JP7174612B2 - 新規重合体、新規重合体を含む硬化性樹脂組成物、及びその用途 - Google Patents

新規重合体、新規重合体を含む硬化性樹脂組成物、及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、新規重合体に関する。より詳しくは、耐熱着色性に優れた重合体、上記重合体を含む硬化性樹脂組成物、積層体、上記硬化性樹脂組成物の硬化物を有するカラーフィルター、ならびに表示装置に関する。
熱や活性エネルギー線によって硬化しうる重合体は、その重合体が有する特性に応じて種々の用途に適用されている。そのような用途の例として、例えば、液晶表示装置や固体撮像素子等に用いられるカラーフィルター、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト等の、各種の光学部材や電機・電子機器等が挙げられ、これらの用途に適した共重合体について、更に検討が重ねられている。
上述した用途のうち、カラーフィルターは、液晶表示装置や固体撮像素子等を構成する主要部材であり、一般に、基板、少なくとも3原色(赤(R)・緑(G)・青(B))の画素、及び、それらを区切る樹脂ブラックマトリクス(BM)に加え、画素及び樹脂ブラックマトリクスを被覆・保護し、かつそれらの凹凸を平坦化するために設けられる保護膜等から構成されるものである。
通常、硬化性樹脂組成物を用いてカラーフィルターの画素形成を行う場合、画素一色につき、(1)基板全面に硬化性樹脂組成物を塗布する塗布工程と、(2)塗布工程により形成されたレジスト膜に、フォトマスクを介してパターン露光して露光部を硬化させた後、硬化部を不溶化する露光工程と、(3)現像液により未露光部を除去した後、焼成(ベーク)によって露光部を更に硬化させる現像・焼成(ベーク)処理工程とを行い、これと同じ工程を各色で繰り返す手法が採用されている。このようなカラーフィルターの用途等への適用を考慮すると、使用する樹脂やその樹脂を含む硬化性樹脂組成物には硬化性や、硬化後の耐溶剤性、基材との密着性、耐熱性及び透明性等の各種物性が求められる。
これまでに、そのような各種物性を有する樹脂について、種々のものが提案されている。
例えば、特許文献1では、耐熱性に優れる重合体として、N-置換マレイミド及び/又は特定のエーテルダイマー、ビニルトルエン、及び、酸基を有する単量体を単量体成分として共重合してなる重合体が提案されている。
しかしながら、マレイミド由来の重合体を含む樹脂組成物においては、マレイミド系重合体が窒素原子を含有するため、加熱時に重合体が黄色~黄褐色に着色して、硬化膜の透明性が不十分になるといった問題があった。これに対し、耐熱性とともに、透明性にも優れた塗膜を形成し得る重合体が提案されている。
例えば、特許文献2では、耐熱性とともに透明性にも優れた塗膜を形成し得る重合体として、2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルのエーテルダイマーである特定の単量体と、カルボキシル基を含有する不飽和単量体と、水酸基を含有する不飽和単量体を単量体成分として共重合してなる重合体が提案されている。
また、特許文献3では、硬化性や硬化後の耐溶剤性、基材との密着性、耐熱性及び透明性等の各種物性を安定的に発揮することができる、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体単位と水酸基を有する単量体単位を有する(メタ)アクリレート重合体と、重合性化合物と、光重合開始剤を含む硬化性樹脂組成物が提案されている。
特開2009-040999号公報 特開2012-82317号公報 特開2015-42697号公報
近年、光学部材や電機・電子機器等の小型化・薄型化・省エネルギー化が進みつつあり、それに伴って、使用されるカラーフィルター等の部材には高品位な性能が要望されている。しかしながら、従来の重合体ではそのような要望に十分に応えられているとは言い難く、未だ改善の余地がある。
特にカラーフィルター用途においては、カラー液晶表示装置等の高品質化や用途の拡大により、表示パネルの高輝度化、高コントラスト化が強く求められており、重合体の加熱時の黄変が従来と比べてより一層抑制され、高着色化に適用可能な重合体の開発が求められている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、加熱時の黄変を十分に抑制することができ、高着色化に適用できる重合体、上記重合体を含む硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、カラーフィルター等に適用可能な重合体について種々検討したところ、2つの特定の単量体単位を特定範囲量で有することにより、耐熱着色性に優れた硬化物が得られることを見いだした。また、本発明者は、このような重合体、及び当該重合体を含有する硬化性樹脂組成物は、カラーフィルター用途等の部材を形成するための重合体及び樹脂組成物として特に好適であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(I)で表される単量体単位10~60質量%、及び、-COO(Rは、一価の有機基であり、Oに結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。)基を含有するビニル系単量体単位5~80質量%を有することを特徴とする重合体である。
Figure 0007174612000001
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1~12の2価の直鎖状、分岐状若しくは環状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基を表す。Rは、2価の有機基を表す。Xは、カルボキシル基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、又はリン酸基を表す。mは、一般式(I)で表される単量体単位の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。nは、0又は1である。)
上記重合体は、主鎖に環構造を有する環構造含有重合体であることが好ましい。
上記重合体において、(メタ)アクリル酸単位の含有量が5質量%未満であることが好ましい。
上記重合体において、酸価が40~160mgKOH/gであることが好ましい。
本発明はまた、上記重合体、及び、重合性化合物を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物でもある。
本発明はまた、基板上に、上記重合体の硬化物、又は、上記硬化性樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とする積層体でもある。
本発明はまた、基板上に、上記硬化性樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とするカラーフィルターでもある。
本発明はまた、上記カラーフィルターを備えることを特徴とする表示装置でもある。
本発明の重合体は、上述の構成からなるため、耐熱着色性に優れた硬化物を与えることができる。このような本発明の重合体、及び上記重合体を含む硬化性樹脂組成物は、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いられるカラーフィルター、ブラックマトリクス、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト、絶縁膜等の光学部材や構成部材として、電機・電子機器等の各種用途に好適に用いることができ、特に液晶表示装置や固体撮像素子等に用いられるカラーフィルターに好適に用いることができる。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
1.重合体
本発明の重合体は、下記一般式(I)で表される単量体単位10~60質量%、及び、-COO(Rは、一価の有機基であり、Oに結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。)基を含有するビニル系単量体単位5~80質量%を有することを特徴とする。
Figure 0007174612000002
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1~12の2価の直鎖状、分岐状若しくは環状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基を表す。Rは、2価の有機基を表す。Xは、カルボキシル基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、又はリン酸基を表す。mは、一般式(I)で表される単量体単位の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。nは、0又は1である。)
本発明の重合体は、上記構成からなるため、耐熱着色性に優れる硬化物を与えることができる。
上記重合体が耐熱着色性に優れた硬化物を与えることができるのは、上記重合体を加熱した場合に、上記一般式(I)で表される単量体単位の一部が脱離して末端に水酸基が形成され、この水酸基が反応系にあるラジカルを捕捉してラジカルの影響が軽減されることと、上記重合体を加熱した場合に、上記-COO(Rは、一価の有機基であり、Oに結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。)基を含有するビニル系単量体単位の3級炭素原子が脱離して、酸基が形成され、この酸基と上述した水酸基とが架橋することで、強固な膜(硬化物)が形成されることによると推測される。
また、本発明の重合体は、硬化性、硬化物の硬度、耐溶剤性、耐熱性、透明性、基材への密着性にも優れる。更に、上記重合体を、色材を含む樹脂組成物に適用する場合、得られる硬化物における色材濃度を高めることができるため、より一層の薄膜化を実現できると共に、上記樹脂組成物をカラーフィルター用途に適用した場合、高色純度化やブラックマトリックスの高遮光率化をより図ることができる。
上記重合体が、硬化性や、硬化物の特性を向上させることができるのは、上述したように、上記重合体を加熱した場合に、上記重合体を構成する単量体単位やそれらから発生する水酸基と酸基とが架橋することと、上記水酸基が反応系にあるラジカルを捕捉することによると推測される。更に、硬化物における色材濃度を高めることができるのは、上述のように架橋構造を形成することで樹脂が高収縮することや、脱離した成分が揮発して、硬化物中の樹脂量が相対的に減少することによると推測される。
本発明の重合体を構成する単量体単位について詳述する。なお、本発明において、「単量体単位」は、単量体に由来する構造単位を意味する。
<一般式(I)で表される単量体単位(A)>
本発明の重合体は、上記一般式(I)で表される単量体単位(以下、「単量体単位(A)」ともいう。)を有する。
上記一般式(I)において、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
は、炭素数1~12の2価の直鎖状、分岐状若しくは環状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基を表す。
上記2価の直鎖状、分岐状若しくは環状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基、脂環構造を有する2価の炭化水素基等が挙げられ、なかでも、アルキレン基が好ましい。上記脂環構造としては、シクロヘキサン骨格、アダマンタン骨格、ノルボルネン骨格が挙げられる。また、これらは、置換基を有していてもよい。
