に引き込まれる前記ワイヤハーネスを動かないように固定する結束バンド6を取り付ける、凸部としての結束バンド取付部245が設けられている。この結束バンド取付部245は、上述したロック受け部252の高さ方向Yに沿った下端の外表面から長手方向Zに沿って突出している。また、前記ワイヤハーネスは、ロアカバー204に設けられているとともに結束バンド取付部245に面して設けられたハーネス引き込み孔244を通されてケース本体203の内部に引き込まれ、上述した接続部において前記電気回路と接続される。
上記結束バンド6は、合成樹脂で構成され、帯状に設けられたバンド部61と、このバンド部61の一端に設けられ、前記ワイヤハーネスの外周に巻き付けられたバンド部61の他端を固定する固定部62と、を有している。この結束バンド6は、前記ワイヤハーネスの外周に巻き付けられて、該ワイヤハーネスがばたつくことを防止する。
特開2000−316219号公報
特開平9−216648号公報
特開平8−288667号公報
上述した従来の電気接続箱210のケース201は、結束バンド取付部245が、ロック受け部252の外表面から長手方向Zに沿って突出して設けられていることから、このケース201の最外寸法(最も幅の大きい部分の寸法を意味する。)、即ち長手方向Zに沿った寸法、が長くなってしまうという問題があり、この最外寸法を小さくすることが求められていた。
そこで、上記最外寸法を小さくするために考えられることが、ロック受け部252と結束バンド取付部245とを、前記一方の外壁232a上の高さ方向Yに沿って並ぶ位置に設けることである。こうすることで、上記最外寸法を、結束バンド取付部245の長手方向Zに沿った寸法分小さくできると考えられる。
しかしながら、ケース201は、ケース本体203(フレーム本体230)の製造上の都合で、ロック受け部252と結束バンド取付部245とを、前記一方の外壁232a上の高さ方向Yに沿って並ぶ位置に設けることが困難であるという問題があった。
即ち、ケース本体203のフレーム本体230は、周知の射出成型により成型されるが、この射出成型時に使用される一対の金型の開き方向が、高さ方向Yと平行であるため、ロック受け部252と結束バンド取付部245とを高さ方向Yに沿って並ぶ位置に設けると、ケース本体203即ちフレーム本体230がアンダーカットとなってしまい、一対の金型から離型できない形状となってしまうのである。
なお、スライドコアを用いてアンダーカットを一対の金型から離型させるアンダーカット処理が知られている。しかし、スライドコアを用いたアンダーカット処理は非常にコストが高くなってしまうという問題があるので、この方法でロック受け部252と結束バンド取付部245とを高さ方向Yに沿って並ぶ位置に設けた構成のケース本体すなわちフレーム本体を成型することは望ましくなかった。よって、上述したケース201の場合も、結束バンド取付部245をロック受け部252の外表面から突出した構成にせざるを得ず、そのために、このケース201の最外寸法、即ち長手方向Zに沿った寸法、が長くなってしまっていた。
また、前記外壁232aには、ロック受け部252と結束バンド取付部245以外にも、当該外壁232aの表面から突出した凸部としての2つの第2ロック受け部233がロック受け部252を挟んだ両側に設けられているが、本来、第2ロック受け部233は、外壁232aの下端の短手方向Xに沿った中央に1つ設けられるのが最も理想的である。この理由は、第2ロック受け部233を外壁232aの下端の短手方向Xに沿った中央に1つ設けることにより、必要最小限のロック数でがたつきなくロアカバー204との係止機能を果たせるからである。
しかしながら、仮に結束バンド取付部245が設けられていない場合であっても、上記第2ロック受け部233を外壁232aの下端の短手方向Xに沿った中央に設けること、即ち第2ロック受け部233をロック受け部252と高さ方向Yに沿って並ぶ位置に設けること、は、上述したアンダーカットの問題により困難であるという問題があった。
したがって、止むを得ず第2ロック受け部233を外壁232aの短手方向Xに沿った中央に1つ設ける場合は、この第2ロック受け部233をロック受け部252の外表面から長手方向Zに沿って突出した構成にせざるを得ず、こうして設けられたケースは、上述したケース201と同様に、第2ロック受け部233がロック受け部252の外表面から長手方向Zに沿って突出して設けられていることから、このケースの最外寸法、即ち長手方向Zに沿った寸法、が長くなってしまうという問題があった。
このように、アンダーカット状の外壁を有するケースを安価に製造することは容易ではなかったことから、ケースの設計自由度が低くなってしまい、当該ケースが大型化してしまうという問題や、当該ケースの構成が複雑になってしまうという問題があった。
