JP7315416B2 - 感光性樹脂組成物、硬化物、及び積層体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、顔料、バインダー樹脂、溶剤、光重合開始剤、光重合性単量体及び、熱硬化剤を含有し、上記熱硬化剤がオキサゾリン基を含有するカラーフィルタ用着色組成物が記載されている。
一方で、感光性樹脂組成物には、保存時には硬化反応が進行せず、保存安定性に優れることも求められる。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
本発明は、酸基含有重合体と、オキサゾリン基含有重合体と、塩基性化合物と、光重合開始剤及び/又は光酸発生剤とを含み、上記塩基性化合物の含有量は、酸基含有重合体の酸基100モル%に対して1.7モル%以上であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、酸基含有重合体と、反応性の高いオキサゾリン基含有重合体とを含むが、塩基性化合物を更に含むことにより、酸基含有重合体の酸基がキャップされて、酸基とオキサゾリン基との反応が抑制され、一液での保存安定性に優れる。また、熱硬化時には塩基性化合物が蒸散し、これによって、酸基とオキサゾリン基の反応性が復元されて、架橋反応が進行し、耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。
(A)酸基含有重合体
上記酸基含有重合体は、酸基を有する重合体である。酸基を有することにより、アルカリ可溶性となる。
上記酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基、スルホン酸基等、アルカリ水と中和反応する官能基が挙げられ、これらの1種のみを有していてもよいし、2種以上有していてもよい。なかでも、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
なお、上記酸基含有重合体は、オキサゾリン基を含まない重合体であることが好ましい。
上記酸基含有重合体は、上述した酸基を有する構成単位(以下、「構成単位(a1)」とも称す。)を有することが好ましい。
上記構成単位(a1)を有する重合体を得る方法としては、例えば、酸基含有単量体を含む単量体成分を重合する方法(1)や、エポキシ基含有単量体を含む単量体成分を重合して、エポキシ基を含む重合体を得た後、そのエポキシ基に酸基含有単量体の酸基を付加反応させることにより、エポキシ基を開環し、その際に発生した水酸基に多塩基酸又は多塩基酸無水物を反応させてカルボキシル基を生じさせる方法(2)等が挙げられ、又は、これらを組み合わせた方法であってもよい。
上記(1)の方法では、上記構成単位(a1)は、酸基含有単量体由来の構成単位である。上記(2)の方法では、上記構成単位(a1)は、エポキシ基含有単量体由来の構成単位に酸基含有単量体を反応させ、更に多塩基酸又は多塩基酸無水物を反応させて生じたカルボキシル基を含む構成単位である。
なかでも、上記構成単位(a1)は、酸基含有単量体由来の構成単位であることが好ましい。
上記エポキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β-メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β-エチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルが好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルがより好ましい。
上記酸基含有重合体は、更に、-COO*R1(R1は、一価の有機基を表し、O*に結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。)基を含有するビニル系単量体由来の構成単位(以下、「構成単位(a2)」とも称す。)を有することが好ましい。上記酸基含有重合体が更に上記構成単位(a2)を有することにより、耐溶剤性がより一層優れ、耐熱性にも優れた硬化物を与えることができる。
R1の炭素数は、より好ましくは炭素数1~50であり、更に好ましくは炭素数1~35であり、特に好ましくは炭素数1~20である。
R1は、後述する式(1)中のAと同様の一価の有機基であることが好ましい。
上記構成単位(a2)は、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体由来の構成単位であることが好ましい。
CH2=C(R2)-C(=O)-O*-A (1)
(式中、R2は、水素原子又はメチル基を表す。Aは、酸素原子側に第3級炭素原子を有する構造を含む、一価の有機基を表す。)で表される化合物であることが好ましい。
上記R3、R4及びR5は、同一又は異なって、炭素数1~15の飽和炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1~10の飽和炭化水素基、更に好ましくは炭素数1~5の飽和炭化水素基、特に好ましくは炭素数1~3の飽和炭化水素基である。
上記酸基含有重合体は、主鎖に環構造を有する重合体であることが好ましい。すなわち、上記酸基含有重合体は、主鎖に環構造を有する構成単位(以下、「構成単位(a3)」とも称する。)を更に有することが好ましい。上記酸基含有重合体が主鎖に環構造を有する重合体であると、耐熱性にも優れた硬化物を与えることができる。
上記環構造としては、イミド環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環等が挙げられる。
主鎖に環構造を導入しうる単量体を含む単量体成分を重合することにより、上記構成単位(a3)を有する上記酸基含有重合体を得ることができる。
