JP7067906B2 - 硬化性樹脂組成物、及び(メタ)アクリレート系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はまた、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリレート系重合体を製造する方法であって、上記製造方法は、下記一般式(2)で示される2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステル、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体、及び(メタ)アクリル酸を含む単量体成分を重合する工程を含むことを特徴とする(メタ)アクリレート系重合体の製造方法でもある。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリレート系重合体、重合性化合物、及び光重合開始剤を含むことを特徴とする。
以下に各成分について説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
本発明における(メタ)アクリレート系重合体は、下記一般式(1)で示される構成単位、及び3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体単位を有する。このような特定の構成単位を有することにより、得られる硬化物が優れた耐溶剤性及び耐熱着色性を有することができる。
(i)一般式(1)で示される構成単位
上記一般式(1)において、R1は炭素数1~20のアルキル基を表す。上記アルキル基は直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
R1の炭素数は、モノマーの溶解性の点で好ましくは1~10、より好ましくは1~6である。
R1としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、又は2-エチルヘキシル基等が挙げられる。好ましくはメチル基である。
上記炭素数1~20の有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~20のアルキル基;エテニル基、プロペニル基等の炭素数1~20の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数1~20の芳香族炭化水素基;上記アルキル基、上記不飽和脂肪族炭化水素基及び上記芳香族炭化水素基において、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基等が挙げられる。R2としては、なかでもラクトン環の親水性の観点から水素原子が好ましい。
上記一般式(1)において、R3は水素原子又はメチル基を表す。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
上記環化率は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
上記3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体単位としては、第3級炭素原子を有する(メタ)アクリレート単量体中の重合性炭素-炭素二重結合(C=C)が単結合(C-C)になった構造単位であれば特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基に隣接する酸素原子が第3級炭素原子と結合した構造を有するものが好ましい。そのような構造のものであると、本発明の硬化性樹脂組成物を加熱処理した場合に第3級炭素原子部分が脱離してカルボキシル基が生成し、生成したカルボキシル基が、上述した(メタ)アクリレート系重合体が有する水酸基含有単量体単位の水酸基と反応して架橋構造を形成し、得られる本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が更に上がり、また硬化物が耐溶剤性に更に優れたものとなる。更に、本発明の硬化性樹脂組成物から色材を含む塗膜を形成し、該塗膜に加熱処理を行った場合に、上述した塗膜の収縮がより顕著に起こり、色材濃度がより高く、かつ色材の溶出がより効果的に抑制された塗膜が得られることになる。
上記(メタ)アクリレート系重合体は、一般式(1)で示される構成単位、及び3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体単位に加えて、構成単位として、更に水酸基含有単量体単位を有することが好ましい。上述したように、水酸基含有単量体単位を有することで、(メタ)アクリレート系重合体に架橋構造が形成され、本発明の硬化性樹脂組成物の耐溶剤性及び耐熱着色性をより一層向上させることができる。また、親水性を付与することで、現像性の向上が期待できる。
本発明の(メタ)アクリレート系重合体が有する水酸基含有単量体単位は、上述した環構造を形成することができるものであってもよく、環構造を形成することができないものであってもよい。
本発明における(メタ)アクリレート系重合体は、上記水酸基含有単量体単位として、上述したもののうち1種のみを有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
上記(メタ)アクリレート系重合体は、構成単位として、更に(メタ)アクリル酸由来の単量体単位を有することが好ましい。上述したように、(メタ)アクリル酸由来の単量体単位は架橋構造を形成することができるため、(メタ)アクリル酸由来の単量体単位を更に有することにより、得られる硬化物の耐溶剤性及び耐熱着色性をより一層向上させることができる。また、アルカリ可溶性を付与することができる。
本発明における(メタ)アクリレート系重合体は更に、必要に応じて、上述した構成単位(i)~(iv)以外の他の構成単位を1種又は2種以上有していてもよい。
他の構成単位としては、例えば、下記の(v-1)又は(v-2)に記載の単量体由来の構成単位が挙げられる。
アクリル系エーテルダイマーとしては、例えば、下記一般式(b)で表される化合物が挙げられる。
α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体としては、例えば、アルキル-(α-メタリルオキシメチル)アクリレートや、α-(アリルオキシメチル)アクリレートが好ましい。なかでも、α-(アリルオキシメチル)アクリレートがより好ましい。
