JP7263052B2 - アルカリ可溶性樹脂、硬化性樹脂組成物及びその用途 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、水親和性のアクリル単量体と、ジシクロペンテニルオキシアクリレート等のジシクロペンテニルオキシアルキル系アクリル単量体とが共重合されたアクリル樹脂を含有する感光性樹脂組成物が記載されている。また、例えば、特許文献2には、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体由来の構成単位とともに、主鎖に環構造を有し、更に水酸基を有する(メタ)アクリレート系重合体と、重合性化合物と、光重合開始剤を含む硬化性樹脂組成物が記載されている。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(1)で表されるビニル系単量体由来の構造単位(A)、及び、側鎖に酸基を有する構造単位(B)を有することを特徴とする。
<構造単位(A)>
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(1)で表されるビニル系単量体由来の構造単位(A)を有する。
上記一般式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を表す。
上記炭化水素基の炭素数は、1~15であることが好ましく、1~12であることがより好ましく、1~10であることが更に好ましい。
上記炭化水素基は、一価又は二価の炭化水素基であることが好ましい。
上記R2及びR3は、互いに連結して環を形成していてもよい。R2及びR3が互いに連結して環を形成する場合は、R2及びR3は、二価の炭化水素基であることが好ましい。
すなわち、上記一般式(1)で表されるビニル系単量体は、R2、R3が一価の炭化水素基である場合、鎖状の尿素部位を有する化合物となり、R2及びR3が二価の炭化水素基である場合、環状の尿素部位を有する化合物となる。
上記脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよいが、飽和炭化水素基であることが好ましい。
一価の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル、n-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル又はn-エイコシル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基を挙げることができる。なかでも、炭素数1~15のアルキル基が好ましく、炭素数1~12のアルキル基がより好ましい。
上記アルキレン基としては、炭素数1~12のアルキレン基が好ましく、炭素数1~10のアルキレン基がより好ましい。上記アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよいが、直鎖状が好ましい。
上記シクロアルキレン基としては、炭素数3~12のシクロアルキレン基が好ましく、炭素数3~10のアルキレン基がより好ましい。
上記アリーレン基としては、炭素数6~12のアリーレン基が好ましく、炭素数6~10のアリーレン基がより好ましい。
上記二価の連結基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、-O-、-CO-、-NH-、及びこれらを組み合わせた二価の連結基が挙げられる。
上記アルキレン基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。また、上記アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基は、水酸基、カルボキシル基等の置換基を有していてもよい。
なかでも、上記二価の連結基としては、モノマー合成が比較的容易である点や、汎用性、入手性、相溶性等の観点から、-CO-O-(CH2)p-(pは1~6の整数である。)、-CO-NH-(CH2)p-(pは1~6の整数である。)、-CO-O-(CH2)p-CO-NH-(CH2)q-(p及びqは、同一又は異なって、1~6の整数である。)、-(CH2)p-O-(CH2)q-CH(OH)-(CH2)r-NH-(CH2)s-(p、q、r及びsは、同一又は異なって、1~6の整数である。)が好ましい。
上記一般式(2)において、R5は、炭素数2~12の二価の炭化水素基を表す。上記二価の炭化水素基としては、上述した一般式(1)における二価の炭化水素基と同様のものが好ましく挙げられる。
なかでも、上記一般式(2)において、上記二価の炭化水素基は、二価の飽和炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1~6のアルキレン基であることが更に好ましい。上記アルキレン基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
また、上記アルカリ可溶性樹脂が、上記一般式(1)においてR2及びR3が互いに連結して環を形成しているビニル系単量体由来の構造単位を有する場合、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の溶媒との親和性がより高くなり、当該溶媒と上記アルカリ可溶性樹脂を含む樹脂組成物を調製した場合に適度な粘性を有することができ、扱いやすくなる。
上記一般式(1)で表されるビニル系単量体は、例えば、特許第6173308号公報に記載の方法により製造することができる。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、更に、側鎖に酸基を有する構造単位(B)を有する。
上記酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基、スルホン酸基等、アルカリ水と中和反応する官能基が挙げられ、これらの1種のみを有していてもよいし、2種以上有していてもよい。なかでも、上記酸基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
上記(1)の方法では、上記構造単位(B)は、酸基含有単量体由来の構造単位である。上記(2)の方法では、上記構造単位(B)は、エポキシ基含有単量体由来の構造単位に酸基含有単量体を反応させ、更に多塩基酸又は多塩基酸無水物を反応させて生じたカルボキシル基を含む構造単位である。
なかでも、上記構造単位(B)は、酸基含有単量体由来の構造単位であることが好ましい。
