JP7016738B2 - ラジカル重合性共重合体、硬化性樹脂組成物及びその用途 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、カルボキシル基含有ラジカル重合性共重合体を含むカラーフィルター用感光性樹脂組成物が記載され、上記共重合体は、N-置換マレイミド化合物由来の単量体単位を含み、かつ、カルボキシル基及びエチレン性不飽和二重結合を有し、上記共重合体のTg(ガラス転移温度)が20℃以下である、樹脂組成物が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、カルボキシル基が主鎖から元素数7以上離間した側鎖に配置され、さらに側鎖にラジカル重合性二重結合を有することにより、可撓性に優れ、アルカリ現像性を低下させることなく残膜性が向上した、カルボキシル基含有ラジカル共重合体と、当該カルボキシル基含有ラジカル共重合体を含む感光性樹脂組成物が記載されている。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
本発明のラジカル重合性共重合体は、酸基及びエチレン性不飽和二重結合を側鎖に有するラジカル重合性共重合体であって、上記ラジカル重合性共重合体は、N-置換マレイミド化合物由来の構造単位、及び、下記一般式(1)で表される構造単位を有し、二重結合当量が330~2000g/当量であり、ガラス転移温度が50℃未満であり、下記一般式(2)で表される構造単位の含有割合が、上記ラジカル重合性共重合体の全構造単位100質量%に対して5質量%以下であり、上記酸基は、主鎖との間隔が原子数6以下であることを特徴とするラジカル重合性共重合体である。
本発明のラジカル重合性共重合体は、上記構成からなるため、現像速度が速く、現像性に優れ、パターン直線性及び耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。本発明のラジカル重合性共重合体が、現像性に優れるのは、N-置換マレイミド化合物に由来する構造単位と上記一般式(1)で表される構造単位を有し、特定範囲のガラス転移温度を有することにより、現像時に、上記共重合体を用いて形成された膜に現像液が浸透しやすくなるためと推測される。また、パターン直線性に優れるのは、上記一般式(1)で表される構造単位が疎水性を有することにより、現像時に硬化部(露光部)の樹脂の先抜けを抑制でき、残渣を発生させずパターンのエッジが均一に現像されるためと推測される。更に、耐溶剤性に優れるのは、上述した特定の構造単位を有すること、特定範囲の二重結合当量を有することにより、上記共重合体の疎水性が向上するためであると推測される。
上記ラジカル重合性共重合体が酸基を側鎖に有することにより、アルカリ可溶性となり、現像性を発揮することができる。また、上記ラジカル重合性共重合体の硬化物において、密着性を発揮することができる。
上記酸基は、主鎖に直接結合していることが好ましい。
本発明において、上記エチレン性不飽和二重結合とは、重合性二重結合、すなわち炭素-炭素二重結合を意味する。
上記ラジカル重合性共重合体は、N-置換マレイミド化合物由来の構造単位(以下、「構造単位(A)」とも称する。)を有する。
N-置換マレイミド化合物由来の構造単位を有することにより、本発明のラジカル重合性共重合体の疎水性が向上し、パターン直線性、耐溶剤性に優れた硬化物を得ることができる。また、硬化物の耐熱性を向上させることができる。
本発明のラジカル重合性共重合体は、また、下記一般式(1)で表される構造単位(以下、「構造単位(B)」とも称する。)を有する。
本発明のラジカル重合性共重合体は、上記構造単位(B)を有することにより、現像性が向上し、パターン直線性、及び耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。
上記炭素数4~20の直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、 n-ブチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルエチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、又はn-エイコシル基等を挙げることができる。
CH2=CR1-C(O)-O-R2 (1-1)
(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、炭素数4~20の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を表す。)
このような単量体化合物を含む単量体成分を重合することにより、上記構造単位(B)を有する重合体を得ることができる。
本発明のラジカル重合性共重合体は、更に、酸基含有単量体由来の構造単位(以下、「構造単位(C)」とも称する。)を有することが好ましい。構造単位(C)を有することにより、上記ラジカル重合性共重合体が、上述した酸基を有し、現像性や密着性を発揮することができる。
上記酸基含有単量体の酸基としては、上述した酸基と同様のものを挙げることができる。
本発明のラジカル重合性共重合体はまた、側鎖に環構造を有することが好ましい。すなわち、上記ラジカル重合性共重合体は、側鎖に環構造を有する構造単位(以下、「構造単位(D)」とも称する。)を有することが好ましい。側鎖に環構造を有することにより、上記ラジカル重合性共重合体の疎水性を向上させることができ、パターン直線性や耐溶剤性をより一層向上させることができる。
上記脂環式炭化水素基としては、好ましくは炭素数が3~20、より好ましくは炭素数が3~15の脂環式炭化水素基が挙げられる。上記脂環式炭化水素基としては、具体的には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、シクロへプチル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等の単環式炭化水素基;ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、トリシクロデカニル、アダマンチル、イソボルニル等の多環式炭化水素基が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。
