JP2009149593A - 埋包微粒子とその調製方法、および用途 - Google Patents

埋包微粒子とその調製方法、および用途 Download PDF

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Abstract

【課題】感熱性ゲルによって埋包された金ナノロッドの光吸収特性を損なうことなく効果的に利用した埋包微粒子とその調製方法を提供する。
【解決手段】金ナノロッドを表面処理して液中に分散させ、この微粒子表面にシリカ層を形成した後に感熱性ゲルを反応させて感熱性ゲル層を形成し、次いで、上記シリカ層を溶解除去することによって、単数の金ナノロッドが個々に感熱性ゲルによって埋包された微粒子を形成する埋包微粒子の調製方法、およびその埋包微粒子、この埋包微粒子を含有する組成物およびその用途。
【選択図】図4

Description

本発明は、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)を原料とする感熱性ゲルで単数のロッド形状の金微粒子(金ナノロッドと云う)を埋包した埋包微粒子とその調製方法、および用途に関する。
本発明は、より具体的には、単数の金ナノロッドが感熱性ゲルによって埋包された埋包微粒子、その調製方法、その微粒子を含有する組成物、およびその用途に関する。本発明は特に金ナノロッドの特定波長吸収機能で吸収した光を熱に変換し、感熱性ゲルの体積変化を促進することにより、感熱性ゲル中に保持していた薬物が放出される機能を利用した薬物送達システム(DDS)用薬物保持体として有用である。
溶媒中に分散した金属微粒子に光を照射すると局在表面プラズモン共鳴(Localized surface Plasmon resonance:LPR)と呼ばれる共鳴吸収現象が生じる。この吸収現象は金属の種類と形状、そして溶媒の屈折率によって吸収波長が決定される。例えば、球状の金微粒子が水に分散した場合は530nm付近に吸収域を持ち、金微粒子の形状を短軸10nm程度のロッド状(金ナノロッド)にすると、ロッドの短軸に起因する530nm付近の吸収の他に、ロッドの長軸に起因する長波長側の吸収を有することが知られている(非特許文献1)。これらの金属微粒子分散液は、低分子化合物や高分子化合物を保護剤として金属微粒子表面に吸着ないし結合させることによって、金属微粒子が凝集することなく安定に溶媒に分散させることができる。
金ナノロッドはアスペクト比が1より大きいロッド状の金微粒子であり、カチオン性界面活性剤である第四級アンモニウム塩のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)に溶解した水中で合成され、CTAB水溶液中の金イオンを化学還元、電気還元、光還元などによって合成することが可能であり、合成した金微粒子はCTABの保護作用により水中で安定分散している(特許文献1、2、3、4)。
近年、金微粒子のLPRと感熱性ゲルを組み合わせた光熱変換技術を利用した研究が進められている。例えば、金微粒子/感熱性ゲルに薬物を保持させた系で、金微粒子のLPRで特定波長を吸収し、感熱性ゲルに熱を伝達し、感熱性ゲルの体積変化を促進させて薬物を放出するシステムが検討されてきており、薬物を生体内へ投与するためのDDS(ドラッグデリバリーシステム)用担持素子として利用できる可能性がある(非特許文献2、3、4、5、特許文献5)。
特に、波長800nm〜1200nmの近赤外線は水の吸収による影響が少なく(Water Window)、生体にも安全な波長域であり、かつ、金微粒子のLPRが存在するため、光−熱変換システムを構築するのに適した波長域である。また感熱性ゲルとしては、NIPAMの重合体が使用されており、32℃前後に下限臨界共溶温度(LCST)を有しており、LCST以下では水に溶解するが、LCST以上では水にほとんど溶解しなくなる特性を有している。
非特許文献2と特許文献5の方法によれば、Au2S/Auのコア/シェル構造で近赤外線を吸収する粒子が構成されており、シェルの金膜厚でLPRの波長位置が設定可能である。例えば、コア直径37nm/シェル金膜厚4nmの場合、1050nmを中心とするプラズモン吸収が観察され、粒子表面にチオールを吸着しそれ以上の金析出を抑えることでシェルの膜厚は調整可能である。このコア/シェル微粒子は感熱性ゲルで埋包することが可能であり、NIPAMとアクリルアミド(AAm)の共重合体にN,N'−メチレンビスアクリルアミド(BIS)を架橋剤として得られた感熱性ゲル中に複数のAu2S/Auのコア/シェル粒子が埋包された形態が得られている。
Au2S/Au粒子を埋包した感熱性ゲルは、Au2S/Auを埋包しない感熱性ゲル(ブランク)と比較して、温度をかけた場合ではゲルの体積変化に大きな差はない。しかし、1064nmの近赤外線を照射した場合のゲル体積変化は大きく差が生じ、Au2S/Au粒子を含有する感熱性ゲルは体積変化が速く、かつ大きい。薬物に見立てたメチレンブルーを感熱性ゲルに含有させ、1064nmの近赤外線を照射した場合、Au2S/Au粒子を含有する感熱性ゲルの方が感熱性ゲルの体積変化が大きいため、メチレンブルーの放出量も多いことが確認されている。これは、Au2S/Au粒子の1050nm付近のプラズモン吸収が近赤外線を吸収して光を熱に変換したため、感熱性ゲルの温度が上昇し、LCSTを境に水への溶解性が変化し、ゲル体積の収縮(水の排出)が起こり、保持していたメチレンブルーを放出したことを意味している。