上記重合性二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記エポキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β-メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β-エチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルが好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルがより好ましい。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、主鎖に環構造を有する環構造含有重合体であることが好ましい。主鎖に環構造を含むことにより、樹脂の耐熱性を向上させることができる。
上記環構造としては、イミド環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環等が挙げられる。これらの環構造を有するために、上記アルカリ可溶性樹脂は、主鎖に環構造を有する構造単位(C)を有することが好ましい。
主鎖に環構造を導入しうる単量体を含む単量体成分を重合することにより、上記構造単位(C)を有するアルカリ可溶性樹脂を得ることができる。
上記α-(アリルオキシメチル)アクリレート系単量体の具体例としては、例えば、α-アリルオキシメチルアクリル酸;α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸i-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘプチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸2-エチルヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸カプリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸デシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メリシル等のアルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体;α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-メトキシブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエトキシエチル等のアルコキシアルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体;α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシプロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フルオロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフルオロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸クロロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジクロロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ブロモエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジブロモエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ビニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メタリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸クロチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸プロパギル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-メチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリシクロデカニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸イソボルニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アダマンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンタジエニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ベンジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シンナミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ナフチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アントラニル;等が挙げられる。なかでも、アルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体が好適である。上記アルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体としては、透明性や分散性、工業的入手の容易さ等の観点から、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル(メチル-(α-アリルオキシメチル)アクリレートとも称する)が特に好適である。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、更に、-COO*R6(R6は、一価の有機基を表し、O*に結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。)基を含有するビニル系単量体由来の構造単位(D)を有していてもよい。上記構造単位(D)を更に含むことにより、耐溶剤性をより一層向上させることができる。また、現像のパターン形成が良好になる。
R6の炭素数は、より好ましくは炭素数1~50であり、更に好ましくは炭素数1~35であり、特に好ましくは炭素数1~20である。
R6は、後述する式(a)中のAと同様の一価の有機基であることが好ましい。
上記3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体は、(メタ)アクリロイル基に隣接する酸素原子が第3級炭素原子と結合した構造を有するものであることが好ましい。
CH2=C(R7)-C(=O)-O-A (a)
(式中、R7は、水素原子又はメチル基を表す。Aは、酸素原子側に第3級炭素原子を有する構造を含む、一価の有機基を表す。)で表される化合物であることが好ましい。
すなわち、加熱により、上記構造単位(D)において、カルボキシル基が生成し、その結果、アルカリ可溶性樹脂の親水性が向上し、現像性がより一層向上しうる。