したがって、本発明は、アンダーカット状の外壁を有しながらも安価に製造することができる設計自由度の高いケースを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、ケース本体と該ケース本体に着脱可能に取り付けられるカバーとを有するケースであって、前記ケース本体を構成する1つの外壁に、前記カバーに設けられたロック部に係止することが可能なロック受け部と、当該1つの外壁の表面から突出し、他の物品を取り付ける凸部と、が設けられているとともに、これらロック受け部と凸部とが、前記ケース本体を成型する一対の金型の開き方向に沿って並ぶ位置に設けられ、そして、前記1つの外壁が、外壁本体と、当該外壁本体に着脱可能に設けられた連結壁とで構成され、これら外壁本体と連結壁とのうち一方に前記ロック受け部が設けられ、他方に前記凸部が設けられていることを特徴とするケースである。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記外壁本体と前記連結壁とのうち前記ロック受け部が設けられた一方に、当該一方の外縁部から凹に切り欠かれているとともに内側に前記凸部が嵌め込まれる切り欠き部が設けられていることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載された発明において、前記凸部が、前記ケース本体の内部に引き込まれる電線を動かないように固定する前記他の物品としての結束部材を取り付ける結束部材取付部であることを特徴とするものである。また、前記結束部材としては、例えば、結束バンドや粘着テープなどを用いることができる。
請求項4に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載された発明において、前記ケース本体の前記カバーが取り付けられる側と反対側に着脱可能に取り付けられる前記他の物品としての第2カバーをさらに有し、そして、前記凸部が、前記第2カバーに設けられた第2ロック部に係止することが可能な第2ロック受け部であることを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明は、請求項1ないし請求項4のうち1項に記載された発明において、前記ケース本体が、前記外壁本体を有するフレーム本体と、該フレーム本体に着脱可能に設けられた前記連結壁を有するサイドカバーと、で構成され、前記サイドカバーが、前記ケース本体に収容された電気回路と電線の端末とを接続する接続部を覆うためのカバーであることを特徴とするものである。
請求項1に記載された発明によれば、ケース本体を構成する1つの外壁に、カバーに設けられたロック部に係止することが可能なロック受け部と、当該1つの外壁の表面から突出し、他の物品を取り付ける凸部と、が設けられているとともに、これらロック受け部と凸部とが、前記ケース本体を成型する一対の金型の開き方向に沿って並ぶ位置に設けられ、そして、前記1つの外壁が、外壁本体と、当該外壁本体に着脱可能に設けられた連結壁とで構成され、これら外壁本体と連結壁とのうち一方に前記ロック受け部が設けられ、他方に前記凸部が設けられていることから、アンダーカット状の1つの外壁を有するこのケース本体を、複雑な構成の射出成型機を用いることなく安価に製造することができる。このことにより、ケース本体の設計自由度が高くなるので、ケースを小型化したり、ケースの構造を簡素化することが可能になる。
請求項2に記載された発明によれば、前記外壁本体と前記連結壁とのうち前記ロック受け部が設けられた一方に、当該一方の外縁部から凹に切り欠かれているとともに内側に前記凸部が嵌め込まれる切り欠き部が設けられていることから、ケース本体にねじれ方向の外力が加えられた際、切り欠き部の内面と凸部の表面とが当接することにより、ケース本体の変形を最小限に抑えることができる。即ち、ケース本体の剛性を向上させることができる。
請求項3に記載された発明によれば、前記凸部が、前記ケース本体の内部に引き込まれる電線を動かないように固定する前記他の物品としての結束部材を取り付ける結束部材取付部であることから、外形寸法の肥大化を最小限に抑えることができるケースを提供することができる。
請求項4に記載された発明によれば、前記ケース本体の前記カバーが取り付けられる側と反対側に着脱可能に取り付けられる前記他の物品としての第2カバーをさらに有し、そして、前記凸部が、前記第2カバーに設けられた第2ロック部に係止することが可能な第2ロック受け部であることから、ロック数を必要最小限にすることができる簡素な構成のケースを提供することができる。また、外形寸法の肥大化を最小限に抑えることができるケースを提供することができる。