上記α-(アリルオキシメチル)アクリレート系単量体の具体例としては、例えば、α-アリルオキシメチルアクリル酸;α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸i-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘプチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸2-エチルヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸カプリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸デシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メリシル等のアルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体;α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-メトキシブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエトキシエチル等のアルコキシアルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体;α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシプロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヒドロキシブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フルオロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフルオロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸クロロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジクロロエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ブロモエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジブロモエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ビニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メタリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸クロチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸プロパギル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-メチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリシクロデカニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸イソボルニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アダマンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンタジエニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ベンジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シンナミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ナフチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アントラニル;等が挙げられる。なかでも、アルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体が好適である。上記アルキル-(α-アリルオキシメチル)アクリレート系単量体としては、透明性や分散性、工業的入手の容易さ等の観点から、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル(メチル-(α-アリルオキシメチル)アクリレートとも称する)が特に好適である。
上記酸基含有重合体はまた、側鎖に環構造を有することが好ましい。すなわち、上記酸基含有重合体は、側鎖に環構造を有する構成単位(以下、「構成単位(a4)」とも称する。)を更に有することが好ましい。
上記脂環式炭化水素基としては、好ましくは炭素数が3~20、より好ましくは炭素数が3~15の脂環式炭化水素基が挙げられる。上記脂環式炭化水素基としては、具体的には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、シクロへプチル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等の単環式炭化水素基;ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、トリシクロデカニル、アダマンチル、イソボルニル等の多環式炭化水素基が挙げられる。
上記酸基含有重合体は、上述した構成単位(a1)~(a4)以外に他の構成単位(以下、「構成単位(a5)」とも称する。)を更に有していてもよい。上記構成単位(a5)としては、例えば、上記構成単位(a2)又は上記構成単位(a4)を与える単量体以外の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、水酸基含有単量体、他の共重合可能な単量体等に由来する構成単位が挙げられる。
N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム等の重合体分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、キシレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン等の芳香族ビニル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルモルフォリン、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネート等の不飽和イソシアネート類;等が挙げられる。