上記アルカリ可溶性樹脂は、上記構造単位(D)を1種のみ有していてもよし、2種以上有していてもよい。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、更に、側鎖に水酸基を有することが好ましい。
上記アルカリ可溶性樹脂が側鎖に水酸基を有することにより、耐溶剤性をより一層向上させることができる。また、現像のパターン形成性が良好になる。上記アルカリ可溶性樹脂は、上述した構造単位(D)とともに、側鎖に水酸基を有することが好ましい。
側鎖に水酸基を有するために、上記アルカリ可溶性樹脂は、水酸基含有単量体由来の構造単位(E)を有することが好ましい。
上記水酸基含有単量体としては、分子中に水酸基と重合性二重結合を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2,3-ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられ、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルがより好ましく挙げられる。
上記アルカリ可溶性樹脂は、上記構造単位(E)を1種のみ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、上述した構造単位(A)~(D)以外に、必要に応じて他の構造単位(F)を更に有していてもよい。
上記他の構造単位としては、例えば、構造単位(D)を導入しうる単量体以外の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、他の共重合可能な単量体等由来の構造単位が挙げられる。
また、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールルジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、p-メンタン-1,8-ジオールジ(メタ)アクリレート、p-メンタン-2,8-ジオールジ(メタ)アクリレート、p-メンタン-3,8-ジオールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.2]-オクタン-1-メチル-4-イソプロピル-5,6-ジメチロールジ(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレートや、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、エチルグリシジル(メタ)アクリレート等の脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。
N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム等の重合体分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、メトキシスチレン等の芳香族ビニル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルモルフォリン、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネート等の不飽和イソシアネート類;等が挙げられる。
上記アルカリ可溶性樹脂は、上記構造単位(F)を1種のみ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。
上記酸価は、KOH溶液を用いた中和滴定法により求めることができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法で求めることができる。
上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により求めることができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法で求めることができる。
本発明のアルカリ可溶性樹脂を製造する方法としては、少なくとも上述した構造単位(A)及び(B)を有する樹脂を得ることができる方法であれば、特に限定されず、例えば、上述した構造単位(A)及び(B)を導入しうる単量体、ならびに他の任意の構造単位を導入しうる単量体を含む単量体成分を、公知の方法で重合する方法等が挙げられる。単量体の量は、上記アルカリ可溶性樹脂における各構造単位の含有割合が所望の範囲となるよう適宜調整することができる。
また上記単量体成分を重合して得られる重合体の分子量は、重合開始剤の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量の調整等により制御することができる。
上記重合において使用する重合開始剤、連鎖移動剤や溶媒としては、公知のものを使用すればよく、例えば、特許6158636号の段落[0042]~[0051]に記載される重合開始剤、連鎖移動剤、溶媒が挙げられる。またこれらの使用量も適宜設定することができる。
上記多塩基酸又は多塩基酸無水物の使用量は特に限定されず、得られるアルカリ可溶性樹脂の酸価が上述した範囲となるように適宜設定することができる。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、現像速度が速く、現像性に優れ、耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。また、負に帯電したガラスやプラスチック等の基材への密着性に優れた硬化物を与えることができる。上記アルカリ可溶性樹脂は、感光性樹脂として好適に使用される。上記アルカリ可溶性樹脂は、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いられるカラーフィルター、ブラックマトリクス、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト、絶縁膜等の光学分野や電機・電子分野における各種用途において好適に使用される。
上述したアルカリ可溶性樹脂は、更に重合性化合物と組み合わせることにより、硬化性樹脂組成物とすることができる。上記硬化性樹脂組成物は、上記アルカリ可溶性樹脂を含むので、現像速度が速く現像性に優れ、耐溶剤性及び基材への密着性に優れた硬化物を与えることができる。また、更に重合性化合物を含むことにより、樹脂組成物の硬化性や、機械的強度、耐熱性等の各種物性が優れた硬化物を与えることができる。このような、上記アルカリ可溶性樹脂、及び、重合性化合物を含有する硬化性樹脂組成物もまた、本発明の一つである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物として好適に用いることができる。
なお、「固形分総量」とは、硬化物を形成する成分(硬化物の形成時に揮発する溶媒等を除く)の総量を意味する。