請求項5に記載された発明によれば、従来からフレーム本体と別体で設けられていたサイドカバーの連結壁にロック受け部または凸部を設けたことから、ケース本体の設計変更及びコストアップを最小限に抑えることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態にかかるケースを、図1及び図2に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るケースにより構成される電気接続箱を示す斜視図である。図2は、図1に示されたケースの要部を拡大して示す斜視図である。
本実施形態にかかるケース1は、図1に示す電気接続箱10を構成する。この電気接続箱10は、自動車のエンジンルームなどに取り付けられ、ワイヤハーネスのコネクタやリレー、ヒューズ、電子制御ユニットなどの複数の電気部品を収容するとともに、これら電気部品とこの自動車に搭載された多種多様な電子機器とを予め定められたパターンにしたがって電気的に接続するものである。
上記ケース1は、ケース本体3と、このケース本体3の上面に着脱可能に取り付けられるカバーとしてのアッパカバー2と、このケース本体3の下面に着脱可能に取り付けられるロアカバー4と、を有している。また、これらケース本体3、アッパカバー2、ロアカバー4は、絶縁性の合成樹脂からなり、周知の射出成型により成型されている。
また、図1及び図2中の矢印Yはケース1の高さ方向を示している。矢印Xはケース1の短手方向を示している。矢印Zはケース1の長手方向を示している。上記アッパカバー2は、高さ方向Yに沿ってケース本体3の上面に近付けられて取り付けられる。また、上記ロアカバー4は、高さ方向Yに沿ってケース本体3の下面に近付けられて取り付けられる。また、本明細書では、ケース1の高さ方向Yに沿ったアッパカバー2が取り付けられる側を上側と定義し、高さ方向Yに沿ったロアカバー4が取り付けられる側を下側と定義する。
上記ケース本体3は、短手方向Xと平行に設けられた互いに相対する一対の外壁32a,32cと、長手方向Zと平行に設けられた互いに相対する一対の外壁32b,32dと、により四角い枠状に設けられている。また、これら外壁32a,32b,32c,32dは、それぞれ、高さ方向Yに沿って延び、互いに端部が連なって設けられている。また、これら外壁32a,32b,32c,32dの内側は、複数の隔壁により多数の空間に仕切られており、これら多数の空間には、前述したリレーやヒューズなどの電気部品が装着される。
また、上記一対の外壁32a,32cには、アッパカバー2に設けられた後述のロック部23に係止するロック受け部52が1つずつ設けられている。これらロック受け部52は、外壁32a,32cの表面から長手方向Zに沿って突出して設けられているとともに、内側に前記ロック部23を位置付けることが可能な枠状に設けられている。また、各ロック受け部52は、外壁32a,32cの上端でかつ短手方向Xに沿った中央に設けられている。そして、これらロック受け部52に後述のロック部23が係止することにより、アッパカバー2がケース本体3の各種電気部品が装着された上面を覆う格好でケース本体3に取り付けられる。
また、上記一対の外壁32a,32cの下端には、ロアカバー4に設けられた後述の第2ロック部43に係止する第2ロック受け部33が1つずつ設けられている。これら第2ロック受け部33は、外壁32a,32cの表面から長手方向Zに沿って突出して設けられているとともに、内側に前記第2ロック部43を位置付けることが可能な筒状に設けられている。また、上記一対の外壁32b,32dの下端には、第2ロック受け部33が2つずつ互いに間隔をあけて設けられている。これら第2ロック受け部33は、外壁32b,32dの表面から短手方向Xに沿って突出して設けられているとともに、内側に前記第2ロック部43を位置付けることが可能な筒状に設けられている。そして、これら第2ロック受け部33に後述の第2ロック部43が係止することにより、ロアカバー4がケース本体3の各種電気部品が装着された下面を覆う格好でケース本体3に取り付けられる。
また、上記外壁32aは、短手方向Xに沿った中央に位置し、高さ方向Yに沿った下方即ちロアカバー4側に突出した突出壁部7を有している。この突出壁部7の下端には、凸部、即ち結束部材取付部としての結束バンド取付部45が設けられている。即ち、外壁32aは、特許請求の範囲に記載した1つの外壁に相当する。