としては、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へプチレン基、オクチレン基、ドデシレン基等のアルキレン基;フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等のアリーレン基;これらの基がヒドロキシ基などの官能基で置換された基;等が挙げられる。
なかでも、Rとしては、炭素数1~10のアルキレン基が好ましく、炭素数1~5のアルキレン基がより好ましい。
は、2価の有機基を表す。上記2価の有機基としては、好ましくは炭素数1~10の2価の鎖状、分岐状若しくは環状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基が挙げられ、より好ましくは炭素数1~5の2価の鎖状若しくは分岐状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基が挙げられる。上記有機基は、置換基を有していてもよい。
としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、エチルエチレン基、へキシレン基、オクチレン基、ドデシレン基等のアルキレン基;ビニレン基、プロペニレン基、イソプロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基等のアルケニレン基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基等のシクロアルキレン基;フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、フルオレン基等のアリーレン基;エチルエーテル基、プロピルエーテル基等のアルキルエーテル基;これらの基と共に-O-、-S-、-SO-、-SO-などの結合を含む基が挙げられる。
なかでも、耐熱着色性がより一層優れる点で、アルキレン基が好ましく、炭素数1~10のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~5のアルキレン基が更に好ましい。
Xは、カルボキシル基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、又はリン酸基を表す。なかでも、耐熱着色性がより一層優れる点で、Xは、カルボキシル基であることが好ましい。
mは、一般式(I)で表される単量体単位の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。
nは、0又は1であり、好ましくは1である。
上記単量体単位(A)を与える単量体としては、好ましくは、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)等の不飽和基とカルボキシル基との間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類等が挙げられる。
上記重合体は、上記単量体単位(A)として、上述したもののうち1種のみを有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
上記重合体における上記単量体単位(A)の含有量は、上記重合体の全単量体単位100質量%に対して10~60質量%である。上記単量体単位(A)の含有量は、上記重合体の全単量体単位100質量%に対して、好ましくは20~60質量%、より好ましくは20~50質量%である。
<-COO基を含有するビニル系単量体単位(B)>
本発明の重合体は、更に、-COO(Rは、一価の有機基であり、Oに結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。)基を含有するビニル系単量体単位(以下、「ビニル系単量体単位(B)」ともいう。)を有する。
上記ビニル系単量体単位(B)において、-COO基のRは、一価の有機基を表し、Oに結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。第3級炭素原子とは、該炭素原子に結合している他の炭素原子が3個である、炭素原子を意味する。
上記一価の有機基としては、好ましくは炭素数1~91の一価の鎖状、分岐状若しくは環状の飽和又は不飽和炭化水素基が挙げられる。上記有機基は、置換基を有していてもよい。
の炭素数は、より好ましくは炭素数1~50であり、更に好ましくは炭素数1~35であり、特に好ましくは炭素数1~20である。
は、後述する式(a)中のAと同様の一価の有機基であることが好ましい。
ビニル系単量体としては、分子中に重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体が挙げられ、なかでも(メタ)アクリレート系単量体が好ましい。すなわち、上記ビニル系単量体単位(B)は、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体単位であることが好ましい。
上記3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体単位を有する重合体は、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体を含む単量体成分を重合することにより得ることができる。
上記3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体は、(メタ)アクリロイル基に隣接する酸素原子が第3級炭素原子と結合した構造を有するものであることが好ましい。
上記3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体は、分子中に重合性炭素-炭素二重結合を1個有する化合物、すなわち分子中に(メタ)アクリロイル基(CH=C(R)-C(=O)-)を1個有する化合物であることが好ましく、例えば、下記一般式(a):
CH=C(R)-C(=O)-O-A (a)
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Aは、酸素原子側に第3級炭素原子を有する構造を含む、一価の有機基を表す。)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(a)において、Aで表される一価の有機基は、例えば、-C(R)(R)(R)で表すことができる。この場合、R、R、及びRは、同一又は異なって、炭素数1~30の炭化水素基であることが好ましい、上記炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよいし、環状構造を有していてもよいし、置換基を有していてもよい。また、R、R、及びRは互いに末端部位で連結して環状構造を形成していてもよい。
上記Aで表される有機基の炭素数は、(メタ)アクリロイル基(CH=C(R)-C(=O)-)に隣接する酸素原子と、それに隣接するA中の第3級炭素原子との間のO-C結合が切断されて生成する新たな化合物が揮発し易い点で、12以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましい。また、上記Aで表される有機基は、分岐構造を有していてもよい。
ここで、上記3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体において、(メタ)アクリロイル基に隣接する酸素原子に結合する第3級炭素原子は、隣接する炭素原子の少なくとも1つが水素原子と結合していることが好ましい。例えば、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体が上記一般式(a)で表される化合物であって、Aが、-C(R)(R)(R)で表される基である場合、R、R及びRのうち少なくとも1つが、水素原子を1個以上有する炭素原子を含み、かつ当該炭素原子が第3級炭素原子に結合することが好適である。このような形態では、加熱により、(メタ)アクリロイル基に隣接する酸素原子と、それに隣接する第3級炭素原子との間のO-C結合が切断され、(メタ)アクリル酸が生成すると同時に、当該第3級炭素原子とそれに隣接する炭素原子との間で二重結合(C=C)が形成されて新たな化合物がより安定的に生成することになる。
上記のようにして生成した新たな化合物は、揮発するものであることが好ましい。この場合、当該新たな化合物が硬化物中から揮散することに起因して、硬化物(硬化膜)の膜厚が低減されると同時に、例えば、上記重合体と色材を含む硬化性樹脂組成物を使用する場合には、色材濃度が加熱後に高まる。そのため、より一層の薄膜化を実現できるとともに、高色純度化やブラックマトリックスの高遮光率化をより図ることが可能になる。この点を考慮すると、上記R、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1~15の飽和炭化水素基であることが好ましい。より好ましくは炭素数1~10の飽和炭化水素基、更に好ましくは炭素数1~5の飽和炭化水素基、特に好ましくは炭素数1~3の飽和炭化水素基である。
上記3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体は、(メタ)アクリル酸t-ブチル、又は(メタ)アクリル酸t-アミルであることが好ましい。
上記重合体は、上記ビニル系単量体単位(B)として、上述したもののうち1種のみを有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
上記重合体における上記ビニル系単量体単位(B)の含有量は、上記重合体の全単量体単位100質量%に対して5~80質量%である。上記ビニル系単量体単位(B)の含有量は、上記重合体の全単量体単位100質量%に対して、好ましくは10~70質量%、より好ましくは20~60質量%である。
<主鎖に環構造を有する単量体単位(C)>
本発明の重合体は、主鎖に環構造を有する環構造含有重合体であることが好ましい。主鎖に環構造を更に含むことにより、重合体の耐熱性をより一層向上させることができる。
上記環構造としては、イミド環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環等が挙げられる。これらの環構造を有するために、上記重合体は、主鎖に環構造を有する単量体単位(以下、「単量体単位(C)」ともいう。)を有することが好ましい。
上記単量体単位(C)を与える単量体としては、例えば、分子内に二重結合含有環構造を有する単量体や、環化重合して環構造を主鎖に有する重合体を形成する単量体、重合後に環構造を形成する単量体等が挙げられる。なかでも、良好な耐熱性や硬度、色材分散性等の観点から、N置換マレイミド系単量体、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体、及び、α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体からなる群より選択される少なくとも1種の単量体が好ましく、耐熱着色性がより一層優れる点で、N置換マレイミド系単量体、及び、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体からなる群より選択される少なくとも1種の単量体がより好ましい。
上記N置換マレイミド系単量体としては、例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-t-ブチルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ナフチルマレイミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、透明性の観点から、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、又はN-シクロヘキシルマレイミドが好ましく、特にN-シクロヘキシルマレイミドが好適である。