上記重合性化合物は、フリーラジカル、電磁波(例えば赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー線の照射等により重合し得る、重合性不飽和結合(重合性不飽和基とも称す)を有する低分子化合物である。例えば、重合性不飽和基を分子中に1つ有する単官能の化合物と、2個以上有する多官能の化合物が挙げられる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;
また上記重合性化合物の分子量としては特に限定されないが、取り扱いの観点から、例えば、2000以下が好ましい。
上記重合性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤を含むことにより、硬化性樹脂組成物の硬化性を向上させ、得られる硬化物の性能を向上させることができる。
本発明において使用する光重合開始剤としては、好ましくはラジカル重合性の光重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合性の光重合開始剤とは、電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生させるものである。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて更に他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、例えば、溶剤;色材;分散剤;酸化防止剤;耐熱向上剤;レベリング剤;現像助剤;シリカ微粒子等の無機微粒子;シラン系、アルミニウム系、チタン系等のカップリング剤;フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール等の熱硬化性樹脂;多官能チオール化合物等の硬化助剤;可塑剤;重合禁止剤;紫外線吸収剤;艶消し剤;消泡剤;帯電防止剤;スリップ剤;表面改質剤;揺変化剤;揺変助剤;キノンジアジド化合物;多価フェノール化合物;カチオン重合性化合物;酸発生剤;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの成分は、公知のものから適宜選択して使用するとよく、その使用量も適宜設定することができる。例えば、上記硬化性樹脂組成物をカラーフィルター用途に使用する場合には、上記硬化性樹脂組成物は色材を含むことが好ましい。
上記溶剤としては、硬化性樹脂組成物において通常使用するものを使用することができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、特許第6158636号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記色材としては、例えば、顔料又は染料等が挙げられる。上記色材として、顔料又は染料の一方を使用してもよいし、顔料と染料を組み合わせて使用してもよい。例えば、カラーフィルターの赤色、青色、緑色画素を形成する場合、青と紫、緑と黄等、色材を適宜組み合わせて求める色特性が発揮されるような公知の手法を用いるとよい。また、ブラックマトリックスやブラックカラムスペーサーを形成する場合、黒の色材を用いるとよい。
これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物が上記色材を含む場合、更に分散剤を含むことが好ましい。
上記分散剤とは、色材への相互作用部位と分散媒(例えば溶剤やバインダー樹脂)への相互作用部位とを有し、色材の分散媒への分散を安定化する働きを持つものであり、一般的には、樹脂型分散剤、界面活性剤、色素誘導体に分類される。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記硬化性樹脂組成物を調製する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いればよく、例えば、上述した各含有成分を、各種の混合機や分散機を用いて混合分散する方法が挙げられる。混合・分散工程は特に限定されず、公知の方法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含んでいてもよい。なお、上記硬化性樹脂組成物が色材を含む場合は、色材の分散処理工程を経て調製することが好ましい。
なお、得られた硬化性樹脂組成物は、フィルター等によって、濾過処理をして微細なゴミを除去するのが好ましい。
本発明のアルカリ可溶性樹脂、及び硬化性樹脂組成物は、上述したように、現像速度が速く、耐溶剤性、基材への密着性に優れた硬化物を与えるものである。また、上記硬化物は、表面硬度、耐熱性及び透明性等の各種性能にも優れる。このような、基板(基材)上に、上記アルカリ可溶性樹脂の硬化物、又は、上記硬化性樹脂組成物の硬化物を有する積層体もまた、本発明の一つである。
上記基板(基材)としては、特に限定されず、目的や用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、ガラス板、プラスチック板等、種々の材料からなる基材が挙げられる。なかでも、密着性により一層優れる点で、ガラス、又は、プラスチックからなる基材が好ましい。
このように上記硬化性樹脂組成物の硬化物を有するカラーフィルターもまた、本発明の一つである。以下、カラーフィルターについて、説明する。
本発明のカラーフィルターは、基板上に、上記硬化性樹脂組成物の硬化物を有する形態からなる。
上記カラーフィルターにおいて、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化物は、例えば、ブラックマトリクスや、赤色、緑色、青色、黄色等の各画素のような着色が必要なセグメントとして特に好適であるが、フォトスペーサー、保護層、配向制御用リブ等の着色が必ずしも必要としないセグメントとしても好適である。
上記カラーフィルターを得るには、例えば、画素一色につき(すなわち、一色の画素ごとに)、基板上に、上記硬化性樹脂組成物を配置する工程(配置工程とも称する)と、該基板上に配置された硬化性樹脂組成物に光を照射する工程(光照射工程とも称する)と、現像液により現像処理する工程(現像工程とも称する)と、加熱処理する工程(加熱工程とも称する)とを含む手法を採用し、これと同じ手法を各色で繰り返す製造方法を採用することが好適である。なお、各色の画素の形成順序は、特に限定されるものではない。
上記配置工程は、塗布により行うことが好適である。基板上に上記硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、スピン塗布、スリット塗布、ロール塗布、流延塗布等が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。
上記光照射工程において、使用される活性光線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が使用される。また、露光機の方式としては、プロキシミティー方式、ミラープロジェクション方式、ステッパー方式が挙げられるが、プロキシミティー方式が好ましく用いられる。