非特許文献3と特許文献5の方法は、715nm〜940nmに吸収を有するシリカ/Auで構成されるコア/シェル粒子が赤外線を吸収する粒子として使用されており、NIPAMとAAmの共重合体にBISを架橋剤として得られた感熱性ゲル中に複数のコア/シェル粒子が埋包された形態である。上記Au2S/Au粒子を埋包した場合と同様に、シリカ/Au粒子を埋包する感熱性ゲルの方が、832nmの近赤外線を照射した場合、大きな体積収縮が観察されている。
非特許文献4の方法は、CTABとベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド(BDAC)を使用して、多段階の化学還元で合成された金ナノロッドであって(非特許文献6)、アスペクト比2〜6で650nm〜950nmにプラズモン吸収を有する金ナノロッドを使用している。合成した感熱性ゲル(NIPAMとAAmの共重合体)はマイナスの電荷を有しており、プラスの電荷を有する金ナノロッドは感熱性ゲルの細孔中で吸着される。上記の非特許文献2、3、特許文献5と同様に、近赤外線を感熱性ゲルに照射した場合、金ナノロッドを含有する感熱性ゲルの方が大きな体積変化を示している。
非特許文献5の方法は、CTABを用いて化学的還元と光還元を組み合わせて合成された金ナノロッドで(非特許文献7、8、特許文献2)、アスペクト比5.9で920nmにプラズモン吸収を有する金ナノロッドを使用している。α−メトキシ−ω−メルカプトポリエチレングリコール(重量平均分子量5700)を表面修飾した金ナノロッドをNIPAMとBISの共重合の際に添加することによって、NIPAMとBISの共重合体に複数の金ナノロッドが埋包された形態を形成している。
α−メトキシ−ω−メルカプトポリエチレングリコールは、開始剤である硫酸アンモニウム(APS)を添加した際の金ナノロッドの凝集を防ぐ機能がある。近赤外線を感熱性ゲルに照射した場合、照射強度と金ナノロッドの含有量の違いで感熱性ゲルの体積変化に差があり、顕著な体積変化を起こす近赤外線の照射強度と金ナノロッド含有量を確認している。さらに、近赤外線を照射した部位におけるゲル体積の収縮と(元の体積に戻ろうとする)緩和の挙動を、ゲル中に保持させた蛍光物質を用いて確認している。
S-S.Chang,S-S.Changetal,Langmuir,15,p701(1999) S.R.Sershen,S.L.Westcott,N.J.Halas,J.L.West,J.Biomed.Mater.Res.,51,p293(2000) S.R.Sershen,S.L.Westcott,J.L.West,N.J.Halas,Appl.Phys.B,73,p379(2001) I.Gorelikov,L.M.Field,E.Kumacheva,J.Am.Chem.Soc.126,p15938(2004) A.Shiotani,T.Mori,T.Niidome,Y.Niidome,Y.Katayama,Langmuir,23,p4012(2007) B.Nikiibakht,M.A.El-Sayed,Chem.Mater.,15,p1957(2003) Y.Niidome,H.Kawasaki,S.Yamada,S.Chem.Commun,18,p2376(2003) H.Takahashi,Y.Niidome,T.Niidome,K.Kaneko,H.Kawasaki,S.Yamada,Langmuir,22,p2(2006) 特開2004−292627号公報 特開2005−97718号公報 特開2006−169544号公報 特開2006−118036号公報 特表2003−504421号公報
非特許文献2、3と特許文献5の金微粒子は球状金微粒子の表面に金を被覆し、プラズモン吸収波長を調整しているが、吸収波長は金ナノロッドの吸収波長域と比較してブロードであり、選択的波長を光照射(例えば、レーザーの照射)した際に金微粒子で効率のよい光−熱変換が得られない。また、非特許文献4、5の金微粒子は、金ナノロッドが感熱性ゲルで埋包されているが、複数の金ナノロッドが感熱性ゲル中に埋包されたマクロな形態である。このため、単独の微粒子としての効果が得られない。例えば、DDS用薬物保持体として、生体内の特定細胞中への導入を目的とした場合、細胞中に取り込まれるためには感熱性ゲルで埋包された微粒子も微細な粒子径である必要がある。
本発明は、従来技術の上記課題を解決したものであり、単数のロッド形状の金微粒子(金ナノロッドと云う)を感熱性ゲルで埋包した埋包微粒子とその調製方法および用途を提供する。本発明の埋包微粒子は、金ナノロッドの光吸収による効率の良い光−熱変換性を有しており、感熱性ゲルの大きな体積変化を促して、感熱性ゲルに保持されている物資を効果的に放出できる利点を有している。
さらに本発明の埋包微粒子は、感熱性ゲルが温度により親水性と疎水性に変化するため、媒体中で埋包微粒子を分散した状態から凝集状態に変化させることが可能である。本発明はこの状態変化を利用した薬物送達システム用薬物保持体を提供する。
本発明は、上記課題を解決した以下[1]〜[7]に示す埋包微粒子に関する。
〔1〕単数のロッド形状の金微粒子が個々に感熱性ゲルで埋包されていることを特徴とする埋包微粒子。