上記結束バンド取付部45は、他の物品、即ち結束部材としての結束バンド6、を取り付けるためのものであり、突出壁部7の下端から長手方向Z方向に立設した立設部46と、この立設部46に連なり枠状に設けられた3つの枠状部47a,47b,47cと、を有している。即ち、結束バンド取付部45は、外壁32aの表面から長手方向Zに沿って突出して設けられている。このような結束バンド取付部45は、これら3つの枠状部47a,47b,47cに結束バンド6の後述のバンド部61を通すことにより、この結束バンド6を取り付ける。
上記結束バンド6は、ケース本体3の内部に引き込まれる電線としてのワイヤハーネスを動かないように固定するためのものである。この結束バンド6は、合成樹脂で構成され、帯状に設けられたバンド部61と、このバンド部61の一端に設けられ、前記ワイヤハーネスの外周に巻き付けられるバンド部61の他端を固定する固定部62と、を有している。この結束バンド6は、前記ワイヤハーネスの外周に巻き付けられて、該ワイヤハーネスがばたつくことを防止する。
上記ワイヤハーネスは、ロアカバー4に設けられているとともに突出壁部7の下端に面して設けられたハーネス引き込み孔44を通されて、ケース本体3の内部に引き込まれる。そして、このワイヤハーネスの端末が、ケース本体3に設けられた接続部において、ケース本体3に収容された電気回路と接続される。また、前記接続部は、外壁32aと外壁32bとが交わる角部の内側に設けられている。
さらに、ケース本体3は、フレーム本体30とこのフレーム本体30に着脱可能に設けられたサイドカバー5とで構成されている。このサイドカバー5は、上述した接続部を覆うためのカバーである。このサイドカバー5は、前記電気回路と前記ワイヤハーネスの端末とを接続する(または取り外す)作業時にはフレーム本体30から取り外され、それ以外の時はフレーム本体30に取り付けられている。
さらに、上記サイドカバー5は、上記外壁32aの一部を構成する第1の壁50と、この第1の壁50の端部に連なり、上記外壁32bの一部を構成する第2の壁51と、を有するL字型形状に設けられている。即ち、上記外壁32aは、外壁32dと一体に設けられた部分8、即ちフレーム本体30を構成する部分8と、前記第1の壁50と、の2部材で構成されている。同様に、上記外壁32bは、外壁32cと一体に設けられた部分9、即ちフレーム本体30を構成する部分9と、前記第2の壁51と、の2部材で構成されている。
このようなサイドカバー5は、第1の壁50の端部53が、外壁32aの外壁32dと一体に設けられた部分8の端部に設けられた係止部34に嵌め込まれ、かつ、第2の壁51の端部54が、外壁32bの外壁32cと一体に設けられた部分9の端部に設けられた係止部34に嵌め込まれることにより、フレーム本体30に取り付けられる。
また、外壁32aの外壁32dと一体に設けられた部分8は、特許請求の範囲に記載した外壁本体に相当し、第1の壁50は、連結壁に相当する。さらに、上述した「外壁32aに設けられたロック受け部52」は、この第1の壁50に一体に設けられている。さらに、上述した「外壁32aに設けられた第2ロック受け部33」と「突出壁部7」とは、前記部分8に一体に設けられている。
そして、この第1の壁50に一体に設けられたロック受け部52と、突出壁部7に一体に設けられた前記結束バンド取付部45とは、サイドカバー5がフレーム本体30に取り付けられることにより、短手方向Xに沿った中央でかつ高さ方向Yに沿って並ぶ位置に位置付けられる。さらに、前記部分8を含むフレーム本体30は、一対の金型(主型)を用いた射出成型により構成され、この一対の金型の開き方向は高さ方向Yと一致する。即ち、ロック受け部52と結束バンド取付部45とは、フレーム本体30即ちケース本体3を成型する一対の金型の開き方向に沿って直線上に並ぶ位置に位置付けられている。即ち、ロック受け部52と結束バンド取付部45とを前記一対の金型の開き方向、即ち高さ方向Y、に沿った同一平面上に有する外壁32aは、「アンダーカット状の外壁」をなす。
また、前記部分8に設けられた第2ロック受け部33と、前記結束バンド取付部45とは、フレーム本体30即ちケース本体3を成型する一対の金型の開き方向、即ち高さ方向Y、に沿って直線上に並ばない位置に位置付けられている。
上記アッパカバー2は、長方形の板状に設けられた天井壁21と、この天井壁21の外縁から高さ方向Yに沿って立設した4つの外壁22と、により箱状に設けられている。これら4つの外壁22のうち、幅が小さく形成された互いに相対する一対の外壁22a、即ち短手方向Xと平行に設けられた一対の外壁22a、には、ケース本体3に設けられたロック受け部52に係止するロック部23が1つずつ設けられている。また、各ロック部23は、外壁22aの短手方向Xに沿った中央に設けられている。