下記一般式(2)中に表されるベンジル位の水素原子は切断され主鎖にラジカルが発生しやすく、主鎖の酸化により上記ラジカル重合性共重合体の硬化物の耐熱着色性を低下させるおそれがある。また、芳香環が光を吸収し、硬化物の透明性を低下させるおそれがある。そのため、下記一般式(2)で表される構造単位の含有割合は、上述した範囲であることが望ましい。
下記一般式(2)で表される構造単位の含有割合は、ラジカル重合性共重合体の全構造単位100質量%に対して3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0質量%であることが更に好ましい。
上記一般式(2)で表される構造単位を与える単量体としては、スチレン、ビニルトルエンが挙げられる。
上記ラジカル重合性共重合体は、更に、必要に応じて上記構造単位(A)~(D)以外の他の構造単位(E)を有していてもよい。
上記他の構造単位(E)としては、例えば、上記構造単位(B)を与える単量体以外の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、水酸基含有単量体、又は、他の共重合可能な単量体等に由来する構造単位が挙げられる。
N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム等の重合体分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルモルフォリン、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネート等の不飽和イソシアネート類;2,2’-〔オキシビス(メチレン)〕ビスアクリル酸、ジアルキル-2,2’-〔オキシビス(メチレン)〕ビス-2-プロペノエート、ジアルキル-2,2’-〔オキシビス(メチレン)〕ビス-2-プロペノエート等のジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体類;α-アリルオキシメチルアクリル酸、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸i-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ネオペンチル等のα-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体類等が挙げられる。
本明細書において、ガラス転移温度は、後述の実施例に記載した方法にて求めることができる。
二重結合当量は、原料の仕込み量から計算することができ、重合体固形分の質量(g)を、重合体の二重結合量(mol)で除することにより求めることができる。また、滴定及び元素分析、NMR、IR等の各種分析や示差走査熱量計法を用いて測定することもできる。
本明細書において、重量平均分子量は、後述の実施例に記載した方法にて求めることができる。
本明細書において、酸価は、後述の実施例に記載した方法にて求めることができる。
本発明のラジカル重合性共重合体の製造方法について説明する。
上記ラジカル重合性共重合体を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)上述した構造単位(A)を与える単量体(a)、上述した構造単位(B)を与える単量体(b)、及び上述した酸基含有単量体(c)を少なくとも含む単量体成分を重合してなる重合体(以下、「ベースポリマー1」とも称する。)に、上述したエポキシ基含有単量体(X)を付加反応させる方法や、(2)上記単量体(a)、上記単量体(b)、及び上記エポキシ基含有単量体(X)を少なくとも含む単量体成分を重合してなる重合体(以下、「ベースポリマー2」とも称する。)に、上記酸基含有単量体(c)を反応させる方法等が挙げられる。すなわち、上記ラジカル重合性共重合体は、ベースポリマー1と上記エポキシ基含有単量体(X)との反応物、又は、ベースポリマー2と上記酸基含有単量体(c)との反応物であることが好ましい。なかでも、酸基導入に対する製造効率の観点から、ベースポリマー1とエポキシ基含有単量体(X)との反応物であることが好ましい。
以下、合成方法について説明する。
上記方法(1)によりラジカル重合性共重合体を得る場合、ベースポリマー1を与える単量体成分は、上記単量体(a)、上記単量体(b)、及び上記酸基含有単量体(c)を少なくとも含む。
上記方法(2)により上記ラジカル重合性共重合体を得る場合、ベースポリマー2を与える単量体成分は、上記単量体(a)、上記単量体(b)及び上記エポキシ基含有単量体(X)を少なくとも含む。
上述したラジカル重合性共重合体は、更に重合性化合物と組み合わせることにより、硬化性樹脂組成物とすることができる。上記硬化性樹脂組成物は、上記重合体を含むので、アルカリ現像性に優れ、パターン直線性及び耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。また、更に重合性化合物を含むことにより、樹脂組成物の硬化性や、基材への密着性、機械的強度、耐熱性等の各種物性が優れた硬化物を与えることができる。このような、上記ラジカル重合性共重合体、及び、重合性化合物を含有する硬化性樹脂組成物もまた、本発明の一つである。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物として好適に用いることができる。
なお、「固形分総量」とは、硬化物を形成する成分(硬化物の形成時に揮発する溶媒等を除く)の総量を意味する。
上記重合性化合物としては、フリーラジカル、電磁波(例えば赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー線の照射等により重合し得る、重合性不飽和結合(重合性不飽和基とも称す)を有する低分子化合物である。例えば、重合性不飽和基を分子中に1つ有する単官能の化合物と、2個以上有する多官能の化合物が挙げられる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;
また上記重合性化合物の分子量としては特に限定されないが、取り扱いの観点から、例えば、2000以下が好ましい。
上記重合性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤を含むことにより、硬化性樹脂組成物の硬化性を向上させ、得られる硬化物の性能を向上させることができる。