上記N-ベンジルマレイミドとしては、例えば、ベンジルマレイミド;p-メチルベンジルマレイミド、p-ブチルベンジルマレイミド等のアルキル置換ベンジルマレイミド;p-ヒドロキシベンジルマレイミド等のフェノール性水酸基置換ベンジルマレイミド;o-クロロベンジルマレイミド、o-ジクロロベンジルマレイミド、p-ジクロロベンジルマレイミド等のハロゲン置換ベンジルマレイミド;等が挙げられる。
上記ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体としては、例えば、2,2’-〔オキシビス(メチレン)〕ビスアクリル酸、ジアルキル-2,2’-〔オキシビス(メチレン)〕ビス-2-プロペノエート、ジアルキル-2,2’-〔オキシビス(メチレン)〕ビス-2-プロペノエート等のエステル部位の少なくとも1つが3級炭素を含有している化合物等が挙げられる。
上記ジアルキル-2,2’-〔オキシビス(メチレン)〕ビス-2-プロペノエートとしては、例えば、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-ブチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソブチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(t-ブチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(t-アミル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(ステアリル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(ラウリル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が挙げられる。これらのなかでも、透明性や分散性、工業的入手の容易さ等の観点から、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエートがより好ましい。
上記α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体としては、例えば、α-(アリルオキシメチル)アクリレート系単量体が挙げられる。
上記α-(アリルオキシメチル)アクリレート系単量体の具体例としては、例えば、α-アリルオキシメチルアクリル酸;α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸i-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘプチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸2-エチルヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸カプリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸デシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メリシル等のアルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体;α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-メトキシブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエトキシエチル等のアルコキシアルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体;α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシプロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フルオロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフルオロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸クロロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジクロロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ブロモエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジブロモエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ビニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メタリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸クロチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸プロパギル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-メチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリシクロデカニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸イソボルニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アダマンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンタジエニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ベンジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シンナミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ナフチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アントラニル;等が挙げられる。なかでも、アルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体が好適である。上記アルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体としては、透明性や分散性、工業的入手の容易さ等の観点から、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル(メチル-(α-アリルオキシメチル)アクリレートとも称する)が特に好適である。
上記α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体は、例えば、国際公開第2010/114077号パンフレットに開示されている製造方法により製造することができる。
上記単量体単位(C)を与える単量体としてはまた、2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられる。2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸と反応して、主鎖にラクトン環構造を形成することができる。上記ラクトン環構造としては、例えば、下記一般式(II)で表される環構造が挙げられる。
Figure 0007174612000003
上記一般式(II)中、Rは炭素数1~20のアルキル基を表し、R10は水素原子又は炭素数1~20の有機残基を表し、R11は、水素原子又はメチル基を表す。nは1又は2である。
及びR10は、後述する一般式(b)中のR及びR10とそれぞれ同じである。
上記2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルとしては、下記一般式(b)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007174612000004
(式中、Rは炭素数1~20のアルキル基を表し、R10は水素原子又は炭素数1~20の有機残基を表す。nは1又は2である。)
上記一般式(b)において、Rは炭素数1~20のアルキル基を表す。上記アルキル基は直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
の炭素数は、モノマーの溶解性の点で好ましくは1~10、より好ましくは1~6である。
としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、又は2-エチルヘキシル基等が挙げられる。好ましくはメチル基である。
上記一般式(b)において、R10は水素原子又は炭素数1~20の有機残基である。
上記炭素数1~20の有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~20のアルキル基;エテニル基、プロペニル基等の炭素数1~20の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数1~20の芳香族炭化水素基;上記アルキル基、上記不飽和脂肪族炭化水素基及び上記芳香族炭化水素基において、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基等が挙げられる。なかでもR10としては、ラクトン環の親水性の観点から水素原子が好ましい。
上記2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルとしては、2-(1-ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステル、2-(2-ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、具体的には、例えば、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸n-ブチル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸t-ブチル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。なかでも2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましい。これらは1種単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記重合体は、上記単量体単位(C)を1種のみ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。
上記重合体における上記単量体単位(C)の含有量は、上記重合体の全単量体単位100質量%に対して、好ましくは2~60質量%、より好ましくは5~50質量%、更に好ましくは5~40質量%である。
<水酸基含有単量体単位(D)>
本発明の重合体は、更に、水酸基含有単量体単位(以下、「単量体単位(D)」ともいう。)を含んでいてもよい。
上記水酸基含有単量体単位を有する重合体は、水酸基含有単量体を含む単量体成分を重合することにより得ることができる。