なお、活性エネルギー光線の照射工程では、用途によっては、所定のマスクパターンを介して活性エネルギー光線を照射することとしてもよい。この場合、露光部が硬化し、硬化部が現像液に対して不溶化又は難溶化されることになる。
上記現像工程は、上述した光照射工程の後、現像液によって現像処理し、未露光部を除去しパターンを形成する工程である。これにより、パターン化された硬化膜を得ることができる。現像処理は、通常、10~50℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法で行うことができる。
上記加熱工程は、上述した現像工程の後、焼成によって露光部(硬化部)を更に硬化させる工程(後硬化工程とも称する)である。例えば、高圧水銀灯等の光源を使用して、例えば0.5~5J/cm2の光量で後露光する工程や、例えば60~260℃の温度で10秒~120分間にわたって後加熱する工程等が挙げられる。このような後硬化工程を行うことにより、パターン化された硬化膜の硬度及び密着性を更に強固なものとすることが可能になる。
なお、上記加熱工程により得られる塗膜(すなわち硬化膜)の膜厚は、加熱前の塗膜の膜厚を100%とすると、90%以下であることが好適である。より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。
本発明はまた、上述したカラーフィルターを備えることを特徴とする表示装置でもある。
なお、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化物を有する表示装置用部材及び表示装置もまた、本発明の好適な実施形態に含まれる。上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化物(硬化膜)は、安定して、基板等に対する密着性に優れ、かつ高硬度であるうえ、高平滑性を示し、高い透過率を有するものであるから、透明部材として特に好適であり、また、各種表示装置における保護膜や絶縁膜としても有用である。
なお、上記硬化物(硬化膜)を表示装置用部材として用いる場合、当該部材は、上記硬化膜から構成されるフィルム状の単層又は多層の部材であってもよいし、該単層又は多層の部材に更に他の層が組み合わされた部材であってもよいし、また、上記硬化膜を構成中に含む部材であってもよい。
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液として、HLC-8220GPC(東ソー社製)、カラム:TSKgel SuperHZM-M(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量を測定した。
樹脂溶液をアルミカップに約1gはかり取り、アセトン約3gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。そして、真空乾燥機(EYELA社製、商品名:VOS-301SD)を用い、真空下140℃で1.5時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、質量を測定した。その質量減少量から、樹脂溶液の固形分(質量%)を計算した。
樹脂溶液3gを精秤し、アセトン90gと水10gとの混合溶媒に溶解し、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、商品名:COM-1700A)により、樹脂溶液の酸価を測定し、溶液の酸価と溶液の固形分とから固形分1g当たりの酸価(AV)を求めた。
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)236.3部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、N-ベンジルマレイミド(BzMI)17.5部、メタクリル酸t-ブチル(TBMA)61.3部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)35.0部、メタクリル酸メチル(MMA)16.5部、2-メタクリロイルオキシエチルエチレン尿素(MEEU)25%MMA溶液(BASF社製「UMA25%MMA」)29.0部、アクリル酸(AA)15.8部及びt-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(アルケマ吉富社製「ルペロックス575」、以下L575ともいう)3.9部、PGMEA17.5部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-ドデシルメルカプタン(n-DM)1.1部、PGMEA71.2部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。その後30分90℃を保持した後、L575を1.0g添加した。更に90℃で30分保持した後、115℃まで昇温し90分間熟成を行った。その後、室温まで冷却し、樹脂溶液1を得た。
得られた樹脂溶液1を分析したところ、重量平均分子量は17400、酸価は72mgKOH/g、樹脂固形分は34.1質量%であった。
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、PGMEA254.3部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、BzMI17.5部、TBMA61.3部、HEMA35.0部、MMA12.4部、UMA25%MMA21.8部、AA27.1部及びL575を3.9部、PGMEA17.5部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM1.1部、PGMEA42.3部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。その後30分90℃を保持した後、L575を1.0g添加した。更に90℃で30分保持した後、115℃まで昇温し90分間熟成を行った。その後、室温まで冷却し、樹脂溶液2を得た。
得られた樹脂溶液2を分析したところ、重量平均分子量は20300、酸価は123mgKOH/g、樹脂固形分は34.4質量%であった。
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、PGMEA236.3部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、BzMI17.5部、TBMA61.3部、HEMA35.0部、MMA13.4部、UMA25%MMA23.7部、メタクリル酸(MAA)24.2部及びL575を3.9部、PGMEA17.5部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM1.1部、PGMEA71.2部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。その後30分90℃を保持した後、L575を1.0g添加した。更に90℃で30分保持した後、115℃まで昇温し90分間熟成を行った。その後、室温まで冷却し、樹脂溶液3を得た。
