JP2015219318A - 赤外線遮蔽材料、コーティング組成物及び赤外線遮蔽フィルム - Google Patents

赤外線遮蔽材料、コーティング組成物及び赤外線遮蔽フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】環境負荷を軽減し、コーティング組成物または成形材料への分散性が良好である赤外線遮蔽材料、並びにこれを用いたコーティング組成物及び赤外線遮蔽フィルムを提供する。【解決手段】平板状金属微粒子と少なくとも1つ以上の微細化セルロースとが複合化された複合体を含み、平板状金属微粒子は、少なくとも1種類以上の金属又はそれらの化合物であり、微細化セルロースは、全部が前記平板状金属微粒子の内部に取り込まれ、あるいは、一部が前記平板状金属微粒子の内部に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子の表面に露出し、700nm以上2500nm以下の波長領域に吸収極大を有する、赤外線遮蔽材料である。【選択図】なし

Description

本発明は、赤外線遮蔽材料並びにこれを用いたコーティング組成物及び赤外線遮熱フィルムに関する。
近年、省エネルギーへの関心は高まっており、様々な分野で注目を浴びている。特に日本の住宅やビルにおいては、冷暖房によるエネルギー消費量が高い。冷暖房によるエネルギー消費量を抑える方法として、赤外線遮蔽フィルムが知られている。
太陽光は、紫外線領域、可視光線領域、赤外線領域の3つに分類できるが、このうち赤外線領域は熱線とも呼ばれ、あらゆる物質に吸収されやすい波長領域で、吸収された光は熱へと変わる。そのため、赤外線遮蔽フィルムを窓に施工することで直射日光のうち赤外線を選択的に遮蔽し、室内の温度上昇を抑制することができる。このことにより、冷暖房費の削減に繋がり、省エネルギー効果が得られる。
例えば、特許文献1は、少なくともアルカリ土類金属元素と、チタン、ジルコニウム及びニオブから選ばれる少なくとも一種類の元素を含み、必要に応じてマンガン及び/又は鉄の元素、アルミニウム、ガリウム等の周期表IIIa族の元素、亜鉛元素等を含むペロブスカイト型複合酸化物の赤外線反射材料を開示している。しかし、特許文献1では、赤外線反射材料を塗液にする場合に、分散性を向上させるのが難しい。
例えば、特許文献2は、互いに屈折率の異なる高屈折材料と低屈折材料とをそれぞれ含む、高屈折層と低屈折層とを積層してなるユニットを少なくとも1つ有する赤外線遮蔽フィルムを開示している。特許文献2では、赤外線遮蔽のために複数の層を積層する必要とし、生産性が良好でない。
例えば、特許文献3は、スパッタリング法により、基材上に形成された貴金属によりなる熱線反射層と、該熱線反射層上に形成されたアルミニウムを主体とする金属又はアルミニウムと珪素を主体とする金属の酸窒化物よりなる被覆層とを有する可視光線透過性を有する熱線反射板を開示している。特許文献3は、スパッタリング法にて熱線反射板を製造しており、生産性に課題が残り、コストが高い。
例えば、特許文献4は、酸化第二銅からなる芯粒子の表面を表面処理剤で被覆した黒色系顔料であって、被覆層は耐酸性を有することを特徴とする赤外線反射性黒色系顔料を開示している。特許文献4は、黒色系顔料であり、建物や車の窓のような透明性が必要な場合に適していない。
一方、近年、化石資源の枯渇問題の解決を目指して、持続的に利用可能な環境調和型材料である天然高分子を用いた機能性材料の開発が盛んに行われている。しかし、特許文献1から4は、環境調和型材料を用いたものではない。
生分解性を有する環境に優しい天然高分子材料としては、セルロース等の植物材料が知られている。植物や木材の主成分であるセルロースは、地球上に最も大量に蓄積された天然高分子材料である。木材中では、数十本以上のセルロース分子が束になって高結晶性でナノメートルオーダーの繊維径をもつ微細繊維(ミクロフィブリル)を形成しており、さらに多数の微細繊維が互いに水素結合してセルロース繊維を形成し、植物の支持体となっている。
このセルロース繊維を、繊維径がナノメートルオーダーになるまで微細化(ナノファイバー化)して利用する方法が知られる。N−オキシル化合物を酸化触媒として、セルロースの水酸基の一部がカルボキシ基およびアルデヒド基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基に酸化された、最大繊維径1000nm以下かつ数平均繊維径が2から150nmである、セルロースI型結晶構造を有する微細化セルロースが知られる(特許文献5)。微細セルロースを用いた例として、例えば、酸素等のガスバリア性を有する包装材料として、基材上に、少なくとも微細化セルロース、無機層状化合物および水溶性高分子を含む包装材料も知られている(特許文献6)。
国際公開第2009/142254号 国際公開第2013/077274号 特開平1−206035号公報 国際公開第2010/073633号 特開2008−1728号公報 特開2012−149114号公報
本発明の課題は、環境負荷を軽減し、コーティング組成物または成形材料への分散性が良好である赤外線遮蔽材料並びにこれを用いたコーティング組成物及び赤外線遮蔽フィルムを提供することである。
上記課題を解決するための本発明の一局面は、平板状金属微粒子と少なくとも1つ以上の微細化セルロースとが複合化された複合体を含み、平板状金属微粒子は、少なくとも1種類以上の金属又はそれらの化合物であり、微細化セルロースのそれぞれは、全部が平板状金属微粒子の内部に取り込まれ、あるいは、一部が平板状金属微粒子の内部に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子の表面に露出し、700nm以上2500nm以下の波長領域に吸収極大を有する、赤外線遮蔽材料である。
また、平板状金属微粒子と微細化セルロースとが不可分であってもよい。
また、平板状金属微粒子が、銀であってもよい。
また、微細化セルロースの短軸の数平均軸径は、1nm以上200nm以下であり、微細化セルロースの長軸の数平均軸径が0.05μm以上50μm以下であってもよい。
また、微細化セルロースのカルボキシ基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下であってもよい。
また、金属微粒子の厚みが、1nm以上100nm以下であってもよい。
また、本発明の他の局面は、上述の赤外線遮蔽材料を含む、コーティング組成物である。
また、コーティング組成物は、少なくとも1種類以上の水溶性高分子(a)をさらに含み、水溶性高分子(a)は、85℃において、メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロピルアルコールのいずれかを50質量%含むアルコール水溶液、および水のうち少なくとも1種を含む溶媒100質量部に対して1質量部以上溶解する、分子量1000以上の化合物であってもよい。
また、本発明の他の局面は、基材と、基材の少なくとも一方の面に形成されたコーティング層とを含み、コーティング層は上述のコーティング組成物を含む、赤外線遮蔽フィルムである。
また、少なくとも1種類以上の成形材料(b)と、上述の赤外線遮蔽材料とを含んでもよい。
また、基材が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、アクリルセルロースのいずれかであってもよい。
また、成形材料(b)は、ポリスチレン、ABS樹脂(A;アクリロニトリル、B;ブタジエン、S;スチレン)、AS樹脂、ポリエチレン、EVA樹脂、ポリプロピレン、メタクリル樹脂、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、塩化ビニル樹脂のいずれかであってもよい。