上記酸価は、水酸化カリウム(KOH)溶液を用いた中和滴定法により測定して得られる値であり、重合体固形分1gあたりの酸価である。
上記重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
上記二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられる。上記酸基含有重合体は、これらの1種又は2種以上を有していてもよい。なかでも、反応性の点で、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
本発明の酸基含有重合体を製造する方法としては、少なくとも上述の構成単位(a1)を有する重合体を得ることができる方法であれば、特に制限されず、例えば、上述した各構成単位を導入しうる単量体を含む単量体成分を重合する方法や、単量体成分を重合してベースポリマーを得て、上記ベースポリマーが有する基に他の化合物を付加反応させ、所定の構成単位を有する重合体を得る方法等が挙げられる。
また上記単量体成分を重合して得られる重合体の分子量は、重合開始剤の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量を適宜調整により制御することができる。
上記反応は公知の手法を採用すればよい。
なお、本明細書において、「固形分総量」とは、硬化物を形成する成分(硬化物の形成時に揮発する溶媒等を除く)の総量を意味する。
本発明において使用されるオキサゾリン基含有重合体は、オキサゾリン基含有単量体由来の構成単位(以下、「構成単位(b1)」とも称する。)を含む重合体である。上記オキサゾリン基含有重合体は、オキサゾリン基含有単量体を含む単量体成分を重合することにより得ることができる。
上記オキサゾリン基含有単量体としては、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。
なかでも、入手しやすい点で、上記オキサゾリン基含有単量体としては、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-2-オキサゾリンが好ましく、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、塩基性化合物を含み、その含有量は、上記酸基含有重合体の酸基100モル%に対して1.7モル%以上である。本発明の感光性樹脂組成物は、上述の範囲量の塩基性化合物を含むため、樹脂組成物中での酸基とオキサゾリン基の反応を抑制して保存安定性に優れたものとすることができ、かつ、熱硬化時には蒸散して上記反応を復元させることができる。
本発明において使用する光重合開始剤としては、好ましくはラジカル重合性の光重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合性の光重合開始剤とは、電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生させるものである。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において使用される光酸発生剤は、光が照射されることにより、酸と同時にラジカルを発生させる化合物である。上記光酸発生剤としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により酸を発生する化合物であり、具体的には、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等の公知の化合物が挙げられる。
なかでも、上記光酸発生剤は、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、及び、ジアゾメタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、オニウム塩化合物であることがより好ましく、トリアリールスルホニウム塩であることが更に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、重合性化合物を含むことが好ましい。重合性化合物を更に含むことにより、耐溶剤性に加え、樹脂組成物の硬化性や、機械的強度、耐熱性等の各種物性にも優れた硬化物を与えることができる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;
また上記重合性化合物の分子量としては特に限定されないが、取り扱いの観点から、例えば、2000以下が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した成分以外に、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、例えば、溶剤;色材(顔料、染料);分散剤;耐熱向上剤;レベリング剤;現像助剤;シリカ微粒子等の無機微粒子;シラン系、アルミニウム系、チタン系等のカップリング剤;フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール等の熱硬化性樹脂;多官能チオール化合物等の硬化助剤;可塑剤;重合禁止剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;艶消し剤;消泡剤;帯電防止剤;スリップ剤;表面改質剤;揺変化剤;揺変助剤;キノンジアジド化合物;多価フェノール化合物;カチオン重合性化合物;酸発生剤;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの他の成分は、公知のものから適宜選択して使用するとよく、その使用量も適宜設定することができる。
例えば、上記感光性樹脂組成物をカラーフィルター用途に使用する場合には、上記感光性樹脂組成物は色材を含むことが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物を調製する方法としては、特に制限されず公知の方法を用いればよく、例えば、上述した各含有成分を、各種の混合機や分散機を用いて混合分散する方法が挙げられる。混合・分散工程は特に制限されず、公知の方法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含んでいてもよい。上記感光性樹脂組成物が色材を含む場合は、色材の分散処理工程を経て調製することが好ましい。