得られた樹脂溶液3を分析したところ、重量平均分子量は16800、酸価は92mgKOH/g、樹脂固形分は33.9質量%であった。
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、PGMEA112.1部とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)74.7部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、BzMI11.0部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)25.3部、MMA8.8部、UMA25%MMA15.4部、MAA49.5部及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(商品名「パーブチル(登録商標)」O、日油社製、以下PBOともいう)を2.2部、PGMEA6.6部、PGME4.4部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM3.1部、PGMEA59.8部、PGME39.8部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。その後30分90℃を保持した後、PBOを0.6部添加した。更に90℃で30分保持した後、115℃まで昇温し90分間熟成を行った。その後、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル(GMA)45.4部、重合禁止剤としてアンテージW-400(川口化学工業社製)0.2部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.5gを仕込み、110℃で1時間、115℃で7時間反応させた。その後、室温まで冷却し、樹脂溶液4を得た。
得られた樹脂溶液4を分析したところ、重量平均分子量は14400、酸価は105mgKOH/g、樹脂固形分は34.1質量%であった。
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、PGMEA945.3部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、BzMI60.0部、TBMA210.0部、HEMA120.0部、MMA156.0部、AA54.0部及びL575を13.2部、PGMEA60.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM3.7部、PGMEA109.0部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。その後30分90℃を保持した後、L575を3.3g添加した。更に90℃で30分保持した後、115℃まで昇温し90分間熟成を行った。その後、室温まで冷却し、樹脂溶液5を得た。
得られた樹脂溶液5を分析したところ、重量平均分子量は18800、酸価は72mgKOH/g、樹脂固形分は34.2質量%であった。
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、PGMEA1065.6部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、BzMI65.0部、TBMA227.5部、HEMA130.0部、MMA126.8部、AA100.8部及びL575を14.3部、PGMEA65.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM4.0部、PGMEA76.6部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。その後30分90℃を保持した後、L575を3.6g添加した。更に90℃で30分保持した後、115℃まで昇温し90分間熟成を行った。その後、室温まで冷却し、樹脂溶液6を得た。
得られた樹脂溶液6を分析したところ、重量平均分子量は19500、酸価は120mgKOH/g、樹脂固形分は34.3質量%であった。
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、PGMEA290.7部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、BzMI20.0部、TBMA70.0部、HEMA40.0部、MMA42.4部、MAA27.6部及びL575を4.4部、PGMEA20.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM1.2部、PGMEA60.8部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。その後30分90℃を保持した後、L575を1.1g添加した。更に90℃で30分保持した後、115℃まで昇温し90分間熟成を行った。その後、室温まで冷却し、樹脂溶液7を得た。
得られた樹脂溶液7を分析したところ、重量平均分子量は17700、酸価は92mgKOH/g、樹脂固形分は33.7質量%であった。
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、PGMEA265.2部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、BzMI17.5部、TBMA61.3部、HEMA35.0部、MMA21.9部、UMA25%MMA39.4部及びL575を3.9部、PGMEA17.5部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM1.1部、PGMEA42.3部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。その後30分90℃を保持した後、L575を1.0g添加した。更に90℃で30分保持した後、115℃まで昇温し90分間熟成を行った。その後、室温まで冷却し、樹脂溶液8を得た。
得られた樹脂溶液8を分析したところ、重量平均分子量は15900、樹脂固形分は36.8質量%であった。