また、900nm以上1000nm以下の波長領域で光の透過率が70%以下であってもよい。
また、コーティング層に積層されたハードコート層と、基材のコーティング層が形成されている面と反対側の面に形成された粘着剤層とをさらに含んでもよい。あるいは、成形材料および赤外線遮蔽材料は複合層を構成し、複合層の一方の面に積層されたハードコート層と、複合層の他方の面に形成された粘着剤層とをさらに含んでもよい。
本発明により、環境負荷を軽減し、コーティング組成物または樹脂への分散性が良好である赤外線遮蔽材料並びにこれを用いたコーティング組成物及び赤外線遮蔽フィルムを提供することが出来る。
本発明に係る赤外線遮蔽フィルムの一実施形態の断面図である。 本発明に係る赤外線遮蔽フィルムの一実施形態の断面図である。 本発明を適用した一実施形態である複合体の構成を模式的に示す図である。 本発明の赤外線遮蔽材料を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察結果を示しており、(a)はSEM画像であり、(B)は、(A)の模式図である。 本発明の赤外線遮蔽材料を走査透過型電子顕微鏡(STEM)により拡大して観察した結果を示しており、(A)はSTEM画像であり、(B)は、(A)の模式図である。 本発明の赤外線遮蔽材料を走査型電子顕微鏡(SEM)により拡大して観察した結果を示しており、(A)はSEM画像であり、(B)は、(A)の模式図である。 本発明の赤外線遮蔽材料を、透過型電子顕微鏡(TEM)によって断面方向から観察した結果を示す図(TEM画像)である。 本発明を適用した一実施形態である複合体の製造方法の、工程の一部を説明するための模式図である。
ここに開示する技術は、天然高分子と金属微粒子とを含有する赤外線遮蔽材料とこの赤外線遮蔽材料を用いたコーティング組成物及び赤外線遮蔽遮熱フィルムに関する。
近年、環境問題が注目される中、環境調和型材料の利用が求められている。また、環境負荷の観点から、低エネルギーで赤外線遮蔽材料及び赤外線遮蔽フィルムを製造することが課題である。赤外線遮蔽材料は、コーティング組成物として用いる場合や成形材料との複合化を行う際に、分散性が良好であることが望まれている。赤外線遮蔽フィルムは、建物や車の窓等に用いられることが多く、透明性が求められ、その使用方法から長期間の耐久性が重要である。
本開示は、環境負荷を軽減し、コーティング組成物または成形材料への分散性が良好で、耐久性の高い赤外線遮蔽材料及び赤外線遮蔽フィルムを提供する。
即ち、平板状金属微粒子と少なくとも一つ以上の微細化セルロースとが複合化され、平板状金属微粒子は、少なくとも1種類以上の金属又はそれらの化合物であり、微細化セルロースのそれぞれは、少なくとも一部又は全部が前記平板状金属微粒子の内部に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子の表面に露出し、700nm以上2500nm以下の波長領域に吸収極大を有する、赤外線遮蔽材料である。
本開示によれば、環境負荷の低い天然高分子を用い、低エネルギーで製造でき、分散性、耐熱性、耐光性に優れた赤外線遮蔽材料を提供する。更に、塗工性に優れ、コーティング物を形成するためのコーティング組成物を提供する。また、複数の層を積層せずに赤外線を遮蔽することが可能であり、赤外線遮蔽フィルムを低コストで生産性よく製造できる。
図1と図2は、本開示に係る赤外線遮蔽フィルムの一実施形態の断面図である。図1に示す赤外線遮蔽フィルム1は、基材11の一方の面に赤外線遮蔽材料を含有するコーティング層12を設け、更にコーティング層12の基材11との反対面にハードコート層13を設ける。基材11のコーティング層12と反対の面には粘着層14を設ける。
図2に示す赤外線遮蔽フィルム2は、赤外線遮蔽材料と成形材料との複合層21の一方の面にハードコート層22を設け、赤外線遮蔽材料と成形樹脂との複合化組成物21のハードコート層22との反対面に粘着層23を設ける。
(赤外線遮蔽材料)
本開示に係る赤外線遮蔽材料は、天然高分子と金属微粒子とを含有し、且つ天然高分子と金属微粒子とが物理的に不可分であり、700nm以上の波長領域の光を遮蔽する特性を有する。詳細には、800nmから1000nmの波長領域の光の透過率が70%以下であることが好ましい。天然高分子を用いるため、環境負荷が低く、煩雑な工程を含むことなく製造できる。また、金属微粒子と天然高分子とを含有する赤外線遮蔽材料は、分散性や耐熱性、耐光性に優れる。
図1及び図2に示すように、この赤外線遮蔽材料と成形材料の複合組成物21や赤外線遮蔽材料を含有するコーティング層12は、赤外線遮蔽機能を有する赤外線遮蔽フィルム1、2に用いることができる。さらに、本開示に係る赤外線遮蔽材料は、溶媒への分散性に優れて、この赤外線遮蔽材料を含むコーティング組成物は、塗工性にも優れる。本開示において、遮蔽とは吸収または反射により光の透過率が低下することである。
図3は、本発明を適用した一実施形態である赤外線遮蔽材料の構成を模式的に示す図である。図3に示すように、本実施形態の赤外線遮蔽材料3は、平板状金属微粒子31と、少なくとも一つ以上の微細化されたセルロース32とが複合化された、平板状金属微粒子31と微細化セルロース32との複合体であり、平板状金属微粒子31は、少なくとも1種類以上の金属又はそれらの化合物であり、それぞれの微細化セルロース32について全部が平板状金属微粒子31の内部に取り込まれているか、少なくとも一部(一部分)が板状金属微粒子31の内部に取り込まれ、残部が金属微粒子31の表面に露出するように複合化されたものである。
図4は、本発明お赤外線遮蔽材料を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果を示しており、(B)は(A)の模式図である。図5は本発明の赤外線遮蔽材料を走査透過型電子顕微鏡(STEM)により拡大して観察した結果を示しており、(A)はSTEM画像であり、(B)は、(A)の模式図である。図6は、本発明の赤外線遮蔽材料を走査型電子顕微鏡(SEM)により拡大して観察した結果を示しており、(A)はSEM画像であり、(B)は、(A)の模式図である。
図4、図5、図6に示すように、それぞれの微細化セルロース32は、金属微粒子31の内部に取り込まれている部分32aと、金属微粒子31の表面に露出している部分32bとから構成されている。
そして、この取り込まれている部分32aの存在により、金属微粒子31とそれぞれの微細化セルロース32とが不可分の状態となっている。即ち、金属微粒子31と微細化セルロース32とは、微細化セルロース32の少なくとも一部分(すなわち、部分32a)が平板状金属微粒子31の内部に取り込まれることにより、少なくとも一部同士が物理的に結合することにより、不可分の状態にあることが好ましい。
ここで、本実施形態の赤外線遮蔽材料3について、微細化セルロース32の少なくとも一部分(すなわち、部分32a)が金属微粒子31の内部に取り込まれる、とは、後述する製造方法においても説明するが、金属微粒子31の成長段階において、金属微粒子ユニットの粒界に沿って、微細化セルロースが挟み込まれている状態と同義である。
また、本実施形態の赤外線遮蔽材料3において、金属微粒子31と微細化セルロース32の両者が「不可分」の状態とは、例えば、遠心分離機等の物理的方法によって、金属微粒子31と微細化セルロース32とに分離することが不可能であることをいう。金属微粒子31と微細化セルロース32が不可分であることにより、分散安定性が高くなる。
なお、赤外線遮蔽材料3は、構成する全ての微細化セルロース32について、全部分(全体)が金属微粒子31の内部に取り込まれており、金属微粒子31の表面に露出している部分が存在しない構成についても、取り込まれている部分32aの存在を確認できる限り本発明の範囲に含まれる。