炭素数1~20の有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;エテニル基、プロペニル基等の炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数1~20の芳香族炭化水素基;グリシジル基;上記直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、上記直鎖状又は分岐鎖状不飽和脂肪族炭化水素基及び上記芳香族炭化水素基において、水素原子の一つ以上が、水酸基;カルボキシル基;第1~3級アミノ基;エポキシ基;アルコキシ基等のエーテル結合含有基;アルキルエステル基等のエステル基;から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基等の一価の有機基;又は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基;シクロアルキレン基;オキシアルキレン基;ビニレン基;フェニレン基;等の二価の有機基が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート系重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC)により、実施例に記載の方法で測定して得られる値である。
上記酸価は、KOH溶液を用いた中和滴定法により測定して得られた値である。
本発明で使用する(メタ)アクリレート系重合体を製造する方法としては、少なくとも上述した構成単位(i)及び(ii)を有する(メタ)アクリレート系重合体を得ることができる方法であれば特に限定されず、上記構成単位(i)及び(ii)を構成し得る単量体を含む単量体成分を公知の方法で重合する方法が挙げられる。
3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体の含有割合は、上記単量体成分100質量%中、好ましくは5~60質量%、より好ましくは10~55質量%、更に好ましくは10~50質量%である。
(メタ)アクリル酸の含有割合は、上記単量体成分100質量%中、好ましくは1~35質量%、より好ましくは1~30質量%、更に好ましくは5~30質量%である。
上記単量体成分が上述した構成単位(iii)、(v)及び(vi)を構成し得る単量体を含む場合、単量体成分中におけるこれらの単量体の好ましい含有割合は、上述した(メタ)アクリレート系重合体におけるこれらの構成単位の好ましい含有割合と同様である。
なお、「固形分総量」とは、硬化物を形成する成分(硬化物の形成時に揮発する溶媒等を除く)の総量を意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に重合性化合物を含む。重合性化合物を含むと、本発明の硬化性樹脂組成物を加熱処理した場合に重合性化合物の重合反応等により得られる硬化物が優れた耐溶剤性や硬化性を有するものとなる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;
また上記重合性化合物の分子量としては特に限定されないが、取り扱いの観点から、例えば、2000以下が好ましい。
本発明における光重合開始剤としては、好ましくはラジカル重合性の光重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合性の光重合開始剤とは、電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生させるものである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した(メタ)アクリレート系重合体、光重合開始剤、重合性化合物の他に必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、溶剤;色材(着色剤とも称す);分散剤;耐熱向上剤;レベリング剤;現像助剤;シリカ微粒子等の無機微粒子;シラン系、アルミニウム系、チタン系等のカップリング剤;フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール等の熱硬化性樹脂;多官能チオール化合物等の硬化助剤;可塑剤;重合禁止剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;艶消し剤;消泡剤;帯電防止剤;スリップ剤;表面改質剤;揺変化剤;揺変助剤;キノンジアジド化合物;多価フェノール化合物;カチオン重合性化合物;酸発生剤;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、上記硬化性樹脂組成物をカラーフィルター用途に使用する場合には、上記硬化性樹脂組成物は色材を含むことが好ましい。
上記溶剤としては、重合体を均一に溶解し、かつ反応しない溶媒であれば、特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム;ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶剤の含有量は、硬化性樹脂組成物を使用する際の最適粘度等に応じて適宜設定すればよい。
上記色材としては、例えば、顔料又は染料等が挙げられる。上記色材として、顔料又は染料の一方を使用してもよいし、顔料と染料を組み合わせて使用してもよい。例えば、カラーフィルターの赤色、青色、緑色画素を形成する場合、青と紫、緑と黄等、色材を適宜組み合わせて求める色特性が発揮されるような公知の手法を用いるとよい。また、ブラックマトリックスを形成する場合、黒の色材を用いるとよい。
これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物が上記色材を含む場合、更に分散剤を含むことが好ましい。分散剤を含むことにより、色材の分散媒への分散を安定化することができる。上記分散剤としては、特に限定されず、公知のものが挙げられ、例えば樹脂型分散剤、界面活性剤、色素誘導体等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記硬化性樹脂組成物を調製する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いればよく、例えば、上述した各含有成分を、各種の混合機や分散機を用いて混合分散する方法が挙げられる。混合・分散工程は特に限定されず、公知の方法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含んでいてもよい。なお、上記硬化性樹脂組成物が色材を含む場合は、色材の分散処理工程を経て調製することが好ましい。