本発明において使用する光重合開始剤としては、好ましくはラジカル重合性の光重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合性の光重合開始剤とは、電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生させるものである。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて更に他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、例えば、溶剤;色材;分散剤;酸化防止剤;耐熱向上剤;レベリング剤;現像助剤;シリカ微粒子等の無機微粒子;シラン系、アルミニウム系、チタン系等のカップリング剤;フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール等の熱硬化性樹脂;多官能チオール化合物等の硬化助剤;可塑剤;重合禁止剤;紫外線吸収剤;艶消し剤;消泡剤;帯電防止剤;スリップ剤;表面改質剤;揺変化剤;揺変助剤;キノンジアジド化合物;多価フェノール化合物;カチオン重合性化合物;酸発生剤;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、上記硬化性樹脂組成物をカラーフィルター用途に使用する場合には、上記硬化性樹脂組成物は色材を含むことが好ましい。
上記溶剤としては、硬化性樹脂組成物において通常使用するものを使用することができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、特開2015-157909号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記色材としては、例えば、顔料又は染料等が挙げられる。上記色材として、顔料又は染料の一方を使用してもよいし、顔料と染料を組み合わせて使用してもよい。例えば、カラーフィルターの赤色、青色、緑色画素を形成する場合、青と紫、緑と黄等、色材を適宜組み合わせて求める色特性が発揮されるような公知の手法を用いるとよい。また、ブラックマトリックスやブラックカラムスペーサーを形成する場合、黒の色材を用いるとよい。
これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物が上記色材を含む場合、更に分散剤を含むことが好ましい。
上記分散剤とは、色材への相互作用部位と分散媒(例えば溶剤やバインダー樹脂)への相互作用部位とを有し、色材の分散媒への分散を安定化する働きを持つものであり、一般的には、樹脂型分散剤(例えば高分子分散剤)、界面活性剤(例えば低分子分散剤)、色素誘導体に分類される。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することにより、硬化物の耐熱着色性を向上させることができる。
本発明において使用可能な酸化防止剤としては、特に限定されず、公知の酸化防止剤を適宜選択して用いればよいが、なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤が好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記硬化性樹脂組成物を調製する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いればよく、例えば、上述した各含有成分を、各種の混合機や分散機を用いて混合分散する方法が挙げられる。混合・分散工程は特に限定されず、公知の方法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含んでいてもよい。なお、上記硬化性樹脂組成物が色材を含む場合は、色材の分散処理工程を経て調製することが好ましい。
なお、得られた硬化性樹脂組成物は、フィルター等によって、濾過処理をして微細なゴミを除去するのが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したように、アルカリ現像性に優れ、パターン直線性及び耐溶剤性に優れた硬化物を与えるものである。また、上記硬化物は、基材との密着性、耐熱性及び透明性等の各種性能にも優れる。このような、基板(基材)上に上記硬化性樹脂組成物の硬化物を有する積層体もまた、本発明の一つである。
上記基板(基材)としては、特に限定されず、目的や用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、ガラス板、プラスチック板等、種々の材料からなる基材が挙げられる。
本発明のカラーフィルターは、基板上に、上記硬化性樹脂組成物の硬化物を有する形態からなる。
上記カラーフィルターにおいて、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化物は、例えば、ブラックマトリクスや、赤色、緑色、青色、黄色等の各画素のような着色が必要なセグメントとして特に好適であるが、フォトスペーサー、保護層、配向制御用リブ等の着色が必ずしも必要としないセグメントとしても好適である。
上記カラーフィルターを得るには、例えば、画素一色につき(すなわち、一色の画素ごとに)、基板上に、上記硬化性樹脂組成物を配置する工程(配置工程とも称する)と、該基板上に配置された硬化性樹脂組成物に光を照射する工程(光照射工程とも称する)と、現像液により現像処理する工程(現像工程とも称する)と、加熱処理する工程(加熱工程とも称する)とを含む手法を採用し、これと同じ手法を各色で繰り返す製造方法を採用することが好適である。なお、各色の画素の形成順序は、特に限定されるものではない。
上記配置工程は、塗布により行うことが好適である。基板上に上記硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、スピン塗布、スリット塗布、ロール塗布、流延塗布等が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。
上記光照射工程において、使用される活性光線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が使用される。また、露光機の方式としては、プロキシミティー方式、ミラープロジェクション方式、ステッパー方式が挙げられるが、プロキシミティー方式が好ましく用いられる。
