JP7259218B2 - 光熱変換材料、光熱変換組成物、および光熱変換成形体 - Google Patents

光熱変換材料、光熱変換組成物、および光熱変換成形体 Download PDF

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Description

本発明は、金属微粒子と微細化セルロースとを含有する複合体を含む光熱変換材料、光熱変換組成物、および光熱変換成形体に関する。
近年、持続的に利用可能な環境調和材料である天然高分子を用いた機能性材料の開発が盛んに行われ、石油由来材料からバイオマス材料への代替が期待されている。 例えば、生分解性を有する環境に優しい天然高分子材料としては、セルロース等の植物材料が知られている。植物や木材の主成分であるセルロースは、地球上に最も大量に蓄積された天然高分子材料である。セルロースは、木材中では、数十本以上のセルロース分子が束になり、高結晶性で、かつナノメートルオーダーの繊維径を持つ微細繊維(ミクロフィブリル)を形成している。さらに、多数の微細繊維が互いに水素結合してセルロース繊維を形成し、植物の支持体となっている。
このセルロース繊維を、繊維径がナノメートルオーダーになるまで微細化(ナノファイバー化)して利用する方法が知られている。例えば、N-オキシル化合物を酸化触媒として用い、セルロースの水酸基の一部を酸化して、カルボキシ基およびアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基とする方法が知られている。この方法によれば、最大繊維径1000nm以下、かつ数平均繊維径が2nm~150nmである、セルロースI型結晶構造を有する微細化セルロース(以下、「CSNF」と言うこともある。)が得られる(例えば、特許文献1参照)。
微細化セルロースは、ガスバリア性包装材料への適用(特許文献2参照)や樹脂と複合化することによる樹脂の強度向上等(特許文献3参照)の利用が検討されている。
特許文献4には、微細化セルロース存在下で金属イオンを還元して析出させると、微細化セルロースにより金属微粒子の成長が制御され、金属微粒子と微細化セルロースが結合した金属/微細化セルロース複合体が開示されている。この金属/微細化セルロース複合体は、ナノサイズの粒子(以下、「微粒子」と言う)の特徴を有する。
金属微粒子においては、自由電子の振動を起こすことにより、電場と外部電場(光等)が共鳴する現象が起きる(局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance;LSPR))。このLSPRにより、金属微粒子の金属種、形状や粒子径、周囲の誘電率に応じて特定の波長域の光の吸収が起こる。
特に、異方性の金属微粒子の共鳴波長は、例えば、平板状であれば粒子径/厚みのアスペクト比に依存して大きく変化する。
そのため、金属/微細化セルロース複合体においても、そのアスペクト比を制御することにより、可視光領域から近赤外領域等、特定の波長領域の光を吸収することが可能である。
特開2008-1728号公報 特開2012-149114号公報 特許第6020334号公報 国際公開第2015/170613号 国際公開第2016/039129号
本発明者らが金属/微細化セルロース複合体に関する検討を行った結果、金属/微細化セルロース複合体が光を吸収し、発熱する光熱変換特性を示すことを見出した。金属/微細化セルロース複合体は顕著な光熱変換特性を有し、少量でその効果を発揮する。金属/微細化セルロース複合体の有する光熱変換特性に関しては、その特徴および当該特徴を活用する構成や用途が従来知られていなかった。
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、顕著な光熱変換特性を発揮する、金属微粒子と微細化セルロースとを含有する複合体を含む光熱変換材料、光熱変換組成物、および光熱変換成形体、ならびに用途を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光熱変換材料は、金属微粒子と、少なくとも一つ以上の微細化セルロースと、が複合化された複合体であり、前記金属微粒子が平板状金属微粒子であり、それぞれの前記微細化セルロースについて少なくとも一部又は全部が前記平板状金属微粒子に取り込まれており、残部があればその残部が前記平板状金属微粒子の表面に露出するように複合化され、前記金属微粒子の厚みの平均値が、1nm以上100nm以下の範囲であり、粒子径の平均値が、2nm以上1000nm以下の範囲であり、平均アスペクト比が1.1以上であり、前記微細化セルロースは、繊維状であり、かつ短軸の数平均軸径が1nm以上50nm以下、長軸の数平均軸径が0.1μm以上10μm以下である
本発明の一態様に係る光熱変換組成物は、上記光熱変換材料を含む。
本発明の一態様に係る光熱変換成形体は、上記光熱変換組成物を用いて製造され、少なくとも水溶性高分子、水性ディスパージョン、水性エマルジョン、光硬化性樹脂のいずれかを有する樹脂を含む。
本発明によれば、顕著な光熱変換特性を発揮する、金属微粒子と微細化セルロースとを含有する複合体を含む光熱変換材料、光熱変換組成物、および光熱変換成形体、ならびに用途を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る光熱変換材料を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る光熱変換材料を、ウラニル染色して透過型電子顕微鏡(TEM)により拡大して観察した結果を示す図(透過型電子顕微鏡像)である。 本発明の一実施形態に係る光熱変換材料を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光熱変換材料を走査透過型電子顕微鏡(STEM)により拡大して観察した結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光熱変換材料を走査型電子顕微鏡(SEM)により拡大して観察した結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光熱変換材料を透過型電子顕微鏡(TEM)によって断面方向から観察した結果を示す図(透過型電子顕微鏡像)である。 本発明の一実施形態に係る光熱変換成形体を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る光熱変換材料の一例(複合体A)を走査透過型電子顕微鏡(STEM)により拡大して観察した結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光熱変換材料の一例(複合体B)を走査透過型電子顕微鏡(STEM)により拡大して観察した結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光熱変換材料(複合体Aおよび複合体B)を基材上に設けたフィルムの温度上昇を測定した結果を示す図(透過型電子顕微鏡像)である。 実施例1の微細化セルロース水分散液の透過率を測定した結果を示す図である。 実施例1の微細化セルロース水分散液の粘度特性の評価結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光熱変換材料の一例(複合体C)の走査透過型電子顕微鏡(STEM)像である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法などは、実際の寸法関係とは異なる場合がある。
図1は、本実施形態に係る複合体1を模式的に示す図である。
光熱変換材料は、図1に示すように、金属微粒子11と微細化セルロース12とを含有する複合体1を備えている。
微細化セルロース12の機能化を検討する中、金属微粒子11と微細化セルロース12とが複合化した新規材料である、金属微粒子11と微細化セルロース12の複合体1を開発した。複合体1は金属微粒子11の特徴であるLSPR(局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance;LSPR))により、可視光領域から赤外領域まで特定波長領域の光線を遮蔽することができる。
発明者らが検討を行った結果、複合体1が光を吸収し、発熱する光熱変換特性を示すことを見出し、複合体1を光熱変換材料として提供できること、更には、複合体1を含む光熱変換組成物および光熱変換成形体を提供できることを見出した。
以下、複合体1、複合体1の製造方法、光熱変換成形体2、および光熱変換組成物について詳細に説明した後、複合体1等の用途について説明する。
[複合体1]
複合体1は、金属微粒子11と、微細化セルロース12と、を有する複合体(金属/微細化セルロース複合体)である。
図1に示すように、複合体1は、金属微粒子11と、少なくとも一つ以上の微細化された微細化セルロース12とが複合化された、金属微粒子11と微細化セルロース12との複合体であり、光熱変換材料として用いることができる。
本実施形態においては、図1に示すように、複合体1は、平板状の金属微粒子(平板状金属微粒子)11と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロースとが複合化された、平板状金属微粒子11と微細化セルロース12との複合体であり、それぞれの微細化セルロース12について少なくとも一部(一部分)または全部が平板状金属微粒子11に取り込まれており、残部が平板状金属微粒子11の表面に露出するように複合化されたものであることが好ましい。
後述する光熱変換成形体2は、複合体1を含有するため、特定の波長領域の光を選択的に遮蔽できる光熱変換成形体2を得られると共に、光熱変換成形体2の強度が向上し、寸法安定性、ガスバリア性を付与、向上することができる。
図2は、複合体1をウラニル染色して透過型電子顕微鏡(TEM)により拡大して観察した観察画像である。
図3(a)は、複合体1を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した観察画像であり、(a)図3(b)は図3(a)の模式図である。
図4(a)は、複合体1を走査透過型電子顕微鏡(STEM)により拡大して観察した観察画像であり、図4(b)は図4(a)の模式図である。
図5(a)は、複合体1を走査型電子顕微鏡(SEM)により拡大して観察した観察画像であり、図5(b)は図5(a)の模式図である。
図2~5に示すように、それぞれの微細化セルロース12は、平板状金属微粒子11に取り込まれている部分(一端部)12aと、平板状金属微粒子11の表面に露出している部分(他端部)12bとから構成されている。そして、平板状金属微粒子11に取り込まれている一端部12aの存在により、平板状金属微粒子11とそれぞれの微細化セルロース12とが不可分の状態となっている。すなわち、平板状金属微粒子11と微細化セルロース12とは、微細化セルロース12の少なくとも一部(すなわち、一端部12a)が平板状金属微粒子11に取り込まれることにより、少なくとも一部同士が物理的に結合して、不可分の状態にある。
ここで、複合体1において、微細化セルロース12の少なくとも一部分(すなわち、一端部12a)が平板状金属微粒子11に取り込まれるとは、平板状金属微粒子11の成長段階において、金属微粒子ユニットの粒界に沿って、微細化セルロース12の一端部12aが挟み込まれる状態と同義である。
また、複合体1において、「不可分」の状態とは、例えば、遠心分離機等の物理的方法によって、平板状金属微粒子11と微細化セルロース12とに分離することが不可能であることをいう。
なお、複合体1は、全ての微細化セルロース12の全部分(全体)が平板状金属微粒子11に取り込まれており、平板状金属微粒子11の表面に露出している部分が存在しない構成も含まれる。このような構成の複合体1においても、図4に示すように、微細化セルロース12のうち、平板状金属微粒子11に取り込まれている部分(一端部)12aの存在を確認できる。
微細化セルロース12は、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーであるセルロースであり、その調製方法については特に限定されない。通常、微細化セルロースは、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状を有する。そのため、複合体1における微細化セルロース12としては、上述の繊維状のものが好ましい。繊維状の微細化セルロースを用いることにより、より形状や大きさが制御された複合体1となる。なお、微細化セルロース12の詳細は後述する。
(複合体1の観察)
複合体1の観察は、例えば、以下の方法で行うことができる。
複合体1を高速冷却遠心分離等により精製し、透過型電子顕微鏡用グリッドにキャストし、ウラニル染色して、透過型電子顕微鏡で観察することにより、図2に示すような透過型電子顕微鏡像が得られる。この透過型電子顕微鏡像によれば、平板状金属微粒子11と、その表面に露出している微細化セルロース12の他端部12bを観察することができる。
複合体1を高速冷却遠心分離等により精製し、得られた複合体をシリコンウェハ板上にキャストし、白金蒸着処理を施した後、走査型電子顕微鏡(商品名:S-4800、日立ハイテクノロジーズ社製)で観察することにより、図3、図5に示すような走査型電子顕微鏡像が得られる。この走査型電子顕微鏡像によれば、平板状金属微粒子11と、その表面に露出している微細化セルロース12の他端部12bを観察することができる。