上記水酸基含有単量体としては、分子中に水酸基と重合性二重結合を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2,3-ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられ、より好ましくは(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが挙げられる。
上記重合体は、上記単量体単位(D)として、上述したもののうち1種のみを有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
上記重合体における上記単量体単位(D)の含有量は、上記重合体の全単量体単位100質量%に対して、好ましくは1~30質量%、より好ましくは5~20質量%である。
<他の単量体単位>
本発明の重合体は、上述した単量体単位以外に、必要に応じて他の重合性単量体単位(E)を含んでいてもよい。
上記他の重合性単量体単位としては、例えば、酸基含有単量体、上記ビニル系単量体単位(B)を与える単量体以外の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、他の共重合可能な単量体等に由来する単量体単位が挙げられる。
上記酸基含有単量体としては、上述した単量体単位(A)を与える単量体以外の、分子内に酸基と重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。
上記酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基、スルホン酸基等、アルカリ水と中和反応する官能基が挙げられ、これらの1種のみを有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。なかでも、カルボキシル基やカルボン酸無水物基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
上記重合性二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられる。
上記酸基含有単量体としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;ライトエステルP-1M(共栄社化学製)等のリン酸基含有不飽和化合物;等が挙げられる。これらの中でも、汎用性、入手性等の観点から、カルボン酸系単量体(不飽和モノカルボン酸類、不飽和多価カルボン酸類、不飽和酸無水物類)を用いることが好適である。反応性、水ムラの抑制、耐熱着色性等の点で、より好ましくは不飽和モノカルボン酸類であり、更に好ましくは(メタ)アクリル酸(すなわち、アクリル酸及び/又はメタクリル酸)である。
上記ビニル系単量体単位(B)を与える単量体以外の(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸s-アミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカ-2-イルメタアクリル酸、(メタ)アクリロイルモルホリン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン等が挙げられる。
上記芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、メトキシスチレン等が挙げられる。
上記他の共重合可能な単量体としては、例えば、下記の化合物等の1種又は2種以上が挙げられる。
N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム等の重合体分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルモルフォリン、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネート等の不飽和イソシアネート類;等が挙げられる。
上記重合体は、上記他の重合性単量体単位(E)として、上述したもののうち、1種のみを有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
上記重合体が上記他の重合性単量体単位(E)を有する場合、上記他の重合性単量体単位(E)の含有量としては、上記重合体の全単量体単位100質量%に対して1~60質量%が好ましく、2~50質量%がより好ましく、3~40質量%が更に好ましい。
上記重合体は、上記酸基含有単量体単位の含有量が、上記重合体の全単量体単位100質量%に対して5質量%未満であることが好ましい。酸基含有単量体単位の含有量が5質量%未満であると、耐熱着色性がより一層優れた硬化物を得ることができる。上記酸基含有単量体単位の含有量は、上記重合体の全単量体単位100質量%に対して3質量%未満であることがより好ましく、1質量%未満であることが更に好ましい。
上記重合体の酸価は、40~160mgKOH/gであることが好ましく、50~150mgKOH/gであることがより好ましく、60~140mgKOH/gであることが更に好ましい。
上記酸価は、KOH溶液を用いた中和滴定法により測定して得られる値である。
上記重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、2000~100000が好ましく、3000~80000がより好ましく、4000~50000が更に好ましい。
上記重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC)により、実施例に記載の方法で測定して得られる値である。
上記重合体は、ガラス基板上に、上記重合体を含む樹脂組成物を塗布して塗膜を形成した積層体を調製し、上記積層体を100℃で3分間乾燥し、次いで250℃で3時間加熱処理した場合、上記積層体の塗膜側表面の、JIS Z 8729に従って求められるb値が6以下であることが好ましい。上記b値は、CIEで規格化され、日本ではJIS Z 8729で採用されているL表色系に基づく、彩度を表す色度として表されるものである。
上記b値は5以下であることがより好ましく、4以下であることが更に好ましい。
上記b値の測定は、ガラス基板上に、上記重合体を含む樹脂組成物を塗布して塗膜を形成した積層体を用いて行う。
具体的には、ガラス基板上に上記樹脂組成物を、塗布量(固形分換算)0.4~1.2mg/cmの範囲で塗布し、これを100℃で3分間乾燥させることにより、ガラス基板上に上記樹脂組成物の塗膜が形成された積層体を得る。そして、得られた積層体を、更に250℃で3時間加熱処理した後、常温まで冷却し、塗膜側表面のb値を、色差計を用いて測定する。上記樹脂組成物について、少なくとも2つの積層体を用いて測定し、これらの結果から塗布量(x)とb値(y)の近似直線を検量線として作成する。上記検量線を用いて、塗布量0.6mg/cmの場合のb値を求め、これを本発明における上記b値とする。
上記ガラス基板としては、例えばソーダライムガラスAS-2K(東新理興社製)を用いるとよい。
上記樹脂組成物は、上記重合体の製造により得られた重合体溶液に、樹脂固形分100質量%に対して0.5質量%となるよう、酸化防止剤イルガノックス1010(BASF社製)を添加することにより調製する。
上記色差計としては、例えばZE6000(日本電色工業社製)を用いるとよい。
<重合体の製造方法>
本発明の重合体を製造する方法としては、少なくとも上述した単量体単位(A)、及びビニル系単量体単位(B)を有する重合体を得ることができる方法であれば、特に限定されず、上述した単量体単位(A)又は(B)を与える単量体、及び、必要に応じて上述した単量体単位(C)~(E)を与える単量体を含む単量体成分を、公知の方法で重合する方法が挙げられる。
上記単量体成分を重合する方法は特に限定されず、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の通常用いられる手法を用いることができる。なかでも、工業的に有利で、分子量等の構造調整が容易な点で、溶液重合が好ましい。また、上記単量体成分の重合機構は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の機構に基づいた重合方法を用いることができるが、工業的に有利な点で、ラジカル重合機構に基づく重合方法が好ましい。
重合時の上記単量体成分の配合量は、耐熱着色性に優れる所定の重合体が得られるのであれば、特に限定されず、適宜設計すればよいが、例えば、上記単量体単位(A)を与える単量体(10~60質量%)、及び上記ビニル系単量体単位(B)を与える単量体(5~80質量%)が好ましく、上記単量体単位(A)を与える単量体(20~60質量%)、上記ビニル系単量体単位(B)を与える単量体(5~80質量%)、及び上記単量体単位(C)を与える単量体(2~60質量%)がより好ましく、上記単量体単位(A)を与える単量体(20~50質量%)、上記ビニル系単量体単位(B)を与える単量体(10~70質量%)、上記単量体単位(C)を与える単量体(5~50質量%)、及び(メタ)アクリル酸(5質量%未満)が更に好ましい。
上記重合反応における重合開始方法は、熱や電磁波(例えば赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー源から重合開始に必要なエネルギーを単量体成分に供給できる方法であればよく、更に重合開始剤を併用すれば、重合開始に必要なエネルギーを大きく下げることができ、また反応制御が容易となるため好ましい。上記単量体成分を重合して得られる重合体の分子量は、重合開始剤の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量の調整等により制御することができる。
上記単量体成分を溶液重合法により重合する場合、重合に使用する溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば特に限定されず、重合機構、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件に応じて適宜設定すればよい。後に硬化性樹脂組成物とする際に希釈剤等として溶剤を用いる場合には、その溶剤を含む溶媒を、単量体成分の溶液重合に用いることが、効率的で好ましい。
上記溶媒としては、特開2015-157909号公報に記載の溶媒と同様のものが挙げられ、それらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの溶媒の中でも、得られる重合体の溶解性、塗膜を形成する際の表面平滑性、人体及び環境への影響の少なさ、工業的入手のし易さから、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、乳酸エチルを用いることがより好適である。
上記溶媒の使用量としては、上記単量体成分100質量部に対して、好ましくは50~1000質量部、より好ましくは100~500質量部が挙げられる。
上記単量体成分をラジカル重合機構により重合する場合には、熱によりラジカルを発生する重合開始剤を使用することが、工業的に有利で好ましい。このような重合開始剤としては、熱エネルギーを供給することによりラジカルを発生するものであれば特に限定されるものではなく、重合温度や溶媒、重合させる単量体の種類等の重合条件に応じて、適宜選択すればよい。また、重合開始剤とともに、遷移金属塩やアミン類等の還元剤を併用してもよい。
上記重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、過酸化水素、過硫酸塩等の通常重合開始剤として使用される過酸化物やアゾ化合物等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合開始剤の使用量としては、特に限定されず、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、上記単量体成分100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.5~15質量部が挙げられる。