上記ロアカバー4は、板状に設けられた底壁と、この底壁から高さ方向Yに沿って立設した複数の外壁と、により箱状に設けられている。これら複数の外壁のうち、ケース本体の外壁32a,32b,32c,32dと重なる4つの外壁42の上端には、ケース本体3に設けられた第2ロック受け部33に係止する第2ロック部43がそれぞれ設けられている。さらに、これら外壁42のうちケース本体3の1つの外壁32aと重ねられる外壁42aには、上述したハーネス引き込み孔44が設けられている。このハーネス引き込み孔44は、突出壁部7の下端に面して設けられている。
本発明では、上述したように、ロック受け部52と結束バンド取付部45とを、ケース本体3を構成する1つの外壁32aに設けるとともに、これらロック受け部52と結束バンド取付部45とを、ケース本体3を成型する一対の金型の開き方向に沿って直線上に並ぶ位置に設けた構成としたことから、当該ケース本体3の長手方向Zに沿った寸法、即ちケース1の最外寸法、を従来のケース201よりも小さくすることができる。即ち、外形寸法の肥大化を最小限に抑えることができるケース1を提供することができる。また、このようなアンダーカット状の外壁32aを、フレーム本体30を構成する部分8と、サイドカバー5の第1の壁50との2部材で構成するとともに、第1の壁50にロック受け部52を設け、前記部分8に結束バンド取付部45を設けた構成としたことから、このケース本体3、即ちケース本体30、を、複雑な構成の射出成型機を用いることなく安価に製造することができる。
さらに、本発明では、従来からフレーム本体30と別体で設けられていたサイドカバー5に着目し、このサイドカバー5の第1の壁50にロック受け部52を設けたことから、ケース本体3の設計変更及びコストアップを最小限に抑えることができる。
また、上述した第1の実施形体では、結束部材取付部として、結束バンド6を取り付ける結束バンド取付部45を設けていたが、本発明では、結束バンド6の代わりに例えば粘着テープを用いてワイヤハーネスを固定するようにしても良い。その場合は、結束部材取付部を、突出壁部7の下端から長手方向Z方向に立設した立設部46を設けただけの構成にし、この立設部46とワイヤハーネスとを前記粘着テープで互いに固定すれば良い。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態にかかるケースを、図3及び図4に基づいて説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係るケースにより構成される電気接続箱を示す斜視図である。図4は、図3に示されたケースの要部を拡大して示す斜視図である。また、これらの図において、前述した第1の実施形体と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態にかかるケース101は、図3に示す電気接続箱110を構成する。この電気接続箱110も、前述した第1の実施形体と同様に自動車のエンジンルームなどに取り付けられるものである。
上記ケース101は、ケース本体103と、このケース本体103の上面に着脱可能に取り付けられるカバーとしてのアッパカバー2と、このケース本体103の下面に着脱可能に取り付けられる他の物品、即ち第2カバーとしてのロアカバー104と、を有している。また、これらケース本体103、アッパカバー2、ロアカバー104は、絶縁性の合成樹脂からなり、周知の射出成型により成型されている。
上記ケース本体103は、短手方向Xと平行に設けられた互いに相対する一対の外壁132a,32cと、長手方向Zと平行に設けられた互いに相対する一対の外壁32b,32dと、により四角い枠状に設けられている。また、外壁132aは、特許請求の範囲に記載した1つの外壁に相当する。
また、上記一対の外壁132a,32cには、アッパカバー2に設けられたロック部23に係止するロック受け部52が1つずつ設けられている。これらロック受け部52は、外壁132a,32cの表面から長手方向Zに沿って突出して設けられている。また、各ロック受け部52は、外壁132a,32cの上端でかつ短手方向Xに沿った中央に設けられている。
また、上記一対の外壁132a,32cの下端には、ロアカバー104に設けられた第2ロック部43に係止する第2ロック受け部33が1つずつ設けられている。これら第2ロック受け部33は、外壁132a,32cの表面から長手方向Zに沿って突出して設けられている。また、上記一対の外壁32b,32dの下端には、第2ロック部43に係止する第2ロック受け部33が2つずつ互いに間隔をあけて設けられている。
また、外壁132aに設けられた第2ロック受け部33aは、短手方向Xに沿った中央に設けられている。即ち、外壁132aに設けられたロック受け部52と第2ロック受け部33aとは高さ方向Yに沿って直線上に並ぶ位置に設けられている。また、第2ロック受け部33aは、特許請求の範囲に記載した凸部に相当する。