また、後述する複合体1の製造方法によって製造された複合体を高速冷却遠心分離等により精製し、得られた複合体1をグリッドにキャストし、上記の走査透過型電子顕微鏡で観察することにより、図4に示すような走査透過型電子顕微鏡像が得られる。この走査透過型電子顕微鏡像によれば、平板状金属微粒子11と、平板状金属微粒子11に取り込まれている一端部微細化セルロース12aを観察することができる。
また、複合体1を高速冷却遠心分離等により精製し、得られた複合体1をグリッドにキャストし、非蒸着のまま、上記の走査型電子顕微鏡観察で観察した後、エネルギー分散型X線分析による元素マッピングを行い、平板状金属微粒子11と微細化セルロース12による炭素の検出により、平板状金属微粒子11と微細化セルロース12の複合化を確認できる。
一般に、金属表面と溶媒は、強い親和力は無く、そのままでは粒子は凝集沈殿してしまう。しかし、複合体1は、金属イオンと微細化セルロース12の存在下で還元することにより、金属原子が生成し、核発生、成長を経て平板状金属微粒子11が生成される。この過程で、平板状金属微粒子11と微細化セルロース繊維が相互作用し、平板状金属微粒子11の形態や凝集に影響を及ぼし、形状や粒子径の制御された複合体1が得られると考えられる。
このようにして得られた複合体1において、微細化セルロース12のそれぞれは、少なくとも一部又は全部が平板状金属微粒子11に取り込まれるとともに、残部が平板状金属微粒子11の表面に露出する。複合体1は、分散安定性の面から、平板状金属微粒子11と微細化セルロース12とが不可分であることが好ましい。
以下、平板状金属微粒子11および微細化セルロース12の詳細について説明する。
(金属微粒子)
金属微粒子の粒子径や形状を制御することで、遮蔽する波長領域を制御することが可能である。金属微粒子の表面の自由電子は、光等の外部電場により集団的に振動を起こすことがある。電子は電荷を持った粒子であるため、電子が振動を起こすと周囲に電場を発生する。自由電子の振動を起こすことにより生じる電場と外部電場(光等)が共鳴する現象を局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance;LSPR)と言う。このLSPRにより、特定の波長域の光の吸収や反射が起こり、遮蔽することが可能である。金属微粒子は、色材として一般的に用いられる有機顔料と比較し、安定性が高く、長期間にわたり安定して特定の波長領域を遮蔽することが可能である。
このような異方形状を有する金属ナノ粒子の中でも、特に応用が期待されているのが銀ナノ粒子である。例えば、粒子径が数nm~数十nmの球状銀ナノ粒子は、上記LSPRにより、波長400nm付近に吸収を持つため、黄色味を呈することが知られている。しかしながら、異方成長した銀ナノ粒子はこの限りではなく、例えば、平板状の銀ナノ粒子は、吸収ピークがレッドシフトすることが知られている。この際、平板状銀ナノ粒子のアスペクト比(すなわち、粒子径/厚み)が大きくなるほど、吸収/反射ピークがより長波側にシフトすることが確認されている。すなわち、平板状銀ナノ粒子は、任意の波長を吸収/反射する光学材料として用いることができる。また、可視光領域で吸収/反射波長を制御すれば、黄色以外にも赤色、青色など鮮やかな色調を呈する平板状銀ナノ粒子を得ることができ、機能性色材としての利用が期待できる。さらに、平板状銀ナノ粒子のアスペクト比によっては、可視光領域外の近赤外線領域にまで吸収ピークをシフトさせることも可能である。
複合体1は、LSPRの効果により、特定波長領域の光と強く相互作用し、強い吸収を示す。平板状金属微粒子11の発光量子収率は著しく低く、吸収した光エネルギーは効率良く熱エネルギーに変換される。複合体1においてもLSPRの効果により吸収した光は効率よく熱エネルギーに変換することが可能である。
なお、本実施形態において、可視光とは波長領域がおよそ400nmから700nmである電磁波を指し、近赤外線とは赤外線の中でも可視光に近い波長領域(およそ700nmから2500nm)の電磁波を指すものとする。
特に、近赤外線領域に吸収を有する場合に、透明性と高い光熱変換特性を両立できるため、複合体分散液の透過率スペクトルにおいて、700nm以上2500nm以下の波長領域で、透過率が極小となる極小波長(λmax)を有することが好ましい。複合体分散液とは、少なくとも複合体1と溶媒を含む分散液のことである。複合体分散液は、複合体が溶媒に分散していればよく、例えば、複合体調製反応後の分散液のことを言う。また、必要に応じて純水等の溶媒で希釈してもよく、少なくとも一部の複合体が分散していれば溶媒を置換しても構わない。
本実施形態の複合体1において、金属微粒子は平板状金属微粒子11であることが好ましいが、金属微粒子の形状はこれに限定されない。例えば、金属微粒子の形状は、球状、平板状、ロッド形状であってもよい。特に、共鳴波長の制御の観点から、金属微粒子の形状は、平板状やロッド形状であることが好ましく、平板状であることがより好ましい。
平板状金属微粒子11は、平板状の金属微粒子のことであり、本実施形態において、微粒子とは、体積粒子径が10μm以下の粒子のことである。
ここで、図1に示すように、複合体1の平板状金属微粒子11の表面13または裏面14の形状を、円形で近似した際の面積から円相当粒子径(円相当径)を、平面方向の粒子径とする。平面方向の粒子径を粒子径dという。なお、この粒子径dは、複合体1の粒子径dである。平板状金属微粒子11の、平面方向と垂直な部分の長さを、複合体1の厚みhとする。
複合体1の平板状金属微粒子11の厚みhに対する粒子径dを、複合体1のアスペクト比(d/h)とする。複合体1の平板状金属微粒子11の「平板状」とは、粒子が板状であることを示し、板状とは、アスペクト比(d/h)の平均値である平均アスペクト比が1.1以上であることを示している。
なお、複合体1の表面13および裏面14の形状は、特に限定されないが、通常、六角形や三角形等の多角形である。表面13および裏面14が多角形や楕円形等である場合、表面13または表面14の面積が同等となる円形と仮定して、粒子径d(円相当粒子径、円相当径、直径)を算出する。
また、複合体1の表面13と裏面14は、どちらの面積が大きくてもよく、両面は平行でなくてもよい。
光学特性を制御する観点から、平板状金属微粒子11の形状は平板状であり、その粒子径d、厚みh、アスペクト比が以下の範囲内であることが好ましい。なお、平板状金属微粒子11の粒子径d、厚みhおよびアスペクト比は、複合体1の粒子径d、厚みhおよびアスペクト比と等しい。
平板状金属微粒子11の粒子径dの平均値は、2nm以上1000nm以下であることが好ましく、20nm以上500nm以下であることがより好ましく、20nm以上400nm以下であることがさらに好ましい。
平板状金属微粒子11の厚みhの平均値、すなわち表面13と裏面14の距離hの平均値は、1nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがより好ましい。
なお、上記の平均値は、例えば、100個の粒子を測定して求める。
平板状金属微粒子11の平均アスペクト比(dの平均値/hの平均値)は、1.1以上であることが好ましく、2.0以上100以下であることがより好ましく、2.0以上50以下であることがさらに好ましい。特に、平均アスペクト比が4.0以上20.0以下であると、近赤外線領域に吸収を有することができるため、好ましい。
複合体1は、粒子径dの平均値を任意に変化させ、その平均アスペクト比を制御することにより、色調を変化させることができる。また、複合体1は、平板状金属微粒子11と微細化セルロース12を含んでいればよく、他の成分を含んでいてもよい。
平板状金属微粒子11の形状、大きさの評価は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査透過型電子顕微鏡を用いて行うことができる。
平板状金属微粒子11の粒子径dおよび厚みhの測定方法、並びに、アスペクト比の算出方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)粒子径dの測定法
複合体1を含む分散液を透過型電子顕微鏡観察用支持膜付き銅グリッド上にキャストして風乾した後、走査透過型電子顕微鏡で観察することにより、図4に示すような走査透過型電子顕微鏡像が得られる。この走査透過型電子顕微鏡像中の平板状金属微粒子11を、円形で近似した際の径を、平面方向の粒子径(粒子径d)として算出する。上記の平均値は、100個の粒子を測定して求める。
(2)厚みhの測定法
図6に示すように、複合体1を含む分散液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム16上にキャストして風乾し、包埋樹脂17で固定したものをミクロトームで断面方向に切削し、透過型電子顕微鏡で観察することにより、図6に示すような透過型電子顕微鏡像が得られる。なお、図6は、平板状金属微粒子11を透過型電子顕微鏡によって断面方向から観察した結果を示す図(透過型電子顕微鏡像)である。この透過型電子顕微鏡中の平板状金属微粒子11の厚みhを、平面方向と垂直な厚みhとして算出する。上記の平均値は、100個の粒子を測定して求める。
(3)アスペクト比の算出方法
上述のようにして求めた、平板状金属微粒子11の厚みhの平均値に対する粒子径d(円相当粒子径、円相当径、直径)の平均値を、平板状金属微粒子11の平均アスペクト比(dの平均値/hの平均値)として算出する。
平板状金属微粒子11の粒子径dおよび厚みhの測定方法、並びに、アスペクト比の算出方法は一例であり、平板状金属微粒子11の粒子径dおよび厚みhの測定方法、並びに、アスペクト比の算出方法は、特にこれらに限定されない。
複合体分散液の透過率スペクトルの測定方法は特に限定されないが、複合体調製反応後の複合体分散液そのまま、或いは必要に応じて純水等の溶媒で希釈して石英セルに入れ、分光光度計を用いて測定することができる。
平板状金属微粒子11を構成する金属または金属化合物は、特に限定されず、用途に合わせて任意の金属または金属化合物を用いることができる。平板状金属微粒子11を構成する金属または金属化合物としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が挙げられる。中でも、金、銀、銅の少なくともいずれかを含むことが好ましく、特に、少なくとも銀を含む場合、複合体1は可視光領域から近赤外領域の波長の光を遮蔽することができ、抗菌性を付与することもできる。
複合体1に含まれる金属の割合は特に限定されない。
(微細化セルロース12)
微細化セルロース12は、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーであればよく、その調製方法については特に限定されない。通常、微細化セルロースは、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状を有するため、本実施形態の複合体1の製造方法に用いられる微細化セルロース12としては、以下に示す範囲にある繊維状のものが好ましい。繊維状の微細化セルロース12を用いることにより、より形状やサイズの制御された複合体1を製造することができる。
複合体1に含まれる微細化セルロース12は、生成する平板状金属微粒子11の成長を制御することにより、粒子径や形状を制御することができる。また、後述する光熱変換成形体中では、光熱変換成形体2の強度の向上と共に、寸法安定性を向上することも可能である。
透明性や強度向上、寸法安定性向上、複合体1における平板状金属微粒子11の形状制御の観点から、微細化セルロース12の短軸径は十分に小さいことが好ましい。
微細化セルロース12の原料として用いられる植物セルロースの種類は、特に限定されない。微細化セルロース12の原料としては、例えば、木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ等を用いることができる。また、微細化セルロース12の原料としては、例えば、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロース、さらには、レーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロース等を用いることもできる。好適には、結晶形I型を有する天然セルロースが機械特性、熱特性、薬品耐性等の材料特性が高いため望ましい。
セルロースの微細化処理法としては、特に限定されないが、例えば、グラインダーによる機械処理の他、セルロースの化学変性と機械処理を併用して微細化する方法が挙げられる。
また、バクテリアセルロースも微細化セルロース12として用いることができる。さらに、各種天然セルロースを各種セルロース溶剤に溶解させた後、電解紡糸することによって得られる微細再生セルロース繊維を用いてもよい。
セルロースの化学変性方法は特に限定されないが、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシラジカル(以下、「TEMPO」と言う。)等のN-オキシル化合物を用いた酸化処理、希酸加水分解処理、酵素処理等を機械処理と併用して微細化する方法が挙げられる。
微細化セルロース12は、化学変性された微細化セルロースであることが好ましい。化学変性された微細化セルロースは、特に限定されないが、例えば、カルボキシル化セルロース(「以下、酸化セルロース」と言う)、カルボキシメチル化セルロース、リン酸エステル化セルロースなどの化学変性セルロースを解繊することによって得ることができる。
化学変性された微細化セルロースは、導入されたカルボキシ基、カルボキシメチル基、リン酸基などの官能基が、金属微粒子生成における基点となり、複合体の形状やサイズを制御しやすい。
カルボキシメチル化セルロースは、セルロース原料を公知の方法で得ることができる。