〔2〕ロッド形状の金微粒子の長軸長さが400nm未満であって、アスペクト比が1より大きい上記[1]に記載する埋包微粒子。
〔3〕プラズモン吸収の最大吸収波長が波長700〜2000nmである上記[2]に記載する埋包微粒子。
〔4〕金微粒子が吸収した光の熱変換によって感熱性ゲルが熱収縮する上記[1]〜上記[3]に記載する埋包微粒子。
〔5〕感熱性ゲルが、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)とN,N'−メチレンビスアクリルアミド(BIS)の共重合体であることを特徴とする上記[1]〜上記[4]に記載する埋包微粒子。
〔6〕1種以上の薬物、核酸、蛍光体、染料、顔料、生体マーカー、造影剤、マイクロカプセル、金属微粒子、金属酸化物微粒子が感熱性ゲルの中に保持される上記[1]〜上記[5]に記載する埋包微粒子。
〔7〕感熱性ゲルに保持されている物質が該感熱性ゲルの体積変化によって感熱性ゲルから放出される上記[6]に記載する埋包微粒子。
さらに本発明は、以下[8]〜[14]に示す構成を有する埋包微粒子の調製法に関する。
〔8〕ロッド形状の金微粒子を表面処理して液中に分散させ、この微粒子表面にシリカ層を形成した後に感熱性ゲルを反応させて感熱性ゲル層を形成し、次いで、上記シリカ層を溶解除去することによって、単数の金ナノロッドが個々に感熱性ゲルによって埋包された微粒子を形成する上記[1]〜上記[5]の埋包微粒子の調製方法。
〔9〕次式[I]で示される4級アンモニウム塩が吸着したロッド形状の金微粒子に、重量平均分子量1000以上のα−メトキシ−ω−メルカプトポリエチレングリコールを表面修飾する上記[8]に記載の埋包微粒子の調製方法。
CH3(CH2)n+(CH3)3Br- (nは1〜15の整数) …[I]
〔10〕α−メトキシ−ω−メルカプトポリエチレングリコールによって表面処理した微粒子に、テトラエチルオルトシリケートを反応させて微粒子表面にシリカ層を形成し、ロッド形状の金微粒子をコアとし、シリカ層をシェルとするコア/シェル微粒子を形成する上記[9]に記載の埋包微粒子の調製方法。
〔11〕上記コア/シェル微粒子を、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤によって表面処理する上記[10]に記載の埋包微粒子の調製方法。
〔12〕シランカップリング剤が3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランである上記[11]に記載の埋包微粒子の調製方法。
〔13〕シランカップリング剤で処理されたコア/シェル微粒子に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下でN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)およびN,N'−メチレンビスアクリルアミド(BIS)の共重合体からなる感熱性ゲルを反応させて、表面に感熱性ゲル層を形成する上記[11]または上記[12]に記載の埋包微粒子の調製方法。
〔14〕感熱性ゲル層を形成した微粒子のシリカ層をフッ化水素酸で除去することによって、金微粒子が感熱性ゲルによって埋包された状態を形成する請求項8〜13の何れかに記載の埋包微粒子の調製方法。
さらに本発明は、以下[15]〜[18]に示す構成を有する埋包微粒子の用途に関する。
〔15〕上記[1]〜上記[7]の何れかに記載する埋包微粒子、または上記[8]〜上記[14]の何れかの方法によって調製された埋包微粒子が水に分散している組成物。
〔16〕上記[15]に記載する組成物を乾燥させた乾燥体。
〔17〕上記[1]〜上記[7]の何れかに記載する埋包微粒子、または上記[8]〜上記[14]の何れかの方法によって調製された埋包微粒子を用いた薬物送達システム(DDS)用薬物保持体、光アクチュエーター。
〔18〕埋包微粒子に光を照射し、該埋包微粒子を生体内の特定部位に蓄積させる上記[17]に記載する薬物送達システム(DDS)用薬物保持体。
本発明の調製方法によれば、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)を原料とする感熱性ゲル層を個々の金ナノロッド表面に形成した埋包微粒子を製造することができる。本発明の埋包微粒子は、金ナノロッドが個々に感熱性ゲルによって埋包されているので、金ナノロッドの特定波長吸収機能を十分に利用することができ、金ナノロッドが吸収した光を熱に変換し、感熱性ゲルの体積変化を促進することによって、感熱性ゲル中に保持した物質(薬物等)を効果的に放出させることができる。従って、本発明の埋包微粒子は上記機能を利用した薬物送達システム(DDS)用薬物保持体として有用である。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、濃度の%は特に示さない限り質量%である。
本発明の微粒子は、単数のロッド形状の金微粒子が、感熱性ゲルで埋包されていることを特徴とする埋包微粒子である。本発明の埋包微粒子は、ロッド形状の金微粒子を表面処理して液中に分散させ、この微粒子表面にシリカ層を形成した後に感熱性ゲルを反応させて感熱性ゲル層を形成し、次いで、上記シリカ層を溶解除去することによって、単数の金ナノロッドが個々に感熱性ゲルによって埋包された微粒子を製造することができる。