なお、得られた硬化性樹脂組成物は、フィルター等によって、濾過処理をして微細なゴミを除去するのが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したように、耐溶剤性及び耐熱着色性に優れた硬化物を与えるものである。また、上記硬化物は、硬化性、現像性、基材との密着性、耐熱性及び透明性等の基本性能にも優れる。このような上記硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物もまた、本発明の一つである。
本発明のカラーフィルターは、基板上に、上記硬化物を有する形態からなる。
上記カラーフィルターにおいて、本発明の硬化性樹脂組成物により形成される硬化物は、例えば、ブラックマトリクスや、赤色、緑色、青色、黄色等の各画素のような着色が必要なセグメントとして特に好適であるが、フォトスペーサー、保護層、配向制御用リブ等の着色が必ずしも必要としないセグメントとしても好適である。
また上記基材には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤等による薬品処理等を行ってもよい。
上記カラーフィルターを得るには、例えば、画素一色につき(すなわち、一色の画素ごとに)、基板上に、上記硬化性樹脂組成物を配置する工程(配置工程とも称す)と、該基板上に配置された硬化性樹脂組成物に光を照射する工程(光照射工程とも称す)と、現像液により現像処理する工程(現像工程とも称す)と、加熱処理する工程(加熱工程とも称す)とを含む手法を採用し、これと同じ手法を各色で繰り返す製造方法を採用することが好適である。なお、各色の画素の形成順序は、特に限定されるものではない。
上記配置工程は、塗布により行うことが好適である。基板上に上記硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、スピン塗布、スリット塗布、ロール塗布、流延塗布等が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。
上記配置工程ではまた、上記硬化性樹脂組成物を基板上に塗布した後、塗膜を乾燥することが好適である。塗膜の乾燥は、例えば、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を用いて行うことができる。乾燥条件は、含まれる溶媒成分の沸点、硬化成分の種類、膜厚、乾燥機の性能等に応じて適宜選択されるが、通常、50~160℃の温度で10秒~300秒間行うことが好適である。
上記光照射工程において、使用される活性光線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が使用される。また、露光機の方式としては、プロキシミティー方式、ミラープロジェクション方式、ステッパー方式が挙げられるが、プロキシミティー方式が好ましく用いられる。
なお、活性エネルギー光線の照射工程では、用途によっては、所定のマスクパターンを介して活性エネルギー光線を照射することとしてもよい。この場合、露光部が硬化し、硬化部が現像液に対して不溶化又は難溶化されることになる。
上記現像工程は、上述した光照射工程の後、現像液によって現像処理し、未露光部を除去しパターンを形成する工程である。これにより、パターン化された硬化膜を得ることができる。現像処理は、通常、10~50℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法で行うことができる。
有機溶媒やアルカリ性水溶液としては、特開2015-157909号公報に記載のものと同様のものが挙げられる。
上記加熱工程は、上述した現像工程の後、焼成によって露光部(硬化部)を更に硬化させる工程(後硬化工程とも称す)である。例えば、高圧水銀灯等の光源を使用して、例えば0.5~5J/cm2の光量で後露光する工程や、例えば60~260℃の温度で10秒~120分間にわたって後加熱する工程等が挙げられる。このような後硬化工程を行うことにより、パターン化された硬化膜の硬度及び密着性を更に強固なものとすることが可能になる。また、この加熱工程により、上述したように、上記硬化性樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリレート系重合体の構成単位の3級炭素含有部位が脱離して生成したカルボキシル基が、上述した(メタ)アクリレート系重合体が有する水酸基含有単量体単位の水酸基と反応して架橋構造を形成し、得られる本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物が耐溶剤性や硬化性に更に優れたものとなる。
なお、上記加熱工程により得られる塗膜(すなわち硬化膜)の膜厚は、加熱前の塗膜の膜厚を100%とすると、90%以下であることが好適である。より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。
本発明はまた、上記カラーフィルターを用いて構成されてなる表示装置でもある。
なお、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化物を有する表示装置用部材及び表示装置もまた、本発明の好適な実施形態に含まれる。上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化物(硬化膜)は、安定して、基材等に対する密着性に優れ、かつ高硬度であるうえ、高平滑性を示し、高い透過率を有するものであるから、透明部材として特に好適であり、また、各種表示装置における保護膜や絶縁膜としても有用である。
なお、上記硬化物(硬化膜)を表示装置用部材として用いる場合、当該部材は、上記硬化膜から構成されるフィルム状の単層又は多層の部材であってもよいし、該単層又は多層の部材に更に他の層が組み合わされた部材であってもよいし、また、上記硬化膜を構成中に含む部材であってもよい。
(1)重量平均分子量(Mw)
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてHLC-8220GPC(東ソー社製)、カラム:TSKgel SuperHZM-M(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量を測定した。
重合体溶液をアルミカップに約1gはかり取り、アセトン約3gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。そして、熱風乾燥機(商品名:PHH-101、エスペック社製)を用い、真空下140℃で1.5時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、質量を測定した。その質量減少量から、重合体溶液の固形分(質量%)を計算した。