複合体の観察は以下の方法で行うことができる。複合体を高速冷却遠心機等により精製し、シリコンウェハ板上にキャストし、白金蒸着処理を施した後、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、S−4800)を用いて垂直方向から観察することで、図4、図6のように平板状金属微粒子31と表面に露出した微細化セルロース32bを観察することができる。また、図5のように走査透過型電子顕微鏡にて観察することで、平板状金属微粒子31の内部に取り込まれた微細化セルロース32aを確認することができる。また、複合体をシリコンウェハ板上キャストし、非蒸着のまま走査型電子顕微鏡観察を行った後、エネルギー分散型X線分析による元素マッピングを行い、金属と微細化セルロースによる炭素の検出により複合化を確認できる。
また、前記赤外線遮蔽材料の製造方法は特に限定されないが、微細化されたセルロースの存在下で前駆体金属イオンを還元することで製造できる。前駆体金属イオンが還元されて金属原子が生成し、核発生、成長を経て金属微粒子が生成する過程で金属微粒子と微細化セルロースが相互作用し、金属微粒子の形態や凝集に影響を及ぼしながら金属微粒子と微細化セルロースとが複合化すると考えられる。このような過程で生成した複合体は、前記微細化セルロースのそれぞれは、少なくとも一部又は全部が前記金属微粒子の内部に取り込まれるとともに、残部が当該金属微粒子の表面に露出する。本発明の赤外線遮蔽材料は、分散安定性の面から、前記金属微粒子と前記微細化セルロースとが不可分であることが好ましい。
本開示に係る赤外線遮蔽材料は、700nm以上2500nm以下の波長領域に吸収極大を有する。本発明の赤外線遮蔽組成物または赤外線遮蔽フィルムは、赤外線遮蔽材料により赤外線が吸収、または再放射により反射されることにより、赤外線が透過するのを防ぐ、すなわち赤外線を遮蔽できる。
吸収極大は、赤外線遮蔽材料を含有する分散液を、分光光度計を用いて、透過率または吸光度を測定することで、評価できる。光路長1cmのセルを用いて、分散媒をリファレンスとして220nmから2500nm波長領域を測定する。透過率を測定する場合、900nmから1000nmの波長領域の光の透過率が70%以下であることが好ましい。微細化されたセルロースを用いるため、環境負荷が低く、煩雑な工程を含むことなく製造できる。また、本発明に係る赤外線遮蔽材料は、分散性や耐熱性、耐光性に優れた赤外線遮蔽材料である。
金属表面の自由電子は、光等の外部電場により集団的に振動を起こすことがある(表面プラズモン)。電子は電荷を持った粒子であるため、電子が振動を起こすと周囲に電場を発生する。金属微粒子では、自由電子の振動を起こすことにより生じる電場と外部電場が(光等)共鳴する現象が起きる(表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance;SPR))。この表面プラズモン共鳴により、特定の波長域の光の吸収が起こる。この光吸収波長域は、粒子の大きさや形状により変化する。
金属微粒子は、そのアスペクト比により共鳴波長が変化するため、金属微粒子と天然高分子が複合体を形成する際に異方性を有することにより、共鳴波長が変化すると考えられる。本発明による赤外線遮蔽材料における、金属微粒子の形状は、700nm以上の波長領域の光を遮蔽するためには、平板状またはロッド状といった、異方性を有することが好ましい。特に、形状制御の容易さから、平板状の複合体であることが好ましい。本発明による赤外線遮蔽材料の形状観察は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査透過型電子顕微鏡にて行う。本開示に係る赤外線遮蔽材料は、微細化セルロースと金属微粒子とを含有し、微細化セルロースと金属微粒子とが物理的に不可分であればよく、必要に応じて他の成分を含んでも構わない。
なお、本実施形態において「平板状」とは、板状の粒子であり、表面33または裏面34の面積を円に相当した粒子径dとすると、粒子径dを粒子厚みhで割った平均アスペクト比(d/h)が2.0以上である粒子を意味する。尚、表面33、裏面34の形状は特に限定されないが、主に通常六角形や三角形等の多角形である。また、表面33、裏面34は特に限定されず、表面33と裏面34は逆となってもよく、どちらの面積が大きくてもよい。
赤外線を遮蔽するためには、平板状金属微粒子31の粒子径は、20nm以上500nm以下が好ましく、20以上400nm以下がより好ましい。
平板状金属微粒子31の粒子厚みは、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がより好ましい。
平均アスペクト比(d/h)は、2.0以上が好ましく、2.0以上100以下がより好ましく、2.0以上50以下が更に好ましい。
本開示に係る赤外線遮蔽材料の形状、サイズの評価は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査透過型電子顕微鏡にて行うことができる。
赤外線遮蔽材料が平板状である場合、金属微粒子の粒子径及び厚みの測定方法、ならびにアスペクト比の算出方法としては、具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)粒子径の測定法
赤外線遮蔽材料を含む分散液をTEM観察用支持膜付き銅グリッド上にキャストして風乾したのち、透過型電子顕微鏡観察を行う。得られた画像中の金属微粒子を、円で近似した際の径を平面方向の粒子径として算出する。
(2)厚みの測定法
図7は、厚みを測定する目的で、平板状の赤外線遮蔽材料の断面観察を行った結果である。厚みの測定は以下の方法で行った。赤外線遮蔽材料を含む分散液をPETフィルム上にキャストして風乾し包埋樹脂で固定したものをミクロトームで断面方向に切削し、透過型電子顕微鏡観察を行う。得られた画像中の平板状銀微粒子の厚みを平面方向の粒子径として算出する。
(3)アスペクト比の算出方法
上述のようにして求めた粒子径をdとし、粒子厚みをhとした際に、粒子径dを粒子厚みhで割った値を、アスペクト比=d/hとして算出する。
なお、上述した測定方法および算出方法は一例であり、特にこれらに限定されるものではない。
(天然高分子)
本開示に係る赤外線遮蔽材料に用いる天然高分子は、動物、植物、微生物が生産する高分子である。天然高分子は、一般に、多糖やポリペプチドが知られる。多糖としては、例えば、デンプン、セルロース、キチン・キトサン、セルロース、デキストラン、プルラン、カードラン、アルギン酸、ヒアルロン酸が挙げられる。ポリペプチドとしては、例えば、グルテン、ゼイン、コラーゲン、ゼラチン、フィブロイン、セリシン、ケラチン等が挙げられる。
中でも、以下に示す方法により微細化した微細化セルロースを用いることが好ましい。微細化セルロースを用いることにより、低エネルギーで効率よく天然高分子と金属微粒子とを含有する赤外線遮蔽材料を製造することができ、溶媒への分散性が特に良好となる。
本開示に係る赤外線遮蔽材料に用いる微細化セルロースは、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーであればよく、その調製方法については特に限定されない。通常、微細化セルロースは、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状を取るため、本実施形態の製造方法に用いる微細化セルロースとしては、以下に示す範囲にある繊維形状の物が好ましい。すなわち、微細化セルロースは、繊維の微細化セルロースであることが好ましい。
(微細化セルロースとその製造方法)