本発明に係る埋包微粒子は、具体的には、CTABの吸着した金ナノロッドをα−メトキシ−ω−メルカプトポリエチレングリコールによって表面処理し、さらにテトラエチルオルトシリケート(TEOS)アルコール溶液を添加して、金ナノロッドをコアとしてシリカをシェルとするコア/シェル微粒子を調製し、そのシリカ層表面にシランカップリング剤を吸着させた微粒子にし、この微粒子表面にドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下でNIPAM、BISを共重合反応させて微粒子表面に感熱性ゲル層を形成し、さらに、フッ化水素酸によって上記シリカ層を除去することによって製造することができる。
本発明で使用する金微粒子は、長軸の長さが400nm未満であって、アスペクト比が1より大きいロッド形状の金微粒子であり、具体的には、プラズモン吸収の最大吸収波長が波長700〜2000nmである金ナノロッドが用いられる。
〔金ナノロッドの調製〕
金ナノロッドは次式[I]で示される第四級アンモニウム塩が溶解した水溶液中で金イ
オンを還元して合成される。具体的には、n=15のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)が合成に使用され、金ナノロッドはCTABが分散剤として吸着した状態で水中に安定に分散している。
CH3(CH2)n+(CH3)3Br- (nは1〜15の整数) …[I]
本発明の処理方法において、金ナノロッド水分散液は、水中に存在する余剰の界面活性剤CTABを除去して使用する。具体的には、金ナノロッド水分散液を遠心分離して金ナノロッドを遠沈管の底に沈降させ、CTABを含む上澄みを除去する。沈降した金ナノロッドは水を添加して再分散させる。この操作を1〜3回繰り返すことで、余剰なCTABを除去することが可能である。なお、CTABを過剰に除去すると金ナノロッドが凝集して水に再分散しなくなる。
余剰のCTABを除去した金ナノロッド水分散液に、重量平均分子量1000以上、好ましくは重量平均分子量20000のα−メトキシ−ω−メルカプトポリエチレングリコール(PEG20000−SH)を添加して攪拌すると、PEG20000−SHは末端のチオール基で金ナノロッド表面に吸着し、PEG20000−SHで表面修飾された金ナノロッドが得られる。この表面処理された金ナノロッドは、アルコール(エタノールなど)に分散することができる。PEG20000−SHの重量平均分子量が1000より小さいとアルコール中の分散安定性が悪くなる。
PEG20000−SHの添加量は、分散液中で、金濃度1mMに対して、0.01〜1mMになる濃度範囲がよく、好ましくは0.1〜0.5mMの範囲が良い。PEG20000−SHの濃度が0.01mMより低いとアルコール中での分散が不安定となりアルコール中に安定分散させることができない。一方、PEG20000−SHの濃度が1mMより高いと金ナノロッドに吸着しない余剰分が発生し、コスト的に不利である。なお、PEG20000−SHによって表面修飾しない金ナノロッドを用いてエタノール分散液を調製した場合、分散剤であるCTABがエタノールに溶解するため、金ナノロッドが凝集する。
〔シリカ層の形成〕
PEG20000−SHで表面修飾した金ナノロッドの水分散液に、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を溶解したエタノールを添加し、攪拌すると、金ナノロッド表面にシリカ層が形成され、金ナノロッドをコアとし、シリカ層をシェルとするコア/シェル微粒子を得ることができる。このとき、アンモニアを触媒として0.1%程度添加するとよい。
TEOSの添加量は、金濃度1mMに対して、0.5〜50mMの濃度範囲がよく、好ましくは、1〜10mMである。TEOSの濃度が0.5mMより低いと金ナノロッド表面にシリカ被覆を十分に形成することができない。一方、TEOSの濃度が50mMより高いと金ナノロッド表面のシリカ被覆量が多くなり、粒子径が大きくなって分散安定性が低下し、沈降物を生じるので好ましくない。またコスト的にも不利である。
シリカ層のシェルを形成することにより、後のシランカップリング剤による表面処理工程におけるコア/シェル微粒子の分散安定性が維持される。また、シリカ層のシェルで被覆されることによって金ナノロッドの耐熱性が向上し、室温よりも高い温度(例えば、70℃)の溶液中にこのコア/シェル微粒子を分散した場合でも、金ナノロッドの形状変化(アスペクト比が小さくなる)を低減することが可能となる。
〔下地処理〕
上記シリカ層を形成した微粒子(金ナノロッドコア/シリカシェル微粒子)のエタノール分散液に、シランカップリング剤を添加して該微粒子の表面を処理することによって、この表面に感熱性ゲル層を形成する下地処理を行う。シランカップリング剤は一分子中に官能基と加水分解基を有しており、無機物と有機物を結合させることができる。具体的には、金ナノロッド/シリカ微粒子のエタノール分散液に、シランカップリング剤を添加し、攪拌すると、シランカップリング剤が加水分解して生じたシラノール基と金ナノロッド/シリカ層微粒子表面のシラノール基どうしが脱水縮合し、シランカップリング剤の官能基を金ナノロッド/シリカ層微粒子の表面に導入することができる。