例えば、セルロース原料にモノクロロ酢酸等のエーテル化剤と触媒である、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属を加え、水またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールが主成分の溶媒下で反応させることで得られる。カルボキシメチル化セルロースは、少なくとも一部のグルコピラノースがカルボキシメチル化されていればよく、好ましくはカルボキシメチルセルロースの置換度が0.01以上0.60以下であることが好ましい。
特に特許文献1の方法に示されるように、TEMPOをはじめとするN-オキシル化合物を用いた酸化反応では、結晶表面のセルロース分子鎖が持つグルコピラノース単位の第6位の一級水酸基が高い選択性で酸化され、アルデヒド基を経てカルボキシ基に変換された酸化セルロースを得られる。このように結晶表面に導入されたカルボキシ基を有するセルロース間には静電的な反発力が働くため、水性媒体中でミクロフィブリル単位にまで分散したセルロースシングルナノファイバー(以下、「CSNF」と言う。)を得ることができる。そのため、CSNFを用いると複合体の形状やサイズを制御しやすい。
N-オキシル化合物を用いた酸化反応については後で詳しく説明する。
このCSNFを用いれば、充分に形状や大きさの制御された複合体1を製造できる。繊維状であり、短軸径が均一であるCSNFは、複合体における平板状金属微粒子11の粒子径や形状の制御に好適である。CSNFは、繊維表面に規則的にカルボキシ基を有する。このカルボキシ基は、複合体1を製造する際、金属イオンが配位して複合体1の生成の起点となると考えられるため、複合体1の製造に好適である。
微細化セルロース12の粘度特性は、次の通りであることが好ましい。微細化セルロース12の0.5質量%分散液(25℃)が、せん断速度が1s-1のときに30mPa・s以上2000mPa・s以下、せん断速度が100s-1のときに20mPa・s以上200mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、微細化セルロースの0.5質量%分散液の粘度(25℃)が、せん断速度が1s-1のときに100mPa・s以上1000mPa・s以下、せん断速度が100s-1のときに30mPa・s以上80mPa・s以下である。
微細化セルロース12の粘度特性が上記の範囲内であると、微細化セルロース12が低粘度化されているため、高濃度で用いることができ、複合体1を生産性よく製造することができる。また、粘度特性が上記の範囲内であれば、結晶構造や表面構造を維持し、金属微粒子との複合化の起点となるカルボキシ基を規則的に有するため、安定に形状が制御された複合体1を製造できる。さらに、粘度特性が上記の範囲内であれば、後述する工程bにおいて、金属塩と微細化セルロース12を均一に混ぜることができ、後述する工程cにおいて、均一に還元反応を進行させることができる。
微細化セルロース12は、短軸の数平均軸径が1nm以上50nm以下、長軸の数平均軸径が0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、短軸の数平均軸径が1nm以上10nm以下、長軸の数平均軸径が0.2μm以上2μm以下であることがより好ましい。
微細化セルロース12の短軸の数平均軸径が1nm未満では、高結晶性の剛直な微細化セルロース構造をとることができず、大きさや形状が十分に制御された複合体1を得るのが難しくなる。また、強度、寸法安定性が良好な光熱変換成形体2を得るのが難しくなる。
一方、微細化セルロース12の短軸の数平均軸径が50nmを超えると、微細化セルロース12の分散液の粘度が高くなり操作性が悪くなり、後述する工程bにおいて、金属塩と微細化セルロース12を均一に混ぜるのが難しくなり、後述する工程cにおいて、均一に還元反応を進行させることができなくなり、大きさや形状が十分に制御された複合体1を得るのが難しい。また、光熱変換成形体2の透明性が低下し、強度も低下することがある。
微細化セルロース12の長軸の数平均軸径が0.1μm未満では、形状や大きさが制御された複合体1を得るのが難くなる。一方、微細化セルロース12の長軸の数平均軸径が10μmを超えると、微細化セルロース12の分散液の粘度が高くなり、操作性が悪くなるため、後述する工程bにおいて、金属塩と微細化セルロース12を均一に混ぜるのが難しくなり、後述する工程cにおいて、均一に還元反応を進行させることができなくなり、大きさや形状が十分に制御された複合体1を得るのが難しい。また、樹脂と、複合体分散液から複合体を濃縮した複合体含有物を混合するのが難しくなる。複合体含有物の詳細については後述する。
微細化セルロース12の短軸の数平均軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、微細化セルロースの長軸の数平均軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
微細化セルロース12の短軸径、長軸径について、測定方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法によって測定できる。固形分濃度が0.001wt%以上0.01wt%以下の範囲内となるように水中に微細化セルロース12を分散させたものをマイカ上に展開して自然乾燥させる。その後、その微細化セルロース12を透過型電子顕微鏡にて観察することにより微細化セルロース12の短軸径、長軸径を確認(測定)することができる。
微細化セルロース12の結晶化度は、70%以上であることが好ましい。微細化セルロース12の結晶化度が70%未満では、剛直な微細化セルロース構造をとることができず、安定に複合体1を製造するのが難しくなり、また、光熱変換成形体2の寸法安定性向上効果や強度が低下することがある。
微細化セルロース12におけるカルボキシ基量は、その微細化セルロース12の乾燥重量1g当たり0.1mmol以上3.0mmol以下であることが好ましく、0.5mmol以上2.0mmol以下であることがより好ましい。
微細化セルロース12におけるカルボキシ基量が0.1mmol/g未満では、分散性が悪く、0.1mmol/g以上であると、カルボキシ基による静電反発により分散安定性が良好となる。一方、微細化セルロース12におけるカルボキシ基量が3.0mmol/g以下であると、微細化セルロース12の結晶構造が充分に保持され、形状制御性能が良好となる。
セルロース繊維がミクロフィブリル単位まで分散すると、波長660nmの光線透過率が高くなる。微細化セルロースが、固形分濃度1%の分散体において、光路長1cm、波長が660nmの光線透過率が分散媒をリファレンスとして80%以上であることが好ましい。透明性が高い微細化セルロース12を用いることで光熱変換成形体2の透明性が高くなる。
微細化セルロース12は、特に限定されないが、以下に示す酸化工程および微細化工程により製造されたものを用いることができる(微細化セルロース製造工程)。
(酸化工程)
微細化セルロース12の原料として用いられる天然セルロースとしては、例えば、機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプ等の木材パルプが挙げられる。具体的には、漂白および未漂白クラフト木材パルプ、加水分解済みクラフト木材パルプ、亜硫酸木材パルプ等をはじめとして、古紙、バクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース、綿セルロース、麻セルロース並びにこれらの混合物を用いることができる。また、これらを物理的、化学的処理した物質のいずれを用いてもよい。材料調達の容易さおよび価格の面から各種木材パルプを原料とすることが好ましい。
N-オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いたセルロースの酸化方法としては、水系の比較的温和な条件で、可能な限りセルロースの結晶構造を保ちながら、アルコール性一級炭素を選択的に酸化することが可能である。上記N-オキシル化合物としては、例えば、TEMPO、2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-エトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル等が挙げられる。これらの中でも、TEMPOが好ましい。
N-オキシル化合物の使用量は、触媒としての量であればよく、特に限定されない。通常、N-オキシル化合物の使用量は、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分の全量に対して、0.01質量%~5.0質量%程度である。
N-オキシル化合物を用いたセルロースの酸化方法としては、木材系天然セルロースを水中に分散させ、N-オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N-オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N-オキシル化合物が順次、共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、そのオキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。かかる酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持しやすい。
共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物等、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、共酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
共酸化剤の使用量は、セルロースの酸化反応を促進することができる量であればよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分の全量に対して、1質量%~200質量%程度である。
N-オキシル化合物および共酸化剤とともに、臭化物およびヨウ化物からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物をさらに併用してもよい。これにより、セルロースの酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を改善することができる。
このような化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。
この化合物の使用量は、セルロースの酸化反応を促進することができる量であればよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分の全量に対して、1質量%~50質量%程度である。
セルロースの酸化反応時の反応系のpHは、9~11であることが好ましい。pHが9以上であると、反応を効率よく進めることができる。上記pH領域の範囲外となると、N-オキシル化合物による酸化効率が大幅に低下することが知られている。上記酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより、反応系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9~11に保つことが好ましい。
反応系のpHを9~11に保つ方法としては、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液等の有機アルカリ等が挙げられる。これらの中でも、コスト等の面から、水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
セルロースの酸化反応の反応温度は、4℃以上50℃以下であることが好ましく、30℃以上50℃以下であることがより好ましい。
通常のN-オキシル化合物による酸化反応自体は、4℃以上50℃以下の領域でも充分に進行するが、30℃以上50℃以下の温度領域で酸化反応を行うと、セルロース繊維の結晶構造が維持されたまま得られる微細化セルロース12の分散液が低粘度化することが判明した。これはセルロースミクロフィブリルの長軸方向に周期的に非晶領域が存在するため、N-オキシル化合物による酸化反応がその非晶領域に進行し、さらに生成したグルクロン酸ユニットがその反応温度領域においてpH9~11の条件下で不安定であるため分解されてしまい、その結果、短繊維化が進行するためであると考えられる。なお、反応温度が50℃を超えると、副反応により次亜塩素酸ナトリウムが自己分解するため酸化反応自体が停止してしまう。
セルロースの酸化処理における酸化の程度は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定できる。しかし、少なくとも酸化反応の際に用いる水酸化ナトリウムの添加量が原料となる天然セルロースの乾燥重量当たり1.0mmol/g以上5.0mmol/g以下であることが好ましい。水酸化ナトリウムの添加量が1.0mmol/g未満では、導入されるカルボキシ基量が少なくなってしまい、CSNFとして分散するために必要なミクロフィブリル間の充分な静電反発力が得られない。一方、水酸化ナトリウムの添加量が5.0mmol/gを超えると、非晶領域以外の分解が進行し、ミクロフィブリル表面構造が失われる上、酸化処理前後の収率が著しく低下してしまう。