なお、得られた感光性樹脂組成物は、フィルター等によって、濾過処理をして微細なゴミを除去するのが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物を使用して硬化物を得る方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いればよく、例えば、上述した感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、塗布したものを乾燥、加熱、又は紫外線等のエネルギー線を照射することにより硬化させて硬化物を得る方法が挙げられる。
すなわち、基板上に、上述の感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する工程、形成された塗布膜に光照射する工程、及び、光照射された塗布膜を200℃以下で加熱する工程を含む、硬化物の製造方法である。
上記製造方法においては、上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布した後、塗布物を乾燥させて塗布膜を形成することが好ましい。上記乾燥は、公知の方法で行うことができ、具体的には、後述する「<カラーフィルターの製造方法>」の「配置工程」に記載の乾燥方法と同様の方法で行うことができる。
上記形成された塗布膜に光照射する方法としては、特に制限されず、公知の方法で行うことができ、具体的には、後述する「<カラーフィルターの製造方法>」の「光照射工程」に記載の方法と同様の方法で行うことができる。
加熱温度は、190℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましい。加熱温度の下限としては、硬化性が維持できる点で、75℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。
温度以外の上記加熱方法については、特に制限されず、公知の方法で行うことができ、例えば、後述する「<カラーフィルターの製造方法>」の「加熱工程」に記載の方法と同様の方法で行うことができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、保存安定性に優れ、かつ、低温硬化条件でも耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。そのため、保存安定性や、優れた耐溶剤性が必要とされる用途や、耐溶剤性に優れた硬化物を低温条件下で得ることが必要とされる用途に好適に用いることができる。本発明の感光性樹脂組成物は、光学材料用として好適に使用される。また、ネガ型感光性樹脂組成物として好適に使用される。
本発明の感光性樹脂組成物は、具体的には、例えば、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いられるカラーフィルター、ブラックマトリクス、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト、絶縁膜等の、各種の光学部材や電機・電子機器等の構成部材の用途に好適に使用することができる。なかでも、カラーフィルターに用いることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物は、色材を更に含み、カラーフィルター用樹脂組成物であってもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上述のように、保存安定性に優れ、耐溶剤性に優れた硬化物を与えることができる。また、上記硬化物は、耐熱性や透明性等にも優れる。このような上記感光性樹脂組成物の硬化物もまた本発明の一つである。また、基板上に上記感光性樹脂組成物の硬化物を有する積層体も本発明の一つである。上記基板としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
基板上に、上述の感光性樹脂組成物の硬化物を有するカラーフィルターも、本発明の好ましい形態の一つである。
上記カラーフィルターにおいて、上述の感光性樹脂組成物により形成される硬化物は、例えば、ブラックマトリクスや、赤色、緑色、青色、黄色等の各画素のような着色が必要なセグメントとして特に好適であるが、フォトスペーサー、保護層、配向制御用リブ等の着色が必ずしも必要としないセグメントとしても好適である。
また上記基板には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤等による薬品処理等を行ってもよい。
上記カラーフィルターを得るには、例えば、画素一色につき(すなわち、一色の画素ごとに)、基板上に、上述の感光性樹脂組成物を配置する工程(配置工程とも称す)と、当該基板上に配置された感光性樹脂組成物に光を照射する工程(光照射工程とも称す)と、現像液により現像処理する工程(現像工程とも称す)と、加熱処理する工程(加熱工程とも称す)とを含む手法を採用し、これと同じ手法を各色で繰り返す製造方法を採用することが好適である。なお、各色の画素の形成順序は、特に限定されるものではない。
上記配置工程は、塗布により行うことが好適である。基板上に上記感光性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、スピン塗布、スリット塗布、ロール塗布、流延塗布等が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。
上記配置工程ではまた、上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布した後、塗膜を乾燥することが好適である。塗膜の乾燥は、例えば、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を用いて行うことができる。乾燥条件は、含まれる溶媒成分の沸点、硬化成分の種類、膜厚、乾燥機の性能等に応じて適宜選択されるが、通常、50~160℃の温度で10秒~300秒間行うことが好適である。