さらに、ケース本体103は、フレーム本体130とこのフレーム本体130に着脱可能に設けられたサイドカバー105とで構成されている。このサイドカバー105は、上述した接続部を覆うためのカバーである。このサイドカバー105は、上記外壁132aの一部を構成する第1の壁150と、この第1の壁150の端部に連なり、上記外壁32bの一部を構成する第2の壁51と、を有するL字型形状に設けられている。即ち、上記外壁132aは、外壁32dと一体に設けられた部分108、即ちフレーム本体130を構成する部分108と、サイドカバー105を構成する前記第1の壁150と、の2部材で構成されている。
このようなサイドカバー105は、第1の壁150の端部53が、外壁132aの外壁32dと一体に設けられた部分108の端部に設けられた係止部34に嵌め込まれ、かつ、第2の壁51の端部54が、外壁32bの外壁32cと一体に設けられた部分9、即ちフレーム本体130を構成する部分9の端部に設けられた係止部34に嵌め込まれることにより、フレーム本体130に取り付けられる。
また、外壁132aの外壁32dと一体に設けられた部分108、即ちフレーム本体130を構成する部分108は、特許請求の範囲に記載した外壁本体に相当し、サイドカバー105の第1の壁150は、連結壁に相当する。さらに、上述した「外壁132aに設けられたロック受け部52」は、この第1の壁150に一体に設けられている。さらに、上述した「外壁132aに設けられた第2ロック受け部33a」は、前記部分108に一体に設けられている。
そして、この第1の壁150に一体に設けられたロック受け部52と、前記部分108に一体に設けられた第2ロック受け部33aとは、サイドカバー105がフレーム本体130に取り付けられることにより、短手方向Xに沿った中央でかつ高さ方向Yに沿って並ぶ位置に位置付けられる。さらに、前記部分108を含むフレーム本体130は、一対の金型(主型)を用いた射出成型により構成され、この一対の金型の開き方向は高さ方向Yと一致する。即ち、ロック受け部52と第2ロック受け部33aとは、フレーム本体130即ちケース本体103を成型する一対の金型の開き方向に沿って直線上に並ぶ位置に位置付けられている。即ち、ロック受け部52と第2ロック受け部33aとを前記一対の金型の開き方向、即ち高さ方向Y、に沿った同一平面上に有する外壁132aは、「アンダーカット状の外壁」をなす。
さらに、上記第1の壁150には、図4に示すように、第1の壁150の下端に位置する外縁部から凹に切り欠かれているとともに内側に第2ロック受け部33aが嵌め込まれる切り欠き部152が設けられている。即ち、切り欠き部152は、第2ロック受け部33aの外郭に沿うように設けられている。このような切り欠き部152が設けられたケース本体103は、ねじれ方向の外力が加えられた際、切り欠き部152の内面と第2ロック受け部33aの表面とが当接することにより、ケース本体103の変形を最小限に抑えることができる。即ち、切り欠き部152を設けることにより、ケース本体103の剛性を向上させることができる。
上記ロアカバー104は、本実施形態では、1つの外壁132aと重ねられる外壁142aにハーネス引き込み孔44が設けられていない。そして、この外壁142aの上端には、第2ロック受け部33aに係止する第2ロック部43aが設けられている。
本発明では、上述したように、ロック受け部52と第2ロック受け部33aとを、外壁132aの短手方向Xに沿った中央に位置付けた構成、即ちロック受け部52と第2ロック受け部33aとを、ケース本体103を成型する一対の金型の開き方向に沿って直線上に並ぶ位置に設けた構成としたことから、1つの第2ロック受け部33aでがたつきなくロアカバー104との係止機能を果たすことができるので、従来この外壁132aに2つ設けられていた第2ロック受け部33aを1つに減らすことができ、ケース101の構成を従来のケース201よりも簡素化することができる。また、従来のケース201のように第2ロック受け部233をロック受け部252の外表面から長手方向Zに沿って突出した構成にしなくて良いので、外形寸法の肥大化を最小限に抑えることができるケース103を提供することができる。また、このようなアンダーカット状の外壁132aを、フレーム本体130を構成する部分108と、サイドカバー105の第1の壁150との2部材で構成するとともに、第1の壁150にロック受け部52を設け、前記部分108に第2ロック受け部33aを設けた構成としたことから、このケース本体103、即ちケース本体130、を、複雑な構成の射出成型機を用いることなく安価に製造することができる。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。