N-オキシル化合物による酸化反応は、反応系に第一級アルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは上記の範囲内に保つことが好ましい。添加する第一級アルコールとしては、反応をすばやく終了させるために、メタノール、エタノール、プロパノール等の低分子量の第一級アルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性等から、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供してもよいが、N-オキシル化合物等の触媒、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。酸化セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては蒸留水が好ましい。
(微細化工程)
微細化工程は、酸化セルロースを軽微な機械処理によって解繊して、微細化セルロース12の分散液を得る工程である。
セルロースを微細化する方法では、まず、セルロースに溶媒を加えて懸濁させる。
溶媒としては、特に限定されないが、微細化セルロース12を分散させる溶媒と同様のものが用いることができ、これらの中でも水が特に好ましい。必要に応じて、セルロースや生成する微細化セルロース12の分散性を向上するために、懸濁液のpHを調整してもよい。pHの調整に用いられるアルカリ水溶液としては、酸化セルロースの酸化工程の説明で挙げたアルカリ水溶液と同様のものが挙げられる。
続いて、懸濁液に物理的解繊処理を施して、セルロースを微細化する。
物理的解繊処理としては、例えば、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突等の機械的処理が挙げられる。このような物理的解繊処理を、例えば、TEMPO酸化セルロースに行うことにより、懸濁液中のセルロースが微細化され、繊維表面にカルボキシ基を有するCSNFの分散液を得ることができる。
上記のようにして得られた微細化セルロース12は、結晶構造が維持されているため、安定に複合体1を製造できる。
得られた分散液は、そのまま、または必要に応じて希釈、濃縮、溶媒置換等を行って、金属微粒子を還元析出させる反応場として用いることができる。
微細化セルロース12の分散液は、必要に応じて、本実施形態の効果を損なわない範囲で、セルロースおよびpHの調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、特に限定されず、用途に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。
他の成分としては、具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、磁性粉等が挙げられる。水性ディスパージョン成分及び水性エマルジョン成分を微細化セルロース分散液と混合してから複合体1を製造してもよい。
[複合体1の製造方法]
複合体1の製造工程(複合体作製工程)は、特に限定されないが、例えば以下に示す工程aと工程bと工程cを備えている。
工程aは、少なくとも1種類の微細化セルロース12を含有する溶液または分散液を調製し、微細化セルロース含有液を準備する、微細化セルロース含有液準備工程である。
工程bは、少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類の微細化セルロース12とを含有する溶液または分散液を調製し、金属塩および微細化セルロース含有液を準備する、金属塩および微細化セルロース含有液準備工程である。
工程cは、金属塩および微細化セルロース含有液中の金属イオンを還元し、反応液を調製して複合体分散液を得る、反応液調製工程である。
複合体製造に用いる微細化セルロース12は化学変性された微細化セルロースであることが好ましい。化学変性により導入された官能基に金属イオンが配位した状態で金属イオンが還元され、それを基点に金属微粒子が生成するため、複合化及び形状制御をしやすくなる。
(工程a:微細化セルロース分散液準備工程)
複合体1の製造方法において、工程aでは、少なくとも1種類の微細化セルロース分散液を準備する。
少なくとも1種類の微細化セルロース分散液における微細化セルロース分散液の固形分濃度は、特に限定されないが、0.01質量%以上90質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
微細化セルロース分散液の固形分濃度が0.01質量%未満では、複合体1の形状の制御が難しい。一方、微細化セルロース分散液の固形分濃度が90質量%を超えると、微細化セルロース分散液の粘度が高くなり、工程b(金属塩および微細化セルロース含有液準備工程)において、金属塩と微細化セルロース12とを均一に混ぜるのが難しくなり、工程c(反応液調製工程)において、均一に還元反応を進行させることができなくなる。
微細化セルロース12を分散させる溶媒としては、微細化セルロース12が充分に溶解または分散するものであれば、特に限定されない。環境への負荷の面からは、溶媒としては、水を用いることが好ましい。
平板状金属微粒子11および微細化セルロース12の分散性の観点からは、溶媒としては、水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
少なくとも1種類の微細化セルロース分散液のpHは、特に限定されないが、pH2以上pH12以下であることが好ましい。
(工程b:金属塩および微細化セルロース含有液準備工程)
複合体1の製造方法において、工程bでは、少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類の微細化セルロース12とを含有する溶液または分散液を調製し、金属塩および微細化セルロース含有液を準備する。
少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類の微細化セルロース12を含有する溶液または分散液を調製する方法は、特に限定されない。例えば、少なくとも1種類の微細化セルロース12を含有する溶液または分散液(微細化セルロース分散液)と、少なくとも1種類の金属塩を含有する溶液(金属塩含有溶液)とを用意し、微細化セルロース分散液を攪拌しながら、微細化セルロース分散液に金属塩含有溶液を添加して調製することができる。また、微細化セルロース分散液に、直接、固体の金属塩を加えてもよく、金属塩含有溶液に微細化セルロース分散液を添加してもよい。
金属塩としては、硝酸銀、塩化銀、酸化銀、硫酸銀、酢酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、塩化金酸、塩化金ナトリウム、塩化金カリウム、塩化白金、酸化白金および酸化白金からなる群から選択される少なくとも1種類であることが好ましい。これらの金属塩は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
金属塩含有溶液を準備する場合、金属塩含有溶液に用いる溶媒は、金属塩が充分に分散または溶解するものであれば、特に限定されない。
環境への負荷の面からは、溶媒としては、水を用いることが好ましい。
金属塩の溶解性の観点からは、溶媒としては、水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
また、金属塩含有溶液中の金属塩の濃度も特に限定されない。
金属塩および微細化セルロース分散液における金属塩の濃度は、特に限定されないが、0.002mmol/L以上20.0mmol/L以下であることが好ましい。特に、微細化セルロース12としてCSNFを用いる場合、繊維表面に存在するカルボキシ基に金属イオンが配位するため、金属塩の濃度(金属イオンの濃度)が、カルボキシ基量未満となるように調製することが好ましい。金属塩の濃度(金属イオンの濃度)が微細化セルロース12の表面に存在するカルボキシ基量を上回ってしまうとCSNFが凝集することがある。
金属塩および微細化セルロース含有液に用いる溶媒は、微細化セルロース12が充分に分散または溶解するものであれば、特に限定されない。
環境への負荷の面からは、溶媒としては、水を用いることが好ましい。
複合体1の分散性の観点からは、溶媒としては、水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
金属塩および微細化セルロース分散液における微細化セルロース12の固形分濃度は、特に限定されないが、0.01質量%以上90質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
微細化セルロース12の固形分濃度が0.01質量%未満では、複合体1の形状の制御するのが難しい。一方、微細化セルロース12の固形分濃度が90質量%を超えると、微細化セルロース分散液の粘度が高くなり、工程bにおいて、金属塩と微細化セルロース12とを均一に混ぜるのが難しくなり、工程cにおいて、均一に還元反応を進行させることができなくなる。複合体を導電材料として用いる場合、微細化セルロース12の固形分濃度が高くなると低温で焼結させることが難しくなり、微細化セルロース12の除去工程が必要となる。
金属塩および微細化セルロース含有液の溶媒としては、微細化セルロース12が充分に溶解または分散するものであれば、特に限定されない。
環境への負荷の面からは、溶媒としては、水を用いることが好ましい。
平板状金属微粒子11および微細化セルロース12の分散性の観点からは、溶媒としては、水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
金属塩および微細化セルロース含有液のpHは、特に限定されないが、pH2以上pH12以下であることが好ましい。
また、金属塩および微細化セルロース含有液の温度は、特に限定されないが、溶媒に水を用いる場合には4℃以上100℃以下であることが好ましい。
(工程c:反応液調製工程)
複合体1の製造方法において、工程cでは、金属塩および微細化セルロース含有液中の金属イオンを還元し、反応液を調製して複合体分散液を得る。
金属塩および微細化セルロース含有液中の金属イオンを還元させる方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、還元剤、紫外線、電子線、液中プラズマ等を用いる方法を採用することができる。金属イオンの還元に用いる還元剤としては、公知の還元剤を用いることができる。
還元剤としては、例えば、金属ヒドリド系、ボロヒドリド系、ボラン系、シラン系、ヒドラジンおよびヒドラジド系の還元剤が挙げられる。一般に、液相還元法では、還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸およびアスコルビン酸アルカリ金属塩、ヒドラジン等が用いられる。
金属塩および微細化セルロース含有液における還元剤の添加量(還元剤の濃度)は、特に限定されないが、金属塩および微細化セルロース含有液における金属塩の濃度と等量以上となるようにすることが好ましく、0.002mmol/L以上2000mmol/L以下であることがより好ましい。
金属塩および微細化セルロース含有液における還元剤の濃度が、金属塩および微細化セルロース含有液における金属塩の濃度以下であると、未還元の金属イオンが金属塩および微細化セルロース含有液中に残存してしまう。
還元剤を用いて、金属塩および微細化セルロース含有液中の金属イオンを還元させる場合の還元剤の添加方法は特に限定されないが、予め還元剤を水等の溶媒に溶解または分散させてから、その溶液または分散液を金属塩および微細化セルロース含有液に添加してもよい。
また、金属塩および微細化セルロース含有液に対する還元剤の添加速度は、特に限定されないが、還元反応が均一に進行するような方法で添加することが好ましい。
なお、複合体1の製造方法は、特に限定されないが、上述の工程a、工程b、工程cを少なくとも含むことが好ましい。各工程の間に他の工程が入ってもよい。
複合体1は、複合体1の表面の少なくとも一部が半導体または金属、その金属酸化物で被覆されることが好ましく、複合体1の表面を被覆することにより、更に安定性を高めることができる。被覆に用いられる半導体や金属及びその酸化物は、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物、シリカ等が挙げられる。特に、安定性や汎用性の観点から、金及びシリカを被覆するのが好ましい。
特に限定されないが、光熱成形体を作製する際、上記複合体分散液から、必要に応じて複合体を分画、濃縮してもよい。溶媒が過多であると、後述する光熱変換組成物の濃度が低くなり、例えば、シート状の成形体を作製する際に、溶媒を除去するのにエネルギーが必要となり、生産性が悪い。複合体を濃縮することで、光熱変換組成物の固形分濃度が高くなり、成形体を製造する際の溶媒量が減るため、効率的に成形体を製造することができる。分画・濃縮方法としては、例えば、遠心分離、ゲル濾過カラム、ゲル電気泳動法、凍結乾燥、限外ろ過、沈殿法等が挙げられる。複数の分画、濃縮方法を組み合わせても良い。以下、複合体分散液及び、分画または濃縮により回収された複合体を、複合体含有物と呼ぶ。
微細化セルロースを遠心分離で濃縮する場合、超遠心分離機で濃縮する必要があるが、平板状銀/微細化セルロース複合体(複合体)は、密度の高い金属が結合しているため、沈降係数が高くなり、微細化セルロース分散液単独の場合より、非常に効率的に濃縮することが可能である。このため、光熱変換組成物の溶媒の割合を下げることが可能であり、効率よく成形体を得ることが可能となる。
[光熱変換成形体2の製造方法]