なお、活性エネルギー光線の照射工程では、用途によっては、所定のマスクパターンを介して活性エネルギー光線を照射することとしてもよい。この場合、露光部が硬化し、硬化部が現像液に対して不溶化又は難溶化されることになる。
上記現像工程は、上述した光照射工程の後、現像液によって現像処理し、未露光部を除去しパターンを形成する工程である。これにより、パターン化された硬化膜を得ることができる。現像処理は、通常、10~50℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法で行うことができる。
上記加熱工程は、上述した現像工程の後、焼成によって露光部(硬化部)を更に硬化させる工程(後硬化工程とも称する)である。例えば、高圧水銀灯等の光源を使用して、例えば0.5~5J/cm2の光量で後露光する工程や、例えば60~260℃の温度で10秒~120分間にわたって後加熱する工程等が挙げられる。このような後硬化工程を行うことにより、パターン化された硬化膜の硬度及び密着性を更に強固なものとすることが可能になる。
なお、上記加熱工程により得られる塗膜(すなわち硬化膜)の膜厚は、加熱前の塗膜の膜厚を100%とすると、90%以下であることが好適である。より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。
本発明はまた、上述したカラーフィルターを備えることを特徴とする表示装置でもある。
なお、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化物を有する表示装置用部材及び表示装置もまた、本発明の好適な実施形態に含まれる。上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化物(硬化膜)は、安定して、基板等に対する密着性に優れ、かつ高硬度であるうえ、高平滑性を示し、高い透過率を有するものであるから、透明部材として特に好適であり、また、各種表示装置における保護膜や絶縁膜としても有用である。
なお、上記硬化物(硬化膜)を表示装置用部材として用いる場合、当該部材は、上記硬化膜から構成されるフィルム状の単層又は多層の部材であってもよいし、該単層又は多層の部材に更に他の層が組み合わされた部材であってもよいし、また、上記硬化膜を構成中に含む部材であってもよい。
GPC(HLC-8220GPC、東ソー社製)にてテトラヒドロフラン(THF)を溶離液とし、カラムにTSKgel SuperHZM-N(東ソー社製)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算にて算出した。
製造例で調製した共重合体溶液をアルミカップに約0.3gはかり取り、アセトン約1gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。その後、熱風乾燥機(商品名:PHH-101、エスペック株社製)を用い、140℃で3時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、重量を測定した。その重量減少量から、ポリマー溶液の固形分(アクリル系樹脂)の重量を計算した。
製造例で調製した共重合体溶液を1.5g精秤し、アセトン90gと水10gの混合溶媒に溶解させ、0.1NのKOH水溶液で滴定した。滴定は、自動滴定装置(商品名:COM-555、平沼産業社製)を用いて行い、固形分濃度から、ポリマー1g当たりの酸価を求めた(mgKOH/g)。
共重合体溶液を5cm角のガラス基盤に塗布し、ガラス基板上にスピンコートし、室温・減圧下にて4時間乾燥し、膜質量30mg以下の薄膜を形成することにより揮発成分を除去し、固形分を得た。固形分については、残存溶剤が0.1wt%以下であることをガスクロマトグラフィーによる定量により確認した。得られた固形分をDSC(示差走査熱量計法、測定機器:ネッチDSC3500)を用いて、窒素気流下、昇温速度10℃/minでJIS-K7121に準拠し測定した。
10cm角のガラス基板上に、硬化性樹脂組成物をスピンコーターにより塗布し、オーブンで90℃3分間乾燥した。乾燥後、塗膜から100μmの距離に15μmのラインアンドスペースを有するフォトマスクを配置して2.0kWの超高圧水銀ランプを装着したUVアライナ(商品名「TME-150RNS」、TOPCON社製)によって100mJ/cm2の強度(365nm照度換算)で紫外線を照射した。紫外線照射後、塗膜に0.05質量%の水酸化カリウム水溶液をスピン現像機にて散布し、未露光部を溶解、除去し、残った露光部を純水で10秒間水洗することにより現像して、ラインアンドスペースのパターンを形成した。
未露光部を溶解除去するのに要する時間を測定し、これを現像時間(秒)とした。
10cm角のガラス基板上に、硬化性樹脂組成物をスピンコーターにより塗布し、オーブンで90℃3分間乾燥した。乾燥後、塗膜から100μmの距離に15μmのラインアンドスペースを有するフォトマスクを配置して2.0kWの超高圧水銀ランプを装着したUVアライナ(商品名「TME-150RNS」、TOPCON社製)によって100mJ/cm2の強度(365nm照度換算)で紫外線を照射した。紫外線照射後、塗膜に0.05質量%の水酸化カリウム水溶液をスピン現像機にて散布し、未露光部を溶解、除去し、残った露光部を純水で10秒間水洗することにより現像して、ラインアンドスペースのパターンを形成し、表面粗さ計(菱化システム社製、商品名VertScan2.0)によりパターンのエッジ形状を観察した。パターン直線性の評価基準は以下のとおりである。
◎:パターンのエッジがシャープで、直線性が非常に良好であった。
○:パターンのエッジの一部に残渣が残るものの、直線性が良好であった。
×:パターンのエッジの大部分に残渣や線太りが見られ、直線性が低かった。
硬化性樹脂組成物を5cm角のガラス基板上にスピンコートし、90℃で3分間乾燥後、高圧水銀灯にて100mJで露光を行い、230℃で30分間熱処理を行い、膜厚5μmの薄膜を得た。その後、1-メチル-2-ピロリドン(N-メチルピロリドン;「NMP」とも称す)20gに55℃で5分間浸漬し、塗膜から溶出したNMPの色相を分光光度計UV3100(島津製作所社製)で測定して、670nmの吸光度を求めた。