シランカップリング剤としては、官能基に(メタ)アクリロイル基を有するものを適宜選択すればよく、具体的には、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPS)が挙げられる。MPSの添加量は、金濃度1mMに対して、1〜50mMの濃度範囲がよく、好ましくは5〜15mMの範囲が良い。MPSの濃度が1mMより低いと金ナノロッド/シリカ層微粒子を十分に表面処理することができない。一方、MPSの濃度が50mMより高いとコスト的に不利である。
〔感熱性ゲル層の形成〕
シランカップリング剤を添加して表面処理した上記微粒子の水分散液に、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)とN,N'−メチレンビスアクリルアミド(BIS)を添加し、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下で沈殿重合を行うと、上記微粒子の表面にNIPAM−BIS共重合体からなる感熱性ゲル層が形成される。この重合反応は感熱性ゲルの下限臨界共溶温度(LCST)以上の温度(70℃)で行うため、水中の感熱性ゲルは疎水性となり疎水性相互作用によって凝集が発生する可能性があるが、SDSを添加することによって、SDSが疎水性の感熱性ゲル表面に吸着して親水性を付与し、水中での凝集発生を防いでいる。
NIPAMの添加量は、水分散液中で、金濃度1mMに対して、1〜500mMの濃度範囲がよく、好ましくは、30〜160mMである。BISの添加量は、添加したNIPAM量の5〜10%程度がよい。NIPAMの濃度が1mMより低いと金ナノロッド/シリカ微粒子を十分に埋包することができない。一方、NIPAMの濃度が500mMより高いとコスト的に不利である。
SDSの添加量は、水分散液中で、金濃度1mMに対して、0.2〜20mMの濃度範囲がよく、好ましくは、0.5〜5mMである。SDSの濃度が0.2mMより低いと感熱性ゲルの凝集を十分に防ぐことができない。一方、SDSの濃度が20mMより高いとコスト的に不利である。
〔シリカ層の除去〕
上記感熱性ゲル(NIPAM−BIS共重合体)で埋包した微粒子は、この分散液にフッ化水素酸(HF)を添加し、シリカ層(シリカと下地のシランカップリング剤)をフッ化水素酸によって溶解除去することができる。例えば、感熱性ゲルで埋包した微粒子の分散液にHFを添加して適度な時間攪拌すると、HFが感熱性ゲル層からシリカ層に浸透してシリカおよびMPSが溶解除去され、PEG20000−SHなどで表面処理された金ナノロッドが感熱性ゲルによって直接に埋包された金ナノロッド/感熱性ゲル微粒子(NRs−NIPAM)になり、該微粒子が分散した液が得られる。未反応のモノマーや溶解したシリカおよびMPSは透析操作などで除去すればよい。
HFの添加量は、水分散液中で、金濃度1mMに対して、0.1〜10Mの濃度範囲がよく、好ましくは0.5〜2Mの範囲が良い。HFの濃度が0.1Mより低いと十分にシリカ層を除去することができない。一方、HFの濃度が10Mより高いとコスト的に不利である。
金ナノロッドを埋包する感熱性ゲルは、32℃付近に下限臨界共溶温度(LCST)を有している。金ナノロッドがLPR(局在表面プラズモン共鳴)で特性波長の光を吸収すると光は熱に変換され、熱が感熱性ゲルに伝達される。感熱性ゲルの温度が上昇すると、LCST付近を境に体積の収縮が起こる。これは、LCST以下では水に溶解するが、LCST以上では水にほとんど溶解しなくなる感熱性ゲルの特性のためである。この光−熱変換による体積変化の現象を利用したシステムが設計可能である。
感熱性ゲルはLCSTを境に親水性と疎水性に物性が変化する。具体的には、感熱性ゲルはLCST以下では親水性を有するので水に溶解し、一方、LCST以上では疎水性を有するので水にほとんど溶解しない。このため、感熱性ゲルで埋包された微粒子は、感熱性ゲルの物性変化により分散媒体中で分散状態や凝集状態に変化する。例えば、LCST以下の水中に分散している感熱性ゲルで埋包された金ナノロッドが光を吸収し熱に変換すると、感熱性ゲルはLCST以上となり疎水性に変化し、水中で埋包微粒子どうしが凝集する。
本発明の金ナノロッドが感熱性ゲルで埋包された微粒子は、微粒子を水中に分散させた水分散液の形態、フリーズドライで脱水・乾燥した乾燥体の形態、乾燥体に水を添加し微粒子を水中に再分散させた水分散液の形態など、用途に応じて形態を適宜選択することができる。乾燥体の形態は長期保存が可能である。
金ナノロッドを埋包する感熱性ゲルの中に、薬物、蛍光体、染料、顔料、生体マーカー、造影剤、マイクロカプセル、金属微粒子、金属酸化物微粒子などの1種以上を保持させることができる。これらの保持物質は感熱性ゲルの体積収縮を利用して放出させることができ、その機能を得ることを目的とした物質を1種以上保持させ機能性微粒子を形成することができる。
上記物質の感熱性ゲルへの取り込み方法は、フリーズドライ(冷凍乾燥法)で処理した埋包微粒子の乾燥体を、保持物質を溶解または分散した水に浸漬するとよく、感熱性ゲルが吸水する際に保持物質が感熱性ゲルの細孔内に取り込まれる。
本発明の金ナノロッドが感熱性ゲルに埋包された微粒子は、例えば、感熱性ゲルに薬物を保持させた系で、金ナノロッドのLPRで特定波長を吸収し、感温性ゲルに熱を伝達し、感熱性ゲルの体積変化を促進させて薬物を放出するシステムが設計可能であり、薬物送達システム(DDS)用薬物保持体として利用できる。また、光エネルギーを運動エネルギーに変換可能なため、光アクチュエーターとして利用できる。