上記光照射工程において、使用される活性光線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が使用される。また、露光機の方式としては、プロキシミティー方式、ミラープロジェクション方式、ステッパー方式が挙げられるが、プロキシミティー方式が好ましく用いられる。
なお、活性エネルギー光線の照射工程では、用途によっては、所定のマスクパターンを介して活性エネルギー光線を照射することとしてもよい。この場合、露光部が硬化し、硬化部が現像液に対して不溶化又は難溶化されることになる。
上記現像工程は、上述した光照射工程の後、現像液によって現像処理し、未露光部を除去しパターンを形成する工程である。これにより、パターン化された硬化膜を得ることができる。現像処理は、通常、10~50℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法で行うことができる。
上記加熱工程は、上述した現像工程の後、焼成によって露光部(硬化部)を更に硬化させる工程(「後硬化工程」とも称す)である。例えば、高圧水銀灯等の光源を使用して、0.5~5J/cm2の光量で後露光する工程や、例えば60~200℃の温度で10秒~120分間にわたって後加熱する工程等が挙げられる。このような後硬化工程を行うことにより、パターン化された硬化膜の硬度及び密着性を更に強固なものとすることが可能になる。
上記加熱工程は、一般的には、200~260℃程度の温度で行われるが、上記感光性樹脂組成物を使用すれば、200℃以下の比較的低温な条件下で十分な硬化を行うことができる。そのため、基板や硬化物が保持する特性を損なうことなく、耐溶剤性に優れたものを得ることができる。
上述したカラーフィルターを備える表示装置も本発明における好ましい形態の一つである。
上記感光性樹脂組成物の硬化物を有する表示装置用部材及び表示装置もまた、本発明の好適な実施形態に含まれる。上記感光性樹脂組成物により形成される硬化物(硬化膜)は、安定して、基材等に対する密着性に優れ、かつ高硬度であるうえ、高平滑性を示し、高い透過率を有するものであるから、透明部材として特に好適であり、また、各種表示装置における保護膜や絶縁膜としても有用である。
なお、上記硬化物(硬化膜)を表示装置用部材として用いる場合、当該部材は、上記硬化膜から構成されるフィルム状の単層又は多層の部材であってもよいし、上記単層又は多層の部材に更に他の層が組み合わされた部材であってもよいし、また、上記硬化膜を構成中に含む部材であってもよい。
(1)重量平均分子量(Mw)
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液として、HLC-8220GPC(東ソー社製)、カラム:TSKgel SuperHZM-M(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量を測定した。
共重合体溶液をアルミカップに約1gはかり取り、アセトン約3gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。そして、熱風乾燥機(商品名:PHH-101、エスペック社製)を用い、真空下140℃で1.5時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、質量を測定した。その質量減少量から、重合体溶液の固形分(質量%)を計算した。
共重合体溶液を3g精秤し、アセトン90gと水10gの混合溶媒に溶解させ、0.1NのKOH水溶液を滴定液として用いて滴定した。滴定は、自動滴定装置(商品名:COM-555、平沼産業社製)を用いて行い、溶液の酸価と溶液の固形分から固形分1g当たりの酸価(mgKOH/g)を求めた。
感光性樹脂組成物を5cm角のガラス基板上にスピンコートし、100℃で3分間乾燥後、高圧水銀灯を用いて200mJで露光を行い、170℃又は230℃でそれぞれ40分間熱処理(後硬化)を行い、膜厚5μmの硬化膜を得た。そして、その硬化膜を1-メチル-2-ピロリドン(NMP)20gに40℃で10分間浸漬した後取り出し、硬化膜を取り出した後の浸漬液(NMP)について、分光光度計UV3100(島津製作所社製)で吸光度を測定した。吸光度の値が大きいほど、浸漬液中に色材が多く溶出したことを示し、感光性樹脂組成物の耐溶剤性が低いと評価した。
感光性樹脂組成物をスクリュー管に分取し、40℃で24時間保存後の粘度の変化を観察した。粘度は、25℃で、コーンプレート型回転粘度計(TVE22LT、東機産業製)により測定し、初期粘度からの増粘率を測定した。増粘率が低いほど、保存安定性が高いと評価した。
共重合体溶液A-1の調製
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えたセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と表記する。)57.3部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGME」と表記する。)37.3部を仕込み、窒素置換した後、加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、ビーカーにメチルメタクリレート(以下、「MMA」と表記する。)60部、メタクリル酸(以下、「MAA」と表記する。)40部、PGMEA18.0部、PGME7.7部及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油社製「パーブチル(登録商標)O」)(以下、「PBO」と表記する。)2.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-ドデシルメルカプタン(以下、「n-DM」と表記する。)0.3部、PGMEA29.7部を攪拌混合したものを準備した。