以下、本実施形態に係る光熱変換成形体2の製造方法について説明する。光熱変換成形体2は、特に限定されないが、光熱変換組成物を基材等にコーティングし、溶媒除去、必要に応じて硬化反応により形成することができる。光熱変換成形体2は、光熱変換組成物を基材上に成膜した後、剥離することにより自立膜として得ることもできる。
本実施形態に係る光熱変換組成物とは、少なくとも複合体1を含む光熱変換組成物である。
光熱変換組成物の調製方法は、少なくとも複合体含有物、樹脂が溶液中で支障の出ない範囲で十分に溶解或いは分散されている限りにおいて溶液の調製方法は限定されない。それぞれ溶液或いは分散体として予め調製して混合してもよい。例えば、樹脂の分散液または溶液に複合体含有物を添加してもよく、或いは、複合体含有物の分散体中で樹脂を添加して溶液を調製してもよい。また、樹脂や架橋剤等の各種材料は溶液中での分散性を上げるため、調製段階において加熱しても構わない。尚、複合体含有物とは複合体分散液及び複合体を濃縮した濃縮物のことを示す。
必要に応じて分散処理を施しても構わない。分散処理としては、例えば、ホモミキサー処理、回転刃つきミキサー処理、高圧ホモジナイザー処理、超高圧ホモジナイザー処理、超音波ホモジナイザー処理、ナノジナイザー処理、ディスク型レファイナー処理、コニカル型レファイナー処理、ダブルディスク型レファイナー処理、グラインダー処理、ボールミル処理、ニ軸混練機による混練処理、水中対向処理等がある。この中でも、微細化効率の面から回転刃つきミキサー処理、高圧ホモジナイザー処理、超高圧ホモジナイザー処理、超音波ホモジナイザー処理が好適である。なお、これらの処理のうち、二つ以上の処理方法を組み合わせて分散を行うことも可能である。
ここで、光熱変換組成物中の複合体含有物の固形分率は、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。複合体の固形分率が0.1質量%より少なくなると、十分な低線膨張性、高弾性率と言った特性を発揮できなくなる。また、50質量%より多くなると、微細化セルロースの剛性に由来して脆性が顕著化し、成形体の加工・成形性が悪くなる。
また、光熱変換組成物中に含まれる金属の固形分率が、0.0001質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。金属の固形分率がこの範囲であれば光熱変換特性を十分に発揮する。
光熱変換組成物の溶媒は、特に限定されないが、複合体の分散性の観点から水を含むことが好ましい。更に水以外の公知の溶媒を含んでも構わない。複合体1の分散性の観点から、溶媒としては、親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
これらの溶媒の中でも、エタノールが好ましい。
このように調製した光熱変換組成物を用いて光熱変換成形体2を形成する方法としては、特に制限はないが、光熱変換組成物は流動性を有しているため、樹脂基材やガラス基材上といった支持体上にウェット塗工し、乾燥、必要に応じて硬化させることにより光熱変換成形体2を得ることができる。
塗工方法としては公知の方法を用いることができる。具体的には、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等を用いることができる。
光熱変換成形体2を形成する基材(支持体)23は、特に限定されず、目的に合わせて紙、不織布、ガラス基材、プラスチック基材等を用いることができる。
光熱変換組成物を塗工する基材23の濡れ性や密着性を向上させる目的で、基材23に前処理を施してもよい。前処理方法としては特に制限されることはなく、例えば、予めアンカー層を形成してもよいし、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等を施してもよい。
次に、光熱変換成形体2の作製方法を記載する。例えば、基材23上に上述の方法を用いて光熱変換組成物を塗工し、赤外線等の光照射や熱風により加熱し、溶媒を除去すると共に、架橋剤を含む場合は架橋剤による架橋反応を促進する。必要に応じて支持体上を除去することにより自立膜としての成形体を形成することができる。
加熱時の温度により架橋反応の反応性が異なり、温度は100℃以上、好ましくは120℃以上の雰囲気で処理することが好ましい。但し、160℃以上で処理するとセルロース繊維の分解が進行し、成形体の特性低下が黄変を招くため、160℃未満であることが好ましい。
光硬化性樹脂と光重合開始剤を含む光熱変換組成物を塗工した場合は加熱により溶媒を除去した後、重合反応を進行させる波長の光、例えば紫外光(UV)や可視光(Vis)、赤外光(IR)を照射することにより硬化させる。
尚、加熱や光照射による重合反応の進行や架橋構造の形成を、硬化といい、熱による硬化を熱硬化、光による硬化を光硬化ということとする。
[光熱変換組成物、光熱変換成形体2]
図7は、本実施形態に係る光熱変換成形体2を模式的に示す図である。光熱変換成形体2は、複合体1を含む成形体である。光熱変換成形体2は、複合体1を含む光熱変換組成物を用いて製造することができる。
(樹脂)
少なくとも複合体1を含む光熱変換組成物は微細化セルロース12を含むため、樹脂を含有せずに光熱変換成形体2を光熱変換組成物を用いて製造することができる。複合体1を含む光熱変換組成物および光熱変換成形体2は、その特性を制御するために樹脂21を含んでも構わない。樹脂21は、特に限定されず、公知の樹脂を用いることができるが、特に、水溶性高分子や水性エマルジョン、水性ディスパージョン、光硬化性材料を硬化して得られる樹脂等を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂等に混練しても構わない。
(A)水溶性高分子
水溶性高分子は、85℃において、メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロピルアルコールのいずれかを50質量%含むアルコール水溶液、および水のうち少なくとも1種を含む溶媒100質量部に対して、1質量部以上溶解する、分子量1000以上の化合物である。
水溶性高分子としては、例えば、タンパク質、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
タンパク質としては、ゼラチン、カゼイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等が挙げられる。
ビニル系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン・ビニルアセテート共重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリルアミド、アクリルアミド・アクリレート共重合体等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
水溶性高分子は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
複合体1の分散性や光熱変換成形体2の強度や寸法安定性の観点から、特に、ポリビニルアルコール(PVA)系重合体を用いることが好ましい。PVA系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体のけん化物などに代表される未変性のPVA樹脂を使用することが好ましいが、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、酢酸ビニルにおけるビニルエステルに対して、他のビニル化合物を共重合しても構わない。
PVA系重合体の重合度は特に限定されないが、300以上3000未満のものが好ましく、更に500以上2500未満が好適に用いられる。重合度が300より小さい場合は、PVA分子同士の相互作用が低下し、機械特性の低下を招くことがある。また、重合度が3000より大きい場合は、塗液の粘度が高くなりすぎ、光熱変換成形体2の膜厚が不均一になることや、乾燥過程で分散媒の除去が困難になるなど、取り扱いにくくなる。
また、PVA系重合体のけん化度としては、90mol%以上100mol%未満が好ましく、さらに95mol%以上100mol%未満が好ましい。けん化度が90mol%未満だと、水酸基によるPVA系重合体分子内の水素結合が低下するため、特に高温下における分子の運動性が活発になり、熱変形しやすくなる。また、けん化度が100mol%のものは製造工程上得ることが困難である。
本実施形態において、複合体1を含む光熱変換組成物には架橋剤が含まれることが好ましい。PVA系重合体が架橋構造を形成することにより、所望する特性を有する光熱変換成形体2を得ることが好ましい。すなわち、架橋構造を形成することにより、高い機械特性や、高温下での低い線膨張係数の保持や耐水性の大幅な向上といった特性を発現することができる。本実施形態に用いられる架橋剤としては、少なくともPVA系重合体と架橋反応を起こすことが好ましく、セルロース繊維とも架橋反応を起こすものがより好ましい。
本実施形態で用いる架橋剤は、分子量10,000以上5,000,000未満のポリマーである。より好ましくは、分子量50,000以上1,000,000未満がより好適に用いられる。分子量が小さ過ぎると、PVA系重合体と共に三次元構造を形成することが困難になると共に、剛直な形状を有する微細化セルロースを架橋構造に組み込むことが困難になる。この場合、耐水剤性や高温下における低い線膨張係数の実現が難しい。更に、分子量が大きすぎると、均一に溶解するのが困難であり、取り扱いにくくなる。また反応系内の活性部位、すなわちカルボン酸と水酸基のアクセス頻度が低下するために、反応性の低下が引き起こされる。
架橋剤は特に限定されず、公知の架橋剤を用いることができる。例えば、加熱によって架橋構造を形成する架橋剤としては、オキサゾリン、ジビニルスルホン、カルボジイミド、ジヒドラジン、ジヒドラジド、エピクロルヒドリン、グリオキザール、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物などを用いることができる。
中でも、PVA系重合体に含まれる水酸基とセルロース繊維の水酸基をもとに良好な反応性を有するカルボン酸またはカルボン酸無水物を有する架橋剤が好ましい。PVA系重合体やセルロース繊維の水酸基と架橋剤に含まれるカルボン酸の反応により、強固な架橋構造が形成される。前記架橋剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤を添加する場合の架橋剤の添加率は、本実施形態の効果を阻害しない範囲であれば限定しないが、光熱変換組成物中の固形分率が0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
カルボン酸またはカルボン酸無水物を有する架橋剤を用いる場合、光熱変換組成物中の水酸基の官能基数に対して、カルボン酸の官能基数が1%以上50%未満であることが好ましく、更に5%以上20%未満である場合に好適に用いることができる。すなわち、カルボン酸を含む架橋剤が少なすぎる場合に架橋構造が十分に発達せず、架橋剤の効果が低下する。多すぎる場合は反応が進行せずに余剰となった架橋剤が特性低下を招く恐れがある上、成形体内の水酸基同士による水素結合が低下するため、種種の特性低下を生じる。
(B)光硬化性樹脂
また、複合体1を含む光熱変換組成物に、光硬化性材料及び光重合開始剤を含むことができる。光熱変換組成物をコーティング等した後、溶媒を除去し、光照射することにより硬化した樹脂を含む成形体を得ることができる。
光硬化性材料としては、光ラジカル硬化系、光カチオン硬化系等の材料を用いることが好ましい。
光ラジカル硬化系としては、例えば、アクリル系材料が挙げられ、アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような(メタ)アクリレート化合物や、ジイソシアネートとアルコールおよびアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるようなウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。
また、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。なお、ここでいう多官能とは、分子内に2個以上の光照射により活性を持つ官能基を有することを意味する。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類を用いることができる。また、光重合開始剤の添加量は、光硬化性化合物100重量部に対して0.1重量部~10重量部、好ましくは1重量部~7重量部、さらに好ましくは1重量部~5重量部である。
(C)水性ディスパージョン及び水性エマルジョン
水性ディスパージョンや水性エマルジョンはそれぞれ水性ディスパーションや水性エマルションと呼ばれることがあり、水を含む水性分散媒中に分散された水性樹脂である。この水性ディスパージョンや水性エマルジョンは、主な分散媒として水を用い、ポリマーをサブミクロンから数ミクロンの粒径に分散させたものである。これらの分散媒を揮発させることによりポリマー同士が変形融合し、連続的な構造を形成する。
水性ディスパージョンや水性エマルジョンは、樹脂としての水溶性モノマーや水溶性オリゴマーと比較して設計上の自由度が高いため、目的の性能や機能に合わせた材料選定ができるという利点がある。更に、乳化剤の添加や樹脂への親水性基の導入により分散媒中での分散安定性が付与されるが、合成樹脂自体は疎水性であり、高い耐水性や耐湿性を有している。そのため、外部の湿度環境に左右されにくく、また光熱変換成形体2として含水率を変化させた際も顕著な変形はなく、光熱変換成形体2としての構造を維持することが可能である。