なお、耐溶剤性の評価に用いたNMPは高極性・高溶解性を持つため、高分子化学の分野を中心に様々な物質に対する溶媒として用いられるものである。
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、N-ベンジルマレイミド(BzMI)5.0g、アクリル酸(AA)28.0g、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)31.0g、メタクリル酸メチル(MMA)1.0g、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)35.0g、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(商品名「パーブチル(登録商標)O」、日油社製、以下「PBO」とも称する。)2.0g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)17.0gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、ドデシルメルカプタン(nDM)2.8g、PGMEA17.2gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA114.0gとPGME56.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物および連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物および連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。さらに30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル(GMA)39.4g、重合禁止剤として2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)(商品名「アンテージW400」、川口化学工業社製、以下「W400」とも称する。)0.2g、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.4gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A-1)を得た。各種物性を表1に示す。
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、AA35.0g、CHMA19.0g、MMA1.0g、2EHA40.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0gおよびPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM1.0g、PGMEA19.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA110.0gとPGME55.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物および連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物および連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。さらに30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA39.4g、重合禁止剤としてW400を0.2g、TEA0.4gを仕込み、110℃で1時間、115℃で8時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A-2)を得た。各種物性を表1に示す。
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、AA45.0g、CHMA29.0g、MMA1.0g、2EHA20.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0gおよびPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM4.0g、PGMEA16.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA148.0gとPGME70.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物および連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物および連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA69.0g、重合禁止剤としてW400を0.2g、TEA0.4gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A-3)を得た。各種物性を表1に示す。
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、AA17.0g、CHMA17.0g、MMA1.0g、2EHA60.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0gおよびPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM1.5g、PGMEA18.5gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA80.0gとPGME42.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物および連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物および連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。さらに30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA9.9g、重合禁止剤としてW400を0.2g、TEA0.4gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A-4)を得た。各種物性を表1に示す。