反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。滴下が終了してから30分後にPBO0.5部を加えた。さらに30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」と表記する。)25.0部、重合禁止剤として2-2’メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)(川口化学工業株式会社製「ANTAGE W-400」)(以下、「W-400」と表記する。)0.2部、触媒としてトリエチルアミン(以下、「TEA」と表記する。)0.4部を仕込み、110℃7時間反応させ、共重合体溶液A-1を得た。共重合体のMwは40000、酸価は135mgKOH/gであった。
共重合体溶液A-2の調製
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えたセパラブルフラスコに、PGMEA99.3部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
他方、モノマー滴下槽中に、ベンジルマレイミド(以下、「BzMI」と表記する。)10.0部、MMA37.0部、GMA53.0部、PBO2.0部、PGMEA48.8部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM5.0部、PGMEA15.0部を攪拌混合したものを準備した。
反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。滴下が終了してから30分後にPBO0.5部を加えた。さらに30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、アクリル酸(以下、「AA」と表記する。)27.0部、重合禁止剤としてW-400 0.1部、TEA0.4部、PGMEA14.0部を仕込み、110℃で10時間反応させた。
次いで、反応槽に、コハク酸無水物(以下、「SAH」と表記する。)9.0部を投入し、110℃で3時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液A-2を得た。共重合体のMwは10000、酸価は50mgKOH/gであった。
共重合体溶液A-3の調製
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えたセパラブルフラスコに、PGMEA126.8部、PGME67.0部を仕込み、窒素置換した後、加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、ビーカーにMMA5.0部、MAA50.0部、BzMI10.0部、メタクリル酸tert-ブチル(以下、「tBMA」と表記する。)35.0部、PGMEA7.0部、PGME3.0部及びPBO2.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM0.5部、PGMEA29.5部を攪拌混合したものを準備した。
反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。滴下が終了してから30分後にPBO0.5部を加えた。さらに30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、GMA50.0部、重合禁止剤としてW-400 0.2部、触媒としてTEA0.4部を仕込み、110℃7時間反応させ、共重合体溶液A-3を得た。共重合体のMwは30000、酸価は100mgKOH/gであった。
共重合体溶液A-4の調製
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えたセパラブルフラスコに、PGMEA79.5部、PGME46.0部を仕込み、窒素置換した後、加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、ビーカーにMMA10.0部、MAA45.0部、2-アリルオキシメチルアクリル酸メチル(以下、「AMA」と表記する。)10部、tBMA35部、PGMEA7.0部、PGME3.0部及びPBO2.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM2.3部、PGMEA27.7部を攪拌混合したものを準備した。
反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。滴下が終了してから30分後にPBO0.5部を加えた。さらに30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いでGMA33.0部、重合禁止剤としてW-400 0.2部、触媒としてTEA0.4部を仕込み、110℃7時間反応させ、共重合体溶液A-4を得た。共重合体のMwは15000、酸価は130mgKOH/gであった。
共重合体溶液A-5の調製
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えたセパラブルフラスコに、PGMEA62.0部、PGME38.5部を仕込み、窒素置換した後、加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、ビーカーにMMA35.0部、MAA20.0部、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート(以下、「MD」と表記する)10.0部、tBMA35.0部、PGMEA24.5部、PGME10.5部及びPBO2.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM2.3部、PGMEA27.7部を攪拌混合したものを準備した。
反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。滴下が終了してから30分後にPBO0.5部を加えた。さらに30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、GMA17.0部、重合禁止剤としてW-400 0.2部、触媒としてTEA0.4部を仕込み、110℃7時間反応させ、共重合体溶液A-5を得た。共重合体のMwは9000、酸価は60mgKOH/gであった。
共重合体溶液A-6の調製