上記重合ではまた、必要に応じて、連鎖移動剤を使用してもよい。好ましくは、重合開始剤と連鎖移動剤とを併用することである。重合時に連鎖移動剤を使用すると、分子量分布の増大やゲル化を抑制することができる傾向にある。
上記連鎖移動剤としては、特開2015-157909号公報に記載の溶媒と同様のものが挙げられ、それらの1種又は2種以上を用いることができる。それらのなかでも、入手性、架橋防止能、重合速度低下の度合いが小さい等の点で、好ましくはメルカプトカルボン酸類、メルカプトカルボン酸エステル類、アルキルメルカプタン類、メルカプトアルコール類、芳香族メルカプタン類、メルカプトイソシアヌレート類等のメルカプト基を有する化合物が挙げられ、より好ましくは、アルキルメルカプタン類、メルカプトカルボン酸類、メルカプトカルボン酸エステル類、更に好ましくは、n-ドデシルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸が挙げられる。
上記連鎖移動剤の使用量としては、特に限定されず、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよい。例えば、重量平均分子量が数千~数万の重合体を得るには、上記単量体成分100質量部に対し、0.1~20質量部が好ましく、0.5~15質量部がより好ましい。
上記重合の条件に関し、重合温度としては、使用する単量体の種類や量、重合開始剤の種類や量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、50~150℃が好ましく、70~120℃がより好ましい。また、重合時間も同様に適宜設定することができるが、例えば、1~5時間が好ましく、2~4時間がより好ましい。
2.硬化性樹脂組成物
上述した重合体は、更に重合性化合物と組み合わせることにより、硬化性樹脂組成物とすることができる。上記硬化性樹脂組成物は、上記重合体を含むので、耐熱着色性に優れた硬化物を与えることができる。また、更に重合性化合物を含むことにより、耐熱着色性に加えて、樹脂組成物の硬化性や、基材への密着性、表面硬度、耐熱性、耐溶剤性等が更に一層優れた硬化物を与えることができる。
このように、上記重合体、及び、重合性化合物を含有する硬化性樹脂組成物もまた、本発明の一つである。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記重合体の含有量は、特に限定されず、用途や他成分の配合等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、5~80質量%が好ましく、7~70質量%がより好ましく、10~60質量%が更に好ましい。
なお、「固形分総量」とは、硬化物を形成する成分(硬化物の形成時に揮発する溶媒等を除く)の総量を意味する。
<重合性化合物>
上記重合性化合物は、フリーラジカル、電磁波(例えば赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー線の照射等により重合し得る、重合性不飽和結合(重合性不飽和基とも称す)を有する低分子化合物である。例えば、重合性不飽和基を分子中に1つ有する単官能の化合物と、2個以上有する多官能の化合物が挙げられる。
上記単官能の化合物としては、例えば、N置換マレイミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド類;不飽和モノカルボン酸類;不飽和多価カルボン酸類;不飽和基とカルボキシル基の間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;不飽和酸無水物類;芳香族ビニル類;共役ジエン類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類;N-ビニル化合物類;不飽和イソシアネート類;等が挙げられる。また、活性メチレン基や活性メチン基を有する単量体等を用いることもできる。
上記多官能の化合物としては、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸変性物、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートフタル酸変性物、ペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸変性物、下記式:
Figure 0007174612000005
で表されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの変性物等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物;
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル類;
(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5-ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル等のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル等の多官能アリルエーテル類;
(メタ)アクリル酸アリル等のアリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート類;トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル基含有イソシアヌレート類;トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネートと(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類との反応で得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル類;等。これらの重合性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合性化合物のなかでも、硬化性樹脂組成物の硬化性をより高める観点から、多官能の重合性化合物を用いることが好ましい。上記多官能の重合性化合物の官能数としては、3以上が好ましく、4以上がより好ましい。また、上記官能数は10以下が好ましく、8以下がより好ましい。
また上記重合性化合物の分子量としては特に限定されないが、取り扱いの観点から、例えば、2000以下が好ましい。
上記多官能の重合性化合物としては、なかでも、反応性、経済性、入手性等の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート化合物等の、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、多官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことにより、硬化性樹脂組成物が感光性及び硬化性により優れたものとなり、より一層高硬度で高透明性の硬化物を得ることができる。上記多官能の重合性化合物としては、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を用いることが更に好ましい。
上記重合性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記重合性化合物の含有量は、本発明の効果が発揮される範囲であれば特に限定されず、適宜設定すればよいが、硬化性樹脂組成物を適切な粘度にできる点から、本発明の硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、好ましくは2~80質量%であり、より好ましくは5~70質量%であり、更に好ましくは10~60質量%である。
<光重合開始剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤を含むことにより、硬化性樹脂組成物の硬化性を向上させ、得られる硬化物の性能を向上させることができる。
本発明において使用する光重合開始剤としては、好ましくはラジカル重合性の光重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合性の光重合開始剤とは、電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生させるものである。
上記光重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(「IRGACURE907」、BASF社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(「IRGACURE369」、BASF社製)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(「IRGACURE379」、BASF社製)等のアルキルフェノン系化合物;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(「IRGACURE651」、BASF社製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(「DAROCUR MBF」、BASF社製)等のベンジルケタール系化合物;1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(「IRGACURE184」、BASF社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(「DAROCUR1173」、BASF社製)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(「IRGACURE2959」、BASF社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(「IRGACURE127」、BASF社製)、[1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン+ベンゾフェノン](「IRGACURE500」、BASF社製)等のハイドロケトン系化合物;等の他、特開2013-227485号公報段落[0084]~[0086]に例示された、アルキルフェノン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](「OXE01」、BASF社製)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)(「OXE02」、BASF社製)、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-,2-,(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン(「OXE03」、BASF社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(「OXE04」、BASF社製))等のオキシムエステル系化合物;ベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン系化合物;チオキサントン系化合物;ハロメチル化トリアジン系化合物;ハロメチル化オキサジアゾール系化合物;ビイミダゾール系化合物;チタノセン系化合物;安息香酸エステル系化合物;アクリジン系化合物等;ホスフィンオキシド系化合物;等が挙げられる。なかでも、アルキルフェノン系化合物が好ましい。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記光重合開始剤の含有量は、本発明の効果が発揮される範囲であれば、特に限定されず、適宜設計すればよいが、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、好ましくは0.1~30質量%であり、より好ましくは0.5~25質量%であり、更に好ましくは1~20質量%である。