また、水性ディスパージョンや水性エマルジョンは、樹脂の重合度は高いが樹脂が個々に独立した微粒子を形成しているため、塗液としての粘度は低い。そのため、本実施形態の構成材料である複合体含有物が高い粘度を有していても良好な混合性を得ることができる。
また、水性ディスパージョンや水性エマルジョンは、イオン性によってアニオン性、カチオン性、ノニオン性に大別される。本実施形態においてはいずれの使用も制限されないが、混合する複合体1の微細化セルロース12がアニオン性の場合、カチオン性の樹脂を混合するとその荷電を阻害する可能性があるため、アニオン性またはノニオン性が好ましい。
水性ディスパージョンや水性エマルジョンからなる樹脂としては、例えば、酢酸ビニル系、ウレタン系、アクリル系、スチレン系、フェノール系、アミノ系、アミド系、ポリエステル系、エチレン系、ポリビニルアルコール系が用いられる。また、これらは単独でもよく、共重合したものや二種類以上併せて用いたものであってもよい。
また、反応性の合成樹脂を用いても構わない。その場合、例えば、硬化剤や硬化触媒、光重合開始剤、連鎖移動剤等を併用することができる。
ここで、光熱変換成形体2中の複合体含有物(複合体分散液または複合体濃縮物)の固形分率(セルロース成分及び金属成分の固形分率)が、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上30質量%以下である。複合体の固形分率が1質量%より少なくなると、十分な低線膨張性や耐水剤性、高弾性率といった特性を発揮できなくなる。また、50質量%より多くなると、微細化セルロースの剛性に由来する脆性が顕在化し、成形体の加工・成形性が悪くなることがある。
また、光熱変換成形体2中に含まれる金属の固形分率が、0.0001質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。金属の固形分率がこの範囲であれば光熱変換特性を十分に発揮する。
本実施形態で得られる光熱変換成形体2の厚さTは、1μm以上500μm以下の範囲内が好ましく、10μm以上200μm以下の範囲内がより好ましく、20μm以上100μm以下の範囲内が特に好ましい。厚さTが1μm未満になると、成形体の強度が極端に弱くなり、生産に不向きとなる。また、500μmを超えると乾燥速度に非常に時間がかかり生産性が極端に低下したり、光熱変換成形体2の内部に余分な水分が残留するなどの問題が生じるため好ましくない。
複合体1は、沈降係数が高いため、遠心分離等により効率的に濃縮することが可能であり、生産性よく、高濃度の組成物を得られるため、成形体を作製する際の溶媒除去に必要なエネルギーが少なくなる。このため、強度が高く、寸法安定性に優れた膜厚の厚い成形体を効率的に作製することができる。
また、複合体1の光熱変換特性により、厚みのある光熱変換成形体2においても、赤外線ランプ等の各種ランプの照射効果を更に促進し、塗膜の内部まで乾燥や熱硬化が可能である。また、光硬化性の樹脂を含む場合、UV光等の光照射の前後に赤外線等のランプを照射する際に、均一な反応促進や応力緩和による耐傷擦性の改善やカールの抑制等の効果を、更に向上することができる。
光熱変換成形体2における、複合体1の微細化セルロース12は、光熱変換成形体2中で高度に分散しているため、可視光領域の透過率が高くなり、高い透明性が得られる。特に、波長700nm以上2500nm以下の近赤外線領域に吸収を有する複合体1を用いることで、高い光熱変換特性と可視光透過率を併せ持つ光熱変換成形体2を得ることができる。光熱変換成形体2は、660nmにおける光線透過率が50%以上となることが好ましく、より好ましくは70%以上である。
上述の方法を用いることにより、従来困難であった複合体1を高度に分散させた状態を維持しつつ樹脂との光熱変換成形体2を形成することが可能となり、複合体1の金属由来の光熱変換特性と微細化セルロース由来の優れた補強特性や低線膨張化特性を活かした光熱変換成形体2を得ることが出来る。
光熱変換成形体2は、必要に応じて各種添加物等を含んでも構わない。例えば、化学修飾したセルロース、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、寒天、可溶化澱粉、グリセリン、ソルビトール、消泡剤、水溶性高分子、合成高分子等を含めることができる。意匠性を付与する目的で、各種染料や顔料、有機フィラー、無機フィラー等を含んでも構わない。また、成形性の向上や劣化抑制、光学材料の分散性の向上等の目的で、熱安定剤、安定化助剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤を含んでも構わない。
[光熱変換成形体2の光熱変換特性]
次に光熱変換成形体2の光熱変換特性を測定して結果を示す。
透過スペクトルの測定方法は、特に限定されないが次のような方法で測定できる。リファレンスは空で測定し、光熱変換成形体2の光線透過率を、波長220nmから2500nmまで分光光度計UV-3600(島津製作所製)にて測定した。得られた光線透過率から、光線透過率が極小となった波長を光熱変換成形体2のλmax(nm)とする。
CSNFを用いて複合体1の一例(複合体Aおよび複合体B)の分散液を作製し、遠心分離により濃縮した複合体A含有物、複合体B含有物を得た。基材として、厚さ25μmのPETフィルム(以下PET基材と言うことがある。)にコロナ処理を施し、複合体A含有物及び複合体B含有物を、バーコーターを用いて塗工、加熱乾燥して得られた厚さ約1μmの複合体層を有する光熱変換成形体2を作製した。
リファレンスとして、PET基材に膜厚約1μmのCSNF層を設けた成形体を作製した。
図8は、複合体1の一例(複合体A、λmax=906nm)を走査透過型電子顕微鏡(STEM)により拡大して観察した結果を示す図である。は、の複合体AのSTEM写真である。
図9は、複合体1の一例(複合体B、λmax=729nm)を走査透過型電子顕微鏡(STEM)により拡大して観察した結果を示す図である。は、の複合体AのSTEM写真である。
図10は、光熱変換成形体2の光熱変換特性の測定結果を示す図である。
各光熱変換成形体2の透過率を220nmから2500nmの波長領域における透過率を測定した結果、図10に示す結果を得た。各光熱変換成形体2のPET基材のCSNF層及び複合体A層、複合体B層の反対側に熱電対を耐熱性のテープを用いて貼り付け、温度を測定しながら、約1200nmにピークを有する近赤外線ランプを照射した。
その結果、CSNF層を設けた成形体と比較して複合体層を設けた光熱変換成形体2は顕著に温度が上昇していることが判明した。特に、近赤外線ランプのピーク波長に近い領域に吸収を有する複合体A層を設けた光熱変換成形体2において温度が最も高くなった。
以上のように複合体層を基材上に設けることで、PET基材の温度が顕著に上昇することが判明し、複合体1の顕著な光熱変換特性が示された。
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る光熱変換成形体2は、特定波長領域に吸収を有する複合体1を含むため、400nm以上2500nm以下の波長領域で、透過率が極小となる極小波長(λmax)を有することが好ましい。特に、700nm以上2500nm以下の近赤外線領域にλmaxを有すると、複合体1は顕著な光熱変換特性を発揮すると共に、高い可視光透過性を有する光熱変換成形体2を得られる。
複合体1の光熱変換特性は、例えば、シート状の成形体を形成する際の乾燥効率や熱硬化(架橋)の促進、或いはUV硬化反応の促進効果を得ることができる。
発明者らが、PET基材上に微細化セルロースを含む層を設け、加熱乾燥及び熱硬化してシート状の成形体を作製した結果、微細化セルロースの効果によりシート状の成形体の高温領域における線膨張係数を低下できることが判明した。しかし、シート状の成形体の厚みが厚くなると基材側の乾燥不足や硬化不足が原因で十分な線膨張係数の低下効果が見られなくなる。一方、微細化セルロースと金属微粒子が複合化した複合体1を含む層を設ける場合は、膜厚が厚い条件において、赤外線ランプ(遠赤外線、中赤外線、近赤外線)照射による加熱乾燥においては内部まで加熱されやすく、線膨張係数がより低下する。更に、複合体1を含むことにより、赤外線ランプによる加熱効果が高まり、効率的に熱乾燥、硬化が可能となると共に、作製したシート状成形体は光熱変換特性が付与され、光熱変換成形体2として様々な用途に利用可能である。
また、特許文献5に記載のように、UV光硬化前に赤外線(IR)を照射すると、開始剤が活性化され、硬化効率が上昇する。更に、塗膜の平滑性や柔軟性の向上、塗液の低粘度化等の効果を得られる。UV光硬化後に赤外線照射を行うことにより応力が緩和されてカールの低減、カチオン硬化系においては硬化速度の加速により生産性の向上、安定化硬化が得られ、重合開始剤の除去により分解臭を低減することが可能となる。
複合体1を含むことにより、赤外線照射の効果だけでなく、複合体1の光熱変換特性により、塗膜の温度が上昇することにより反応性が向上し、架橋密度が向上して耐傷付き性が向上する。
また、光熱変換成形体2は、複合体1の効果により、光熱変換成形体2の強度が向上する。光熱変換成形体2の最大強度が50N/mm以上で、且つ破断伸度が10%以上であることが好ましい。
最大強度と破断伸度は、特に限定されないが、例えば、次の方法で測定することができる。光熱変換成形体2を15mm幅の短冊状に切り出し、小型卓上試験機EZ-LX(島津製作所社製)を用い、ロードセル1.000N、引張速度5mm/分の条件で、評価部50mmの間隔を空けて両端をチャックしながら長辺方向の伸度と強度を検出し、引張強度(N/mm)及び破断伸び(%)を測定できる。光熱変換成形体2は測定1日以上前に23℃、47~50%RHの恒温恒湿室にて調湿し、測定も同環境で行う。
更に、光熱変換成形体2は、線膨張係数が低下し、寸法安定性が高くなる。光熱変換成形体2の線膨張係数は、100×10-5/K以下であることが好ましく、より好ましくは50×10-5/K以下であることが好ましい。線膨張係数がこの範囲であると寸法安定性が高くなる。
線膨張係数は、特に限定されないが、次の方法で測定することができる。光熱変換成形体2を15mmの長さで4mm幅の短冊状に切り出し、両端を50mNの張力でチャックしながら15~180℃まで5℃/分で加熱した際の長辺方向の伸びを、熱機械的装置TMA/SS-6000(セイコーインスツルメンツ製)を用いて測定し、Tg以上の140℃から160℃までのサンプル伸びから線膨張係数を算出する。
特に限定されないが、架橋反応の反応率は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)にて測定することができる。例えば、FT/IR-6300(日本分光)を用い、光熱変換層の基材側、基材と反対側について、それぞれATRにより400~4000cm-1の範囲を、分解能4cm-1、積算回数160回にて測定する。アクリル系樹脂の場合、二重結合に由来する810cm-1のピーク(=C-H面外変角;A)について、1730cm-1のピーク(C=O伸縮;B)にて規格化し、架橋反応の反応性の指標とすることが可能である。A/Bのピーク強度比が低いほど二重結合が消費され、架橋反応が進行していると判断できる。
[複合体1、光熱変換成形体2、および光熱変換組成物の用途]
次に、複合体1の顕著な効果の用途について詳細に述べる。
複合体1は、特定の波長領域の光を自由電子の集団振動として強く吸収するLSPRにより、効率よく光を吸収し、熱エネルギーとして放射する。その結果、複合体1の周囲の媒質に熱が拡散する。複合体1は、優れた光熱変換特性を示すため、使用量を減らすことが可能であり、使用量を減らした場合であっても高い可視光透過率と光熱変換特性を併せ持つ。更に、複合体1は安定性、安全性が高く、樹脂に含有させる際において樹脂の種類を選ばないため、皮膚に接触或いは生体内で使用することも可能である。
一方、有機化合物の近赤外吸収材料は、着色する場合があり、耐久性が低く、樹脂や添加物により分解されることがある。また、金属酸化物の近赤外吸収材料は、還元されることにより着色することがある。また、チタン、クロム、ニッケル等の金属蒸着膜は、金属光沢があり視認性が劣る。
複合体1は、その光熱変換特性を活用し、熱エネルギーを直接利用することができる。
熱エネルギーを直接利用する方法としては、例えば、フォトサーマル治療用材料や繊維製品としての利用が挙げられる。
また、複合体1を、光熱変換成形体2の高機能化に利用することができる。
また、複合体1を熱応答性材料と組み合わせることで、例えば、光記録体、感光性材料、フォトサーマル治療用材料、近赤外光応答自己修復材料、レーザー照射剥離材料、細胞培養基材として利用することができる。
複合体1は、皮膚に接触させる、体内に入れることも可能である。例えば、複合体1は皮膚或いは生体内においても体外からの電磁波照射により発熱するため、皮膚や生体内の癌等の悪性腫瘍部位に本複合体を集積させ、熱により死滅させることでフォトサーマル治療に利用できる。
また、複合体1を繊維製品に用いることで、寒い季節でも暖かい衣服を提供することができる。
複合体1は、その光熱変換特性により、赤外線等のランプを照射することにより、塗膜の加熱乾燥、すなわち溶媒除去や、光硬化性材料または熱硬化性材料等の熱硬化及び光硬化反応を促進し、光熱変換成形体2の強度や寸法安定性向上効果を発揮することが示唆された。