本開示に係る赤外線遮蔽材料に用いる微細化セルロースは、特に限定されるものではないが、その軸径が以下に示す範囲内であることが好ましい。また、その調製方法については特に限定されない。すなわち短軸径において数平均短軸径が1nm以上200nm以下であれば好ましく、より好ましくは1nm以上50nm以下である。数平均短軸径が1nm未満では高結晶性の剛直な微細化セルロース構造をとることが出来ない。一方、100nmを超えると、粘度が高くなり、作業性が悪く、赤外線遮蔽材料を製造しにくくなる。また、長軸径においては、数平均長軸径は0.05μm以上50μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以上10μm以下である。長軸径の数平均長軸径がこの範囲であると、赤外線遮蔽材料を製造しやすい。数平均軸径が0.05μmより小さいと赤外線遮蔽材料を製造しにくい。また、50μmを超えると粘度が高く、作業性が悪くなる。
微細化セルロースの数平均短軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、微細化セルロースの数平均長軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
微細化セルロースの原料として用いることが出来る植物セルロースの種類も特に限定されず、例えば木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフを用いることができる。また、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロース、さらにはレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースを用いることもできる。
セルロース繊維の微細化処理法もとくに限定されないが、例えばグラインダーによる機械処理の他、TEMPOなどのN−オキシル化合物を用いた酸化処理、希酸加水分解処理、酵素処理などを機械処理と併用して微細化する方法が知られている。また、バクテリアセルロースも微細化セルロースとして用いることが出来る。さらには各種天然セルロースを各種セルロース溶剤に溶解させたのち、電解紡糸することによって得られる微細再生セルロース繊維を用いても良い。特に特許文献5の方法に示されるように、TEMPOをはじめとするN−オキシル化合物を用いた酸化反応では、結晶表面のセルロース分子鎖が持つグルコピラノース単位の第6位の−CHOHが高い選択性で酸化され、アルデヒド基を経てカルボキシ基に変換される。このように結晶表面に導入されたカルボキシ基を有する微細化セルロース間には静電的な反発力が働くため、水性媒体中でミクロフィブリル単位にまで分散したセルロースシングルナノファイバー(CSNF)を得ることができる。N−オキシル化合物を用いた酸化反応については後で詳しく説明する。この微細化セルロースを用いれば十分に金属微粒子の形状を制御できる。
微細化セルロース中のカルボキシ基の含有量は、微細化セルロース1g当たり0.1mmol以上3.0mmol以下の範囲内であることが好ましく、0.5mmol以上3.0mmol以下であることがより好ましい。カルボキシ基量が0.1mmol/g以上であると、分散安定性が良好である。3.0mmol/g以下であると、微細化セルロースの結晶構造が充分に保持され、赤外線遮蔽材料を製造しやすい。
以下、木材系天然セルロースから、N−オキシル化合物を用いた酸化反応により導入されたカルボキシ基を有する微細化セルロースの分散液を調製する方法の一例を説明する。この例の調製方法は、木材系天然セルロースを、N−オキシル化合物を用いて酸化して酸化セルロースを得る工程(酸化工程)と、該酸化セルロースを水性媒体中で微細化して微細化セルロース分散液を調製する工程(微細化工程)とを含む。
(酸化工程)
微細化セルロースの原料としては、特に限定されず、木材セルロースを用いる場合には、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプなど、一般的に用いられるものを用いることができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。N−オキシル化合物としては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、等が挙げられる。その中でも、TEMPOが好ましい。N−オキシル化合物の使用量は、触媒としての量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して0.01質量%以上5.0質量%以下程度である。
N−オキシル化合物を用いた酸化方法としては、セルロース原料を水中に分散させ、N−オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N−オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N−オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。かかる酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持しやすい。共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。共酸化剤の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理するセルロースの固形分に対して1質量%以上200質量%以下程度である。
N−オキシル化合物および共酸化剤とともに、臭化物およびヨウ化物から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに併用してもよい。これにより、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を改善することができる。化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。化合物の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1から50質量%程度である。
酸化反応の反応温度は、4℃以上50℃以下が好ましく、10℃以上50℃以下がより好ましい。4℃より低いと、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう。50℃を超えると副反応が促進して試料が低分子化し、繊維形状を保てなくなる。酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常、1時間以上5時間以下程度である。
酸化反応時の反応系のpHは、9以上11以下が好ましい。pHが9以上であると反応を効率よく進めることができる。pHが11を超えると副反応が進行し、試料の分解が促進されてしまうおそれがある。酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9以上11以下に保つことが好ましい。反応系のpHを9以上11以下に保つ方法としては、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
N−オキシル化合物による酸化反応は、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは前述の範囲内に保つことが好ましい。添加するアルコールとしては、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供してもよいが、N−オキシル化合物等の触媒、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。酸化セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては蒸留水が好ましい。