また、必要に応じて、光増感剤や光ラジカル重合促進剤等を1種又は2種以上併用してもよい。光重合開始剤とともに、光増感剤及び/又は光ラジカル重合促進剤を併用することにより、感度や硬化性がより向上される。光増感剤、光ラジカル重合促進剤としては、特に限定されず、硬化性樹脂組成物において一般的に使用されている公知のものから適宜選択するとよい。
上記光重合開始剤と併用してもよい光増感剤や光ラジカル重合促進剤としては、例えば、キサンテン色素、クマリン色素、3-ケトクマリン系化合物、ピロメテン色素等の色素系化合物;4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等のジアルキルアミノベンゼン系化合物;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール等のメルカプタン系水素供与体等が挙げられる。
上記光増感剤及び光ラジカル重合促進剤を使用する場合、その含有量は、硬化性、分解物が与える影響及び経済性のバランスの観点から、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対して0.001~20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01~15質量%であり、更に好ましくは0.05~10質量%である。
<その他の成分>
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した重合体、重合性化合物、及び光重合開始剤の他に必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、溶剤;色材(着色剤とも称す);分散剤;酸化防止剤;耐熱向上剤;レベリング剤;現像助剤;シリカ微粒子等の無機微粒子;シラン系、アルミニウム系、チタン系等のカップリング剤;フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール等の熱硬化性樹脂;多官能チオール化合物等の硬化助剤;可塑剤;重合禁止剤;紫外線吸収剤;艶消し剤;消泡剤;帯電防止剤;スリップ剤;表面改質剤;揺変化剤;揺変助剤;キノンジアジド化合物;多価フェノール化合物;カチオン重合性化合物;酸発生剤;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、上記硬化性樹脂組成物をカラーフィルター用途に使用する場合には、上記硬化性樹脂組成物は色材を含むことが好ましい。
(溶剤)
上記溶剤としては、硬化性樹脂組成物において通常使用するものを使用することができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、特開2015-157909号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記溶剤の使用量としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、上記硬化性樹脂組成物の総量100質量%中に、10~90質量%含まれるようにすることが好ましい。より好ましくは20~80質量%である。
(色材)
上記色材としては、例えば、顔料又は染料等が挙げられる。上記色材として、顔料又は染料の一方を使用してもよいし、顔料と染料を組み合わせて使用してもよい。例えば、カラーフィルターの赤色、青色、緑色画素を形成する場合、青と紫、緑と黄等、色材を適宜組み合わせて求める色特性が発揮されるような公知の手法を用いるとよい。また、ブラックマトリックスを形成する場合、黒の色材を用いるとよい。
色材のなかでも、耐久性の点では、顔料が好ましく、パネル等の輝度向上の点では染料が好ましい。これらは求められる特性に応じて適宜選択することができる。本発明の硬化性樹脂組成物においては、硬化物における耐溶剤性及び耐熱着色性がより一層向上し得る点で顔料が好ましい。顔料としては、特開2015-157909号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。
上記染料としては、例えば、特開2010-9033号公報、特開2010-211198号公報、特開2009-51896号公報、特開2008-50599号公報に記載されている有機染料を使用することができる。なかでも、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が好ましい。
これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記色材の含有量としては、特に限定されず、目的、用途に応じて、適宜設定することができるが、好ましくは、上記硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対して2~80質量%、より好ましくは5~70質量%、更に好ましくは10~60質量%が挙げられる。
(分散剤)
本発明の硬化性樹脂組成物が上記色材を含む場合、更に分散剤を含むことが好ましい。
上記分散剤とは、色材への相互作用部位と分散媒(例えば溶剤やバインダー樹脂)への相互作用部位とを有し、色材の分散媒への分散を安定化する働きを持つものであり、一般的には、樹脂型分散剤(例えば高分子分散剤)、界面活性剤(例えば低分子分散剤)、色素誘導体に分類される。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記樹脂型分散剤としては、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水素基含有ポリカルボン酸エステル、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。上記樹脂型分散剤の市販品としては、特開2015-157909号公報に記載のものと同様のものが挙げられる。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカチオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤;等が挙げられる。
上記色素誘導体とは、官能基を色素に導入した構造の化合物であり、官能基としては、例えば、スルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、ジアルキルアミノ基、水酸基、カルボキシル基、アミド基、フタルイミド基等が挙げられる。母体となる色素の構造としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、キノフタロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系等が挙げられる。
上記分散剤の含有量は、目的や用途に応じて適宜設定すればよいが、分散安定性、耐久性(耐熱性、耐光性、耐候性等)及び透明性のバランスの観点から、例えば、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、0.01~60質量%であることが好ましい。より好ましくは0.1~50質量%、更に好ましくは0.3~40質量%である。
(酸化防止剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することにより、硬化物の耐熱着色性を更に一層向上させることができる。
本発明において使用可能な酸化防止剤としては、特に限定されず、公知の酸化防止剤を適宜選択して用いればよいが、なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤が好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記酸化防止剤の含有量としては、上記重合体の固形分100質量%に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.05~3質量%がより好ましい。
<硬化性樹脂組成物の調製>
上記硬化性樹脂組成物を調製する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いればよく、例えば、上述した各含有成分を、各種の混合機や分散機を用いて混合分散する方法が挙げられる。混合・分散工程は特に限定されず、公知の方法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含んでいてもよい。なお、上記硬化性樹脂組成物が色材を含む場合は、色材の分散処理工程を経て調製することが好ましい。
上記色材の分散処理工程としては、例えば、まず、色材(好ましくは有機顔料)、分散剤及び溶剤を各所定量秤量し、分散機を用いて、色材を微粒子分散させて液状の色材分散液(ミルベースとも称す)を得る方法が挙げられる。上記分散機としては、ペイントコンディショナー、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ニーダー、ブレンダー等が挙げられる。上記分散処理工程としては、好ましくは、ロールミル、ニーダー、ブレンダー等で混練分散処理をしてから、0.01~1mmのビーズを充填したビーズミル等のメディアミルで微分散処理をする手法が挙げられる。得られたミルベースに、別途攪拌混合しておいた、上述の重合体、重合性化合物、及び、光重合開始剤、並びに、必要に応じて溶剤やレベリング剤等を含む組成物(好ましくは透明液)を加えて混合、均一な分散溶液とし、硬化性樹脂組成物を得ることができる。
なお、得られた硬化性樹脂組成物は、フィルター等によって、濾過処理をして微細なゴミを除去するのが好ましい。
3.積層体
本発明の重合体、及び硬化性樹脂組成物は、上述したように、耐熱着色性に優れた硬化物を与えるものである。また、上記硬化物は、表面硬度、基材との密着性、耐熱性及び透明性等の性能にも優れる。基板(基材)上に、このような上記重合体の硬化物、又は上記硬化性樹脂組成物の硬化物を有する積層体もまた、本発明の一つである。
上記硬化物が硬化膜である場合、その膜厚としては、好ましくは0.1~20μmが挙げられる。膜厚が上述の範囲であると、優れた耐熱着色性を発揮することができる。また、表面硬度、基材との密着性、耐熱性及び透明性等の各種性能も十分に発揮することができる。上記膜厚は、より好ましくは0.5~10μm、更に好ましくは0.5~8μmである。
積層体を得る方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いればよく、例えば、上述した重合体、又は、上述した硬化性樹脂組成物を基材上に塗布し、塗布したものを乾燥、加熱、又は紫外線等のエネルギー線を照射することにより硬化させて硬化物を得る方法が挙げられる。
上記基材としては、特に限定されず、目的や用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、ガラス板、プラスチック板等、種々の材料からなる基材が挙げられる。