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、AA28.0g、CHMA31.0g、MMA1.0g、アクリル酸n-ブチル(BA)35.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0gおよびPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM2.8g、PGMEA17.2gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA114.0gとPGME56.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物および連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物および連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。さらに30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA39.4g、重合禁止剤としてW400を0.2g、TEA0.4gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A-5)を得た。各種物性を表1に示す。
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、AA18.0g、CHMA76.0g、MMA1.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0gおよびPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM2.0g、PGMEA18.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA92.0gとPGME47.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物および連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物および連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。さらに30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA19.7g、重合禁止剤としてW400を0.2g、TEA0.4gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A-6)を得た。各種物性を表1に示す。
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI1.0g、AA79.0g、CHMA20.0g、PBO2.0g、PGME4.0gを投入し、撹拌混合した。また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM7.1g、PGME12.9gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGME216.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物および連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物および連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA124.2g、重合禁止剤としてW400を0.3g、TEA0.6g、PGMEを126.0g仕込み、110℃で1時間、115℃で7時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A-7)を得た。各種物性を表1に示す。
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物としてAA7.0g、CHMA40.0g、MMA53.0g、PBO2.0gを投入し撹拌混合した。また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM1.0g、PGMEA19.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA86.0gとPGME45.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物および連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物および連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A-8)を得た。各種物性を表1に示す。
上記共重合体溶液(A-1)8.98g(すなわち、共重合体3.5g)、分散剤(ビックケミ―・ジャパン社製、商品名「DISPERBYK-2001」、不揮発分1.3g;以下、byk2001と表す)2.77g、色材としての顔料(Clariant社製、商品名「C.I.ピグメントバイオレット23」;以下、PV23と表す)1.6gと染料(MP Biomnedicals社製、商品名「C.I.ソルベントブルー35」;以下、SB35と表す)6.4gを混合した。得られた混合物を、不揮発分濃度が20質量%となるようPGMEAで希釈し、ミルベースB1を得た。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学社製、以下DPHAと表す)3.5gと、上記共重合体溶液(A-1)4.62g(すなわち、共重合体1.8g)と、光重合開始剤としての2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(BASFジャパン社製、商品名「IRGACURE(登録商標)369」;以下、Irg369と表す)1.9gと、PGMEAとを混合してクリアレジストB1を得た。