(微細化工程)
酸化セルロースを微細化する方法としてはまず、酸化セルロースに水性媒体を加えて懸濁させる。水性媒体としては、前述と同様のものが挙げられ、水が特に好ましい。必要に応じて、酸化セルロースや生成する微細化セルロースの分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、酸化工程の説明で挙げたアルカリ水溶液と同様のものが挙げられる。
続いて懸濁液に物理的解繊処理を施して、酸化セルロースを微細化する。物理的解繊処理としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。このような物理的解繊処理を行うことで、懸濁液中の酸化セルロースが微細化され、繊維表面にカルボキシ基を有する微細化セルロースの分散液を得ることができる。このときの物理的解繊処理の時間や回数により、得られる微細化セルロース分散液に含まれる微細化セルロースの数平均短軸径および数平均長軸径を調整できる。
上記のようにして、カルボキシ基が導入された微細化セルロースの分散液が得られる。得られた分散液は、そのまま、または希釈、濃縮等を行って、金属微粒子を還元析出させる反応場として用いることができる。
微細化セルロースの分散液は、必要に応じて、本開示の効果を損なわない範囲で、セルロースおよびpH調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、特に限定されず、用途に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、磁性粉等が挙げられる。
(金属)
金属微粒子は形状制御により可視光線から近赤外光線にわたる任意の波長光を吸収することが可能であり、各種組成物の用途に合わせて所望の波長領域に吸収することで光選択性を有する。天然高分子の複合化を行う金属種は、特に限定されるものではなく、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が挙げられる。特に、赤外線を遮蔽する目的では、少なくとも銀を含む1種類以上が好ましい。
析出した金属微粒子31の周りを、他の金属あるいは金属酸化物で被覆して、金属微粒子の安定性を向上させても良い。微細化セルロース32の周りを同様に、他の金属あるいは金属酸化物で被覆しても良い。被覆に用いる金属種としては特に限定せず、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物が挙げられる。
(赤外線遮蔽材料の作製方法)
赤外線遮蔽材料の作製方法は、特に限定されるものではないが、一般的な湿式法である液相還元法で調製できる。金属微粒子表面と溶媒は、強い親和力は無く、そのままでは粒子は凝集沈殿してしまう。天然高分子の存在により金属微粒子の特徴が大きく変化する。
赤外線遮蔽材料は、特に限定されないが、例えば以下の方法で製造できる。まず、微細化セルロース分散液と金属塩を含有する溶液とを混合して混合用液を得る。具体的には、金属塩を溶媒に溶かし、前駆体金属イオンを含有する溶液を調製する。次に、微細化セルロース分散液に前駆体金属イオン含有溶液を添加して混合する。続いて、混合溶液中の前駆体金属イオンを還元して金属微粒子を成長させるとともに、金属微粒子と微細化セルロースとを複合化する。図8に、金属微粒子の一次粒子31aが成長し、微細化セルロース32と複合体を形成する様子を示す。
天然高分子、例えば微細化セルロースと前駆体金属イオンの存在下で還元剤を添加することにより、前駆体金属イオンが還元されて金属原子が生成し、核発生、成長を経て金属微粒子が生成する。この過程で、金属微粒子と微細化セルロースが相互作用し、金属微粒子の形態や凝集に影響を及ぼすと考えられる。天然高分子と前駆体金属イオンの相互作用により、異方性の金属微粒子が生成し、光選択性が生じる。例えば、球状の銀微粒子は通常400nm付近に吸収を有するが、微細化セルロースと複合化することにより異方性の粒子となり、700nm以上の波長領域に吸収を有する。
特に、表面にカルボキシ基を有する微細化セルロースの場合、金属イオンがカルボキシ基に配位した状態で還元を行うことにより、カルボキシ基を起点として金属微粒子と微細化セルロースとが複合化することで金属微粒子の結晶成長と凝集が制御され、形態制御が行われると考えられる。
微細化セルロースの分散に用いる溶媒は、微細化セルロースが充分に分散または溶解するものであれば、特に限定されない。環境への負荷の面から水を用いることが好ましい。微細化セルロースを用いる場合は、分散性の観点から水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒については特に制限は無いが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましい。
調製に用いる微細化セルロースの分散液の濃度は特に限定しないが、0.1%以上50%未満が好ましい。0.1%未満では金属微粒子の形状制御効果が不十分となり、50%以上では粘度が急激に上昇し、作業性が悪くなる。天然高分子の分散液の添加する前駆体金属イオンの濃度も限定しない。前駆体金属イオン濃度、微細化セルロースの固形分濃度は、生成する赤外線遮蔽材料の形状やサイズ、更には光学特性に影響を与える。赤外線遮蔽材料の光学選択性は、その形状により大きく変化する。赤外線遮蔽材料の具体的な作製法については実施例にて詳細を記した。
前駆体金属イオンは、特に限定されず、公知に用いられる前駆体金属イオンである塩化金酸、硝酸銀、シアン化銀、酢酸銀等を用いることができる。前駆体銀イオン源を用いる場合は、安全性の観点から硝酸銀を用いることが好ましい。
前駆体金属イオンの濃度は特に限定されない。前駆体金属イオン濃度により、金属微粒子と微細化セルロースとの相互作用、更には金属微粒子の結晶成長と凝集を制御することができ、所望の形状の金属微粒子を製造することができる。
分散液中の前駆体金属イオン量が微細化セルロースの表面に存在するカルボキシ基未満であることが好ましい。分散液中の金属イオン量が微細化セルロース表面に存在するカルボキシ基量を上回ると微細化セルロースが凝集することがある。
前駆体金属イオンの還元には、公知の方法を用いることができる。例えば、紫外線を照射する方法や還元剤を添加することができる。還元剤を添加する場合は、事前に還元剤を溶媒に溶かし、前駆体金属イオンと微細化セルロースを含有する分散液(以下反応系という)に滴下することができる。
(還元剤)
前駆体金属イオンの還元に用いる還元剤は、公知の還元剤を用いることができる。例えば、金属ヒドリド系、ボロヒドリド系、ボラン系、シラン系、ヒドラジン及びヒドラジド系の還元剤が挙げられる。一般に、液相還元法では、水素化ホウ素ナトリウム、クエン酸、ヒドラジン等が用いられる。攪拌翼や攪拌子等、公知の方法で攪拌することが好ましい。
(コーティング組成物、コーティング物、赤外線遮蔽フィルム)
こうして得られた赤外線遮蔽材料の分散液から赤外線遮蔽材料を分離し、特に限定されないが、コーティング物を形成するコーティング組成物として、窓に塗工することができる。基材11の少なくとも一方の面にコーティング組成物を塗工して、赤外線遮蔽材料を含有するコーティング層12を設けることにより、赤外線遮蔽フィルム1を得ることができる。また、赤外線遮蔽材料を成形材料と複合化して赤外線遮蔽フィルム2を得ることもできる。赤外線遮蔽フィルム1、2は、900nm以上1000nm以下の波長領域の光の透過率が70%以下であることが好ましい。
赤外線遮蔽材料を、コーティング組成物又はこれを塗工した赤外線遮蔽フィルムに用いる場合、赤外線遮蔽材料の分散液から赤外線遮蔽材料を分画することが好ましい。赤外線遮蔽材料を分画する方法としては、沈殿法、遠心分離、ゲル濾過カラム、ゲル電気泳動法等の公知の方法を用いることができる。複数の分画方法を組み合わせても良い。