さらに本発明の金ナノロッドが感熱性ゲルに埋包された微粒子は、感温性ゲルの相転移(親水性と疎水性の転移)によって分散状態や凝集状態に変化するため、光熱変換による微粒子の分散状態変化をコントロールするシステムが設計可能である。
また、上記薬物送達システム(DDS)用薬物保持体として利用した場合に、生体外からの光照射により感熱性ゲルの温度を調整し、生体内の特定の部位で埋包微粒子を凝集・蓄積させると同時に薬物を放出させることができるため、標的への薬物投与の効率を高めることが可能である。
以下、本発明を実施例によって具体的に示す。また、比較例を示す。各例において用いた金ナノロッド水分散液は次の手順で準備した。
〔金ナノロッドの調製〕
400mMのCTAB水溶液中で合成された金ナノロッド水分散液1ml(金濃度1mM、吸収波長920nm)を遠沈管に入れ、14000rpmで遠心分離して金ナノロッドを遠沈管の底に沈降させ、CTABを含む上澄み液を除去した。沈降した金ナノロッドに水を添加して再分散させ、余剰のCTABを除去した金ナノロッド水分散液1mlを得た(NRs水分散液、金濃度1mM)。
〔実施例1〕
NRs水分散液1mlに、1mMのα−メトキシ−ω−メルカプトポリエチレングリコール(PEG20000−SH)水溶液200μlを添加し、25℃で24時間攪拌し、PEG20000−SHの末端のチオール基で金ナノロッドを表面処理した。得られた水分散液中の余剰のCTABと未反応のPEG−20000−SHは透析と遠心分離操作で除去し、金ナノロッド水分散液0.1mlを得た(PEG−NRs水分散液、金濃度10mM)。図1a、図2aにそのTEM像とスペクトルを示す。
〔実施例2〕
実施例1のPEG−NRs水分散液0.1mlに、50mMのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)エタノール溶液0.1mlと、触媒として0.02mlのアンモニア水(アンモニアを5%含有)を添加し、エタノール0.78mlを加え、25℃で24時間攪拌した。PEG−NRsとして分散している金ナノロッドはこの処理によってシリカで被覆され、金ナノロッドをコアとし、シリカ層をシェルとするコア/シェル微粒子が分散したエタノール分散液1mlが得られた(NRs/シリカのエタノール分散液、金濃度1mM)。図1b、図2bにそのTEM像とスペクトルを示す。
〔実施例3〕
実施例2のNRs/シリカのエタノール分散液1mlに、100mMの3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPS)エタノール溶液0.1mlを添加し、25℃で24時間攪拌し、MPSで上記コア/シェル微粒子を表面処理した。得られた分散液中の未反応のMPSを透析と遠心分離操作で除去し、上記コア/シェル微粒子表面をMPSで修飾した表面処理微粒子が分散した水分散液1mlを得た(金ナノロッド/シリカ/MPSの水分散液、金含有量1mM)。図1c、図2cにそのTEM像とスペクトルを示す。
〔実施例4〕
実施例3の金ナノロッド/シリカ層/MPS微粒子の水分散液1mlに、20mMのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液0.1mlを添加後、100mMのN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)水溶液1mlと、50mMのN,N'−メチレンビスアクリルアミド(BIS)水溶液0.1mlを添加し、よく混合した。この溶液に、開始剤として10mMの過硫酸カリウム水溶液0.1mlを添加し、70℃で4時間攪拌すると、NIPAMの重合体がBISで架橋された共重合体(NIPAM−BIS共重合体:感熱性ゲル)が微粒子表面層を形成し、この感熱性ゲル層を有する微粒子の水分散液2.3mlが得られた(感熱性ゲル層を有する微粒子の水分散液、金含有量1mM)。図1d、図2dにそのTEM像とスペクトルを示す。
〔実施例5〕
実施例4の感熱性ゲル層を有する微粒子の水分散液2.3mlに、1Mのフッ化水素酸(HF)を添加し、25℃で24時間攪拌すると、金ナノロッドがNIPAM−BIS共重合体(感熱性ゲル)で埋包された微粒子が分散した水分散液が得られた。この分散液について透析操作で未反応モノマーや溶解したシリカ、MPSを除去し、金ナノロッドが感熱性ゲル(NIPAM−BIS共重合体)で埋包された微粒子(NIPAM−NRs)が分散した水分散液1mlを得た(金含有量1mM)。この水分散液は850nmに吸収ピークがあり、処理前の吸収ピーク920nmとほぼ一致しており、感熱性ゲルで埋包する処理工程で金ナノロッドの凝集が起こらなかったことが確認された。図1e、図2eにそのTEM像とスペクトルを示す。
〔実施例6〕
実施例5で得られたNIPAM−NRs水分散液をフリーズドライ(冷凍乾燥法)で処理して乾燥体を得た。この乾燥体は水に浸漬すると感熱性ゲルが吸水し、NIPAM−NRsは水に再分散させることが可能であった。図1f、図2fにそのTEM像とスペクトルを示す。
〔実施例7〕