次いで、ミルベースB1とクリアレジストB1とを混合し、不揮発分濃度が20質量%となるようにPGMEAで希釈して、硬化性樹脂組成物B1を得た。得られた硬化性樹脂組成物B1を上記評価(5)~(6)に供した。結果を表2に示す。
ミルベースとクリアレジストに含有させる共重合体溶液(A-1)に代えて、表2に示す共重合体溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物B2~B5を得た。いずれの実験例においても、ミルベースに含有させる共重合体溶液は、ミルベースに添加される共重合体量が3.5g、またクリアレジストに含有させる共重合体溶液は、クリアレジストに添加される共重合体量が1.8gとなるようにして用いた。
得られた硬化性樹脂組成物B2~5を上記評価(5)~(6)に供した。結果を表2に示す。
ミルベースとクリアレジストに含有させる共重合体溶液(A-1)に代えて、表2に示す共重合体溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物B6~B8を得た。いずれの実験例においても、ミルベースに含有させる共重合体溶液は、ミルベースに添加される共重合体が3.5g、またクリアレジストに含有させる共重合体溶液は、クリアレジストに添加される共重合体が1.8gとなるようにして用いた。得られた硬化性樹脂組成物B6~B8を上記評価(5)~(6)に供した。結果を表2に示す。
分散剤としてbyk2001を0.52g(不揮発分0.24g)、色材としての染料(SB35)1.4g、及び、顔料(PV23)0.4gを混合した。得られた混合物を、不揮発分濃度が20質量%となるようPGMEAで希釈し、ペイントシェーカーにて3時間分散することでミルベースB9を得た。
上記共重合体溶液(A-1)4.62g(すなわち、共重合体1.8g)と、DPHA1.8gと、光重合開始剤としての2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン(BASFジャパン社製、商品名「IRGACURE(登録商標)907」;以下Irg907と表す)0.6gと、PGMEAとを混合してクリアレジストB9を得た。次いで、ミルベースB9とクリアレジストB9とを混合し、不揮発分濃度が20質量%となるようにPGMEAで希釈して、硬化性樹脂組成物B9を得た。得られた硬化性樹脂組成物B9を上記評価(7)に供した。結果を表3に示す。
共重合体溶液(A-1)に代えて、共重合体溶液(A-7)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、硬化性樹脂組成物B10を得た。クリアレジストに含有させる共重合体溶液は、クリアレジストに添加される共重合体が1.8gとなるようにして用いた。得られた硬化性樹脂組成物B10を上記評価(7)に供した。結果を表3に示す。
BzMI:N-ベンジルマレイミド
AA:アクリル酸
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
MMA:メタクリル酸メチル
2EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル
BA:アクリル酸n-ブチル
GMA:メタクリル酸グリシジル
製造例1~5で得られた共重合体A-1~A-5は、本発明の共重合体に該当する。一方製造例6で得た共重合体A-6は、上記一般式(1)で表される構造単位を含まず、ガラス転移温度が50℃以上である点で、製造例7で得た共重合体A-7は、上記一般式(1)で表される構成単位を含まず、二重結合当量が330未満である点で、製造例8で得た共重合体A-8は上記一般式(1)で表される構成単位を含まず、ガラス転移温度が50℃以上であり、重合性二重結合(炭素-炭素二重結合)を有していない点で、共重合体A-1~A-5とは相違する。
このような相違のもと色材と併用した際の現像速度を比べると、共重合体A-6またはA-8を用いた比較例1または比較例3に対し、共重合体A-1~A-5を用いた実施例1~5では、現像速度が速いことが分かった(表2参照)。また重合体A-6~A-8を用いた比較例1~比較例3に対し、共重合体A-1~A-5を用いた実施例1~5では、パターン直線性が良好であることが分かった(表2参照)。
Claims (8)
- 酸基及びエチレン性不飽和二重結合を側鎖に有するラジカル重合性共重合体であって、
該ラジカル重合性共重合体は、N-置換マレイミド化合物由来の構造単位、及び、下記一般式(1)で表される構造単位を有し、側鎖に脂環構造を有し、
二重結合当量が330~2000g/当量であり、
ガラス転移温度が30℃以下であり、
下記一般式(2)で表される構造単位の含有割合が、該ラジカル重合性共重合体の全構造単位100質量%に対して5質量%以下であり、
該酸基は、主鎖との間隔が原子数6以下である
ことを特徴とするラジカル重合性共重合体。
- 前記一般式(1)で表される構造単位の含有割合が、前記ラジカル重合性共重合体の全構造単位100質量%に対して10質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のラジカル重合性共重合体。
- 前記酸基は、(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のラジカル重合性共重合体。
- 酸価が30~200mgKOH/gであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のラジカル重合性共重合体。
- 請求項1~4のいずれかに記載のラジカル重合性共重合体、及び、重合性化合物を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
- 基板上に、請求項5に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とする積層体。
- 基板上に、請求項5に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とするカラーフィルター。
- 請求項7に記載のカラーフィルターを備えることを特徴とする表示装置。
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