赤外線遮蔽材料を再分散させる方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、攪拌型分散機、高速度回転せん断装置、ミル型分散装置(ボールミル、ビーズミル、コロイドミル等)、高圧噴射装置、超音波分散装置等の液中分散装置が挙げられる。分散剤を添加して分散化してもよい。
コーティング組成物及びこれを塗工したコーティング物または赤外線遮蔽フィルム1を得る場合、特に限定されないが、赤外線遮蔽材料の分散液から赤外線遮蔽材料を分画して用いることができる。
コーティング組成物は、基材11上に膜を形成できるものであれば特に限定されるものではない。コーティング組成物は、赤外線遮蔽材料と、少なくとも1種類以上の水溶性高分子(a)とを含むことが好ましい。水溶性高分子(a)を用いることで、赤外線遮蔽材料の分散性が良好で、塗工性の良好なコーティング組成物が得られ、また複数の層を積層することなく高い赤外線遮蔽性を得られ、耐光性に優れたコーティング物、あるいは赤外線遮蔽フィルム1を得ることができる。また、基材11との密着性が良好になる。
水溶性高分子(a)は、85℃において、メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロピルアルコールのいずれかを50質量%含むアルコール水溶液、および水のうち少なくとも1種を含む溶媒100質量部に対して、1質量部以上溶解する、分子量1000以上の化合物である。なお、本開示において、化合物が溶解するとは、化合物が完全に分子分散した溶解状態に加えて、化合物が膨潤、分散することにより、均一な溶解状態を示すことも含むものとする。すなわち、メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロピルアルコールのいずれかを50質量%含むアルコール水溶液、および水のうち少なくとも1種を含む溶媒100質量部に対して1質量部以上分散するエマルションを含むものである。
水溶性高分子(a)としては、例えば、タンパク質、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
タンパク質としては、ゼラチン、カゼイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等が挙げられる。
ビニル系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン・ビニルアセテート共重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリルアミド、アクリルアミド・アクリレート共重合体等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
中でも、ビニル系樹脂やポリエチレン系樹脂は、赤外線遮蔽材料が分散しやすく、好ましい。水溶性高分子(a)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、環境負荷の観点から、天然由来の高分子であることが望ましい。
コーティング組成物の溶媒は、特に限定するものではないが、分散性の観点から水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒については特に制限は無いが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましい。中でも、水、エタノールが好ましい。
コーティング組成物により形成されるコーティング層12は、赤外線遮蔽材料を含む。コーティング層12の形成方法は、常温乾燥コーティング、加熱硬化コーティング、電着コーティング等の公知の方法を用いることができる。コーティング層12の膜厚は特に限定されないが、1nm以上10000nm以下の範囲であることが好ましい。5nm以上であると、赤外線遮材料を含有するコーティング組成物の塗工性が良好である。10000nm以上であると乾燥に時間がかかり、また基材11とコーティング層12の密着性が悪化することがある。
コーティング層12を形成させる基材11の材質は、特に限定されないが、公知のプラスチック材料を用いることができる。窓用の赤外線遮蔽用途では、透明基材であることが好ましい。
基材11の材質としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等。)、ポリエステル(ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等。)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66等。)、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、アクリルセルロース(トリアセチリルセルロース、ジアセチルセルロース等。)等が挙げられる。
基材11の膜厚は、特に限定されないが、生産性や成形性、施工時の操作性の観点から、基材11の膜厚は、5μm以上1000μm以下が好ましく、10μm以上500μm以下であることが更に好ましい。
基材11におけるコーティング層12を設ける側の面には、表面処理を施し、必要に応じて表面処理層を設けても構わない。表面処理を行うことで、基材へのコーティングが行いやすく、また基材11とコーティング層12との密着性を向上できる。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
基材11とコーティング層12との密着性を向上する目的で、接着層を設けても構わない。接着層の形成に用いる接着成分としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂等の接着樹脂が挙げられる。なかでも、接着樹脂としては、密着性が良好な点から、ポリビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
赤外線遮蔽材料と成形材料との複合物21として、赤外線遮蔽フィルム2を製造することができる。赤外線遮蔽材料と複合化する成形材料は、公知のプラスチック材料を用いることができる。
プラスチック材料は、一般に用いられる熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができる。赤外線遮蔽材料との複合化や成形のしやすさから、成形材料(b)を含有することが好ましい。
成形材料(b)には、ポリスチレン、ABS樹脂(A;アクリロニトリル、B;ブタジエン、S;スチレン)、AS樹脂、ポリエチレン、EVA樹脂、ポリプロピレン、メタクリル樹脂、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、塩化ビニル樹脂が好ましい。
特に、再生可能な資源を用いたバイオマスプラスチックを用いることが好ましい。再生可能な資源を用いたバイオマスプラスチックとしては、ポリ乳酸、ポリオレフィン、ポリアミドを用いることが好ましい。
赤外線遮蔽材料と成形材料(b)とを複合化する際の複合化方法は、公知の方法を用いることができる。
成形の方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、射出成形法、圧縮成形法、積層成形法、トランスファ成形法、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイ成形法、押出ラミネート、ブロー成形法、真空成形法、スプラッシュ成形法、低圧積層成形法が挙げられる。
赤外線遮蔽フィルム1、2の構成は、特に限定されるものではない。例えば、赤外線遮蔽材料を含有するコーティング層は、単層でなくてもよく、複層の層を設けても良い。赤外線遮蔽材料と成形材料の複合層21は、積層構造を有しても良い。