通常、光熱変換組成物を用い、厚みのある光熱変換成形体2を作製する場合、塗膜を熱風により加熱乾燥する方法では、塗膜の表面側が乾燥しやすいが、塗膜の基材23側は乾燥しにくい。一方、赤外線等のランプ照射による加熱であれば、光熱変換成形体2を均一に乾燥することが可能となる。このとき、複合体1の光熱変換特性により、ランプ照射による乾燥、すなわち溶媒除去や、熱硬化及び光硬化が促進される。
複合体1は、樹脂と複合化させることにより、複合体1の光熱変換特性に加えて、複合体1に結合する微細化セルロース12の効果により、機械特性と、高温で光熱変換成形体2が膨張・収縮することを防ぐ寸法安定性と、を向上させることができる。
更に、本実施形態に係る光熱変換成形体2に含有させる複合体1は、低い遠心加速度で遠心分離して濃縮することが可能であり、微細化セルロース12単独と比較して濃縮しやすく、高濃度で複合体含有物を得られるため、生産性良く溶媒を除去して、強度が高く、寸法安定性の高い光熱変換成形体2を得ることができる。
複合体1は、熱応答性材料と組み合わせることで、光応答性を発現させるために用いることができ、例えば、光記録体、感光性材料、フォトサーマル治療用材料、近赤外光応答自己修復材料、レーザー照射剥離材料、細胞培養基材として利用することができる。熱応答性材料とは、熱により物理的、化学的変化する材料のことである。特に限定されないが、物理的変化、化学的変化とは、相転移や結晶性の変化、液晶材料の相構造の変化、立体構造の変化、熱による分解や縮合等のことである。
熱応答性材料としては、例えば、温度により膨潤と収縮を引き起こすポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)等の温度により膨潤・収縮、分散・凝集、ゾルゲル転移を引き起こす高分子や、加熱により気化する水等の溶媒、熱により架橋反応を起こす架橋剤、熱により立体構造が変化するタンパク質等が挙げられる。
特に限定されないが、温度により可逆的に変化する熱応答性材料を用いることで繰り返し使用が可能となる。
また、複合体1の光熱変換特性により、近赤外線を照射してゲル-ゾル変化を起こす近赤外応答、自己修復材料を提供できる。
フレキシブルディスプレイを製造する過程においては、ガラス基板と、電子素子等を形成する耐熱性を有するプラスチック基板の間に設けられる犠牲層において、複合体1を用いることによりレーザーを照射し、効率よく樹脂の熱変形、熱分解、剥離等が可能である。
複合体1を細胞培養の足場材料に適用することで、レーザー照射により発生した熱により足場材料の変質を誘導し、損傷なく培養細胞を剥離することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1-1 サンプルの作製)
(1-1-1 微細化セルロース12の製造)
以下に微細化セルロース12の製造に用いた試薬・材料を示す。
セルロース: 漂白クラフトパルプ(フレッチャー チャレンジ カナダ「MACHENZIE」)
TEMPO: 市販品(東京化成工業社製、98%)
次亜塩素酸ナトリウム: 市販品(和光純薬社製、CL:5%)
臭化ナトリウム: 市販品(和光純薬社製)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、懸濁液を調製した。
この懸濁液に、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。
この溶液に、2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下し、酸化反応を開始した。反応中の系内の温度を常に40℃に保った。また、反応中は系内のpHが低下するが、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加することで、pH10に保ち続けた。
セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが3.0mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加し、反応を停止させた。
その後、反応後の混合物をガラスフィルターでろ過した後、十分な水の量による水洗、ろ過を繰り返すことにより、酸化セルロースを得た。
TEMPO酸化で得られた酸化セルロース1gを蒸留水99gに分散させた。
そして、酸化セルロースを含む分散液に、高圧ホモジナイザーを用いて微細化処理を施し、微細化セルロースの含有量が1質量%の微細化セルロース(CSNF)水分散液を得た。
(1-1-2 複合体1の製造)
続いて、硝酸銀500mgを蒸留水100mLに溶解させ、硝酸銀水溶液を調製した。
水素化ホウ素ナトリウム500mgを蒸留水100mLに溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を調製した。
上記の微細化セルロース水分散液1Lを容器に入れ、攪拌翼で攪拌しながら、硝酸銀水溶液10gを添加して、微細化セルロースと硝酸銀を含む分散液を調製した。続いて、微細化セルロースと硝酸銀を含む分散液に水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加して反応させ、複合体分散液を製造した。得られた複合体分散液中の複合体1を複合体Aとする。
(1-1-3 複合体含有物の回収)
上記複合体A分散液を、1Lの遠心管に入れて希釈し、10,000×g(gは重力加速度)で遠心分離し、沈降した複合体を回収し、固形分濃度が10質量%、銀濃度が0.4質量%の複合体A含有物を得た。
(1-1-4 光熱変換組成物及び光熱変換成形体2の作製)
(1-1-4-1 光熱変換組成物の作製)
PVA(クラレ社製PVA-117、平均重合度1,700、けん化度99.0mol%)と、架橋剤としてメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(International Specialty Products社製GANTREZ AN119、平均分子量130,000)を熱水に溶解した。PVAと架橋剤と複合体Aの固形分重量比がこの順に77:13:10となるように混合し、固形分濃度15質量%の組成物を得た。尚、組成物中の銀の固形分率は0.05質量%であった。
(1-1-4-2 光熱変換成形体2の作製)
調製した上記の溶液をPET基材(ルミラーT60-75μm:東レ)にアプリケーターにて塗工して近赤外線乾燥機SIR-760(トーコー製)(ランプのピーク約1200nm)にて5分間乾燥した後にPET基材を剥離することで、40μm厚の光熱変換成形体2を作製した。
(1-2 手順)
得られた酸化セルロース、微細化セルロースについて、カルボキシ基量、結晶化度、長軸の数平均軸径、光線透過率およびレオロジーの測定や算出を次のように行った。
(1-2-1 カルボキシ基量の測定)
分散処理前の酸化セルロースについて、カルボキシ基量を以下の方法にて算出した。
酸化セルロースの乾燥重量換算0.2gをビーカーに採り、イオン交換水80mLを添加した。
そこに、0.01mol/L塩化ナトリウム水溶液5mLを加え、攪拌しながら、0.1mol/L塩酸を加えて、全体がpH2.8となるように調整した。
そこに、自動滴定装置(商品名:AUT-701、東亜ディーケーケー社製)を用いて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を0.05mL/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。
得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシ基の含有量を算出した。
(1-2-2 結晶化度の算出)
TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
TEMPO酸化セルロースについて、試料水平型多目的X線回折装置(商品名:UltimaIII、Rigaku社製)を用い、X線出力:(40kv、40mA)の条件で、5°≦2θ≦35°の範囲でX線回折パターンを測定した。得られるX線回折パターンはセルロースI型結晶構造に由来するものであるため、下記の式(2)を用い、以下に示す手法により、TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=〔(I22.6-I18.5)/I22.6〕×100・・・(2)
ただし、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。
(1-2-3 微細化セルロースの長軸の数平均軸径の算出)
原子間力顕微鏡を用いて、微細化セルロースの長軸の数平均軸径を算出した。
まず、微細化セルロース水分散液を0.001%となるように希釈した後、マイカ板上に20μLずつキャストして風乾した。
乾燥後に原子間力顕微鏡(商品名:AFM5400L、日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、DFMモードで微細化セルロースの形状を観察した。
微細化セルロースの長軸の数平均軸径は、原子間力顕微鏡による観察画像から100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求めた。
(1-2-4 微細化セルロース水分散液の光線透過率の測定)
微細化セルロース水分散液について、光線透過率を測定した。
石英製のサンプルセルの一方にはリファレンスとして水を入れ、もう一方には気泡が混入しないように微細化セルロース水分散液を入れ、光路長1cmにおける波長220nmから1300nmまでの光線透過率を分光光度計(商品名:NRS-1000、日本分光社製)にて測定した。
(1-2-5 レオロジー測定)
微細化セルロース0.5質量%の分散液のレオロジーをレオメータ(商品名:AR2000ex、ティー・エイ・インスツルメント社製)傾斜角1°のコーンプレートにて測定した。
測定部を25℃に温調し、せん断速度を0.01s-1から1000s-1について連続的にせん断粘度を測定した。せん断速度が1s-1と100s-1のときのせん断粘度を表1に示す。
(1-3 結果)
得られた評価結果を表1、図11、図12に示す。図11は、実施例1の微細化セルロース水分散液の透過率を測定した結果を示す図である。図12は、実施例1の微細化セルロース水分散液の粘度特性の評価結果を示す図である。
表1、図11および図12の結果から、実施例1では、結晶性が高く、可視光領域で高い透過率を示し、低粘度の微細化セルロースを製造することができたことが分かった。
Figure 0007259218000001
次に、実施例1で作製した樹脂成形体のサンプルと、7種類の追加実施例(実施例2~8)および6種類の比較例(比較例1~6)とを併せて合計14種類の樹脂成形体のサンプルを準備した。14種類のサンプルの説明を行った後、各サンプルに対して行った実験の結果を説明する。表2は、樹脂成形体1のサンプルの作製条件を示している。
(2-1 サンプルの作製)
<実施例2>
PVAと複合体と架橋剤の固形分重量比がこの順に82:13:5となるように調製した他は実施例1と同様の条件にて光熱変換成形体2を作製した。
<実施例3>
架橋剤として、イソブチレン無水マレイン酸共重合体(クラレ社製イソバン110、平均分子量170,000)を用いた他は実施例1と同様の条件にて光熱変換成形体2を作製した。
<実施例4>
PVA(クラレ製PVA-105、平均重合度500、けん化度99.0mol%)を用いた他は実施例1と同様の条件にて光熱変換成形体2を作製した。
<実施例5>
複合体作製工程において、硝酸銀水溶液の添加量を20.0gとして作製した複合体B含有物を用いた他は実施例1と同様の条件にて光熱変換成形体2を作製した。
<実施例6>
複合体作製工程において、硝酸銀水溶液の添加量を30.0gとして作製した複合体C含有物を用いた他は実施例1と同様の条件にて光熱変換成形体2を作製した。
<実施例7>
ウレタン樹脂ディスパージョンHW171(DIC製)と複合体Aの固形分比がこの順に90:10となるようにした以外は実施例1と同様に光熱変換成形体2を作製した。
<実施例8>
アクリルアミドHEAA(KJケミカル製)、光重合開始剤Irgacure2959(BASF製)、複合体Aの固形分比がこの順に、89:1:10となるようにした以外は実施例1と同様に組成物を作製した。実施例1と同様にしてPET基材にアプリケーターを用いて塗工し、溶媒を除去した後、赤外線ヒーター付き紫外線照射コンベア装置(ヘレウス製)を用いて、IR照射と300mJ/cm紫外線を照射して光熱変換成形体2を作製した。
<比較例1>
複合体Aを添加せず、PVA117とAN119とCSNFの固形分重量比がこの順に、77:13:10の組成物とした他は実施例1と同様の条件にて成形体を作製した。
<比較例2>
複合体Aを添加せず、PVA117とAN119の固形分重量比がこの順に、86:14の組成物とした他は実施例1と同様の条件にて成形体を作製した。
<比較例3>
複合体Aを添加せず、HW171とCSNFの固形分比がこの順に90:10の組成物とした他は実施例7と同様に成形体を作製した。
<比較例4>
複合体Aを添加せず、HW171のみの組成物となるようにした他は実施例7と同様に
成形体を作製した。
<比較例5>
複合体Aを添加せず、アクリルアミドHEAA、光重合開始剤Irgacure2959、CSNFの固形分重量比がこの順に、89:1:10の組成物とした他は実施例8と同様に成形体を作製した。
<比較例6>
複合体Aを添加せず、アクリルアミドHEAA、光重合開始剤Irgacure2959の固形分重量比がこの順に、99:1の組成物とした他は実施例8と同様に成形体を作製した。
Figure 0007259218000002
(2-2 手順)