実施例5で得られたNIPAM−NRs水分散液1mlをプラスチック製セルに入れ、近赤外線レーザー(CW、半導体レーザー、807nm)を照射した(0.5W、0.8W、1.0W)。各タイムコースにおいて、粒径分布を測定した結果、照射後直後から、いずれのレーザー強度においても、粒径の減少が認められ、その減少度はレーザー強度に依存していた(図3)。また、レーザーを5分おきにオン・オフさせて、粒径を測定した結果、レーザー照射されると粒子が小さくなり、レーザーを切ると再び元の大きさに戻った。そして、この変化は繰り返し観察され、可逆的であった(図4)。
〔実施例8〕
実施例6で得られた乾燥体を30℃で90日間保存した。保存後、水に浸漬すると感熱性樹脂が吸水し、NIPAM−NRsは水に再分散させることが可能であった。
〔実施例9〕
実施例6で得られた乾燥体を、ローダミンでラベル化されたデキストラン(RD)を含む水に浸漬すると、感熱性ゲルは水とRDを吸収し、RDを感熱性ゲル中に保持したNIPAM−NRs(RD−NIPAM−NRs)が分散した水分散液が得られた。この水分散液をガラス板上にドロップし、水を蒸発させ、ガラス板上にRD−NIPAM−NRsが付着した試験片を作製した。このガラス上のRD−NIPAM−NRsでは蛍光が観察され、RDが感熱性ゲル中に保持されていることが確認された。このガラス板をプラスチック製セル中の水に浸漬し、近赤外線レーザー(CW、半導体レーザー、807nm)を照射すると、RD−NIPAM−NRsからRDの蛍光が放出される様子が観察された。これは、近赤外線が金ナノロッドによって熱変換され、感熱性ゲルの温度が上昇したため、LCST付近を境にゲルの体積収縮が起こり、RDが感熱性ゲルから放出されたためである。
〔実施例10〕
実施例5で得られたNIPAM−NRsの水分散液300μLをマウス(検体)に静脈注射により投与し、NIPAM−NRsをマウス全身に循環させた。投与後、直ちに近赤外光レーザー(CW、半導体レーザー、807nm)をマウスの右腎臓に10分間照射した(0.8W、照射スポット直径5.5mm)。照射終了後、マウスを解剖し、血液と各器官(左腎臓、右腎臓、肝臓、肺、脾臓)を摘出し、王水で完全溶解した。得られた各溶液は蒸発乾固後、水で溶解して、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)により各部位毎(血液、左腎臓、右腎臓、肝臓、肺、脾臓)の金濃度を定量した。この結果を図5(A)〜(F)に示した。
図5(A)は血液、図5(B)は左腎臓、図5(C)は右腎臓、図5(D)は肝臓、図5(E)は肺、図5(F)は脾臓に蓄積された金濃度を表すグラフである。図中(イ)はNIPAM-NRsをマウスに投与後、レーザーを照射しなかった場合の金の蓄積量、図中(ロ)はNIPAM-NRsをマウスに投与後、レーザーを照射した場合の金の蓄積量、図中(ハ)はNIPAM-NRsをマウスに投与前に、レーザーを照射した場合の金の蓄積量、図中(ニ)はNIPAM-NRsの代わりにPEG-NRsをマウスに投与後、レーザーを照射した場合の金の蓄積量である。
図5(C)の(ロ)に示すように、レーザー照射された右腎臓において金の蓄積が確認され、図5(B)の(ロ)に示すように、レーザー照射していない左腎臓には金の蓄積は確認されなかった。これは、右腎臓に存在する金ナノロッドが光を吸収し熱へ変換し、感熱性ゲルの温度が上昇して親水性から疎水性へと変化し、血液中でNIPAM−NRsの凝集が起こり、右腎臓にてNIPAM−NRsが蓄積したためである。
図5(E)の(ロ)に示すように、肺にも金の蓄積が確認されるが、これは右腎臓にて凝集したNIPAM−NRsが右腎臓を通過して血液中を循環し、肺の毛細血管にて蓄積したものである。右腎臓と肺へNIPAM−NRsが蓄積したため、血液中のNIPAM−NRsは減少していることが確認された。
〔参考例1〕
実施例10において、NIPAM−NRsを投与後、レーザーを照射せず、マウスの血液と各器官を摘出して金の蓄積量を確認した(図5(イ)のバー)。この結果、血液以外の部位に顕著な金の蓄積は確認されず、実施例10の右腎臓への金の蓄積はレーザー照射によってNIPAM−NRsが凝集したためであることが確認された。
〔参考例2〕
実施例10において、NIPAM−NRsを投与する前にレーザーを右腎臓に10分間照射し、レーザー照射後に実施例5で得られたNIPAM−NRsの水分散液300μLを投与したマウスの血液と各器官を摘出して金の蓄積量を確認した(図5(ハ)のバー)。この結果、血液以外の部位に顕著な金の蓄積は確認されず、実施例10の右腎臓への金の蓄積はレーザー照射によってNIPAM−NRsが凝集したためであることが確認された。
〔比較例1〕
実施例1で得られたPEG−NRs水分散液に水を0.9ml添加して金濃度を1mMに調整したPEG−NRs水分散1mlに、100mMのN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)水溶液1mlと、50mMのN,N'−メチレンビスアクリルアミド(BIS)水溶液0.1mlを添加し、よく混合した。この溶液に、開始剤として10mMの過硫酸カリウム水溶液0.1mlを添加し、70℃で4時間攪した結果、NIPAMの重合体がBISで架橋された共重合体中に、複数の金ナノロッドを含有するヒドロゲルが分散した水分散液が得られ、単数の金ナノロッドが感熱性ゲルに埋包された微粒子は確認されなかった。
〔比較例2〕