赤外線遮蔽材料を含有するコーティング層12及び赤外線遮蔽材料と成形材料との複合層21は、成形性の向上や劣化抑制、赤外線遮蔽材料の分散性の向上等の目的で、公知の添加剤を混合することができる。例えば、熱安定剤、安定化助剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤を含んでも構わない。
耐擦傷性を得るために、赤外線遮蔽材料を含有するコーティング層12及び赤外線遮蔽材料と成形材料との複合層21は、ハードコート層13又ハードコート層22を設ける事が好ましい。ハードコート層(13、22)は、特に限定しないが、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂が挙げられる。特に限定しないが、ハードコート層の厚みは0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。ハードコート層の厚みが0.5μm未満であると、耐擦傷性が充分に得られず、100μm以上であると透明性を損ないやすく、また窓への貼り付けの際に操作性が悪くなる。
基材11の赤外線遮蔽材料を含有するコーティング層12の反対面、及び赤外線遮蔽材料と成形材料との複合層21のハードコート層22との反対面に、粘着層14または粘着層23を設けることが好ましい。粘着層により、例えば建物や車の窓に貼り付けることができる。粘着層に用いる材料は特に限定するものではない。例えば、公知の樹脂を用いることができ、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらは1種類または複数使用することができる。粘着層を形成する方法は、特に限定しないが、公知のコーティング手法により粘着層を形成できる。例えば、支持体に粘着層14をコーティングし、基材11のコーティング層12との反対面に貼り合わせることができる。赤外線遮蔽材料と成形材料との複合層21を用いる場合も、支持体に粘着層23をコーティングした後、貼り合わせることができる。貼りあわせの方法は、ドライラミネート、熱ラミネート等の公知の方法を用いることができる。
粘着層14、23の厚みは、特に限定されないが0.05μm以上20μm以下であることが好ましい。この範囲であると、粘着層14、23の粘着性が良好となる。
(セルロース原料のTEMPO酸化)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムが3.00mmol/gになった時点で、過剰量のエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化パルプを得た。
(酸化セルロースのカルボキシ基量測定)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、カルボキシ基量(mmol/g)を求めた。結果は1.6mmol/gであった。
(酸化セルロースの解繊処理)
TEMPO酸化で得た酸化パルプ1gを99gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、CSNF濃度1%のCSNF水分散液を得た。CSNF水分散液に含まれるCSNFの数平均短軸径は4nm、数平均長軸径は1110nmであった。また、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行ったところ、CSNF分散液はチキソトロピック性を示した。
(硝酸銀水溶液の調製)
硝酸銀を蒸留水50mLに溶解させ、硝酸銀水溶液を調製した。
(水素化ホウ素ナトリウム水溶液の調製)
水素化ホウ素ナトリウムを蒸留水50mLに溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を調製した。
(赤外線遮蔽材料の作製)
1%CSNF水分散液50g対し、硝酸銀水溶液0.5gを室温(25℃)で攪拌しながら添加した。30分攪拌を続けたのち、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加して赤外線遮蔽材料を作製した。
<実施例1>
上述の方法でCSNF水分散液を作製し、CSNF水分散液に硝酸銀水溶液を添加し、しばらくして還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを添加して銀/CSNF複合体を得た。赤外線遮蔽材料を遠心分離により分画し、ポリビニルアルコールPVA124((株)クラレ製)水溶液に分散させ、コーティング組成物を調製した。50μmのPETフィルムにコロナ処理を施し、コーティング組成物を乾燥膜厚200nmになるようにバーコーターを用いて塗工し、120℃で乾燥させた。
<実施例2>
実施例1と同様の方法でCSNF水分散液を作製し、CSNF水分散液に硝酸銀水溶液を添加し、しばらくして還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを添加して赤外線遮蔽材料を得た。銀/CSNF複合体を遠心分離により分画し、アローベース(登録商標)SD−1200(ユニチカ(株)製)水溶液に分散させ、コーティング組成物を調製した。50μmのPETフィルムにコロナ処理を施し、コーティング組成物を乾燥膜厚が200nmになるようにバーコーターにて塗工し、120℃で乾燥させた。
<実施例3>
実施例1と同様の方法でCSNF水分散液を作製し、CSNF水分散液に硝酸銀水溶液を添加し、しばらくして還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを添加して赤外線遮蔽材料を得た。銀/CSNF複合体を遠心分離により分画し、アローベースSD−1200(ユニチカ(株)製)水溶液に分散させ、コーティング組成物を調製した。100μmのPETフィルムにコロナ処理を施し、コーティング組成物を乾燥膜厚が400nmになるようにバーコーターにて塗工し、120℃で乾燥させた。
<実施例4>
実施例1と同様の方法でCSNF水分散液を作製し、CSNF水分散液に硝酸銀水溶液を添加し、しばらくして還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを添加して赤外線遮蔽材料の分散液を得た。赤外線遮蔽材料を遠心分離により分画し、アローベースSD−1200(ユニチカ(株)製)水溶液に分散させ、コーティング組成物を調製した。50μmのPETフィルムにコロナ処理を施し、コーティング組成物を乾燥膜厚が400nmになるようにバーコーターを用いて塗工し、120℃で乾燥させた。
<実施例5>
実施例1と同様の方法でCSNF水分散液を作製し、CSNF水分散液に硝酸銀水溶液を添加し、しばらくして還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを添加して赤外線遮蔽材料の分散液を得た。銀/CSNF複合体を遠心分離により分画し、樹脂GS Pla(登録商標) FZ91P(三菱化学(株)製)に混練して20μmの膜厚になるようにフィルム状に成形した。
<比較例1>
水に硝酸銀水溶液を添加し、しばらくして還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを添加した。
<比較例2>
ポリビニルアルコールPVA124(クラレ(株)製)に硝酸銀を添加し、しばらくして還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを添加した。
<比較例3>
CSNF水分散液に、還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを添加した。
<比較例4>