表2に記載の条件で作製した光熱変換成形体2および成形体に対して、カルボキシ基量、結晶化度、長軸の数平均軸径、光線透過率およびレオロジーの測定や算出を次のように行った。
(2-2-1 複合体のλmax測定)
実施例1から実施例8の複合体Aから複合体Cの含有物について、光線透過率を測定した。
石英製のサンプルセルにサンプルまたはリファレンスを入れ、光路長1cmにおける波長220nmから1300nmまでの光線透過率を分光光度計UV-3600(島津製作所製)にて測定した。複合体含有物は適宜水で希釈し、気泡が混入しないように石英セルに入れて測定を行った。得られた光線透過率から、光線透過率が極小となった波長を分散液のλmax(nm)とした。
(2-2-2 生成物の観察)
実施例1から実施例8の複合体Aから複合体Cの含有物を適宜希釈し、支持膜付き銅グリッド上にキャストして風乾した後、走査型電子顕微鏡(商品名:S-4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、実施例1から実施例8の複合体Aから複合体CをSTEMモードにて観察した。
(2-2-2-1 平均粒子径の算出)
実施例1から実施例8の複合体Aから複合体Cの含有物を透過型電子顕微鏡観察用支持膜付き銅グリッド上にキャストして風乾した後、走査透過型電子顕微鏡で観察した。走査透過型電子顕微鏡像中の平板状金属微粒子を、円形で近似した際の面積から円相当粒子径を、平面方向の粒子径(粒子径d)として算出する。100個の粒子の粒子径dを測定し、その平均値を平均粒子径として求めた。
(2-2-2-2 平均アスペクト比の算出方法)
実施例1から実施例8の複合体Aから複合体Cの平均アスペクト比は、上述のようにして求めた平均粒子径を平均厚みで割った値とした。複合体を含む分散液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にキャストして風乾し、包埋樹脂で固定したものをミクロトームで断面方向に切削し、透過型電子顕微鏡で観察することにより、断面方向から観察した平板状金属微粒子の透過型電子顕微鏡像を得た。この透過型電子顕微鏡中の平板状金属微粒子の厚みを、平面方向と垂直な厚みhとして算出し、100個の粒子の平面方向と垂直な厚みhを測定し、その平均値を平均厚みとして求めた。
平板状金属微粒子の厚みhの平均値(平均厚み)に対する平面方向の粒子径dの平均値(平均粒子径)を、平板状金属微粒子の平均アスペクト比(dの平均値/hの平均値)として算出した。
(2-2-3 フィルムの温度測定)
光熱変換成形体2を50mm×50mmに切り出し、熱電対を、基材23を剥離した側に、熱電対を耐熱性のテープを用いて貼り付けた。約1200nmにピークを有する近赤外線ランプSIR-760(トーコー製)を照射し、ランプの照射を開始してから30秒後のフィルム(光熱変換成形体2の基材23を剥がしたもの)の温度を測定した。実施例1(2)のみ実施例1で作成した光熱変換成形体2の、基材23を剥離せず、基材23に熱電対を貼り付けて基材23の温度を測定した。
(2-2-4 引張特性)
得られた光熱変換成形体2を15mm幅の短冊状に切り出し、小型卓上試験機EZ-LX(島津製作所社製)を用い、ロードセル1.000N、引張速度5mm/分の条件で、評価部50mmの間隔を空けて両端をチャックしながら長辺方向の伸度と強度を検出し、最大強度(N/mm)及び破断伸び(%)を測定した。尚、光熱変換成形体2は測定1日以上前に23℃、47~50%RHの恒温恒湿室にて調湿し、測定も同環境で行った。
(2-2-5 線膨張係数)
成形体Iを15mmの長さで4mm幅の短冊状に切り出し、両端を50mNの張力でチャックしながら15~180℃まで5℃/分で加熱した際の長辺方向の伸びを、熱機械的装置TMA/SS-6000(セイコーインスツルメンツ製)を用いて測定し、20℃から40℃の線膨張係数と、Tg以上の140℃から160℃のサンプル伸びから線膨張係数を算出した。
(2-2-6線透過率測定)
リファレンスは空で測定をし、光熱変換成形体2の光線透過率を、波長220nmから2500nmまで分光光度計UV-3600(島津製作所製)にて測定し、波長660nmと波長1200nmにおける透過率の値を得た。得られた光線透過率から、光線透過率が極小となった波長を光熱変換成形体2のλmax(nm)とした。


(2-2-7 耐擦傷性試験)
スチールウール試験は、COLOR-RASTNESS RUBBING TES(テスター産業製)、ボンスター#0000を用い、50Hz、200gの荷重で10回擦り、傷を観察した。傷が5本以下であれば『〇』、傷が6本以上10本以下であれば『△』、傷が11本以上であれば『×』とした。
(2-2-8 鉛筆硬度試験)
鉛筆引掻硬度試験機(テスター産業製)用い、500gの荷重にてHの鉛筆を用いて5回引掻試験を実施し、傷が2本以下であった場合は『〇』、傷が3本以上4本以下であった場合は『△』、傷が5本であった場合は『×』とした。
(2-3 結果)
表3は、実施例1から実施例4、実施例7から実施例8で使用した複合体A(図8)、複合体B(図9)、複合体C(図13)に関するλmax、平均粒子径、平均厚み、平均アスペクト比の測定結果を示す。
表4は、表3に記載の条件で、光熱変換成形体2を作製し、光線透過率、光熱変換特性、機械特性、線膨張係数、耐擦傷性、鉛筆硬度を評価した結果である。
比較例1から比較例6においては、フィルムの温度は100℃程度であったのに対し、実施例1から実施例8においては、フィルムの温度が高く、高い光熱変換特性を有していることが判明した。特にランプのピークである1200nm付近に吸収を有する複合体Aを用いた場合に顕著な光熱変換特性を確認した。また、実施例1から実施例8においては、耐擦傷性、鉛筆硬度が良好であり、複合体の光熱変換特性によりフィルムの物性が良化したと考えられる。実施例1(2)では、基材の温度も顕著に上昇しているのが確認された。
また、実施例1は比較例1から比較例2に対して、実施例7は、比較例3から比較例4に対して、実施例8は比較例5から比較例6に対して、高温領域での線膨張係数が低くなった。複合体の光熱変換特性によりフィルムの乾燥や硬化が促進されたと考えられる。
Figure 0007259218000003
Figure 0007259218000004
複合体1の光熱変換特性は、照射された光を熱エネルギーに変換することが可能である。複合体1を繊維製品に用いることで、光エネルギーを利用した発熱効果を有する、寒い季節でも暖かい衣服を提供することができる。
また、フォトサーマル治療用材料としても利用できる。複合体1は、皮膚に接触させる、体内に入れることも可能である。複合体1は皮膚或いは生体内においても体外からの電磁波照射により発熱するため、皮膚や生体内の癌等の悪性腫瘍部位に複合体1を集積させ、熱により死滅させることでフォトサーマル治療に利用できる。
複合体1の光熱変換特性は、赤外線ランプ照射による加熱乾燥や熱硬化、UV硬化反応が促進され、光熱変換成形体2の強度や寸法安定性向上に利用できる。
通常、厚みのある光熱変換成形体2を作製する場合、熱風による加熱乾燥では表面側のみが乾燥されるが、赤外線等のランプ照射による加熱であれば、光熱変換成形体2を均一に乾燥することが可能となる。このとき、複合体1の光熱変換特性により、ランプ照射による乾燥や熱硬化が促進される。
また、UV光等の光硬化において、光硬化前、或いは後に赤外線等のランプを照射することにより、塗膜加熱され、硬化促進や応力緩和によるカール抑制が可能であるが、本複合体を含有することにより、この効果が促進される。
更に、複合体1と熱応答性材料を組み合わせ、光記録体、感光性材料、近赤外光応答自己修復材料、レーザー照射剥離材料、細胞培養基材等を提供できる。
基材上に複合体1と感熱発色色材とを混合して被覆或いは、基材上に感熱発色材料層を設け、その上に複合体層を設けることにより、レーザー光照射による光記録体として用いることができる。レーザー照射による光記録体として用いる場合、記録体が通常の状態で着色することなく、低出力なレーザーを用い、速い記録速度にて十分な記録濃度となる。
更に、有機化合物は、樹脂21に含有させる場合、樹脂21の種類等により退色や分解する等、安定性に問題がある場合がある。複合体1は安定性が高く、繰り返し使用が可能である。
複合体1の光熱変換特性により、近赤外線を照射してゲル-ゾル変化を起こす近赤外応答、自己修復材料を提供できる。フレキシブルディスプレイを製造する過程においては、ガラス基板と、電子素子等を形成する耐熱性を有するプラスチック基板の間に犠牲層において、複合体1を用いることによりレーザーを照射し、効率よく樹脂の熱変形、熱分解、剥離等が可能である。複合体1を細胞培養の足場材料に適用することで、レーザー照射により発生した熱により足場材料の変質を誘導し、損傷なく培養細胞を剥離することができる。
1・・・複合体
11・・・平板状金属微粒子
12・・・微細化セルロース
12a・・・微細化セルロース(金属微粒子の内部に取り込まれている部分)
12b・・・微細化セルロース(金属微粒子表面に露出している部分)
d・・・粒子径
h・・・厚み
2・・・光熱変換成形体
21・・・樹脂
23・・・基材

Claims (17)

  1. 金属微粒子と、少なくとも一つ以上の微細化セルロースと、が複合化された複合体であり、
    前記金属微粒子が平板状金属微粒子であり、
    それぞれの前記微細化セルロースについて少なくとも一部又は全部が前記平板状金属微粒子に取り込まれており、残部があればその残部が前記平板状金属微粒子の表面に露出するように複合化され、
    前記金属微粒子は、
    厚みの平均値が、1nm以上100nm以下の範囲であり、
    粒子径の平均値が、2nm以上1000nm以下の範囲であり、
    平均アスペクト比が1.1以上であり、
    前記微細化セルロースは、繊維状であり、かつ短軸の数平均軸径が1nm以上50nm以下、長軸の数平均軸径が0.1μm以上10μm以下である、
    光熱変換材料。
  2. 熱エネルギーを利用するために用いる請求項1に記載の光熱変換材料。
  3. 光硬化性材料または熱硬化性材料と組み合わせ使用し、前記光硬化性材料または前記熱硬化性材料の熱硬化や光硬化を促進させるために用いる請求項1に記載の光熱変換材料。
  4. 樹脂と組み合わせて使用し、光熱変換成形体を作製するための塗膜の溶媒除去を促進させるために用いる請求項1に記載の光熱変換材料。
  5. 熱応答性材料と組み合わせて使用し、光応答性を発現させるために用いる請求項1に記載の光熱変換材料。
  6. 透過率スペクトルにおいて、700nm以上2500nm以下の波長領域で、透過率が極小となる極小波長を有する、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光熱変換材料。
  7. 前記金属微粒子の
    厚みhの平均値が、1nm以上50nm以下の範囲であり、
    粒子径dの平均値が、2nm以上1000nm以下の範囲であり、
    平均アスペクト比が4.0以上20.0以下である、
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光熱変換材料。
  8. 前記金属微粒子が金、銀、銅の少なくともいずれかを含む、
    請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光熱変換材料。
  9. 前記複合体の表面の少なくとも一部が金属または金属酸化物で覆われている
    請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光熱変換材料。
  10. 前記微細化セルロースは、短軸の数平均軸径が1nm以上10nm以下、長軸の数平均軸径は0.2μm以上2μm以下であり、
    少なくとも一部のグルコピラノースのC6位のOH基が選択的に酸化され、
    カルボキシ基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下である
    請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の光熱変換材料。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の光熱変換材料を含む光熱変換組成物。
  12. 請求項11に記載の光熱変換組成物を用いて製造され、
    少なくとも水溶性高分子、水性ディスパージョン、水性エマルジョン、光硬化性樹脂の
    いずれかを有する樹脂を含む、
    光熱変換成形体。
  13. 前記樹脂が架橋構造を有し、
    前記樹脂がポリビニルアルコール系重合体であり、
    前記架橋構造が、架橋剤により形成されたものであって、
    前記架橋剤が、分子量10,000以上5,000,000未満のポリマーである、
    請求項12に記載の光熱変換成形体。
  14. 前記複合体の含有量が、重量換算で0.1%以上50%以下である
    請求項12または請求項13に記載の光熱変換成形体。
  15. 破断強度が50N/mm2以上で、且つ破断伸度が10%以上である
    請求項12から請求項13のいずれか一項に記載の光熱変換成形体。
  16. 線膨張係数が100×10-5/K以下である、
    請求項12から請求項15のいずれか一項に記載の光熱変換成形体。
  17. 透過率スペクトルにおいて、700nm以上2500nm以下の波長領域で、透過率が極小となる極小波長を有する
    請求項12から請求項16のいずれか一項に記載の光熱変換成形体。
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