重合体溶液を3g精秤し、アセトン90gと水10gの混合溶媒に溶解させ、0.1NのKOH水溶液を滴定液として用いて滴定した。滴定は、自動滴定装置(商品名:COM-555、平沼産業社製)を用いて行い、溶液の酸価と溶液の固形分から固形分1g当たりの酸価(mgKOH/g)を求めた。
水酸基量は、下記の式により求めた。
水酸基量(モル%)=[水酸基含有単量体のモル数]/[全単量体成分のモル数]×100
なお、上記「水酸基含有単量体のモル数」は、具体的には、2-(1-ヒドロキシアルキル)アクリル酸メチルとメタクリル酸2-ヒドロキシエチルの合計モル数である。
理論酸価と(3)で算出した実測酸価の差分に相当する(メタ)アクリル酸単位は、全てラクトン環形成に消費されたとし、環化率は下記の式により求めた。
環化率(モル%)=[(理論酸価と実測酸価の差分に相当する(メタ)アクリル酸のモル数)/(2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルのモル数)]×100
なお、理論酸価は、[(メタ)アクリル酸単位のモル数]/[全単量体成分の総質量]×56.11の計算式で求めた値である。
共重合体溶液1.5gを精秤して5cm角のガラス基板上にスピンコートし、100℃で1時間、180℃で1時間、250℃で2時間と熱処理を順に行い、膜厚40μmの薄膜を得た。得られた薄膜を、色差計ZE6000(日本電色工業株式会社製、反射モードで測定条件)で測定して、100℃で1時間熱処理した後と、250℃で2時間熱処理した後の薄膜の色の変化をそれぞれのb*値の差により評価した。なおb*は、CIEで規格化され日本ではJIS(JIS Z 8729)で採用されているL*、a*、b*表色系に基づく彩度を表す色度である。
硬化性樹脂組成物を5cm角のガラス基板上にスピンコートし、90℃で3分間乾燥後、高圧水銀灯にて100mJで露光を行い、230℃で30分時間熱処理を行い、膜厚5μmの硬化膜を得た。そして、その硬化膜を1-メチル-2-ピロリドン(NMP)20gに25℃で2時間浸漬した後取り出し、硬化膜を取り出した後の浸漬液(NMP)について、分光光度計UV3100(島津製作所社製)で450nmの吸光度を測定した。吸光度の値が大きい程、浸漬液中に色材が多く溶出したことを示し、硬化性樹脂組成物の耐溶剤性が低いと評価した。
硬化性樹脂組成物を5cm角のガラス基板上にスピンコートし、100℃で3分間乾燥後、高圧水銀灯にて100mJで露光を行い、硬化膜を得た。次いで、硬化膜の中心の一部を削り取った際に、表面粗さ計VertScan2.0(株式会社 菱化システム製)を用いて、ガラス基準面と塗膜面の差分にあたる膜厚を測定した。さらに、230℃で30分時間熱処理を行った後、同様に膜厚を測り、熱処理前と熱処理後の膜厚から、下記式に従って減膜率(%)を算出した。
減膜率(%)=[(熱処理前の膜厚-熱処理後の膜厚)/熱処理前の膜厚]×100
熱処理後に硬化膜がより薄くなることで、体積あたりの色材の量(濃度)が大きくなり、結果的に硬化物の着色性が向上する。
共重合体溶液1(RHMA-t-BMA-MMA-HEMA-AA共重合体溶液)の調製
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート290部を仕込み、窒素置換した後、加熱して90℃まで昇温した。他方、滴下槽(A)として、ビーカーに2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル10.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル19.7部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、アクリル酸15.3部及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日本油脂社製「パーブチルO」)2.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-ドデシルメルカプタン1.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。滴下終了後30分間90℃を保った後、115℃まで昇温し、90分間熟成を行った。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液1を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液2(RHMA-t-BMA-MMA-HEMA-AA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル5.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル24.7部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、及びアクリル酸15.3部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液2を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液3(RHMA-t-BMA-MMA-HEMA-AA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル30.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル8.0部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル10.0部、及びアクリル酸17.0部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液3を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液4(RHMA-t-BMA-HEMA-AA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル30.0部、メタクリル酸t-ブチル50.0部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル4.0部、及びアクリル酸16.0部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液4を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液5(RHMA-t-BMA-MMA-AA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル30.