CSNF水分散液に硝酸銀を添加した。
<比較例5>
50μmのPETフィルムにコロナ処理を施した。
<比較例6>
ポリビニルアルコールPVA124((株)クラレ製)水溶液のみのコーティング組成物を調製した。50μmのPETフィルムにコロナ処理を施し、コーティング組成物を乾燥膜厚が200nmになるようにバーコーターを用いて塗工し、120℃で乾燥させた。
<比較例7>
アローベースSD−1200(ユニチカ(株)製)水溶液のみのコーティング組成物を調製した。50μmのPETフィルムにコロナ処理を施し、コーティング組成物を乾燥膜厚が200nmになるようにバーコーターを用いて塗工し、120℃で乾燥させた。
<比較例8>
成形材料GSPla FZ91P(三菱化学(株)製)に混練して20μmの膜厚になるようにフィルム状に成形した。
実施例1から4、比較例6から7は、更にコーティング層の基材との反対面にハードコート層、基材のコーティングとの反対側に粘着層を設けた。実施例5と比較例8は、フィルム状の複合組成物または成形材料の一方の面にハードコート層、もう一方の面に粘着層を設けた。比較例1から4は、赤外線遮蔽材料を得られなかった。
(ハードコート層の形成)
ハードコート層は固形分100質量%のペンタエリスリトールアクリレート(PETA)に、イソプロピルアルコール(IPA)を用いて、PETAの固形分濃度が50%になるように希釈した。この希釈液にIrgacure(登録商標)184(BASFジャパン(株)製)をPETA100質量部に対して5質量部加え、ハードコート層形成用塗料を調製し、6μmになるようにバーコーターにて塗工した。
(粘着層の形成)
オリバイン(登録商標)BPS5296(トーヨーケム(株)製)をポリエステルフィルムに10μmになるようにコーティングして粘着層を形成し、基材又は赤外線遮蔽複合組成物のハードコート層の反対面に貼りあわせた。
(複合体形成の評価方法)
複合体の形成は、走査透過型電子顕微鏡と走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡を用いて観察し、金属と微細化セルロースが複合体を形成している場合に『○』、複合体を形成していない場合に『×』とした。
(赤外線遮蔽性の評価方法)
赤外線遮蔽フィルムの赤外線遮蔽性は、分光光度計UV−3600(島津製作所)を用いて、空の状態をリファレンスとして220nmから2500nmまで測定した。赤外線遮蔽性能は、波長が900nmの光の透過率が70%以下である場合に『○』、70%以上である場合に『×』とした。JIS A5759に従い、遮蔽係数を求めた。
表1に示すように、実施例1から5では、赤外線遮蔽材料により、900nmでの透過率が60%以下となり、遮蔽係数の低い赤外線遮蔽フィルムが得られた。比較例1から4では、金属と微細化セルロースの複合体が観察されなかった。比較例5から8では、900nmでの透過率が70%以下とならず、遮蔽係数も1に近かった。
本発明によれば、バイオマス材料を用いた低環境負荷且つ簡便なプロセスにより得られた赤外線遮蔽材料を含有する赤外線遮蔽組成物及び赤外線遮蔽フィルムを提供することが可能である。
1、2 赤外線遮蔽フィルム
11 基材
12 赤外線遮蔽材料を含有するコーティング層
13 ハードコート層
14 粘着層
21 赤外線遮蔽材料と樹脂の複合層
22 ハードコート層
23 粘着層
3 赤外線遮蔽材料
31 金属微粒子(銀微粒子)
31a 金属微粒子の一次粒子
32 微細化セルロース(CSNF)
32a 金属微粒子の内部に取り込まれている部分
32b 金属微粒子表面に露出している部分
33 表面
34 裏面
35 側面
36 PET層
37 包埋樹脂層
d 粒子径
h 厚み

Claims (15)

  1. 平板状金属微粒子と少なくとも1つ以上の微細化セルロースとが複合化された複合体を含み、
    前記平板状金属微粒子は、少なくとも1種類以上の金属又はそれらの化合物であり、
    前記微細化セルロースは、全部が前記平板状金属微粒子の内部に取り込まれ、あるいは、一部が前記平板状金属微粒子の内部に取り込まれるとともに、残部が当該平板状金属微粒子の表面に露出し、
    700nm以上2500nm以下の波長領域に吸収極大を有する、赤外線遮蔽材料。
  2. 前記平板状金属微粒子と前記微細化セルロースとが不可分である、請求項1に記載の赤外線遮蔽材料。
  3. 前記平板状金属微粒子が、銀である、請求項1または2に記載の赤外線遮蔽材料。
  4. 前記微細化セルロースの短軸の数平均軸径は、1nm以上200nm以下であり、前記微細化セルロースの長軸の数平均軸径が0.05μm以上50μm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料。
  5. 前記微細化セルロースのカルボキシ基量が0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下である、請求項1から4のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料。
  6. 前記平板状金属銀微粒子の厚みが、1nm以上100nm以下である、請求項1から5のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料を含む、コーティング組成物。
  8. 少なくとも1種類以上の水溶性高分子をさらに含み、
    前記水溶性高分子は、85℃において、メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロピルアルコールのいずれかを50質量%含むアルコール水溶液、および水のうち少なくとも1種を含む溶媒100質量部に対して1質量部以上溶解する、分子量1000以上の化合物である、請求項7に記載のコーティング組成物。
  9. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に請求項7または8に記載のコーティング組成物によって形成されたコーティング層を有する、赤外線遮蔽フィルム。
  10. 少なくとも1種類以上の成形材料と、請求項1から6のいずれかに記載の赤外線遮蔽材料とを含む、赤外線遮蔽フィルム。
  11. 前記基材が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、アクリルセルロースのいずれかを含む、請求項9に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  12. 前記成形材料は、ポリスチレン、ABS樹脂(A;アクリロニトリル、B;ブタジエン、S;スチレン)、AS樹脂、ポリエチレン、EVA樹脂、ポリプロピレン、メタクリル樹脂、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、塩化ビニル樹脂のいずれかを含む、請求項10に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  13. 900nm以上1000nm以下の波長領域の光の透過率が70%以下である、請求項9から12のいずれかに記載の赤外線遮蔽フィルム。
  14. 前記コーティング層に積層されたハードコート層と、前記基材の前記コーティング層が形成されている面と反対側の面に形成された粘着剤層とをさらに含む、請求項9または11に記載の赤外線遮蔽フィルム。
  15. 前記成形材料および前記赤外線遮蔽材料は複合層を形成し、
    前記複合層の一方の面に積層されたハードコート層と、
    前記複合層の他方の面に形成された粘着剤層とをさらに含む、請求項10または12に記載の赤外線遮蔽フィルム。
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