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、PGMEA658.5部とPGME282.2部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、BzMI40.0部、CHMA92.0部、MMA88.0部、MAA180.0部及びPBOを8.0部、PGMEA28.0部、PGME12.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM11.2部、PGMEA70.5部、PGME30.2部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。その後30分90℃を保持した後、PBOを2.0部添加した。更に90℃で30分保持した後、115℃まで昇温し90分間熟成を行った。その後、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA164.3部、アンテージW-400を0.8部、触媒としてTEA1.7部を仕込み、110℃で1時間、115℃で7時間反応させた。その後、室温まで冷却し、樹脂溶液9を得た。
得られた樹脂溶液9を分析したところ、重量平均分子量は16400、酸価は102mgKOH/g、樹脂固形分は32.2質量%であった。
表2中、樹脂溶液4及び9のベースポリマーを構成する各モノマーの数値は、該モノマーの総量を100質量%としたときの各モノマーの配合割合(質量%)を記載した。GMAの量は、ベースポリマーを形成する単量体成分の総量100部に対する、GMAの添加量(部)を意味する。
上記で得られた樹脂溶液1を用いて、下記の方法で、樹脂組成物を調製し、現像性、耐溶剤性(耐NMP性)、耐光密着性について評価を行った。結果を表1に示す。
<現像性評価>
固形分換算で、樹脂溶液1を30部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)20部、色材組成物(a)40部、IRGACURE907(BASF社製)を10部、更に希釈溶媒(PGMEA)を固形分濃度20%となるように加え、攪拌することで樹脂組成物A-1を得た。
具体的には、上記のようにフォトマスクを介して現像された塗布膜を、表面粗さ計(菱化システム社製、商品名「VertScan2.0」)にて観察し、未露光部がきれいに残渣無く流れるのに要した0.05%水酸化カリウム水溶液の散布時間を現像時間とした。
(色材組成物(a)の調製)
分散用樹脂溶液(樹脂の単量体組成:N-ベンジルマレイミド/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸メチル/メタクリル酸=30/30/30/10(質量比)、Mw:10000、酸価:65mgKOH/g、樹脂溶液中の固形分:42%)を8.3質量%、分散剤(ビックケミー・ジャパン社製、商品名「DISPERBYK-2001」、不揮発分1.3g)を2.9質量部、顔料(C.I.ピグメンブルー15:6)8.0質量部を、225ml容器にはかり取り、不揮発分濃度(固形分濃度)が20質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で希釈した。これに、径1.0mmのジルコニアビーズ64gを加え、ペイントシェーカーで3時間振とうして分散処理後、デカンテーションによりジルコニアビーズを除いて、色材組成物(a)を得た。
固形分換算で、樹脂溶液1を37.5部、DPHA37.5部、黄色染料(Neptune Gelb075:BASF社製)15部、IRGACURE907を10部、更に希釈溶媒(PGMEA)を固形分濃度20%となるように加え、攪拌することで樹脂組成物B-1を得た。
得られた樹脂組成物B-1を5cm角のガラス基板上にスピンコートし、90℃で3分間乾燥後、高圧水銀灯にて60mJ/cm2(365nm照度換算)で露光を行い、230℃で30分間熱処理を行い、膜厚2μmの薄膜を得た。その後、1-メチル-2-ピロリドン(NMP)20gに40℃で10分間浸漬し、塗膜から溶出したNMPの色相を分光光度計UV-3600(島津製作所社製)で測定し、430nmの吸光度を求めた。すなわち、試験後のNMP浸漬液の吸光度を測ることによって、ガラス基板からの色材の染み出し量を評価した。測定値の低い方が色材成分の染み出し量が少なく、良好と評価した。
固形分換算で、樹脂溶液1を30部、DPHA65部、IRGACURE907を5部、更に希釈溶媒(PGMEA)を固形分濃度20%となるように加え、攪拌することで樹脂組成物C-1を得た。
得られた樹脂組成物C-1を5cm角のガラス基板上にスピンコートし、90℃で3分間乾燥後、高圧水銀灯にて60mJ/cm2(365nm照度換算)で露光を行い、230℃で30分間熱処理を行い、膜厚2μmの薄膜を得た。その後、キセノンウェザーメーター(X25、スガ試験機製)を用いて、ガラス面から300nm~700nmの試験光が当たる方向に機械にセットし、320W/m2(300~400nm積算光量)の露光量で、24時間露光を行った。露光後の塗布膜について、JIS-K5400-8.5(1990年)に準じた碁盤目試験を行い、下記基準で評価した。
○:JIS規格で8点又は10点。
△:JIS規格で4点又は6点。
×:JIS規格で0点又は2点。
樹脂溶液1の代わりに、樹脂溶液2~9を用いて、実施例1と同様の方法で、樹脂組成物を調製し、現像性、耐溶剤性(耐NMP性)、耐光密着性について評価を行った。結果を表1及び2に示す。
BzMI :N-ベンジルマレイミド
TBMA :メタクリル酸t-ブチル
CHMA :メタクリル酸シクロヘキシル
MMA :メタクリル酸メチル
HEMA :メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
MEEU :2-メタクリロイルオキシエチルエチレン尿素
MAA :メタクリル酸
AA :アクリル酸
GMA :メタクリル酸グリシジル
なお、上記MEEUの化学式を下記に示す。
Claims (7)
- 更に、-COO*R6(R6は、一価の有機基を表し、O*に結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。)基を含有するビニル系単量体由来の構造単位(D)を有し、かつ側鎖に水酸基を有することを特徴とする請求項1に記載のアルカリ可溶性樹脂。
- 前記側鎖に酸基を有する構造単位(B)は、酸基含有単量体由来の構造単位であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ可溶性樹脂。
- 請求項1~3のいずれかに記載のアルカリ可溶性樹脂、及び、重合性化合物を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
- 基板上に、請求項1~3のいずれかに記載のアルカリ可溶性樹脂の硬化物、又は、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とする積層体。
- 基板上に、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とするカラーフィルター。
- 請求項6に記載のカラーフィルターを備えることを特徴とする表示装置。
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