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えたセパラブルフラスコに、PGMEA52.8部、PGME34.5部を仕込み、窒素置換した後、加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、ビーカーにMAA20.0部、N-シクロヘキシルマレイミド(以下、CHMI)10.0部、メタクリル酸ジシクロペンタニル(以下、「DCPMA」と表記する。)35.0部、tBMA35.0部、PGMEA24.5部、PGME10.5部及びPBO2.0部を攪拌混合したものを準備し、滴下槽(B)に、n-DM2.3部、PGMEA27.7部を攪拌混合したものを準備した。
反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から3時間かけて滴下を開始し、重合を行った。滴下が終了してから30分後にPBO0.5部を加えた。さらに30分後、反応槽を115℃に昇温し、1.5時間同温度を維持し、共重合体溶液A-6を得た。共重合体のMwは7000、酸価は130mgKOH/gであった。
共重合体B-1の調製
トルエン100質量部、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン(以下、「IPO」と表記する。)30部及びMMA70部からなる原料混合液を調製した。この原料混合液を質量比で40:60に分け、40質量%に相当するものを原料混合液1とし、60質量%に相当するものを原料混合液2とした。原料混合物2に、重合開始剤としてt-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート(化薬アクゾ社製、商品名:カヤエステルAN)5質量部を混合し、原料混合物3とした。
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた2Lフラスコ内に、前記原料混合液1を投入し、窒素ガスをフラスコ内に10分間吹き込むことにより、フラスコ内を窒素ガス置換した後、フラスコ内を撹拌しながら温度100℃に昇温した。その後、前記原料混合物3を3時間かけてフラスコ内に連続滴下し(すなわち、重合成分濃度50質量%)、その後、5時間加熱を継続し、反応を完結させた。前記フラスコ内の内容物を25℃に冷却して、重合体を50質量%の濃度で含むオキサゾリン系重合体溶液(重合液1)を得た。
得られた重合液1を冷却して、大量のn-ヘキサン中に撹拌しながらゆっくり加えた。沈殿した白色の固体を取り出し、温度90℃で約3日乾燥し溶媒を除去することで共重合体B-1を得た。共重合体B-1のMwは31000、酸価は0mgKOH/gであった。
顔料分散体1の調製
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを12.9部、分散剤としてディスパロンDA-7301を0.4部、色材としてC.I.ピグメントグリーン58を2.25部、及び、C.I.ピグメントイエロー138を1.5部混合し、ペイントシェーカーにて3時間分散することで顔料分散体1(固形分22質量%)を得た。
共重合体溶液A-1を17.5部(固形分換算)、共重合体B-1を17.5部、ラジカル重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを30.0部、ラジカル重合性光重合開始剤としてイルガキュアOXE-02(BASFジャパン社製)を5.0部、製造例8で得られた顔料分散体1を30.0部(固形分換算)、ジエチルメチルアミン(以下、「DEMA」と表記する。)を3.1部、PGMEを70部、更に、PGMEAを固形分濃度20%となるように加え、攪拌することで感光性樹脂組成物1を得た。
共重合体溶液A-1を17.5部(固形分換算)、共重合体B-1を17.5部、ラジカル重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを30.0部、ラジカル重合性光重合開始剤としてイルガキュアOXE-02(BASFジャパン社製)を5.0部、顔料分散体1を30.0部(固形分換算)、ジメチルベンジルアミン(以下、「DMBzA」と表記する。)を4.1部、PGMEを70部、更に、PGMEAを固形分濃度20%となるように加え、攪拌することで硬化性樹脂組成物7を得た。
表2、3に示す配合としたこと以外は感光性樹脂組成物1と同様の方法により、感光性樹脂組成物2~6、8~13を得た。
得られた感光性樹脂組成物1~9の耐溶剤性について、上記の方法で評価した。結果を表2に示す。
得られた感光性樹脂組成物1、10~13の保存安定性について、上記の方法で評価した。結果を表3に示す。
CPI-100P:トリアリールモノスルホニウム塩(4-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、サンアプロ株式会社製)
TEA:トリエチルアミン
Claims (8)
- 酸基含有共重合体と、オキサゾリン基含有共重合体と、塩基性化合物と、光重合開始剤及び/又は光酸発生剤とを含み、
該塩基性化合物の含有量は、酸基含有共重合体の酸基100モル%に対して1.7モル%以上であり、
該酸基含有共重合体は、側鎖に重合性二重結合を有する
ことを特徴とする感光性樹脂組成物。 - 前記塩基性化合物の分子量は、130以下であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 更に、重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記酸基含有共重合体は、-COO*R1(R1は、一価の有機基を表し、O*に結合する炭素原子は、第3級炭素原子である。)基を含有するビニル系単量体単位を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- ネガ型である請求項1~4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 光学材料用である請求項1~5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物。
- 基板上に、請求項7に記載の硬化物を有することを特徴とする積層体。
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