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル18.0部、及びアクリル酸17.0部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液5を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液6(RHMA-t-BMA-MMA-HEMA-AA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル10.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル14.3部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、及びアクリル酸20.7部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液6を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液7(BzMI-t-BMA-MMA-HEMA-AA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、N-ベンジルマレイミド10.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル19.5部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、及びアクリル酸15.5部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液7を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液8(RHMA-BMA-HEMA-AA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル30.0部、メタクリル酸ブチル34.0部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、及びアクリル酸16.0部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液8を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液9(RHMA-t-BMA-MMA-HEMA-MAA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル10.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル16.5部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、及びメタクリル酸18.5部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液9を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液10(RHMA-t-BMA-MMA-HEMA-MAA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル15.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル11.5部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、及びメタクリル酸18.5部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液10を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液11(RHMA-t-BMA-MMA-HEMA-MAA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル20.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル6.5部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、及びメタクリル酸18.5部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液11を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液12(RHMA-t-BMA-MMA-HEMA-MAA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル10.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル10.0部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、及びメタクリル酸25.0部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液12を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液13(RHMA-t-BMA-HEMA-MAA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル20.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、及びメタクリル酸25.0部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液13を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液14(BzMI-t-BMA-MMA-HEMA-MAA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、N-ベンジルマレイミド10.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル17.5部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、及びメタクリル酸17.5部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液14を得た。各種物性を表1に示す。