上記積層体は、例えば、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いられるカラーフィルター、ブラックマトリクス、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト、絶縁膜等の光学部材や電機・電子機器の各種用途に好適に使用される。なかでも、カラーフィルターに用いることが好ましい。このように上記硬化性樹脂組成物の硬化物を有するカラーフィルターもまた、本発明の一つである。以下に、カラーフィルターについて、説明する。
3-1.カラーフィルター
本発明のカラーフィルターは、基板上に、上記硬化性樹脂組成物の硬化物を有する形態からなる。
上記カラーフィルターにおいて、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化物は、例えば、ブラックマトリクスや、赤色、緑色、青色、黄色等の各画素のような着色が必要なセグメントとして特に好適であるが、フォトスペーサー、保護層、配向制御用リブ等の着色が必ずしも必要としないセグメントとしても好適である。
上記カラーフィルターに使用される基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、アルカリ強化ガラス、シリカコート青板ガラス等のガラス基板;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスルホン、環状オレフィンの開環重合体やその水素添加物等の熱可塑性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板;セラミック基板;光電変換素子を有する半導体基板;表面に色材層を備えるガラス基板(例えばLCD用カラーフィルター)等の各種材料から構成される部材;等が挙げられる。なかでも、耐熱性の点から、ガラス基板や、耐熱性樹脂からなるシート、フィルム又は基板が好ましい。また、上記基板は透明基板であることが好適である。
また上記基材には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤等による薬品処理等を行ってもよい。
<カラーフィルターの製造方法>
上記カラーフィルターを得るには、例えば、画素一色につき(すなわち、一色の画素ごとに)、基板上に、上記硬化性樹脂組成物を配置する工程(配置工程とも称す)と、該基板上に配置された硬化性樹脂組成物に光を照射する工程(光照射工程とも称す)と、現像液により現像処理する工程(現像工程とも称す)と、加熱処理する工程(加熱工程とも称す)とを含む手法を採用し、これと同じ手法を各色で繰り返す製造方法を採用することが好適である。なお、各色の画素の形成順序は、特に限定されるものではない。
(配置工程(好ましくは塗布工程))
上記配置工程は、塗布により行うことが好適である。基板上に上記硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、スピン塗布、スリット塗布、ロール塗布、流延塗布等が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。
上記配置工程ではまた、上記硬化性樹脂組成物を基板上に塗布した後、塗膜を乾燥することが好適である。塗膜の乾燥は、例えば、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を用いて行うことができる。乾燥条件は、含まれる溶媒成分の沸点、硬化成分の種類、膜厚、乾燥機の性能等に応じて適宜選択されるが、通常、50~160℃の温度で10秒~300秒間行うことが好適である。
(光照射工程)
上記光照射工程において、使用される活性光線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が使用される。また、露光機の方式としては、プロキシミティー方式、ミラープロジェクション方式、ステッパー方式が挙げられるが、プロキシミティー方式が好ましく用いられる。
なお、活性エネルギー光線の照射工程では、用途によっては、所定のマスクパターンを介して活性エネルギー光線を照射することとしてもよい。この場合、露光部が硬化し、硬化部が現像液に対して不溶化又は難溶化されることになる。
(現像工程)
上記現像工程は、上述した光照射工程の後、現像液によって現像処理し、未露光部を除去しパターンを形成する工程である。これにより、パターン化された硬化膜を得ることができる。現像処理は、通常、10~50℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法で行うことができる。
上記現像工程で使用される現像液は、本発明の硬化性樹脂組成物を溶解するものであれば特に限定されないが、通常、有機溶媒やアルカリ性水溶液が用いられ、これらの混合物を用いてもよい。なお、現像液としてアルカリ性水溶液を用いる場合には、現像後、水で洗浄することが好ましい。
上記現像液として好適な有機溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒やアルコール系溶媒等が挙げられる。具体的には、例えば、ジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、トリエチレングリコールジアルキルエーテル類、アルキルフェニルエーテル類、アラルキルフェニルエーテル類、ジ芳香族エーテル類、イソプロパノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
上記アルカリ性水溶液には、アルカリ剤の他、必要に応じ、界面活性剤、有機溶媒、緩衝剤、染料、顔料等を含有させることができる。この場合の有機溶媒としては、上述した現像液として好適な有機溶媒等が挙げられる。
上記アルカリ剤としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機のアルカリ剤;トリメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン類が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタン酸アルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(加熱工程)
上記加熱工程は、上述した現像工程の後、焼成によって露光部(硬化部)を更に硬化させる工程(後硬化工程とも称す)である。例えば、高圧水銀灯等の光源を使用して、例えば0.5~5J/cmの光量で後露光する工程や、例えば60~260℃の温度で10秒~120分間にわたって後加熱する工程等が挙げられる。このような後硬化工程を行うことにより、パターン化された硬化膜の硬度及び密着性を更に強固なものとすることが可能になる。また、この加熱工程により、上記重合体を構成する単量体単位から水酸基や酸基が発生し、これらが反応して架橋構造が形成されるので、硬化性樹脂組成物の硬化性やその硬化物の耐溶剤性等が更に優れたものとなる。
上記加熱工程によって得られる硬化膜(すなわち、上記硬化性樹脂組成物を熱硬化して得られる硬化膜)の膜厚は、0.1~20μmであることが好適である。本発明の硬化性樹脂組成物を用いることで、充分に膜厚が低減された硬化膜を与えることができる。また、膜厚が低減されるので、硬化膜の単位体積当たりの色材の濃度が増大し、カラーフィルターの輝度を向上させることができる。上記膜厚は、より好ましくは0.5~10μm、更に好ましくは0.5~8μmである。
なお、上記加熱工程により得られる塗膜(すなわち硬化膜)の膜厚は、加熱前の塗膜の膜厚を100%とすると、90%以下であることが好適である。より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。
上記加熱工程において、加熱温度は、150℃以上であることが好適である。これにより、上記一般式(I)で表される単量体単位の一部がより効果的に分解され、硬化性、耐溶剤性等をより一層向上させることができる。加熱温度は、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは170℃以上、特に好ましくは180℃以上である。また、270℃以下とすることが好ましく、より好ましくは260℃以下、更に好ましくは250℃以下である。
上記加熱工程における加熱時間は特に限定されないが、例えば、5~60分間とすることが好適である。また、加熱方法も特に限定されないが、例えば、ホットプレート、コンベクションオーブン、高周波加熱機等の加熱機器を用いて行うことができる。
4.表示装置
本発明はまた、上述したカラーフィルターを備えることを特徴とする表示装置でもある。
なお、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化物を有する表示装置用部材及び表示装置もまた、本発明の好適な実施形態に含まれる。上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化物(硬化膜)は、安定して、基材等に対する密着性に優れ、かつ高硬度であるうえ、高平滑性を示し、高い透過率を有するものであるから、透明部材として特に好適であり、また、各種表示装置における保護膜や絶縁膜としても有用である。
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等が好適である。
なお、上記硬化物(硬化膜)を表示装置用部材として用いる場合、当該部材は、上記硬化膜から構成されるフィルム状の単層又は多層の部材であってもよいし、該単層又は多層の部材に更に他の層が組み合わされた部材であってもよいし、また、上記硬化膜を構成中に含む部材であってもよい。
本発明の重合体、及び上記重合体を含む硬化性樹脂組成物は、上述のように、耐熱着色性に優れた硬化物を与えることができる。また、本発明の重合体及び硬化性樹脂組成物を用いて得られる硬化物は、基板との密着性、透明性、耐熱性等にも優れる。このような本発明の重合体及び硬化性樹脂組成物は、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いられるカラーフィルター、ブラックマトリクス、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト、絶縁膜等の光学分野や電機・電子分野における各種用途に非常に有用なものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。各合成例における重合体の分析は以下のようにして行った。
<重量平均分子量>
HLC-8220GPC(東ソー社製)にて、溶離液にテトラヒドロフラン、カラムにTSK-gel SuperHZM-M(東ソー社製)を用いてゲル浸透クロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン換算で算出した。
<固形分>
共重合体溶液をアルミカップに約1g精秤し、アセトン約2gを加えて溶解させた後、常温で約2時間静置して自然乾燥させた。その後、真空乾燥機(EYELA社製)にて、真空140℃で1.5時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、アルミカップの重量を測定した。その重量減少量から重合体溶液の固形分(質量%)を計算した。
<酸価>
共重合体溶液1.5~2gを精秤し、アセトン90gと水10gとの混合溶媒に溶解し、0.1規定の水酸化カリウム水溶液を滴定液として用い、自動滴定装置(平沼産業社製、商品:COM-1700)により、共重合体溶液の酸価を測定し、溶液の酸価と固形分とからポリマー1g当たりの酸価を求めた。
<耐熱着色性>