実施例10において、NIPAM−NRsの代わりに実施例1で得られたPEG−NRs水分散液に水を0.9ml添加して金濃度を1mMに調整したPEG−NRs水分散300μLを投与したマウスの血液と各器官を摘出して金の蓄積量を確認した(図5(ニ)のバー)。この結果、血液以外の部位に顕著な金の蓄積は確認されず、実施例10の右腎臓への金の蓄積は、金ナノロッドが光を吸収し熱へ変換し、感熱性ゲルの温度が上昇して親水性から疎水性へと変化し、血液中でNIPAM−NRsの凝集が起こり、NIPAM−NRsが凝集したためであることが確認された。
作成した金ナノロッドの透過型電子顕微鏡(TEM)写真。 金ナノロッド水分散液の吸収スペクトル図。 実施例5で得られたNIPAM−NRsにレーザー照射した際の粒径変化を示すグラフ。 レーザーのオン・オフに伴うNIPAM−NRsの粒径変化を示すグラフ。 静脈注射後の金ナノロッドの体内分布を示すグラフ。
符号の説明
a:実施例1の金ナノロッド(PEG−NRs)
b:実施例2の金ナノロッド(NRs/シリカ)
c:実施例3の金ナノロッド(金ナノロッド/シリカ/MPS)
d:実施例4の金ナノロッド(感熱性ゲル層を有する微粒子)
e:実施例5の金ナノロッド(NIPAM−NRs)
f:実施例6の金ナノロッド(凍結乾燥後、水に再膨潤させたNIPAM−NRs)。

Claims (18)

  1. 単数のロッド形状の金微粒子が個々に感熱性ゲルで埋包されていることを特徴とする埋包微粒子。
  2. ロッド形状の金微粒子の長軸長さが400nm未満であって、アスペクト比が1より大きい請求項1に記載する埋包微粒子。
  3. プラズモン吸収の最大吸収波長が波長700〜2000nmである請求項2に記載する埋包微粒子。
  4. 金微粒子が吸収した光の熱変換によって感熱性ゲルが熱収縮する請求項1〜3に記載する埋包微粒子。
  5. 感熱性ゲルが、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)とN,N'−メチレンビスアクリルアミド(BIS)の共重合体であることを特徴とする請求項1〜4に記載する埋包微粒子。
  6. 1種以上の薬物、核酸、蛍光体、染料、顔料、生体マーカー、造影剤、マイクロカプセル、金属微粒子、金属酸化物微粒子が感熱性ゲルの中に保持される請求項1〜5に記載する埋包微粒子。
  7. 感熱性ゲルに保持されている物質が該感熱性ゲルの体積変化によって感熱性ゲルから放出される請求項6に記載する埋包微粒子。
  8. ロッド形状の金微粒子を表面処理して液中に分散させ、この微粒子表面にシリカ層を形成した後に感熱性ゲルを反応させて感熱性ゲル層を形成し、次いで、上記シリカ層を溶解除去することによって、単数の金ナノロッドが個々に感熱性ゲルによって埋包された微粒子を形成する請求項1〜5の埋包微粒子の調製方法。
  9. 次式[I]で示される4級アンモニウム塩が吸着したロッド形状の金微粒子に、重量平均分子量1000以上のα−メトキシ−ω−メルカプトポリエチレングリコールを表面修飾する請求項8に記載の埋包微粒子の調製方法。
    CH3(CH2)n+(CH3)3Br- (nは1〜15の整数) …[I]
  10. α−メトキシ−ω−メルカプトポリエチレングリコールによって表面処理した微粒子に、テトラエチルオルトシリケートを反応させて微粒子表面にシリカ層を形成し、ロッド形状の金微粒子をコアとし、シリカ層をシェルとするコア/シェル微粒子を形成する請求項9に記載の埋包微粒子の調製方法。
  11. 上記コア/シェル微粒子を、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤によって表面処理する請求項10に記載の埋包微粒子の調製方法。
  12. シランカップリング剤が3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランである請求項11に記載の埋包微粒子の調製方法。
  13. シランカップリング剤で処理されたコア/シェル微粒子に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下でN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)およびN,N'−メチレンビスアクリルアミド(BIS)の共重合体からなる感熱性ゲルを反応させて、表面に感熱性ゲル層を形成する請求項11または12に記載の埋包微粒子の調製方法。
  14. 感熱性ゲル層を形成した微粒子のシリカ層をフッ化水素酸で除去することによって、金微粒子が感熱性ゲルによって埋包された状態を形成する請求項8〜13の何れかに記載の埋包微粒子の調製方法。
  15. 請求項1〜7の何れかに記載する埋包微粒子、または請求項8〜14の何れかの方法によって調製された埋包微粒子が水に分散している組成物。
  16. 請求項15に記載する組成物を乾燥させた乾燥体。
  17. 請求項1〜7の何れかに記載する埋包微粒子、または請求項8〜14の何れかの方法によって調製された埋包微粒子を用いた薬物送達システム(DDS)用薬物保持体、または光アクチュエーター。
  18. 埋包微粒子に光を照射し、該埋包微粒子を生体内の特定部位に蓄積させる請求項17に記載する薬物送達システム(DDS)用薬物保持体。
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