共重合体溶液15(MD-t-BMA-MMA-HEMA-MAA共重合体溶液)の調製
滴下槽(A)における単量体の仕込み量を、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート10.0部、メタクリル酸t-ブチル35.0部、メタクリル酸メチル18.5部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル20.0部、及びメタクリル酸16.5部とした以外は合成例1と同様の方法で、共重合体溶液15を得た。各種物性を表1に示す。
RHMA:2-(1-ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル
BzMI:N-ベンジルマレイミド
MD:ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート
t-BMA:メタクリル酸t-ブチル
BMA:メタクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
また、表1によれば、耐熱着色性は、上記の環化構造を形成し得る単量体成分としてアクリル酸を用いた場合よりも、メタクリル酸を用いた場合の方が、全体的に耐熱着色性がより優れたものになるが、アクリル酸を用いた場合(合成例1~8)、メタクリル酸を用いた場合(合成例9~15)のそれぞれにおいて、上記一般式(1)で示される構成単位と3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体単位を有する(メタ)アクリレート系重合体は、耐熱着色性が優れたものになることが認められた。
顔料分散体1の調製
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを12.9部、分散剤としてディスパロンDA-7301を0.4部、色材としてC.I.ピグメントグリーン58を2.25部、及び、C.I.ピグメントイエロー138を1.5部混合し、ペイントシェーカーにて3時間分散することで顔料分散体1(固形分22質量%)を得た。
共重合体溶液1を2.0部、ラジカル重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを0.70部、ラジカル重合性光重合開始剤としてイルガキュア369(BASFジャパン社製)を0.35部、顔料分散体1を8.5部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.57部を混合し、硬化性樹脂組成物1を得た。
表2及び表3に示す配合としたこと以外は実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物2~15を得た。
以上より、本発明の硬化性樹脂組成物は、耐熱着色性、耐溶剤性に優れ、着色性にも優れることが認められた。
Claims (4)
- (メタ)アクリレート系重合体の製造方法であって、
該製造方法は、水酸基含有単量体、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体、(メタ)アクリル酸、及び、下記一般式(d)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合する工程を含み、
該水酸基含有単量体は、下記一般式(2)で示される2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステル及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含み、
該3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体は、(メタ)アクリロイル基に隣接する酸素原子が第3級炭素原子と結合した構造を有し、
該2-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルの含有割合が、該単量体成分100質量%中、10~50質量%であり、
該3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体の含有割合が、該単量体成分100質量%中、5~60質量%であり、
該(メタ)アクリル酸の含有割合が、該単量体成分100質量%中、1~35質量%であり、
該(メタ)アクリレート系重合体において、下記一般式(1)で示される構成単位の含有割合は、該重合体の全構成単位の総量100モル%に対して1~15モル%であり、
該3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体単位の含有割合は、該重合体の全構成単位の総量100モル%に対して5~60モル%であり、
該(メタ)アクリル酸由来の単量体単位の含有割合は、該重合体の全構成単位の総量100モル%に対して5~30モル%であり、
該水酸基含有単量体単位の含有割合は、該重合体の全構成単位の総量100モル%に対して5~50モル%であり、
該(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の含有割合は、該重合体の全構成単位の総量100モル%に対して1~40モル%である
ことを特徴とする(メタ)アクリレート系重合体の製造方法。
- 前記(メタ)アクリレート系重合体の環化率が、10~28モル%であることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリレート系重合体の製造方法。
- 前記(メタ)アクリレート系重合体の酸価が、110~200mgKOH/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の(メタ)アクリレート系重合体の製造方法。
- 前記(メタ)アクリル酸の含有割合が、前記単量体成分100質量%中、18.5~35質量%であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の(メタ)アクリレート系重合体の製造方法。
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