共重合体溶液に、0.5質量%の濃度となるよう酸化防止剤イルガノックス1010(BASF社製)を添加して樹脂組成物溶液を調製した。この樹脂組成物溶液を、スピンコーター(ミカサ株式会社製、1H-D7)を用いて、塗布量が固形分換算で0.4~1.2mg/cmとなるよう、5cm角ガラス基板(ソーダライムガラスAS-2K、東新理興社製)上に均一に塗布した。この際、各樹脂組成物について、スピンコーターの回転数を変化させて塗布量(固形分換算)を変え、塗布量の異なる2枚の塗布板を作製した。2枚のうち1枚の塗布量が必ず0.6mg/cmより大きい値となるように、他の1枚の塗布量が必ず0.6mg/cmより小さい値となるようにした。
これらの塗布板を100℃で3分間乾燥させることにより、ガラス基板上に塗膜が形成された積層体を得た。ガラス基板の端部に付着している樹脂を除去した後、得られた積層体を、パーフェクトオーブン恒温器(エスペック社製)を用いて250℃で3時間加熱処理を行い、室温まで冷却した。冷却後、積層体の塗膜表面を、測色色差計ZE6000(日本電色工業社製)を用いて測定し、加熱試験後のb値を得た。各塗膜につき上述のようにして用意した2枚の塗膜の測定値から塗布量(x)とb値(y)の近似直線(検量線)を求め、塗布量が0.6mg/cmの場合のb値を各塗膜の耐熱着色性の結果として採用した。
(合成例1)
共重合体溶液1の調製
反応槽として、温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート(以下「MD」と称する)10.0部、メタクリル酸t-ブチル(以下「tBMA」と称する)38.8部、メタクリル酸メチル(以下「MMA」と称する)2.0部、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)(以下「HO-MS」と称する)49.2部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油社製「パーブチルO」;以下「PBO」と称する)2.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と称する)33.0部をよく撹拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n-ドデシルメルカプタン(n-DM)1.4部、PGMEA7.9部をよく撹拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMEA141部を仕込み、窒素置換した後、撹拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ2.5時間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間110℃を維持した後、室温まで冷却することにより、共重合体溶液1を得た。各種物性を表1に示す。
(合成例2)
共重合体溶液2の調製
単量体の仕込み量を、MD10.0部、tBMA41.8部、MMA2.0部、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)(以下「HOA-MS」と称する)46.2部とした以外は合成例1と同様にモノマー滴下槽と連鎖移動剤滴下槽を準備し、同様の操作を行って、共重合体溶液2を得た。各種物性を表1に示す。
(合成例3)
共重合体溶液3の調製
単量体の仕込み量を、MD10.0部、tBMA41.8部、MMA32.2部、HOA-MS16.0部とした以外は合成例1と同様にモノマー滴下槽と連鎖移動剤滴下槽を準備し、同様の操作を行って、共重合体溶液3を得た。各種物性を表1に示す。
(合成例4)
共重合体溶液4の調製
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えたセパラブルフラスコに、PGMEA164部を仕込み、窒素置換した後、加熱して90℃まで昇温した。他方、モノマー滴下槽として、N-ベンジルマレイミド(以下「BzMI」と称する)10.0部、tBMA41.8部、MMA2.0部、HOA-MS46.2部、及びPBO2.2部をよく撹拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n-DM2.2部、PGMEA17.8部をよく撹拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ3時間かけて行った。滴下終了後、30分間90℃を保った後、115℃まで昇温し、90分間熟成を行って、共重合体溶液4を得た。各種物性を表1に示す。
(合成例5)
共重合体溶液5の調製
BzMIの代わりに、N-シクロヘキシルマレイミド(以下「CHMI」と称する)を用いた以外は合成例4と同様の単量体仕込み量でモノマー滴下槽と連鎖移動剤滴下槽を準備し、同様の操作を行って、共重合体溶液5を得た。各種物性を表1に示す。
(合成例6)
共重合体溶液6の調製
BzMIの代わりに、N-フェニルマレイミド(以下「PhMI」と称する)を用いた以外は合成例4と同様の単量体仕込み量でモノマー滴下槽と連鎖移動剤滴下槽を準備し、同様の操作を行って、共重合体溶液6を得た。各種物性を表1に示す。
(合成例7)
共重合体溶液7の調製
単量体の仕込み量を、MD10.0部、tBMA41.8部、MMA32.8部、アクリル酸(以下「AA」と称する)15.4部とした以外は合成例1と同様にモノマー滴下槽と連鎖移動剤滴下槽を準備し、同様の操作を行って、共重合体溶液7を得た。各種物性を表1に示す。
(実施例1~6、比較例1)
得られた共重合体溶液1~7を用いて耐熱着色性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007174612000006
表1中の記載は下記を表す。
MD:ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート
BzMI:N-ベンジルマレイミド
CHMI:N-シクロヘキシルマレイミド
PhMI:N-フェニルマレイミド
tBMA:メタクリル酸t-ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
HO-MS:コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)
HOA-MS:コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)
AA:アクリル酸
表1より、HOA-MS又はHO-MS単量体単位、及びtBMA単量体単位を有する重合体(実施例1~6)は、これらの単量体単位のうちいずれかの単量体単位を有していない重合体(比較例1)と比較して、b値が小さい値となり、耐熱着色性に優れることが確認された。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表される単量体単位(A)10~60質量%、-COO(Rは、一価の有機基であり、Oに結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。)基を含有するビニル系単量体単位(B)20~80質量%、及び、主鎖に環構造を有する単量体単位(C)5~60質量%を有し、
    該ビニル系単量体単位(B)は、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体単位であり、
    該主鎖に環構造を有する単量体単位(C)は、シクロヘキシルマレイミド、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体、及び、α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体からなる群より選択される少なくとも一種の単量体単位である
    ことを特徴とする重合体。
    Figure 0007174612000007
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1~12の2価の直鎖状、分岐状若しくは環状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基を表す。Rは、炭素数1~10の2価の鎖状、分岐状若しくは環状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基を表す。Xは、カルボキシル基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、又はリン酸基を表す。mは、一般式(I)で表される単量体単位(A)の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。nは、1である。)
  2. 下記一般式(I)で表される単量体単位(A)10~60質量%、-COO(Rは、一価の有機基であり、Oに結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。)基を含有するビニル系単量体単位(B)20~80質量%、及び、主鎖に環構造を有する単量体単位(C)5~60質量%を有し、
    該ビニル系単量体単位(B)は、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体単位であり、
    該主鎖に環構造を有する単量体単位(C)は、N置換マレイミド系単量体単位、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体単位、及び、α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体単位からなる群より選択される少なくとも一種の単量体単位である
    ことを特徴とする重合体(但し、側鎖にラジカル重合性二重結合を有するものを除く。)。
    Figure 0007174612000008
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1~12の2価の直鎖状、分岐状若しくは環状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基を表す。Rは、炭素数1~10の2価の鎖状、分岐状若しくは環状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基を表す。Xは、カルボキシル基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、又はリン酸基を表す。mは、一般式(I)で表される単量体単位(A)の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。nは、1である。)
  3. (メタ)アクリル酸単位の含有量が5質量%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重合体。
  4. 酸価が40~160mgKOH/gであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の重合体。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の重合体、及び、重合性化合物を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  6. 基板上に、請求項1~4のいずれかに記載の重合体の硬化物、又は、請求項5に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とする積層体。
  7. 基板上に、請求項5に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とするカラーフィルター。
  8. 請求項7に記載のカラーフィルターを備えることを特徴とする表示装置。
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